マクギリス・ファリド

登録日:2016/04/10 Sun 19:23:03
更新日:2024/02/23 Fri 11:05:36
所要時間:約 36 分で読めます


タグ一覧
※日曜夕方17時です。 こいつおまわりさんです だいたいこいつのせい アグニカ・カイエル ガンダム ガンダムライバルキャラ ガンダム・バエル ガンダム仮面キャラ ギャラルホルン グリムゲルデ グレイズ・リッター コメント欄ログ化項目 シュヴァルベ・グレイズ セブンスターズ チョコの人 チョコレート チョコレートの人 チョコレート仮面 ハーメルンの笛吹き男 ファリド公 ファリド家当主 フェンリル マクギリス・ファリド マクギリス・ファリド事件 マスク・ド・ショコラ マッキー モンターク ロリコン 仮面 仮面の人 仮面の男 准将 力こそパワー 努力の人 地球外縁軌道統制統合艦隊 地球本部監査局 大人になれない子供 妾の子 孤児 当主 所要時間30分以上の項目 時代の徒花 時代の敗北者 暴力 櫻井孝宏 特務三佐 男娼 翠眼 胡散臭い 腹黒 藤原夏海 裏切りス 軍人 逆賊 金髪 鉄血のオルフェンズ 阿頼耶識システム 非処女 養子 鬼畜 (((何事も暴力で解決するのが一番だ)))




それでも一度手にした力は手放し難いものなのさ。人類というものは
たとえそれが、自らを滅ぼす力であったとしても



その男は様々な名を持つ。チョコの人、マッキー、モンターク……。

マクギリス・ファリドは、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の登場人物。
自らの怒りに殉じ、理想の為に全てを捨て去る覚悟を決めた「鉄血のオルフェン」である。


担当声優櫻井孝宏(幼少期は藤原夏海)。


人物

武力組織ギャラルホルン・地球本部監査局に所属する青年軍人。階級は特務三佐。
ギャラルホルンを管理運営する一族「セブンスターズ」の1つであるファリド家の1人で、同じセブンスターズのボードウィン家への嫁婿候補。
年齢は20代前半~半ばといったところか。金髪の髪が映える美男子で、前髪をもてあそぶというどこかのザビ家末弟みたいな癖がある。
エレガント総帥っぽい高貴さ、乙女座の男っぽい詩的さ、赤い革命家崩れっぽい理想、パイナップル頭の武人っぽい的確な分析力を兼ね備えた、歴代ガンダムライバルキャラのカッコいいところを集約させたようなイケメン

作中ではファリド家の「妾の子」という出自ながら高潔かつ有能な軍人として登場。
事務仕事は「部下達が死にそうな顔をしている」と言われるほどに迅速かつ精密、社交辞令も完璧で女性からの人気も高い。
更にはギャラルホルン関係者にありがちな地球外出身者への差別思想も見られない。
親友のガエリオやカルタとはにこやかに語らい、失意の中にある彼らを励まし助言を送ることもある。
特にボードウィン家との関係は深く、親同士の政略目的の盟約によるものとはいえ、ガエリオの妹アルミリア(9歳)とは婚約関係にある。
当人同士の仲は良く、アルミリアはマクギリスを純粋に慕い、マクギリスも彼女には敬意と礼節を持って接している。

後述するが出自が出自と言うこともあってか、現在のギャラルホルンの腐敗には嫌悪感を抱いており、同じ理想を持つガエリオと共に改革を成そうと検討している。
そんなある日、マクギリスは監査部の一員として、火星支部の監査のために現地へ赴く。
そこで、火星独立の第一歩として地球での交渉に向かおうとするクーデリア・藍那・バーンスタインの存在を知ったことで、作中における彼の物語が始まる。
マクギリスは彼女をギャラルホルン現体制の転覆材料として利用するべく、ガエリオと共にその身柄を確保しようとする。


