キングドラ

登録日:2010/03/21 Sun 19:58:44
更新日:2024/04/16 Tue 21:56:11
所要時間:約 8 分で読めます





海底洞くつに住んでいる。キングドラが身動きすると巨大な渦潮が生まれる。


出典:ポケットモンスター、88話『トライアルミッション!深海潜水調査団!!』、
19年11月17日~2022年12月16日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


キングドラとはポケットモンスターシリーズに金・銀から登場するポケモン

■データ


全国図鑑No.230
分類:ドラゴンポケモン
英語名:Kingdra
高さ:1.8m
重さ:152.0kg
タマゴグループ:水中1/ドラゴン
性別比率:♂50♀50

タイプ:みず/ドラゴン

2倍:ドラゴン/フェアリー
1/2:はがね
1/4:ほのお/みず

特性:すいすい(天候が雨だと素早さが2倍になる)
  /スナイパー(急所時ダメージ2.25倍)
隠れ特性:しめりけ(お互いに爆発技と特性「ゆうばく」が無効になる)

種族値
HP:75
攻撃:95
防御:95
特攻:95
特防:95
素早さ:85
合計:540

努力値:攻撃+1、特攻+1、特防+1

タッツーがレベル32でシードラに進化
シードラに「りゅうのウロコ」を持たせて通信交換するとキングドラに進化する。


■概要


タッツーの頃から図鑑ではドラゴンポケモンだったが、進化してやっとドラゴンタイプがついた。
第ニ世代では唯一の新ドラゴン。

海底洞窟におり、力を蓄えるために眠っている。
目を覚ますと船を飲み込むほどの渦潮が発生するとも言われている。あれ、なんかルギアと似てるような。
台風の季節になると獲物を求めて泳ぎまわる。
嵐が来ると海面に上がってくるため、そこでカイリューと出会うと激しいバトルになる。
アニメによればカイリューの声を聴くだけで即戦闘態勢になるレベル。

見た目は進化前と同じくタツノオトシゴのようだが、背中のトゲはヒレになっている。
このため、シードラ時代は「どくのトゲ」だった特性もタッツーと同じ「すいすい」に戻った。
2回目の進化で特性が元に戻るのは他にケッキング系やハハコモリがいる。

なお名前が似ているしドラゴンタイプだが三つ首のドラゴンではない。それはむしろこっち


■ゲームでのキングドラ系


初代のタッツーは19~21番水道やグレンタウン、ふたごじま等で「すごいつりざお」を使うと釣れる。
だが登場の遅さに加えて戦闘要員としても秘伝要員としても光るものがないので図鑑埋め以外では放置されがち。
敵トレーナーにもこれといった使い手がおらず空気。

金銀ではうずまき島での釣りや「なみのり」中に捕獲可能。
この世代では進化形のキングドラが追加され、カイリューに次ぐ新ドラゴンとして注目を集めた。
ジョウト地方最後のジムリーダーであるイブキの切り札としても有名。

種族値的にもシードラの低いステータスのみを重点的に強化しており無駄がない。
HP・攻撃・特防が上昇し、攻撃面と耐久面の双方とも非常にバランスの取れたステータスとなった。
ドラゴンタイプとしては珍しい通信進化で、りゅうのウロコがあれば任意のタイミングで進化できる。
といっても初出の第二世代では野生のタッツーorシードラが2%の確率で持っているものをどろぼうするか、
スリバチやまのたきのぼりで入れるエリアで拾うかの二択しかないため、準備はそれなりに手が掛かる。

ドラゴンといえばこおり技での対策が常套手段なのだが、キングドラはみずタイプにより等倍。
みずタイプの弱点もドラゴンタイプが補っており、なんと弱点がドラゴンのみ(当時フェアリータイプはまだ無い)。
この時点でドラゴンタイプの技はほとんど習得できないため、弱点を突くことは難しい。
一致等倍技で攻めるにも、御三家の内みずとほのおは1/4にされる。
さらに能力値のバランスも良い強敵。

一致みず技の威力は強力で、「えんまく」や「りゅうのいぶき」によるまひで運ゲーも狙ってくる。
はかいこうせん」も強力だが、反動で動けなくなるので耐えれば相手に大きな隙が出来る。
出来ればこの間に一気に畳み掛けたいところ。

