FINAL FANTASY Ⅷ

登録日:2010/01/25(月) 13:30:50
更新日:2024/03/02 Sat 16:10:48
所要時間:約 4 分で読めます






遠く、潮騒が聞こえてくる。


薄桃色の花が咲き乱れる草原を、海風が渡っていく。


少女は、待っていた。


――誰を?


そう彼女は問い掛ける。随分長い間、ここで待ち続けているように思う。
あるいは刹那の時を。


時間は意味を持たない。大切なのは、誰を待っているのかを思い出す事……。


突風が花びらを舞い上げ視界を薄桃に染める。
美しい嵐の中で、少女は握り締めた拳を開く。


包まれていたのは一枚の純白な羽根。
それは少女の想いを乗せ、風に高く運ばれていく。


空の果てへ。
時の狭間へ。
傷付き迷う、待ち人の下へ――。





『FINAL FANTASY Ⅷ』は、1999年2月11日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された、ファイナルファンタジーシリーズの8作目となるプレイステーションソフト。
キャッチコピーは「愛を、感じてほしい。」



【ストーリー】

兵士養成学校で傭兵となった主人公・スコールは、パーティー会場でリノアという女性に出会う。

一方その頃、大国ガルバディアが突如全世界へ宣戦布告。
演説する大統領の傍らには、人々の記憶から消えかけていた『魔女』の姿があった――


【評価】

比較的オーソドックスなシステムが導入されていた前作と比べて、本作はジャンクションやドロー等の独特なシステムが多数導入された為、発売当時は賛否両論の意見が多かった。

例を挙げると
  • 魔法はMP制ではなく、個別の魔法を敵から入手するか専用ポイントで得る回数制の「ドローシステム」
  • キャラクター育成要素として、魔法やガーディアンフォース(G.F.、他シリーズでの召喚獣にあたる)を身につける「ジャンクションシステム」
  • 味方と敵のレベル連動制
  • 地味に難易度の高い強制ミニゲーム
  • 武器は素材を使用して強化、防具は一切ない
  • 所持金は一定歩数進むことで入る「給料制
など。

特にキャラの育成が、今までのようにレベルを上げてればいいという物ではなく、前作のマテリアをさらに複雑化したような、G.F.と魔法での2段構えのカスタマイズであった。
プレイヤーがキャラを自らカスタマイズしていく形のゲームは数あるが、それらは割とマニアックな部類であり、それを国民的ゲームとしての地位を確立したFFに導入したところ、自由度が高い反面、システムがなかなか理解出来ないユーザーも多かった。

頻繁に槍玉に挙げられるのは、ドローや、敵の強さがこちらのレベルで変動するシステムだろう。
従来のようにレベルを上げ、ちまちまドローするだけで進めていては苦戦どころかマゾゲーになる。
「レベルを上げ過ぎると不利になるから低レベルで攻略する方がいい」という誤解も広まってしまった(まぁ単純にクリアするだけならば楽と言えば楽だが)。
今作特有のキャラのカスタマイズやアイテム・魔法の効率的な収集がこなせるかどうかがこの作品に対する評価の分かれ目になるが、如何せんゲーム中では序盤に最低限のチュートリアルが行われたきり、詳細な解説がほぼされないのが痛かった。
一応、メニュー画面から読めるチュートリアルは親切過ぎるレベルでかなり丁寧に解説されているのだが、ゲームをする上で必読ではない上に踏み込んだ知識を得るための誘導やヒントが与えられていなかった為、大半のユーザーにはスルーされていた模様*1
公式でもやや不親切な仕様である事は理解していたのか、発売当時のゲーム雑誌では度々特集が組まれ、そこで丁寧に解説されていたりはしたのだが、当然の事ながら誰もが雑誌を購読するわけではないため、それらの解説をしっかり読んで知識を得ていたプレイヤーとそうでないプレイヤーとでシステムの理解度に大きな差が付いてしまい、それが後年今作に対するネットユーザー間の評価の分断を招いたことは否めない。
なお、こうした批判が多かったためかこれ以降のFFは最初から複雑なシステムを実装するのではなく、ストーリーを進める毎に新要素が解放され、その都度チュートリアルが挟まれる、という趣向が多くなった。



シナリオに関しては、メインストーリーからNPCの台詞まで緻密に伏線が張られている点がよく話題になる。
先に進む所を少し戻ったり特定の一瞬のタイミングで話を聞くと、とんでもない発言が飛び出してきた……なんてことが何周プレイしててもしばしば起こる。


メインの軸が恋愛である点や学園物である点も若干批判される事もある。しかし、
  • 強がりで臆病な閉じた心を開く、愛する人の図式
  • 時間が経つにつれて忘れてしまう絆、記憶
  • ただ明るいだけで無茶ばかりしていた青年が守りたいモノが出来た事に喜び、それを失う恐怖を知る
  • 学園で恋人を作ったら報告しあおうと語り合う女子生徒のように、何気ない日常の中で生き生きとした青春を送る学生達
…等々、学生時代の青春を遠い昔に感じるまでに歳を重ねた頃になって振り返ってみると、より深みが増すようなストーリーに仕上がっている。
要はパーティメンバー全員が子供から大人になっていく過程を描いた青春物なのである。

PS史に残る美麗なグラフィックや秀逸なBGMは非常に評価が高く、エンディングムービーはその完成度から多くのプレイヤーから絶賛された。
発売当時はネタバレも辞さない勢いで色んなムービーが色んな番組で流された。ユーザー増加の一因だっただろう。 


