闇のプレイヤーキラー

登録日:2010/08/19(木) 01:04:40
更新日:2024/04/14 Sun 20:27:57
所要時間:約 6 分で読めます







フフフ……決闘者共よ――――



貴様らに安らかな眠りなどはない!!


闇のプレイヤーキラーは、遊☆戯☆王に登場したキャラクター。
PK(プレイヤーキラー)闇使い」とも呼ばれる。

CV:金子はりい

決闘者の王国(デュエリスト・キングダム)編に登場したデュエリストの一人。
「決闘者の王国」大会主催者ペガサス・J・クロフォードに雇われたプレイヤーキラーである。

闇と書かれた帽子を被った、いかにもな悪役顔の大柄な男。
深夜に参加者達の前に姿を現してはデュエルを挑んで勝利し、スターチップ*1を奪っていた。

元々ペガサスがこの大会を開催したのは武藤遊戯をデュエルで倒し海馬コーポレーションの買収を円滑にすすめるためでしかなく、
優勝賞品として提示していた「莫大な賞金」を渡すつもりはさらさらなかった。
そのため、彼のようなプレイヤーキラーを雇い、参加者を密かに潰す非道な企みを進めていたのである!!

そんな恐ろしい彼のおぞましい仕事内容は以下の通りである。

1:夜中にいきなり現れ「デュエルの時間だ」と告げた上で、スターチップ全賭けでデュエルを挑む(勿論自身もきちんとスターチップを提示する)
2:(デュエルを拒否して逃亡する場合はワイヤーロープで捕獲する。)
3:普通にデュエルする。
4:取り決め通りに賭けたスターチップを勝者が頂く

な…なんて恐ろしい………
各々の想いを踏みにじる正に極悪非道の行いであ…


…え? 普通にデュエル?自分もちゃんとスターチップ提示するし勝ったら律義に渡す?

…普通だっ!?


要するにこの人、怖い外見とコスチュームをして両手に他の参加者の倍のスターチップが入れられるグローブをはめていて深夜にいきなり現れてスターチップ全掛けのデュエルを強要する点と逃亡阻止用のワイヤーロープ持参以外、やっていることはごく普通のデュエリスト
また、決闘可能な時間帯の制限なども設定されていなかったので、彼は大会のルールにも違反していない。そもそも普通にデュエルする場合はワイヤーロープも使ってこない。
それどころかプレイヤーキラーに勝利出来れば星を荒稼ぎすることすら可能。*2
しかもデュエルの腕前も本格的なデュエル描写が一戦限りのモブキャラとしては異例の正真正銘の実力者であり、こちらも同じ実力者である(しかも後述の通りイカサマを用いる)舞にも勝利するほど。
これでもペガサスからすれば下っ端に過ぎず、こいつに勝てないようなら本命のペガサスには到底勝ち目がない。

そもそも合意の元に行われるデュエルを介さない星の受け渡しはおろか、
星が無くなると失格の筈なのにその状態でも他の者から補給して復帰なども平然と行われていたため(大半の失格者はそのまま強制退去となったが)、
副次的だが星を失った者を強制退去させる役目も担っていたとも受け取れる。

主催者側の妨害キャラと言う面から見ても、彼の他にペガサスに雇われたデュエリストには、
  • 他人のデッキを無断で横領し更に使い手を愚弄しまくった「死者の腹話術師」
(その使い手も似たような事をしているが)
  • ほぼ彼ら専用の変則ルール(しかも卑劣極まりない出口設定付き)&悪足掻きでイカサマしようとした上実際に時間稼ぎには成功している「迷宮兄弟
がおり、彼らは実力はともかく正に卑怯千万と言える妨害要員であった。
だが、闇のプレイヤーキラーは特にそういう要素がない。

そればかりか懸賞金がかかっていない遊戯以外のデュエリストに対してもスターチップを奪うべく真面目にデュエルしているし、
他人のデッキを使ったりペガサスからチートカードを貰ってもいないし自分に有利な変則ルールも使わなかった*3

