朝鮮民主主義人民共和国

登録日:2014/03/26 Wed 22:09:20
更新日:2024/02/25 Sun 01:22:35
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朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)とは、ユーラシア大陸東部、朝鮮半島の北緯38度線(軍事境界線とも)付近から北側を実効支配する社会主義国家である。
南の大韓民国(以下韓国)と同一民族でありながら、いわゆる冷戦の影響により、
旧ソ連が占領した地域が北朝鮮に、アメリカを中心とした西側諸国が占領した地域が韓国として独立。
1950年の朝鮮戦争により、現在の南北軍事境界線(38度線)が成立し「国境ではないが、事実上の国境の役割を持つもの」として、国際的には認知されている。


◆基本情報

  • 国名:朝鮮民主主義人民共和国
  • 国家元首:金正恩朝鮮労働党総書記兼朝鮮民主主義人民共和国国務委員長
  • 通貨:北朝鮮ウォン
  • 国際決済通貨:欧州ユーロ
  • 首都:平壌(ピョンヤン)
  • テレビ放送方式:PAL方式
  • テレビ電波送信方式:完全有線放送方式(いわゆるCATV)


◆国家としての体制


上記に記したとおり、体裁としては社会主義国家に分類される。北朝鮮は、現在でも市場経済を基本的に否定している、世界的にも珍しい国である。
しかしながら実態を見ると、権力の世襲一般国民間に存在する格差など、他の社会主義国家とは明らかに異なる特徴が目立つ。*1

北朝鮮の国家体制を支える理念は、主体(チュチェ)思想と呼ばれる*2
これは大まかに説明すると「外国に依存しない」という方針である*3

「主体」とは、小国が大国に仕える事大主義*4の反義語であるとされる。
北朝鮮当局によれば、主体思想は「我々はどこかよその国ではなく、まさに朝鮮の革命を行っているのだ」という金日成の演説*5に由来するという。

北朝鮮の国民は「革命と建設の力は自分たち自身、人民大衆自身にある」と教育されるが、その実現のためには人民大衆を正しく導く首領が必要であるという結論に至るので、現体制を正当化するための理論でしかない。

この主体思想の原型は、戦前日本の国体論にあるといわれる。

脈々と受け継がれる国家精神こそが国家の本体であるとみなし、個人は国家精神の実現に寄与する「一器官」とみなす点、
物質的生命と精神的生命を分けて考え、後者を天皇/首領によって与えられるものであるとする点などが共通する。

なお、主体思想を体系化した人物(いわば主体思想の生みの親)である黄長燁は、1997年に韓国に亡命した。

民主主義を標榜しているので一応選挙制度はあるが、実質「党が推薦した1人への事実上の信任投票」であり、候補者が落選することはほとんどない。
オマケに選挙活動などが殆ど無いので投票直前まで候補者が何者なのかすら知らされない事も。

投票への参加も絶対であり、重病人などでない限り必ず赴かなければならない(人員チェックも厳重に行われる実質義務投票状態)。
そして建前上は拒否権はあるのだが、 投票箱から大きく離され、衆目から丸見えな箇所に設置されているブースで不信任と記入せねばならず 匿名性ゼロである。
そして万一そんなことをすれば「反革命分子」として待ち構えている秘密警察に逮捕され収容所や教化所送り確定である。
…それでも彼らは、「民主的な選挙を行っている(キリッ」の一点張りである。

なお、憲法上は「金一族への王位継承権」は公言されていない*6ので、形式的には「民主的に最も優秀な人物を選んだところ、それがたまたま金一族だった」という形を取っている。

ちなみに標榜している社会主義の方も実情はガタガタで、中央の管理が全く行き届いておらず、実態としては各地の工場や農場が自主的に資材の調達や生産を行っているなんちゃって社会主義状態である。配給も滞っているので、闇市場や非合法な私的雇用(社会主義国なので国家が関与しない労働は当然違法である)が横行しているとのこと。