一方、ネタ的にもいろいろおいしいところが多い。
最も視聴者から言いがかりをつけられているのがロリコン疑惑。
まず9歳のアルミリアとの婚約と、彼女への態度もさることながら、火星で危うく轢殺しかけた双子の姉妹に即座にラッピングされたチョコ菓子の詰め合わせを差し出して詫びるところがそう思わせるのだろう。
オマージュ元っぽい赤い大佐の影響も多分にあると思われる。
更に面白いニックネームもいくつか持っている。
チョコ菓子の件を覚えていた三日月からは「チョコレートの人」というそのまんまな形容をされ、アルミリアからは「マッキー」と油性マジック呼ばわりされる呼ばれる。
話が進むごとに唐突に出てくるこれらのニックネームは、視聴者の腹筋を小気味よく刺激した。
また、中盤以降は更なるネタ要素を獲得することになる。それは補足の欄にて。

過去と生い立ち


マクギリスはファリド家の現当主、イズナリオの“妾の子”として知られているが、どうやらこれは体面を保つための方便であり、実はファリド家の血を引いていない。
母親とは死別したのか、それとも引き離され二度と会えなくなったか、あるいは彼をおいて蒸発したのかはわかっていない。
少なくとも、幼少のころにはすでに身寄りがなく浮浪生活であり、その日の食事を得るためには強盗殺人すら厭わぬ日々を過ごした後、少年娼として娼館に入っており、その後金髪少年を主食とする変態であるファリド家当主のイズナリオが他の似たような少年達と一緒に夜の玩具用に屋敷に入れた。
当時はぶっきらぼうな少年で、同じ男娼の少年たちと諍いを起こすこともあった。
イズナリオが「絶望の中から救い上げてやった」、友人が「バッチい」「字もすぐ読めるようになった」「パンを食べるのも早い」と評するあたり、まともな教育は受けられず、餓えていたことがよくわかる。

その後彼の才覚を見抜いたイズナリオは彼を跡取りにすることを決め、結果ファリド家の「養子」として一族の列席に加わりそれまでの恵まれない人生をリセットしたかに見えた。
成長するにつれ、明晰な頭脳と高い身体能力を発揮し、すぐに読み書きを覚え、貴族らしい立ち振る舞いを学んでいく。実は努力の人なのだ。

しかし、周囲には「妾の子」の体を装ったため、色眼鏡で見られることになる。さらに形の上で養子になってもイズナリオの夜の相手をさせられ、自身に性的虐待をする男を「父」と呼ばねばならないことになり、心の傷は深まっても癒されることがなかった。
この頃ガエリオ・ボードウィンやカルタ・イシューと友人となるが、いくら彼らが友人として分け隔てなく接したつもりでも、食べることにすら不自由する経験などない生まれの恵まれた彼らとは感覚の違いは拭い去れなかった。
(当時幼かったガエリオやカルタにその配慮をしろというのも無理な話ではある。「パンを食べるのも早い」という飢えを知らない幼いガエリオの発言も、ある意味では温室育ちだからこそ裏表なく贈った称賛の言葉とも言える)

マクギリスのような飢えと隣り合わせである子供たちの存在を知らず、イズナリオによる性的虐待にも気づいてないガエリオやカルタはマクギリスにとって無知な支配階級であり唾棄すべき対象の一つであったとも言えるが、そんな彼らが利害関係なく自分のそばにいてくれるということはマクギリスにとって己がもつ世界への憎しみを忘れかけてしまうほど幸せな時間であったことも事実である。

ただ残念なことに、マクギリスは幸せというものを理解する環境で育っておらず、彼の周囲にはまともな大人がいなかった。*1
男娼として扱った業者、性的虐待者であった養父、露骨に差別をする執事、彼にとって大人とは侮蔑すべき存在としか映らなかった。
カルタからの愛情やガエリオからの友情も周囲からの愛を受け幸せを知ってこそのものであり、親身にはなれても家族に代わるものではなかった。このことが後々の彼ら3人の人生に大きく影響を与えることになる。

