巨獣特捜ジャスピオン

登録日:2009/08/01 Sat 20:55:16
更新日:2024/04/19 Fri 16:22:20
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『巨獣特捜ジャスピオン』とは、1985年放映の特撮ドラマであり、メタルヒーローシリーズ第4作。


【概要】

好評を博した『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』の『宇宙刑事シリーズ』3作品から一線を引き、設定を新たにした世界観の作品となっている。

鍍金質の変身スーツを身に纏い、光線銃とを駆使して戦い、巨大母艦・バイク戦車といったメカニックを備えているなど、
その見た目や基本フォーマットは『宇宙刑事』シリーズと多くの共通点があるものの、その設定や作風はだいぶ異なっており、
  • 主人公の名前は単に「ジャスピオン」であり、日本名がなく変身前と後で名前を使い分けない
  • 主人公のジャスピオン、その相棒であるアンリは共にユーモラスで漫画チックなキャラ付けがなされており、宇宙刑事シリーズに比べるとギャグ成分が多め
  • 宇宙刑事と違って変身の描写がかなり簡素であり、何かしらの決め台詞や決めポーズがあるわけでもない(強いて挙げれば、両手を耳のところに添えるような仕草を時折するくらい)
  • 光線銃や剣を使って戦うジャスピオンであるが、やはり技の描写も簡素であり、敵に一気にトドメを刺すような必殺技も特に無い(メタルヒーローの定番であるレーザーブレードや発光するゴーグルすら比較的後になるまで出てこない)
  • 話の主役となる巨獣以外は敵キャラが非常に雑多な構成になっており、どれが戦闘員でどれが怪人に相当するのか極めて曖昧
  • シリーズ初の、変身して襲ってくる悪のライバルキャラが登場
  • ジャスピオン自身による等身大の戦闘よりも、対巨大戦に重きが置かれており、決着を付けるのはあくまでも巨大ロボットのダイレオンである
……など、随所で差別化が図られている。

また、本作で怪人・怪獣に相当する“巨獣”はナマゲラスなど被害者と呼べるような立場である事が多く、ジャスピオンも必ずしもそれを退治する事を目的としていない。
というか、どちらかというと「バトル」よりも「冒険」をテーマとした作風になっており、戦闘シーンはその副産物的に発生するような展開になっている。
このあたりは初期の頃の『ドラゴンボール』を思い浮かべてもらうと分かりやすいであろう。

『宇宙刑事シリーズ』に比べて、設定はよりアバウトに、登場人物はよりコミカルになっているもかかわらず、全体的にお洒落な雰囲気が追求されており、対象年齢は上がっている……
という特異な作風であったが、平均視聴率が『宇宙刑事』シリーズと比べて低下した事から次第に路線変更が進み、これらの特徴も次第に希薄化していった。
また、これに伴って放送時間も途中から変更されており、第34話までが金曜夜7時半から、1986年に入った第35話以降は月曜夜7時からとなった*1
その他、
  • 主演の黒崎輝氏のスケジュールが多忙だった事から変身前の状態でのアクションシーンがロクに撮影できなくなる可能性が浮上(幸い、これはさほど問題にならず杞憂に終わったが)
  • そのことを見越して“生身でのアクションを魅せられる要員”として新たに渡洋史氏を登板させるも、交通事故で脚を骨折していた事からコンディションが万全ではなく、途中退場を余儀なくされる
  • 挙句の果てにはジャスピオンの変身後の姿を演じていたスーツアクターの柴原孝典氏ですら自分が撮影に来なくても現場は何事も無かったかのように普通に撮影を進めていたという現実に絶望し、独立して自分の事務所を作るために降板
……など、キャスティングにおいても様々なトラブルが発生した作品としても知られる*2


【ストーリー】

舞台は巨獣(きょじゅう)(宇宙の巨大生物)という特殊な原生生物が、ビージー星など宇宙のあちこちの惑星に点在している世界。
その中のとある惑星に住む仙人・エジンは、恐るべき予言を記した銀河聖書を発見する。
その聖書にはこう記されてあった。「サタンゴースよみがえる。全宇宙は従とする巨獣に蹂躙され滅びる」と……
その予言通り、巨神・サタンゴースが目覚め、その魔力で巨獣を凶暴化させ始めた。このままでは、宇宙じゅうが巨獣によって荒らされてしまう。
エジンにより育てられた銀河の野生児・ジャスピオンは事情を聞かされ、超惑星戦闘母艦・ダイレオンと装備一式、そしてパートナーのアンドロイド・アンリを託され、サタンゴースの野望を阻止すべく宇宙へと旅立つ。
様々な惑星で現地住民との交流や、巨獣の凶暴化の実態を目の当たりにしてきたジャスピオンとアンリであったが、その後、エジンからかつて巨獣に支配されていたという“太陽系第3惑星・地球”の話を聞かされる。
そう遠くないうちに、サタンゴースの魔手は地球へと伸びるに違いない。
その予感は的中し、ジャスピオンの戦いは地球へとその舞台を移した。
ジャスピオン、サタンゴースの巨獣帝国建設の野望を打ち砕け!



