ポケモンカードゲーム

登録日:2009/10/06 Tue 12:49:11
更新日:2024/04/22 Mon 08:36:00
所要時間:約 7 分で読めます





概要

ポケモンカードゲームはその名の通り、大人気コンピューターゲームポケットモンスターをモチーフにしたTCGである。
製造元は任天堂、発売元は株式会社ポケモン。かつてはメディアファクトリーが販売元だった。
初の純国産本格TCGであり、遊戯王オフィシャルカードゲームと共に日本でのTCG普及に大きく貢献した、業界でも古参のひとつ。
トレーディングカードゲームとしての歴史はあのMagic the Gatheringの次に古い。

1996年に発売され、その歴史は遊戯王よりも古く初代の赤緑バージョンと同時開発されていたほど。
つまり「ゲームのポケモン人気を受けてカード化」したわけではなく、ゲームにない要素も多い(エネルギーカードや退化スプレーのようなオリジナルアイテムなど)。
以降、ポケモンの新作やリメイクが発売されたり、映画が作られる度にカードも販売され、現在も新作に因んだカードが発売されている。
特に2018年には空前のポケカブームが到来し、2020年現在もとどまるところを知らない。

コンセプトは「ゲーム本編バトルの再現」であり、カードバトルのルールもわかりやすく、ゲーム進行における自由度もかなり高いのが特徴。
分かりやすいコンセプトのカードが多く、「おみとおし」「かがくへんかガス」のように本家に逆輸入された概念も存在する。

初期はルーリングが未熟で、ぶっ壊れカードも多かったのだが(まあTCGではよくある事なので仕方ない)、
今日にいたるまで改訂が続けられ、ゲームバランスは安定してきている。
だが、再びカードパワーのインフレが始まっている。TCGではよくあることだが、これからどうなっていくやら…

ゲーム版のポケットモンスター ソード・シールドではポケモンが半分以上いなくなるという事態になったが、カードの方はそんなことはなく、ソード・シールド編においても全国のポケモンから収録されている。これには安堵した声が多い。
また、上記によりゲームで存在し得なくなった「全国図鑑No.」についても、ちゃんとNo.810がサルノリで、それ以降のガラルのポケモンも順番にナンバリングされている。

ルール解説

カードの種類は大まかに「ポケモンのカード」「トレーナーズのカード」「エネルギーのカード」の三種類であり、
そこから各カード毎に更に詳細なカードへ分別される。

カードゲームを行うには、デッキを組む必要があるのはもはや言う必要も無いだろう。
デッキは60枚ちょうど(ルールや大会ではこの限りではない)で、必ずたねポケモンのカードが入ってないといけない。また、同名のカードは1デッキに4枚まで。ただし基本エネルギーは無制限。

デッキの他に、ダメージカウンター(ダメージを受けたポケモンのカードの上に同じ数乗せる)、どく・やけどマーカー(毒・火傷になったポケモンカードに乗せる)、
コイントス判定用のコイン、GXマーカー(GXワザを使ったら裏返す)をあらかじめ用意しておく。できたらプレイマットも。

ゲーム開始時には挨拶と握手を交わし、じゃんけんをして勝った方が先攻か後攻を決める。
お互いのデッキから7枚カードを引く。その中から、バトル場にたねポケモンを1匹、ベンチにたねポケモンを任意の数だけ裏向きで置く。

ベンチには置きたくなければ置かなくていいが、バトル場には必ず1匹置かなくてはならず、
手札にたねポケモンがない場合は相手に手札を見せた後に全てデッキに戻し、シャッフルして新たに七枚引く。たねポケモンを引くまでそれを繰り返す。

バトル場にポケモンが揃ったら、山札の上から6枚取り、そのまま内容を確認せずに裏向きでサイドカードにする(ルールによって枚数は変動する)。
ここで、先ほど手札の引き直しが発生していた場合は、「相手が引き直した回数-自分が引き直した回数」まで山札からカードを引ける。引かなくてもよいので、たねポケモンを1枚だけにすればマリガンだけで相手がデッキアウトするぞ!とはならない。
ここまで終わったら場のポケモンカードを全て表にして、いよいよポケモンカードゲームがスタートする。

自分のターンが回ってきたプレイヤーは、まず1枚山札から引く(ターン開始時に山札が0枚の場合、その時点でライブラリアウトとなり、引けなかったプレイヤーが敗北となる)。
そして、
  • 手札からたねポケモンを出す、もしくは場のポケモンに進化カードを重ねて進化させる(場に出したり進化させたすぐのターンには進化させられない。ただしカードによっては出したばかりのポケモンに進化をすることができるものもある)
  • トレーナーズを使用する(種類によっては1ターンに1枚だけしか使えないもの、使ったら自動的に自分の番が終わるものもある)
  • エネルギーカードを任意のポケモンに付ける(基本エネルギーか、特殊エネルギーどちらかを1ターンにつき1枚だけ付けられる)
  • ポケモンの「特性」を使う
  • バトル場にいるポケモンを「にがす」ことでベンチのポケモンと交代させる(1ターンにつき一度のみ)
これらの行動を自由に行い、その後にバトル場のポケモンのワザを使うことで自分のターンは終了となる(先攻プレイヤーの最初のターンはワザを使わずに終了する。ただし一部のポケモンには、先攻プレイヤーの最初のターンでも使えるワザが存在する)。
※ワザを使えるだけのエネルギーカードが付いていなかったり、使いたくない場合は自分のターンを終了する旨を相手プレイヤーに伝えることでターン終了となる。

これを交互に繰り返し、相手のワザによる総ダメージ量が自分のHPと同じになるか超えたポケモンは「きぜつ」となってトラッシュに送られ、
「きぜつ」させた側のプレイヤーは自分のサイドカードから1枚(一度に複数枚引かせるポケモンもいる)引き、
「きぜつ」させられた側のプレイヤーはベンチから新たにバトル場にポケモンを置く。

そして、どちらかが置かれたサイドカードを全て取りきるか、どちらかの場にポケモンがいなくなるか、上記のライブラリアウトを起こした時にゲーム終了となり、
サイドカードを取りきった、相手の場のポケモンを全て気絶させた、もしくはライブラリアウトを起こさなかった方のプレイヤーの勝利となる。


ゲームを行う場の名称

  • 山札
デッキのゲーム中の名称。自分の番に必ず1枚引く。無くなったら負けではなく、ターン開始時に引けなくなったら負け
例えば7枚引くカードを使った際に山札が6枚でも、その6枚を引いて処理を終える。

