グリニデ(冒険王ビィト)

登録日:2012/07/28 Sat 21:40:53
更新日:2024/03/15 Fri 09:47:28
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…「節度」!

私の非常に好きな言葉だ

知的な者とそうでない者を分ける境界線と言ってもいい……

功を求めるのは良い事だが
節度のない者は私の配下にはいて欲しくない

わかるかね ベンチュラくん…?


グリニデは、冒険王ビィトに登場する魔人(ヴァンデル)




【概要】

二つ名は「深緑の智将」
その名の通り深緑の体色を持ち、繁殖能力の高い「樹の章」(虫系)のモンスターを使ってじわじわと着実に領土を広げる知略家。
狩りと称して罠を仕掛けてバスターを倒すという、魔人なりの実益も兼ねた趣味を持っている。
そして将来有望なバスターを見つけたら、例えルーキーでも油断せず早々に芽を摘み取っておくという実に合理的な主義も持つ。

品性のある行動を尊ぶため、時には人間の敵でも素直に褒め、粗暴な者が多い魔人は嫌っていることが多い。
というのも作中の雑魚魔人を見れば分かるが、個の能力が人間より高いこともあって慢心し単調に暴れているだけの者が多い(戦力が欲しい時は魔物で簡単に補填できるのも大きい)。

初登場は原作2巻。
この頃は六ツ星だったが、4巻にて、100もの国や村を滅ぼして黒の地平の人口を十分の一にまで減らした功績から七ツ星に昇格した。

また三人の魔人と一人の人間を配下に持ち、
彼らは「忠誠の腕輪」と言うグリニデの冥力で作動する毒針付きの腕輪を付けられている。

口癖は「BE COOL」「エクセレント」。その冷静さと知謀により、ビィト戦士団を苦しめた。
ちなみに城の中は禁煙。


「おまえの都合ばかりで追記・修正されてもなぁ……」




この項目が面白かったなら……「お……ま……え……?」



























以下、原作5巻以降のネタバレ。







"おまえ"だとおオオォオッ!!!?
























●目次

【人物】

◆“BE COOL”

では本題へ……。
と言っても上に挙げたことは全て事実である。
「冷静」と言うことを除いて。


そう、このグリニデはとにかくキレやすいのだ。
プライドが高いとかそんなこと以上に、当人も自分の感情を制御できないほどに。
なんとかキレないようにいたいものの、それを押さえ込むことは難しく、怒りのままに暴れた後、そんな自分にいらだちを覚える。
怒りの度合いに応じて額の角が伸び、伸び切ると激昂して手の付けられないほどに暴れ回る。
“惨劇の王者”ベルトーゼはグリニデを「知性派を気取ってはいるものの魔人の中では一・二を争う暴力性を秘めている」と評し、度々グリニデを挑発して戦いたがっているほど。
激昂した際は、彼の腹心である魔物・ダンゴールが、名前通りダンゴ虫のように丸まり、その耐久力でグリニデの攻撃に耐えてサンドバッグ代わりにボコられることでその怒りを鎮める。そのため、グリニデはダンゴールに対し非常に感謝している。

ちょっとからかった魔人を掴み、星相応の握力をもって仕返ししていたりもする(これでも当人的にはほとんどキレていない)。


何度でも言うが彼は自分で「冷静」と言う割にとにかくキレやすい。

かつてロズゴートを配下に誘いに来た際には、終始紳士的な態度を崩さずに良好な空気だったっぽいのだが、
ちょっと気分を良くして調子に乗ったロズゴートからお前」と言われただけで激昂し、
  • ロズゴートの左目をグーパンで潰し、一発KO*1
  • さらに暴れまくって城を瓦礫の山に変える。
  • 一緒に居た当時の腹心モンスターまでも殺害。
と、凄まじい暴れっぷりを見せた。アニメ版27話では尺稼ぎのためこの回想がかなり補完されているので一見の価値あり。
ちなみに彼の腹心モンスターはダンゴールで4体目であり、それ以前の腹心達は全て激昂したグリニデに殺されている。
そんなグリニデ本人は「すぐ激昂しそうになるのが私の悪い癖」と言って自分の短気、粗暴さを忌み嫌っており、
前述の「深緑の智将」は基本的に周りの人間や魔人が名付ける二つ名自分で考え、広めたもの
本来の二つ名は「血塗られた(けだもの)と言い、上の数々の暴れっぷりを考えるとピッタリなネーミングである。

ここだけ見ると「お前」のワードで例外なく・即落ち2コマの如く勢いでブチ切れるようなキャラと思われがちだが、
初対面のビィト おまえ はとびっきりずりィ奴だな」という発言はスルーし、「EXCELLENT」とビィトの冷静かつ神がかった反応と頭脳を称賛している。
自分のことを知らない格下の新米バスターの発言な上に、ずるい(狡猾)というグリニデにとっては好ましい評価だったためだろう。
だがその直後の「見たことねえ…こんな凶暴そうな魔人」という発言ではいきなり取り乱してキレかけている。
というかその後の闖入者がいなければ間違いなくブチ切れていただろう。
グリニデという存在を認知した上で軽んじる行為と、痛いところ(凶暴)を突くのがヤバいと思われる。
「お前」に関してもそのワードが一番耳障りになる状況や立場でなければ聞き流している模様。
自分を挑発して戦いたがるベルトーゼに対しても、彼から呼び捨てにされたり「おまえのお得意のやり口」と言われたりしても、魂胆が見え見えなので怒りに震えつつもスルーして耐えている。

このように、逆鱗に触れればどんな時でも速攻でキレるかと言われるとそうでもなく、激情にかられつつも「最後までクールでありたい」とする理性と葛藤しており、可能な限り冷静であろうとする。
「Be CooL」(クールになれ)も、キレそうな自分を落ち着かせる時の口癖である。
ベルトーゼに挑発された時も、自分の怒りを煽るために挑発されていると認識すると怒りをぐっと堪え、その場ではいつもの冷静な態度で受け流してビィトを譲り渡し*2、冷静になった後もこの判断自体は適切だったと確信している。
配下の魔人を全て葬られ、キッスが裏切った事への怒りで城や魔物を破壊する程に暴れ狂っても最深部の魔物製造室にだけは手を出さなかったり、そのキッスを確保した際も彼を八つ裂きにしたい膨大な衝動を堪えて「キッスの知性を失いたくない、何としてもこの手に取り戻したい」という一心で暴言を交えながらも彼を説得しようと試みていた。
一目魔物製造室を見ただけでグリニデの目的を理解したキッスの知力に対して驚きながら、ブチギレそうな状態だったにもかかわらず惜しみなく称賛している。
兎に角キレやすい、粗暴である事がピックアップされているが、それを加味してもそこらの粗暴な低級魔人より感情を制御出来ていたりする。