【登場人物】

  • ジャスピオン
演:黒崎輝

本来の主人公。
惑星エジンから来た、メタルヒーローシリーズ史上初の地球人名を持たない戦士*3
主題歌などで度々「銀河の狼」「宇宙のターザン」と歌われている事からも分かるように自由奔放な野生児で、無重力状態でボール遊びをしてみたり、森に行けばターザンごっこをしたり、街のゲームセンターに足を運んでみたりと何かにつけては様々な遊びに手を出す好奇心旺盛な性格の持ち主。
また、割と女好きで美女には目が無いらしい。
が、必要とあらばどんな危険な場所にも自ら進んで飛び込んでいく、勇敢で冒険心に溢れた人物でもある。
子どもには優しく、劇中に登場するゲストキャラの子供達ともあっという間に打ち解けて仲良くなってしまう事が殆どで、恐らく子供との親和性にかけては歴代メタルヒーローシリーズの主人公の中でもトップクラス。
幼い頃に宇宙船の事故で父親の銀河連邦政府の動物保護官・ゲーリー(演:テリー・オブラエン)と母親の動物学者・アンナ(演:中島ゆたか)を失い、後述するエジンに拾われて育てられたという経緯を持つ遺児なのだが、そんな悲哀を感じさせない明るさを持つ。

戦闘時は変身タイム0.03秒で強化装甲服・メタルテックスーツに身を包み、光線銃のビームスキャナーガン、光子剣であるプラズマブレーザーソードを振るって戦う。
また、ゴーグルに搭載されたセンサーアイはコンクリートをも透視する事が可能。周囲にミサイルを防ぐジャスピオンバリヤーを展開する事も出来る。
この時は普段のひょうきんさは鳴りを潜め、いかにもヒーロー然とした凛々しい性格へと変わる(もっとも、変身すると二重人格のように言動が激変するのはメタルヒーローシリーズにはよくある事なのだが)。
当初は特にこれといった必殺技を披露しなかったが、第15話からプラズマレーザーソードでXの字に敵を切り裂く「コズミック・ハーレー」を繰り出すようになった。
第44話では大サタンゴースゾーンによりダイレオンを呼び出せず巨獣バドルゲスに苦戦するが、光の球になって突進する「プラズマ電光アタック」と落下して頭から切り裂く「コズミック・ハーレー流星斬り」で倒す事に成功する。

一条寺烈や伊賀電も割と天パー気味の髪型であったが、それを遥かに上回るモサモサの髪型は“アフロ”とファンからたびたびネタにされる。
が、「これから夏になるっていうのに、そんな髪型じゃムサ苦しいから(意訳)」と、アンリによって無理やり髪を切られてしまい、以後も何かにつけて髪型がちょくちょく変わる事に。
後に、銀河バイブルに記された、サタンゴースを倒す「光に打たれし勇者」である事が判明する。

  • アンリ
演:塚田聖見

ジャスピオンのパートナーとしてエジンが作った女性型アンドロイド。ジャスピオン曰く「ポンコツアンドロイド」。
主要な回路は足の裏に集中した造りになっている。機械らしく水が苦手だったが、その後改良したらしく平気になった。
女性型ではあるが言動共に妙に荒っぽく、一人称は「オイラ」ボクっ娘ってレベルじゃねーぞ!

