武装おしおき(こち亀)

登録日:2012/04/22 Sun 22:59:23
更新日:2024/03/25 Mon 13:56:45
所要時間:約 5 分で読めます





「両津のバカはどこだ!」
「先程荷物をまとめて旅へ行きましたが…」


武装おしおきとは、秋本治の漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で両津勘吉に激怒した大原大次郎各話のラストで重武装して派出所に殴り込みをかけるというもの。

別名は「部長の怒りオチ」「大原部長オチ」

概要

こち亀の定番のオチの一つで、爆笑シーンの代表として非常に高い人気を誇る。

1.両津が悪だくみや不運の末に大トラブルをやらかす
2.部長が大恥をかくor周囲一帯が大騒ぎになる
3.ガチガチに武装した部長が殺気立った雰囲気で「両津のバカはどこだ!」と叫びながら派出所に殴りこんでくる
4.既に両津は危険を察して逃亡済みであり、麗子が「キャア!」と悲鳴を上げ、中川or寺井が「○○へ行きました」と告げる

というのが全体の流れ。

回を経るごとに暴言も「バカ」→「大バカ者!」→「大バカ野郎」→「ゴミ野郎」→「クソ雑草」とレベルアップし、武装の方法も回を追うごとに派手になっていく。

逃亡先を告げる台詞も
  • 「奈良の法隆寺に柿を食べに行きましたが…」
  • ポケモンを探す旅に立つとかで出て行きました!」
などその回のテーマに沿った台詞になっている。

なお、資料集によると1週間かけて説得し、何とか次回までに元の鞘に収めようとするそうである。

原型と言えるのは24-8「サムライ!の巻」。
両津が秋葉原で市街戦を引き起こした*1
後、部長が頭に「殺」と書かれたハチマキとローソクを着けてトミーガンを構えながら派出所に現れた。

こち亀の長い歴史の中で何度も使われてきたオチなだけあって、いくつものバリエーションが存在する。
部長が白装束で両津と心中しようと試みたり、乗り込むのではなく派出所の前で武装して待ち受ける*2というパターンもあったりする。
両津が逃げきれなかったパターンもあり、机の下で隠れていたり、捕まって必死に弁明しているほか、逃げた先を探し出して直接殴り込みをかけた事もあった。
後期では署長も一緒になって殴り込みをかけたことも(191巻「DJ両津の巻」・194巻「今どき運動会事情の巻*3)。
ちなみに純粋に部長が武装して派出所に乗り込んだオチは(署長と一緒に乗り込んだ回も含めて)全部で26回と実は40年間連載してきた事を考えればそんなに多くなかったりする。

■武装おしおき時のスタイル

服装

  • 白装束
  • 僧兵姿
  • 鎧武者装束
  • 軍服(旧日本軍、米軍etc…)
  • 防弾ベスト
  • 西洋式甲冑
  • カウボーイ衣装
  • ミリタリージャケット
  • マッドマックス風
  • 仕事で使用した着ぐるみに迷彩塗装&サングラス(この時は中川・麗子・ラストコマで追いつかれた両津も着ぐるみ姿)
  • フルアーマーガンダム風パワードスーツ

武器

  • トミーガン
  • アサルトライフル(FN FAL・M4カービン)
  • マシンガン(ルイスMk.I・FN ミニミ)
  • 二丁拳銃(コルトSAA)
  • ショットガン
  • 薙刀
  • サーベル
  • ガトリング砲
  • 無反動砲
  • ロケットランチャー(パンツァーファウスト3・01式軽対戦車誘導弾)
  • 対物ライフル(バレットM82)
  • ダイナマイト
  • (学習漫画)

兵器

  • 装輪装甲車(82式指揮通信車)
  • 軍馬
  • 戦車(重駆逐戦車エレファント・旧日本軍の97式中戦車)
  • 自走砲(M109自走榴弾砲・M7プリースト)
  • 戦闘ヘリ(アグスタA129マングスタ・AH-64アパッチ)
  • 三脚付きM-60機関銃
  • ドリル戦車(学習漫画)
  • ベロキラプトル(学習漫画)

