魔法少女まどか☆マギカ~The different story~

登録日:2012/11/13(火) 21:57:54
更新日:2023/10/28 Sat 22:40:49
所要時間:約 14 分で読めます





他人を見捨てたこんなあたしでも…

組めるっていうなら

あたし…


幻滅するかも


『魔法少女まどか☆マギカ~The different story~』は、ハノカゲ氏によるアナザースピンオフ作品。上・中・下の三巻構成。全12話。
「もし巴マミがあの時生き残ったら」という本編のifの世界を描いている
(つまり他のスピンオフのような「過去にあった時間軸」という扱いではない)。

きらら☆マギカでも告知され、vol.4では雑誌の全ページ数は普段と変わらないまま上巻の試し読みが掲載された。

特徴として、ドラマCD、アニメ本編、PSP版ゲームなど、多くの関連作品の設定やオマージュが取り入れられている。

上巻はドラマCD「フェアウェル・ストーリー」を元にハノカゲが脚色を施した内容となっており、巴マミを物語の主軸に置いている。
中巻はアニメ本編を踏襲しつつもアレンジを加え、そして下巻ではそれらの帰結となるハノカゲ独自の結末が描かれている。
ドラマCDを担当している平松氏によれば、本作品のストーリーはハノカゲ氏で作ったもので平松氏は関わっていない。

巴マミと佐倉杏子のダブル主人公という建前であるが、きらら☆マギカのインタビューによると当初はマミ単独主役のスピンオフの予定だった。
ちなみにハノカゲは以前にTwitterにて杏子主役でマミさんとの話を描きたいといった旨の発言をしている。

なお、ハノカゲ氏はあとがきにて、
「執筆するにあたり今回は本編コミカライズのような視覚的にえぐいのは全て自粛!…を貫いたつもりなのですが、別の意味でえぐいことになってしまったのは誠に申し訳ございませんというか…」と、コメントしている。

つまり、本編におけるグロ路線の始まりである「3話のアレ」が無くなったこともあって、肉体的なグロ描写が控えめになっているのである。
その代わり精神的に色々抉られる展開が多い。

また、原作アニメの展開と大きく異なる点として、

  • さやかがアニメにおける3話時以前に契約を果たしている。

  • それにより、マミさんがシャルロッテに殺されない

  • アニメや他メディアには見られない魔女が多数登場する

  • 上条がお世話になったさやかにお礼を言う

  • マミさんがかつての後輩にして愛弟子である杏子とガチバトル

  • 杏子はオクタヴィアを斃し、別の魔女との戦いで命を落とす

  • ほむらが三週目時の自分とかつてそちらで心中を図ろうとしたマミ自身に重ねて、彼女を一喝する

  • まどかの契約の願いが『さやかを助け、マミの代わりに戦うこと

  • まどかほむらさやかの三人でワルプルギスの夜に挑む

  • まどかとさやかは最後まで魔法少女の真実を知らないまま

といったいくつかの点が挙げられる。


〔 あらすじ 〕

巴マミは見滝原で魔法少女として一人で魔女退治をしていたが、ある日隣町の風見野から魔法少女になったばかりの佐倉杏子がやってくる。
杏子はマミに弟子にして欲しいと頼み、二人はコンビを組んで行動するようになる。
しかし、次第に考え方を変えていった杏子はマミと対立、戦いの末マミの元から離れていった。
それからしばらくしたある日。マミは鹿目まどかに呼び出され、美樹さやかと杏子の争いに割って入り、対立し合う魔法少女たち。
マミはさやか、そしてまどかと共に行動するようになり、
見滝原に戻ってきた杏子は1人で行動をとりつつ、暁美ほむらとワルプルギスの夜を倒すため結託しようとする――。