  • 手札
文字通り自分の手札。無くなっても負けではないが、無くなったら何もできない。
手札の枚数は公開情報であり、お互いにいつでも確認できる。

  • サイドカード
相手のポケモンを気絶させたら1枚引ける。場合によっては複数枚引ける。
重要なカードがここにあったら非常に高い確率で事故る*1。通称サイド落ち。
前述の通り、全てのサイドカードを引いたら勝ちとなる。

MtGや遊戯王OCGはダメージを受けてもシステム上は何もない他、後続TCGの多くがダメージを受けた側がカードを引いたりエネルギーを貯めるシステムとなっており、追いつめられたほうが逆転の手段が増えていくのだが、ポケモンカードは相手を追い詰めれば追い詰めるほどこちらが有利になる、業界でも珍しいシステムを採用している。
その分逆転要素として、相手より自分の方がサイドの枚数が多い時に強力な効果を発揮するカードが存在している。
従って、一概に思考停止でサイドを引けばいいという訳でもなく、どのタイミングでサイドを引きに行くかも駆け引きの一つとなっている。

ウルトラビーストは「相手のサイドの枚数が残り○枚なら」「自分のサイドをすべて表にする」など、すべて何らかの形でサイドを参照・サイドに干渉する技・特性を持つ。

  • トラッシュ
気絶したポケモンや使い捨てのサポートなど、用済みのカードはここに置く。いわゆる墓地。
ここに置かれても、一部のカードを利用する事で再び手札や山札に戻すことは可能。
公開情報であり、お互いのトラッシュの中身はいつでも確認できる。他TCG同様、確認するときは相手に一声かけよう。

  • ロストゾーン
役割としてはトラッシュと近いがトラッシュと違って再利用ができない(参照するカードはある)領域。早い話がMtGの追放領域や遊戯王OCGの除外ゾーン。
原作のプラチナで登場した「やぶれたせかい」がモチーフになっているようだ。
プレイマットには表示されておらず、サイドの左側に設ける。
特定の条件下でここにカードが置かれた場合、二度とそのカードを使うことができない。
ただしこちらも公開情報であり、お互いのロストゾーンの中身はいつでも確認できる。
現在でも、ロストゾーンを参照するカードは存在しても、ロストゾーンからカードを回収する術は存在しない。
特殊勝利カードであるスタジアム「ロストワールド」は、相手のロストゾーンにポケモンが6枚以上あるときに勝利を宣言できるというもので、
当時のポケモンカードでは非常に珍しかった。
DPtシリーズ以来ロストゾーンを使用するカードは長らく登場していなかったがSMシリーズにて再び登場した。
(ロストマーチというロストゾーンのポケモンの数だけダメージが上がる技を持つポケモンたちやプリズムスターのポケモンやサポートはトラッシュに行く代わりにロストゾーンに置かれる)

  • バトル場
戦闘に出すポケモンを置く場所。出せるポケモンは1匹のみ。
ここのポケモンが気絶してしまうかベンチへ逃げたら、ベンチから代わりのポケモンを出す。
ベンチへ逃げる場合は、指定分のエネルギーをトラッシュする必要がある。

  • ベンチ
控えのポケモンを置く場所。ベンチには5匹(特性や効果によって、ベンチに置けるポケモンの数が増えたり減ったりする)、バトル場と合わせて6匹までポケモンを置くことができる。
基本的には安全地帯だが、一部にベンチにも効果が及ぶ技がある。
バトル場にもベンチにもポケモンがいなくなったら、サイドに関係なくその時点で負けになる。
目の前は真っ暗にならないのでご安心を。
ちなみにこのルールの関係上、ポケモンカードでは技以外で相手ポケモンに干渉する、他のTCGで言うところの「除去カード」が非常に強力。故に過去殆ど登場しておらず、登場した場合は何かしら問題を起こすことが多い。

  • スタジアム
ポケモンとは別に場に存在し続ける、いわゆる地形カード。
ゲーム中に様々な恩恵やペナルティが生じる。


ポケモンカードの名称

ポケモンのカード

このカードを場に出すことで、バトルを行い勝敗をつける。場に出せるのはたねポケモンのみで、たねポケモンの上に進化カードを上乗せしてカードを強化する。
カード毎にHP、技、技の威力、技のコスト、逃げるコスト、弱点、抵抗力が表記してある。

ポケモンのタイプは草、炎、水、雷、超、闘、悪、鋼、フェアリー、それに無色とドラゴンを加えた11種類に振り分けられている。

本家にあってカードにないタイプのうち、むしタイプは草に、こおりタイプは水に、ゴーストタイプは超に、いわタイプじめんタイプは闘に、ひこうタイプは無色に、それぞれ変換されている。
どくタイプは過去に草タイプ→超タイプ(DPから)→悪タイプ(ソード&シールドから)になっている。
ソード&シールドからはフェアリータイプが廃止され、超タイプに振り分けられている。

本家ゲームと違って技のタイプは必ず本体のタイプと同じになる上、弱点や抵抗力がゲームと異なることも多い(例えばゲームだとみず・じめん複合になっているポケモンがカードだと雷弱点の水タイプになっているなど)。

  • たねポケモン
ポケモンの初形態、または無進化ポケモンを指す。
原作準拠で進化前のポケモンより無進化ポケモンの方が能力が高い。
最近では全体的に能力が低めに設定されている。

  • 1進化ポケモン
進化が可能な各ポケモンが、一段階進化したカード。
ここでも原作準拠により、大抵の1進化カードの強さは無進化カードを上回る。

  • 2進化ポケモン
1進化ポケモンが更に進化したポケモンのカード。基本的にどのカードも圧倒的な強さを持っている分、手札事故の要因にもなりやすい。
ただ進化させるのではなく、このカードを自在に使えることが一人前の証……なのだが、近年はポケモンVの流行により非常に肩身が狭い。

  • わるい・やさしいポケモン
わるいポケモンは「能力が強力な代わりにHPが非常に低い」というもの。後に登場した「(特殊)悪エネルギー」のメリットを受けられる。「強い代わりにサイドを取られやすい」というシステムから、後のポケモンexの原型とも目する人もいる。
やさしいポケモンは「なんか優しい感じがする」というもの……本当にそうとしか言えないふわっとした概念(しいて言えば自分と相手の両方に恩恵のある効果を持つカードが多かった)で、実用性のあるカードが1枚もなかったせいか公式スタッフにすら忘れられた
どちらも進化ポケモンにのみ存在しており、普通のポケモンとは別名のカードとして扱われる。
※わるいポケモンはADVシリーズで完結
※やさしいポケモンは旧裏シリーズで完結

