八王(トリコ)

登録日:2016/12/24 Sat 00:52:00
更新日:2024/02/15 Thu 13:06:34
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八王(やおう)とは、『トリコ』に登場する8体の獣の王達の総称である。


●目次


【概要】

グルメ界の8大陸の頂点に君臨し、各大陸を統制している8匹の獣達であり、それぞれが天災を超越し、生態系さえも変動させ、星さえも容易く破壊可能という圧倒的な戦闘力を誇る。
同時に、わずかな地殻変動や気候の変化から将来の危機を察知する小動物のような敏感さを持つ。
ある意味トリコという漫画におけるインフレの極限。

8匹は争うことこそあるが明確な敵対・対立関係にある訳ではなく、序列なども存在しない同等の立ち位置にある。
八王は互いに呼応し合っており、その関係は全員が互いを知り尽くした歴戦のライバルであり戦友に近い。
その為一度協力すれば、以心伝心で高度なコンビネーションを瞬時に取りつつ戦う事が可能。
その協調性の高さは、絶対的強さを誇るキャラクターとしては中々に異色な位置付け。

ただし誰か一体が本気で戦う際は他のメンバーですら命の危険を伴うため近づかない。
……が、ラスボスであるアカシアとの決戦では、互いが己の命さえも投げ捨てて協力し合いアカシアを打倒しようとしていた。

彼らが行動をする時期は「グルメ界の夜」と言われ、グルメ界の全生物が最高レベルの警戒を張り、この漫画における最強格の存在である節乃さえも死を覚悟するほど。
一方でグルメ界の生態系を維持する役目も担っており、ブルーニトロやデスゴールなどといった地球を滅ぼしかねない外敵から地球上の生物を守ってきた事もある。
ここまで来ると、もはや獣というより神に近い。

文字通りグルメ界の頂点を示す称号であるが当然その基準も厳しい。
例え八王の座に至っても、戦った相手がどんな相手であろうと1度でも敗北すれば即座に八王の座から引退に追い込まれることになる。
王の称号はそう甘いものではない。

【八王一覧】


『エリア1』 竜王(りゅうおう)デロウス  

捕獲レベル:6590
分類:翼竜獣類
全長:4000m(4km)
体重:8000万t

すべての大陸の始まりとされる『エリア1』の支配者。
全長4000メートルで「五対の目」「枝分かれした舌」「黄色味を帯びた巨大な翼」が特徴的なドラゴン。
祖先は一万年は生きたと言われる伝説の猛獣で、生涯たった一本しか生えない牙だけでこの世の王になったとされる。
八王の中でも「攻撃力」「破壊力」は随一と評され、その火力であらゆる攻撃を捕食し無効化出来るネオにダメージを与えるという快挙を成し遂げた。

本編開始の503年前、三虎が究極食材GODの調理で病身となったフローゼのために療水を手に入れるべく巣に潜入。
闖入者に怒ったデロウスは三虎を半死半生の目に合わせる。
弱った体で三虎を救うために料理を敢行したフローゼは厨房に立ちながら命を落とし、フローゼを救うための行いが完全に裏目に出てしまった三虎は心に深い傷を負い、闇へと傾いていく。
無論デロウスはただ野生の生物としてあるがままに振舞っただけだが、結果として美食會やジョアという巨悪をこの世に産み落とした一因となってしまった。

なおその祖先の牙は化石となって僅かながら地球上に残っており、後に小松の包丁の素材になった。
ちなみに包丁に加工された後でも破壊力は健在で、振るわれた瞬間射線上にあった山を容易く切り崩した。

◆技
  • 異次元レーザー
枝分かれした舌から発射する高出力ビーム。
その桁違いの威力は照準が外れて地球から飛び出した際は射線上に点在する惑星を破壊しながら突き進んでいく。


『エリア2』 狼王(ろうおう)ギネス  

捕獲レベル:6550
分類:哺乳獣類
体長:100m
最大:18m
体重:2万t

気候も生態系も何もかも全く異なる島々が数千数万と点在する大陸『エリア2』の支配者。
「大陸の王者」と謳われる誇り高き伝説の狼「バトルウルフ」の頂点に君臨する個体でもある。