他に武装おしおきを行った人

こち亀作品内

両津が金儲けで自分の名前を無断で使った事等にブチ切れて戦闘ヘリで追い回した。

上記の通り、部長と一緒に武装して現れた事が数回ある。

  • 秋本治(作者本人)
カメダス2における漫画家矢代まさことの合作作品のオチで原稿を無くした両津に対して行ったことがある。

他作品

楽しみにとっておいた限定スイーツを勝手に繰巣に食べられ、大原のように武装して激怒する。
『こち亀』と作者が同じであり、セルフパロディ。

太公望が姫発と一緒に象レースを開催するエピソードに登場。
象レースの開催資金を提供したが、色々と台無しになり、「姫発様と太公望はどこです!?」と涙ながらに聞いて来た。
そして、四不象から「荷物まとめてラスベガスに夜逃げしたッス」と言われている。また、周公旦はその後ろで「よくも私の象を」と言いながら剣を抜こうとした。

「セルジュはどこだ! あのバカはどこだぁー!!」
フランスはパリからイタリアのナポリまで戦車に乗ってライバル社のモデルをやったバカ息子(家出独立中)をはっ倒しにやってきたバカ親父。
もっともこちらは話を締めるオチではなく話を始める出オチとして使われた。

ケイドロを行った際、監視役の殺せんせーが、せっかく捕まえた生徒を次々逃がしてしまったため、
対先生ライフルと拳銃で武装して「あのタコはどこだ!」と怒鳴り散らした(因みに殺せんせーは信州そばを食べに行っていた)。
直前の生徒を取り逃しまくる場面にも、両さんが調子に乗って様々な事業を行うお約束展開のパロディが挿入されている。
また、別エピソードでは、ビッチ先生が、気絶している間に顔に落書きをされたことに怒り狂い、鎧兜と二丁のG36Cで武装してくるという展開がある。

アンソロジーコミックにて、ゲッターチームの不祥事によって仕事を滅茶苦茶にされ激怒。
ガリクソンに乗って「竜馬の大バカ野郎はどこだ!!」と現れ、ロジャーに「しばらく月へ修行の旅に出ると言ってましたが……」と返される(声優ネタ)。

「ハルトマンはどこに行ったぁーーっ!!」
風邪で寝込んだエイラの看病としてハルトマンが用意したサーニャのお面をエイラを取り囲むようにして7枚も配置、
それを知らずに見舞いに来たサーニャがその何かの儀式の様な構図を前にドン引きする事態を起こす。
その後快復したエイラは右手にフリーガーハマー、左手にMG42、背中に九九式13mm機関銃という重武装でミーナの元に上記の台詞と共に押しかけ、
ミーナは「さっきまでここで外出届を出していたのだけれど……」と返したがハルトマンは逃げ損ねて机の下に隠れていた。

公式Twitterの漫画『ボンバーマンガ』の とあるエピソード にて冬水着を無断欠席したプルーンの態度にブチ切れ、モーニングスター片手に「プルーンのバカはどこだー!?」と怒鳴り散らした。
そして、アサギから「チェイスチェイスジョーカーズ遊びに秋葉原へいったであります~」と言われた。
また、作者のケイ壱はこのエピソードのオチを「モモの姉御オチ」と表現した。

  • ドラえもん
ドラえもん』の外伝作品「ドラえもん百科」にて。これに関しては関連記事を参照。

■おしおきの別パターン 執行型

他によく見るおしおきのパターンとして、執行型(仮称)というものも存在する。
こちらのパターンでは、両津が悪事をしているところに部長が出くわし、そのままお仕置きを執行してオチとする…という内容が定番。
''げっ 部長!''