国家元首の移動には防弾ガラスと装甲で完全防備し、緊急事態用にヘリコプターも搭載した特別製の専用列車を使用することが多い。


◆経済状況・諸外国との国交


国家設立当初は韓国よりも豊かだったが、1994年に発生した大規模な水害をきっかけとして、実に30年にわたって食糧不足が深刻化。
それに先立って、1989年の東欧革命や1991年のソ連崩壊により、ワルシャワ条約機構に参加していた共産主義諸国からの援助が途絶えていたため、
水害とのダブルパンチで国庫が空となってしまい、事実上財政は破綻したままの状態が続いている。

この間に韓国やアメリカなどから援助を取り付けてもらうため、手始めに「ソウルを火の海にする」と米韓両国を脅迫し、多額の資金援助を脅し取ったのを皮切りに、
本来であればまず国民に回すべき資金を、開発やテポドンなど中長距離弾道ミサイルの開発につぎ込み、さらに国民を飢えさせた。
また、偽ドル札製造や麻薬密造、最近ではハッカー行為による仮想通貨泥棒を行い外貨を稼いでいる。
外貨獲得のため日本や中国に密輸した覚せい剤が、両国の取り締まり強化も相まって市中に横流しされ、北朝鮮国内で蔓延して社会問題にもなっている。

医薬品もまともに手に入らず、あったとしても処方箋を手に闇市場へ行って手に入れなければならなかったという脱北者の証言もある。
このように不適切・不完全な服薬が横行しており、そのため結核菌などが強力になってしまい、
インドと並んで多剤耐性菌の巣として感染症対策の専門家の間でも悪名高い。


核開発に関しては、核実験により発生した人工地震が中国国内でも観測され、一時建物から避難する住民が出たほか、
ミサイル発射実験に関しては、他国の領空を無断で通過させるという、どちらも迷惑極まりない行為を連発し、国際会議の場ではいつもフルボッコにされている。

核開発に関してはどうしても時間がかかることや、運用にも必要なこと、その他諸々の配慮(主に中国)などから、少なくとも表向きはミサイル技術の革新のほうにより多くの予算を回している。

また、朝鮮人民軍の末端の兵士に充分な食料を配給できない、通貨が紙くず同然なために闇市では中国元が使われる、などの状況になっている。
実際、中国からの援助により食いつないでいるので、中国元が流入しやすい環境にあることは事実である。
兵士たちは日本海に危険を顧みず密漁に乗り出して小遣い稼ぎをしており、中には密漁に飽き足らず、日本の漁師小屋に置いてある機材や電化製品を失敬して上司への賄賂にする不届きな輩もいる。
事実、2018年に松前小島の避難用の小屋を散々荒らした上に冷蔵庫などをかっぱらい逮捕された者が居る。

もちろん、禄に整備もされていないオンボロ船で冬の荒れた日本海に出るのでそのまま波に飲まれて海の藻屑となる者も多数。日本海側に遺体漂着事件もときどき起こっている。
それらの回収・処置にかかる費用は全て こちら持ち で北朝鮮側はスルー。


兵器に関しては、核爆弾やミサイル以外ではT72戦車やミグMiG15戦闘機など旧ソ連製の旧型兵器がいまだに主力であるため、世界のミリヲタからは「動く兵器の博物館」と呼ばれている。
それゆえ満足な部品や燃料も無く、稼働率は3割を切っているものと見られる。
ただしお互い他国の支援がすぐには受けられない状況で韓国と再び戦うことになった場合は、
また北朝鮮側が圧倒するだろうと言われていたりする。
(韓国側の軍事事情もあるが、少なくとも緒戦においては首都のソウルが国境からかなり近いことから近代戦においては混乱は免れず、その他地形の問題もある。)