そんな日々の中、彼が特に心を惹かれていたのはギャラルホルンの生みの親である英雄・アグニカ・カイエルの伝記であり、伝説の中にあるその「力」への憧憬を醸成させていった。
そしてラスタル・エリオンとも当時邂逅しており、彼にいずれ政敵になる存在であることを密かに予見されていた。

結果、形の上では上流階級の装いで誰にでも紳士的に振舞い一見思慮深く理知的に見えているのに、根本では誰にも心を許さず力に固執。
成人後も当然養父イズナリオとの関係は「できれば会いたくない」と漏らすくらいには悪く、「内心の憎しみを抑えつつファリド家の権力を利用する」という不健全な状態となった。
幼少期から溜め込んでいたルサンチマンも清算されず、むしろその恨みも己の原動力とすら解釈して手放さない厄介な人格が出来上がってしまい、1期後半以降はその歪みが周囲を巻き込んでいくことが顕著になってしまう。


心から親として慕える存在がいないマクギリスもまた、三日月・オーガスやオルガ・イツカと同じ孤児(オルフェン)なのである。


人間関係

●イズナリオ・ファリド
「此度の火星遠征、大義であった」「はっ
前述の通り不仲な「義父」。小児性愛者に拾われて体を求められ、おまけに政略結婚に利用されるとあっては堪ったものではないだろう。
現に火星からの帰還を報告するシーンでは完全に目が死んでいる。
一介の浮浪者からとりたててくれた恩人と言えばそうだが、それを帳消しにするくらい嫌な思い出も多かった模様で回想ではプレイで負傷させられていたことも示唆されている。
第一クールオープニングでは、マクギリスが抜いた短剣に義父の顔が映り込むカットがある。不吉だ。

また、彼がアーヴラウのアンリ・フリュウ議員と車内で密談する場面では、上等な服を着た謎の金髪の男の子が同乗している。
ファリド家の跡継ぎ候補の1人か、それとも正統なる跡継ぎなのだろうか?
……と思われていたが、第2期での描写から察するに成長したマクギリスの代わりとして選ばれた“愛人”かもしれない。

ガエリオ・ボードウィン
「親同士が決めたとはいえ、許婚が9つとは。全く、苦労をかけるな」「構わない。親友の妹だ
「無理するなよ?」「無理なんてしてないさ。お兄様」「なっ!?」
幼少期からの親友。ガエリオ自身が人当たりの良い性格だったこともあって関係は良好。
しかし後述するようにその道は大きく分かれることになる。
皮肉にも心からマクギリスを尊敬し憧れ超えたいと感じていた友情こそがマクギリスの本当の姿を受け止められない原因となってしまっていた。

●アルミリア・ボードウィン
アルミリア。あなたを笑う者がいたら私が許さない。貴女はここにいる誰よりも、素敵なレディだ
前述の通り、彼女には一定の敬意を持って接している。
だがどうしても視聴者からは「ロリコン」だの「源氏物語」だのと言われる。しかしながら彼は歴とした紳士である。
マクギリス・ファリド事件から数年後もその衝撃から立ち直れず思春期真っ盛りの状態にあるらしい。

●カルタ・イシュー
「あのぅ! 金髪の! 高慢ちきな、地位のために小便臭い子供なんぞと婚約した、いっつも前髪イジイジしている男のことよ!!」
カルタはマクギリスに好意を抱いている。周囲からはバレバレで、マクギリス自身も気づいているが、彼にとってはあくまでも友人の1人でしかなかった。