闇遊戯とのデュエルでは闇遊戯をワイヤーで拘束していたが、
この時は闇遊戯が「足りないスターチップの代わりに命をかける」等と遊戯王ならぬカードゲームではよくある無茶苦茶なことを言い出しており、
元々対等な賭けになっていないし、とても赤の他人の口約束だけで信じられる条件ではないことを踏まえると、逃亡を防ぐ上でも妥当な判断と言える。
なお口は悪いが「遊戯王」では口が悪くないデュエリストの方が珍しいのでノーカンであろう。
遊戯の口撃にはイラッとくるぜ!ということで買い言葉で返すことはあっても、遊戯のプレイングや容姿言動を貶したりとかはしてないしね。

なにより夜中にパツキンゲロマブ*4孔雀舞のテントにいきなり*5乱入しておきながら、特にムフフな事もしないで普通にデュエルで勝利してスターチップを奪って去っており、ファンの間では遊戯王界有数の紳士ではないかと言われている。

これらを考慮するとあくまで外見はヒールスタイルを貫いているだけで、根は真面目で役目はしっかりとこなす正統派のデュエリストである。まあ、グローブにスターチップをやたら適当にはめ込んでいるあたり、真面目ではあっても几帳面ではないようだが。


もちろん、これだけであれば彼はよくある量産型の悪役…もといヒールスタイルのデュエリストでしかない。
至極当然ながらカードゲーム漫画・アニメで悪人がなぜかカードゲームで決着をつけようとするのは極めてよくある事だ。
だがプレイヤーキラーの特異な点は、なぜか闇遊戯(通称:王様)が彼を異様に目の敵にした点にある。


◆闇のプレイヤーキラーの受難・その1 なぜかハッスルする王様

彼の主戦術は「闇晦ましの城」で発生させた闇で敵の攻撃を空振りさせそこを自分の高攻撃力のモンスターで攻撃するという、カードのルールに則った至極全うなもの*6

作中での「闇晦ましの城」の効果が強力な事から「ペガサスから貰ったチートカード?」と思われがちだが…
  • 魔法カード等で「闇晦ましの城」を直接壊されたら戦法が瓦解
  • 光の護封剣で無効化される事を闇のプレイヤーキラーが認知している。
  • カオスシールドやメタルガーディアン等の防御手段を用意してある。
  • 作中では魔法やトラップでモンスターが破壊されると攻撃力の半分がプレイヤーへのダメージになるので搦手には意外と脆い。
以下のように結構穴がある事から特定のデュエリストにはめっぽう強い公認カードと言った方が正しいのかもしれない。
遊戯にしても闇と相性がよさそうな「ブラック・マジシャン」や「デーモンの召喚」を引けていれば闇をものともせずに(逆にフィールドパワーで強化した状態で)攻撃できた可能性が高い。

にしても「遊戯王」にはなぜか不正行為で勝とうとするプレイヤーがいくらなんでも異常に多く、特にその傾向が多い王国編だけでも、
など、枚挙にいとまがない。

また、不正ではなくても、デュエルの最中、城之内克也にいきなり、「負けたらお前の時の魔術師よこせ」とシャークトレードを持ちかけたダイナソー竜崎
相手を連れ去り相手が堂々と戦っている中自分は仲間と相談してカードを出したゴースト骨塚等、誠意の欠片もない奴もいる。

挙句の果てに彼の雇い主であるペガサスは、超強力な自分専用カードを自作した挙句、
相手の心を読めるので手札や戦術が筒抜けという、防ぎようのないそもそも普通の人間ではトリックすらわからないイカサマを知られた上で堂々と行使する人物である。
それに対して最低限デュエルでは正々堂々と闘っている闇使いは、本作のデュエリストとしては極めてまともな部類と言える

つまるところ彼は言動が粗暴でこそあれ、間違ってもルールを破る罪人でもなければ、ルールの穴を悪用する悪人ですらない
暴力で千年パズルを強奪したストリートファイターや(遊戯から言ってきたとはいえ)玩具をリアルファイトを使って強奪した名蜘蛛コージのように、
人の持つ命や財産、名誉に手をかけるようなこともしていない