アンドロイドという事もあってか合理性を重視しすぎるきらいがあり、ジャスピオンにはカプセル状の栄養剤くらいしか食事を与えてくれなかったり、困っている原住民を見過ごせないジャスピオンに対し「この星に寄る予定は無いからさっさと行こう(意訳)」と言い放ったり、「心(ココロ)ってなんだ?」と彼に尋ねたりする一幕もあった。
が、その一方で、「あんた自分がロボットだってこと忘れてるだろ」と言いたくなるような場面も少なくない。

ジャスピオンの身の周りの世話をする以外に、アンドロイドとしてどのくらいの機能が搭載されているのかは描写が曖昧でハッキリしないところが多いが(むしろ、何かしらの計器や機械を操作している場面のほうが多い)、
ジャスピオンに緊急事態を知らせるエマージェンシー機能や、各種センサー、異次元透視装置、足底の推進装置などが確認できる。

色々と“攻めている”キャラだったが、ジャスピオンが彼女によって無理やり髪を切られてから、程なくして今度は彼女がジャスピオンによって無理やり「こうすれば喋り方もお淑やかになるだろう(意訳)」と言語ライブラリの拡張チップを施される羽目になり、以後は至って普通のヒロイン的な性格になった(が、時折かつてのようなお転婆な一面を覗かせる事もあった)。
過去作品のリリィやアニーのように戦力として貢献する事は基本的に無いが、次第に度胸が付いてきたのか『敵の基地にダイレオンで真っ向から突入する』等の危険な作戦にも進んで同行するようになり、
また、終盤では空中からレーザーライフルによる援護射撃を行い、窮地に陥っていたジャスピオンと少女を救うという見事なファインプレーを見せた。

顔芸を披露したままひっくり返って機能を停止したり、そこから叩き起こされて元に戻ったり、ジャスピオンとはまた違った意味で色々と体を張らされる。

  • 珍獣ミーヤ
CV:小金澤篤子

第1話の舞台・ビージー星にて、人喰い植物に襲われていたジャスピオンとアンリを助けてくれた心優しき現住生物*4
ビージー星では被差別階級のような存在であるらしく、ジャスピオン達がたまたま立ち寄った酒場で酷くぞんざいな扱いを受け、挙句には面白半分で殺されそうになっていたところをジャスピオンに救われ、以後は彼らと行動を共にするようになる(その「ミーヤ、ミーヤ」という鳴き声から、自然と「ミーヤ」と名付けられることになった)。
その後、アンリから言葉を教えられ、片言ながら話せるようになった。

瞼を左右非対称に動かしている場面が多いが、元々そういう生態を持った生き物なのか、当時の着ぐるみの技術力の限界なのかは不明。

本作におけるマスコットのような存在で、特に戦力として貢献するような場面は無い……と思いきや、巨獣を探知する能力がある上に、実は戦うと背中のトゲを発射するなど結構強い事が後になって判明する。
地球では子供達の遊び相手にもなっている。

  • エジン
演:仲谷昇

ジャスピオンの育ての親。惑星エジンに住む宇宙の仙人にして大予言者。本人の話では1万年も生きてきた。
いかにも「魔術師のお爺さん」といった風貌をしており、実際に高い魔力(サタンゴースが襲撃してきても立ち向かえるほど)を持っているが、科学者としても一流であり、ジャスピオンの装備は全て彼が作り上げた。
演じている人が『大戦隊ゴーグルファイブ』の本郷博士と同じ人であると予備知識なしで気付けた人はまずいないんじゃないかというくらいのハマり役で、重要な局面にしか登場しなかった本郷博士とは違ってそこそこ出番は多く、通信やテレパシーなどで度々ジャスピオンに助言を送ったりする。
最終回で単身大サタンゴースに立ち向かうも、力及ばず死亡した。


  • ブーメラン
演:渡洋史

第6話より登場した謎の青年。その名の通り、両手に持った2つの大きなブーメランを武器とする。
独特の民族衣装のような不思議な服を着ており、地球まで流れついてきた宇宙人なのか、それとも普通の地球人なのかはイマイチ不明(が、少なくとも地球の生活にはかなり順応している模様)。
インターポール捜査官だった兄をマッドギャランに殺され、以後、マッドギャラン打倒のために一人で独自に行動をしていた。
一匹狼的なツンツンしたキャラクターで、当初はジャスピオンとも対立していたが、危機に陥っていたところを助けてもらううちに次第に態度が軟化し、以後行動を共にするようになる。
雑魚キャラを難なく蹴散らす戦闘力を誇るが、さすがにボスクラスが相手だと分が悪く、ボコボコにやられたり、洗脳されて闇闘技場で戦わされたり、捕らえられて強制労働させられたりと受難が絶えない。
そのこともあってか、「もっと強くなって、いつかまた帰ってくる」と誓い、修行のために海外へと旅立っていった。

