灰羽連盟

登録日:2011/02/21 Mon 23:26:50
更新日:2024/03/13 Wed 17:20:26
所要時間:約 5 分で読めます




少女は、気がつくと、空を落ちていた。


 私、空を、落ちてるんだ……。
 不思議。なんで、怖くないんだろう……。


まっすぐに、何もない空を。


 ここ、どこなんだろう……。
 ふわふわして……暖かくて……でも……胸がチリチリする……。
 怖くないけど……心臓が……冷たいっ……。


傍らにはカラスが一匹。心配そうに寄り添い、助けようともしている.


 無理だよ……。でも、ありがとう……。


どこまでも落ちて行く少女。


そして―――




「灰羽連盟(ハイバネレンメイ)」とは安部吉俊の同人誌「オールドホームの灰羽達」を元に構成されたテレビアニメである。
全13話。
深い心理描写や不思議な世界観、透明感あふれる音楽などが特徴。
多くの謎を残して終わったため様々な考察がなされている。



☆あらすじ

空を落ちる夢を見ていた少女は、水で満たされた繭の中で目が覚めた。
オールドホームと呼ばれる古ぼけた家の一室で彼女を迎えたのは、頭に光の輪を浮かべ背に羽を生やした少女達。
彼女達は「灰羽」と呼ばれ、生まれたばかりの新しい仲間を歓迎する。
「ラッカ」と名付けられたその少女は、仲間の灰羽達とともに、壁で取り囲まれたグリの街で、
新たな暮らしに戸惑いながらも穏やかな日々を過ごしていく。

しかしやがて、別れの時がやってくる―――



☆登場人物

ラッカ(落下)
cv:広橋涼

本作主人公の灰羽の少女。
気弱で大人しい性格だが心の芯は強く、仲間思いである。
初めの頃は光輪がうまくくっつかず補助を付けて輪を固定していた。
彼女の光輪はある理由によりパンケーキの匂いがする。
静電気体質なのか光輪のせいなのか、髪の毛がいつも跳ねている。
繭の中で見た夢は空からまっすぐ落ちていく夢。


レキ(礫)
cv:野田順子

本作のもう一人の主人公とも呼べる女性の灰羽。
灰羽歴7年。
しっかりとした性格で情愛深く誰にでも優しい。特にラッカを気に掛けており、あれこれ世話をしている。
喫煙者。
生まれた時から罪憑き(後述)の症状が出ており、背中からは白黒の羽が生えてきた。
繭の中で見た夢をうまく思い出せず、「独りぼっちで石ころだらけの道を歩いている」ということだけ覚えている。
ラッカに特に優しいのにはワケがある。


クウ(空)
cv:矢島晶子

少年のような見た目の灰羽の少女。
灰羽歴2年。
明るく天真爛漫な性格。レキの次にラッカを気に掛けている。
物語中盤で巣立ち、それが物語の大きな転機となる。
繭の中で見た夢は空をフワフワ漂う夢。


カナ(河魚)
cv:宮島依里

ボーイッシュな感じの灰羽の少女。
灰羽歴3年。
男勝りでマイペースな性格をしており、ラッカをよく振り回す。
繭の中で見た夢は河の中を魚みたいに漂う夢。


ヒカリ(光)
cv:折笠富美子

街のパン屋で働いているメガネをかけた灰羽の少女。
灰羽歴4年。
真面目で優しい性格だが、どこか間の抜けたところがある。
繭の中で見た夢は真っ白な光の中にいる夢。


ネム(眠)
cv:村井かずさ

街の図書館で働いている女性の灰羽。
灰羽歴9年。
おっとりとした性格でよく居眠りをしている。
繭の中で見た夢は寝ている夢。


クラモリ
cv:久川綾

ネムとレキがまだ小さかった頃、子供達の親代わりになっていた女性の灰羽。
情愛に満ちた穏やかな性格で体がやや弱い。誰にでも対しても優しく、白黒の羽であるレキにも軽蔑も同情もせず側にいてくれた。
5年前に巣立ち、それがレキの心に深い傷を残した。


話師
cv.大木民夫

灰羽連盟の長。
変わった服を着おかしな仮面をつけている不気味な男。



☆用語解説

  • 灰羽

頭に光輪を浮かべ背中に灰色の羽を生やしている者のこと。
生まれてすぐは羽も光輪もなく、光輪は仲間から授けられ、羽は1日ほどしたら皮膚を突き破って生えてくる。ちなみに飛ぶことは出来ない。

芽吹いて成長した大きな繭から生まれてくる。生まれてくる時の年齢はバラバラ。

名前は基本的に繭の中で見た夢にちなんでつけられる。

灰羽は外で暮らす準備が出来ると壁の外へ巣立っていく(と言われている)。
時期はそれぞれであり、また、誰にも告げずに突然いなくなる。
前世があるようだが、その記憶の一切を忘れている。

また灰羽には自身の本質を表す漢字が当てられた真名がある。


  • 罪憑き

羽が黒くなっていく病。
繭の中で見た夢をうまく思い出すことが出来ない者が罪憑きになる。
罪憑きの灰羽は巣立つ事が出来ず、そのまま時期が来てしまうと皆の記憶から消えて無くなってしまう。


  • 罪の輪

「罪を知る者に罪は無い では汝に問う 汝は罪びとなりや」

自分の罪を知れば罪人ではなくなるが、罪がないと思った瞬間今度は罪人になってしまう。しかしそうすると今度は……。
という循環する思考の事であり、その謎かけのこと。
話師曰く、この循環する思考に囚われることが罪に憑かれるということらしい。


  • 灰羽連盟

灰羽達が無事巣立つ事が出来るよう、彼女達の生活を支援する組織。
話師が長であり、似たような服装をした者達が何人かいる。


  • グリの街

周りを高い壁に囲まれている西洋風な作りの街。
灰羽を含め街の人間は壁の外への行き来を禁じられている。

鳥だけは壁を越えて行き来することができ、そのためは鳥は「灰羽が繭に入る時に忘れたものを運ぶ」と言われている。
なお作中に出てくる鳥はカラスだけである。




以下ネタバレ



















ラッカは夢の一部を忘れており、そのためラッカも罪憑きの灰羽である。
クウが巣立ってしまったのが心の傷となり、心身が消耗している時に罪憑きの症状が現れた。

ラッカの真名は「絡果」であり、「絆を絡ませあい、実を結ぶ者」という意味。


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最終更新:2024年03月13日 17:20
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