部長本人は普段の制服姿であることが多いが、お仕置きはその回のテーマにちなんだ内容であり、そのバリエーションは実に様々。
回によっては明らかに殺人レベルの過激なものも存在するが、恐らく両津の頑丈さを見込んでの事なので本気で殺すつもりではないと思われ、「これくらいやってもかまわんだろう」なんて言いたげな事も…なお戦闘力530000の宇宙人も無力でした。

ちなみに、登場自体はこちらのパターンの方が早い……というか記念すべき初回がこのパターンであり、
当時は両津並みに常識外れだった中川と一緒に派出所内でビールを飲みまくっていた所を、抜き打ちの調査に来た巡査部長(大原部長とは別のキャラ)に見つかり、二人揃って納沙布岬*4の派出所へ飛ばされた。

  • 祭りの警備をサボってみこしを担ぐ→背中にみこしを三つ同時に縛りつけられる。
「そんなにみこしがしょいたけりゃ思うぞんぶんしょわせてやる…」

  • 忘年会で偽のフグを出し会費を浮かせて横領する→男体盛りをやらされ晒し者にされる。
「おわびになんでもしますからこのことは署にないしょに!」
「なんでもするんだな両津!」

「海の幸の活造り 両津添えです」

  • 勤務をサボってせんべい屋を手伝う*5金網の上に乗せられ、火炙りにさせられる
「ぜひ両津の手焼き風味を食べてみたい! 協力してくれ!!」

  • 不慮の事故で動いた機関車で展覧会会場が破壊され、その場にいた両さんが逃げる。→気象衛星に縛り付けて宇宙に送る

  • 店頭においてあった船が洪水によって走りだし、葛飾署に激突する。→いかだにのせて海の真ん中に置き去り。*6

  • 日本酒を密造する→巨大な一升瓶に閉じ込め、酒の中で溺れさせる(一応巨大ストローで呼吸は許されている)
「大好きなお酒の中で幸せそうですね」

  • 葛飾署一同に人力発電をやらせておいて、余剰電力を寮生たちに無断で売電し、儲ける為に更に発電施設を増やす。→文字通り「雷を落とす」ため、落雷のエネルギーを充電しようと両津が設置したマシーンの避雷針に磔にする

  • 警視庁騎馬隊の元競走馬達を「まだ行ける」と裏名義で現役復帰させ賞金を稼ぎ、最後は過酷ローテで馬が疲弊し怒り顔にも関わらずG1出走させようとした際→自分がG1のため違法に使おうとした電撃鞭と騎手用ゴーグル&ベスト装備の競走馬(平均約400~500㎏台)を背負いメンコを被って競馬場を走らされる。
そんなにG1に出たければ出してやる お前が馬でな

  • 無許可で東京中を走り回るゲリラマラソンを開催する→「そんなに走りたいなら存分に走ってろ」と高速で逆回転するエレベーター10時間走らされ続ける。後ろには巨大な棘

  • 新年会の日に時代劇のエキストラの騎馬隊で自宅を滅茶苦茶にされる*7荒馬に繋がれ地面を引きずり回される。

反撃の両津

まれに、大原部長が不祥事などで両津に恥を掻かせる、両津は一切悪くないのに大原部長から一方的に責められる、あるいは両津が部長を見返した場合、「大原のバカはどこだ!!」と言わんばかりに両津から反撃するシーンもある。

  • 43-1
部長にボロクソ言われたのを機に巨大な木彫の仏像を完成させる。これが入賞し、聞きつけた屯田署長にその事について話す。


  • 89-8
両津の忘れ物を咎め、孫が使っていた忘れ物チェックボタンを勧めた部長。ところが自分も忘れていたり、 預かっていた給料を落とす といった失態を犯して両津に咎められる。
中川「二人共これを使った方がいいかもしれない」


  • 130-3
お笑いに疎い部長と署長が無理やりお笑いの特訓をされ、その反動でそれが警視庁での会議でも披露し謹慎するハメに。
両津「ギャグの限度を知らんよ、これだから熟年は恐ろしい」


  • 144-9
以前から部長から悪筆について咎められていた両さんが、再従妹の擬宝珠檸檬に鍛えられた結果、個性的な筆跡によって纏達とは別ベクトルの達筆になった*8
腕前を認められて全国放送に出た際、そこには「(部長は)『人間のクズはクズのような字しか書けん!』と言ってくれた人です!」と発言する両さんの姿が……。


  • 159-5
連載後期で顕著だった部長のキャラ崩壊エピソードの一つの極致、『貯金王両さんの巻』。
両津のコレクションを問答無用で処分した意趣返しとして、両津の稼ぎを横領した金で買い集めた盆栽を全て捨てられる羽目に。


