ミスミソウ(漫画)

登録日:2009/07/18 Sat 01:12:31
更新日:2024/02/22 Thu 18:47:37
所要時間:約 3 分で読めます


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おじいちゃん、私ね……人を殺したの―――



月刊ホラーM(隔月刊ホラーM)で2007年6月号から2009年6月号までの2年間連載されていた本格精神破壊(メンチサイド)ホラー漫画。

作者は押切蓮介。単行本は全3巻。
現在アクションコミックス(双葉社)よって完全版の全2巻が発売されている。

半年前、父親の都合で廃校が決まっている田舎の中学に転校した春花。
最後の卒業生となるクラスで春花を待っていたのは、鬱屈した環境の中、静かに狂い始めたクラスメイトによる凄惨なイジメだった。

イジメは熾烈をきわめ、ついには家族をバーベキューにされた春花になおも止むことない悪意。
雪が降りしきる白い村を赤く染める春花の復讐が始まった―――。


閉鎖的な村でのイジメやスクールカーストを題材にした作品。
イジメの生々しい描写と読後の後味の悪さ、読者を作品に引き込む力は神懸っている。

2018年3月に小説化している。
ノベライズ担当は黒史郎。

2018年4月に実写映画化した。
監督は『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』の内藤瑛亮が担当。
また、タテタカコの『道程』を主題歌にしている。

ミスミソウの花言葉は「自信」「信頼」「優雅」「高貴」「忍耐」「内緒」。




【登場人物】(演:実写映画版の演者)
  • 野咲春花
演:山田杏奈
この物語の主人公。
清純な心を持つ美少女だった。
ヨソモノということでイジメを受け、更に家族を殺され、イジメグループに属していたクラスメイトの大半を葬った。



  • 相場晄
演:清水尋也
春花のクラスメイト。
春花と同じく転校してきたヨソモノで春花の唯一の味方。
カメラが趣味。
良い人かのように思えるが実は……


  • 小黒妙子
演:大谷凜香
イジメグループのリーダー。
大人びた雰囲気の美少女で、クラスの女王的存在。
周囲を扇動して春花に陰惨なイジメを行う。
実家は裕福。
春花と同じく美少女だが、機嫌が悪くなると目つきがヤバイ。


  • 橘吉絵
演:中田青渚
イジメに関与していた妙子の手下。
実の両親に(実写映画版では父子家庭の下で)虐待されている。
春花の家族殺害に関与していたため、左目に釘を刺され鉄パイプで頭部を殴打されてしまう。
目つきがヤバイ。


  • 三島ゆり
演:橘愛里紗
イジメに関与していた妙子の手下。
春花の家族殺害に関与していたため、アキレス腱を切断され、机の角に後頭部をぶつけ死亡。
目つきがヤバイ。


  • 加藤理佐子
演:紺野彩夏
イジメに関与していた妙子の手下。
春花の家族殺害に関与していたため、鉄パイプで滅多打ちにされてしまう。
目つきがヤバイ。


  • 久賀秀利
演:遠藤健慎
春花の家族殺害に関与していた。
妙子に惚れていたが、妙子の豹変を春花のせいと勝手に決めつけイジメを行う。
腹部や口を引き裂かれ重傷を負った直後、井戸魔神と化す(実写映画版では崖に転落したあげく足を骨折し遭難)。
目つきがヤバイ。


  • 真宮裕明
演:大友一生
ボウガン使い。
ボウガンで小動物を殺傷するのが趣味で、他者の命を何とも思わない根っからのサディスト。
春花の家族殺害に関与していた。
クラスメイトが春花に闇討ちされていることに気付き、春花を討伐しようとするが返り討ちに。
春花に身体を切り裂かれ、ボウガン(実写映画版ではナイフ)でトドメを刺された。
目つきがヤバイ。


  • 池川努
演:遠藤真人
デブスの眼鏡男子。
武器の改造が趣味。
改造した武器を真宮に与えている。
美しい春花に好意を抱くが相手にされなかったため一変、好意が激しい憎悪に。
春花の家族殺害に関与していた。
真宮とともに春花を討伐しようと試みるも、鼻を切り裂かれ、ボウガンで頭を撃ち抜かれて脳味噌が垂れちゃった。
目つきがヤバイ。


  • 佐山流美
演:大塚れな
春花が転校してくる前にイジメの標的だった根暗女子。
妙子の腰巾着でもあり、大好きな妙子を見ると思わずにやけてしまう。
母子家庭で暮らしており、母親に迷惑をかけたくない一心でイジメの事実を隠している。
目つきがヤバイ。


  • 南京子
演:森田亜紀
春花たちの担任教師。
悪口を言われるとゲロる。
目つきがヤバイ。


  • 野咲祥子
演:玉寄世奈
春花の妹
姉思いのいい子。
バーベキューにされてしまい全身火傷の重体に。




















【以下、ネタバレ】







  • 佐山流美
実はこいつが春花の家族殺害の首謀者。

妙子に対して百合兼マゾヒスト的な感情を抱いており、彼女からのイジメも“我々の業界ではご褒美です”状態だったのだが、
春花が登校拒否をしたことで再びイジメの標的になったことで、それから逃れたいがためという非常に身勝手な理由で野咲家への放火を企て、実行に移した。
というのも、彼女にとって上述の「ご褒美」となるのは妙子からのイジメだけであり、
「妙子にイジメられるならいいが、妙子以外の他のやつにイジメられるのは嫌」だったのである。

