ヴェーネ・アンスバッハ(Seraphic Blue)

登録日:2016/04/01 (金) 22:28:50
更新日:2020/12/11 Fri 22:28:57
所要時間:約 7 分で読めます





「ヴェーネ・アンスバッハ」とは、天ぷら氏制作のフリーゲームSeraphic Blue』(セラフィックブルー)に登場するメインキャラの一人である。
本作のヒロインであり、フリーゲーム界のみならず全ゲーム界屈指のメンヘラでもある。


「レイクは…優しいね。」

【概要】

22歳、青いセミロングの女性。
何やら常人とは異なる雰囲気を纏っている。
服装は白ブラウスの上からエプロンワンピースのような青い服を着ており、清楚な雰囲気を感じさせる。

戦闘においては基本的に典型的な回復・補助役キャラで、回復と補助の魔法レベルは最大の6となっている。
攻撃の魔法レベルは2となっているが、序盤のうちは攻撃魔法で攻撃に参加することも十分可能である。
武器は弓だが、攻撃力が低いので物理攻撃させる機会は少ない。
一応弓での攻撃技である「アローレイン」「ペネトレイション」も覚えるものの、同様にほとんど使うことはない。


【経緯】

ゲーム序盤、レイクがいつも通りウサ晴らしを兼ねてイーヴルを惨殺していたところに現れた、少年の姿をとった謎の存在・エンデ。
異様な威圧感を漂わせるエンデが召喚した怪物・イルムガルトにレイクは全く歯が立たず、殺されそうになったその時

「待ちなさい!エンデ!」

森の深くであるにも関わらず、青髪の女性=ヴェーネがどこからともなく現れてレイクと怪物の間に立ち塞がった。
エンデはヴェーネのことを、ヴェーネもエンデやレイクのことを知っている模様。
とは言え丸腰の女性、レイクは「早く逃げろ!」と叫び、エンデも「たった一人で何が出来るってんだ!」とあざ笑うが……

次の瞬間、ヴェーネの背中には、白い「翼」が生えていた。

そのまま、謎の力(エンデは「セラフィックトランス」と呼んでいた)を発動。
イルムガルトを完全に消滅させた上、使役していたエンデを敗走させた。

「白い翼…」
「天使…?」

ヴェーネは力の反動で気絶してしまい、レイクによって担がれ、レイクの知人であるハゲ壮年の医者、ランゲルの医療所に運ばれる。
レイクは歩きながら、出会ったばかりのヴェーネに「温かい感情」を感じていた……


戻ってきたレイクは、ひとまずベッドで休ませているヴェーネのことについてランゲルと話し合う。
とは言えレイクはヴェーネについて何も知らない以上、まずヴェーネが目覚めてくれないと話にならない。

「彼女の目覚めを待って、手取り足取り。ステップから教えて貰うしかないだろ。」
「何を気楽な。相手は天使だぞ?肝心のダンスパーティーの会場が“あの世”だったら如何する?」

そして二人に見守られながら、ヴェーネは目覚めるのだが……

「ところで…。一つ良いかしら…?」
「アナタ…誰?」

ヴェーネは記憶喪失になっていた。

「大番狂わせだな。」
「ああ。パーティーは中止だ。」


その後色々訊いてみたが、自分とレイクのフルネームは思い出せたものの、それ以外のあらゆることを忘れていた。
ランゲルが言うには切っ掛けがあれば思い出せる程度で重篤ではないとのことだが、レイクはエンデがいつ再来するかも分からない以上、残して自然回復を待つのは危険だと否定する。
彼女の記憶を取り戻すため、レイクはヴェーネを連れて旅に出る所から物語は始まる。

記憶喪失の彼女ではあるが、同行するレイクやニクソンとは早いうちに打ち解けており、
特につっけんどんな性格で周囲との必要以上の関わりを避けようとするレイクには、同い年ではあるが色々と世話を焼いてやっている。

