ドライブサーガ 仮面ライダーハート

登録日:2017/02/20 Mon 23:02:44
更新日:2022/04/23 Sat 12:24:00
所要時間:約 11 分で読めます








「アンタじゃ……無理だ…!」

「ソノトオリ。オマエハムカチナニンゲンダ。」

「無価値…?……かもな。」

「出世もしねぇ…女にも好かれねぇ…俺はダメなオヤジだよ。だけどな!」

「全てを失っても……市民は守れるんだよ!心(ここ)でな!」







概要


2016年11月16日にリリースされた『仮面ライダードライブ』のVシネマ作品、『ドライブサーガ』シリーズの第2弾の第1章。
ハートを主人公に据えた作品で、本編では仮面ライダーでなかった者がVシネマで仮面ライダーになった初の作品。

前作とは異なり、2部構成になっている。
タイトルこそ『ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ/仮面ライダーハート』と後に紹介されているが、放映順は逆である。
第2章である『ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ」とのそれぞれが約40分強で合計85分のストーリーになっている。

時系列はどちらも本編終了から2年後を描いた小説『マッハサーガ』、そしてこの作品が出た後に発売されたドラマCD『マッハ夢想伝』の後日談であり、
本編からは3年後の出来事となっている。
なお泊進ノ介は両作品に登場するが、ドライブには変身しない。
この作品の後に放映された映画、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』では変身しているが、
この作品は作中での描写から時系列上マッハサーガの前にあたるものと推測されるので、事件解決後に再びドライブドライバーを手放し、変身が出来なくなっているとされる。



あらすじ


チェイスが消滅してから3年、剛は彼を蘇らせるべく、海外の科学者たちから知識を得て、そして帰ってきた。
早速りんな、究の2人と共に、「ロイミュードのプロトボディに新型のコア収束装置を取り付け、チェイスの000のコアを引き付けて復活させる」という実験を試みる。
実際に行ってみた所、素体のロイミュードが人間の姿へと変化した……が、復活したのはチェイスではなくハートだった。

そして同じ時期にロイミュードに酷似した怪物がロイミュードのコピー元の人間を次々と襲う事件が発生し、自身の復活と関係があるとみたハートは事件の解決へと動き出す…。



登場人物


本作の主人公。
チェイス復活実験の過程でどういう訳か彼が復活してしまい、戸惑う。自身の復活は仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス以来、2度目。
メディックのコアによって薔薇風呂に入ったかと思えば、ハートのコアに戻って全裸を披露する……お前はどこの尻彦だ!
重加速、武装のないボディで復活したため、ロイミュードの姿になっても戦闘がうまくできず、自分がかつて戦った「仮面ライダー」の力を使う事を決意する…。
なお、本編内では蛮野に始末されたと語られていた、彼のコピー元の広井真蔵は本作では5886に襲われないように警察施設に匿われており、生存が明らかになっている。

愛すべきダメガネ。はんかちが使えない!
だがハートとしての1つの体に3つのコアが宿った状態なので、コピー元の杵田光晴としての姿はなく、声のみの出演。
ハートの体で復活したことでパニックになった。
事件内では情報収集を担当。
ちなみにコピー元の安否については作中では不明だったが、広井同様、警察施設に匿われ、生存が明らかとなった。

回復担当の紅一点。
ブレンと同じく、ハートの体に宿った状態での復活のため、こちらも声のみの出演。
ブレンと違い、ハートの体にコアとして入れたことに興奮していた。
コピー元の羽鳥美鈴が襲われる可能性があることに気付き、彼女の元へ向かう事で5886と遭遇する事になる。

  • 追田現八郎
本作の事実上のもう一人の主人公。
ハートのボディの緊急停止装置を奪って監視目的でハートの前に現れるが、りんなとの関係をハートの前でブレンに暴露されて落ち込む。
謎の襲撃事件の真相を追う為にハートから半ば強引に協力を要請され、表向きは自分の部下という事にして共に事件に挑むが全く良い所が無く、
ハートの有能さに拗ね、彼と衝突する。
ハートの残した言葉から次に襲われるのが橘だと気が付き、単身5886に戦いを挑む。