中盤でも、スポット参戦のような形で再登場。
修行の成果はあったようで、新しく「クロスカッター」なる技を身に付け、滞在先の国で手柄を立てたことから保安官としてスカウトされるなど見事な出世を果たしたが、どういうわけか、本人は強くなったはずなのに戦力としての貢献度が大幅に低下。
最後は仇敵であるマッドギャランにギリギリまで喰らい付くも力及ばず、自らの限界を悟ると後の事をジャスピオンに託して、自分はあくまでも保安官として地球の平和に貢献していく道を選んだ。

  • 南原健一郎
演:佐々木功

フリーカメラマン。山で黄金の鳥を偶然撮影した事がきっかけでマッドギャランに狙われ、家族との平穏な生活を取り戻すためジャスピオンに協力する。
家族は娘のかの子と息子の健太、犬のタローがいて、妻は病気で亡くしている。
黄金の鳥を探すために家族と一時別れたが、後に再会して北海道へ移住する。後半で家族と共に再登場してからはエジンの里で暮らすようになった。

  • 南原かの子
演:曽根清美

健一郎の娘。後に銀河バイブルに記された「光に打たれし5人の子供」の一人だと判明する。

  • 南原健太
演:山下大輔

かの子の弟。

  • 村田久美子、大野大作、村坂浩、高村美加
演:高橋美樹、中川達也、小森勇人、工藤あかね

銀河バイブルに記された「光に打たれし5人の子供」のうち4人。
彼らのフルネームはテレビマガジン1986年5月号139ページに掲載されていたものであり、本編ではいずれも下の名前でしか呼ばれていない。

  • ターザン

銀河バイブルに記された「光に打たれし赤子」。
宇宙旅行中に宇宙海賊に殺された夫婦が、赤ん坊のみ生命維持装置に入れて脱出させ、それが地球の地底で眠っていた。
サタンゴースが倒された後、ジャスピオンによって名前を与えられ、育てられる事となった。

  • サタンゴース

ブラックホールからはじき出された負のエネルギーから生まれた、暗黒の大巨神。「でっかいダースベイダー」とか言ってはいけない。
巨獣帝国を築き上げるために宇宙各地の惑星に神出鬼没に現れては災厄をもたらし、人々を恐怖に陥れている。
片手には巨大な剣を持ち、様々な超常的な魔力を振るう。
目から発する光線は、単なる破壊光線として使われるだけに留まらず、命中した対象を狂暴化させたり、特殊な力を与えるなどの作用もある。
「サタンゴースは、巨獣を凶暴化させる魔力を秘めているのだ!」というナレーションはもはや恒例行事。
が、とあるエピソードを観る限り、その魔力はどうやら時間が経てばそのうち消えるものであるらしく、巨獣がダイレオンとドツき合いを繰り広げているうちにいつしかおとなしくなって平和的に解決してしまうことも多いのはこれが理由であると思われる*5

ラスボスではあるものの、ジャスピオン(ダイレオン)とは比較的早い段階から直接対決を繰り広げており、必殺の「コズミック・クラッシュ」を直撃させても撤退に追い込む事しか出来ないなど、格が違う強さを見せつけている。

実はそのロボットのような姿は成長過程であり、来るべき時期が来ると脱皮して「大サタンゴース」へと変態する(が、この手の完全変態の生物は皆そうであるが、脱皮には相応のリスクも伴い、サタンゴースも、後述するマッドギャランもそれに苦しめられることとなった)。
第43話で変態が完了すると翼や触手の生えた怪獣のような姿に変わり、都会を強制的にジャングルに作り替えたり、「大サタンゴースゾーン」なる超空間を作り出すなど、その魔力も大幅にパワーアップ。
その力を駆使して日本中を徐々に侵食し、巨獣帝国を築き上げようとするが、光に打たれし5人の子供達と赤子、黄金の鳥の助力を受け、黄金の剣を授かったダイレオンによって遂に倒された。

物語の中盤まではセリフはなく、ギルザがマッドギャランを復活させた時に初めて言葉を発した。なお、CVの飯塚氏はその回以前に第2話で依田英助氏とともに超電子頭脳サクラの声を、第19話で鴨川シーワールド館長・秋山役を顔出しで演じている(こちらは悪役ではない)。

  • マッドギャラン
演:春田純一

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第4話より登場。サタンゴースの息子であり、彼もまた負のエネルギーから生まれた存在。それ故にサタンゴースを「父上」と呼んでとても慕っており、己の存在を誇りに思っている。
ちなみに登場後しばらくの間は(名を名乗る場面が無かったため)視聴者以外は彼の名前を知らず、そのためジャスピオンからは「怪しい奴」呼ばわりされていた。名乗りは重要な事がよく分かる。