バンビーナを除けば八王の中でも小型な部類であるが戦闘力は凄まじい。
一嗅ぎであらゆる情報を強奪する驚異的な嗅覚を有する。
加えて、数百キロを一瞬で移動する脚力を持ち、その脚力は前足による踏み付けだけで宇宙から視認可能なレベルまで地球の表面を波立たせ、大地を爆散させる程。
ちなみに、周囲の物体は踏み付けの余波だけで数万km先の彼方までぶっ飛ぶ。

また、他の八王による攻撃の爆心地にいても傷付かない。

戦闘時には躊躇なく配下のバトルウルフを招集し多数で1人の相手に攻撃を仕掛ける事も厭わない。
身体能力やバランスも整っており、群れを自在に率いる統率力も含めて、実戦的能力という点では八王随一の実力者。

◆技
  • 狼王の探索(ギネスサーチ)
一嗅ぎでターゲットの「分類」「性別」「年齢」「生息環境」「進化経路」「DNA情報」「食の好み」「グルメ細胞の悪魔」の情報まであらゆるデータを取り込む。
その対象は岩や水などの無機物などにも発揮され、対象は少しの間魂を奪われたかのように気絶する。
また、尿の臭いを通じて得た情報を仲間に共有することもできる


『エリア3』 烏王(うおう)エンペラークロウ   

捕獲レベル:6000
分類:鳥獣類
体長:3000m(3km)
体重:2500万t

美しい見た目と裏腹に「グルメ界一過酷な世界」とも呼ばれる雲の大陸『エリア3』の支配者。
「空の番長」の異名を持つ、羽ばたきで猛毒の竜巻を巻き起こす巨大な大鴉で、グルメ界の全制空権を握る存在。
その存在は空中においては半ば絶対的であり、飛行中のエンペラークロウには他の八王でも(同じく飛行能力を持つデロウスを含め)一切不干渉である。
故に天空においては最強と称され、烏王の意思に背く飛行は死を意味するとさえ言われるほど。

この烏王の影は「死の影」と呼ばれ、影の中に入ると思考能力を奪われ、そのまま粉微塵に砕けて死に至る
かといって影の無い背後や空中へと回避しようとも、口から生み出した疑似太陽の光により全方位に影を自在に生み出せるため安全地帯など皆無。
この能力は相当強力であり、実際あのネオでさえ一方的に無効化することはせず(というかできず)、烏王以上の光を放って影自体を消すという対応を選択したほど。
疑似太陽は火球として撃ち出し攻撃にも転用できる。

◆技
  • 烏王の影(エンペラーシャドウ)
口から擬似太陽を生成し、全方位に渡り「死の影」を発生させて思考能力を奪い取る。


『エリア4』 蛇王(じゃおう)マザースネーク  

捕獲レベル:6310
分類:爬虫獣類
体長:22万km
体高:2500m
体重:1.5京t

地球最大の大陸であり、グルメ界で最も美しい大陸『エリア4』の支配者。
「全ての蛇の母」と呼ばれる桃色の大蛇で、その体長は作中の地球1周分に相当する。
加えて長い体を生かして大気圏を独力で突破し宇宙の食材を捕食する飛び抜けたスケールの持ち主。

圧倒的な強さと長大極まる体長に加えて、光を超える速度で移動・捕食するため、その顔を見る事は困難を極める。
故に蛇王の姿を見る事は美食屋にとっては幸運の証などとされるが、蛇王と目が合った者は必ず食い殺されるため、実際は死刑宣告の証と呼ぶのが正しい。
体内には甘い極上の蜜を生む天国の如き美しい花畑が拡がっているが、その空間は胃袋であり、胃袋からは万物を分解し溶かす強力無比な胃酸が生成される。
尚この胃酸が花畑の蜜の正体である。
結果被捕食者は自分の命が消化されていく感覚を、苦痛を味わう事も無く幸福なままたっぷりゆっくりと味わえる。