理屈や利害を考えない判断をする者が嫌いであり、どれほど脅してもビィトを裏切らないといったキッスを激しく罵倒し、諦めず不屈の気持ちの気持ちで挑んできたビィトに対して「オレが一番嫌いなのはなッ…!おまえみたいなアッタマ悪いヤツだァァ───っ!」と述べている。


ちなみに、彼が嫌う「暴れ狂うことしかできない魔人の典型」の最たるものとは自分自身の事。
普段は外皮を纏って精神を安定させているが、粗暴な本来の姿を「化け物の姿」と自己嫌悪し、自分自身を倒したビィト達には「よくぞ倒してくれた」と礼まで言っており、それほどまでに自分の本性を忌み嫌っていたことが窺える。
本来の姿に戻った際、今まで自分を慕い仕えてくれたダンゴールに対して忌み嫌う自分の暴力をあえて見せることで、ダンゴールに逃げる選択を選ばせており、その際には寂しげに「この姿になってしまったからには……オレは…また一人だ…」と独白。
本来の姿で一度理性を失えばすべてを破壊してしまい、自分以外の何も残らない寂寥感と孤独に苦しんできた様子。

◆目標



私はとは違う…常に冷静(クール)なのだ

私は私のやり方で綿密に勢力を拡大し
最後に頂点に立って奴を見下せばそれでいいのだ…
Be CooL…Be CooL…!

魔人の最高位『八輝星』となること。
22話のグリニデは「「この地上から一番たくさんの人間(ゴミ)を取り除いた者をその功績を称えて支配者にしよう」というルールができた」、27話の魔人博士ノアは「八輝星は魔人の支配者」と語っている。

ただし、ただ単に『八輝星』になるのではなく、知略と戦略をもって到達することがグリニデにとっては肝要。

自分の粗暴さが一番のコンプレックスのグリニデにとって、知略をもって『八輝星』になったとき、名実ともに『深緑の智将』として魔人達から畏れられて、自分のコンプレックスから解放されるのである。


◆他の七ツ星との関係

世間ではベルトーゼとグリニデについて長年のライバルと評されていたらしい。
だがグリニデとしてはベルトーゼを忌み嫌っている。
戦闘狂であるベルトーゼは、グリニデを度々挑発しており、グリニデをキレさせて対決になれば万々歳。
それに対し自分の凶暴性を嫌うグリニデはベルトーゼの挑発に乗ることは色んな意味で“精神的な敗北”を意味する。
つまりベルトーゼと出会ったが最後グリニデは彼の挑発に耐えることしかできず、まさにグリニデにとって天敵とでもいうべき存在だった。
ベルトーゼの蛮行のせいで、魔人の間では単純な暴力が高く評価され、結果戦略的に事を進めるグリニデが他の魔人達から低く評価されたことも度々あった様子。
それゆえグリニデは、ベルトーゼのことを少し考えるだけでかなり苛立ってしまう。


逆に戦闘狂だが正々堂々と振る舞い、魔人との戦いは極力避け、弱者の蹂躙もせず戦った人間からも「(サー)」と敬称をつけられるほど落ち着いている天空王バロンのことは「別格」としておおいに認めており、グリニデなりの敬意をもっていた。
ガイドブック『グランドアドベンチャー』「魔賓冥典」での「グリニデ閣下の魔人戦力分析」では「武闘派魔人の双璧として挙げられるベルトーゼの粗暴な行いに比べて、バロン卿(サー・バロン)の行動には彼の哲学が感じられ、敬意を払うに値するものがある」と絶賛していた。


知性派魔人の代表的存在である魔人博士ノアについて、ガイドブック『グランドアドベンチャー』「魔賓冥典」での「グリニデ閣下の魔人戦力分析」では「同じ知性派を代表する魔人として、一度話をしてみたいとも思ったが、あの野蛮なベルトーゼと親友だと聞き、会う気が失せたよ!」と述べている。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというヤツだが、それほどまでにベルトーゼは嫌らしい。

◆部下に対して


手際の良い仕事をありがとう 諸君
良い部下に恵まれて私は誇らしい!


一方、短気さとは裏腹に部下からの信頼も厚かったこと・魔人ながら珍しいことに3体もの魔人を配下(普通は魔物しか魔人の配下におらず、魔人同士は競争相手)としていたことから、魔人としては非常に度量の広い人物でもある。
グリニデの『圧倒的な力』に心酔し忠誠を誓う右腕ロズゴート、プロの殺し屋として無駄なく仕事をこなすフラウスキー、臆病ゆえ偵察役として便利で小物ゆえ命惜しさから暴走も少ないベンチュラと、粗暴で短慮な者が多い魔人には珍しく、それぞれの理由でグリニデの好きな「節度」をある程度わきまえており、精鋭の魔人達と多数の魔物からなる組織として機能していた。
魔人どころか人間までも配下にした例は他にないことだととガイドブック『グランドアドベンチャー』「魔賓冥典」にてシャギー館長には評された。同時に、部下を集めたのは孤独に耐えられなかったことの裏返しだともいわれている。
実際、他の実力者ぞろいの七ツ星でさえ、人間はもちろん、魔人を忠臣にした例はない。

部下の魔人達が壊滅した際には、城の中枢部までも破壊する激昂をしており、これは部下達を気に入っていたことも一因と思われる。


いつもながら素晴らしいよキッス君

君は人間だがその知力と品位は
私の憧れですらある

キッスを捕まえた際、キッスが趣味で持っていた古文書に気付き、「自分の遺跡発掘や諜報活動の手助けをするなら生かしてやる」と部下に勧誘。
アニメ版25話によればキッスは人間に裏切られた経験もあって傷心中で、戦う気力もなくこれに従う。
グリニデも、キッスが命令を受けるまでもなくあらかじめ遺跡に残された古代魔文字を記録するといった機転や頭脳を気に入っていた。
古代魔文字を解読したりグリニデの研究室を一瞥しただけでグリニデの目的やプランを看破したりしてみせたキッスは、グリニデと同等以上の頭脳を持つといってもよく、機転と頭脳を併せ持つキッスに対する尊敬の念はグリニデなりに本物だったのだろう。

本心では人間をゴミクズと見下しているにも拘わらず*3、激怒した状態でさえキッスのことは尊敬したり気に入っていたらしい様な発言も見受けられる。
ギリギリまでキッスを部下に引き戻そうと脅しと説得を続けた(ビィトに対して余計に怒る要因になったわけだが)。