罪と言える要素を挙げるなら他人のテントに無許可で侵入したこと、強制デュエルを行った風に見える(※実際は両者合意の上でデュエル)程度。
賞金をケチるというペガサスの魂胆を知りながら手を貸した事(遊戯に関しては彼にかけられていた懸賞金も目的であった)も何となく罪と言えなくもないかもしれない。
しかし、ペガサスのやってることはともかくとして、賞金稼ぎという目的も稼ぐための手段(デュエル)も別に違法でもなんでもない。
ワイヤーもあくまで逃亡防止のためであり、強制力と効率が求められる職務の関係上この手の装置は必要不可欠*7。その上でまっとうにデュエルするなら未使用。
更にペガサスには問題が多々あるが*8この妨害プレイ自体は大会上においても罪とも反則とも呼べないものである*9
繰り返すが彼は反則などは一切しておらず、番外戦術もしていない(むしろ闇遊戯がしている)ため、『ペガサス』が事前に説明していないことが悪い程度である。
……善人ではないにせよ、正直、原作の描写だけだと小悪党と呼ぶことすらもおこがましい。


が、そんなプレイヤーキラーに対し王様は、

「よく聞け! デク野郎! 闇に紛れて寝込みを襲うなんざ臆病者の盗人のやることだぜ! オレはそんな野郎を決闘者とは認めない!
「この決闘! オレは手持ちの星6個を全賭け! 貴様は舞から盗み出した(※盗んでません)星8個を賭けてもらうぜ!」

と、のっけから大ハッスル。

更に、スターチップの数が6個と8個では不釣り合いなことから、王様は「星の不足分として自分の命を賭ける」と宣言。
だが、闇遊戯の本来の肉体はとうの昔に死亡し、現在は魂が表遊戯に憑依して行動している状態であり、賭けられたのは事実上憑依先の表遊戯の命である
ちなみに王様が相棒の命を勝手に賭けたのはHA☆GA戦に続いてこれで二度目(流石に非道すぎるので、別媒体ではルビが「プライド」に変更された)。
この衝撃的過ぎる提案に対して、当然ながら口だけでは信用できないと保証書がわりに「捕獲用の」ワイヤーロープを首にかけた*10

「いいだろう。オレが負けたら首をやるぜ! だが――貴様が負けたら罰ゲーム*1が待ってるぜ! 楽しみにしてな……!」



…と、何故かちゃっかりやばい約束を追加する王様。
あれ? 闇のプレイヤーキラーと釣り合いが取れて無くね?? 命は不足分のスターチップの代わりでは…???

ここの台詞はもはや完全に詐欺師のそれだが、そこまで敵視する理由は不明。立場だけ見ればじいちゃんの魂をビデオテープに閉じ込めたペガサスの手下なので、かみつく理由も分からなくはないがやはり悪目立ちしすぎな感はある。
ある意味、足りない分のスターチップに命を賭けると言い出したことを承諾したのが闇のプレイヤーキラー最大の選択ミスだったのかもしれない。理不尽な話だが。





その後も王様のとても主人公のセリフとは思えない口撃は続いた。

(闇にモンスターを隠して攻撃を防ぐ真っ当な戦術の闇使いに対し)
「『闇』ってやつは時に見たくもないもの……たとえばあんたの醜悪な顔を覆い隠してくれる……」
「だが……最後にはゲームに敗れたお前のぶざまな負け犬顔を見ることになりそうだぜ!」

(遊戯の光の護封剣にこちらの攻撃を封じられ、さらに相手から攻撃される危険ができたので守備を固めるというどう考えても当然の行為を行った闇のプレイヤーキラーに対し)
「闇に姿をくらまし姿を晒されれば盾に縋る……お前は図体はデカいが肝っ玉は小さい小心者さ!