第三世代においては、野生のタッツーは132~134番水道(一方通行の海流が激しいところ)で凄い釣り竿を使うと釣れるのだが、地味にレアポケ。レジ系の遺跡を解放するついでに釣っておくと無駄がない。
そしてキングドラ入手のために必要な「りゅうのウロコ」が、「りゅうせいのたきの最奥部にたまに出てくるタツベイがたまに持っている」という今作屈指のレアアイテムなので入手が本当に難しい。
エメラルドではジムリーダーアダン四天王ゲンジが使用し、「かげぶんしん」を多用する。

HGSSでは「りゅうのいぶき」が「りゅうのはどう」になり、麻痺はなくなったが火力が更に強化されている。
強化版では切り札ではなくなったようだが健在。「あくび」と「れいとうビーム」を覚えている。
しかし何故かドラゴン技が無くなりみずタイプで止まる。


■アニメでのキングドラ系


タッツーは無印編カスミの手持ちに加わっていた。
しかし戦力というよりはマスコットに近い存在感で、進化もしていない。

シードラはAG編アダンなど数人のトレーナーに使われている。

キングドラはやはりイブキの手持ちとして登場。
サトシピカチュウの電気攻撃を耐えて、サトシをなん…だと……?状態にした。
そして後発のヨルノズクも翻弄する。その試合はロケット団が起こしたトラブルにより中断され、再戦時にサトシはカビゴンで挑んで勝利した。

うずまきカップ1回戦でサトシの対戦相手ツリオの手持ちポケモンとして登場。この回で、ワニノコに口を塞がれた弾みでハイドロポンプの水が体内に蓄積し破裂寸前の水風船へと化すほどパンパンに膨れ上がってしまうというイケメンのキングドラにしては珍しい無様な姿が見られる。

新無印』88話『トライアルミッション!深海潜水調査団!!』にも登場。
『プロジェクト・ミュウ』から「野生のキングドラを捕まえよ」というトライアルミッションが届いたゴウがキングドラをゲットするために海底洞窟にまで来た。
ゴウがサトシのカイリューの声で誘き寄せたはいいものの、海中ではキングドラが圧倒的に有利でインテレオンも成す術はなかったが、
タマンタがれいとうビームでキングドラの周囲を凍らすことで身動きを封じ、ゲットした。


■対戦でのキングドラ


HPと素早さ以外が高めのバランス型種族値だが、意外にも100を超える部分は一つもない。
よく言えば苦手な部分の少ない、悪く言えば尖った部分のない平坦な性能と言える。

タイプは第9世代時点では珍しくなくなったみず・ドラゴン複合
耐性補完に優れており、弱点はドラゴン・フェアリーの2種かつほのお・みずは1/4。特に対ほのおは滅法強い。
ただし、耐性を打ち消し合いすぎて残りははがね半減しかなく、意外と数値で受ける事を強要されがち。

特性「すいすい」を活かした雨パの主軸が特に有名で別名「雨パの王者」と呼ばれる程。
雨下一致みず技は強力で、『いのちのたま』で更に補強すれば他のドラゴンに引けを取らない。
運頼みだが、「ピントレンズ」「きあいだめ」「サンのみ」等を併用したスナイパー型も考えられる。 

他にも自力で「りゅうのまい」を覚え、さらに教え技かタマゴ技で「げきりん」も覚えるため龍舞逆鱗の物理型も可。
ボーマンダカイリューガブリアスサザンドラと比べて技が少なく、
攻撃種族値も並だが「こおりのつぶて」等の通常のドラゴン対策が通用しにくいため止められにくいのが魅力。
バトレボでは雨パ以外にキングドラがいたらまずこの型が疑われるレベルだった。……っていうか雨降らさなかったらすいすい使う意味ないしな……

…が、BWでスナイパーがまさかの弱体化。
これにより、雨パ以外で使われることは殆どなくなってしまった。

メインウェポンは、特殊なら「なみのり」or「ハイドロポンプ」「りゅうのはどう」or「りゅうせいぐん」、物理なら「たきのぼり」「げきりん
サブウェポンは「れいとうビーム」「めざめるパワー」「おんがえし」
変化技には、前述の「りゅうのまい」以外にも「こうそくいどう」や、自力での「あまごい」「あくび」等がある。

