OVERMANキングゲイナー

登録日:2009/10/15 Thu 17:33:02
更新日:2024/02/13 Tue 21:08:19
所要時間:約 7 分で読めます






信じろ!君のオーバースキル!


OVERMAN(おーばーまん)
キングゲイナー(きんぐげいなー)


2002年9月7日から2003年3月22日までWOWOW(有料枠)で放送されたサンライズ製作ロボットアニメ。
全26話。
原作・総監督 富野由悠季
シリーズ構成・メイン脚本 大河内一楼

◆概要

富野由悠季総監督とサンライズ井荻スタジオ母体による、『∀ガンダム』以来2年半ぶりのTVアニメシリーズ。
ブレンパワード』『∀』とは制作スタッフ、起用した声優等に共通してる部分も多く「富野新三部作」「富野復活三部作」などとも呼ばれる。

本作の最大の特徴は、「明るく楽しい」作品だということである。
実は設定的にはディストピア物だったりするのだが。
富野監督は過去に「皆殺しの富野」と言われたほどにハードな作風で知られていたが、それとは異なり、表面上は自身がかつて手掛けた『戦闘メカ ザブングル』にも通じるコメディタッチの仕上がりになっている。
作中での死人も、直接的には数人しか出ない。
富野曰く「ぬいぐるみロボットアニメ」とのことである。

どれ位明るいかというとメイン脚本の大河内一楼が人間爆弾を提案したら「暗い話はもういい」としておまいう却下されたり、ライバルは『クレヨンしんちゃんとして、徹底的にエンタメ路線に拘ったことからも監督の気合いが窺える。*1

放送局の関係でマイナーな印象ながら、富野の人徳(?)もあってか、スタジオジブリなんかもふくめて多数のアニメ制作会社が参加しており一般的なアニメシリーズよりも遥かに作画枚数が多く、マニアも唸る程の高クオリティなアニメーションが実現している。
原画40人超、最終話の作画監督3人、等が有名な逸話。
下記の声優陣の熱演もあり見ておいて損は無い快作である。

尚、知名度に関しては『スーパーロボット大戦Z』等への参戦(他はKやX-Ω、ACE3&Rなどに登場)を経て解消されており、ゲームの発売後にずうっと前に出てたリボルテックが売り切れになったり、高額化するという影響が出たりもした。
機体性能も優秀で、改めて富野作品の設定の緻密さが解るというものである。


◆ストーリー

地球環境が悪化した未来のシベリア。
ドームポリス『ウルグスク』に住む少年ゲイナー・サンガは、環境破壊後の体制を支配しているシベリア鉄道警備隊に逮捕されてしまう。
容疑はドームポリスからの脱出、『エクソダス』を企んだ事だった。
ゲイナーは留置場で出会った、エクソダス請負人のゲイン・ビジョウという男と共に脱走する。
逃走中、ゲイナーはゲインに導かれ、メダイユ公の屋敷の地下で『オーバーマン』を見つけ乗り込む。
起動させたオーバーマンに“キングゲイナー”と名付けたゲイナーは、不本意ながらヤーパンのエクソダスの為に戦っていくことになる。


◆主な登場人物

ゲイナー・サンガ(CV:野島裕史)
17歳。
主人公で引きこもりゲーマー。
ネット対戦格闘ゲーム『オーバーマン・バトル』にハマッており、その実力はネット界トップで人跡未踏の200連勝を成し遂げたことから“キング”の称号を得る。
勘違いからシベリア鉄道に逮捕・投獄されてしまい、そこで作戦のためにわざと捕まってきたゲインと出会い、彼の呼び掛けに応えて脱出。
導かれるかのようにキングゲイナーと出会い、ゲームで鍛え上げたセンスを元にパイロットとして戦ってゆくことになる。
反エクソダス主義者だった両親を殺された過去を持ち、自身もエクソダスに否定的だったが、偶然乗り込んだ“オーバーマン“キングゲイナー(ゲイナー本人による命名)”と共にエクソダスに巻き込まれて行く。
当初は、そうした事情もあってかエクソダスに否定的だったものの、憧れのサラや大人の男として憧れと嫉妬の対象であるゲインらの存在もあってか、やがてはエクソダス実現の希望を叶えるヒーローとして周囲に期待される存在になっていく。
ゲームで鍛え上げたオーバーセンスは作中最強と目されており、キングゲイナーの潜在能力も加わり、数々の強敵を撃破した。
終盤では、オーバーデビル攻略のために現実世界で戦闘しながらオーバーマンバトルをするという荒技をこなした事も。