父親同様に剣を武器とし、手から光線を発する事も出来る。
サタンゴースの命により地球へと降り立ち、彼の野望の実現と、その邪魔者となるジャスピオンの討伐のために様々な作戦の指揮を担当する。
地球に降り立つ前から様々な惑星で略奪や詐取などの悪事を働いており、大勢の人々を苦しめていたほか、宇宙各地の無法者を「マッドギャラン軍団」として配下に従えている。
普段はサングラスオールバックというガラの悪そうな青年の姿をしており、戦闘に突入するとサングラスを外してメタルテックスーツのような姿に変身するが、
どちらかというと「戦闘形態=本来の姿であり、普段は人間の姿に化けている」(つまりジャスピオンと逆)と考えたほうが近い。

ジャスピオンとは幾度となく死闘を繰り返すも、29話で遂に命運尽き、フルボッコ*6にされた挙句にコズミックハーレーを喰らい戦死するも、直後に銀河魔女ギルザの手で復活。そのため、彼との本格的な決着は終盤を待つこととなる。

ジャスピオン同様、彼もまた番組の路線変更の影響を少なからず受けており、登場して間もない頃は無感情で淡々とした不気味な喋り方をしていたが、いつしか饒舌によく喋るテンプレ的な悪役と化していった。
また、後述の「悪の四天王」を招集して以来は、何故か自分では殆ど戦おうとせず、指揮官に専念する状態が長らく続いた。
途中までは普通の人間のような私服を着ていたが、ギルザによって蘇生されて以降は衣装もヘルメット状の兜+黒い法衣へと変わり*7、その状態で基地の外に出る事は殆ど無かった。

人質を盾にしてジャスピオンに降伏を迫ったり、部下に命じて幻覚を操りジャスピオンを翻弄したり、とにかくジャスピオンを不利な状況に追い込んでジワジワと痛めつけるような戦法を好み、そのやり口はまさに卑怯そのもの。
そのため、(ハカイダートップガンダーのような)正々堂々としているタイプのライバルキャラが好きだという視聴者からはコレジャナイ扱いされることも。
が、ジャスピオンとの最終決戦を目前に控えた際には、大サタンゴース直々に手ほどきを受けてコツコツと特訓に励んだり、劣勢に陥った際に部下が加勢に加わろうとしても「手出しは無用」と断るなど殊勝な一面も見せた。

最期はジャスピオンのコズミック・ハーレーの直撃を受け、もはや勝負は付いたも同然の状態になるも、その鬼気迫る執念によって倒れず、最後の力を振り絞り、父サタンゴースと同じ姿の巨体へと変態し戦いを続行。
だが、やはり無理がありすぎたためか途中で力尽き、遂に倒れた。

演じた春田氏は過去に『ゴーグルファイブ』のゴーグルブラック/黒田官平や『科学戦隊ダイナマン』のダイナブラック/星川竜を演じていたが、今作でも黒いメタルテックスーツを纏うキャラを演じる事になった。誰が呼んだか「ミスターブラック」
また、『電撃戦隊チェンジマン』の余談の項にもある通り、春田氏は同作にて当初キャスティングが難航していたチェンジドラゴン/剣飛竜役に白羽の矢が立っていたのだが、
最終的に浜田治貴氏がチェンジドラゴン/飛竜役に決定した事で春田氏は本作の方に出演する事になったという裏話がある。

  • 悪の四天王
第13話から登場。銀河の果てからはせ参じた4人の凄腕の戦士

イッキ
演:高橋利道

を生やした屈強な肉体のロケットパンチトライデントが武器のサイボーグ。
トライデントは伸縮自在で、石突から火炎を放射することも可能
第15話で、ジャスピオンが初披露した「コズミック・ハーレー」で倒された。

ザンバ
演:関根大学

鎖鎌を使い、左腕にを装備した機械人間で、人間が住む惑星一つ貰う事を条件にマッドギャラン軍団に参加。一度見たものを写真に現像し腹から出す能力を持つ。
かつては機械帝国の行動隊長だったが、銀河各地で行っていた動物狩りを止めようとしたゲーリーをビームライフルで負傷させる。
その事で連邦軍が介入し各地で紛争が勃発し、機械帝国は壊滅。そのためジャスピオンに恨みを持つ。
第18話でビームスキャナーガンを食らい、機械の体を晒して死んだと思われたが……。