また、舌をカメレオンのごとく伸ばして敵を攻撃するが、この舌も、他の八王の一斉攻撃の威力に傷付いていないので、体内の軟らかいはずである部分でこの防御力を持つことを考えると、鱗等の防御力も如何に凄まじいか想像できる。

また数千年前に鯨王ムーンと戦った際にできた、半永久的に持続する上に軌道も複雑怪奇すぎて予測不能な強大な竜巻の群れ「マザートルネード」が未だに猛威を振るうエリアも存在している。

アカシア戦において、八王の中で唯一死亡したと思われる。

◆技
  • 蛇王の消化牢(マザーズロック)
22万kmある体を球状になるよう高密度に絡ませ、万物を溶かす消化液を一箇所に集め最高濃度にまで濃縮、捕食した敵を確実に消化・消滅させる。


『エリア5』 鹿王(かおう)スカイディア  

捕獲レベル:6450
分類:哺乳獣類
体長:60000m(60km)
体高:10000m(10km)
体重:8兆t

捕獲レベル4000台の強獣たちがひしめき合うグルメ界随一の危険地帯『エリア5』の支配者。
蛇王と並んで八王の中では最大級のサイズの巨大鹿。
無数の脚を持ち、角と背中の上に捕獲レベル平均4000を越えるグルメ界屈指の猛獣の棲息地「強獣たちの巣」と呼ばれる広大な森を有する。

八王の中では最も温厚な性格なため、普段は戦闘は背中の住民もとい猛獣たちが代行している。
……が、怒れば温厚な性格は一転。
自分をキレさせた敵対者を「超絶圧縮され、尚且つ時の流れが逆転した」、1秒間で1000年の時が進行する特殊な「裏のチャンネル」を作り出して敵対者諸共周囲の生命を絶滅させる。
この空間に送り込まれれば最後、数秒で数億年経過したかのような状態になり朽ち果て消滅していく。
これに適応するのは億年単位の絶食状態を耐え続けるのと同義
食没とか燃費とかそういう次元の話じゃない。
仮に鹿王の空間に適応出来た者がいれば、ダメ押しとばかりに捕獲レベル4000~5000クラスの猛獣を時間の影響を受けないように細工した上で送り込んでくる。
地球最強クラスの猛獣たちは鹿王の意に従い、空間内の敵に襲い掛かるのだ。
なおこの空間、予備動作とか何も起こさず発動できるため、相手からしてみれば完全な初見殺しに等しい。

また、目から雷撃のような攻撃を発し、上記の(死体蹴りにも等しい)執拗な猛攻の末に敵の死を確認しても空間を解除するどころか更に時間を加速させるなど慢心も皆無、(敵対者から見れば)八王中最悪の存在と言える。
実際、背中に住む強獣たちが率先して戦うのは鹿王のためではなく鹿王を怒らせない(本気で戦闘させない)ためと明言されているほど。

劇中でもラスボス・アカシアに明確な命の危険を感じさせるなど、八王の中では非常に奮闘した王といえるかもしれない。


『エリア6』 鯨王(げいおう)ムーン  

捕獲レベル:6600
分類:哺乳獣類
全長:10km
体高:2.5km
体重:1.5兆t

面積の大半が海で占められた海の大陸『エリア6』の支配者。
八王中最高の捕獲レベルを有しており、「八王最強」と謳われる巨大鯨。
種族名「ブラックホールホエール」
超重量級の体躯を持ち、見た目も顔や口などが全く分からず、ただに魚のひれや尾びれが生えただけようなインパクト抜群の外見。
ただしこの月面みたいな体表は外殻に過ぎず、中身は正統派なシロナガスクジラっぽい見た目。
目と胸ヒレまたは足ヒレが4つずつある。

捕食時には巨大な口を展開し、発生する超重力によってブラックホールのようにあらゆる物質や光さえも豪快に吸い込んで捕食する。
腹は「時間」「空間」「重力」などの概念が無く、宇宙のような真っ暗闇の世界がどこまでも広がる「魂の世界」に繋がっており、鯨王の食べた食材は霊食となって「魂の世界」に放出される。