●トド・ミルコネン
「へっ。俺は旦那の――右腕だ」
鉄華団を裏切り、放逐されたちょび髭。ひょんなことから彼を助け、そのまま彼の薄汚いコネクションに目をつけ、表だって動くことができない自分の代理としてクーデリア確保の手回しをさせるようになる。
当のトドはCGS時代から遥かによくなった待遇に満足しているようで、すっかり「旦那の右腕」として収まっている。マクギリスが唐突に過去を語り始めた際にはめちゃくちゃ胡散臭い目を向けていたが。
モンターク商会の人間として鉄華団を訪れる際は団員を少々小馬鹿にしつつも過去の遺恨はあまりないどころか、巡り巡って羽振りのよくなった現状に喜んでいる様子。過去のトドを知らない新規の団員たちからはお菓子をくれる気前のいいおじさん扱いされ満更でもないらしい。

意外にもマクギリスが社会的に失脚した後も彼のためにシャトルを手配するなどマクギリスを最後まで見捨てなかった一人。マクギリスと最後に交わした会話でも侮蔑や嘲弄はせず、割と真剣に逃走して再起を図るべきという選択肢を示唆するなど、それなりに親身になって対応していた。
皮肉にもマクギリスがその生涯の終盤で出会った比較的まともな大人こそがトドであった。
本編終了後のガンダムエースにおける製作側へのインタビューによると、モンターク商会を引き継いで管理しているとのこと。

●クーデリア・藍那・バーンスタイン
革命の乙女たるその身を…大切にし給え。君は、人々の希望になれる……
一応の確保対象。しかし中盤以降はあえて泳がせるようになる。

三日月・オーガス
見事な動きだったな。何かトレーニングを?」「…まぁ、色々」「そうか。―――良い戦士になるな…
宿敵……ではあるものの、彼ら鉄華団のポテンシャルは高く評価しており、クーデリアの護衛役として期待している。



搭乗機とスキル

第1期序盤は青いシュヴァルベ・グレイズに搭乗。しかし出番がたった1話しかない(後に部下の石動・カミーチェに譲っている)。
プラモはプレミアムバンダイでの限定発売になったガエリオ機がその後も活躍したので「一般販売とプレバンを入れ替えろ」という嘆きの声が上がった。
後半ではどこからか持ち出してきたグリムゲルデに搭乗。
第2期で地球外縁軌道統制統合艦隊の司令に就任してからは、青いグレイズ・リッターをナイトブレード二刀流で使用する。

パイロットとしてはおそらく作中最強の実力者。射撃・格闘戦の双方を阿頼耶識システムを用いる三日月達に匹敵するレベルでこなしている。
特にピンポイント攻撃能力がおぞましいほどに優れている。「射撃はとりあえず当てて怯ませ、格闘はとりあえず当てて粉砕」の戦い方が基本の鉄血世界だが、マクギリスは、
  • ナノラミネートが剥がれている小さなスラスターを狙撃
  • 戦闘機動中の敵機に対し、スラスター接続部に初弾命中
  • 関節部のみを次々切断
  • 剣先を掠らせてコックピットを破壊
  • 敵機の肘関節をマニュピレータで殴って破壊し、武器を奪い取って反撃
と、最早人外かと言わんばかり。
そしてその要因となるのはずば抜けた観察力と戦況分析力。
些細なことも見逃さず、実戦で初見の阿頼耶識システムの弱点を即座に見切っている(流石に観察の余裕がないほどのシチュエーションでは押されるが)。





人物像と人間関係についての補足

※以後、どっぷりネタバレが入ります※



+ そもそもの話
マクギリスはバエルを入手した後と前とでまるで別人の様な行動をとっているという指摘が散々なされているが、彼のバエルを入手するより以前の行動とは、本当に策士らしい動きと言えるものなのだろうか。

竹馬の友を裏切り、己に思いを寄せる女性を裏切り、友の家族をも利用し尽くし、そして組織のタブーに触れて暗躍し、大勢の人間を巻き込んでいくその行動は、
確かに一見すればまるで冷徹で情に流されず、己の目的達成だけを求めそのために役に立つかどうかの合理性のみを追求する策士であるかのように映るものなのかもしれない。
だが彼がその行動で手に入れたものは切り捨てたものに比べて、感情的・感傷的な部分を度外視しても、価値があると言えるものなのだろうか?


