ピンポイント過ぎるメタカード(遊戯王OCG)

登録日:2011/01/06 Thu 02:52:32
更新日:2024/03/24 Sun 17:15:45
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遊戯王OCGにおける、微妙な通常モンスターと同様、ピンポイント過ぎて誰からも使われない魔法・罠カード。

どれも遊戯王OCG初期はよく見かけたカードに対するメタカードなのだが、あまりにもタイミングを選ぶので、必要な場面で使用することは難しいし、複数枚投入するほどの有用性は無い。
第1期の時点でも《マジック・ジャマー》 《盗賊の七つ道具》《神の宣告》といった
《封魔の呪印》《魔宮の賄賂》 《ギャクタン》《スターライト・ロード》《大革命返し》《虚無空間》 等の汎用性の高い後発のメタカードで充分と言われてしまう始末。
一応、上記の有名カードに比べて、《禁止令》などで宣言されにくいといったメリットはある。

なお、メタの対象とされたカードは往時はよく見かけた、ということは要するに現在では禁止カードも多く、元々使われないカードが本格的に無意味なカードになっているものも多い。

ほぼネタデッキでしか出番がない、かわいそうなカード群である。

いずれもレアリティは低いので、ひょっとしたら中古カード屋や押し入れの奥にしまってあるかもしれない。
この手のカードは美品で現存する物が少ない*1為、美品であればコレションアイテムとしての価値はあるだろう。

なおアニメでは、使いどころがその時しかないようなピンポイント過ぎるカウンター罠や速攻魔法が多数登場している。
アポリアは特にそういったカードを大量に使っている。
ZEXALでも多く特に遊馬が使った「相手が元々の持ち主が自分となるモンスターをリリースした時に発動できる」という凄まじく酷い発動条件を持つサイクロンの下位互換の通常罠の《仕込みサイクロン》を使用した。
アニメのルールではタイミングを逃さないためコストによるリリースでも発動できたが、仮にOCGにあった場合タイミングを逃すため、アニメ仕様ですら酷すぎる発動条件があまりにも壮絶すぎる狭さになる。
漫画版ではカイト自分しか持っていない銀河眼の光子竜》と戦闘しないと効果が発動できない《ギャラクシー・ドラグーン》をコントロール奪取された時の対策として採用していた。
ただしこのカードはデメリットのない*2攻撃力2000の下級モンスターなので、効果を無視しても下級アタッカーおよび《銀河眼の光子竜》の召喚コストとして十分使える。

タッグフォース3ではカウンター罠やそれの関連カードと速攻魔法を集めた「カラフル・ワン」というパックがあり、
「避雷針」「闇からの呼び声」がウルトラで収録されると言う嫌がらせ仕様でプレイヤーのDPを潰しヘイトを集めた。


主なカード

《避雷針》
通常罠
相手が「サンダー・ボルト」を使用した時、自分モンスターの代わりに相手モンスターを全て破壊する。

単にモンスターを守るなら当時でも他の選択肢がたくさんあった。
手札やライフポイントのコストはかかるものの、対応範囲が圧倒的に広い《封魔の呪印》や《神の宣告》で十分だろう。

相手モンスターの破壊は避雷針効果であり、サンダーボルトの効果を押し付ける訳ではない。
その為、このカードの効果に対して避雷針を発動する事は不可能である。

サンダー・ボルトに名前やイラストが似ているライトニング・ボルテックスやサンダー・ボトルに対して使うことはできない。

近年まで肝心のサンダー・ボルトが禁止になってしまっているので、存在そのものが無意味になっていた。
しかし2019年4月。遂にサンダー・ボルトが釈放され、2022年7月には無制限とまでなった(2023年10月現在は再び準制限)。
それ以前にも海外ではサンダー・ボルトが制限のため一応使えた。
だが、使ってる人はいないと思われ、ネタデッキでもない限り採用は厳しいだろう。


《壺盗み》
速攻魔法
強欲な壺」発動時に発動する事ができる。
「強欲な壺」の効果を無効にし、 自分はデッキからカードを1枚ドローする。
相手は1枚損し、こちらは消費分を帳消し。2ドローを消していると考えれば2アドとも言えるか。
メタ先がどのデッキにも絶対入る超絶汎用カードであり、メリットも単純明快なので他に比べればまだ使いやすい方と言えなくはないが、あまりにも強すぎるが故に禁止され復帰の見込みが皆無であるため、そういう意味では突出してどうしようもない。
また、仮に強欲な壺が3積みできる環境を前提としても、ドロー効果を奪うことでもう1枚アドを取れる《精霊の鏡》の方が強い。
速攻魔法と通常罠という違いがあるが、相手の強欲な壺にチェーンする=相手ターンでしか使わないので大差ないし。