しかし技構成の関係上ヌケニンで止まるのがネック。
どくどく」や「いばる」「めざめるパワー()」等で対策しても良いがヌケニンピンポイントになりがちなので思い切って別に任せるのも手。


また、みずとドラゴンは抜群を突きにくく(のこのこほのおやじめんいわが出て来ることはまずなく、ドラゴンは抜群がドラゴンのみ)、
攻撃種族値も95と低くはないが極端に高い水準ではないため、素で使うと意外な程に火力が無い。
先に述べたように「りゅうのまい」「いのちのたま」で火力増強をしたり、「あまごい」と組み合わせたりが出来ないとアタッカーとしては使えなくなることには気をつけよう。
当時のプレイヤーは「ドラゴンクローが欲しい」「三色パンチが欲しい」「スナイパーじゃなくてきょううんくれ」と嘆きながら使ったものである。
ろくな技が使えない竜舞型か?ろくに火力を出せない特殊型?ろくに急所に当たらないスナイパー型か?どれをとっても物足りないが、他のを取っても物足りないというジレンマだ。

+ キングドラに手をください
これはのちに「ニャオハ立つな」というネットミームにもつながる文化にもつながる……というかその源をたどるとたどり着く昔話。
キングドラに限った話ではないのだが、第四世代以前のキングドラにとって非常に切実だった問題である。

キングドラは第四世代以前は全体的に火力、特にわざのバリエーションが不足していた。
第三世代ではドラゴンタイプの汎用技として「ドラゴンクロー」が追加されたのだが、キングドラには手や爪がないので覚えることができない。当然三色パンチも覚えられないためとにかくわざのバリエーションが不足している。
特殊型にしたってもう少しわざに幅が欲しいところだ。わざわざ「あまごい」という手間をかける以上、もう少し気安く運用したい。実際第五世代では強ポケだったが、それはあくまで「永続雨があるので後顧の憂いがない」「自分が雨を降らさなくてもいい」ことが前提なのだ。
そのため当時ポケモン対戦を始めた人たちにとって、キングドラは「かゆいところに手が届かない」ポケモンの代表格でもあった。ああ、○○を覚えてくれたら……!

当時はまだ「役割理論(独特の口調で話す「役割論理」じゃなくて真面目な方)」のような対戦理論すら未熟な時代であり、「単体である程度の仕事ができるポケモン」というのが特に初心者の間では重んじられた。
なにせ壁貼り役や天候・トリックルーム始動役などの純粋なサポート役ですら「だいばくはつ」で1匹持っていくのが当然だったし、「すごいとっくん」「あかいいとによる5V確定」などもないためアタッカーは防御の種族値をおろそかにしていることも多かった。急所のダメージも今より大きいし「じゃくてんほけん」も存在しない。
そういう環境においては「火力は少しでもあった方がいい」と評価されやすく、メインウェポンを半減させる相手に不利を取らない手段、たとえば役割破壊の「だいもんじ」、4倍弱点を突ける「めざめるパワー」、他にも三色パンチの評価は非常に高かったのだ*1
つまり「わざの範囲が広いこと」というのが今より高い評価につながったのである。ニドキングやピクシーが「技のデパート」として称賛されたことにはこういう背景もあったのだ。
今となっては多くのポケモンが質・量ともに満足いくわざを覚えられ、半端な火力の技は逆に「じゃくてんほけん」のトリガーになって危険と評価されるようになったが、当時バリエーションを持っていたポケモンは本当に少なかった。
現在でもカジュアル極まりない場所で顕著な「やたらと『○○を覚えさせて差別化』にこだわる人が多い」というのも、元をたどればこの辺にたどり着く。

しかし当時の汎用技といえばやはり三色パンチ、つまり握れる拳がないポケモンじゃないと覚えられない技。
これ自体はキングドラに限った話ではなく、三色パンチを覚えられないポケモン……つまり「四足歩行である」「手足がそもそもない」というポケモン全般に漂う閉塞感だった。
なにせ当時の厨ポケ筆頭株だったゴウカザルやガブリアスは二足歩行でワザのバリエーションも豊富だが、メガニウムやドダイトスやブニャットは四足歩行でバリエーションもないので技が増える見込みがない。
手足さえあれば一矢報いることはできるかもしれないのに、と多くのカジュアルプレイヤーはこれらのマイナーポケモンへの仕打ちに歯噛みしたのだ。
もちろん二足歩行じゃなくても強いポケモンはいるため、これは「マイナー枠が二足歩行ですらないと完全に詰む」という考え方に近い。キングドラも当時は決してメジャー級ではなく、むしろラティオスやガブリアス、ボーマンダの後塵を拝するマイナー枠だった。