ゲイン・ビジョウ(CV:かわのをとや)
28歳。
エクソダス請負人でもう一人の主人公。搭乗機はガチコ、エンペランザ。
狙撃の名手としても有名で、「黒いサザンクロス」の異名を持つ。
野性味溢れる外見だが、元々はドームポリス・ウッブスのフェリーベ侯爵家の出で、本名はシャルレ・フェリーベ。
女性には紳士的だが野郎はどうでもよいらしい。
アスハムとはコンビだったということは、以前はロンドンIMAだったのか?
ゲイナーをエクソダスに誘った張本人であり、後にゲイナーを男として認めると共に支えていく。
当初は、ゲインがキングゲイナーを奪って搭乗する予定であったようだが、パイロットとしてはゲイナーの方が格段に上である。
普段は飄々としてるいが、本気になったときは冷酷なプロフェッショナルとしての目を見せることも。


○サラ・コダマ(CV:小林愛)
17歳。
世話焼きで行動的なヒロイン。
いかにも、クラスの憧れのマドンナといったタイプ。
当初はゲイナーを根性なしの引きこもりと思っていたが、一緒に戦っていく内に彼の理解者となっていく。
本作の世界観では珍しくないのだろうが孤児であり、それ故にピープルのためと信じたエクソダスにも前向きだった。
初期にはゲイナーやベローの好意を利用して乗せるような小悪魔的な所も。
シンシアやゲイナーへの態度はオカンのごときレベル。
アニメ史上最高クラスに恥ずかしい告白を受けたり、凍り付けにされたり作中何かと大変な目にあっている。
終盤にかけては、自身でもゲイナーを好きになったことを認めて戦いを見守っていたが…。
実はヒューズの中の人と3次元の舞台で共演したことがあり、熊本の某小隊にそっくりさんがいる。


◯ベロー・コリッシュ(CV:大竹周作)
20歳。
特徴的なリーゼント頭をしたゲイナーのクラスメイトで、内向的なゲイナーとは対照的な、外向的でクラスの中心にいつの間にかなっている様なタイプのお調子者。
……実は、留年を繰り返しており、実年齢はゲイナーやサラよりもけっこう上。
サラと同様にガウリ隊の一員として働いており、接点の無かったゲイナーとは戦いを通して抜群のコンビネーションを見せる親友同士になっていく。
サラのことが好きでライバルを自称していたが、ゲイナーの大告白や働きぶりを知っているからか、自ら引いたような部分も。
シルエットマシンの操縦に長ける等、サポート力がハンパない。


○アナ・メダイユ(CV:鬼頭典子)
8歳。
本作品のロリ担当。
ヤーパンの天井が逃げたウルグスクを支配するメダイユ公爵家の令嬢で、エクソダス実行の際に屋敷から誘拐(の名目で自ら連れ出)される。
自称「哀れな人質」だが、中身は五賢人すら頭の上がらない女傑。
子供ながら読書家で知識も豊富で、自ら陣頭指揮に立つことも。
8歳ながらゲイナーやゲインより精神年齢が高そうな子。


ヒューズ・ガウリ(CV:草野徹)
28歳。
ガウリ隊隊長でヤーパン忍者。
五賢人の下で、エクソダスを成功させる為の実働部隊を率いる。
尚、忍者設定は脚本家が途中から唐突に書いただけだったものを御大が気に入り、ノリノリで演出した結果である。
忍者になってからは同い年のゲインと訳の解らないテンションで盛り上がるような一面も見せた。
以前はエクソダスを遂行するためには犠牲も必要と考える冷酷な性格で、エクソダス反対派だったゲイナーの両親を殺害したのもガウリの仕業だった。
しかし、エクソダスの意味を理解したゲイナーに許され、ガウリ自身もゲインやアデットに救われることになる。