本編の主人公であり、ハートの友人第109号。
りんなから話を聞き、中盤でハートの元に訪れて思うように戦えない彼を叱咤する。

  • 沢神りんな
チェイス復活の実験のためにドライブドライバー型のベルトとシフトブレス、シフトトライドロンに似たシフトカー型コア収束装置を制作し、
いざチェイスの復活に挑戦するが、復活したのはハートだった。
現八郎とは若干ギスギスした感じになっており、彼からの婚約指輪(給料3か月分)をどこかに放り投げてしまう…。

ちなみに上記のベルトのベルトさんの声はAIであり、作中で彼女が「クリムの声に似せた」と言っている。

  • 西城究
序盤でチェイス復活の実験に参加し、そこでハート復活に立ち会う。
彼自身もロイミュード072のコピー元である為、事件中は警察の施設内に匿われていた事がハートの口から語られた。
事件終息後は再び実験に参加する。

  • 葉鳥美鈴
メディックのコピー元で、5886に襲撃されて、意識不明となる。
上記の通り、メディックはハートの中のコアとしての登場なので馬場本人の登場は彼女の姿でのみとなる。

  • 橘真伍
ジャッジロイミュードのコピー元で、現八郎の恩師。
自身が救えなかった被害者の供養に訪れていた所を5886に襲われるが、現八郎とハートによって難を逃れる。

序盤と終盤に登場する。
チェイスの復活の実験に意気込むが、難航する。
この次がメインの話となる為か、仮面ライダーマッハとしての出番はなし。



ロイミュード


回想でのみの登場。
彼の復活の為の実験が今回の物語内での大きな目的となっている。

  • 065
ジャッジロイミュード。こちらも回想でのみの登場。
彼のコピー元である橘真伍だけが警察の保護下にいない事を知った現八郎は危険を承知で単身5886に立ち向かう。



本作オリジナルライダー


  • 仮面ライダードライブ タイプスピードワイルドテクニック



「こんなんだったか、ドライブって…?」

「まあ…大体こんな感じかと。」



ドライブの戦闘記憶を元にブレン・メディックが構築したデータを使いハートが変身したドライブの新形態(?)。
奇しくも現さんが思い浮かべた妄想の中のドライブと同じ姿をしている。
ある意味、未登場となった「 シフトスピードワイルドテクニック 」による形態が実現した形となる。

頭部はタイプテクニック、胸部はタイプスピード、下半身はタイプワイルドとなっている。
なお、タイプフォーミュラについては「アイツはやられたから嫌い」という理由でブレンがデータに組み込まなかったので、形態に現れていない。

3つのタイプの要素を併せ持った強力な形態……ではなく、どれも無理矢理取り付けた物なので戦闘能力はかなり低い。おまけに頭部のテクニックの処理能力の高さは手先の器用さがないので無駄、胴体のスピードの装甲は速さの為に薄いが足が重すぎて無駄、下半身のワイルドのパワーや厚さはそもそも腕で殴るし攻撃は胴体で受けるので無駄と、奇跡的に全ての長所を潰しあった最悪のてんこ盛りである。
恐らく急場しのぎの超デッドヒートドライブや、本来想定されていない姿のゼロドライブよりも低いと思われる。
実際にロイミュード5886に有効打を与えられないばかりか、タイヤと両肩の装甲を引っぺがされてしまった。
「仮面ライダー図鑑」では「仮面ライダーハート 不完全変身態」の名称で登録されている。

  • 仮面ライダーハート
シフトハートロンの中にいるブレン・メディックとハートの3人でコアを同時に高め合う事で、変身した姿。
外見はタイプトライドロンに下半身のコートや頭部の二本角など、ハートロイミュードの意匠を組み込んだな姿になっている。
外見がシフトトライドロンに似ているのは、コア収束装置がシフトトライドロンのような素体のものだったからである。
ちなみにドライブ風に名前を付けるなら下記の変身音声から「仮面ライダードライブ タイプミラクル」となるだろう。