ガエリオとカルタは、セブンスターズのボードウィン家、そしてイシュー家の次期当主である。しかもイシュー家はセブンスターズの第一席。名目上のトップである。そしてこの二人は共にマクギリスに心を許し、ともすれば心服しているとさえ言っていいほどの信頼を寄せていた。
彼ら二人との関係を維持してさえいれば、やがてはセブンスターズの七分の三、ギャラルホルンの最高権力の実に半分近くの権限がマクギリスの掌中に収まっていたのは間違いない。

しかもエリオン家の当主であるラスタルは本編で最終的にギャラルホルンの改革を執り行ったことから分かるように、決して保守的なだけの人間ではない。マクギリスが改革の象徴として相応しいと判断すれば、邪魔するどころか積極的に援護してくれた可能性さえ在る。
少なくともラスタルが表立ってマクギリスを政敵と認定したのはマクギリスがアリアンロッドの縄張りを犯し始めた辺りからのことでしかない。ずっと前にマクギリスがバエル=ギャラルホルンの権威の象徴を求めていると知っていたにも関わらず、である。
そしてクジャン家の当主であるイオクはラスタルに追従している。
つまり、うまく運べば七分の三どころか七分の五、半分以上までをも手にすることさえ出来たかもしれないのだ。


要は、マクギリスという男は、あと十年かそこらの時間さえあれば、バエル等という抜け道は無用のまま、合法的にギャラルホルンを独裁できる立場にあったかもしれない男なのである。
彼には最初から、否、最初のうちだけは、政敵(ライバル)らしい政敵(ライバル)なぞ全くいなかったのだ。

マクギリスが真にギャラルホルン内で何かしらの目的を達成したければ、バエル等という旧時代の遺物に拘泥する意味は全くない。そんなものは無視して、ただ待っていれば良かったのだ。ラスタルの言葉は、このことを指してのものなのかもしれない。

しかも一期に於ける彼の策謀、つまりはギャラルホルンの権威失墜のための仕上げであるグレイズ・アインの暴走とて、マクギリスがそう仕向けたというよりは偶然の産物という趣が強い。
アインは作戦の途中、突如クランクからクーデリア確保の任務を命令されていたと錯覚して市街地に突入したが、それ以前にマクギリスがクーデリアのことやクランクのことをアインに対して暗示したりする様な描写は本編中には全くないのだ。
そして仮に見えない部分でそういったことが行われていたとしても(あるいは暴走すると見越していたとしても)、当時のアインの精神状態は不安定の極みであり、市街地への突入が実際に起こるかどうかは結局運頼みでしかない。

しかもこれが上手くいっても引き起こされるのは彼が掌中に収めたいと思っていた組織であるギャラルホルンそのものの権威の失墜である。
おまけにそれを起こしたのが阿頼耶識システムを導入した機体であったなどということが知れれば、インプラント技術とその被施術者への差別意識を更に助長し、阿頼耶識を使っているバエルまでもが権威や支持を失ったかもしれない*2
こんなことをする位なら、ドルトコロニーの一件を徹底的に調査し、ラスタルが協力してくれなかったときのための保険として握っていたほうが遥かに安全かつ効率的、何より人道的だったろう。

そしてここまでして手に入れられたものは何かといえば、遅かれ早かれ手に入っていたファリド家の当主の座と、ガエリオを殺さなくても手に入っていたアルミリア・ボードウィンの婚約者にしてガルス・ボードウィンの義理の息子という地位と、カルタを生かしたままアドバイスという名の示唆を行っていれば実権を握れていたであろう地球外縁軌道統制統合艦隊。
他方、背負うハメになったのは、反社会的勢力と繋がりを持ち、それらを利用することでセブンスターズのうち二人をも謀殺したという事実と、自分の黒歴史を知り抜いている養父と親友の恨み。
そもそも、多少のリスクを冒してでも最優先で抹殺すべき相手であるはずの養父イズナリオを政治的に失脚させたのみで、命までは取れていない。
これで合理的等という方が無理があるだろう。明らかに得られるメリットと背負うデメリットの釣り合いが取れていない。