まずは同じ天使ということで、ホーイックの街で近年発見され、育てられている「幼天使孤児」たちと会わせてみたが、記憶は戻らなかった。
しかし、レイクの母親の墓を見て無意識に涙を流したり、レイクと何らかの関わりを持っている様子。
一方で、左腕に無数のリストカットの跡があり、うち一つは完全に死を求めて切ったと思われる大きな傷。
記憶にはないがかつて死を求めていたのだと思われ、それ以外にも何かを「殺した」記憶、「牝豚」と罵られ悲惨な仕打ちを受けた記憶など、
断片的に思い出せる記憶には非常に壮絶なものがいくつか見え隠れする。
「天使」であることを除けば至って普通の女性であるヴェーネに、どのような過去があったのだろうか?


第一章の最終盤、星のあらゆる生命を司る場所「ラウレンティアの大樹」でレイクがエンデによってソウルストリームに突き落とされる。
ショックで彼女は慟哭し、そしてエンデの魔の手がヴェーネに迫る……

が、そこにヴェーネを追ってきたユアンとケインが登場。さらに第三勢力による妨害も加わり、
エンデはヴェーネ達の始末を中断せざるを得なくなり、九死に一生を得る。
そして、ユアンと再会した事で急激にヴェーネの記憶は戻り、程なく完全治癒するのであった。


















↑ここまで第一章
↓ここから第二章(ネタバレ)













私は私で在り続ける。

使い捨ての、救世の道具。

使い終われば、唯の塵。

記憶が無かった時の彼女は一般人とそう変わらない感性を持ち、心優しい女性として描かれている。
しかし記憶を取り戻してからは一変、冷徹さが目立つようになり、ニクソンもその変化を感じ取っていた。


フェジテでレイクとヴェーネが再会した時に、彼女の正体の一部が明かされる。
彼女の正体は、セラフィックブルー第一片翼。
セラフィックブルー本体で、存在自体が不安定なレイクを補強する存在だった。
さらに彼女の魂はユアンの恋人、そしてレイクの母であるシリアの魂のセカンドカーネル、つまりは生まれ変わり。
レイクがヴェーネに他人とは思えず、そして不思議な温かみを覚えていたのはこの為だった。
シリアの記憶は、俗にいう「前世の記憶」として薄らと残っており、それ故にレイクとヴェーネはお互いに心の支えでもあった。

【過去】

ガイアリバースを起こさんとするプロジェクト・セラフィックブルーの中で、ジークベルト・アンスバッハの手によって
素体にシリアの魂を宿されて天使国家フェジテに生を受ける。
ジークベルトはヴェーネを「救世の道具」に仕立て上げる徹底的な教育を施した。
それによって彼女の精神は歪み、記憶が無かった時に見られた本来の人格は跡形もなく破壊された。

教育プログラムの途中、彼女はルシファー変異症を起こして死亡してしまう。
これによってジークベルトの計画は失敗したかに思われた。
だが、彼は諦めずにヴェーネのクローンを作成。さらに未だ技術として確立していない魂の移植(セラパーソンクローニング)を敢行する。
結果としてその移植は一部は成功し、プロジェクトは再開される。

恋人であるシリアの魂を受け継いだヴェーネに対する仕打ちを聞いたユアンは激怒し、
C.M.G.C本部に乗り込んでヴェーネを奪還する計画「バード・ケージ・ブレイク」を即座に実行。
ジークベルトがその場に出くわしたが彼はユアンを見逃し、ヴェーネは助け出される。
その後はオーグ本部でガイアキャンサー掃討に参加すると同時に、セラフィックブルー本体であるレイクを捜索していた。


【活躍】

第三章、バルバラ・モーガンを倒す時にユアンを失い(元々ユアンはディスピスでもう長くはなかった)、
ユアンの魂を宿してセラフィックブルー双翼に、
さらに三章終盤でシリアの仇でもあるガイアキャンサー化したゲオルクを打ち倒すが、
ゲルトラウト・ゲオルクの残骸の襲撃に遭い、ヴェーネ達を助ける為にレイクが犠牲になる。
そのレイクの魂を宿して遂に一人でセラフィックブルー全てを担う存在、セラフィックブルーセルフとなる。
しかし心の支えであった二人を失ったヴェーネの心の中は荒れ、生きる気力を失っていた。