アニメ版22話では、「(キッスは)腐った眼をしている」とイラついたフラウスキーに蹴り飛ばされて口にけがをしたキッスに対し、ハンカチを差し出しつつ「気にするな。彼は君がどれほど優秀な者であるか知らないのだ」とフォローを入れた。


そのキレやすさや奥底に潜む残虐性などを加味してもなお、通常の魔人とは一線を画す礼節や知性を備えた人物と言えよう。


【戦闘能力】

普段は、深緑の外皮を纏っている。
この時はまともな戦闘シーンは無かったが、この状態でさえ、挑発してきた四ッ星魔人の肩を握り潰したり、前述の通り城を瞬く間に破壊したりとかなりの力を誇る。

ただし本人はそれを「自分で戦うのは他の戦闘狂の魔人どもと変わらん」と嫌っているため、基本的に強者のバスターを倒す際には凄腕の暗殺者フラウスキーに依頼している。
普段自分で戦闘を行う際は、腕に仕込んだ毒矢を用いたスマートな暗殺を“気晴らしの狩り”として行う。毒は遅効性の致死毒であり、時にはこの毒で捕らえたバスターを他のバスターの動揺を誘うための人質・囮として用いることも。
ビィトを毒矢で仕留められなかった時は、見逃すのは危険すぎるとして渋々ながら自分で戦おうとし、その殺気と戦闘態勢だけでビィトを戦慄させた。
ほとんど部下や魔物達に戦闘を任せているため、外皮を纏った普段のグリニデが、ロズゴートやベルトーゼのように多属性の冥撃を扱えるのかは不明。




……本人はとかく自分で戦うことを避けていた。
────グリニデ当人も二度となりたくないと思っていたが、怒りが頂点に達してしまうと己の精神を安定させつつ冥力を“抑制”する効果を持つ深緑の外皮を破り、本来の自分の姿に戻ってしまう。

本来の姿になると、魔人に対する決定打になりうる才牙でさえ悉く受け付けない防御力を発揮
並の魔人の身体を易々と撃ち抜くビィトのサイクロンガンナーの連射が直撃してもビクともせず、フラウスキーの体を粉々に砕いた全弾解放さえごくわずかな足止めにしかならないどころかノーダメージ
ファントムゆえ力量が遥かに劣っていたとはいえ、それでも五ツ星・六ツ星級の実力とされたベルトーゼを終始怯ませたクラウンシールドの鉄球を普通に蹴り返している。
ロズゴートを一瞬で貫通・凍結・粉砕し、現状最強クラスの天空王バロンでも致命傷を覚悟するキッスの氷の天撃の中でも奥義である天青の氷結波も筋肉の隆起で受け止めた上でロクに凍らせられず普通に行動出来ている。
流石に強力過ぎるボルティックアックスとなると例外で、本体が直撃するとそこそこ深い傷を与えられるものの当時のビィトのレベルでは狙って才牙を当てる事など不可能であったし、上位魔人なら両断する勢いでなければ問題ないあるいは回復可能な模様*4。本体から放たれる衝撃波でも一応ダメージは受け最初は怯んだものの傷は浅く、それらを見抜いた後は余裕で受け止めておりダメージも殆ど蓄積しなかった。
当時でも鋼鉄をバターのように斬れる切れ味を誇り、移動速度が上がる効果も持つビィトの切り札“エクセリオンブレード”に至っては、相性こそよさそうだがビィトには選択肢にも上がらなかった。

攻撃力も規格外で、パンチが届く前の風圧だけでビィトを吹っ飛ばしたり*5と色々凄まじく、ベルトーゼの部下のハザンに「格が違いすぎる」「主の方がはるかに紳士的に見える」とまで言わしめた。

能力については冥力を全て筋力増加につぎ込んでいるため、搦め手は何一つできない。
しかしこの単純に蹴る殴るなどの暴力行為の一つ一つが必殺の威力であり、防御面も前述の通り最高峰。
クラウンシールドのおかげでビィトは何とか耐えていたが、あっさり吹き飛ばされたり盾を弾かれたりとまともな肉弾戦はこなせていなかった。
実力差がありすぎたゆえにビィトは風圧で抵抗もできずあっさり吹き飛ばされてパンチの直撃を避けることに成功するなど、幸運にも恵まれた。
ちなみに筋力増強以外にも冥力を力の塊として利用することは可能な模様で、ポアラはこれで炎の天力を抑えかけられていた。

弱点としては、虫種族らしく樹の章の魔物と同じく炎には弱いこと。
ポアラの炎天撃に対しては触れることを避けて冥力の掌圧で抑え込んだりしようとしていた。
しかし、並の炎天撃では顔面に至近距離で直撃させられても時間稼ぎ程度にしか効かない上に、上記のように腕の一振りでさえ化け物じみてるのでそもそも近づくことが困難。
ポアラが捨て身で放った上位天撃に相当する炎の天撃奥義バーストエンドを右腕でまともに受けても腕が吹き飛ぶ程度で致命傷には至っていなかった。
また当時のビィト自身も効き目が薄いと考えたのかグリニデへの直接攻撃に火属性のバーニングランスを用いることはなかった。

七ツ星相当の実力を持ちながらも、ベルトーゼらに遅れて六ツ星だったのは本人が暴れることを好まず知略を用いた戦略故と思われ、ガイドブック『グランドアドベンチャー』ではシャギー館長に「本来、最強とも言われる肉体をお持ちです。この力をもっと早く解放されていれば、領土もはるかに広がったと思われます」と評された。

なお、真の姿になった場合も知的でクールな部分が無くなるわけではない。
極めて凶暴でいきなり号泣し始めるなど感情の抑えが効かなくはなるが、ビィトのボルティックアックスの攻撃の弱点を見抜き、彼を消耗させると同時に絶望感を与えるためにあえて攻撃させるままでいたり、連携(彼曰くこざかしいマネ)を読んだり、ポアラの炎の天撃を咄嗟に冥力で抑え込むといった戦略を見せており、
厳密にはあくまでも精神が不安定=感情の抑えがきかなくなり、結果的に野蛮で粗暴で暴れ狂う事しかできない典型的な魔人になるのだと思われる。


