SCP-073

登録日:2016/11/20 Sun 16:18:51
更新日:2024/02/23 Fri 00:31:23
所要時間:約 3 分で読めます





どれだけ知識を重ねても、罪の記憶は消えぬまま。



SCP-073はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
項目名は『”Cain”』で日本語訳も『”カイン”』。
オブジェクトクラスはEuclid。


概要

ニューヨーク市警に拘束された後、財団が保護したSCP-073は、アラビアか中東あたりの日焼けした30代の男性。身長は185cmで体重75kg。黒髪で青い瞳のアラブ系のおっさん。

自身の名を『カイン』と語る彼は礼儀正しく親身で協力的。
映像記憶が得意で、1分半辞書を眺めるだけで800ページすべての内容を記録し、機械的ではあるが遥か昔に滅んだ言語も含めて多くの言語を操る。
額には職員には読めないシュメール語でなんか呪文みたいなのが書いてあるが、読めないというより読みたくないのかもしれない本人は問われると苦しみ出す。


さて、この記憶力の高いおっさんの異常特性はだいたい3つ。

  • 両腕、両足、脊柱、両肩甲骨が未知の金属
入れ替わってしまっていることには気付いているが、いつどうして入れ替わったか具体的な日付は覚えていないようだ。

  • すべての損害・ダメージを跳ね返す。
ニューヨークを歩いていた時に襲ったギャングが、逆に死んでしまった原因。
傷はつかないものの本人は「痛いことは痛い」らしく、なるべくやめてくれとお願いしている。
血液サンプルを採取しようとしただけでも周囲にまで注射針の感覚が伝わる事例があるため、現在は調査が進んでいない。

  • 20m範囲内の植物性のものを腐食させる。
サラダもパンも腐るので飯は基本肉。歩けばぺんぺん草も生えない(物理)し、腐る植物性のSCPには当然近づけない。
ちなみに報告書では「土で成長するすべての生命に損害を与える」とあるので、もしかしたらミミズとか微生物もアウトなのかもしれない。

この特性で何が起きるかわからないので現在は外出は禁じられているが、なんとバックアップ目的で全てのSCiPの報告書を読まされているので財団施設内も自由に動きまわることもできる。

無論「SCiP*1自身に機密情報全部教えるな」という反対意見もあったようだが、本人はちゃんと機密は守ると宣言している。

他のSCPとの関わり

さて、SCP-073はかなり古参のオブジェクトであるため、割と他のSCPとも関わりはある。

SCP-458 - The Never-Ending Pizza Box (はてしないピザボックス)

SCP-073の好きな味を調査するために行った実験。

ただし一度目は特性が特性だけに腐って失敗。そのため二度目は
取り出したものをすぐにSCP-073に食わせるという強引な手法で食わせた。
SCP-073いわく、「こういったものを食べるのは初めてだ」とのこと。
出てきたのは「ミディアムサイズ、フェタチーズとジャックチーズ、ソース無し、薄い生地」のピザなのだが、
もともとアメリカにすんでたのにピザが食えないって可哀想でしょ…。

ちなみにこの実験を他に試された奴がいるのだが…

SCP-014-JP-J - 『奈落の悪鬼、黒き翼の堕天使アイスヴァイン』

O5評議会のひとりのミスによって、厨二病患者の14歳の女の子に、こいつともうひとりの報告書がアクセスされてしまった事件が発生。
その報告書を読んだ彼女は『F██eのパクリじゃないんですかこれ?』と平然と言ってのけた。
まあカインだからね…

なおこの時もうひとりもセットにされたのだが…

SCP-2932 -Titania's Prison(ティターニアの檻)

人間の前に繁栄を極めた支配種が別種族のおじいさんに命じて作らせた植物性の檻。
この檻に拘束されているKeter級をわざわざ取り出す理由もないので財団含めた人間に協力的なおじいさんと協力して出さないように頑張っている。

まあSCP-073は近づけないと思われるが、この囚人のデータからそもそも近づけた場合は拘束される可能性かもしれない。


囚人名: Adam El Asem
拘禁設備: 活動中
投獄日: 4301廻7月3夜
刑期: 無限廻

SCP-2932-Aの注記: こ奴は太陽の子じゃが、太陽の子らは彼を夜闇の子らと同じほどに忌み嫌っておった。Adam El Asemは一目見るだけで物を創り出し、彼が触れれば山は動き、川は枯れ果てた。彼の心には偉大で恐るべき何かが棲んどった。子らは時をおかずに彼を石に縛り付け、ティターニアに与えたのじゃ。彼のように東より来る危険な太陽の子は他にもおったが、そ奴らはここにはおらん。ここには、その歩みが荒廃を齎す者のために1つ、別の者のためにもう1つの予備の独房が準備されとる。儂はこれらが埋まるとは思っとらぬよ。

ティターニアの檻の1つはSCP-073こと「カイン」の独房だろう。
しかし囚人名は「アダム」。「その歩みが荒廃を齎す者のために1つ、別の者のためにもう1つの予備の独房」………。

ティターニアの檻を用意されているもうひとりは…………。

起きるとバーサーカー。ピザボックスを開けばお肉だらけ。豚の塩漬け肉ちゃんにはふたりまとめてFateのパクリ扱いされ。

SCP-076に関する情報を"バックアップ"するためSCP-073に持って行くと、その情報を熟知していることを示し、すでにSCP-076については全て知っているのと述べたものの、新たな情報の追加に抵抗感を見せました。そして関係するすべての人々にとって、自分がSCP-076に会わないほうが良いだろうと言いました。

SCP-076、アベル。


聖書曰く、

アダムの息子。
戦術や冶金などの殺しに関係する知識を有し、「牧畜」についても詳しいアベルは産まれたばかりの羊の子を、カインは取れたばかりの収穫物をヤハウェに献上した。

ヤハウェはアベルのそれには大層喜んだ一方、自身には目もくれなかったカインは嫉妬し、アベルをぶち殺す。
そのことで耕作をしても収穫できないようにされてしまったカインは遠くの地に追われた。
そして追放先で殺されることを恐れたカインのために、頭に殺されないための刻印を刻み、彼を傷つけたものには7倍の復讐があるとされる。

その後は聖書通りとは行かなかったのではないか。

アベルは天に向かってカインの罪を咎めるのではなく、幾度も復活してはカインの子孫を殺して回る。
カインは前の支配種に忌み嫌われ*2、あてつけのように弟の残した成果物しか食えない。

本当なのかどうかはカインに聞いてみないとわからないが、この報告書もまた読んだであろうSCP-073がコメントをしている様子はないのであまり話したくないのだろう。




カインが人に優しいのは、自分の咎を自覚しているからなのか、そこにいる人たちが自分の子孫だからなのか。






研究者は冷ややかに笑い、二番目の煙草に火をつけた。
「スケジュールに圧し潰される前に、俺らはもうちょっと共有できたんじゃないかね、チーフ」

「アメリカのすべてのホテルに『取り扱い手順』のコピーを1冊、では不十分だったかな?」

「いくらかは翻訳する中で失われただろうな」



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最終更新:2024年02月23日 00:31

*1 財団世界での「SCPオブジェクト」の呼称。外宇宙(我々の世界)では「オブジェクト」それ自体をさして「SCP(複数形:SCPs)」と呼ぶが、財団世界では「SCP」はオブジェクトを指すことはない。

*2 詳動物と植物を使った高度な文明を築いており、SCP-073の特性によってぶち壊しにされる危険性がある