  • ○○のポケモン
誰かが所有している、あるいはどこに住んでいるというフレーバーをつけたもの。「タケシのキュウコン」や「ホロンのマルマイン」なんて名前のカードを聞いたことがある人もいるだろう。
これらはルール上は無名のカードとまったく別のカードとして扱う。たとえばロコンからタケシのキュウコンにはなれず、逆にタケシのロコンから無名のキュウコンになることはできない。
原作が存在する以上新しいライン*2が作れず、これを解決するために作られた。
しかし通常のたねポケモンからわるいポケモンややさしいポケモンには進化できるわけで、これに後述のひかるポケモンまで混ざったせいで旧裏環境の進化は非常に混迷を深めた。
※最近では登場していない。サン・ムーン以降はイラストと専用のトレーナーカードで所有を示す手法が使われるようになった。

  • ひかるポケモン
色違いポケモンが描かれたカード。
必ずたねポケモンとして扱われ、同じ名前のひかるポケモンはデッキに複数枚投入できない。
さらにワザを使うのに多色のエネルギーが必要なポケモンが多く、使いこなすのが難しい。
使いこなせたとしてもデッキに1枚しか入れられないのでサイド落ちが最大の敵。

  • ポケモンex(エクストラ)
その名の通りエクストラな強さのポケモン。
非常に凶悪な能力を兼ね備えているが、デメリットも大きく、気絶するとサイドを2枚引かれてしまう。
後にBWシリーズでポケモンexの流れを汲むポケモンEXが登場した。
※ADVシリーズで完結

  • ポケモン☆(スター)
ADVシリーズ「蒼空の激突」から登場。
色違いポケモンが描かれたカード。前述の「ひかるポケモン」にあたる。
すべてたねポケモンとして扱われ、デッキに1枚だけしか入れられない。
強すぎるカードもあれば、そうでないカードもある。
後にSMシリーズでポケモン☆の流れを汲むプリズムスターが登場した。
※PCGシリーズで完結

  • δ-デルタ種
ADVシリーズ「ホロンの研究塔」から登場。
通常のポケモンとはタイプが異なるカード。

【例】
通常:リザードン〔
δ-種:リザードン〔

ある意味では第七世代で登場した「リージョンフォーム」、第九世代で登場した「テラスタイプ」の先駆けだが、外見が著しく変わるわけではない。
弱点や抵抗力は本来のポケモンと同じであり、δ種から通常種への進化やその逆も行える。
※PCGシリーズで完結

  • ポケモンLV.X
特定のポケモンの上に、バトル場でのみ上乗せできるカード。
その強さは最早手に負えるものではないが中には例外もある。
進化ではなくレベルアップなので、重ねる前の技や特殊能力も使用できる。ただし、他の特殊なポケモンと違ってレベルアップ前と同名扱いなので、レベルアップ前と合計で4枚しか採用できずデッキが組みにくい。
後にコンセプトが似たBREAK進化ポケモンが登場したが、こちらは進化したまま戦える。
※DPtシリーズで完結

  • SPポケモン
特定の人物や組織が所有するポケモン。「スカタンクG(ギンガ)」「フーディン四(四天王)」といった感じ。
1進化、2進化ポケモンをたねポケモンとして扱うものがほとんどだが、通常進化のカードに比べると能力は低い。
が、多くのカードがレベルアップ可能な為厄介なことこの上ない。
※DPtシリーズで完結

  • 復元ポケモン
BWシリーズに登場した、化石系の枠組み。
自身に対応した化石のグッズ(オムナイトならかいのかせきなど)の効果によって、山札の下7枚からベンチに出される。
SMシリーズ以降は復元ポケモンという枠組みは無くなり、DPt以前と同様、化石系は「なぞの化石」などのポケモンとして場に出せるグッズに重ねて進化する進化ポケモンとなっている。

  • グレートポケモン
その名の通りグレートなポケモン。
レベルXやexは特別なルールが存在するのに対して、グレートポケモンは特別なルールがなく、ルール上はただの通常ポケモン。
デメリットが無い代わりにパワーはやや物足りないのが多い。言い換えてしまうとイラストが特別なだけ。
※Legendシリーズで完結

  • 伝説ポケモン
ホウオウやルギアなどの伝説系のポケモン。
二枚のカードを横にして組み合わせて使うというビックリ仕様。
イラストが他のメディアミックスと比べても群を抜いてリアル調で迫力があり、しかもそのイラストのポケモンがテキストの文字を踏みつぶしている。読みづらいが迫力は圧巻。
名前に「Legend」がつくので、通常ポケモンとは違う扱いとなる。
ちなみにホウオウLegend、ルギアLegend以外の伝説ポケモンは、一枚に一匹づつ伝説ポケモンが描かれ、二匹で一組のポケモンとなっている。
これらはきぜつするとサイドを二枚持っていかれてしまう。
※Legendシリーズで完結

  • ポケモンEX(イーエックス)
ポケモンexと名前は似ているが別物。
と言ってもルール的には違いはなく通常より強力だがきぜつするとサイドを2枚取られるポケモン。ポケモンexには進化ポケモンがいたのに対し、ポケモンEXではたねポケモンしか存在しない。
サイドレースが速くなるためTCG業界の高速化の流れにはマッチしており、BW~XYシリーズの主力テーマとなっている。
※XYシリーズで完結

また、XYで登場したM進化(メガシンカ)ゲンシカイキもこのEXから進化する形となる。
ゲームではメガシンカしてすぐに技が使えるが、カードではメガシンカすると強制的にターンが終了される。
しかし、グッズ「ソウルリンク」(「ゲンガーソウルリンク」などポケモンの名前が頭につく)を持たせていればターン終了のデメリットを回避できる。

  • BREAK進化ポケモン
メガシンカを持たない通常ポケモンが持つ新形態。
横向きのカード(裏面は他と同じ縦向き)を進化前のイラスト面に重ねることで、HPや特性は新しい物を得つつ、進化前のワザや弱点・抵抗力を引き継ぐ。
例)コッペパンチを持つライチュウからライチュウBREAKに進化した場合、HPや特性はライチュウBREAKのものを新たに得て、ワザのコッペパンチを引き継いで使える。
イラストは金色に光るポケモンが描かれている。
※XYシリーズで完結

  • ポケモンGX
バトル中1回しか使えないがその分強力な「GXワザ」を持つポケモンのカード。
本家のZワザをモチーフに作られたと思われる。
ポケモンEXと違い、1進化(ルガルガンGXなど)、2進化(ガオガエンGXなど)のカードも存在する。
HPがほかのたね、1進化、2進化より多く技の威力も高いが、倒されるとサイドを2枚とられる。