  • 怒剛裂波(どごうれっぱ)
前述の通り冥撃すら使わないグリニデの持つ最大の魔奥義。
全身の筋肉を冥力で高速で振動させてその衝撃波を地面に放つ技。その威力は周囲の地面を根こそぎ削り取りビィト達を全員吹き飛ばした。
発動後は、中央のグリニデ以外吹き飛ばされ、さながら爆心地のような光景となる。
重ねて言うが、筋肉操作だけで実現させている
シャギー曰く「かけられたら、敵も味方もたまったものじゃない」。
完全に余談だが、作者の前作であるダイの大冒険に登場したカラミティウォールに非常によく似ている。キッスがとった対処法も少なからずカラミティウォールをノーダメージで凌いだやり方と共通している(こちらは多大な消耗を伴う為力尽きてブッ倒れたが)。


知略家として

圧倒的なパワー以上にグリニデを語る上で外せない魅力の一つ。
上述したように本性は能力含めてぶっちゃけた話脳筋のバーサーカーなのだが、作中で彼が成し遂げたことは、
  • ⓪:前段階として、魔人の古代遺跡が多くある黒の地平を支配し、遺跡が他の魔人に取られたり破壊されたりしないよう保護及び独占
  • ①:遺跡の魔文字を元に遺失した魔物製造技術をほぼ復活させる(古文書の読み解きはキッスだが、実際の実験室形成や必要物資の調達などはグリニデ)
  • ②:技術の為の研究と試験運用で買った魔物を戦略レベルでも使う(人口を十分の一にし、大勢の希望も失わせていた)
  • ③:しかも戦略的視点から安い魔物にも価値があることを把握している。(個々の魔物の性能を把握して効率的に運用している)
  • ④:技術の為なら見下す存在からも高度な人材を見出す(その上、裏切っても手放そうとせず自分の手元に置こうとする)
…と、嘘偽り無く知将と呼ぶに相応しい功績を挙げている。
人類社会からすると非情に危険かつ重大な脅威である。
彼は既に魔物製造技術を九分九厘まで解明しており。完成していれば間違いなく(暗黒の、と但し書きは付くが)「世紀の大偉業」と称して差し支えないものだった。
無論、この功績はグリニデ自身の知識や研究のみではなく、キッスの博識と聡明さあってのものなのは相違ないが、むしろ虐げ唾棄すべき存在である人間のキッスを彼なりに重んじた事実こそがその器の広さや柔軟性を示していると言える。

このように人材を見る目があり、
  • 高位の魔人としては破格に理知的だったロズゴート*6
  • ビジネスライク故に扱い易く、プロ意識が高いが故にきっちりと戦果も上げ続けるフラウスキー
  • 実力の足りない小物だが俗物ゆえに扱いやすく与えられた最低限の仕事はこなすベンチュラ
といった配下とした魔人たちのことも、きちんと各々の性質を把握して運用していた。特筆すべきなのは、足を掬われる頭脳派の悪役にありがちな、
  1. 全部を頭のいい配下にやらせる(バックドアを作られる危険性がある)
  2. 魔物を単なる戦力としてしか見ない(戦術的思考や戦略性が皆無)
  3. 知能の高い人材の価値を理解しない(優秀な頭脳を無為に使い潰す)
などの欠陥も全く存在していないことだろう。

作中で「安い額で小虫の類を繁殖させる小心者」*7と揶揄されているものの、直後に本人が力説し(力尽くで)撤回させたように、彼の方針は「無駄金を掛けず安くて繁殖させやすい魔物を効率良く増やして勢力を拡大し、人間社会そのものに被害を与える」という合理的なもの。
そのため、大勢力の割には財力にもかなりの余裕ができている*8と推察され、バスターの力試しに大型の魔物を購入し使い捨てたり、本命である魔物の製造研究に大規模な投資を可能にする大量の資金を確保できる*9。まさに一石二鳥の秀逸な戦略と言って差し支えない。
強力な魔物が少ないため一騎当千の猛者には対処しづらい欠点も、配下の三魔人を差し向けることで解消している隙の無さである。

まさに知将と称すべきグリニデを打倒したビィトたちの功績は、すなわち人類に仇なす「勢力」の誕生を防いだ*10と言えよう。
恐ろしいのはこの知略に加えて、グリニデ本人が魔人界のトップランカーの称号『七ツ星』に到達した猛者の一角であり、更に精強な五ツ星魔人を2人も従えていることだろう。
仮に人類側がその危険性を看破してグリニデの打倒を試みようにも、魔人屈指の支配域と魔物の大軍団を突破しつつ、更に三魔人を撃破した上で、居城の主力を相手取りながら怒り狂う血塗られた獣と戦わなければならないのである。
これが如何に困難なのかは想像に難くなく、事実ビィトたちの勝利も幸運に次ぐ幸運でようやく為し得た奇跡であった。


ぶっちゃけ他の魔人が大なり小なり方向性は違えど『アクションRPG』をやっているのに対し、グリニデだけ信長の野望ギレンの野望みたいなガチガチの『戦略シミュレーション』をやっているため、序盤のボスキャラの癖にその行動の異端度は作中随一。他の魔人と違い、一個の強者では無く、一つの「軍団」を持った「将」に成り得たという独自性まである存在であった。
おまけに作中では戦略レベルでのミスがないため、時間が経てばそのまま魔人の最高位『八輝星』に昇格*11していたか、魔賓館に「知り過ぎた」として消されるような枠になっていた可能性があり、作中ではシャギーが三魔人の死をあえて伝えることでわざとグリニデをキレさせ、グリニデを真の姿に戻したビィトに感嘆している。
また、魔賓館の奥に潜む何かはより強い魔人を求めている節が見受けられるため*12、自らが暴威を振るわず、軍隊を用いて人類を苦しめる魔人は望んでいない可能性もある。


【グリニデ配下】

魔物

魔獣大鑑の“樹の章”にある「グルメアント」「大甲虫」「罪人たいまつ」など、昆虫型や植物型の魔物を多く用い、効率的に魔物を増やして人間社会に甚大な被害を与えてきた。
これらの魔物の多くは黒煙を噴き出す習性を持っており、これによってトロワナ王国全域の空は何十年も夜明けのない漆黒に覆われ、大地や自然は魔物の毒素によって蝕まれ「黒の地平」と呼ばれる程に荒廃してしまった。
また実は、魔物製造技術の研究にあたり、まずはひとつの章の魔物を完全に把握するという狙いもある。

それを理解できない(しようともしない)粗暴で短慮な魔人はグリニデを「安い額で小虫などを大量繁殖させて勢力拡大している典型的な小心者」「星の数が少々上でも所詮小細工の賜物で純粋な実力は大したことはないのでは?」などと侮ることも。
将来有望そうなヴァンデルバスターを見つけた場合、まずは大型の強力な魔物をぶつけ、それでも生き残った場合はグリニデがバスターを人質などの罠に嵌め、不意を突いて毒の矢で一撃の元しとめる“狩り”を行う。