〔 登場人物 〕

巴マミ
まどか達の前で優等生を演じるも、多忙さからやり忘れていた課題を言われて思い出し落ち込む可愛いマミさん。
遂に主役の座を手に入れたマミさんは、新技『ティロ・リチェルカーレ(全方位砲撃)』を引っ提げて後輩たちをフォローし大活躍する。
しかも死なない。さやかを庇って瀕死の重傷を負うも無事に回復する。
だが、さやかにずっと隣に居て欲しいと求めた結果、それが葛藤するさやかの心に重くのし掛かっていってしまい……。
ラストの行動は一見PSP版ゲームだけが元ネタにも見えるが、ゲーム版とは違って杏子との再会の約束の証であるリボンを握りしめていることから、
アニメ版の杏子が満身創痍になりもう自分が長くないことを自覚した結果さやかと一緒にいることを選択したように、
グリーフシードを得て他の魔法少女の命を糧とする道を拒否してもう自分が長くないことを自覚した結果マミさんも杏子と一緒にいることを選択したという、
いわばアニメ第9話をも元ネタにした、マミさん版の「一人ぼっちは、寂しいもんな」であるとも言える。

佐倉杏子
かつてマミさんを「マミ先輩」と呼んで懐いていた可愛い後輩。今は反抗期。
内心ではまた二人で一緒に戦いたくてヤキモキし、上手く言葉にできずにケンカになっちゃうけど、仲間のピンチはついつい助けちゃうツンデレ聖女。
アニメでは隅々まで詳しく語られなかった彼女の家族との悲しい過去が明かされる。
誰かを助けるといった見せ場が多い。

  • 自分から使い魔を倒すようになった
  • 盗みを指摘されない
  • 幻術技を取り戻す
  • さやかはいつも通り魔女化されても杏子はやられずに魔女を倒す
  • 杏子が死んだ後は助けたはずのマミさんをまどかを使って後追いさせる
等。

だが一方で自分の精神の安定をマミさんの存在にかなり依存しきっており、
上巻ラストでマミさんと再会してからはまるで別れた元カノにちょっかいを出すヤンキーな元カレのような未練がましい雰囲気を振り撒いている。

美樹さやか
マミさんがシャルロッテに食べられる寸前でお菓子の魔女を撃破しピンチを救ったヒーロー。
彼女の存在がマミさんの心の支えとなっていき、未来を大きく変えていった。でも安定のさやか。
上条の事で仁美を見殺しにしかねた罪悪感とそれでも自身を求めるマミさんの優しさが逆に彼女を苦しめてしまい、
自分の“正義”にも葛藤していったことから徐々に穢れが溜まっていくこととなる。
最終話では、ラストの場面でさやかがあの世にいるとお茶会の邪魔になるためか、まさかの復活。
上条のことは吹っ切れたのか、助けてくれたまどかを守ると新たな使命に燃える。ライバルはほむほむ。

鹿目まどか
マミさんの助けを呼ぶ係。念話使えよ。だが彼女が呼びに行くとどんなピンチでも間に合う。
彼女の行動の大胆さに磨きがかかっており、上条の腕を治したのがさやかだと告白する。
また本作にて自分の事を「何の取り柄もない役立たずな人間」と思い始めたのは、
自分とは対照的なさやかに幼い頃から守られ続けていた事による自己嫌悪からであると言う、アニメ本編でも無かった彼女の自身掘り下げも存在する。
そして、契約しない理由が原作と異なり、「活躍するマミとさやかの頼もしい二人の足を引っ張るのが怖かったから」とあえて身を引いていた。
終盤、彼女はさやかとマミさんのために魔法少女となったことから、宇宙改変は行われておらず、魔女の存在する世界のまま物語は幕を閉じた。
なお、彼女は魔法少女の真実を知らないまま……

