モスラ(平成・令和作品)

登録日:2011/07/02 Thu 00:36:58
更新日:2023/11/09 Thu 17:41:20
所要時間:約 6 分で読めます





本項では平成以降のゴジラシリーズに登場したモスラを扱う。
また、コスモス、小美人については後述。
昭和のモスラはこちら、平成三部作のモスラはこちら、関連が深いバトラはこちらをどうぞ。

●目次

【シリーズ】

◇「ゴジラVSモスラ」のモスラ

新撮映像としては「怪獣総進撃」以来の登場となった。
本作では地球の先住民である「コスモス」の守護神であり、同族ではあるが過激派のバトラとは対立する関係である。

◆幼虫(ゴジラVSモスラ)

インファント島に卵が埋まっていたが、隕石落下による嵐により出現した。卵は日本へ輸送されるが、途中で船がゴジラに襲われる。そのとき卵から孵化し、ゴジラと戦う。
ゴジラには敵わなかったが、バトラの乱入により逃れインファント島へ帰る。

その後、コスモスを取り返すために東京へ上陸した。彼女たちが無事であることを確認すると戦意を収めたが、そのまま国会議事堂で繭を作る。
糸を吐く以外に目立つ能力はない。ただ、その糸はどうやら高い熱を有するらしく、ゴジラの表皮を溶かしていた。

造形は初代を担当した村瀬氏が担当し、表面は初代と同じ素材を使用した。
また、ミニチュアに使った台車の部品はもっと小型のを欲しがったが、調達が間に合わなかったとのこと。
それによって動きがかなり悪くなってしまった(ありていに言うと「這う」ことができなかった)のを、川北監督たちは嘆いていた。
後の平成モスラでは部品が調達出来たため使用したらしい。あちらでは芋虫らしい動きを表すことに成功している。

◆成虫(ゴジラVSモスラ)

繭からコスモスの歌とともに羽化。美しい翅を広げて優雅に飛翔し、同時期に復活して変身したバトラとの決戦に赴くが、空中戦では撃墜されてしまう。
その後ゴジラとバトラが戦い、バトラが危機に陥ったところを救い、彼に対してヒーリングなどを行った。
引き続きゴジラと戦い、鱗粉フィールドで圧倒するが、ゴジラの全身発光に弾き飛ばされてしまう。
それで窮地に陥ったところでバトラが助けに入り、相互に和解した二人は息の合った連係プレーでゴジラを圧倒し、ついに打ち倒すことに成功する。

最後は二人でゴジラを北極海に封印しようとしたが、突如復活したゴジラの抵抗によってバトラが喉笛を食い破られてしまう。
モスラはなんとかゴジラを封印したものの、バトラが犠牲になってしまう。
事が終わったのち、モスラは本来バトラが果たす使命だった巨大隕石の破壊を代行するため、宇宙へと旅立った。

昭和のころは羽ばたきと突風、短い脚を使っての格闘攻撃、それに毒鱗粉などを使っていたが、本作では、
  • オレンジ色の光線『超音波ビーム
  • ゴジラの熱線やバトラのプリズム光線を乱反射する『鱗粉フィールド
  • 翅から放つ黄色の雷のような技
  • 脚からの電撃
  • バトラに施した治癒能力
  • 金色のオーラをまといながら宇宙空間を高速で移動する能力
など、多彩な能力を持つ。
これによりゴジラに燐粉を撒いて熱線を乱反射させ、さらにモスラとバトラの光線を織り交ぜた強力な連携攻撃を行った。
また、絶命させることのできない相手を結界で封印することも可能。

全体的にモコモコしており、青く透き通った瞳が可愛い。

このモスラはあくまでゴジラVSシリーズのみの登場ではあるが、
のちのモスラ三部作に登場した親モスラは、外見・能力・技のエフェクト・効果音まで完全に一致している。
制作サイドとしては当初、造形物も転用したかったそうである。残念ながら痛みが激しくて不可能だったとのこと。


◇「ゴジラVSスペースゴジラ」のモスラ

「ゴジラvsモスラ」で宇宙に飛び立ったモスラが再登場(本人はライブフィルムのみの登場)。
スペースゴジラの襲来を知らせるため、三枝未希のもとにフェアリーモスラを遣わした。
フェアリーモスラは妖精に近く、任意にコスモスの姿を取る、超能力者の未希の他に目撃したものがいないなど、生命体ではないような描写がある。
なお、スペースゴジラの誕生の原因は宇宙に飛び立ったモスラに付着していたG細胞だったのではとも言われている。
ただ、モスラが宇宙に行かなきゃ巨大隕石待ったなしな上に、それが原因ならおそらく宇宙に行ったのがバトラでもスペースゴジラが誕生していたと思われるので
この二体がゴジラと交戦した時点で詰んでいたと言える。
また、アイツが原因の可能性もあるし、そもそも、何がどうしてG細胞がスペースゴジラになるんだよという話でもある。