●ダンゴール

CV:埴岡由紀子

9巻巻末及びガイドブック『グランドアドベンチャー』によれば「プロテク虫」というダンゴムシ型の魔物。
知性を与えられてグリニデの執事を務める。キッスの回想ではグリニデに食事を運ぶ場面も。
自身は戦闘を行わないがダンゴムシのように丸まることができ、そうすると打撃に対してかなり強くなる。これによって苛立ったグリニデのサンドバッグになることでグリニデの怒りとストレスを発散させる役割も担っている。
グリニデはこのおかげで自分の冷静さを保つことが出来るためダンゴールに非常に感謝しており、ダンゴールもまたグリニデの役に立てることを喜び忠誠を誓っている。
普段のグリニデは理知的かつ寛容で、ダンゴールもグリニデを尊敬しているため両者の関係は非常に良好だった。
常に敬語で話し性格は温厚で、グリニデを裏切ったキッスに問い詰めた際、ポアラ「さんざん人間を苦しめて、都合の悪いときだけ被害者みたいな顔をするな」と言われたときには言い返せず大泣きした。これには殺気立ったポアラ達も毒気を抜かれていた。
真の姿となったグリニデにも食い下がったが、彼の最後の理性と魔奥義を目の当たりにして彼の命令通り逃げ出した。
アニメ版では泣き出しながら逃げている事、グリニデの死をはるか遠くから察知し彼の名を叫ぶシーンが追加されている。


◆三魔人

グリニデが部下としている魔人達。
基本単独で行動することがデフォルトな魔人の世界において、配下に複数の星を持ち実力ある魔人達を収めるのは非常に珍しい例である。
彼らは全員左腕に「忠誠の腕輪」を取り付けられており、グリニデに逆らえば彼の冥力に応じて猛毒が腕輪から注入されるようになっている。
また、天力に反応する事でも注入されるため、天撃使いがこれを嵌められたら事実上天撃を封じられる。
魔人の場合毒により死にこそしないが、星が刻まれている左腕が腐り落ちてしまうため、魔人にとっては死と同義である*13
本項目冒頭のやり取りの様に、少しだけ刺して毒を手加減することも出来るため、ベンチュラにこれを利用して影響が残らない程度の罰を加える場面もあった。

『黒蜘蛛』ベンチュラ


そうよ!黒の地平は既に我が支配下!!
ざっと100の国を滅ぼしてやったとも!!!

CV:津久井教生

グリニデ一派の中では偵察役を任されている三ツ星の魔人。
見た目は青い肌が黒い甲殻で覆われた、6つの腕を持つ蜘蛛男。
キッスと同じく、グリニデに無理矢理つかまり毒の腕輪を嵌められて配下にさせられた。

臆病な癖に虚栄心だけは他人の数十倍という典型的な卑しい小物であり、グリニデの名を騙ったり、敵を罠に嵌めていたぶることを好む卑劣漢。
おまけに平気で人間に命乞いをする情けなさまで見せる。
手足から粘液質の糸を出して移動や敵の捕縛に用いるが魔奥義すらもたない弱卒。
一応、ポアラの銃弾を至近距離から顔面や後頭部に叩き込まれても痛がるだけの頑丈さはあるのだが、後述のフラウスキーも同じ銃弾を無防備に背中に浴びても平然としていた。
首長エイという強力なモンスターを撃ち抜けるほどの威力がある銃なので、実力がどうのというよりも魔人全般に天力のこもっていない通常武器による攻撃に対して強い性質があるからだと思われる。
対峙したビィトにも、三ツ星とは思えない弱さでせいぜい二ツ星程度だと思ったと酷評されている。
それ故に人格面ではグリニデを含めた身内からの評価も非常に低い。グリニデ曰く「明日の小遣いしか頭にないようなタイプ」

それでもグリニデがわざわざ配下にしただけあり、雑用・偵察やフラウスキー本体の回収役などにはちゃんと使えるため、グリニデからは使い道があるとして見捨てられてもいない。
イラつきやすいグリニデだが、そもそもベンチュラにはあまり期待もしていないため制裁の時に少し毒を加えるくらいで不機嫌さもほとんどなかった。
ガイドブック『グランドアドベンチャー』「魔賓冥典」ではシャギー「隠密性に優れかつ臆病で勝利を確信するまで表に出ない性格は偵察任務にピッタリ」と改めて評価し、グリニデの慧眼を誉めている。
事実、しぶとさと生き汚さはかなりのもので、虚栄心こそ問題はあるがそこそこ目端も効くので便利な手駒であった。

慢心や虚勢の結果、ポアラ銃手甲(ガンアームド)によりゼロ距離で顔を何度も打たれたり、ポアラに拷問をしようとしてナイフで腕を3本切り落とされたりと散々な目に合った。
最後はビィトに倒されたフラウスキーを救い出して恩を売ろうとした矢先に、サイクロンガンナーの長距離射撃モードでフラウスキーの中枢諸共心臓を貫かれて死亡。
さしもの彼の悪運も、常識外れのビィトに掛かっては尽き果ててしまった。

アニメ版では引き延ばしの都合もあり出番がかなり増えた。おしゃべりなのも相まってかなりコミカルになっている。
17~20話では、黒の地平に来たビィト達を襲う機会も兼ねて、テルセロンの町を襲撃するもビィト達の反撃にあい失敗。
21話ではリベンジのためにトリュプスを購入しようとするが魔札が足りずシャギー館長に土下座してなんとか割引してもらい購入。その攻撃も失敗した際には「俺にはかわいい一人娘がいておまけに借金まであるんだ!娘に美味しいものを食わせてやろうと思ってつい功を焦っちまった!どうか命だけは…」と命乞いしてポアラに「魔人に子供なんかいるわけないでしょ」とツッコミを受けた。


『鮮烈の紅弾』フラウスキー


つまんねぇ事で熱くなってんじゃねぇよ。
魔人だぜ…オレは。人間を殺す理由なんて考えた事ぁねぇ……!

…それとも…殺す前に
理由を言ってくれなきゃイヤなのか?坊主…!