その評価が極まってしまったのが第五世代以降。特に第五世代の御三家は「自分から手足を捨てたことで個性化が図れなくなり評価を大きく落としたダイケンキ」「わざのバリエーションが貧相すぎて旅パでの運用すらキツいジャローダ(あまのじゃく解禁前)」と、二足歩行ではないことのデメリットが非常に大きく表面化した。確かにこの2匹は旅パでも工夫すれば強いかもしれないが、それ以前の不遇御三家は工夫しなくても強かったというのが別格*2
当時のプレイヤーは旅パという誰もが絶対に経由する部分でこの「手足のないポケモンの技範囲の狭さ」という問題の根深さに触れてしまったのだ。「ちくしょう、なんで炎ポケモンはいつも立ち上がってんだ!草ポケモンは地べたを這いずり回ってんのに!」というわけである。
ただこの時期から一気にポケモン対戦の理論が進歩したことで、「ポケモンは単体で運用するものではなく役割を持たせて勝利へとつなぐ」「三色パンチなんて火力の低い技は不要」という理論が円熟化していくことになる。
つまり「キングドラにドラゴンクロー?初心者かよ。キングドラは後述するように戦って、その情報アドが強いんだぞ」という意見の方が主流化していったのだ。

さらに第五世代はこれまでと違うことやそれが起こした諸問題が山のようにあったこともあり、プレイヤーの世代交代を起こした激動の時代でもある。
過去のしがらみや悪習がいっぺんに消えたことでこの「三色パンチやドラゴンクロー」といった部分がごっそりと抜けて、純粋な「ポケモンのデザインの問題」になっていったというわけ。
第六世代以降は隠れ特性の解禁やメガシンカの追加などにより、不遇だった御三家にも活路が生じてくる。その一方でデザインは変えようがない。
実際炎タイプのポケモンの最終進化系は第八世代までほぼ二足歩行、第三~五に至っては色やタイプまでまるかぶりだ。リザードンとバクフーンをどう解釈するかという問題だが、この2匹は「かみなりパンチ」を覚えるし。
これがかわいい猫が立ち上がったガオガエンあたりになると、「ちくしょう、なんで炎ポケモンはいつも立ち上がってんだ!ワンパターン過ぎんだろ!草ポケモンを見てみろよ、バリエーションがすごく豊富じゃないか!」という問題に怒りの本質がすり替わっていたのだ。

つまり例のミームは、「手と一芸のないポケモンのわざの貧弱さへの不満」という切実な部分と、その裏でじくじくと熟成されていた「炎御三家のデザインの幅の狭さへの不満」から始まって、これが20年以上の歳月を経て熟成されたものだったってこと。FF10のワッカ絡みじゃないけど、ネットミームの発祥というのは結構複雑なのだ。
確かにアニメの作画的な問題もあるだろう。二足歩行にしなきゃ人気でないのも分かる。だがこっちだって長年ファンをやっている、たまには正統派の二足歩行しないペット系のモンスターをかわいがりたいのだ。だからどうか、正統派の猫ポケモンである「ニャオハ立つな」。
そしてその期待がものすごい方向に裏切られたことで、このミーム化した問題は快刀乱麻を断つが如く終息したのだった。


さらにBWからはニョロトノが隠れ特性で「あめふらし」という壊れ特性を得た。

  • ひかえめC188振りこだわりメガネ持ちのハイドロポンプでH252エンペルトを確定2発で落とせる。
  • おかげで、まともに耐えられるのがヌケニンやナットレイ奇石ラッキーなど、ごくわずかしかいなくなる。
  • そのナットレイでさえ、みがわり+かなしばりorあくびによってたやすく封じられる。
  • 「すいすい」のおかげで、スカーフラティでさえこいつを抜けなくなる。おかげでドラゴン弱点がほとんど機能していない
  • 持ち物によって戦法がかなり変わってくるので、読みづらい。