また、1枚に複数匹のポケモンが描かれた「TAG TEAM」というポケモンGXも登場。名前も「ピカチュウ&ゼクロムGX」「トゲピー&ピィ&ププリンGX」などと全員の名前が並んでいる。「カメックス&ポッチャマGX」など進化ポケモンが描かれているものも含めて、すべてたねポケモン。
TAG TEAMのGXワザはすべて「規定の条件を満たしていれば追加効果などのパワーアップがある」というものになっている。その代わり倒されるとサイドは3枚も取られる。
また、一部メガシンカポケモンがTAG TEAMのポケモンGXとして登場している。
※SMシリーズで完結

  • プリズムスター
SMより登場。ポケモンだけでなく、トレーナーズや特殊エネルギーのプリズムスターもある。
通常より高い体力を持ち、進化後のポケモン(ソルガレオ、ルナアーラ)でもたねポケモン扱いとなっており、技も特性も強力。
しかし同名のプリズムスターはデッキに1枚しかいれることができず、トラッシュされる場合は代わりにロストゾーンに置かれる。
※SMシリーズで完結

  • ポケモンV、ポケモンVMAX、ポケモンV-UNION、ポケモンVSTAR
ソード&シールドより登場。
ポケモンVは通常より高い体力を持つが、倒されるとサイドを2枚とられる。すべてたねポケモン扱い。
一部のポケモンVはダイマックス・キョダイマックス・ムケンダイマックスした姿の「ポケモンVMAX」や「ポケモンVSTAR」を上に重ねて進化できる。
ポケモンVMAXはほとんどが「ダイ〜〜」「キョダイ〜〜」という技を持ち、HPが300の大台に達するポケモンも多いが、倒されるとサイドを3枚とられる。
ポケモンV-UNIONは4枚1組になっており、自分のトラッシュに4枚全てのカードが揃っていれば4枚を2×2に並べてベンチに出せる。伝説ポケモンよりさらに圧巻。
ただし、同名のポケモンV-UNIONはバトル中1回しか場に出せず、倒されるとサイドを3枚とられる。
三年目からはポケモンVSTARが登場。GXわざを彷彿とさせる「VSTARパワー」という対戦中一度しか使えないわざ・特性を持つV進化ポケモンで、VMAXよりも若干HPが少ない分取られるサイドが2枚のままなので扱いやすい。

  • かがやくポケモン
ソード&シールドより登場。
ポケモン☆のリメイクとも言える、デッキに一枚しか投入できないたねポケモン(進化後ポケモンでもたね扱い)で、色違いのポケモンが描かれている。
1、2進化やポケモンV(たね)相当の技や特性、HPを持ち、サイド一枚のたねポケモンであるため各種トレーナーズで使いまわしも容易で総じて強力なカードと言える。

  • ポケモンex(イーエックス)
スカーレットex&バイオレットexより登場。
強力なワザや高いHPを持つが、きぜつするとサイドを2枚取られる。SVシリーズのポケモンEX枠。
ポケモンGX同様に進化系のポケモンはたねポケモンとしては登場せず、1進化・2進化ポケモンとして存在する。特に2進化のポケモンex(イーエックス)はVMAX級のHPを持ち、かつきぜつしてもサイドは2枚しか取られないなかなかのバケモノ揃い。
ポケモンex(エクストラ)と表記被りが発生しているが、SV当時の殿堂ルールでも扱っていないシリーズのため見逃されたのだろうか?

スカーレットex&バイオレットexから登場。
ゲーム「ポケモンSV」の目玉要素であるテラスタルを発動したポケモン。全てポケモンex(イーエックス)である。
共通の効果として、ベンチにいると相手のワザのダメージを受けない。
ポケモンによっては通常のポケモンとタイプが異なるものもいるが、エネルギーは元のタイプのものを使えるため扱いは大きく変わらない。攻撃時のタイプはテラスタルした後のものを参照する点に注意。


トレーナーズのカード

トレーナーズのカードは「グッズ(トレーナーカード)」「サポート(サポーターカード)」「スタジアム」の3種類からなり、場の操作、手札操作、戦闘の補助等ができる。
※Legendシリーズ以前は、名称が“トレーナーカード”であった。

  • グッズ
主に道具、エネルギー操作、ポケモン操作等を行えるカード。自分の番に何枚でも使用でき、かつデメリットが発生するカードはあまりない。
いわゆる「モンスターボール」や「きずぐすり」がこれ。
また、化石系ポケモンに進化できる「なぞの化石」など、技を持たないが自分でいつでもトラッシュに送れる無色タイプのポケモンとして場に出せるグッズも存在している。
また、グッズの中にはいわゆる装備カードとしてポケモンにつけることが出来る「ポケモンのどうぐ」が存在する。基本的にポケモン一匹につき、つけることが出来るポケモンのどうぐは1枚まで。
※Legendシリーズ以前は、特に名称のないトレーナーカードだった。

  • サポート
元々トレーナーカードだったものから分別されたカード。人物が描かれており、様々な効果を持つ。
いわゆる「マサキ」や「オーキド博士」がこれ。
余りに強力な効果を持つものが多いため、自分の番に使用は1枚のみであり先攻1ターン目には使用できない
また、「シロナ&カトレア」のように、GXポケモン同様に2人が描かれた「TAG TEAMサポート」も登場している。使用時に手札をトラッシュに送るなど規定のコストを支払うことで追加効果が得られる。
時折原作のとんでもなくマイナーな人物がカード化されることがあり、マユミ、ニシキ、アズサなどはむしろポケモンカードの方が有名なほど。
最近はイラスト違いのカードも多く、特に女性トレーナーのものは高値がつけられている。
※Legendシリーズ以前は、名称が“サポーターカード”であった。またこのときは「ターン終了までバトル場横に置いておく」というルールがあった。

  • スタジアム
対戦中に場に一枚のみ出せるカード。出したプレイヤーのみならず互いに効果がある。
自分の番に1枚のみ使用可能であり、また場のスタジアムと同名のスタジアムは出せない。
どちらかのプレイヤーが別名のスタジアムを出した場合、既存のスタジアムはトラッシュに送られる。
XYシリーズでは「向き」の概念を持つスタジアムが登場しており、自分の場と相手の場にそれぞれ違う効果を与えることが出来る。

  • ワザマシン
わざではなく「ワザ」。タイプや名前が特定の条件を満たすポケモンにのみつけることができる。
ポケモンに「プラスパワー」のようにつけることができ、つけたターンにのみワザマシンに書かれているワザを使うことができる。要は1回だけ使えるワザ。
確定マヒや相手全体の退化など、独特な技を持つポケモンが多かったが、特定の条件の部分が細々としていて非常に見落としやすい。
※DPtシリーズで完結したが、その後も類似したシステムのカードがある。