○アデット・キスラー(CV:林真里花)
25歳。
シベリア鉄道警備隊だったが、作戦に失敗してヤーパンに居着く内に、いつのまにか教師として雇われる。
美人でサバサバした性格から、生徒達からは大人気。
誰が用意したのか、先生の格好がシベ鉄時代の変態ボンデージとは違った方向のエロスでナイス。
途中で難民となりエクソダスに合流したガンガランのピープルをまとめ上げてアデット隊を結成したりもした。
当初は上司のヤッサバに惚れており、バカップルかと思う程だったが、後にガウリへの唐突な告白でくっつく。
曰く“自分より弱い男には興味がない”とのこと。
ガサツに見えて思いやりがあり、必死にオーバーマンを欲しがっていたのもゲイナーだけを戦わせないようにするためだったりと、ゲイナー達は勿論、元部下のシベ鉄3人組も強烈ながら優しいアデットへの未練が捨てられなかった。
ゲイナーとは押しかけ同居人の関係であり、共に肉親を失っているアデットとゲイナーは、お互いに家族と呼べる存在となっていった。
最初はアデットが心に秘めているだけの感じだったが、アデット隊からそのことを聞いたゲイナー自身も家族であることを意識するようになる。


アスハム・ブーン(CV子安武人)
28歳。
妹を孕ませ逃亡したゲインを執拗に追うロンドンIMAの軍人イケメンだけどヘタレ。
数々の名言を誇るテラ子安。
超エリートなのに親友で相棒に妹を傷物にされ、愛憎入り交じる感情で勢いだけで突っ走り、プライドを棄てて仕える相手を変え、堕ちるところまで堕ちたかに見えて尚も生存したという黒富野時代なら何回も死んでたような人生を送っている。
スーパーロボット大戦Zで∀ガンダムのギンガナム、ガンダムSEED DESTINYのネオとで声優繋がりのクロスオーバーがあった。


余談だが余りのハマり役からか声優の子安氏が第22話「アガトの結晶」で演技に熱が入り過ぎて過呼吸を起こし死にかけ、救急車で運ばれたらしい。


○ヤッサバ・ジン(CV:江川央生)
32歳。
シベ鉄の戦闘隊長。
アデットとは相思相愛で、お互いに相手の名前を叫び合い行動を称賛しあってたようなバカップルだった。(実際に男女関係だったのかは不明)
強面で豪快な男だが戦闘では頭を使う強敵。
あまりにも濃すぎるキャラ故に主人公たちが目立たなくなるおそれがあったため、急遽途中退場させられてしまったが、エピローグで彼の元気な姿が見られる。*2

○ケジナン・タッド(CV:北沢洋)
31歳。
シベ鉄三人組の中では一応はリーダー格で、三人の中では最も見せ場も貰っていた。(活躍したとは言っていない。 )
農家の出で、立身出世(役人になって好き勝手し放題)を目指してシベ鉄入りした模様。
汚い小役人を絵に描いたような性格で、強きにへつらい弱きに辛く当たり、怖いとはいえ日頃から世話になっていたヤッサバが落ち目になったと判断した時には真っ先に裏切りにかかる(失敗したけど)など、義理人情も平気で踏みにじるが(主に本人の腕前の限界もあってか)悪党にはなり切れないという、一言で言えば性質の悪いお調子者。
ヤッサバの部下として登場した後、エンゲとジャボリと共にアスハム→カシマル→シンシア→キッズと直属の上司を変えつつも常に前線でゲイナー達と対峙させられ続ける羽目となったが、なんやかんやで生き残ったのは悪運なのかギャグ補正か。
最終的には、遂にキッズ公認で自称シベ鉄副総裁にまで出世するものの、この頃にはいい加減にオーバーデビルまで復活させたキッズの悪巧みと斜陽のシベ鉄の現実にほとほと嫌気が差して改心しており、エンゲ、ジャボリと主にキッズに公に反旗を翻してオーバーデビル攻略に力を貸した。
強い女性が好みのようで、アデットがヤーパン側に付いてからも後々まで執着していた他、シンシアの下に付いた時には妙に幸せそうであった。
幻を操るオーバーマンのメックスブルートとは相性がよかったのか笑撃の名場面も。(主役はゲイナーとアデットだが。)