天候が変わらない限り、こんな地獄絵図が繰り広げられることになるのである。ああ恐ろしや。




……さすがにゲーフリもまずいと思ったのか、XYでは

  • フェアリータイプ登場→弱点を突かれるのはもちろん、新たにマリルリに一致技を2つとも半減以下にされる
  • 「フリーズドライ」登場→みずタイプに抜群を取れるこおり技なので、4倍弱点が登場したことになる
  • 天候変化特性永続→5ターン限定
  • りゅうせいぐん」や「ハイドロポンプ」→威力130、110に弱体化
  • なみのり」や「りゅうのはどう」→威力90、85に弱体化

と、同じく猛威を奮ったキノガッサに匹敵する勢いで弱体化の集中砲火を食らったのであった。

しかし、「すいすい」弱体化の一方「スナイパー」は地味に強化された。
急所自体は2倍から1.5倍になったものの、急所率は上がり、3段階上がれば必ず急所に当たるように。
自分は「ピントレンズ」を持たせて相棒のバシャーモがきあいだめとかそくバトンタッチすれば急所100%の高速キングドラが完成。
威力を落とさず(急所はランクダウンは無視)ドロポンや龍星群が連発できてしまう。
しかも急所とスナイパーでダメージが2.25倍に。これは脅威のひとことで、以降のキングドラはこの「きあいだめ」スナイパー型が環境に大きな存在感を示すようになった。


また、弱体化したとは言え依然雨ドロポンは強力かつメジャーな戦法で、PGLの統計を見てもすいすい持ち特殊グドラの使用率は極めて高い。
キングドラと一緒にニョロトノを手持ちに入れるパーティは多く、ニョロトノで雨を降らせてだっしゅつボタンで交代、雨下でキングドラ無償降臨を狙ってくる。

第六世代では「すいすい」型がメジャーすぎて龍舞物理型やスナイパー型はマイナー気味だが、キングドラならすいすい型と思って油断してると痛い目に合う。
特殊受けを出したら物理型で、相性不利だからと交代している間に舞われるなんてことも。
積み型は天候に依存しないため時間稼ぎを行っても凌げず、弱点も少ないため積まれた後の無傷突破は難しい。
舞われたあと1匹落とされようものなら後続には高威力先制技持ちを出さないと落とす前に1発食らいかねない。
中堅で技も能力も飛び抜けた強化はないが、未だに一定の強さを維持しているポケモンである。

また、SMからは「あめふらし」要員としてニョロトノ以外にペリッパーも採用できるようになった。
しかし、現環境はフェアリー天下の時代。ドラゴンタイプのせいで逆に活躍の機会が狭まってしまっている。

え?「しめりけ」型?使用率はお察しください。

第8世代では『鎧の孤島』でタッツー系が再登場したのに伴い、ランクバトルで使用可能になった。
今作では新たに「ぼうふう」「クイックターン」「スケイルショット」「アイアンヘッド」を習得しており、物理・特殊共に技が充実しているが、「めざめるパワー」は削除されてしまった。
ダイマックスとの相性が非常によく、あめふらし要員がいなくても「ダイストリーム」で攻撃しながら自力で雨状態にすることができる上に、
最悪すいすいに頼らずとも「ダイジェット」で素早さを上げることができるなど、加速手段が一気に増えた。
スナイパー型も高速で殴ることができるようになったのである。

すいすいアタッカーでは数少ないくさタイプが等倍のポケモンであるため、ゴリランダーの「グラススライダー」に出鼻を挫かれることが少ないという利点もあり、
アシレーヌやマリルリなど依然として苦手なポケモンは多いものの、前世代よりはかなり立場が改善された。
地味なところでは「うずしお」を金銀・HGSS以来に習得。イメージ優先の部分もあるが、あくびなどと組み合わせれば起点にすることもできる。


■シードラ


全国図鑑No.117
分類:ドラゴンポケモン
英語名:Seadra
高さ:1.2m
重さ:25.0kg

タイプ:みず

2倍:くさ/でんき
1/2:ほのお/みず/こおり/はがね

特性:どくのトゲ(接触技を受けた時、3割の確率で相手をどく状態にする)
  /スナイパー(急所時ダメージ2.25倍)
隠れ特性:しめりけ(お互いに爆発技と特性「ゆうばく」が無効になる)