(ルールを守って至極真っ当なデュエルをする闇のプレイヤーキラーに対し)
「考えてみりゃあ決闘者に闇討ちを仕掛けるなんてのもあんたにゃお似合いの姿ってわけだ!!」

(使用カードと手札の状況から守備を固める以外実質出来ない状況下で)
「あわれだな…………。自分を守ることしか考えてない……。弱すぎるぜ……あんた」


醜悪な顔だの、小心者だの、自分を守ることしか考えない弱者だの、なぜか人格や外見まで口撃材料に使い出す情け無用の王様
これだけの口撃を受けたら、根が悪人じゃなくとも思わず手近にあるワイヤーロープの凶器で手を出してしまいそうなものなのだが、
闇使いは首にかけたワイヤーロープを見せつけることはすれど一切干渉しなかった

途中、一度「小僧~! 今度へらず口をぬかしたら貴様の首をねじ切ってやるぞ!」と言ったものの、
その後も王様は何ら臆することなく精神攻撃を続け、それに闇使いが激昂して実力行使に出ることもなかった。
これだけコケにされながらあくまでデュエルでの決着を選んだ精神力はデュエリストの鑑である。


ただ、遊戯王、特に原作前半においては基本的に「口の上手さもゲームのスキルのうち」と言う価値観が一般的であった。
特に連載初期における闇遊戯は「悪党を煽って煽って煽りまくり、それによって生じたミスを突いて勝利」と言うのが基本の勝ちパターンである。

そもそも遊戯王はルールに沿ったお行儀の良いゲーム漫画ではなく、ゲームを武器に戦うダークヒーローの漫画であり、闇遊戯も別に正義の主人公ではない。
そして非正統派のヒーローが口撃や策略を武器にするのは別に珍しい事ではなく、例えば、同じジャンプではジョセフ・ジョースターなどが存在する。
世界的に見ればスパイダーマンなどもこのタイプなのは一応考慮すべきではある。一応。

それも全ては今までの相手が『罵倒されるのも当然なほど悪辣過ぎた』という前提があり、そうでもない相手にこうまで罵っていたことはないのだが。


余談だが遊戯王オフィシャルカードゲームの登場と、遊戯王デュエルモンスターズのアニメ化にあたってルールとマナーが整備され、煽り行為などはきちんと重大な禁止行為として制定された。
そしてアニメOPの前に「ルールとマナーを守って楽しくデュエルしよう!」とわざわざテロップを流すようになった。
カードゲーム重視になる転換期とは言えどもネタにされるのも仕方のない事であろう。


最終的に、カタパルト・タートルによって射出された竜騎士ガイアの玉砕で闇晦ましの城の浮遊(リング)が破壊され、落ちた闇晦ましの城がプレイヤーキラーのモンスターの上に落下。
闇使い自身が守備固めのために貼った魔法「カオス・シールド」によりモンスターは移動できなくなっており、プレイヤーキラーのモンスターが全員潰されて決闘は決着した。
これもOCGのルールと比較すると違和感があるだろうが、王国編ではこうしたTRPGめいた決着は全く珍しくない。珍しくないだけで、一方的過ぎる海フィールドなど大体当時から突っ込まれていたけど。

なお、遊戯はこのしばらく後に、海馬の「デュエルに負けたら死ぬ」と言う口撃に(表遊戯が)屈して敗北している。
やはり口撃は原作遊戯王における重要スキルである。
(とはいえ海馬は負けたら本当に死んでいたとも思われるので口だけではないが)


◆闇のプレイヤーキラーの受難・その2 厳しすぎる罰ゲーム

「遊戯王」の連載前半には、闇遊戯がゲームで倒した悪人に「罰ゲーム」を仕掛ける、というお約束があった。

これは3回まわってワンと言うような現実によくあるタイプのそれではなく、
金に汚い者は葉っぱがお札に見える幻覚を掛けられ翌朝まで葉っぱと戯れさせられ、周りにその醜態を暴けさせられたり、
歪んだ心の持ち主は精神を砕かれ正しく組み直すまで前後不覚となるなど、要するに鳳凰幻魔拳のような精神攻撃である(状況次第では物理攻撃もある)。