2016年1月6日には、なんと友好国である中国に無断で核実験を強行し、中国は完全にメンツを潰された格好になった。
それで中国から仮想敵扱いまでされ始めたのではという見方もあるが、
その一方で中国の軍拡や侵略(インドや海洋など)の印象を薄くしたり、北朝鮮への仲介というだけで間接的に外交に役立てているという恩恵もあるなど、
メリットもかなり大きく中国からすると意外と言うほどの敵対行為というわけでもない。
欧米側の国家にされるのは嫌という事情や、北朝鮮側は言うまでもなく交易や支援の恩恵が大きいため、信頼関係の程度は不明だがその後もwin-winの関係が続いている。


日本との関係では、日本国内からなんの罪も無い一般人を拉致監禁して北朝鮮に連れ帰り、スパイの育成などに利用していたとみられている。所謂 拉致問題 である。
日本だけでなく、韓国、タイ、マレーシア、台湾などからも拉致監禁された人がいるという。
ちなみに北朝鮮の各種メディアによれば、日本は「朝鮮半島再侵略をもくろむ危険な国」であると考えられているらしい。あんたらが言うか!

一方で北朝鮮への評価が「安定した社会主義国家」だった昭和中盤には「北朝鮮にこそ在日コリアンを帰そう!」という、未来に起こる飢饉や統制の事を思うと考えられない運動が積極的に日本で薦められ(映画『キューポラのある街』などで描写)、
結果日朝で生き別れになった在日コリアンの家族や、うっかり結婚などでついていったばっかりに悲惨な目に遭った日本人妻など、さまざまな悲劇を現在に残している。
有名な『よど号ハイジャック事件』にて犯人たちが「北朝鮮を赤軍派のものにする!」と虫の良すぎるを抱いて北朝鮮に亡命している。

拉致にも関係していることだが各地に工作員を派遣したり協力者を育成するなどして、裏工作にも長けているとも言われている。
少なくとも金正恩政権は関与を否定しているものの、金正男氏のマレーシアでの暗殺はそのような形で実行されたと世間的には見なされている。
彼らは決して愚鈍な集団ではないのである。
長年「すぐに崩壊する」みたいなことを言われ続けている*7のに(ロシアや中国の支援などもあるが)存続していることもその証左かもしれない。


◆国民の生活


内政は首都・平壌周辺では比較的裕福のようである
(中所得国基準であり、先進国水準と比べた場合は数段下がるらしい)。

しかし長らく「自力更生」に固執して貿易を積極的に行ってこなかったこともあり、とりわけ寒冷な気候の北部地域においては、深刻な食糧問題も発生している。
この食糧問題も「主体農法」と呼ばれる土壌や気候特性を無視した農業政策*8が原因で、農業政策の失敗に伴い土砂が河川に流れ込み、河川の生態系も破壊し漁業までもダメにするというダブルパンチを巻き起こし、先に書いた94年の水害で完全に破壊された。

首都の平壌に住めるのは、金王朝に忠誠を誓う身分(出身成分と呼ばれる)の高い者…「核心階層」に位置する者たちだけ。
逆に体制に逆らう者は当然だが、親日・親米の思想があると判断された者、キリスト教などの信者、
果ては 産業国有化で財産を没収された資本家、土地改革時に5ha以上の土地を持っていた、または精米所を有した …といった過去の経歴を持つ人などは最下層である「敵対階層」に分別され、
貧しい地方に強制移住されたり就職・進学に厳しい上限線が敷かれ、最悪言いがかり同然に収容所に送られたりする。

世界で唯一の「税金がない国」を謳っており、法律で税金を取ることを禁じている。しかし、その実態は「募金」や「協力金」などの意味不明の名目で税金以外の金を徴収され、応じなければ強制労働、というあってないようなお題目と化している。
現実問題として社会主義体制が有名無実化しているために地方行政は税金取らないととてもではないがやっていけないのが実情なのである。

国民の自由な移動は制限されており、許可証を持たないと国内移動すら不可能である。許可証がないとホテルに泊まることもできず、それどころか知人や親戚の家に泊まることも不可能。