彼が度々口にしてきた”腐敗の一掃”もどこまで本気だったのか分かったものではない。劇中ではギャラルホルンを正しい方向に導くだとか変えるだとか或いは思想や出自に囚われないといった如何にもな言葉を度々呟きこそすれ、そこに具体的なビジョンなど何一つ示されてはいなかったのだ。
石動・カミーチェの様な被差別階級に在った人間を部下に持つことさえ、アイン・ダルトンやジュリエッタ・ジュリスの存在が示すように、別段マクギリス独自の試みという訳ではない。

更に言えば、鉄血のオルフェンズの劇中に於いて随一の政治的影響力を持った人間にしてギャラルホルン外に於いては革新派の筆頭とでも言うべき人物、即ちクーデリア・藍那・バーンスタインに対しては、鉄華団が絡まない場所ではほとんど不干渉だったこともある。

確かにドルトコロニー内で警告を行ったり、地球降下の手助けを行ったりはしたが、いずれも正体を隠してのものであり、彼女に対して正体を明かすことやそれによって貸しを作り利用するようなことは最後までなかった。
ギャラルホルン火星支部の権限委譲、つまり火星の王になるという話についても、前々から火星独立運動に携わっていたクーデリアを差し置いてオルガに直接持ちかけたものである。

ギャラルホルンを掌握するのなら、蹶起後の支配体制構築を円滑に進めるためにも、民衆からの支持を集めるクーデリアに協力してもらえる様にしておくべきだったろうに、彼は寧ろその護衛役にして暴力装置(あるいは軍事力=権力基盤)である鉄華団の方にばかり目を掛けていた。
クーデリアへの忠告や支援さえ、彼女が死ぬことで鉄華団が行動方針を見失うことを憂いてのものだったかもしれない。

端的に言って、誰よりも利用価値がある上に、口にしていたマニフェストからすると同志だとさえ言えるはずのクーデリアを、鉄華団を通せば簡単にコンタクトが取れるという立ち位置だったにも関わらず終始無視していたのだ。
これは、マクギリスが自分と同じ「孤児(オルフェンズ)」である鉄華団の方に大きく感情移入や同族意識を持っていたのに対し、恵まれた環境に生まれ貧困層の実情への理解力に乏しかったクーデリアのことは、
利用価値は認めつつも本心では「恵まれない者達の苦しみを理解出来ず綺麗事しか言えない理想主義者」と偏見を抱き忌み嫌っていた可能性も否定出来ず、物語が進んでいくにつれ、クーデリアの事は「鉄華団を自分に都合の良い形で動かしていく為だけに生かしておいている駒」という認識が強くなっていったのかもしれない。

ガエリオやカルタ、アイン等に行った仕打ちを省みても、もし「オルガが火星の王になるという自らの目論見が実現する」か、あるいは「オルガよりもクーデリアの方が火星の王になる事を支持する人間達が多かった」としたら、
マクギリスはクーデリアを「鉄華団を動かす為の駒」から「用済みの存在(もしくは邪魔者)」と認識を切り替えて、暗殺するか事故死に見せかけて排除するかの手段にまで及んだ可能性も否定出来ない。

マクギリスは、ガエリオとの戦闘中の自身の独白、あるいは後にガエリオに指摘されたように、「友情」「愛情」「信頼」といった"尊い感情"があることを理解できない人間だった。
セブンスターズのような特権階級に生まれ育った人間に対してはたとえガエリオやカルタのように無償の想いから自分に接してくれる人間であっても「もし敵対すれば大きな脅威となる」という一点しか考えられず排除に走り、
一方で自身と似た境遇を持つ鉄華団に対してはその力と生き様だけに魅入られて過度に期待を寄せ関係を深め、最終的に致命的な勇み足の遠因となった。
「生まれや所属に関係ない実力主義の世界を作る」という理想を持ちつつも、その行動は誰よりも"出自"という枷に囚われ続けたことが、彼の運命を決定付けたと言うこともできるだろう。