闇遊戯のそれは短いものなら一晩ほどで治まり、長い場合でも暫く反省&療養すれば回復するものが多い。…中には死にかけているものもあるが*11
実質死亡したものもあるが、金倉は遊戯ではなくシャーディーの罰ゲームであり(ただし内容は死の体感と同等なのでやはり海馬はかなり危なかった可能性もある)、
井守は「魂が壺に封印された」ため実質死亡だが、こちらは井守が千年パズルを盗み、脅して井守が持参した闇のゲームによるプレイを強要させたデスゲームで敗北したからであり、実質的に井守の自爆と言う方が正しい。

話は戻り、そういうわけでプレイヤーキラーは王様が言い出した生命を賭ける事を承諾したためか何なのかは分からないが、罰ゲームを受ける羽目になってしまった*12
それも底なしの闇に落とされる処刑という形の死の幻覚、最悪クラスの罰ゲームを
その死の幻覚を見せられて「ギョエエエエエ~」と絶叫する場面で原作での出番は終わりである。
ある意味諸悪の根源とも言える、命と同等のスターチップももちろん入手。
命賭けたのは遊戯の方だけだし、言い出しっぺも遊戯だし、何故罰ゲームしたのか分からない。

…ところが、後に発売されたキャラクターズガイドブック「真理の福音」にさらっととんでもない事が書かれていた。
ここには劇中で罰ゲームを受けた人々の感想が記されているのだが、
「うう、もう、暗い闇・漆黒しか見えない…。今は昼なのか、夜なのかわからない…。ううう。」という恐ろしい発言が記されている。
要するに失明させられてしまったのだ。

更に、2015年発売のキャラクターズガイドブック第2弾「千年の書」では、
「処刑台の上に立つ自分が暗闇の広がる眼下へと落とされる。永遠に着地することもなく、闇の中をただ落ち続けるのだ」と記され、失明どころではない事が明らかとなった。
もはや死んだ方がマシだとか、「終わりがないのが終わり」という状態である。
ただしこれはファンブックの時点での情報であり、失明したのではなく海馬のように罰ゲームの期間が長いだけとも取れる。(それでもやはり重すぎる罰だが)

これらの罰ゲームを受けた者の大半はあからさまな悪行・暴力・不正行為に主体的に手を染めていてその悪行もその罰ゲームに釣り合う物ばかりだが、
プレイヤーキラーの罪は「遊戯王」の作中では明らかに軽い方である。
一日どころか永遠に続くこの罰ゲームがいかに罪状と不釣り合いかお分かりいただけるだろう。
…王様は理不尽だ。

一応「海馬コーポレーションを買収したいから」と言うだけのペガサスの身勝手すぎる意向で無理やり爺さん人質に取られて大会に参加させられ、卑劣な不正行為の数々*13に対する怒りの矛先(八つ当たり)として、
思わず感情に任せて一層ひどい罰ゲーム喰らわせてしまったのかもしれない…
…それにしても通常の決闘者の大半は明らかに彼よりも卑劣なプレイヤーなのにそもそも罰ゲームすらしていないし、同僚の死者の腹話術師には既に重めの罰ゲームを喰らわせてる一方、後の同僚の迷宮兄弟にも罰ゲームしていないなど、やっぱり理不尽で不平等である。


◆王様を擁護する物の見方もあり

ここまで、本稿では闇のプレイヤーキラーが王様からある種理不尽な扱いを受けたという旨の意見を述べた。
しかし記事の平等性のため、この件について王様を擁護する物の見方もある事をここに記しておきたい。

前提として闇のプレイヤーキラーは決闘者王国というペガサス島での大会の夜時間に出場者を狙っているという事を忘れてはならない。

この大会はお世辞にも出場者を丁重に扱っているとは言い難く、何日もかかる大会なのに寝床や食料は決勝トーナメントに進出するまで自分自身で用意するサバイバル生活が求められる。
会場となっている決闘者王国はペガサス島の大自然をそのまま大会会場にあつらえたような場所であり、
人が住む事に適した建造物はスターチップを10個以上集め決勝トーナメントまで進んだ者だけが入る事の許されるペガサス城程度のものであり、人がまともな生活できるスペースがあるようには見えない。