◇「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」のモスラ

これまでと大幅に変更され護国三聖獣の一体、「海の神 最珠羅」として登場した。
恒例の小美人は登場しないが、それを思わせる不思議な雰囲気の2人の少女が並ぶ場面がある。
(そのうち1人が邪神に取り込まれかけた少女そっくりだが、多分別人)
あくまで日本の守護神であり厳密には人間の味方ではなく、池田湖にて幼虫の姿で現れた際にヤンチャしてたDQN共を糸で絡めて殺害している。(ただし、彼らによって湖に沈められそうになってた犬は助けている。)
成虫の見た目もやや鋭角的であり、攻撃方法も針を飛ばす等これまでと異なる。

ゴジラとはギドラと共に戦うが、ギドラが気絶し、ゴジラに熱線を撃たれた所をギドラを庇いダメージを負う。
その後翼が燃えながらもゴジラに奇襲を仕掛けようとするが、気付かれ熱線を喰らい爆散した。
しかし、ギドラに力が移りギドラはキングギドラへパワーアップする。





◇「ゴジラ×メカゴジラ」のモスラ

本作は『モスラ』を含めた『ゴジラ』以外の東宝特撮作品とも連続している設定。
柘植総理の回想の中で「南洋の孤島から襲来してきたこと」「この時使用された原子熱線砲を研究してメーサー殺獣光線車が開発されたこと」が語られる。

幼虫が東京を進撃するシーン、原子熱線砲が照射されるシーン、モスラが羽化して飛び立つシーンが『モスラ』のライブフィルムで描かれている。





◇「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」のモスラ

前作に引き続き、本作の世界観は『モスラ』と直結している。また『モスラ対ゴジラ』のリメイクのような面もある。

登場人物のリアクションからすると、「モスラは悪党にさらわれた小美人を助けに来ただけ」というのは世間的に認知されていないようだ。

◆成虫(東京SOS)

硫黄島の西南海域を北上中、アメリカ空軍や航空自衛隊のレーダーに捕捉され、偵察に来たF-15戦闘機と遭遇しオープニングを飾る。
軽井沢まで小美人の送迎をした後、インファント島に戻るが、ゴジラと戦うために校庭に描かれたモスラの紋章に導かれるようにして東京に出現した。
その後機龍と共に戦うが、援護に来た幼虫を庇い死亡した。

冒頭での領空侵犯時にいきなりレーダーから消失している他、防空レーダーに探知されずに東京に現れており、一種のステルス能力を持っているようだ。

基本的に「モスラ対ゴジラ」に登場した初代モスラと同じ見た目と攻撃だが、脚は長く逞しく、脚を利用した攻撃も使用した。
また、初代よりやや小型である。

◆幼虫(東京SOS)

曾孫島で孵化し、モスラ成虫と機龍を助けに上陸したが、成虫は幼虫をゴジラの熱線から庇って死んでしまう。
その後は機龍と共闘、ゴジラに糸を吐いてがんじがらめにした。
機龍とゴジラが沈んだ後は小美人と共に帰った。そう、機龍や成虫のアシストがあったとはいえまたもやゴジラに勝ったのである。
今回は『モスラ対ゴジラ』以来となる双子での登場だった。
オマケに本作では姉弟の設定がある。要はロリとショタの双子である。
機龍が飛び立った際には手を振るように触手を動かして見送った。カワイイ
また、本作は目が青から赤へ変化する。





◇「ゴジラ FINAL WARS」のモスラ

本作では成虫のみが登場。基本的には既存の作品と同じくインファント島の守護神だが、古代にガイガンと戦い敗れたという設定がある。

X星人の侵略が進む中、小美人の祈りに応えて東京へ出発した。
モンスターXとガイガンに苦戦するゴジラを救う形で現れ、二体に羽チョップで攻撃し、ガイガンとタイマンで戦闘した。
なお、ゴジラと一緒に戦ったわけではない。

多彩なガイガンの攻撃に苦戦し光線で爆発したように見えたが、事前に撃ってたガイガンのカッターの軌道を鱗粉で狂わせて自滅させ、炎を纏った体当たりでトドメを刺した。
差し違えたように見えるが、EDで帰るカットがあることと、没シーンに海に飛び込み消火する場面があることから生存している。