凄腕の殺し屋として魔人界と黒の地平に名を轟かせ、グリニデ配下の中で最も恐れられる五ッ星の魔人。
見た目は樹木や花が組み合わさったような植物人間。
用心深さと実力の高さでグリニデの信頼も厚く、強敵の殺害が必要ならばグリニデは彼に頼むなど非常に重宝している。

冷徹に獲物を仕留め、理由もなく関係のない人間の命を奪う冷酷非情ながらもクールな性格。
グリニデのことは「旦那」と呼んでいる。(ラク)を座右の銘に掲げており、グリニデは無駄のない指揮をする上に、頼めば事前に殺しに必要な下準備などを整えてくれたりするため、「旦那の仕切りは楽」ということでグリニデの部下になることを選んだ様子。
詳細は個別項目を参照。


『闇軍師』ロズゴート


私はグリニデ様からおまえたちの抹殺を言い渡されてはいないが……

降りかかる火の粉ははらわねばならんっ…!!

CV:草尾毅

グリニデの右腕を務める最側近であり五ッ星の魔人。黒の地平の魔物の指揮を担当する。
常にローブを目深に被っているが、素顔は蛾のような怪人。様々な性質の鱗粉を放出できる体質を持つ。
口数少ない寡黙な人物で、命令にない余計な戦いは好まないなど上2人と比べるとややキャラ的に影が薄い。フラウスキーが濃すぎる?知らんな
詳細は個別項目を参照。 


【物語での活躍】

◆過去

魔人は完全体で生まれる。

グリニデは魔人で一、二を争う凶暴性から「血塗られた獣」の二つ名を周囲につけられた。
暴れた後に何も残らない寂寥感と孤独を嫌ったグリニデは、自らを変えようとする。


五ツ星の頃には「深緑の智将」を自称するようになり、同じ大陸の強豪魔人であったロズゴート*14を同盟に誘う。
グリニデの誘いは紳士的でロズゴートは乗り気だったが、気分を良くしたロズゴートがグリニデを「お前」呼ばわりしたことで激昂。
自分の腹心魔物サムミョールのウゴを殺しつつロズゴートの城を壊滅させ、圧倒的な力を目にしたロズゴートはグリニデに忠誠を誓うことを選んだ。

過程はともあれ、優秀な魔人達を部下に引き込んでいったグリニデは勢力を拡大し、七ツ星に至り行くまでの損害を人類に与えた。


◆レドウ編

趣味を兼ねたヴァンデルバスターの青田刈りをすべく、魔物大甲虫をビィト達にぶつけ、ビィト達が見事大甲虫を返り討ちにしたのを見て標的に定める。

港町レドウにてビィト達を襲撃。ポアラを毒矢で仕留め、瀕死の彼女をエサにビィトを毒矢で仕留めようとした。
しかしビィトには見抜かれており、「とびきりズリィ奴」と評された。

ビィト相手に直接戦闘に入ろうとするが、グリニデの殺気を見たビィトから「見た事ねぇ…ここまで凶暴そうな魔人」と言われてしまい、当人としてかなり嫌な言葉を言われたグリニデは激昂しかけてしまう。

しかしバスターの青田刈りをはじめたグリニデと戦うために、ベルトーゼが乱入。
自分の暴力を何よりも嫌うグリニデは自分と戦おうとするベルトーゼの挑発を受け流し、ビィトの相手をベルトーゼに任せて去っていった。



そしてベルトーゼ(の分身体(ファントム))はビィトに敗北。

これまでの功績で七ツ星となったグリニデは、ベルトーゼが死んだと聞いて更に喜ぶのだった。


◆黒の地平編

ビィト達が黒の地平を訪れる。
配下である三魔人が、キッスが反旗を翻したこともあってビィトとキッスに倒されてしまい、かつてないほどに激昂。
ビィト達がグリニデ城に攻め込んだ時には既にグリニデ自身の手によって城も部下の魔物達もメチャクチャに破壊されていた。
しかも本来のビィト達の破壊目標だった、城にエネルギーを供給する中枢部まで。

しかしここまで暴れても一切破壊されていない場所がひとつだけあった。
彼自身が「世紀の大偉業」と称する部屋……それは魔物の製造部屋であった。
現在、魔物の製造は魔賓館独占の技術。
グリニデは黒の地平にある遺跡から昔の魔人の技術を積極的に発掘し、キッスの知識も借りて九分九厘までこの技術を完成させていたのだ。
これが完成した場合、確かに他の七ッ星を上回る脅威になることは想像に難くない。

明確な裏切り者であるにもかかわらずキッスの天才的な頭脳*15を惜しんだグリニデは彼を城のトラップでこの部屋まで連行し、言い分を聞いてもまだ再び自分の部下に戻るよう脅は……説得する。
しかし誤算だったのは配下に戻る際にビィトたちを自分の手で始末するようにキッスに命じたこと。この時キッスとビィトの信頼関係が想像以上に強くなっており、キッスは「嘘でもビィトを裏切る事は出来ない」と、これを拒否しブチ切れているところにビィトが乗り込んだ!……のだがそこでもまだ『教育的指導』という表現を使い、キッスを殺そうとはしていない。
むしろ突撃してきたビィトのことなど二の次で「失せろ!」と言っている。

ちなみにキッスの言い分(完全な裏切り行為)を聞く前は角が伸び、怒りのあまりとても魅力的なスマイルを浮かべている。
言い分を聞いてからは、怒りを堪えてプルプル震えている。

そんな状況のさなか、ビィトにキッスへの扱いを否定され、「お前」呼ばわりされたことで怒りが頂点に。
そして……。


……ちっぽけなゴミクズのくせにッ!!

よくもッ……よくもオレを……このッ……!!


この……化物(バケモノ)の姿に

戻してくれやがったなぁッ!!



深緑の外皮をぶち破り、中から昆虫を思わせる甲殻に覆われた、今までの面影など全く無い攻撃的な姿が現れた。
実はこの姿こそ魔人グリニデ本来の姿であり、普段の深緑の外皮は、
精神安定作用・冥力増大の抑制作用がある秘草「トラキラ」の成分を溶かした液に日々浸かり続けることで得たもの。

つまり、今まで腹心魔物を殺めたり、他人や自分の城を破壊しつくした時でさえも(真の姿の時と比べて)精神が安定していたのである。
実際にこの姿のグリニデの暴走は今までの比ではなく、あれほど大切にしていた世紀の大偉業の部屋をも破壊するほど。
こうなってはダンゴールを使ったストレス解消もほとんど意味を為さない…というよりも恐らく保たない。
しかし、ダンゴールに対しては今までの感謝の念からか、ダンゴールの姿を見ると一瞬だけ冷静さを取り戻しつつ、激怒する演技と実演でダンゴールを追い払い無事に逃がせた。


…そうだ…それでいい 
とっとと逃げろダンゴール

この姿になってしまったからには……オレは…また一人だ…

魔人博士ノアシャギー館長ベルトーゼの腹心魔物ハザンらが遠くからビィト達とグリニデの戦いを観察する中、グリニデは圧倒的なパワーでビィト達を追い詰めていく。
他の才牙では歯が立たないと分かったビィトは唯一ダメージを与えられるボルティックアックスで対抗するも、まだ上手く使えない上に体力の消耗が激しく(しかも当たっても大したダメージではない)、一か八か魔人の冥力を制御する器官である角を折ることを提案する。
そしてキッス、ポアラ、ビィトそれぞれが持てる力を全て出しきり、見事に角を折ることに成功。


これで…勝ったと思うか…?