エネルギーカード

いわゆる土地カード。1ターンに原則一枚だけ、バトル場かベンチにいる自分のポケモン一匹を選択して付けることが出来る。
エネルギーカードの種類は「基本エネルギー」「特殊エネルギー」のみ。
その名の通りポケモンのエネルギーとなるカードで、ポケモンが「わざ」を使う際には、指定された種類・枚数のエネルギーカードが付いている必要があるが、
一度付けられたエネルギーカードは、わざの効果でトラッシュされたり、相手にはがされたりしなければ付いたままになる。
ちなみに、指定されたエネルギーカードが無色の場合は、どのエネルギーカードでも関係なく、指定された枚数付いていればそれでOK。
また、バトル場のポケモンをベンチに逃がす場合も、指定された数のエネルギーカードをトラッシュする必要がある他、
ポケモンが気絶した際には、ポケモンと共に付いていたエネルギーカードもトラッシュされる。

  • 基本エネルギー
1枚でエネルギー1個分の基本的なカード。同名カードを何枚でも入れられる。
草、炎、水、雷、超、闘、悪、鋼、フェアリーの9タイプのエネルギーがあり、無色タイプとドラゴンタイプの基本エネルギーは存在しない。代わりにドラゴンポケモンは殆どの場合複数タイプのエネルギーを要求する。

  • 特殊エネルギー
使い方は基本エネルギーと同じだが1枚でエネルギー2個分、3個分、全タイプを持つエネルギーになる、攻撃アップ、ダメージ軽減等様々な効果を持っている。
基本エネルギーはデッキに何枚でも入れられるのに対し、特殊エネルギーは同じ名前のエネルギーは4枚までしか入れることはできない。
当初、鋼・悪タイプは特殊エネルギーしか存在していなかった。特に鋼エネルギーはダメージ軽減の効果目当てで鋼タイプ以外に使われることの方が圧倒的に多かった。
ポケモンカードゲームDPからはどちらも基本エネルギーに登場している。

特殊状態

本家でいうところの状態異常。結構本家と違うので注意。
  • 「どく」「やけど」「ねむり」「マヒ」「こんらん」の5種が存在する。本家で「こおり」になりそうな場面は「ねむり」か「マヒ」になっており、また本家では状態異常に含まれない「こんらん」も属している。
  • 基本的には技の効果で状態異常にすることが多い。特性やトレーナーズなどで状態異常にするカードも存在する。
  • バトル場を離れたり、進化すると回復する。もちろんワザや特性、トレーナーズの効果で回復することもある。ねむりとマヒでは「にげる」ができないため、特性やトレーナーズで退場させたい。
  • 「ねむり」「マヒ」「こんらん」は重複せず、後に受けた方の状態になる。「どく」「やけど」とそれらは同時に起こりうる。

一覧
自分の番と相手の番の間、相手の番と自分の番の間には「ポケモンチェック」という時間が存在し、そこで処理を行う状態が多い。

どくマーカーをのせる。ポケモンチェックのたび、HPが10減少する。
どくで受けるダメージを増やす効果を持つカードが多く大ダメージを出すことも可能。先攻1ターン目はポケモンの技は使えないが技以外でならどく状態にできるので、先攻1ターン目からポケモンをきぜつさせる手段としても使われる。
また、本家に存在する「鋼タイプはどく状態にならない」というルールが存在しない。そのためにげるエネルギーが多くなりがちな鋼ポケモン、特にハガネールへの対抗策として、むしろどくが積極的に使われた時期もあった。

やけどマーカーをのせる。ポケモンチェックのたびHPが20減少する。その後コインを1回投げ、オモテならやけどから回復する。
運によって回復されるがその分ダメージ量は大きい。継続してダメージを与えると言うよりは、技のダメージが20点増すくらいに思っておくのがいいだろう。
どく同様、「炎タイプはやけど状態にならない」というルールは存在しない上、本家にある「攻撃力が半分になる」効果もない。
XY BREAKシリーズまでは「ポケモンチェックのたびコインを1回投げ、ウラなら20ダメージ、自然回復はしない」という効果だった。

カードを横向きにする。「ワザ」「にげる」が使えない。ポケモンチェックのたびにコインを1回投げ、オモテならねむりから回復する。
運に依存するが何ターンも相手の動きを止めることも可能。

カードを横向きにする。「ワザ」「にげる」が使えない。自分の番を1回過ごした後のポケモンチェックで回復する。
止められるのは1ターンだけだが拘束力が強い。毎ターン相手をマヒにして何もさせずに勝つデッキも存在する。
これも「雷タイプはマヒしない」などというルールは存在しない。

カードを逆さにする。ワザを使うときにコインを1回投げ、ウラならそのワザは失敗となって自分のHPが30減少する。
リスクを受け入れて技を撃つか、リスクを避けて撃たないかの選択を迫られることになる。いざ食らった時の厄介さは計り知れない。
最初期のルールはとにかく混迷を深めたが「ポケモンカードGB」で自分に20ダメージと大きく簡略化され、この処理が輸入・調整されたという珍奇な歴史がある。

裏面

ポケモンカードでは比較的有名な話。
2001年のVSシリーズを境に、カードの裏面デザインを変更してそれまでの旧カードとの互換を完全に切り捨てた
それまで「ポケットモンスターカードゲーム」であったポケモンカードだが、本格的な海外展開を行うにあたり、海外と共通の裏面にしての国際化を目的としての変更であった。

しかし、海外に合わせるのではなく、日本と海外を同時に新規デザインに切り替えるという提案だったため、肝心の海外版運営から「そんなことをすると客が離れる」と至極もっともな理由で拒否され、結局日本のみが変更する形となる。
(この時点でやめなかった理由は謎。一説には裏面変更と同時にカードプールそのものをリセットしたかったからとも*3。)

結果は当然のように、実質的にそれまでのユーザーの切り捨てということで既存ユーザーから激しい反発を受けた。
しかも互換切り後のカードは大幅にデフレを起こしており、この時期のカードを見るとめまいがするほど弱い上、
外部機器の「カードeリーダー」の併用を前提にしているせいでデザインが悪かったりと問題だらけだったのだ。
採用当初は旧裏と新裏を30枚ずつ入れることで混合も可能というルールもあったが、ゲーム的にいろいろと問題があり結局はこのルールも廃止されている。