○エンゲ・ガム(CV:小山剛志)
30歳。
シベ鉄三人組の一人でケジナンの相棒的存在。(お笑い的な意味で。)
一見すると眼帯姿の危険な香りのするシブメンにも見えるが、実際には眼帯は自らの気弱さを悟らせないための虚仮脅しに過ぎず両目は揃っている。
思い切りのない性格もあってか、ケジナン以上に悪党になりきれない木っ端役人ぶりで、長いものに巻かれて出来るだけ楽をしつつ、決して責任ある立場にも就きたくないという後ろ向きな処世術を持つ。
やっぱりシンシアの下に衝いていた時が一番幸せそうで、オッサン共の緩みきった姿にはジャボリも呆れていた。
最後はケジナン、ジャボリと揃ってキッズに反旗を翻す。

○ジャボリ・マリエーラ(CV:田村真紀)
23歳。
シベ鉄三人組の一人で、一番の若手ながら仕事自体は最も出来る模様。
その為か、遥かに年上のケジナンとエンゲのことも先輩として立てる以上に同輩(以下の相手)として接することが多く、発言にも遠慮がない等、割と長子のよい性格。(「お姉さま」と慕っていたアデット曰く「ジャボリのお調子者」とのこと。)
口にするのも恥ずかしい(と思い込んでいるらしい)ド田舎の出身らしく、キレると反対に相手を「田舎者」と罵るという宜しくない癖がある。
尚、オッサン共より仕事が出来るのは確かなのだが若いだけに経験不足な所も垣間見え、シベ鉄隊員にもかかわらず訓練以外で銃を撃ったことがなかった。
田舎者故にか無条件に都会への憧れを持っており、当初はロンドンからやって来たアスハムに媚を売っていたのだが(アスハムがゲインにある意味一筋なこともあってか)異性としては全く相手にされず、その内にアスハム自身が失敗を重ねた末に自分達と同じシベ鉄隊員になった時には心底落胆していた。
しかし、最終的にはシベ鉄を見限って協力したオーバーデビル攻略後の大団円にて、アスハムを迎えに来たカリンにケジナン、エンゲと共に拾われており、憧れのロンドン行きが叶うことになった。

カシマル・バーレ(CV:藤原啓治)
39歳。
通称「氷の運行部長」と呼ばれるシベ鉄の幹部職員。
列車のダイヤが乱されることを神経質な程に嫌っており、敵同士であると知らずに出会った初対面時のゲイナーに対しても、正常なダイヤが維持された状態の路線図を宝石のダイヤの完璧な美しさに例えて講釈した。
長身で紫のモヒカンで派手なメイクのオカマのオッサンでフリルの付いたファッションを好むという何処から切り取っても個性の塊で、中身に負けずに性格もエキセントリックその物だがキレ者で有能。
エクソダスをダイヤを乱す最悪の背信行為と断じており、管理部門のトップであるにもかかわらずに自ら失敗続きの前線の陣頭指揮をとる為に出張ってきてゲイナー達と対峙することになった。
ヤッサバ、アスハムに続く中盤の強敵といった立ち位置であり、目的達成の為ならば大多数のピープルに迷惑をかけることも厭わず、使えるものならばどんな汚い手でも平気で使うという容赦の無さだった。
パイロットとしても侮れない実力の持ち主であり、特に本人の性格の悪さからなのか精神に作用するオーバースキルを操るサイコオーバーマン系と相性がよく、ゲイナー達も散々に苦しめられた。
実際、本作のストーリーを語る上で特に重要なものとして挙げられる、三大アニメ史上最も恥ずかしい告白の一つであるゲイナーのサラへの告白、明るいと言われる本作に後ろ暗い裏設定があることを思い出させたガウリによるゲイナーの両親の暗殺の発覚、ゲインの親友エリアルを利用した作戦の中で発覚したゲインの失敗の過去……は全てカシマルとの戦いの中で起きた出来事である。
しかし、ゲインの過去を利用した作戦の中で加担した親友エリアルが“けじめ”で逝く等、カシマルはやり過ぎた(・・・・・)末にゲインの本気の怒りを買うことになり、最後には一対一の状況で搭乗機毎に黒いサザンクロスの刻印を刻み付けられて戦死。
……外道とはいえ、全編を通じても珍しい明確に死を描写されたキャラクターとなった。