他には
  • 一部のG.F.はボスからドローしないと手に入らない上に(というかこの方法での入手が殆ど)、入手せずに倒すと二度と手に入らない。
  • G.F.召喚攻撃時の演出が長い上に飛ばせない(一応、アビリティ「おうえん」で演出中に操作すれば攻撃の威力を少し上げることはできる)。
  • 強制的にジャンクションが解除されてしまい、ゲーム中で一切通知が無いまま放り出される場面が度々ある。

などは慣れたプレイヤーからも問題点として挙げられる事が多い。
特に最後は直後に戦闘がある場面もあるので忘れると非常に辛い戦いを強いられる。
操作キャラが変わる時に起こる事が多いので操作キャラが変わったら必ずステータスを確認するようにしよう。

だが、同じスクウェアの『ゼノギアス』『クロノ・クロス』『サガフロンティア2』のように資料集を見ないと分からない設定は殆どなく、ストーリー上重要な事柄は全て本作で説明されている点は評価されている。


【主なキャラクター】


スコール・レオンハート
主人公。ガンブレードを扱う青年。
無愛想かつ無口な性格で、他人との関わりを極力拒もうとする。
作中の時折現れる選択次第では、割と愉快な事を真顔で言う面白い奴に。
『(大丈夫だよ、ママ先生)』



リノア・ハーティリー
ヒロイン。子供っぽい所があり、真っ直ぐな性格。
世間知らずでやや空気も読めない所があるが、人懐っこく活発な性格。


『好きにな〜る、好きにな〜る』

チャクラムを射出する「ブラスターエッジ」を駆使して戦う。
愛犬アンジェロと共に放つ特殊技『コンバイン』は片手で犬をぶっ放したり流星アタックしたりとやりたい放題。犬ではなくG.F.だと言われることも
終盤には半ば暴走状態で魔法を乱発する『ヴァリー』も取得する。

ゼル・ディン
格闘術に長けている青年。
良くも悪くもまっすぐな熱血漢なので暴走しちゃうことも多い。やらかしの規模ではPT最大。
意外に博識でスコールからその知識量に感嘆されることも。
青春軍団の中で、一人だけ色恋沙汰が無いかわいそうな奴だが、実はリア充。
『チキン野郎じゃねぇ!』


セルフィ・ティルミット
天然ボケパンチラ要員にして、実はラスボスすらも一撃で倒せる技を持つ少女。かわいい。
ライブラで縦回転させようとしたら公式が対策済みだった、という話は有名。
残念ながら「まみむめも」は流行らなかった様子。
『(ん?ついてる?)』

FFでも珍しい「ヌンチャク」使い。極めれば必中になるのでやり込みプレイヤーのお供。
特殊技『スロット』を使えば色んな魔法を使い放題!自由に選べないけど!

アーヴァイン・キニアス
ニヒルでヘタレな。セルフィに惚れている。
攻撃速度は最速で、安定した火力を叩き出せるアタッカーでありぶんどる職人。
実は「他所から来た」ということで、パーティーメンバーで唯一…。
『誰も判っちゃくれない。狙撃手は一人ぼっちなんだ』

ショットガン」を愛用するガンナー。
選んだ弾丸を乱射する『ショット』はコストこそ掛かるが、火力やお手軽さでは最高クラス。

キスティス・トゥリープ
メガネが似合う教官。
なんかもう20後半ぐらいの貫禄があるように見えるが、内面は年相応の乙女。
『私と一緒に居るのはイヤなの?』



ラグナ・レウァール
スコールのに出る男。
おっちょこちょいで能天気な憎めない奴。戦闘BGMが神曲と有名。
作中の台詞をじーーっくり眺めていると…。
『妖精さんたちが来たみたいだ』

■キロス・シーゲル
エキゾチックなツッコミ役。暴走しがちなラグナを見守る優しい漢。
独特なファッションセンスの持ち主で、曰く「変な恰好のおじちゃん」。
割と重要な事実をサラッと雑談で披露してたりする、彼の台詞は要チェックだ。
『ラグナ無しの人生?…考えられんな』

■ウォード・ザバック
ラグナやキロスと共に行動するデカイ奴。よく喋る陽気な男。
『………。』
キロス「(ありがとうと言いたいらしい)」

サイファー・アルマシー
スコールのライバル
根は悪い奴ではない。
『クックックッ…』『ぎにゃああああああああ!!!』

■イデア・クレイマー
ガルバディアを陰で支配する《魔女》。
『SeeD。…腐った庭に蒔かれた種か』

■シド・クレイマー
今作のシド。
バラムガーデンの学園長として登場。



余談

FFシリーズで初めて主題歌がついた作品であり、これ以降のFFでは主題歌が当たり前になった。
フェイウォンの歌う主題歌『Eyes On Me』は当時のヒットチャートを席巻し、FFの主題歌といえばこの曲という人も多いのでは。

本作のテーマは愛で、男女間の愛や親子の愛などを総括しての愛だという。
坂口氏は「技術の向上によって演出がきちんとできるようになったから愛という人間の永遠のテーマを扱うことができた(要約)」と語っている。


シュウ先輩「よかったぁ~、追記・修正してくれて…」

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最終更新:2024年03月02日 16:10

*1 当時既にインターネットは存在していたが現代程手軽ではなかったし、まだ攻略情報をネットで検索するという文化も根付いていなかった時期である。