なお、現行のポケモンカードはいわゆるスタン制を採用しているため、スタンダードレギュレーションでは旧裏だろうが新裏だろうが古いカードは原則使えない*4

施行から15年程度の月日が経ちながらも、未だにこの時のイメージが強い旧ポケモンカードユーザーは多い模様。
ちなみに裏面が違ってもカードスリーブを使用することで遊べるゲームには遊戯王オフィシャルカードゲーム*5クルセイドシステムカードゲームなどがある。
ポケモン20周年である2016年には旧裏面と同じデザインのデッキシールド(カードスリーブ)「first design」が発売された。気分だけでも旧裏面で遊べるナイスアイテムである。

ちなみにその後も予告なしの互換切りを、「eシリーズ」「ADV・PCGシリーズ」に対しておこなっている。つまり3回も同じことをしているのだが、このことはあまり知られていない。
現在もポケモンカードの公式検索では、これらのシリーズのカードはヒットしない。この時期ならではのいいイラスト多かっただけに悔やまれる
特にカード自体に現行と著しい差異がないADV・PCGが使用できない理由は、「使えるレギュレーションが存在しない」という一点だけ。旧裏ほどのコレクション価値もないこれらのカードは泣いていい。

これだけ長いカードゲームなのだが流行り廃りの波も激しく、2000年代、特に初の互換切り直後であるe時代や、そこから移行したADV時代について話せるプレイヤーは非常に少ない。
e時代は今でも旧裏コミュニティに老師がいるのだが、ADVシリーズのことを話せる人は希少種レベル。ダブルバトルルールなんてもんもあったらしいが誰も遊んでなかったとか。
さすがに2回もスタン落ちを経験して、さらに遊戯王やデュエル・マスターズ、ガンダムウォーなど他TCGの全盛期だったのだ。この時期にはプレイヤーは当然ショップからの信頼もまるでなかった。
こんなものなので当時はポケモンカードのシングルを取り扱う店はかなり少なく、遊ぶのも一苦労だったという。
現在でもポケモンカードは遊んでいた時代ごとに運営に対する信頼感や攻撃性が違うという、本家ポケモンの攻撃種族値のようになってしまっている。


グッズとしてのポケモンカードゲーム

コレクション要素

ポケモンカードゲームに収集グッズとしての価値を見出すファンも多い。その需要たるや、コレクター層を狙ったパックも発売されるほどである。

特に「同じポケモンでも複数種類のカードがある」「トレーナーやグッズのカードもある」ことは、コンプリートの高難易度化に拍車をかけている。
入手方法についても、単にパックで販売しているものだけではない。劇場版視聴者配布のものや、ポケモンセンターやイベント等の限定品、漫画のオマケに至るまで手広く展開しており
いざコレクションしようとすると、それはもう果てしなきコストがかかるのである。この難易度が、コレクター魂を大いに揺さぶるものであるようだ。
しかも最近はレア版のサポート(効果は普通のものと変わらないがイラスト・表面加工だけが豪華仕様)まで登場しているので……


プレミア化

人気キャラクターのSR(SAR)、人気ポケモンの絶版カード、プロモカードなどは、とんでもないプレミア価格になることも珍しくない。
現在でもレギュレーションから外れたカードで対戦をする層やコレクターがおり、彼らに対する需要が見込まれるので値段は高止まりの傾向にある。
天下のポケモンなので世界的に需要があり、そこにオカルトマニアやエリカなどの「20~30代の趣味人という一番金を落としてくれる人たちの需要」をがっちり押さえてるのが拍車をかけている。
最近は高レアリティによる絵柄違いなどもあるせいでバイヤーの介入を非常に招きやすく、ポケモンカードプレイヤーの悩みの種になっている模様。

数千円なら安い方で、何万、何十万円という価格が付けられているカードも多い。中には100万円を超える物まである
特にリザードンは語り草で、PSAで最高の状態と評価された「かいりきリザードン」は5000万円で販売されたこともある。


個性的な絵柄

カードとしての性能やプレミア価格などが話題で忘れられがちだが、ポケモンカードの絵柄はどれも個性豊かなものばかりなのも忘れてはならないポケモンカードゲームの魅力である。
普通のイラストのものだけではなく、3DCGで描かれていたり、実写のジオラマ風であったり、売れっ子の漫画家が描いたものが採用されていることもある。
また、カードの中に風景やトレーナー、他のポケモンが描かれて物語になっているものもあったり(進化一式をそろえることでストーリーが出来上がるポカブのカードが有名であろう)
主に敵組織のカードなどで普段可愛らしいポケモンが悪党面をしているものも存在するなど、ゲームやアニメだけでは見られないポケモンの一面が楽しめるのもカードの魅力の1つ。

言うまでもなくすべてのポケモンのカードが存在しているため、本家ゲームやアニメではなかなか排出してくれないマイナーなポケモンのイラストなどを入手できる機会でもあり、
そういう意味で買い求める人もいるようだ。たとえば第三世代以降のマイナーポケモン、マルノームやクイタランなどはむしろポケモンカードが一番供給が多いまである。
パラドックスポケモンのような謎に満ちたポケモン達に至っては、本家ゲーム・アニメでは「謎」として明かされない情報について、ポケモンカードのPVや背景が新たな考察の材料になる、などという珍現象も発生している。

今のように3Dモデルが携帯機ゲームで見られなかった頃は、背中や足や尻尾などの細かい部分が描かれているということで作画資料としても活用された。
カードゲームには興味ないが、お気に入りのポケモンのカードを中古屋で買ってみた、なんて幼少時代を送った人もいたはずである。

近頃は新パックが発売されるたびに、人気なポケモンやトレーナーの絵柄についてSNSで話題に挙がるといったブーム現象もしばしば起きている。


レギュレーション

MtGのようなレギュレーションが3種定められている。なお、いずれのルールでも、トレーナーズとエネルギーは「ポケモンカードゲームADV」(ゲームでいうところの第3世代)シリーズ以降の同名カードを代用品として使える(エラッタされている場合はもちろんそれに従う)。

スタンダード

おおよそ2-3年以内に発売された商品のみが使用できる。2022年7月現在はレギュレーションマークがD・E・Fのカード、すなわち「ソード&シールド」シリーズが使用可能で、「サン&ムーン」から過去のカードは、エクストラレギュレーションでないと使えない。

エクストラ

ゲームでいうところの第5世代以降、つまり「BW」「XY」「XY BREAK」「サン&ムーン」「ソード&シールド」シリーズが使用できる。20枚程度の禁止カードが存在する。
  • サポート「フラダリの奥の手」
おたがいのトラッシュにあるすべてのカード(「フラダリの奥の手」以外)を山札にもどして山札を切るという効果。
遅延戦術に使われやすい、「同名カードは4枚まで」という制限が事実上踏み倒される、トラッシュ利用やデッキアウト系の戦術が完封されるなど、様々な理由で禁止となった。