春花が復讐を始めたことを知り、「自分も春花に殺されるのではないか」と自身の行いを棚に上げて怯え、遂には妙子から見放されたことでブチキレ。
「殺される前に殺す」と春花殺害の決心を固め、手始めに自分を捨てた報復として妙子を襲撃し、妙子との死闘に勝利すると同時に彼女を惨殺。
その後、返す刀で春花を襲撃して致命傷を負わせたものの、間に入った晄と闘争を繰り広げるも、
彼の盾にされた挙句、自分が持っていた包丁を春花に奪われ喉を刺し貫かれて因果応報の最期を遂げた(実写映画版では瀕死の重傷を負った春花を見て怒り狂った晄に殴り倒された末、彼に惨殺されている)。


  • 相場晄
春花の味方の如く振る舞っているが、その裏には異常に偏執的で暴力的な本性を秘めている。
かつて母親にDVを振るう父親をカッターで切りつけたため両親が離婚。
父親は家を出ていって別の女性の元へ行き、それを嘆き罵った母親に父親同様の暴力を振るうようになった。
それが原因で仙台の生家から追い出され、大津馬村に住む祖母と暮らしている。

終盤にて本性を露にし、春花との同居生活を反対した祖母や、春花の祖父に暴行を加えた。
更に、自身の本性を知った春花に対しても暴力を振るい、直後現れた流美と争いに発展。
その際、火災事件時に春花の家族の死体を写真に収めていたことを春花に知られ、自身も復讐の対象となる。
最期はボウガンで右目を撃ち抜かれた。


  • 小黒妙子
実は春花の家族殺害には全くの無関係。
本来は優しくて面倒見のいい子。イジメの中心と言っても彼女がしたのはほとんど「からかい」程度であり、いわゆる「神輿に担がれた」状態であった。
本人は暴走するイジメグループを疎ましく思っており、進学を機に村を出て、彼らとは縁を切るつもりでいた。
また、美容師となることを夢見ていたが、高圧的な実業家の父からは反対された挙句に「ただのわがまま」と一蹴されていた。

そして、実は春花に対して百合的な感情を抱いており、相場と付き合った春花に失望したことと、
妙子は相場の本性を知っていたため、その警告も兼ねて彼女についイジメをしてしまっていた。
簡単に言えばヤンデレスレスレのかまってちゃんにあたる存在。
彼女の不器用さがこの事件を起こしてしまった事は否めないが、常識的な感性は失っていなかったため、イジメグループの中では人間的には一番まともであった。*1

本人はこの大惨事の引き金になったことをずっと後悔しており、終盤で本心を打ち明け、ようやく春花と解り合う事が出来たが時既に遅く……

実写映画版では後遺症を負うことを引き換えに生存する。
また、春花との在りし日のイチャコラシーンが増えた。
しかし、演じた大谷凜香のコメントでは「一生事件のことは忘れられないし、これから後悔を抱えたまま生き続けていくだろう」というように、死ぬより辛い人生がこれから待っているに違いない。


  • 橘吉絵
  • 久賀秀利
  • 真宮裕明
  • 池川努
春花の家族殺害の共犯たち。
それぞれ複雑な事情も抱いてはいるが、その倫理観は完全に破綻しており、人殺しをしておきながら何とも思っていないクズ共である。
一応橘と久賀は身内と見なした者は想う面もあったのだが、真宮と池川にはそれすらなかった。
勿論、我が子をそんなクズに育て上げた親達もある意味同罪である。

  • 三島ゆり
  • 加藤理佐子
この二人は居合わせただけで直接の関与もしておらず、罪悪感に苛まれているが、
加担しなかったとはいえ家族殺害を静観するだけで止めようとはしなかったため、小黒と違って立派な共犯である。

  • 実行犯らの親
「この子にしてこの親あり」というべきか、各々の子供たち同様閉鎖的で狭量な村人であった。
春花の家族殺害を唆したりしたわけではないが、人殺しをして何も思わないクズを育てたという意味では、上述の通り同罪と言えるだろう。
ほとんどは子供を甘やかしている上、久賀の母親のような典型的モンペだったり、橘の実母に至っては育児放棄をしていたりしていた。
橘の実父は(実写映画版ではシンパパになっているにも関わらず)娘に虐待を受けさせるゲス野郎だが、
そんな奴でさえ娘の罪を知り複雑な表情を見せた分まだマシなのかもしれない。


  • 南京子
実は彼女自身も大津馬中学校の卒業生で、イジメられっ子だった。
当時同級生達に苛烈なイジメを受け、登校拒否に追い込まれた経験がトラウマとなっている。
教師になったのは、生徒を友達に見たてて共に卒業することで、孤独だった中学生時代を「塗り替える」のが目的であり、
故に受け持つ生徒個人個人には全く無関心で、春花のイジメの相談にまともに取り合わず、事なかれ主義を貫いていた。
その過去には同情こそすれ、だからといって自分と同じようにイジメられている春花を無視していいわけがなく、教師としては失格と言えよう*2
終盤では、妙子の遺体発見をきっかけに責め立ててきた保護者達の姿に、かつて受けたイジメの思い出が重なり、
発狂して一部の保護者に傷害を加え(実写映画版では自身の過去をカミングアウトして)逃走するが、直後に除雪車に轢かれて死亡。
雪と一緒になっちゃった。


  • 野咲祥子
その後死亡してしまった模様。
生きてほしかった…


  • 野咲春花
復讐は遂げたが、彼女が失ったものはあまりにも大きすぎた。
その後死亡してしまった模様。
生きてほしかった…





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最終更新:2024年02月22日 18:47

*1 彼女がもう少し早く、自分の気持ちを春花に打ち明けられていれば、今回の悲劇は避けられただろう。

*2 実際、春花以外の生徒やその保護者からの人望は皆無で、悪口を言われると嘔吐してしまうことから「ゲロ教師」と見下されていた。