装着しているベルトは量産型のドライブドライバーにりんなが改良を加え、ベルトさん=クリムに似た電子音声を組み込んだ「AIドライバー」。そのためアナウンスも若干ベルトさんと異なる。*1

戦闘能力は3人が力を合わせただけあってかなり高く、スパイク状の手甲が付いた右腕によるパンチを基本とした近接格闘を基本にとする。
さらにハート・ブレン・メディックの力を、タイプトライドロンのタイヤカキマゼールに似た能力「バイラルカキマゼール」によって引き出せる。
能力を発動すると左半身のタイヤが対応したコアの色に光る。

ちなみに半公式となる『仮面ライダードライブ ファイナルステージ&番組キャストトークショー』内にてハートはタイプトライドロンへと変身している。

シフトハートロン
ハートが復活した際にシフトトライドロンに似たシフトカー型コア収束装置が変化したもの。
大まかな構造はシフトトライドロンと同じだが、デザインがかつてハートが好んだ赤いオープンカーに似たものとなっている。

●バイラルカキマゼール
メディック:左腕から金色に輝く触手を伸ばし、対象を拘束する。拘束した相手には電撃で追撃する。タイヤの発光色はピンク。
ブレン:左腕から触手のように伸ばした毒液で対象を捕らえ、振り回して地面などに叩き付ける。タイヤの発光色は緑。

●必殺技:ハートドロップ
バイラルカキマゼールでハートのコアを選択後、全身を赤熱化させて飛び蹴りを叩き込む。
敵にヒットする直前には超進化態のように金色に輝く。


ロイミュード5886


今回の事件の犯人。
外見は基本ボディをコブラ型、頭部をコブラ・スパイダー・バット型の下級ロイミュードの特徴を寄せ集めた存在で、
指から光弾を発射する能力と、接触した人間の記憶を吸収することが出来る。
戦闘能力自体は大したことはないのだが、形態こそ超進化態だが、ボディの不完全なハートにとっては十分脅威になる強さである。
実は作中で登場した109体のロイミュードすべてのデータの破片が集合して出来た存在。
5886という番号は000から108までのコアの番号全てを足したもので、ブレンの指摘によって、ハートはその正体に気が付いた。
コピー元の記憶をデータ化して抜き去ることで再び1つの存在として復活する事を目的に行動している。
元がデータの破片のため、非常に不安定な存在(ハート曰く「プログラムのバグ」)で、正規のロイミュードとは言えない存在になっている。



ネタバレ









「これだ…この力だ!」

「分かってきたぜ現さん!確かにアンタはダメなオヤジだ。」

「!?……んだとぉ?」

「だがそれがいい!だからこそ強く戦える……心(ここ)でな!」

「……おう!」



現八郎が5886と戦うところに駆けつけたハート。
しかし弱いボディとはいえ生身の人間よりは強いハートですら苦戦した相手にただの人間の現八郎が勝てるはずもなく、やられてしまう。
しかし、それでも彼は緊急停止装置でハートを止め、5886に挑み、そして冒頭の言葉を叫ぶ。
自分がダメな人間と分かりつつも「心」で人を救おうとする彼の言葉は、思うように戦えずにいたハートの胸を打ち、自分に戦わせるように現八郎に頼む。
ハートが事件の犯人を追う理由を思い出した現八郎は、緊急停止装置を破壊して彼を自由にする。

吹っ切れたハートは5886を押し始めるが、それでも倒すまでには至らない。
何か策はないかブレンに聞くと、3人で同時にコアを高め合い、仮面ライダーに変身すれば倒せるかもしれないという回答が返ってきた。

しかしブレンは同時にそれ程のエネルギーを使えばその変身で自分達も消滅してしまうであろうことも指摘した。
しかしハートはそれでもやらせてくれと頼む……。



「俺はお前たち2人と、悲しい泣き別れをした。」

「でも今度は3人一緒なんだ。何も怖いことはないじゃないか。」

「ハート様……。」

「ハート……分かりました!」

「…行くぞ!」


ファイヤー……オール・コア……!

ドライブ!タイプ・ミラクル!

「…変身…!」

ハート・ザ・カメンライダー!