  • スタジアム「巨大植物の森」
草タイプのポケモンを、出した番でも進化できるようにするという効果。
進化させたとき、相手ポケモンを手札に戻す特性「きょだいなうちわ」を持つダーテングと組み合わせた1キルコンボが凶悪すぎた。

殿堂

ゲームでいうところの第4世代以降、つまりエクストラに加えて「DP」「DPt」「LEGEND」シリーズが使用できる。
一部カードが禁止になっている他、1~3点の「殿堂ポイント」が設定されているカードが存在し、1デッキにつき殿堂ポイントの合計が4点までとなる用に構築する。
ちなみに上の「フラダリの奥の手」はここでも禁止。「巨大植物の森」は2点だが「ダーテング」が3点なので両立不可。コンボ「探求者ポリゴン」も関連カードが両立不可なので組めない。
現状ほとんどサポートされておらず、殿堂ポイントの設定も暫く改訂されていない。

TVCM

「ベンチなし!」

「手札なし!」

「エネルギーなし!」

「レックウザにダメージあり!」

「もうダメでしょ~?」

「念を込めて引いてきたのは……フーパだ!」

「かーらーのー」

ターン開始時の場:レックウザEX(死にかけ) 他カード無し

ターン終了時の場:レックウザEX(ダブル無色エネルギー×2)、レックウザEX、フーパEX×2、シェイミEX、シェイミEX、ルギアEX、ホウオウEX、スカイフィールド

「( ゚д゚)」

「大・逆・転」

XY以降のTVCMは「ヤバイ!来い!キタ!」をキャッチコピーに、業界でも珍しいガチデッキでのソリティアを全面に推し出し、新パックのカードの強さを存分に見せるというものとなっている。
盤面を完成させドヤ顔の相手がこちらの新カードでどんどん曇っていくというあたりなんともサディスト向け。
中には「高HPのホエルオーだけを場に出し、相手が突破できないまま時間切れかデッキ切れを狙う」という公式大会に現れた恐るべき地雷デッキをエースの攻撃力をグッズや特性で上げまくって真っ向から殴り倒すという何かが決定的に間違っているものも。

余談

ポケモンカードゲームは「手札のカードが1ターンで全て使える訳では無い」「技を使用するコストであるエネルギ-が1ターンに1枚しか使えない」などの様々な要因があり、他のカードゲームに比べかなりドローソースが豊富かつ強力。
遊戯王では無条件2枚ドローの強欲な壺が禁止カードなのに対し、無条件3枚ドローのカードが無制限、といえばその異質さがわかるだろうか。(ターン1の制限はある)
というか「手札を全て山札に戻し6枚引く」「好きなだけ手札を捨てた後、手札が5枚になるようにカードを引く」レベルのカードも普通にデッキに4積みできる。
その代わりエネルギーを1ターンに2個以上出せる効果は警戒される傾向にある。つまりドロー先の使用にルールレベルの制限がかかるので弱いので、この辺はうまくバランスが取れている。
このドローでガンガンデッキを回しながら次の一手を考えるのがポケモンカード最大の醍醐味。そもそもシステム的に、ドロソやサーチがなかったらポケモンを進化させることすらおぼつかなくなってしまう。


一時期は英語で発売するにあたって致命的なレベルの誤訳をされたカードが何枚か存在しており、これらにはエラッタすら出されなかった。
そのため日本と海外ではルールが違うカードとして扱われていた。
特に「ヤドキング」のカードが有名。相手がトレーナーカードを使う時にコイントスを行い、裏なら失敗するという特殊能力を持っていた。
本来はバトル場でのみ発揮され、「特殊状態だと働かない」「技が弱い」という理由から日本ではさっぱり使われなかった凡庸なカードなのだが、
海外ではベンチでも発揮するテキストになってしまったせいで妨害目的でヤドキングを数枚立てる戦術が大流行するなど、評価がまったく異なっている。
ちなみに当時のトッププレイヤー曰く「ヤドキングは日本のルールで遊んだほうが健全だし楽しい」とのこと。


サイドカードに関するルールがたびたび不平等であるように言われる。
これは先述の通り世界で2番目に古いTCGだから。当時はまだTCGに関する理論がまったく円熟していない頃であり、「攻めた側がより有利になるようなシステムを作りたい」というところから始まったもの。
しかしポケモンカードが本格的に遊ばれ始めたことで、このサイドカードのルールにはやはり問題があるということが分かってきた。
この問題点を解決したのが、デュエルマスターズのシールドルールである*6。アニヲタwikiではデュエマはMTGの弟分と扱われるが、ポケモンカードの失敗も取り入れているのだ。なお海外展開は……
ポケモンカードも相手の手札をサイドの数だけにしてしまうことで、手札をごっそり減らせる「N」や「リセットスタンプ」、直前の番にポケモンがきぜつしていなければ使えないカードも登場しているので公式もこのルールを対策している。


今ではすっかり昔話になったが、異様な余談というとポケモンカードDP時代の「ミラクル・ダイヤモンド」「ミステリアス・パール」の話がある。
「自分のサイドカードをすべて見た上で、特定の種類*7のカードとこのカードを入れ替えてもよい」というもので、これは本来なら大した効果ではない。
しかし上述の「サイド落ち」に対する保険になり、さらにサイドカードの位置を把握できる。「手札1枚を有用なカードと入れ替えながら、サイドカードで無駄牌を引くことを減らせるサーチ手段」とも言える。
つまりデッキ内の無駄牌を減らせるカードというわけで、環境が徹底的に煮詰まっていくにつれてこのカードが必須扱いになっていった。
さらに「パールを使った後にダイヤモンドでパールを再利用」というコンボもあり、ますますこの2枚が欲しくなっていった。

ここまでならどんなゲームにもある話なのだが、この2枚はあろうことか大会の上位入賞商品だったため、とにかく市場に出回っている数が少ない。
上述の必須級の扱いということもあって需要が沸騰してしまったが、入手手段がまったくない上に代用品が存在しない
そしてこの供給問題を解決するべく新しく印刷されたカードたちも代用品にならず、ますますこの2枚の価値が上昇する始末。