戦闘機械人(ファイター)ザンバ
演:関根大学

機械人間の正体を現したザンバで、動き、喋りともに機械的になっている。
戦闘能力は向上し、鎖鎌から電流を流し、右腕は切り落とされても動き出し、更に目から破壊光線を発射するが、
実はそこが弱点で、ビームスキャナーガンで攻撃され、コズミックハーレーで倒された。

ブリマ
演:仁禮美佐

短剣が武器で、水晶球を使い様々な妖術をかける。ギョールと共に変装して作戦を遂行する事も多い。

ギョール
演:阿南京

吹き矢やにもなる笛を使い、相手に幻覚を見せる。またあらゆるものに変身可能。

第44話でブリマとギョールは、四足獣に合体変身。
口から吐く火炎や噛み付きで攻撃するもプラズマブレーザーソードで口を封じられ、コズミック・ハーレーで倒された。

  • 銀河魔女ギルザ
演:高畑淳子

第29話で銀河の彼方からサタンゴースに召喚された宇宙の妖術使い。
「カタブンダベルベカン、カタブンダベルベカン…キケラ!」と呪文を唱える事によって、様々な妖術を発動させる事が出来る。
登場するやいなやジャスピオンに倒されたマッドギャランを蘇生させたほか、光に変化して高速で移動したり、体を半透明化させて相手の攻撃を無力化したり、幻影によって相手を翻弄したりと、その魔力は協力無比。しかも、首を切り落とされても死なないほどの強靭な生命力を持つ。
武器としてはナイフを使用し、ナイフや両腕からは青い光線、口からは赤い光線を発射する。
が、エジンによって「光に打たれし勇者」の存在が発覚すると、その素質を持った子供達の波長に同調して極度に動揺するようになり、その隙を突かれて遂にジャスピオンに倒される。
演じた高畑氏は本作以後、『仮面ライダーBLACK RX』の諜報参謀マリバロンなど、様々な東映特撮で悪役を演じることになる。

  • ギルマーザ
演:賀川雪江

ギルザの姉で、第39話でジャスピオンに倒された妹の復讐のために地球に来た。
ギルザ以上の魔力の持ち主で、カスタネットを鳴らしながら踊る事で手から高圧ガスを噴射したり、人間を操るなど様々な妖術を発動させる事が出来る。
変装が得意で「暗黒銀河の変化女王(スペクタークイーン)の異名を持ち、惑星ザボスではサタンゴース教を若者達に広めて犯罪と無気力に渦巻く惑星に変え、
惑星スィートでは魔術師に化け、東西の首脳を操り核戦争を起こさせて壊滅させた犯罪プロフェッショナルで、知略を使った作戦を得意とする。
戦闘時には腕から光弾を発射する。妹と同じナイフを所持しているが、戦闘で使う事はあまりなかった。
5人の宇宙忍者スイ、ドウ、モク、カ、フウを率い、戦闘時には彼らを呼び出す。
ジャスピオンと直接戦う場面は意外と少なく、最終話で大サタンゴースの巻き添えとなるような形で消滅した。
前任者であるギルザを演じた高畑氏が本作を皮切りに東映特撮の悪役を数多く演じるようになったのと対照的に、
これまで数多くの東映特撮で悪役を演じてきた賀川氏は、このギルマーザを最後に東映特撮に出演しなくなった。

  • 宇宙忍者
ギルマーザの配下で、戦闘や作戦遂行のための工作を担当する5人の忍者。
飛行能力、光に変身しての飛行、指先から光弾を発射して攻撃するなど多彩な能力を持ち、格闘能力も非常に高い。

宇宙忍者・カ
第39話~第43話に登場。右手から火炎を噴き出す能力を持ち、時にはその上に乗って攻撃する。
正体は真っ赤に燃えるカ・マグマ弾で、フウ・大砲にエネルギーを供給していたが、ビームスキャナーガンで撃たれ爆発した。

宇宙忍者・スイ
第39話・第40話に登場。固有の能力を使う事はなかった。
正体はトゲが飛び出る球体メカで、飛行しながら怪光線で攻撃し、取り憑いてエネルギーを吸収したが、ジャスピオンに振り払われた挙句、コズミック・ハーレーで破壊された。

宇宙忍者・モク
第39話~第42話に登場。両手から緑色の怪光線を発射する。
正体は白装束の鬼女で、奇声を発しながら薙刀を振り回したが、ジャスピオンに薙刀を奪われて斬られ、コズミック・ハーレーで止めを刺された。