「ハ、ハートが……仮面ライダー!?」


ブレンの予想通り、ハートは仮面ライダーハートに変身する事に成功。5886も向かってくるが、力が大きく上がったハートは一気に押し始め、重いパンチやキックをお見舞いする。


そして「バイラルカキマゼール」でメディックの触手、ブレンの毒液で更に5886を攻撃。



「ごきげんよう。」

「華麗で強力で素晴らしい技をどうぞ!」


そしてとどめにハートの「バイラルカキマゼール」で5886にライダーキック「ハートドロップ」をお見舞いする。




「さらばだ。俺たちの思い出の残骸よ!」

フルスロットル!ハート!



こうして5886は撃破されたが、同時に005のコアが分離され、「復活したい、再生したい」と言いながら、その場から消えていったのだった。



結末


こうして5886による事件は終わりを告げたが、ブレンの予想通り3人のコアは消滅を始めた。

一部始終を見ていた現八郎も駆け寄り、彼らが消滅覚悟での変身をしていた事を知る。



「おかげで……自分達のバグの後始末をすることが出来た…そして…」

「最後の最後に、人間の本当の心の強さも理解出来た…。」

「ありがとう。追田警部。」


現八郎は「最期だけは本当の仮面ライダーだった」と彼らを評価し、その上で呼び方を訂正させる。



「今更『追田警部』は他人行儀ってもんだろ。」


進ノ介と橘が遠くから見ている時には、2人は笑っていた。



「泊進ノ介とは違った…人間の友達が出来た……」

「ありがとう……現さん……」


そして110人目の友達、現八郎に看取られながらハート・ブレン・メディックのコアは消滅し、ハートの体は元のプロトボディとなった。
残った現八郎はしんみりさせるようなことを言ったハートへ憎まれ口を叩きながらも、
剛のチェイスに対する気持ちのように何らかの形で再会する事を望むように別れを告げた。



「また会おう……ハート!」


場面は変わり研究室、ハートたちの復活は「謎の異常事態による産物」であり、チェイス復活にはまだまだ時間がかかることが分かった。
その事にヘコむ剛に対して現八郎は自分とハートの体験を振り返りつつ、「時間をかければ『正しい心のロイミュード』が作れる」と叱咤する。
その上でやってきたりんなに謝罪し、彼女といい雰囲気になる。が、ここで序盤で投げてしまった指輪がまだ見つかっていない事を知り、2人で探し始める。
すると、どういう訳か1台のシフトカーがいきなり指輪をひっかけて飛び出し、りんなの前に現れる。喜んだ現八郎はりんなの指に指輪をはめる。




「これもハートがくれた思わぬプレゼント……なのかもしれない。」


そう思いつつ、2人の姿を笑顔で見つめる剛だったが、シフトカーの様子に疑問を抱く。




「あれ?アイツ今……動いてなかったか?」



ここで仮面ライダーハートについては終了だが、このシフトカー、シフトライドクロッサーについては次章の「仮面ライダーマッハ」で使用されることになる。






「これだ…この内容だ。分かってきたぜ!wiki篭り!確かにアンタらは重度のアニヲタだ…」




「だがそれがいい!だからこそ良い項目が出来る!




追記・修正でな!!!」







Next Drive's saga is... 『ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ




Previous Drive's saga is... 『小説 仮面ライダードライブ マッハサーガ



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 三条陸
  • 石田秀範
  • 仮面ライダー
  • 特撮
  • 平成ライダー
  • 蕨野友也
  • 仮面ライダードライブ
  • スピンオフ
  • ハート
  • 仮面ライダーハート
  • ドライブサーガ
  • Vシネマ
  • オリジナルライダー
  • 捨て身の変身
  • 追田現八郎
  • 人間の心の強さ
  • シフトハートロン
  • バグ
  • 復活怪人
  • 漢の在り方
  • 全裸怪人
  • ハート・ザ・カメンライダー
  • なぜハートは仮面ライダーとなったのか
  • 東映

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年04月23日 12:24

*1 変身時の「ドライブ!」の部分がベルトさんと違って「ド」にアクセントが来る他、形態名のコールも棒読み気味。