島全域に充分な数の巡回員や監視カメラ等が存在していたのか、
存在していたとしてそれらがどれだけ出場者を守っていたのかは極めて疑問と言わざるを得ない。

少なくとも近代文明生活を送っていただろう大半の出場者が突如サバイバル生活に晒され続けたのである。
出場者達がこの大会の実情をどの程度調べてどれほど覚悟していたかは個人差があるだろうが、
このようなある種劣悪ともいえる大会運営の煽りを受けた出場者達が「運営側が自分達を絶対に守ってくれる」等と考えられるとしたら流石に楽観が過ぎるだろう。

作中では度胸があったりぶっ飛んだ性格の出場者も目立つが、そうではない者もそれなりにいたと考えるのが自然であり、
その者達からすれば夜時間はいつ他の出場者に自分の寝込みを襲われ寝床となるテントや食料(もっと言えばデッキやスターチップも)を奪われるかもわからなかったのだ。
それどころか口封じにリンチを受け洞窟の中に生き埋めにされる可能性すらあり夜時間は気が気で無かった事だろう。

出場者達の中にはそうした恐怖のサバイバル生活を送っていた者達も一定数いたと考えられる。

そんな中で夜時間に非常にガタイがよく怪しい恰好をしたコワモテの男性が現れてデュエルを挑んでくるとなれば、出場者達の恐怖心を煽っていると判断するには十分。
いかに闇のプレイヤーキラーが正々堂々とした精神性の持ち主で「あくまで同意」という体でデュエルの承諾を貰おうとしても、出場者達からすれば事実上の脅迫と取られても仕方ない。

彼の闇フィールドも立派な戦術で本来非難されるいわれはないのだが、
この状況ではおどろおどろしい雰囲気を助長させ恐怖を煽り立て判断力を奪いプレミスを誘う番外戦法染みた意味を帯びてしまう。

そのため闇のプレイヤーキラーは彼個人の行動だけ見れば問題は無くとも、
上述した大会運営のバックボーン下でそれを行った場合その行動に問題が無かったとはやはり言い難い。

付け加えて言えば、上記の通り決闘を行う事自体はほぼ強制な上、スターチップの全賭けもほぼ強制であり、確認できる限りでは挑戦者側が個数を調節するなどはしていなかった。(王様がスターチップの不足分を埋め合わせる為に命を賭けたくらい)
そして曲がりなりにも真夜中に女性が一人だけのテントに侵入したのも事実であり、その後の行いが如何に紳士的であったとしても擁護は難しい。

もしかしたら王様も上述のような物の見方をしており、
思うところがあって闇のプレイヤーキラーに厳しい対応を取ったとは考えられないだろうか?

それがこの件について王様を擁護する物の見方である。

ただしこれらは全て作中の状況からの推察であり公式設定ではないため鵜吞みにはしないように。
また当然こういう物の見方があったとしても「それでもやりすぎじゃね?」と思う人もいるという事も記事の平等性のためにここに記しておく。


◆アニメ版遊戯王デュエルモンスターズにおいて

流石にどう考えても闇遊戯が悪すぎるためか、アニメでは

  • 命をチップ代わりにするのはプレイヤーキラーの提案に。
  • ワイヤーが遊戯側のデュエルリングに設置した火炎放射器に。
  • 威嚇で火炎放射
  • 負けた後は遊戯を火炎放射器で殺そうとする。
  • 炎の幻覚に包まれて気絶しただけで失明していない。

……と、悪役さがこれでもかと強調され、罰ゲームされるのも理解できる流れに。とばっちりで改変されたという意味で被害者には変わらないが
罰ゲームそのものもマイルドに変更されていて、他の悪人と比べてもおかしな扱いではなくなっている。

もっとも実質主人公である闇遊戯の人格にも関わることでもあるので、この修正については賛否両論。
他にもアニメ版の闇遊戯は現代の価値観に基づいた性格の変更が多数行われている。


◆使用カード
なぜか彼のモンスターは、OCG(遊戯王オフィシャルカードゲーム)ではいずれも攻守が微妙な数値に変更されている。
バロックスに至っては何故か融合モンスターに。
左側が原作の数値、右側がOCGの数値である。