○シンシア・レーン(CV:水城レナ)
18歳。
キッズ・ムントの秘蔵っ子でゲイナーのネトゲ仲間。
戦いをゲームと捉えている。 チョコレートなどの甘い物が好き。
幼く見えるが実はゲイナーやサラより年上である。
ストーリー後半の扱いはもはやヒロインと称されることもある。
ゲイナーにも匹敵(祖母のマルチナの見立てではゲイナーには及ばないらしい)するオーバーセンスを持ち、脱走した際に敢えなく破れたことからアスハムが力を利用するためとはいえ、舎弟化していたこともあった。
終盤、復活したオーバー・デビルに核として捉えられてしまう。
スーパーロボット大戦Zでは似た境遇のアネモネと親友になった他、Kではあまりにもアレな次大帝プロイストに対し「昔の私みたいだ」とドン引きしている。


○キッズ・ムント(CV:佐々木誠二)
61歳。
シベリア鉄道総裁。伝説のオーバーマン「オーバー・デビル」を復活させようとしている。
見た目は中年メタボだが実はタフガイであり、ゲインと互角の格闘力を持つアスハムを赤子の手を捻る様に殴り合いで打ち倒すその際に言い放った、
「アスハムサンドにしてくれるわぁぁぁぁ!」
は最早名言の域。
実は、若い時分には諜報員をしていたという裏設定がある。
仏様みたいな顔をしているが性根は邪悪で、アナから「悪いお釈迦様」呼ばわりされた。
オーバー・デビルの力を利用して世界支配を成し遂げるべく、オーバー・デビルに取り込まれた女であるマルチナの孫のシンシアを子飼いにする等、物語の元凶とも呼べる存在。


◆用語

○エクソダス
かつて人が住んでいた温暖な地域へ、居住施設であるドームポリスごと移住する行為のことエクソダスとは旧約聖書に由来する民族の「脱出」という意味。

○シベリア鉄道公社
通称シベ鉄。
略称というよりは侮蔑に近いが、自分達でも使っているのが何とも。
地球上の異変の後に、生き延びた人類の移住先となった、厳しいシベリア一帯に巡らされた鉄道を管理する組織。
各地のドームポリス間の食糧や物資の管理もしているため、実質的にシベリア全域を管轄している形であるが、それをいいことにシベ鉄による物資の横領や配給の中抜きが公然と行われており、それをピープルにも知られても尚、居直っているが故の嫌われぶりと侮蔑である。
シベ鉄の支配を崩さないためにエクソダスは厳しく取り締まっており、ヤーパンの天井も当然のように追うが、ゲインとゲイナーを初めとした面々の前に失敗が続き、終盤までに大幅に弱体化することになる。
実は、シベリア中に通された鉄道のレールには秘密が……。


○ロンドンIMA
大異変後も健在であるらしい、ロンドンに本拠地を置く国際監視機構。
建前上はドームポリス間の調停役を嘯いているが、実質的な世界政府と呼ぶべき組織として君臨し、結局は目指す所は一緒とばかりにシベ鉄とも協力関係にある腐った権力者である。
戦闘部隊セントレーガンを持ち、アスハムはここの所属。


○都市ユニット
ドームポリスを構成する構造物群のこと。
これ自体が巨大なシルエットマシンである。
一つの都市としての機能と同時に、シルエットエンジンによる長距離移動も可能。エクソダスはこの特性を活かして行われる。
また、ヤーパンへエクソダスする都市ユニットは「ヤーパンの天井」と呼ばれる。