テレビは国営放送の朝鮮中央テレビと週末だけ放送する万寿台テレビ、竜南山テレビがある。
朝鮮中央テレビと万寿台テレビは、アニメ映画も放送している*9
北朝鮮産のアニメは基本的にすべて、4.26漫画映画撮影所という国営スタジオが制作を担当している。その作画技術は1980年代後半から90年代前半の日本のアニメ技術に匹敵する*10
アクの強いキャラデザだが、ディズニーばりにヌルヌル動く動画は必見。『かしこいタヌキ』『リスとハリネズミ』シリーズなどメルヘンよりの作品が人気。
内容は交通ルールを守ろう、親の言う事に従おう、などの教育をはじめ、一人より集団で行動しよう、軍事力を強化しよう、といったメッセージを内包する作品もある。00年代まで少年少女がアメリカをやっつけろだの抜かす作品を普通に放映していた。

なお配信はアンテナ方式ではなく全てケーブルテレビ方式である。
アンテナ方式の場合、韓国側の自由な放送光景を受信されるとまずいので、あえてケーブル式にしているのだ。

ちなみに、北朝鮮では許可された以外の海外メディアに触れる事が禁じられている。朝鮮労働党への反動行為と看做されかねないからだ。国内にヌード写真集やアダルトビデオなどのポルノ系メディアを持ち込んで発覚した場合、最悪死刑。海外のテレビやラジオ、アニメやドラマも、上述の各種テレビ局で公式に放送されたもの*11を除けば、視聴は極端に制限される。
特に韓国の作品は、視聴しただけでも厳罰に処される
労働強化刑で済めば良い方で、未開も同然の郊外統制区への強制追放や、常習犯と認定されれば見せしめに公開処刑されるケースもある。

電力事情は最悪で、停電は日常茶飯事。中流家庭以上の世帯でさえ、自宅に設置したソーラーパネルを頼りにする有様。マンションもポンプがマトモに稼働しないため、住民は生活用水を近所の井戸まで汲みに行かなければならない(加えて停電時はエレベーターも使用出来ないため、高層階の人気はガタ落ち。居住者は下層階に集中しているという)。
国際宇宙ステーションから朝鮮半島を夜間に撮影した写真には、北朝鮮の支配地域だけ真っ暗で、唯一明るい平壌がまるで離れ小島と見間違えるほどである。

交通面はマイカーを持つことが出来ないため鉄道が主流だが、それらのインフラも平壌地下鉄を除けば日本統治時代から全く変わっておらずろくに保線もされていないため老朽化が著しい。電化率は80%と韓国よりも高いのだが、先の電力事情もあってかまともに運行されていない。
列車に乗るにも切符の入手は困難で、乗務員に賄賂を握らせて定員オーバーで乗車することも日常茶飯事だとか。
ちなみに、高速道路も一応存在するが舗装を筆頭にまともな整備がされておらず、高速道路の上を自転車や人が歩いているのが当たり前。

隣国・中国が発祥とされ、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスについて、北朝鮮の国内感染者はゼロと報じ続けていた。
しかし2022年に入ってからはワクチン欲しさか発熱者という曖昧な表現ながらもマイナス情報が報じられるようになった。

また、前述した核実験場は豊渓里という場所に建設されたが、ある韓国の人権団体は、豊渓里周辺の住民が地下水を通じて拡散された放射性物質にさらされている可能性を指摘する詳細な報告書を発表している。


◆脱北者


前述したとおり一般的な国民には移動の権利さえ厳しく制限されており、省を跨いだ移動でさえ手続きと認可が必要。長い期間待たされた挙句認可が下りなかったり、完全に忘れ去られている事もザラである。
合法的に海外に出るなどオリンピック代表選手か外交官、出稼ぎかスパイにでもならない限り夢のまた夢である(こちらも厳重な監視がつくが)。