暁美ほむら
登場数が少ないほむほむ。裏方に徹してまどかを見守っていたということだろうか。
原作同様のポジションで、他のメンバーの結末を揺るがすような大きな行動は特には起こさない。
多くの知識を有していることから他のメンバーが自壊しないように立ち回り、時には辛辣な言葉を投げかけ、時にはピンチを助ける。最後はあのさやかと和解した。
…だが、彼女の知っていることは必ずしも全てが真実ではなく、
彼女は契約を思い留まるよう説得するマミさんを押し切ってまで契約したまどかを「巴マミの言葉に誘発されて契約した」と評し、
まどかが何故この物語の最後に契約したのか、一番理解していなければならないその理由、そのまどかの決意を、最後まで根本的に誤解したままであった。
それでも契約したまどかに最後まで付き合ってくれるが、恐らくこの時間軸も……。
要所にしか出ないのを良いことにカバー裏ではやりたい放題。

☆双子の魔法少女
冒頭でマミさんとパーティを組んで魔女に挑んでいた双子の魔法少女。白い魔法少女が姉で、黒い魔法少女が妹。武器は姉が薙刀で妹が刀。
だが、その考え方は杏子同様に利己的なもので、見滝原市を守ってきたのは善意ではなく報酬(グリーフシード)のため、魔法少女を「ライバル同士」と捉え、
自分たちがピンチになると魔女を初心者のマミさん一人に押し付けて平然と逃げる。
どうやらその後は間もなく魔女化してしまったようで、マミさんと杏子に襲いかかる。

☆和紗ミチル
魔法少女かずみ☆マギカからカメオ出演。
本作では台詞こそなかったものの、マミさんの回想シーンの中に、当時の場面が盛り込まれていた。

キュゥべえ
IQB。スピンオフでも通常営業。
余談だがかなり可愛らしく書かれていた同じハノカゲ氏の本編コミカライズの時に比べ、本作ではほぼ原作通りに描かれている。
「まどか…早く僕と契約を!」


〔 魔女 〕

★冒頭の魔女
電気を放つ、プラグとクワガタが混ざったような姿の魔女。
ナウシカに出てきそうなデザイン。

★杏子と因縁のある魔女
巨大な斧を振るう、一ツ目のミノタウロスのような魔女。
実は斧が本体で、幻であるミノタウロスの身体は何度でも再生する。
初登場は「フェアウェル・ストーリー」だが今回晴れてビジュアル化した。
余談だが、本作発売の約10年後に公開されたアプリ内スピンオフでは、原作アニメ出身でない魔女の中で唯一の出演を果たした。
戦闘シーンも濃い内容で描かれており、なかなかの優遇ぶりである。
もう一体のタコ型魔女は…

★二話の魔女
瞬殺された。

★教会を襲った魔女
配達員の格好をした鳥の姿の魔女。
圧倒的な数の使い魔と手紙の竜巻で攻撃する。

★氷の魔女
優雅なドレスに身を包んだ氷の女王のような魔女。
周囲に浮遊するクリオネの姿をした使い魔を刃に変えて射出したり、相手を氷結して動きを封じるなどの強力な攻撃で杏子を苦しめた。

★扉の魔女
ヒヨコのような姿をしたすばしっこい魔女。
無数に配置された扉の中を空間移動し、出たり入ったりを繰り返し翻弄してくるが、マミさんとさやかの絶妙な連携に敗れる。

★双子の魔女
双子の魔法少女が魔女化した姿。黒い蜂のような姿。蜂の巣を模した魔女結界を持つ。
使い魔の数も厄介だが動きは鈍い。実は黒い蜂(妹)は囮で、白い食虫植物の姿をした魔女(姉)が油断した相手を蔓で捕まえ捕食する。
紹介ページでは「姉が捕えた得物でジュースを作り、妹がジュースでミツを作る。ピンとピンクッション。いつまでも一緒の仲良し姉妹。」……怖すぎである。

この他にも原作アニメに登場した魔女も何体か登場している。



…ないの

…嫌なの…

もう戦いたくなんかない!

魔女なんて殺したくない!

私は…っ

大丈夫です。もう、いいんです

ありがとうマミさん

今までずっと
街のみんなを
守ってくれて

私たちを
守ってくれて

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最終更新:2023年10月28日 22:40