最終的に「あるコミュニティが「自分たちはパールを合計何枚、ダイヤモンドを合計何枚持っている」という情報を発表してけん制しあう」という、
どこぞの漫画のようなことが行われるという事態にまで発展した。
そしてこれらのカードを潤沢に使えるようになるにはコミュニティにおける中心人物の覚えがよくないといけないというとんでもない事態まで起こし、
著しい資産差・コネ差を生むせいでポケモンカードの新規参入(特に大会狙い)における大きすぎる参入障壁となった。
枚数が潤沢に揃っていなかった頃は、コミュニティの中で強い・信頼性のおけるプレイヤーを中心にこのカードを貸与するなんてことまであり、
大会でしのぎを削りたいと考えていた新参プレイヤーは、貸してもらえなかった=その権利を奪われたことに興ざめしてゲーム自体を離れてしまうこともあった。
その離れたプレイヤーのひとりに聞いた話では、「金を積んでも手放してくれるわけがないので、そのプレイヤー自身をコミュニティに誘った」なんてこともあったという。えげつねェな…………

誇張だと思う人も多いだろうが、この時期のポケモンカードは本当に何かがおかしかったのである。
あまりにもすべてのデッキに入ってしまう上に入手性の問題もあるため、殿堂レギュレーションでは現在禁止カードに指定されている。どうしてそれを2007年の時点で行わなかったんだろう……。
ちなみに海外でも「トロピカルビーチ」というカードで似たような事態が起きていたようだ。最近ではこういった「大会入賞商品」に関する問題は起きていないようである。

ヒットまでの裏話

ポケモンカードが一般向けにお披露目されたのは1996年10月15日のコロコロコミック11月号である。この号はポケットモンスター青の誌上通販を公表・開始した号でもあり、とんでもない数の子供達が同封されたピカチュウとプリンのカードを手にした*8
ポケモン青の売上は即座に爆発(し受注システムをも破壊)したが、カードの方はすぐには燃え上がらなかった。そこそこは売れており拡張パック第2弾を出したころに新学期が到来しアニポケが放映開始。視聴率10%の番組でポケモンカードのCMがガンガン流れたため、あっという間に店頭・問屋まで在庫が吹っ飛び流通元・発売元へ注文が殺到した。
ポケモンカードは当時のコロコロコミックの戦略の関係でイトーヨーカ堂には優先納品されており*9、おもちゃ屋が少ない(そして流通も弱い)地方でもイトーヨーカ堂があれば買えることが多かった*10。当時はネット通販などない時代であり、実店舗で買うことがほとんどであったため、イトーヨーカ堂では時に卵や牛乳、野菜などと売上を競うレベルで売れまくったという*11。イトーヨーカ堂がポケモンカードのCMを作って流す、ということが行われるほど、ヨーカ堂においてポケモンカードは大きく影響を持った。

ポケモンカードは当初、メディアファクトリー*12が製造販売しスターコーポレーション*13が流通させる体制*14でスタートした。つまり任天堂はリスクを取ることを避け流通には関与しなかった。ポケモンカードの開発*15はゲームの発売前から始まっており、ポケモンがだいばくはつするとは任天堂も考えておらず*16、任天堂としては64の発売が迫っておりPSにより席巻されつつあった据置型ゲーム機に対して攻勢をかけるのが至上命題であった。まして当時の日本にはTCGの市場というものはまだ存在していなかった*17。以上のことを考えると、任天堂の対応に不思議はないとは思われる。なお、後に発売元は㈱ポケモンとなっている。

追記・修正はサイドを6枚取ってからお願いします。

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最終更新:2024年04月22日 08:36

*1 サイドに干渉するカードはかなり限られている

*2 ポケモンカードの俗語で原作における進化系統のこと。フシギバナラインならフシギダネ、フシギソウ、フシギバナというように呼び習わす。

*3 ドローソースや「エネルギー・リムーブ」のような問題児はすぐに思い浮かぶだろうが、これに加え「カツラのクイズ」「フラッシュ」のようにゲームのシステムで遊びすぎているものもあった。さらにポケモンカードneo時代は「リーダーズスタジアム」の失敗や他のTCGの流行もあって往時のポケモンカードブームが嘘のように失速しており、コロコロコミックのメイン商品もデュエルマスターズに移行していた。ここで資産差をリセットすることで巻き返しを図りたかったのかもしれない。

*4 同名カードやエネルギーは使用できる場合もある。

*5 日本語版と外国語版(一部を除く)は裏面が異なっているものの、どちらも混ぜて遊ぶことができる(ルールブックにも記載があり)。ただし、トラブル防止のために裏面の透けないスリーブを着用することが望ましく、公認大会では外国語版を使用できない。また、日本語版でも「デュエルターミナル」に収録されたカードはロゴの色が(よく見なければ分からない程度だが)微妙に異なっており、公認大会や競技性の高い非公認大会に出場する際は裏面が透けないスリーブに入れて使用することが望ましい。

*6 ポケモンカードとデュエルマスターズは、どちらもMTGのスタッフが基礎ルールを作り上げている。

*7 ダイヤモンドはトレーナー、パールはポケモン。ついでにワンダー・プラチナというエネルギーを参照するカードもあったが、これはさほど活躍していない。

*8 当時は月に180万部を発行していた。2020年頃には3カ月合計でも50万部を割っている

*9 コロコロホビープラザというコロコロとヨーカ堂がタイアップしたコーナーがあり、ヨーカ堂のPOSをメーカーで逐次把握できるシステムが構築されていた。ポケモンカードが爆発的に売れ始めたのがメーカーもすぐに把握できたのでどんどん生産でき、流通元はヨーカ堂にガンガン納入した。ポケモンカードを取り扱うところが増えても、ヨーカ堂には一定量を納品し続けた。

*10 イトーヨーカ堂は東日本に出店しているため、ポケモンカードの広まりは東日本の方が速かったと言われている

*11 店舗単位ではなくイトーヨーカ堂全店集計において9位にランクインしたという記述もある。食材系は生活必需品であり薄利多売の品目であるため必然的に売上高が大きくなるのだが…

*12 当時はリクルート傘下

*13 初心会の一員ではあったが当時の売上は任天堂に影響力が持てるほどの規模ではない、普通の卸問屋である。担当者が元リクルート社員であったことからメディアファクトリーと繋がり、ひんしだったドラクエのバトエンをふっかつさせた実績も買われて流通を手掛けることになった。そして、トレーディングカードゲームという当時は非常に認知度の低い商品に対して、スター社以外に引き受け手がなかった

*14 当初は97%が同社から流通した

*15 開発元は今も昔もクリーチャーズ

*16 初回出荷数からもそれは分かる、なにせほぼ終わったハードのゲームである。

*17 マジック・ザ・ギャザリング日本語版の発売がちょうど始まった頃である。遊☆戯☆王は1999年発売。