  • 175-3
両津の曽祖父・ため吉の所持していた骨董品の陶器について聞いた大原部長。部長から「贋作だ」と責められるが、案の定部長の推測が当たってしまった。
中川や麗子の計らいで本物にすり替えて部長を驚かすドッキリを仕掛けようとしたが、部長は本物の骨董品を一切信じておらず、遂にはそれを割ってしまう。
紆余曲折経て真相を知った大原部長は意気消沈し、それに追い打ちをかけるが如く、自身の尊敬していた鑑定士が実は詐欺師であった事を知ると、趣味から陶器の収集を無くすほど落ち込んでいた。
終いに、中川グループ主催の展覧会で「みなさーんここにいますよー、大胆不敵破壊男(クラッシャー)は!」と両津に煽られる部長の姿が…


  • 180-7
両津から借りた高価な硯(すずり)を部長が割ってしまう。
これを中川から聞いた両津は、部長に硯について間接的ながら不安視させ、「(プラモを)作りなさい!私が認める、自由にやっていいから!」と言わせるほど慌てさせた。


  • 186-3
書類を紛失したのを理由に両津をクビにさせるが、後にかつしか署に置いてあった事と部長の勘違いが判明。
部長は大パニックになり両津を呼び戻すが、案の定両津はカンカンに怒り部長は逃亡。今までと真逆のパターンである。


余談

  • アニメでは第65話「留守録シンドローム」*9が唯一。

  • 通常連載では200巻第19話「部長御乱心の巻」が最後となったが、201巻*10「Vチューバ―大作戦の巻」で久しぶりに登場。

  • サポート技「怒りの大原部長」
    『JUMP SUPER STARS』や『JUMP ULTIMATE STARS』では鎧武者姿の大原部長が前進しながら斬りつける。
    ダメージは高いが時間が長いせいでコンボを繋がれ、下手にガードしてもガークラでガードを崩されてしまうので、嫌われるサポート技に数えられる。




大原「両津のバカはどこだ! あのバカ、どこに隠れた!!」
wiki篭り「アニヲタwikiに項目を追記・修正しに行きました!」

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最終更新:2024年03月25日 13:56

*1 ただしその経緯は、合同演習帰りの米兵を買い物に連れて行った際、乗ってきたジープを窃盗犯に奪われる→米兵が止めるためにアサルトライフルで発砲して爆破 というものであり、両津の責任ではない

*2 191-10「暑い日は海!の巻」。両津だけでなく中川と麗子も海外視察団の派出所視察の予定をすっぽ抜かして海に出かけてしまったため。両津たちは本田からの電話でこのことを知って震えるオチとなった。

*3 前者は「裏名での過激ラジオ放送」で叱られそうだった両津が置き土産に新葛飾署の内部告発した。後者は親睦会での部長と署長の腹踊りの写真を誤ってTwitterにアップロードしてしまいニュース沙汰になってしまった。

*4 北海道最東端にして、一般人が到達可能な最東端。ロシアが実効支配している国後島とは泳いでいける近さなので晴れた日には良く見える(実際に作中で中川が言及している)。このため不法越境を防ぐために警察と陸自が監視ポストを置いているのは本当。ちなみに寺井の故郷でもある

*5 ただし、このせんべい屋は景気が悪化していたのを見かねた両さんが善意で手伝っていただけである。暴利をむさぼっても私利私欲な商売をした訳でもなく、お仕置きされる程の事ではない。

*6 怒濤の下町パイレーツ!?の巻だが、この一件は両さんは巻き込まれただけで別に悪くなく、完全な濡れ衣である。何なら乗っていた店長は我先に逃げ出し、両津のみ不運にもロープが足に絡まって逃げられずに激突まで唯一船にいただけである

*7 ただしこの回は両津に一切悪気はなく、他のエキストラたちの勘違いが原因

*8 これ以降の話でも設定が引き継がれており、営利・非営利問わずたまに発揮されている。

*9 元となったエピソードは原作69巻第4話「ザ・留守録パニック!の巻」と75巻1話「音声予約でコンニチハ!の巻」

*10 連載終了後、コンビニ編集版初出