ミニチュアは前作の物を使用している。

◇「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のモスラ

ラドン・キングギドラとともに登場。
幼虫・成虫が登場し、蟷螂のカマや飛蝗の脚をもつという大胆なアレンジが施されている。
ちなみに幼虫の声がかなり低いのでちょっとビビる。成虫はちゃんと高めの声で鳴くので安心して欲しい。
翅にはゴジラの目のような模様があるが……。
+ !ネタバレに注意!
ゴジラとは共生関係にあり、眠りに入ったゴジラを呼びかけたり共闘したりしている。早い話がモンスターバースにおけるアンギラスである。
ちなみにゴジラの元祖相棒枠のラドンさんはギドラの相棒になっている。
そのギドラの相棒…もとい舎弟と化したラドンと激戦を繰り広げ、とっておきのカウンターを浴びせて撃退するが満身創痍。
それでもなお焼け爛れた翅を広げキングギドラに立ち向かうも
光線からゴジラを庇い爆散するが、そのエネルギーはゴジラに吸収され、バーニングゴジラに変化するきっかけを作った。
千年竜王「えっそれ俺の…」

今回は鎌のような脚を活かした激しい格闘戦を見せた。
戦った相手が空中戦が得意なタイプで鱗粉をバラ撒く戦術が取れないというのはあっただろうが、平成モスラとしては珍しい近接派である。
糸攻撃も勿論使用でき、なんと成虫も糸を使う事ができる。奥の手は尾に隠された鋭い毒針。
これでもう羽化しない方が強いとは言わせない。

本作は随所にGMKから影響を受けた設定やデザインが多いため、平成シリーズ名物の鱗粉結界やビーム攻撃は繰り出すことはなかった。
が、原語版の設定によると幼虫・成虫ともどもベータ波の生物発光、通称「God Rays」を持つ。
これは衝撃波をともなって周囲を薙ぎ払うほか、強烈な光で対象の視界を奪うことができるという。
(劇中では倒れたゴジラと交信するために、純白に光り輝きながらマークたちの前に現れるシーンがコレ)

また監督曰く、本作のモスラは輪廻転生を司る存在であり、死んでも記憶を遺伝のように引き継いで生まれ変わる性質を持つという。
かつては、それこそ歴代モスラのように双子の巫女と崇拝者達に囲まれて過ごしていたようで、人間に対して友好的な性質にはそういった理由もある模様。



「GODZILLA」3部作のモスラ


前日譚第2弾である『プロジェクト・メカゴジラ』から本格登場。
ただし、存在自体は第1弾『怪獣黙示録』で示唆されていた。

2048年、コロンビアのブエナベントゥラに追い詰められ、ほぼ抵抗のすべを失った地球連合残存勢力のまえに現れた。
鱗粉にゴジラの熱線攻撃をかく乱する力があり、自らの熱線によるダメージを受けたゴジラを出現以来初の敗走に追い込む。
同作のゴジラは核兵器無効、怪獣がこぞって逃げ出すほど絶対的な存在であり、ゴジラ相手にダメージを与えた怪獣はモスラだけである。

本来は南米大陸に住むつがいの怪獣。
2体いればゴジラを倒すか、少なくとも南米大陸を安全地帯にできた。
現に、ゴジラは南米大陸を最後まで攻撃しておらず、またゴジラ以外の大型怪獣もガバラのような小物しか出現していない。
しかし1体が先にゴジラと戦って敗死してしまい、単体ではさすがに不利であるため、ゴジラを一時撃退することと引き換えに地球連合残存勢力に卵の脱出への協力を求めたのであった。
人類に比較的友好的で、現地にはモスラを神と崇める部族がいる。(ゴジラ以外も、人類の都市に引き寄せられるように上陸する怪獣が多い)

2万年後、フツアと呼ばれる地球人類の末裔が富士山麓近辺でモスラを崇めている。
ただし、卵の状態であり、作中では孵化はしていない。

◇「ちびゴジラの逆襲」のちびモスラ

CV:高橋李依
大人しく控えめな性格で人見知りだが、基本他のちび怪獣達とは仲が良い。
だが悲しくなって泣き出すと毒鱗粉を撒き散らし、周囲のみんなを苦しめてしまう。