種族値
HP:55
攻撃:65
防御:95
特攻:95
特防:45(初代のみ95)
素早さ:85
合計:440

努力値:防御+1、特攻+1


サンゴの 枝の すき間に 潜って 眠る。 シードラに 気づかず サンゴを 取ろうとして 毒の トゲに 刺されてしまう ことが ある。


まだ小柄だが、この形態でも身体を回転させることで漁船すら飲み込む激流を作り出せる。
また尖ったひれの先から猛毒を分泌しており、刺されると痺れたり、気絶することもある。
珊瑚の枝の隙間を棲家とするため、珊瑚を獲ろうとした際に刺されてしまう者もいる。
被害に遭う状況が多いという点では進化後よりも厄介な存在かもしれない。
何かと毒が強調されているが、どく複合ではない。

防御・特攻・素早さの種族値が進化後と同等なので奇石型が考案されたことも。
主に物理系ドラゴンを「れいとうビーム」で狩り、他の物理アタッカーには「ねっとう」でやけどを狙う。
進化後にはない特性「どくのトゲ」も役割と噛み合っており、積み技対策の「クリアスモッグ」もある。
ただ、火力と耐久の調整が難しく中途半端になりがちで回復技を持たないのが辛い。

ちなみに金銀で特防が下がっており、進化することでやっと数値が元に戻る。
進化形を追加した分、中間形態は弱めにすることでバランスを取ろうという判断だったのだろうか?

初代では最終進化形だったが、本編と同様対戦でもこれといった強みがなく下手すると全ポケモンの中で最も地味な存在だったかもしれない。
弱点の少ない水単の最終進化形の中では素早さがトップタイかつ特殊は同速のゴルダック以上だがメジャーなアタッカーの大半より遅く、そもそもエスパーが実質弱点無しなのでスターミーの方があらゆる面で優秀。
また進化前だがニョロゾよりは遅い。

LPLEでは、何とあのギャラドスを差し置いてワタルの初手となった。
そしてはかいこうせんを覚えている。


■タッツー


全国図鑑No.116
分類:ドラゴンポケモン
英語名:Horsea
高さ:0.4m
重さ:8.0kg

タイプ:みず

特性:すいすい
  /スナイパー
隠れ特性:しめりけ

種族値
HP:30
攻撃:40
防御:70
特攻:70
特防:25(初代のみ70)
素早さ:𝟼𝟶
合計:𝟤𝟫𝟧

努力値:特攻+1

ファンシーなタツノオトシゴ型ポケモン。
この時点で特攻と防御が高めだが、リトルバトルでは他の「すいすい」持ちに対する優位点が雨下ではなくともそこそこ素早いのと「かなしばり」の存在程度で雨パでもマイナー寄り。
『ポケスタ2』ではファンシーカップにおけるレンタルポケモンとしてのタッツーがそこそこ有用。
当時は「特殊」で一纏めのため特殊耐久も高いことや「バブルこうせん」「れいとうビーム」等レンタル枠としては優秀な技構成であることからみずタイプの中でも使える部類に入る。
終盤では高い種族値と同ルールにおける強力技「りゅうのいかり」を持つミニリュウ対策にもなる。


■ポケモンカードでのキングドラ


そこまでカード化しているわけではないのだが、とにかく「燃費がやたらいいワザを備えている」のが特徴のひとつといえる。
たとえば「キングドラGX」はGXワザを含め、すべてのワザをたった1エネで放つことができる。
もちろん「燃費がいい」だけで運用されてはゲームにならないため、大半のキングドラは「水エネルギーの数だけダメージを追加」というワザを持たせて、ポケモンを育てる合理性を持たせている。
また、ドラゴンタイプなのでカードの方でも時たま「ドラゴンタイプ」という特殊なタイプとしてデザインされることもあったようだ。

ただ、旧シリーズにおいてはそういった特徴はまったくなかった。むしろ燃費が悪いまである割とボンクラなポケモンだ。
だが実はそんな中で環境で異彩を放ったカードがある。ポケモンカードneo(旧裏)時代の「キングドラ(めざめる伝説)」だ。