セラフィックブルーセルフとなり、世界を救う使命のみで生きる彼女はエンデ打倒のために動く。
ホワイトウィングの隠しラボにて、エンデとは違う者が送り込んできたガイアキャンサー・エスメラルダ、ユスティーネを退けて
最奥地でついにエンデと対峙するが、エンデは既に実行者の力を何者かに奪われてしまった後だった。
まだ戦いが終わらない事にヴェーネは憤慨し、半ば八つ当たり気味にエンデを撃破する。

その後はエンデの力を奪った謎の勢力を調査し、そしてディザスティアの丘にて遂に出会う。
現れたのは、第三章で死んだ筈のケイン、物語が始まる前に自殺した筈のレオナとジョシュア、そして消滅した筈のエルだった。

エルは圧倒的な力で「アイシャの空」を作り出し、魂の溜め池であるソウルホームの破壊を目論む。
それを阻止する為にヴェーネ一行はアイシャの空に乗り込み、クルスク一家を退けてエルと対峙。
激しい戦闘の末、クローズ・ウィズ・テイルズを以てついにエルに止めを刺す。

そして物語は閉じられる

総てを失った

塵に等しき天使<わたし>と共に

Close with Tales

……しかし、エルを消滅させてもガイアリバースは起こらなかった。
彼女の前に現れたベネディクタとキャサリンに、その理由は「貴方に生きる希望が無いから」「今の貴方はエルに近い」と言われ、
溜まっていた何かが噴出したのか激怒し、ついに使命を放棄してしまう。

消えてしまえ、こんな世界

だが、そんな彼女の前にレイクとユアン、そしてフリッツが現れる。
彼らの励ましで心を持ち直した彼女は、生きる希望を持ってガイアリバースを起こし、世界を救った。
救われた世界の青空を舞うヴェーネの瞳には光が宿り、まさにこの時の彼女は希望を見ていた。

世界を救った後のヴェーネの世界は悲惨だった。
生まれた時から救世の使命を課せられ、道具として育てられた彼女には、世界を救う事以外の生き方がわからなかった。
使命を果たし、自由に下に投げ出された彼女は、心の支えだったレイクとユアン、そしてオーファが居ない世界で、
永遠の孤独に再び絶望し、生きる希望をまたも見失ってしまう。
一応フリッツが支えになったのだが、ヴェーネにとってフリッツはそこまで重要な存在では無かったので効果は薄かった。
さらにそのフリッツまでもヴェーネの介抱で精神的に疲弊している事が追記されている。
絶望に苛まれた彼女は自殺未遂を繰り返し、とうとう麻薬にまで手を出すが、周囲の助けもあって何とか生き残っている。
ミネルヴァは、ヴェーネが再び希望を見られる事を信じている。

ちなみに、ジークベルトは生前彼女のこの顛末を予期していたような言動をしており、
道具にしようとしていたのは自由によって苦しまないようにする為でもあった(教育ゲームを楽しみたかったのもあるだろうが)。
しかしフリッツと交流させたのは悪手であり、これによってヴェーネは中途半端に人の心を持ち、結局自由によって苦しんでしまう。
この事はベネディクタにも厳しく言われている。


世界を救うという使命を課せられておきながら、彼女はその使命を嫌っており、
あまつさえ死にたがっているという、普通のRPGのそれと比べ異色すぎる主人公。
やたら小難しい言葉でモノローグしている事が多い。プレイヤー達からはメンヘラとか言われることも。

性格は冷たく、感情も薄い。だが、記憶を失っていた時の心優しい彼女が恐らく本来の彼女なのだろう。
彼女にはどうか生きる希望を持ち直し、幸せに生きて欲しいものである。


追記・修正は、望まぬ「救世の存在」になってしまった人にお願いします。

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最終更新:2020年12月11日 22:28