  • 闇晦ましの城     攻1200/守2500→攻 920/守1930
  • バロックス      攻1800/守2000→攻1380/守1530
  • ダーク・キメラ    攻2100/守1900→攻1610/守1460
  • カードを狩る死神   攻1800/守2000→攻1380/守1930
  • 闇魔界の覇王     攻2600/守2300→攻2000/守1530
  • メタル・ガーディアン 攻1500/守2800→攻1150/守2150
  • カオス・シールド(唯一の魔法カード)

カードを狩る死神の守備力以外は30%UPすると原作に近い数値になる。
どうやら「プレイヤーキラーのフィールドは闇だったので、攻守は30%上昇していたはず」みたいな判断をされたようだが、
なぜこんな面倒くさい事をしたのかは不明(ていうかプレイヤーキラー自身が「夜はフィールドパワーを受けることはない」と言ってたと思うが……)。

なおこのステータスの初出はOCG ではない
OCGより前に発売されたゲームボーイソフト「遊戯王デュエルモンスターズ」での数値に準拠している。
原作の数値をそのまま再現すると主人公たちを鼻で笑ってしまうほどのステータスになってしまうため、意図的にステータスを下げられたと思われる。
(当時のカードでは、2500クラスですらブルーアイズを引けなければまともに処理できない)

なお同ゲームではゲームでは闇フィールドになると、闇使いのモンスター達は例外処理によって原作の数値となる。
覇王と死神?あれは数値そのものが間違っているので……

かえっておかしいことに気づいたのか、ゲームシリーズでは「遊戯王デュエルモンスターズ3」以降原作の数値となったが、レベルはそのままのためこれはこれで色々ヤバい事になっている。
特に闇晦ましの城! レベル4で守備力2500 とか何の冗談ですか。
そこは原作準拠を目指さずバランス重視で調整してくださいお願いします……。

ちなみにアニメ版ではご丁寧にもOCG版の数値に闇の1.3倍補正が掛かっていた為攻・守やライフポイントが(特に下2桁が)物凄いカオスな事に。
しかもガイアで特攻した時にこれまたライフが綺麗に揃う始末。なんでや!

◆ところで

このデュエルはカタパルト・タートルの初陣なのだが、

(な……なに……! 自らのモンスターを犠牲にする気か!)
↑ニヤニヤしながらカタパルト・タートルでガイアを射出した遊戯に対するプレイヤーキラー

と、プレイヤーキラーは闇遊戯の自分モンスターを犠牲にする戦術にとても驚いている様子がある。なんていい人なんだ…

で、その闇遊戯は後にほぼ同じ戦術をとったパンドラに対し、

「パンドラ……貴様のしもべが泣いてるぜ……」
「貴様が真の黒魔術師使いなら聞こえるハズだぜ。主に裏切られ犠牲となったカードの……魂の嘆きが!」
↑エクトプラズマーで自分のモンスターの魂を犠牲にしたパンドラに対する王様

と、例によって苛烈な口撃を仕掛けている。
理不尽な話だが、遊戯王ではよくあることだ。

◆余談
  • プレイヤーキラーの本来の仕事である参加者の間引きを行っていたのは実質彼のみだったりする。
  • 原作で最後に闇遊戯の罰ゲームを受けた人物である。
  • 中の人は次作の遊戯王デュエルモンスターズGXでゲストキャラの大原進を演じている。
    手口や事情はだいぶ異なるが、何の因果かプレイヤーキラーと同じく夜にデュエルを挑んで戦利品を巻き上げる怪しい大男という役所である。

  • 対戦中に相手のプレイングを貶したり、ましてやデュエルに関係ない容姿等を侮辱するのは言うまでもなくルール違反でなくともマナー違反である。
  • 良い子の皆はルールはもちろんマナーも守って楽しくデュエル!