彼は果たして、バエルを手に入れたから別人のようになったのだろうか? それとも元々バエルを手に入れた後に明白になったような性質だったのが、それまでは最終目標とそれを達成する具体的な手段の不透明さ、言い換えるなら想像の余地の大きさから周囲が"こんなことをするからには何かそれに相応しい遠大な目標があるはずだ"と勝手に想像を膨らませ、まるで大人物であるかのような錯覚を勝手に抱いていただけなのではないだろうか?
そういった想像を掻き立て自分を実態以上の偉大な人物に見せかけるというのは誰にでも出来ることではなく、ある種のカリスマ性とも言える才能だっただろうが、マクギリスはその活用法を完全に誤ったのだろう。



……まあガンダムシリーズでは、彼のような「能力もカリスマもあるのに、歪な性格ひとつ、余計なこだわり一つで台無しにしてしまう『大物』」や、「客観的に見ればどう見ても考えなしの奇行なのに、作中世界では優れた指導であるかのようにみられている『大物』」「改革の理論は大仰にぶちまけるが実現性に乏しい『大物』」はいくらでもいるのだが
(一例をあげるならジオン・ダイクン。アニメ本編では出ないが、小説版ではギレン・ザビらの口から「凄いカリスマと雄弁を持ち、彼が紡ぐ理想像は誰もが魅了された。かくいう自分ギレンも心から彼を尊敬した。しかし長く付き合ううち、理想論を語ることはできるが実際にはアジテーター止まり、中身のない人間だということが分かってきた」と語られている。そして宇宙世紀のガンダムシリーズではそんな人物が「唯一最大の理想家」扱いである)
ネタキャラ扱いされる「正体を全く隠していないうえに悪目立ちする仮面」もシリーズ恒例である。単独項目が立つぐらいには




劇中の活躍





ゲーム作品での活躍


〇Gジェネレーションクロスレイズ
一期Ver、モンタークVer、二期Verの3人が存在。
成長パターンも各々異なる。好みのマクギリスを採用しよう。
一期Verはシナリオで解禁。モンタークはグリムゲルデ、二期Verはガンダム・バエルを生産登録するとスカウト可能になる。

二期Verは固有アビリティとして「孤高の王者」「阿頼耶識(オリジナル)」を習得。
前者は一対一の戦いだとダメージが20%増加、回避率も上昇する。
後者はクリティカル率が伸び、バエルの能力を最大限活用するのに必須。
これらの特性から、バエルに乗せて単身突撃させるといいだろう。
トランザムを発動すると「使わせてもらうぞ、イオリア…!」とやたらノリノリで使ってくれる。

ステータス面では一期Verは射撃型で指揮が伸び、モンタークVerは格闘と回避性能が伸びる。二期Verは高バランス型だが指揮は一期Ver、格闘回避はモンタークVerに劣る。
とはいえ二期Verは前述の通りバエルとの相性が完璧であり、マスターユニットにバエルごと突っ込んで一人でステージ中を暴れさせるのにはもってこい。


機動戦士ガンダム Extreme vs. MAXI BOOST ON
最終アップデートでバエルごと参戦。
衣装はパイロットスーツだが、熟練度を上げると半裸状態も解禁される。
封印された機体をバエルと重ねて危険視する、高貴な指導者を対等に見るなどクロスオーバー的な台詞が揃っている。
しれっとレオスにアグニカを教えようとしたり、三日月を本編以上に高く評価しオルガから奪おうとするなど本性も垣間見えたが。
EXVS2から参戦したキマリス・ヴィダール版ガエリオとは当然原作通りの掛け合いがある。機体相性的にも五分の闘いができ、プレイヤーの腕前が試される「力」比べとなるだろう。



Wiki篭り…君達の行う追記・修正は、前に進んでると思うか?

