魔轟神(遊戯王OCG)

登録日:2011/02/06(日) 14:18:25
更新日:2024/03/14 Thu 15:38:40
所要時間:約 63 分で読めます






激化する原住種族と侵略者との戦いの最中……

遠き神話の時代より封印されし神々が復活を果たす――

―神・魔・轟・臨―



■概要

魔轟神(まごうしん)とは、デュエルターミナル第4弾、『魔轟神復活!』より登場した種族群。

全てのモンスターが光属性悪魔族という奇妙な組み合わせの種族・属性をしているのが特長。
が合わさって最強に見える……を地で行く存在。

また、魔轟神の使役する神獣として光属性獣族の『魔轟神獣』も存在する。
もちろんそいつらも魔轟神の種族群として見られ、魔轟神という名に関わる効果にしっかり対応している。(ただし種族の違いに注意。)

DT出身テーマの中ではA.O.Jおよびジェネクスと並んでモンスターしか存在しないテーマとなっており、
その中でも唯一「効果モンスターしか存在しない」テーマとなっている。
元々DTのシステム上、DT出身テーマはモンスターが主体であることが多く、
全体的に魔法罠のサポートカードが少ないテーマが多いとはいえこれは極端である。

魔轟神の全てのカードが「手札に関係する何らかの効果」を持っており、
  • 手札を捨てて効果を発動するもの、
  • 手札から捨てられた時に効果を発動するもの、
  • 手札の枚数によって効果を発動するもの
大別すると以上の3つに分けることができる。
2番目の手札から捨てられた時に発動可能な効果はコストによって捨てても発動する。
類似効果を持つ暗黒界は効果によって捨てないと発動しないので勘違いに注意。

魔轟神はチューナーを特殊召喚する方法が豊富で、シンクロを行うことでアドバンテージを回復する方法を持つことから、
基本的な戦術としてシンクロ召喚を中心に用いることが多い。
特にブン回った時には、飽きるまで延々とシンクロを繰り返すことができ、気が付いた頃には場には訳の分からん凶悪なモンスターが並ぶことになる。

このような性質から、魔轟神は某のごとくソリティアのために生まれたようなテーマであり、
その独善的で一方的な面白さは多くのプレイヤーを虜にしてきた。
そして、そのあまりにも長過ぎるソリティアは対戦相手を飽きさせるには十分であり、
時には「壁に向かって一人でデュエルしてれば?」とブチ切れられることすらあるテーマである。


■デュエルターミナル世界での活躍

原住種族とワームとの争いによって目覚めた、その惑星に封印されていた古き神々という設定。

復活以後は第三勢力として暗躍を開始した模様。

それまでワームの被害がなく平穏に暮らしていた原生生物のジュラックの住む地の近くに復活した。
そのためジュラックは魔轟神からの被害を最も強く受けたらしい。

復活を遂げた次の弾、『混沌の覇者!』においては、魔轟神の復活によって原住種族達は混乱、裏切りなどといった乱れが生じ始める。
それが理由か、その弾ではA・O・Jは登場していない。
この頃の魔轟神は気紛れに戦地に現れては無差別な破壊を行い戦況を混乱させ、戸惑う原住種族達を嘲笑っていた。
暫くはデュエルターミナル世界の悪質なトリックスターというべき存在だったようだ。

本格的に行動を開始するのは第7弾以降。ワーム亡き後、魔轟神獣を使役し惑星の征服にのりだす。

後年発売されたデュエルターミナルマスターガイドによれば、
魔轟神達は"混沌の門”の先にあるというDTの舞台となっている地上界とは異なる世界である魔轟神界に住んでいるという。
この魔轟神界は第一階層『魔界』・第二階層『轟界』・第三階層『神界』という3つの世界に分かれており、
階層が下に行くに従って地位や役割が高い存在が住むようになっている。

このため使役される立場にある魔轟神獣が魔界、通常の魔轟神が轟界、シンクロモンスターが神界にいる。
とはいっても、『魔轟神ルリー』など、地位の低い魔轟神には魔界に住んでいるものも。