ビィト「ああ…!おれたちの勝ちだっ…!!」

……GOOD!正解だ …私の負けだよビィト君…

この方がマシだ…上級な魔人(ヴァンデル)の最期としては ね
“血塗られた獣”のままで死んでいくのに比べれば
多少は知的でクールだろうからな…!

…そう…それほど私はこの自分の真の姿が嫌だった
野蛮で!粗暴で!暴れ狂う事しかできない…
まさに魔人(ヴァンデル)の典型……!
私の一番嫌いな者……それは“自分”だったのだ…



ゴールを目前にして…君らのような若造に倒された事は素直に悔しいが…

「よくぞ倒してくれた」…そんな気にもなる

かすかにだが ね…


自身を打倒したビィト達に、知性を取り戻して己の内に秘めたコンプレックスを吐露し、勝利したことを素直に賞賛するグリニデ。
しかしグリニデほどの強大な冥力の持ち主の角を折ることは強力な爆弾の導火線に点火することと同じであった。
単なる本心の吐露と敗北宣言だけではなく、最後の最後でついでと言わんばかりにそのことを告げて意趣返しを果たし、戦慄するビィト戦士団の姿を見つつ、穏やかな表情となる。

フフッ…いい表情だ

最後の最後でちょっと溜飲が下がって嬉しいよ…
ビィト戦士団!


…ではGOOD LUCK!!

ビィト達に嘲笑とも激励とも取れる言葉を残して最後の意識を喪失。
この時、ミルファが現れなければビィト達は確実にグリニデの自爆に巻き込まれて共倒れしていた。


しかしグリニデ本人にとってはビィトを道連れにしたことよりも「血塗られた獣」グリニデではなく「深緑の智将」グリニデとしての最期を遂げたことが大いに満足であっただろう。




なお、グリニデを倒したことによってビィトの名が広く知れ渡り、後のビィト争奪戦の引き金となっている。
ちなみにこの時点ではまだ才牙が傷つくと持主も傷つくという描写は一切無く、本来ならビィトは分身体ベルトーゼやグリニデとの戦闘の最中に大ダメージを受けていたと思われる。

◆アニメ『冒険王ビィト エクセリオン』


待っていたよビィト戦士団の諸君。
ようこそシャンティーゴへ
君らとはきちんと話したいと思ってね…

紅茶を用意したんだよ
飲みながらゆっくり話をしようじゃないか
さあ早く…


アニメの続編であるエクセリオンにて、とある島シャンティーゴに声も風貌も同じ四賢者のそっくりさんグリファス(れっきとした人間)がおり、ビィトたちを驚愕させた。
あまりのそっくりっぷりにキッスは恐怖し、度々閣下と呼んでいる。

さらにグリファスは普段は冷静だが、自分をグリニデとそっくりと言われたり天撃をおろそかにされたりすると怒ってしまうというあたりも同じ。口癖は「エクセレント」。
傍にはファーニャというメイド少女が仕えており、グリファスが怒った時には「グリファス様、Be cool! Be cool!」と言って落ち着かせる。

炎の天撃の達人であり、ビィトたちに炎の天撃の奥義を教える師匠格になった。
ビィトが当時グリニデを倒せたこともあって天撃を少し軽視していたことに対しては「君はグリニデを倒したそうだが、それは奴が“血塗られた獣”だったからだ!もしグリニデが“深緑の智将”のままであればどうなっていた!奴の冥撃に手も足も出なかったはずだ!」としっかり叱ってビィトも反省した。
…結果的にでもあるが、指導方法は実戦にて「見て真似ろ」と色々雑。


2話のシルエットつき初登場時にはグリニデが登場するときのBGMつき。
3話での登場は原作でグリニデがブチ切れながら扉を開けつつキッスをお茶に誘った時の言葉のパロディ。
いくらなんでも愛されすぎである。


【以下、作中での主な台詞】


  • 5話
「……私は……常に冷静(クール)だ……!」

  • 6話
「……殺しておくかな……! この場で!!」

  • 10話
「…どうだ?似合うかね?」
ダンゴール「(なっ…七ツ星!!ついにグリニデ様も地上の魔人の最高位になられたっ…!!)お…おめでとうございます!!!」 
「ウム!」

  • 20話
「そう……八輝星だよ。……ゴールが見えてきた……!!」
「"おまえ"だとおオオォオッ!!!?」

  • 21話
「……ちっぽけなゴミクズのくせにッ!! よくもッ……よくもオレを……このッ……!!
この……化物の姿に戻してくれやがったなぁッ!!」
「……そうだ……それでいい。とっとと逃げろダンゴール。
この姿になってしまったからには…………オレは……また一人だ……」

  • 25話
「…フフッ…君は予想をはるかに超えるワンダーボーイだったな 
そういう意味では数いるルーキーの中から君を選んだ私の眼力は相当なもの…ということになる…!」
「そう……それほど私はこの自分の真の姿が嫌だった。
野蛮で! 粗暴で! 暴れ狂う事しかできない……まさに魔人の典型……!
私の一番嫌いな者……それは"自分"だったのだ……」
「……では、GOOD LUCK!!」

  • アニメ版次回45話予告
「知的にCooLに…。今この瞬間を迎えられることを嬉しく思うのだよ、ビィト君。
…では時間だ。君達を道連れに、私のEXCELLENTな人生を華々しく終えるとしようか。
GOOD LUCK!AND THANK YOU!テレビの前の諸君!」



【余談】

  • 魔賓館通信
読者投稿コーナーである「魔賓館通信」では、他の魔人を差し置いて何故か彼(&ダンゴール)がコメントを担当していたが、
初っ端から「ゲリニデ」という酷いペンネームのハガキを読まされるなどかわいそうな目に遭っている。
詳しく見てみたいならガイドブック『グランドアドベンチャー』を買おう。
コミックスの1/3くらいがそのコーナーで占められている。