宇宙忍者・ドウ
第39話に登場。地中移動する能力を持つ。
その正体はチェストバスタームカデを合成したような怪地虫で、ジャスピオンに噛み付いて電流を流し、口から怪光線を発射する。
更に立体映像を作り出し、パワーアップした怪光線で攻撃するも、コズミック・ハーレーで倒された。

宇宙忍者・フウ
第39話~第43話に登場。手から突風を噴き出す能力を持ち、時にはその上に乗って攻撃する。
第43話で第二の頭“フウ・大砲”が出現。カ・マグマ弾からの供給を受けて砲撃するが、ビームスキャナーガンで撃たれて大ダメージを受け、コズミック・ハーレーで倒された。

  • コマンダー
マッドギャラン軍団の戦闘員
銀河中の荒くれ者を集めた混成集団で、この手の戦闘員としては珍しく、個体ごとに頭部の造形が違う
剣や銃が主な武器。
普段は独自の言語でしゃべるが、人間に変身でき、変身中は人語を話す。
本編では明かされていないが、彼らは頭部の造形によって「〇〇星人」と分類される。
本編では10種類以上が登場しており、テレビマガジン1986年1月号125ページには、彼らのうち7種類の名称が記載されている。

  • モンゴ星人……肌色の頭部でひだが多く、ミイラのような顔
  • ガッパー星人…茶色い頭部で耳の尖った、エイリアンっぽい顔
  • ベーア星人……頭部がヘルメットのような形状で黒い顔
  • グリン星人……深緑色の頭部で頭頂部から両耳にかけて魚のヒレのようなものが付いている
  • ガー星人………黒い殻と赤黒い本体を持ったアンモナイトのような頭部
  • ブール星人……茶色い頭部で赤い眼をしており、口に牙を生やしている
  • サバック星人…青緑色の頭部で爬虫類のような顔

【巨獣】

劇中に登場した怪獣の総称。宇宙各地に生息する巨大生物の他、キマダーなど人工的に作り出さたものや、アイガーマン操るアイガーのようにサイボーグ化されたものも登場した。初期に登場したマリゴス、ハネダー、テツゴスの三体はソフビ化もされた。

【登場メカ】

〇超惑星戦闘母艦 ダイレオン
ジャスピオンの移動基地となる超惑星戦闘母艦。
ワープ航法で恒星間飛行も可能。武器は上部のダイレオンレーザーとエクスプロージョンミサイル。

専用のテーマソングである挿入歌「超惑星戦斗母艦ダイレオン」は、『宇宙刑事シリーズ』の頃からお馴染みだった各種マシンソングの中でも突出した人気を誇り、一部地域ではオープニングテーマをも超える知名度を誇る(詳しくは後述)。

〇戦闘巨人ダイレオン
巨獣との戦闘時に超惑星戦闘母艦が変形する巨大ロボット兵器。変形にかかる時間は5.8秒。
前作『シャイダー』に登場したバビロスのバトルフォーメーションがコレジャナイ感が強かったためか格闘戦を披露する機会が数えるほどしかなかったのに対し、
このダイレオンはかなり人間に近いプロポーションとなり、スーパー戦隊シリーズの巨大ロボに引けを取らない格闘戦が可能になった。

武器は高熱線ビーム「ダイレオンビーム」(胸の放熱板から放つタイプは「ダイレオンフラッシュ」と呼ばれる事も)。
また、両手から繰り出す「ダイレオンパンチ」、空中回転して放つ「ダイレオンキック」も得意。
ジャスピオン同様にセンサーアイを使用出来、姿を消した巨獣を探し出す事が可能。
必殺技は足のホバーで高速走行し、両拳を突き出しながら突進する「コズミック・クラッシュ」。
なお、サタンゴースとの最終決戦では黄金の鳥が変化した剣による「ダイレオン・コズミックハーレー」という最終回限定のスペシャル技を披露し、サタンゴースに止めを刺した

なお、先ほど「スーパー戦隊シリーズのロボに引けを取らない」と記述したが、このダイレオンの戦闘描写は回を重ねるごとにどんどん高度化していき
  • 開幕早々巨獣にハイキックや裏拳パンチをかます
  • 高々とジャンプしながら飛び蹴りをする
  • ワイヤーアクションによる宙返りで攻撃をかわす
  • そこから更に巨獣に馬乗り
  • 巨獣を持ち上げてスープレックスをかます
……等、数多の伝説を残した。
CG以前の、通常の着ぐるみを使った東映特撮の巨大ロボットの中では最高峰のアクションであると絶賛する声は非常に多い。