しかし、一部の国民や政府関係者などは諸外国の情報を秘密裏に閲覧するなどして、北朝鮮の持つ異質性に気が付き、自由な日々を得る為危険を冒して「脱出」する事がある。 所謂「脱北者」である

北朝鮮は脱北者を「最も憎むべき最大の裏切り者」と定義しており、連れ戻された場合はどんなに軽くても収容所送り、再犯などだと裁判すら経ず公開処刑などの極刑に処される。
更に本人のみならず親戚一同まで「反革命分子の血を引く者」として最上層の身分から最下層の敵対階層に叩き落されたり、最悪本人共々収容所に送られる事もある。
そういう意味でも脱北という行為は非情なまでの覚悟が必要な行為である。


北朝鮮は中国、韓国、ロシアと隣接しているが、脱北者は主に中国を目指す事が多い。
韓国は一番近く現在でも脱北者を受け容れているが、直接行くには警備が厳重過ぎる軍事境界線しか道が無いのでまず選ばれず、第三国経由になる。ロシアは地理的に遠いうえこちらも国境の警備も厳重で選ばれない。

ならば残るは中国という事になるが、こちらは場所によっては国境の警備が甘い事もありよく選ばれる。冬季に凍結し川幅も狭い豆満江などを渡って逃げる。
国境を守る兵士も上述の通り貧困にあえいでいるので賄賂を渡すなどでかいくぐる事がある。
とはいえ近年は北朝鮮も脱北者の取り締まりを強く命じており、このルートでさえ危険度が凄まじく高くなっている。
まれに船で日本海を渡り日本を目指す者も居るが、前述の有様なので無事にたどり着ける保障はない。


無事中国に渡れても安心できない。
まず中国は北朝鮮と 「脱北者を難民として扱わず不法入国者として北朝鮮に引き渡す」 という旨の協定を結んでおり、兵士などに見つかれば即刻拘束され北朝鮮に送り戻されてしまうからだ。特に国境付近の村落などは警備が強くなっている。
なので彼ら兵士の眼をかいくぐりながら第三国への脱出を支援するブローカー、或いは他国の領事館に逃げ込むなどする必要があるが、
それで上手く韓国などに逃げられれば良いが、ブローカーの中には悪質なものもおり、中国の地方に売り渡されて奴隷の如く働かせられたり女性の場合は農家と結婚させられたり人身売買の犠牲になることも。


韓国あたりまで逃げ伸びれれば、あちらは受け容れ体制を一応整えているので一安心ではある。脱北者に一定期間資本主義社会の仕組みなどを教育し一定の給付金を渡す制度がある。
しかし政府関係者などは韓国に潜むスパイに暗殺される恐れがあるので整形や改名などをしないといけないし、
一般市民の脱北者の場合も職を自分で探さねばならず、就職難な韓国で大した技量も知識もない脱北者が正社員などを目指すのは困難を極める。下手したら露店のバイトでさえ厳しい。
職場や学校でも北朝鮮出身者は差別の対象になる事も少なくない*12 。あくまで韓国と北朝鮮は現状 「休戦中」なだけで戦争中…敵対関係 にあるのだ。
中には(真偽はどうあれ)北朝鮮の惨状を各メディアに訴えるジャーナリストとして名を馳せる人もいるが。


◆観光(?)


比較的よく言われるが、「言うこと聞いて観光しているぶんには割と楽しい国」らしい。
監視の意味もあるが、特に外国人は貴重な外貨をくれるので国家ぐるみで接待してくれ、普通に観光するだけなら意外と楽しめるとか。皮肉でテーマパークのような国と呼ばれたこともある。

日本国内の北朝鮮シンパの活動家さんに頼んでもいいが、実は専門の旅行会社も存在している。

とはいえ、自由はほぼ皆無。事前にコースを組んで見学申請しておいた場所をガイドと巡ることになるが、許可された範囲外の場所に近寄ったりしたら拘束されても文句は言えない。
また、撮影可能な箇所も逐一指示され、撮影した写真も厳重にチェックされる。