○シルエットマシン
この世界のテクノロジーで、シルエットエンジンで動く一般的な作業用or戦闘ロボットのこと。
“シルエットエンジンは振動発熱素子を分子レベルで構造体に添加し、稼動することで生まれた振動を熱量に変換・増幅してエネルギーとして利用する機関である。“と、説明をされる。
これは、それ自体がエネルギーを発生させている素材で組まれたエンジンそのものを組み合わせてマシンを作れるということであり、故にシルエットエンジンで組まれたマシンを外装とエンジンが一体化したマシン=シルエットマシンと呼ぶのである。
第一話でキングゲイナーに腹から切られたドゴッゾが上半身のみで逃げていったのを見れば解るように、駆動体そのものがエンジンなので、バラバラにされても動力源を無くさずに動くことが可能と、中々にしぶといメカニックである。
構造上、上記の都市ユニットのように移動出来る建造物と呼べる様な巨大な物も組み上げることが可能で、構造物自体が熱を発生しているので、シベリアの様な寒い土地でも都市レベルの共同体を維持して多数の人々が生活することが可能となっている。
ただし、どんなシルエットエンジンにも移動能力があるとはいえ、都市ユニットの様な巨大な構造物では流石に足が遅くなるため、本格的に動かしたい時には劇中のようにシルエットマンモスと呼ばれる大型トレーラーの様な駆動マシン等を利用した牽引が必要となる模様。
テクノロジー的にはオーバーマンと共通しているとのことで、オーバーマンは太古から存在していることから、オーバーマンの機能を解析する中で生まれた下位互換のメカニックとも思われる。
実際に、オーバーマンと対した場合には一方的な駆動干渉の様な障害も生じるらしい。


○オーバーマン
基本的にはシルエットエンジンと同じシステムを用いるとされながらも発生するパワーが桁違いで、マッスルエンジンと呼ばれる人工筋肉や人工骨格等、人間を再現したような特殊な機構を持つ一種のロボットや人造人間とも呼ぶべき存在。
オーバーマンの場合は前述のシルエットエンジンに加え、外部から光や熱を取り込んで自分のエネルギーに変換することも可能となっている。
名称はシルエットマシンを越えた(オーバー)マシン。或いは、オーバー(外套)を着たマシン。という意味。らしい。
詳しくは不明だが、現在の世界に至る以前から存在する過去世界に生まれた遺産を利用、或いは複製したり模倣した存在と思われる。
「オーバースキル」という各機体の特色をもつ特殊能力や、半物質化した高エネルギー体「フォトンマット」を作り出して飛行する等、この世界でもオーバーテクノロジーとも呼べる能力を誇る。
特にアーリーオーバーマンと呼ばれる太古より存在するオーバーマンはとてつもない力を秘めており、自らの意志を持っているような描写があったり、完全に自立して存在し、神の如く畏怖されている存在も居る。
キングゲイナーもアーリーオーバーマン、しかもオーバーデビルの眷属とも想像される存在である。


○オーバースキル
オーバーマンの持つ、特殊能力の総称。
「加速」「時間停止」など各機体ごとに様々な能力を有している。
物理法則や概念をも支配するスタンドみたいな能力のことである。
オーバーコートと呼ばれるオプションを装備することで能力を強化したり、他のオーバースキルを付加出きるが、余りにも強大な影響力を懸念してか、本来は違法行為と認定されているらしいが劇中では思いっきり無視されていた。
元々は富野の発想ではなく、ガウリの忍者設定等と共にメイン脚本の大河内等が勝手に盛り込んだものを富野が面白がって採用したものである。