「…………フフ。お前が追記・修正をすることもオレの計算通りだ!!」「な……なんだと……!!」

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最終更新:2024年04月14日 20:27

*1 大会参加権を示す星型のチップ。デュエル前に任意の個数を賭け、所持数が0になると失格。

*2 本来いくつ懸けるかはお互いの同意の上で任意。必ず互いに同数懸けるルールもない。当然ながら余程条件が揃わない限りギャンブル要素の大きい全懸けは通常行わなそうだが、ある程度名の知れたプレイヤーが揃っている都合からかプライドの高い者が揃っているので同数で提案するのであれば最大賭けも基本同意していたりする。おかしく見えるかもしれないが、そもそもこの様な提案は闇遊戯が率先して行っていることでもある。

*3 夜のフィールドと「闇晦ましの城」のコンボなどはあくまで昼のデュエルにおけるフィールドパワーソースなどにおけるコンボとなんら変わりはない。作中には他に登場していないが、夜のフィールドの方が有利なデッキを持ったデュエリストが同じように夜にデュエルを行っても何ら問題はない。

*4 金髪のとてもいい女、の意

*5 しかも、登場タイミングは杏子が遊戯の所へ向かって舞が落ち着いて独り言を言っている最中という絶妙なタイミングであり下手をすれば杏子が最初に遭遇した可能性も否定できない、このことから考察すると杏子との会話中に到着したが空気を呼んで「他人のプライベート会話」を妨害せずにじっと隠れて待機し、無関係な方を巻き込まない&デュエリストはどちらなのかを確認していた上で現れた可能性すらある。

*6 ちなみに闇晦ましの城を出す段階で(杏子たちから応援された遊戯に対して)「ほ~華やかな応援とは小僧、なかなかスミにおけないな…」と軽く前振りした後に「だがオレは――闇を味方につけるぞ!」と妙に凝った気さくな宣言をしている。案外ノリがいい奴なのか?

*7 あくまでも遊戯王世界の勢いとノリで考えるべきことなので無粋だが、一応現実の現代日本に置き換えるとこのケースの強制拘束は現行犯の犯罪者ではないので犯罪にあたる。とはいえ勝手にやっていることではなくペガサスの依頼と許可の基に行っていることなので、ペガサスに責任があり罪の重さも主犯にあたるペガサスの方が重い。極め付けに他プレイヤーはともかくとして闇遊戯は、証拠が残らないので罪に問えないだけで私刑を度々行っている上に闇のプレイヤーキラーに対しても明らかに強制拘束よりも酷い傷害(罰ゲーム)を起こしているので文句を言える筋合いは全くない。襲い掛かってくるそぶりもなくそもそも闇遊戯自身も拘束に同意していることもあり、正当防衛扱いにすらならないだろう。

*8 マインドスキャンやトゥーンもだが、妨害を説明していないことや罰ゲームしたりとかも

*9 この大会はあくまでもペガサスの私的な大会であり公式戦ではない。莫大な優勝賞金に加えて参加費も無料で招待に応じるのも基本は自由(遊戯は脅迫、海馬は攻撃されたために実質強制だが)なのだから、妨害プレイは不公平感はあるものの大会主のペガサスに決める自由があり、プレイヤーの一員として(闇のプレイヤーキラーだけは)公平にデュエルしていることもあってルールの範疇と言っても良いだろう。一応。

*10 なお、遊戯が負けた後の処遇についてどうする気だったのかは不明。もっとも殺し屋でない賞金目当ての彼が遊戯の命を奪うことはデメリットしかないので、手出ししていない舞の件といい、後でどうこうするというより彼の発言に合わせた仕掛け程度に過ぎない可能性は高い。せいぜいペガサスに身柄を渡す程度でしかないだろう。

*11 例えば海馬の喰らった死の体感はショック死してもおかしくなく(少しの間疑似体験しただけの双六ですら危なかった)、アニメでは有名なマインドクラッシュも原作のものは一時植物状態になるので外部からの補助が必要になり助けが無ければそのまま死亡する、更生はするが地味ながら罰ゲームの中でも厳しい代物である。

*12 一応、理不尽さで言えば遊戯達の教師の蝶野が受けた問答無用の罰ゲームに比べればまだマシではあるが。あちらがプレイヤーキラーとは比較対象にはならない位酷過ぎるだけではある。

*13 大切なカードであるエクゾディアパーツ3枚ロスト、死者の腹話術師の他人のデッキを用い、その人物の真似の煽りプレイ等