エリア6に棲む「七獣」と呼ばれる捕獲レベル4000代後半の「王」の名を冠する7匹の猛獣たちが総出になり、ようやく生態系のバランスが取れるという海の絶対的覇者。
因みに彼らが抵抗できる理由は「裏のチャンネル」への接続能力を持つからであり、それはすなわち「裏のチャンネル」への接続が出来なければ鯨王に抵抗すらできず喰われることを意味する。
事実エリア6に飛来したネオの破片は、海に着水した瞬間鯨王に喰われ死亡している。

現状鯨王の捕食から完全に逃れられると明言されたのは光速を超えて泳げる魚宝アナザのみ。
すなわち「裏のチャンネル」を使えるだけではなく、それに加えて光を超えた速さで動けなければ鯨王の捕食を回避できない。
加えて、この巨大な身体でフルブリーチングも可能。

また、口からは重力なのか食欲なのか他の部類なのかは不明だが、エネルギーの砲弾を発射できる。


『エリア7』 猿王(えんおう)バンビーナ  

捕獲レベル:6000
分類:哺乳王類
身長:1.5m
体重:体重25t

切り立った山々が面積の7割を占め、地球で第二位の広さを誇る山の大陸『エリア7』の支配者。
「八王一のヤンチャ者」「八王の問題児」等の異名を持つ大きな金玉と尻が特徴の猿。
種族名「キンタマントヒヒ」
体長が人間サイズと巨大生物揃いの八王の中では圧倒的に小さいが、それでも八王の名に恥じぬ規格外の戦闘力を誇る。
ヤンチャ者らしく遊び好きなのだが、猿王にとっての遊びは他生物からしてみれば理不尽且つ一方的な処刑にしか見えない。
詳しくは個別項目を参照。


『エリア8』 馬王(ばおう)ヘラクレス  

捕獲レベル:6200
分類:幻獣類
体長:3万m
体高:2.2万m
体重:体重2兆t

「隕石の雨」「レーザーの雨」「劇毒の雨」など、多種多様の雨が降る雨の大陸『エリア8』の支配者。
キリンの様な模様を持つ不死の馬「幻獣ヘラク」の中でも最強の個体がこう呼ばれる。
体長3万メートル、体高2.2万メートルという巨体を持つ。
大気のみを食う大気食で生きる生物であるが、一呼吸すれば一ヶ月は無呼吸状態で全力戦闘を行うことができたり、地球を何百周も走り回ったり、そもそも何もしなければ1年は無呼吸のまま生きることが可能
加えて呼吸そのものが必殺の武器として機能している。

また「幻獣ヘラク」の種族は、肉体が真っ二つにされてもオリジナルと全く同じサイズの2体に分裂する特性を持つ不死身の種族でもあるため、ネオなどの規格外の怪物が相手でもない限り、そもそも殺害自体が不可能に等しい。

なお性別は雌。
劇中での彼女の戦闘は、妊娠して出産間近な身重の状態だったり、出産後体力等を消耗した状態だったりと、劇中での戦いは全てベストコンディションではなかった可能性もある。

◆技
  • 絶滅の呼吸(デストロイブリーズ)
周囲一帯を一瞬で無酸素状態に変える鼻呼吸

  • 馬王の息(ヘラクブレス)
周囲の土地を消し飛ばしたり、グルメ細胞により巨大化した地球を比喩抜きで貫通する鼻息


【余談】

ネオとの最終決戦の後、ネオに敗北したことを機に八王全員が引退に追い込まれることとなり、グルメ界は新たな八王の座を巡って群雄割拠の戦国時代を迎えることとなった。
尚テリーやキッスやクインはトリコ達の元を離れ、群れに戻って八王の後継者争いに参戦したという。
他にも人間界の猛獣たちも参戦しており、候補に名を連ねているのがなんとあの読者から散々ネタ扱いされたトロルコング、デビル大蛇、リーガルマンモス
トリコ曰く「あいつらも立派に強くなった」と感心していた。



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最終更新:2024年02月15日 13:06