〇ガービン
ダイレオンに搭載された超惑星戦車。
ガービンセパレートで戦闘機のガービンジェットと地底戦車のガービンタンクに分離変形する。

ガービンジェット
ガービンの上半分が分離変形した戦闘機。両翼からガジェットビームを発射する。

ガービンタンク
ガービンの下半分が分離変形した地底戦車。右前方からガービンビームを発射する。

〇アイアンウルフ
ジャスピオンが乗る超惑星マシーン。
いわゆる空飛ぶバイクでアイフルビームとアイフルミサイルが武器。

〇ジャルド・ブーマ
マッドギャランが乗る虫型のVTOL戦闘機。機体上部の二連式ビームが武器。
最終回ではマッドギャランが死亡しているため、ギルマーザが操縦して大サタンゴースを援護。エジンに致命傷を与えた。

〇ジープ
悪の四天王登場後から使用。

〇巨大戦車(仮称)
第42話に登場。
秘密基地に向かうジャスピオンの前に姿を現し、六輪の車輪で移動し、ドーム型の大砲や、その上部から発射される四個の鎖付き鉄球、大砲の反対側から出現するドリルで攻撃するも、ダイレオンビームで破壊された。


【余談】

  • 本作は日本での放送から数年後にブラジルで放送されることとなったが、ブラジルに輸出された初めての日本特撮ということもあってかまさかの大ヒット。
    その後もブラジルには様々な日本特撮が輸入されて人気を博したが、その足掛かりとなった作品であるのは間違いない。
    その人気は、現地でオリジナルのプラズマブレーザーソードの玩具が発売されたり、ブラジルで偉業を成し遂げた日本人、もしくは日系現地民に付けられる敬称が「ジャスピオン」だったりするほどである。
    この逸話は特撮ファンの間で永らく都市伝説的に語り継がれていたが、2018年に放送されたTV番組『陸海空 地球征服するなんて』における1コーナー「地球アンケート」で、“世界で有名な日本人”のブラジル代表として、ジャスピオン役を演じた黒崎氏が並み居る偉人を押しのけて本当に1位にランクイン。噂は真実であったことが証明された。
    ちなみに、ブラジル人にとってはオープニングテーマの「おれが正義だ!ジャスピオン」よりも、挿入歌の「超惑星戦斗母艦ダイレオン」の方がメジャーで、歌唱した串田アキラ氏もブラジルでは国賓扱いを受けたとか。
    また、2020年を目途にブラジルで現代リメイク版の映画が公開されるという計画が立っている。


  • 2017年のVシネマ『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』では、マッドギャランとサタンゴースが同作の敵組織である邪教団・幻魔空界の一員として登場している。
    こちらのマッドギャランはある人物が「マスカーブレイド」という仮面型のアイテムを用いて変身した姿であるが、本作でのマッドギャランの残留思念を宿しているため、変身すると声が元祖マッドギャランと同じ声となる(マッドギャランの声優も原典と同じく春田氏が担当している)。




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最終更新:2024年04月19日 16:22

*1 ちなみに、これによってメタルヒーローシリーズが放送されていなかった青森県でも放映が開始された(第35話以降)が、長野県では第34話で打ち切られている(シリーズ次作『時空戦士スピルバン』放映が再開された)。

*2 また、「マッドギャラン役の春田純一氏も、実は本調子ではなかったのではないか?」と邪推する声もある

*3 『俺が正義だ!巨獣特捜ジャスピオンビデオスペシャル』では、メタルテックスーツを装着した変身後の姿は「強化ジャスピオン」という名義で紹介されている。

*4 ビージー星の住民は地球人とはだいぶ容姿が異なっているため、このミーヤも「原住民」の一種にカテゴライズされるのか、それとも動物なのかはイマイチよく分からない。

*5 もっとも、サタンゴースもその辺りは抜け目がなく、再び光線を浴びせて凶暴化の作用を持続させた事もあった

*6 なんと右腕まで切り落とされている。

*7 衣装が変わったのは、サタンゴースが「お前を後継者にする」と明言した影響もあるのかもしれない。

*8 メタルヒーロー枠では後に『特警ウインスペクター』と『特救指令ソルブレイン』にもゲスト出演した。