《壺魔人》
効果モンスター
星3/炎属性/炎族/攻 200/守1800
リバース:フィールド上に表側表示で存在する「ドラゴン族・封印の壺」を破壊する。
破壊した場合、フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスターは全て攻撃表示になる。

ドラゴン族・封印の壺のメタ。
そもそもただ守備状態にするだけのドラゴン族・封印の壺自体の評価が低いのに、それのメタカードなんて誰が使うのだろうか。
自分の《ドラゴン族・封印の壺》を破壊することもできるため、メタカードとして運用するよりも併用する方が扱いやすいかもしれない。

一応レベルにしては守備力は高い*3が、この頃から岩石の巨兵がいるわけで。
今でこそ、低攻撃力が《デブリ・ドラゴン》に対応するなどのメリットもあるが、あえてこのカードを採用する意義はほとんどないのが現状。

原作ではペガサスが使い、《ドラゴン族・封印の壺》で(原作効果で文字通り壺の中へ)封じられたモンスターのコントロールを奪うことが出来た。
また「ドラゴン族・封印の壺」も原作では罠ではなくモンスターカードで、素のステータスこそ低いものの相手のドラゴン族モンスター一体を自分の中に封じる効果と、封じたモンスターの守備力を得る効果を持つ厄介なカードだった。
トゥーンの陰に隠れてこちらも散々な再現率である。

ちなみにつぼまんと読む。
強欲な壺を墓地に送り3枚ドローするのはややこしいが《壺魔神》 こちらはつぼまんと読む。


《グリフォンの翼》
通常罠
相手が「ハーピィの羽根帚」を使用した時、自分の魔法・罠カードの代わりに相手の魔法・罠カードを全て破壊する。

ハーピィの羽根帚は、当時確実に相手に止めを刺す保険として使われていた。
だが、当時はミラーフォース3積みくらいしか決定的な魔法・罠カードはなかったので、カウンターした所で、結局は相手の強力モンスターの攻撃が来る。

2015年1月1日より、ハーピィの羽根帚が大嵐と入れ替わりで制限カードに復帰した為、このカードもひょっとすると使える場面が発生する可能性が一応出てきた。
でも、やっぱり《スターライト・ロード》や《大革命返し》で十分だろう。
上記2種類と比べて、自分の魔法・罠ゾーンのカードが1枚の場合でも発動できる利点があるが、
相手の魔法・罠ゾーンのカードが2枚以上あると《スターライト・ロード》や《大革命返し》を使われてしまう危険がある。
伏せてなくても手札から見せるだけで破壊されないようにする《天獄の王》や、破壊された際にカバーできる《ブービートラップ》《やぶ蛇》といったバック破壊対策カードは多く、それらを押しのけて《グリフォンの翼》を採用する理由はない。
数少ない利点はイラストが比較的美しいところだろうか。

このカードに写るモンスターは「幻のグリフォン」としてドーマ編に登場した後、(羽根帚の復帰直後にリリースされた)第9期第4弾のパック、クロスオーバー・ソウルズに収録されている。
なぜグリフォンの翼でハーピィの羽根帚を跳ね返せるのか長年謎に包まれていたが、そのカードのフレイバー・テキストではそれについて語られている。
古参プレイヤーは要チェック。


《ホワイト・ホール》
通常罠
相手が「ブラック・ホール」を発動した時に発動できる。
自分フィールド上に存在するモンスターは、その「ブラック・ホール」の効果では破壊されない。

そもそも《ブラック・ホール》という魔法の特性上、自陣にモンスターがいない時、或いは墓地にいた方が都合がいいモンスターを出してから打つ場合が多い。その為に発動してもアドバンテージを奪えず実質無効化しただけ、になりがち。
現在では無制限になったため発動機会は割と多いと思われるが、《スターライト・ロード》や《大革命返し》等を使った方がいいのは言うまでもない。
2023年10月現在《サンダー・ボルト》すら準制限なので、単なる全体破壊として《ブラック・ホール》が使われる可能性は低い。
一応【閃刀姫】や【クシャトリラ】のように自分フィールドにモンスターを残したくないデッキでは採用の可能性があるが、その場合でも向こうのフィールドを開けるという目的は達成されてしまうというジレンマを持っている
上記のカードに無い利点として、モンスターが1枚の時にも使えるという点があるが、こちらも相手のモンスターゾーンのカードが2枚以上あると《スターライト・ロード》や《大革命返し》を使われてしまう危険がある。

なお、「ホール」通常罠なので蟲惑魔でサーチしたり墓地から回収できたりする。
…が、彼女らはホール罠カードの効果を受けないのでホワイト・ホールを使っても破壊される
時代が下って評価が変わるカードは数あれど逆風が吹き荒れる悲しきカードと言えよう。