もし…本気で、そう信じているのなら……。

見せてくれ、私に……。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • 鉄血のオルフェンズ
  • マクギリス・ファリド
  • 時代の敗北者
  • 逆賊
  • 非処女
  • 櫻井孝宏
  • 藤原夏海
  • チョコレートの人
  • チョコの人
  • 仮面
  • ギャラルホルン
  • 地球本部監査局
  • 地球外縁軌道統制統合艦隊
  • シュヴァルベ・グレイズ
  • グリムゲルデ
  • グレイズ・リッター
  • ガンダム・バエル
  • フェンリル
  • モンターク
  • 仮面の人
  • 仮面の男
  • ロリコン
  • 鬼畜
  • 腹黒
  • チョコレート仮面
  • マスク・ド・ショコラ
  • 裏切りス
  • だいたいこいつのせい
  • 金髪
  • 翠眼
  • マッキー
  • ガンダムライバルキャラ
  • ガンダム仮面キャラ
  • セブンスターズ
  • 軍人
  • 特務三佐
  • 准将
  • 当主
  • ファリド家当主
  • ファリド公
  • チョコレート
  • アグニカ・カイエル
  • 養子
  • 孤児
  • 妾の子
  • 男娼
  • 阿頼耶識システム
  • 大人になれない子供
  • こいつおまわりさんです
  • 努力の人
  • マクギリス・ファリド事件
  • 所要時間30分以上の項目
  • 暴力
  • (((何事も暴力で解決するのが一番だ)))
  • 力こそパワー
  • 時代の徒花
  • 胡散臭い
  • ※日曜夕方17時です。
  • ハーメルンの笛吹き男
  • コメント欄ログ化項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月23日 11:05

*1 三日月でさえ幼少時の時点でわずかとはいえまともな大人たちに出会っていた

*2 ついでに言えば、アイン・ダルトンという男は地球出身者と火星出身者のハーフである。この出自が悪意と共に暴露されれば、下手をすると地球出身者以外への差別を更に加速させ、ギャラルホルンの体制のさらなる硬直化を招きかねない

*3 さすがにそばにいたトドは、新しい主が胡散臭い仮面をつけて興奮する様子に呆れていた。

*4 イズナリオによるものと思われるマクギリスの体に残る痣などに気付いており、当初は同情的であった。

*5 鉄華団本部の増援と前後するタイミングで出陣を強いられ、ガランの手腕によりガランの部下ではなく鉄華団のタカキ・ウノとアストン・アルトランドとの交戦に。地球支部との戦闘を回避するための行動を取ってはいたものの、アストンを手にかけてしまう。

*6 マクギリスも指摘する通り、「そもそもMAを発掘してしまったのは鉄華団」である。加えて、作中人物達の目線では、「MSが接近すると自己防衛の為に起動する」機能はあくまで可能性の話であり、MAの機能や仕様は未知である以上、実際の起動の原因は不明のまま。発掘工事の影響で、イオク降下前から既に起動し始めていた可能性も、作中人物達は否定は出来ない。そのため、イオクからすれば「MA発掘やそれによる悪だくみについてしらを切って責任転嫁している」ように見えもする。

*7 そもそもギャルホルンお得意の治安維持のためのマッチポンプとは関係なく、セブンスターズ現役当主の一角が私怨と邪推で月外縁軌道統合艦隊を動かしてまで無抵抗の民間組織を全滅させるということ事態が異例でありイオクの上司であるラスタルへの事前報告も行われていなかった。このためマクギリスが先手を打って未然に防ぐというのはさすがに無理な話でもあった。

*8 お得意のマッチポンプである。また、ダインスレイヴの投入数からも最初から使う気満々で準備していたことが窺える。