  • オマージュキャラ
ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の前日譚『勇者アバンと獄炎の魔王』では、『自身と同じ種族の粗暴さにコンプレックスを抱いている』『特定のキーワードでブチ切れる(流石にグリニデほどではないが)』といった共通点を持つ敵キャラガンガディアが登場している。
似たところはありながらもガンガディアは、「魔王ハドラーへの忠義」を第一としている他「敵ながら憧れ、目標として尊敬している存在」もおり、最後は自分のコンプレックスを乗り越えて主君の勝利のために戦うことを選んだ。

キャラクター

初登場時(六ッ星)はルーキーだったビィトに目を付け、絶対的な実力差でありながらも、「人質を取って罠に嵌め、その上不意打ちで仕留めようとする」など小狡い手段を取ったものの、いざ実力を発揮しようとした時はビィトがたじろく程のプレッシャーを放って圧倒した。
ちなみにこの策略も趣味と実益を兼ねたものと自ら公言しているため、迂遠な手管を用いたのは自身が力頼みの他の魔人とは一線を画すということを実践したいがゆえの行動だったとも取れる。

なお乱入してきたベルトーゼには「お前の青田刈りで楽しめる人間が減ってみな退屈している」と苦言を呈されたが、
将来有望な敵を未熟なうちに摘み取るのは(漫画的にはさておき)合理的な戦略を前提とすれば極めて真っ当である。
この両名のやりとりは、魔人と言う存在がいかに目先の闘争しか頭に無いのかを端的に示した一場面であろう。
…と言うよりも、ここまで理智的に効率重視の作戦を徹底するグリニデがやはり異端中の異端と言うべきか。
他の魔人がネタ元のドラクエボス勢ならば、閣下はさしずめ勇者のくせになまいきだ。*16の破壊神様だろうか。

ベルトーゼの横槍が入ったのでグリニデはその場を撤退したのだが、
星の数(七ッ星)とこの時の経験を元に、色々な才牙を使いこなし始めたビィトも戦うのはまだ早いと判断しており、
事実グリニデと戦っていればビィトはほぼ間違いなく完敗し、最悪ポアラと共に殺されていたと思われる。

最初の大ボス的存在ではあり、たまに『当時のビィト達たった3人で倒せたんだから七ッ星魔人の中で最弱』扱いする者もいるが、
その後に現れた七ッ星と見比べても活躍や能力は遜色なく(もちろん他の七ッ星も相当に強力)、正しく強敵に相応しい存在である。
ちなみに上級天撃が直撃すると七ッ星でも致命傷を負いかねない(※バロン戦)にも拘わらず、ソレを普通に受け止めて追撃を蹴り返すなんて常軌を逸した芸当をこなしたのは今のところグリニデだけである。
更に言うと、後の七ッ星の魔人撃破はグリニデ戦より戦力が整った上で*17 ある程度確信的な要素によるものであり、撃破後も一応全員満身創痍ながらも自力で拠点に戻っている。
それに対し、グリニデとの決着は3人が3人共にまさに120%の実力を無理やり出しきった上で幾重もの幸運も積み重ねという綱渡りの果てにようやく成し得たものであり、戦いの後は全員天力切れによる強制睡眠に陥りミルファの助太刀が無ければ置き土産で全滅確定であった…と、後の七ッ星魔人以上に力を出し尽くした死闘&作中屈指の名場面である。
仮に今現在のレベルのビィト達で挑めたとしても油断ひとつであっさり瓦解させられる死闘になるのは想像に難くない。


この智将っぷり・キレっぷり・悲哀を感じさせるそのキャラクター性からか、読者の間では偉大な敵キャラ兼愛されキャラとして定着した。



さぁ 私の項目の追記・修正について話し合おう…

君にも言い分はあるだろうし…ね!


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最終更新:2024年03月15日 09:47

*1 一発で沈んですぐ眼中に入らなくなったからか、城もロズゴートの魔物も自身の副官ですらぐちゃぐちゃにしている最中運良く生存し、犠牲も左目だけで済んだ

*2 そしてその場を後にした瞬間に聞く耳を持たず即ブチ切れてダンゴールを足蹴にしまくった

*3 これは魔人への誰かからの説明によるものらしく、魔人としては一般的な認識。人間との力の差に加え、人の心を持たないゆえかそもそも種族が異なるためかほとんどの魔人はそう思っており、野蛮で粗暴な魔人とは一線を画すグリニデさえ根本的には同じである。

*4 過去にブルーザムがベルトーゼのどてっぱらに斧をある程度めり込ませていたがその後もベルトーゼの行動に大きな支障はでていない

*5 グリニデはビィトを粉々にする為全力で放ったが、互いの力と質量の差が有りすぎたせいでビィトは逆に命拾いした。

*6 ただし彼はなまじ優秀で忠実だったが故に、キッスの価値を理解してグリニデの意を汲んでしまい、王手をかけた状態で裏切った彼を長々と再勧誘した隙に発奮され逆転負けを喫してしまった

*7 他の魔人は札束で魔物を購入しているが、彼は無駄遣いせず必要な分だけ安い魔物を購入する

*8 先述のように無駄遣いせず自分で少額の魔物を増やすので、同規模の軍勢を金任せで揃えるより長期的に見れば安上がりなのは自明の理である

*9 七ツ星になるほどの功績を挙げているため、なおさら相応の報酬で資金は潤沢になっていると思われる

*10 個々の魔人が好き勝手に暴れるよりも、大軍団が合理的な戦略的に基づいて行動するほうが脅威なのは言うまでもない

*11 作中でも暴力ではなく「遺失技術の復活による領土拡大」によって八輝星を目指している

*12 ビィトやゼノンに対する魔人側の扱いからも窺える

*13 フラウスキーの場合は手首を斬り落とせば外すことが容易とは思われるが詳細は不明。フラウスキーは『楽』が座右の銘でグリニデとの付き合いはギブアンドテイクなため、グリニデに対する義理立てかもしれない。

*14 アニメ27話の回想ではロズゴートも当時五ツ星。

*15 ちなみにキッス自身は真意を知らずに協力(遺跡発掘)していた。そしてグリニデが部屋を見せただけで瞬時に彼の計画を1から10まで把握し、グリニデはあっさり見抜いた事にも褒めている。

*16 魔物を繁殖させ管理しつつ、勇者たちを迎え撃つ異色作。最新作では更に魔物の巣で領土を拡げ拠点を攻め落とすのでそのまんまである

*17 ガロニュート戦はB.Bのミルファと実績ある暗殺者であるスレッド含めた5人で挑んでおり、バロン戦はグリニデ戦と同様少ない戦力だったがザンガの致命的な戦略ミス&キッスとビィトの連携&ビィトの新才牙の活躍が大きく、ヒスタリオ戦は今迄で最多のバスターが参戦していた。