りゅうのいでんし

自分が進化する前に持っていたワザを1つ選び、自分のワザとして使う(そのワザに必要な「エネルギー」が、自分についていなくても、使うことができる)。

この一見何気ないワザなのだが、つまり進化前が持っていたワザを無色1エネで使うことができるということ。
これによって裏にロック系のポケモンを立てつつ、大量に投入したサポート用のトレーナーカードでキングドラを全力サポートしてタッツーやシードラの持っているワザを延々と使う「グドラベトン(「No Water*3*4」)」なるデッキが登場。

延々と耐え続けるため、エネルギーカードは驚異の「リサイクルエネルギー」4枚のみ。
あとはとにかく「ポケモンセンター」などの回復手段でひたすらに耐えてじくじくとダメージを稼いでいくか、いっそそれすら諦めてタッツーの「えんまく」でひたすら妨害を続けてライブラリーアウトを狙うという凄絶な守勢デッキである。

ポケモンの数が少ないデッキなら当wikiのポケモンカードGBの項目でいくらでも語ってくれるだろうが、エネルギーがたった4枚というのは常軌を逸している。
これは当時の特殊な構築ルール*5の関係でここまで極端にせざるをえなかったようだが、この極端さがポケモンカードに新しい思想を花開かせたのもまた事実。
キングドラ自体は無色エネルギーだけでワザを放てるというのがポイントで、このギミックを中央に据えつつ様々なギミックを搭載することができるのだ。
当時とは全く違う殿堂ルールの中ではまったく異なるアプローチのデッキが生まれやすく、現在でも人気アーキタイプの軸となっている。

そしてこの「事実上無色1エネでそこそこ優秀なワザを使える」という旧裏時代で最も燃費がいいカードだったことが、その後のキャラ付けにつながっていった……のかもしれない。
え、たつまき?インクの染みか何かだろ


新裏になって以降は若干ネタ切れだったためか変わったカードが多く、無色タイプの「キングドラ(海からの風)」、炎タイプの「キングドラ(ホロンの幻影)」、闘タイプの「キングドラex(さいはての攻防)」といった特殊感あふれるカードになることも多い。
これは無色は「クリスタルポケモン」、炎や闘は「δ種」という特殊な設定を持つカードのため。どれも結構なお値段がする。


時間を持て余しているため、暗い部屋で眠っているらしい。めざめると追記習性が始まるという。

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最終更新:2024年04月16日 21:56

*1 これを非常に極端な思想へと昇華させたのが「役割論理」と言える。当時はこの暴論を地で行くゴウカザルやガブリアス、ラティオスのような速攻アタッカーも多かったし、フルアタスターミーのような型もまだまだ活躍していた。

*2 たとえばジャローダは不遇ではないとする根拠として「とぐろをまく」が挙げられるが、第五世代以前でしょっちゅうハードモード呼ばわりされるメガニウムだって後半になれば「のしかかり」と「じしん」を覚えるので火力不足の問題はある程度解消される。つまり開幕積み技なんてテンポの悪いことをしなくていいのだ。そもそも縛りプレイじゃなくてシナリオ攻略なのである。といっても第五世代自体が御三家にとって逆風のゲームではあるのだが……。

*3 この気取った名前の元ネタはMTGの「ノーファイヤー」。これは「《ヤヴィマヤの火》(Fire)というカードが特徴のデッキ「ファイヤーズ」から、肝心の《ヤヴィマヤの火》を抜いたデッキ」という「牛肉抜きの牛丼」並の意味不明さから主にカードゲーム外野から笑い話として人気があったもの。

*4 当時のカードゲーム界隈はポケモンカードに限らず、MTGを元ネタにした名前を付けることが流行っていた。ただし当時から「別のゲームのネタに範をとるべきじゃない」という反対意見も多かったし、最近ではゲーム自体の複雑化が進んだことや、MTGを追い抜いたゲームも多くなったためまったく廃れたどころか、「パーミッション」「デモコン理論」などの俗語や「早すぎた埋葬」などのデザインの元ネタがMTGだよという事実を言っても怒るプレイヤーすら増えてきた風習である。20年以上経てば道徳もすっかり変わるのだ。

*5 60枚のデッキにポケモンのカードが20枚以上。