設定上は1つの軍隊のような存在なのだが、神界に住む奴ら(レイジオン、ヴァルキュルス、レヴュアタン)の間には常に裏切りと策謀が渦巻き、轟界に住む奴らは奴らで神界に行くために手柄を立てるために躍起になっていたり裏で下剋上を画策していたり、魔界に住む魔轟神獣達は楽しく遊んで……げふんげふん地上を侵略せんと日々その恐ろしい牙を研ぎ続けていたりする。
……という感じなので、ひたすらギスギスした悪い雰囲気の環境。
魔轟神や魔轟神獣のイラストに写っている子鬼のような生物「魔轟鬼」だけは各世界を自由に行き来することができ、魔轟神たちはこの魔轟鬼を使い、下剋上をたくらむ下位の魔轟神が居ないか監視している。
イメージ的にはスーパー戦隊の敵勢力が近そうな雰囲気である。特にこれとか。



■OCGにおける魔轟神


~下級モンスター~


チューナー






非チューナー











~上級モンスター~



~最上級モンスター~



~シンクロモンスター達~





~魔法カード~


~罠カード~



■魔轟神デッキの紹介















■魔轟神のあれこれ

以上のように、魔轟神は時として全盛期シンクロアンデを彷彿とさせる圧倒的展開力、
大量消費した手札を回復するためのギミック、そして強力な除去まで揃った超万能テーマである。
未だに現実的な確率でクェーサーを3体並べられるギミックを搭載できるのは魔轟神位のものだろう。

しかし、実は魔轟神は騒がれるほどの戦績を納めておらず、使用者も少数。
現在はオワコン扱いで蔑ろに扱われることも多い。


この理由をいくつか紹介しよう。

1.カードがどれも高かった(過去形)

まず真っ先に挙がる理由としては、
ターミナル種族故に、入手困難なカードが大半を占め、
3枚積みを推奨されるカードがやたら高い。しかもそれが複数種類あるとなると……。

さらに強力なシンクロモンスターは大抵採用可能であったため、
エクストラデッキの費用もプレイヤーを圧迫する要因となったのも見逃せない。

今でこそクロニクルによる再録のおかげでたいへん安価で組めるようになったが、
かつては金持ちの道楽としての側面が割と強かった感は否めない。


2.あらゆるメタにもれなく引っかかる脆さ

次に、どんな環境だろうがとりあえず一通りのメタ要素にもれなく引っ掛かる脆さが挙げられるだろう。
貴方のデッキのサイドボードを確認してみてもらいたい。大抵の物は魔轟神に刺さるはずだから
魔轟神はサーチ・ドロー・特殊召喚・墓地再利用・手札誘発・場での起動および誘発効果・効果モンスター・魔法カードの多用
などなど、あらゆる事ができる反面あらゆる妨害が効いてしまうというとてつもない弱点を抱えているのだ。
そのため、


  |l、{   j) /,,ィ//|     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  i|:!ヾ、_ノ/ u {:)//ヘ     | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
  |リ u' |  ,ノ _,!V,ハ |     < 『おれは環境トップのデッキを対策したと
  fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人.    |  思ったらいつのまにか魔轟神も対策していた』
 ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ   | 激流葬だとか奈落の落とし穴だとか
  ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉.   | そんな汎用なもんじゃあ 断じてねえ
   ハ !ニ⊇ '/:)  V:::::ヽ. │ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
  /:::丶'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ \____________________

なんてことになる。相手プレイヤーが。
試しに魔轟神相手にD.D.クロウや月の書の1発でもかましてみるといい。大抵その瞬間ゲームが終わるから。

特にトリシューラを出されたら敗北確定
普通のデッキでもいくつかのキーカードが飛ばされて動きにくくなる甚大なダメージを受けるが、特定のキーカードとカード枚数が動きに直結する魔轟神では死に直結するも同然なのである。
本来は魔轟神を滅ぼすために現れたのだ。魔轟神はほかのどのデッキよりもこのカードの効果が響く。


3.常に環境に依存する強さ

魔轟神は専用サポートカードが一切存在しないテーマであるとは述べた。
すると魔轟神が活躍するためには必ず何かしらの汎用カードなり他テーマとの折衝が図られることになる。
ストーリー上では魔轟神だけで多種族を滅ぼそうとしていたが、OCGで使う上では他者の力を借りないと生きていけない弱い子なのだ。
更には大体なんでもできるため、大体アドが取れそうな汎用カードやアドが取れそうな他テーマのカードだったら割とすんなり組み込める。

…だが魔轟神が取り込めるカードということは汎用性に優れたパワーカード、つまり環境的に真っ先に規制される奴といって過言ではない。
この結果発生したのがDT「トリシューラの鼓動」発売からおよそ3年半続く、常に弱体化され続け強化がほとんどなされない魔轟神冬の時代である。