【小美人】


双子を起用していた昭和時代と違い、小美人役の女優二人はいずれも血縁関係のない普通の共演関係となっている。

◆「ゴジラVSモスラ」の小美人

本作では地球の先住民『コスモス』という存在である。
インファント島に来て、モスラの卵を発見した藤戸拓也たちにモスラの言い伝えを伝え、モスラの卵と共に日本に向かう。

モスラはインファント島へ帰ったが、コスモスは日本に連れ去られ二転三転する。
中盤でなんとか手塚雅子たちに救われ、モスラもなだめることに成功してからは拓也たちと行動を共にし、最後はモスラと共に宇宙へ旅立った。
ラストでは彼女たちもゆっくりながらも浮遊できることや、光になってモスラの触覚に宿る場面が描かれている。

「ゴジラVSスペースゴジラ」でもフェアリーモスラと共に登場、未希にメッセージを伝えた。

演じたのは東宝シンデレラ入賞者の今村恵子と大沢さやかである。

劇中歌 「モスラの歌」
    「マハラ・モスラ」
    「聖なる泉」


◆「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」の小美人

演じたのは大塚ちひろと長澤まさみである。
見た目は違うが『モスラ』の小美人と同一人物であるような言動が見られる。
一方で「私たち一族」と表現するなど別個体である節もあり、判然としない。
また、ヒオとマナという名前がある*1

念力でプラモデルやバックパックくらいのものを浮かせることができる他、
太平洋上の曾孫島から東京の地下通路に短時間で移動するなどかなり神出鬼没。
もし悪徳商人に捕まっても自力ですぐ逃げられるだろう。

モスラと共に中條博士の別荘に現れ、「ゴジラの骨から戦いの道具を作り出したのは大きな過ちである」「死者の魂に人間が手を触れてはいけない」と主張。
機龍のメインフレームになっている初代ゴジラの骨を海へ返すよう要求し、その代わりにモスラがゴジラと戦うと伝えた。

この時、中條博士や瞬には好意的に接していたが、特自の一員=ゴジラの骨を戦いの道具にした張本人である義人には睨みつけるなど露骨に態度が悪い

機龍が出撃した際には愕然としていたが、モスラを助けるためだと悟ったのか機龍の修理に向かう義人を手助けしている。

ゴジラがモスラの糸で雁字搦めにされた際には、改めて関係者全員に死者=ゴジラの骨を眠らせるべきと説得。
機龍がゴジラ諸共日本海溝に沈んだ際には、過ちを認めた人間の勇気に感謝の意を伝え、モスラ幼虫と共に去っていった。
ラストで台無しになったが

劇中歌 「モスラの歌」


◆「ゴジラ FINAL WARS」の小美人

演じたのは前作と同じたが、世界観が違うため別人である。
古代のモスラとガイガンの戦いを尾崎達に伝えと共に十字架状のお守りを渡した。
その後はインファント島で祈り、モスラを日本へ遣わせた。

小美人の登場する作品では非常に珍しく歌がない。


◇「ちびゴジラの逆襲」の小美人

CV:上田麗奈(姉)/鬼頭明里(妹)
ちびモスラにつきそう双子の姉妹。
衣装は素朴なものだが、姉妹揃って現代のギャルっぽい性格をしており口調も砕けている。
コミュニケーション下手なちびモスラに代わり彼女の意思を代弁する…のだが
内容を勝手に改ざんするため当のちびモスラからは困惑されてしまう始末。




【余談】

平成モスラは擬人化される時、バトラと一緒にされる時が多い。

実は昭和、平成シリーズを通じて幼虫だけならゴジラに無敗だったりする。
ところが成虫になると途端に勝率が低下し92年版を除いて全敗(92年版もバトラとのタッグによるものなので単独では勝てていない)だが、いずれも敗因が幼虫(仲間)を庇う、寿命等理由があったりする。
幼虫の方も無敗とは言っても、昭和シリーズではゴジラと勝利した双子の片割れはゴジラ戦の負傷により死亡しており、92年版はバトラの乱入により逃げ切った結果であるなど、ゴジラに対して無条件で勝っているわけではない。



追記・修正は校庭にモスラのマークを描いてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ゴジラ
  • モスラ
  • バトラ
  • コスモス
  • 小美人
  • 東宝
  • 映画
  • 特撮
  • 怪獣
  • 東宝怪獣
  • 平成モスラ
  • 真のヒロイン
  • 昆虫怪獣
  • 優等生
  • 護国三聖獣
  • 海の神

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月09日 17:41

*1 大塚ちひろが演じる、右腕に腕輪をつけているのがヒオ。長澤まさみが演じる、左腕に腕輪をつけているのがマナ。