《ウェザー・レポート》
効果モンスター
星4/水属性/水族/攻 950/守1500
リバース:相手フィールド上に表側表示で存在する「光の護封剣」を全て破壊する。
破壊に成功した場合、次の自分のバトルフェイズを2回行う事ができる。

《光の護封剣》を除去した上で2回バトルフェイズができると、ピンポイントメタカードの中ではメリットが大きく、かつ良い意味で特殊。
《光の護封剣》の性質上このカードが真価を発揮するのは大体優勢時なのでフィニッシュまで持っていくことができるだろう。
また、最悪壁やエクシーズ等の素材になるため、他の魔法・罠カードのピンポイントメタに比べれば完全に腐ることは少ない。
以前より採用率がかなり下がったとはいえ《光の護封剣》は現在無制限カードであり、他のカードに比べればまだ出番がありそうな部類だったが、環境の高速化に伴いかつてのパワーカードが次々無制限となっているため《光の護封剣》にメタを張るのは難しい。

因みに、このカードを無理矢理有効活用する方法として、
『エクスチェンジで光の護封剣を相手に送り付けて使わせ、予め伏せておいたウェザー・レポートの効果で破壊してバトルフェイズを2回行い勝負を決める』
という 【ウェザー・レポートワンキル】 なる変態デッキも開発されている。
中には『「光の護符剣」が場にいるならその状態は問わずに破壊できる』事に着目して
『ウェザー・レポートを裏守備で送りつけてからマジカルシルクハットで光の護符剣をモンスター化してセットしてスイッチヒーローで入れ替え、最終突撃命令などで全て表側にしてウェザー・レポートの効果で「モンスター化した光の護符剣」を破壊してバトルフェイズを2回行う』
なんて荒技も存在する。


《墓場からの呼び声》
通常罠
相手が「死者蘇生」を発動した時に発動する事ができる。
その「死者蘇生」の効果を無効にし破壊する。

死者蘇生を罠カードで無効にしたいのであれば、《封魔の呪印》や《ヒーローズ・ルール2》の方が汎用性が高い。
また、相手が自分の墓地のモンスターを対象した状況ならば、チェーンして《リビングデッドの呼び声》などを発動することでも対処できる。
強いて言うならば、上記3種と違い通常罠という点で差別化できる……かもしれない。

ややこしいが原作では「墓場からの呼び声」の読みは「リビングデッドからの呼び声」で、
効果はリビングデッド……そのままではなく墓地のモンスターをアンデットモンスター化して復活させていた。


《闇からの呼び声》
永続罠
「死者蘇生」の効果によって特殊召喚したモンスターを全て墓地へ送る。
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いに「死者蘇生」を使用する事はできない。

《墓場からの呼び声》に比べれば後撃ちでも効果を発揮してくれるようになったが自分にも効果が及ぶようになった。
永続罠のため2回目以降の死者蘇生も牽制できるが死者蘇生は現在制限カードであり、余程特殊なデッキでもなければ2回使用される事はない。

「墓地へ送る」効果なので、破壊耐性持ちモンスターを蘇生されても除去できるのは明確な長所と言える。
しかし、単に罠カードでモンスターを除去したいのであれば《強制脱出装置》などの方が扱いやすく、
墓地からの特殊召喚を封じる《王宮の牢獄》、場持ちは悪いが特殊召喚を全て封じられる《虚無空間》の方が汎用性が高いのが実情。

かなり初期のカードで、かつ10年もの間再録されなかったため、
2009年に至るまで『死者蘇生で 蘇ったモンスター を全て墓地に送る』という原作の様なテキストのままであった。

なお、死者蘇生で蘇生したモンスターなのかを記憶しておかなければならないので面倒くさい。
昔は、《死者蘇生》を手札コストにしたりする事も封じられたが、裁定変更で出来なくなってしまった。

後にパロディカードと言える《死者生》が「死者蘇生の効果による特殊召喚」というあんまりにもピンポイントな判定を引っ提げて登場している。





《追記》罠カード
通常罠:内容に不足があった時に発動できる。内容を充実させる。

《修正》罠カード
通常罠:内容に間違いがあった時に発動できる。内容を正しく書き換える。

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最終更新:2024年03月24日 17:15

*1 市場価値が高いレアカードは適切な管理をされる場合が多いが、レアリティの低いカードは適切な保管がされにくい為。

*2 OCGではメタ先がドラゴン族全体に広がった代わりに、ドラゴン族以外に攻撃できないデメリットが追加された。

*3 レベル3の炎属性としては未だに1位タイ(もう片方は《ネオフレムベル・ガルーダ》)。