また、ツアー前に「戦闘などの巻き添えで負傷・死亡しても北朝鮮側は一切責任を負わない」という書類に署名までさせられ、身の安全の保証というものがまったくない。
さらに、日本からは直接入国できないので、旅行しようと思っても中国などを介することになり、旅行代金がかさみがち。

そして唐突に理不尽な理由で長期間拘束される場合すらあるので、「言うこと聞いて観光しているぶんには割と楽しい国」というのも実際は鵜呑みに出来ない。
また、純粋に観光目的であっても、帰国後公安の監視対象になる可能性や、アメリカへ入国が難しくなる*13ことへの覚悟はしたほうがいいだろう。


◆創作における北朝鮮

○Wargame Red Dragon

自衛隊が使えることで有名な冷戦期を舞台にしたRTSで、東側勢力の使用可能国家として北朝鮮が登場する。
構成としては自国戦車の天馬号(CH'ONMA-HO)シリーズを始めとする低~中コスト帯の自国戦力をベースとして中国・ソ連の輸入車両が使用可能。全体的に旧式が多く対空に難を抱えているが東側らしく歩兵はそこそこ強い。
なお北朝鮮戦車なんてカスでしょwと舐めてかかるとT-90Sとかいう高級戦車がコンニチワしてくる。
他にもライバル韓国が日本と組んだBLUE DRAGONSという連合デッキがあるのに対し、北朝鮮は中国と組んだRED DRAGONSという連合デッキが使用可能。北朝鮮がタイトル回収するなど誰が思ったか
またキャンペーンシナリオが「もし冷戦期の東アジアを舞台に西と東が衝突したら?」という話であるためキャンペーンでの登場も多い。
特に「釜山包囲戦」では奇襲とはいえ初動で韓国軍を圧倒、韓国軍と在韓米軍を釜山にまで追い詰めてみせた。なおそこからシナリオスタート(プレイヤー韓国軍&米軍)なので後はお察しである。


追記・修正は朝鮮中央テレビのあの女性アナウンサーのしゃべりを聞いてからお願いします。


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最終更新:2024年02月25日 01:22

*1 初代元首の金日成国家主席、その長男の二代目元首の金正日総書記、その三男の三代目元首の金正恩総書記、と3代に渡って権力の継承を行なっているため、金一家での世襲による政権交代などから「金王朝」と評されることもある。

*2 金正恩体制以後に使われ始めた「金日成・金正日主義」も同義語。

*3 思想における主体、政治における自主、経済における自立、国防における自衛の4つが柱である。

*4 「事大」とは、大国が小国に対して道徳的見地から施してあげることを指す。朝鮮王朝は、大国たる中国とは事大、それ以外の周辺諸国とは交流を保つ「事大交隣」を基本的な外交政策としていた。

*5 『思想活動において教条主義と形式主義を一掃し、主体性を確立するために』という題の、1955年4月党中央委員会総会での演説。

*6 ただし、憲法より上位に位置する『党の唯一思想体系確立の十大原則』では、2013年の改正によって、金一族を指す「白頭の血統」による世襲政治が明文化されたといわれる。なお、この『十大原則』は国外非公表文書である。

*7 実際どう分析しているかは不明だが、これはプロバガンダの目的も強い。

*8 北朝鮮に限らず、概ね共産主義国はこの失敗を繰り返していると言っても過言ではない。

*9 竜南山テレビは、大学生を主な視聴対象とした、学問・教養番組専門のテレビ局である。

*10 これは日本、イタリア、フランス等のアニメの下請けを行っていたことから技術が鍛えられた。

*11 特に万寿台テレビでは、海外作品が放送されること自体は珍しくない。『トムとジェリー』が版元に無許可で放送されたことさえある。

*12 北朝鮮出身という事を隠しても、言葉の訛りなどですぐ分かってしまうという。

*13 ビザ免除プログラムの対象外となる。