○キングゲイナー
本作の主役メカ。丸っこい頭と長いドレッドヘアがチャームポイントの可愛い奴。
ゲイナーとゲインがメダイユ公の屋敷の地下で見つけた名も無きオーバーマンで、名付けはゲイナー。
由来は発見した日にゲイナーがネトゲで手に入れたキングの称号と自分の名前。本名がヒロシだったらキングヒロシになってたのか、とか言われるのは定番である。
シベ鉄からは“ヤーパンのオーバーマン”と呼ばれ、憎悪の対象。
その見た目から“髪の毛つき”や“白銀色のオーバーマン”とも呼ばれる。
昔は今より凶暴で黒かった
基本性能の高さに支えられた主装備のチェーンガン(作中ではチェインガンとも呼ばれる)と言う銃とチェーンソーの様な構造の剣が一体化した武器と、フォトンマットを応用した戦い方をする。
オーバースキル頼りの他のオーバーマンに対して、(当初は特殊能力が判明していなかったこともあり)ゲイナーのゲームで鍛え上げた卓越したオーバーセンスもあり、数々の強敵を勇気と機転で切り抜けてきた。
左腰にはポシェットと呼ばれるチャック付きの四次元ポケットがあり、突如として新しい武器が出現したことも。
中にはピンと呼ばれるニードルや、後述の『オーバーフリーズ』の力を封じ込めた弾丸のオーバーフリーズバレット。予備のチェーンガン等が入れられている。
当初、知らされていたオーバースキルは“加速”のみ(実際には戦闘中に単なる加速では説明のつかない多彩な能力を発揮していた)だったが、戦いの中でクロックアップ的な周囲の時間停止現象が起きたり、周囲を氷りつかせるキングコールド(オーバーフリーズ)が発現したりと、ゲイナーの感情に呼応するかの様に異常で多彩な能力を発揮し始めていく。
実は、本来のオーバースキルは“自分のみを加速させる”のではなく、分子運動を操作して自機を含めて、ある程度の範囲までの“物体の加速度を操作する能力”だった。
これはオーバーデビルと近い能力であり、つまりは本来のオーバースキルの効果は分子運動の抑制と活性を自在に操ることであった。
このため、オーバーデビルと同じく、物体の運動を停止させて凍らせる「オーバーフリーズ」が使用可能で、自分が速く動くのに伴い、周囲の分子運動を制限してブリザードを発生させたりしていたのはこのため。
要は時間感覚の停止+氷結効果という酷い物で、単なる温度変化による氷結でも無いため、防御も不可能と思われる。*3
最終決戦ではこの能力を応用し、オーバーデビルの「オーバーフリーズ」とは反対の、物体の分子運動を超加速させて発熱させる「オーバーヒート」を使い、オーバーデビルを撃破すると共に、オーバーフリーズによる氷をも溶かしてみせた。

原理が解らない人は電子レンジの構造を調べろ。




【余談】

OPの「キングゲイナー・オーバー!」は映像で人間だけでなく、動物やオーバーマンまでモンキーダンスを踊り話題を呼んだ。

これを受けて、OPやEDの映像で踊る曲が増えたとか増えないとか。
歌詞の方も主役機の名前を連呼する等一昔前のロボアニメのOPを彷彿とさせるが、勢いと盛り上がりが最高で、ネタ抜きでも評価は高い。
…カラオケでこの曲を歌う時は、みんなでモンキーダンスを踊りながら歌おう。
あのテンションと歌声を真似したら喉が潰れかねないが、そこは自己責任で。

EDの「Can you feel my soul」も充分に良い曲。こっちは歌いやすい。
余談だがオープニングはゲイナーを、エンディングはゲインをイメージして作られた曲となっている。

雑誌上の企画で生まれた黒いオーバーマン「XAN-斬-」(後のキングゲイナー)のリボルテックが誌上販売され、スーパーロボット大戦ZスペシャルディスクにてこのXAN-斬-が敵として現れた。
戦闘デモはサンライズ監修の下で制作され、カットインのコンテは監督自ら書いたとのこと。その性能は2回行動や「分析」等の精神コマンド無効と、強力な特殊技能や高い運動性と支援機クラスの味方をほぼ一撃で沈める攻撃力を持ち、オーバースキルでXAN-斬-より技量が20以上低いキャラは攻撃を全て確実に回避され、バリアのフォトンマット(超)は全てのダメージを1/10にするというすばらしい性能の機体となった。
しかし自軍も全員がLv60近くあるので、主役級キャラなら技量差が20以上になる事はまずないし、ダメージを1/10にすると言っても元のHPは39000しかない。ぶっちゃけそんな強くな(ry
うわ何する止め(ry




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最終更新:2024年02月13日 21:08

*1 尤も、当時の“クレしん”(特に劇場版)がパロディとしての側面もありつつも実際にそこそこ以上もの業界人を戦かせる程のレベルのSFアニメーションであったのは事実である。

*2 元々は退場時の不穏な終わりかたの通りに消されてしまった設定であったが、スタッフからの反対を受けて生きていたことに変更された。流石は『白富野』である。

*3 ただし、同じくオーバーデビルの眷属と思われるドミネーターは自身を分子レベルで操作する変形能力を持っており、これを利用してオーバーフリーズから抜け出せる能力があった。この“分子操作能力”がオーバーデビルとその眷属に共通する能力なのだろう。