汎用カードで言えば、生還の宝札やブリューナク・トリシューラに始まり、貪欲な壺や一時休戦、
他テーマとの折衝と言えば、植物魔轟神におけるロンファバルブやゼンマイ魔轟神におけるゼンマイティその他
何か新しい型を発見する度にそれを否定するかのように何かしらのカードが規制されていくのである。
その光景は目を覆わんばかりであった。

このため逆に2chの魔轟神スレ民などはあまりに弱体化されることに慣れ過ぎて、トリシューラが帰ってくると聞いて混乱してしまうレベルだった。


4.最高に難しい構築

そもそも魔轟神及び関係の深いカードを一通り見てわかる通り、1枚でデッキの動きを安定化させるカードがないことがわかる。
これ、遊戯王のデザイナーズデッキ*1としてみた場合はかなり異例のことであり、大抵はテーマを越えた特定分野全般のサポートである「増援」や、テーマサポートでなら「E・HEROエアーマン」に相当するような、
単体でも柔軟に動けるカードが多かれ少なかれあるものなのだが魔轟神には一切ない。あってもかなり限定されたカードのみのサーチだったり、2枚以上のカードを組み合わせて機能するのしかない。

そこへ追い打ちをかけるように魔轟神は「100人が魔轟神デッキを作ったら90種類の全然別のデッキが生まれる」くらいに多様性のあるテーマである。


つまり、基本的な動かし方とかはあるものの、初動の動きはおろかデッキのテンプレなんてあってないようなもので、
基本的に魔轟神は膨大なカードの中からどういう展開をするかを考えて構築しなければならない。

仮に上手く構築できたとしても初動を安定化させる手段がない以上、魔轟神は引いてきたカードを綱渡り的に使って行くケースバイケースなテーマ、そこに安定性など皆無だ。

かといってたった数枚から、ひっくり返しづらい場を作れるわけでも、ワンキルを確定させられる訳でもない。
常に大量消費して綱渡りして運が良ければクェーサー以下怪物が並ぶだけ。そうでなければ負けるだけ。

「なんか時間かけて色々ぐるぐる回してたけど結局出てきたのはプレアデス1枚だけだった」

これは魔轟神の弱さを的確に表した言葉だろう。魔轟神は何でもできるが何にもできない。できる可能性はあってもどこまで行ってもドローに左右される。
あれだけ完璧だと思ったコンボも大抵は必要枚数の多さ・準備の大変さから常に事故と隣り合わせ。
決まってもそれはゴール無き綱渡りのたったの一歩。

しかし、そんな綱渡りのスリルがあるから人は魔轟神を手に取ってしまうのである。
ヒリヒリ焼きつくようなそういうソリティアを求めて(相手からしたらたまったものではないが)

こういうある意味満足以上に「こんなんじゃ満足できないぜ」を地で行くテーマのため、真面目に構築が難しい。
特に「15枚のエクストラを決められない病」にかかるのはまず誰もが通る道である。
魔轟神は大量展開からのシンクロ・エクシーズの取りうる戦術の豊富さ故に理想的な動かし方を設定できない。
そして例外的な状況が多く発生するため、事故防止のために色んなカードを積みたくなってしまうのだ。

また、魔轟神はその性質上ソリティア色が非常に強いため、
一人で調整をしていると知らぬ間にどんどん成功率の低いワンキルにデッキが傾いてくると筆者は自認している。
このため、デッキ調整には他のデッキ以上に他者の協力が必要なのだが、
ソリティアっぽい動きになってひたすら時間がかかってしまい相手に嫌な思いをさせるという事も多く、中々に難儀なテーマとなっている。

しかしその美麗なイラスト、独特な動き、圧倒的な展開力に魅了されたデュエリストも多く、
ハマる人はとことん魔轟神達に踊らされる。魔の神々の恐ろしさたるや……。


■魔轟神の最期

レヴュアタン「チクショオオオオ! くらえドゥローレン! 新必殺魔轟神斬!」

ドゥローレン「さあ来いレヴュアタンンン! オレは実は一回殴られただけで死ぬぞオオ!」

ドゥローレン「グアアアア! こ、このザ・氷結界の安全装置と呼ばれる虎王のドゥローレンが……
       こんな破壊耐性もないモンスターに……バ……バカなアアアアアア」

ドゥローレン「グアアアア」

ライホウ「ドゥローレンがやられたようだな…」

グルナード「フフフ……奴は氷結界シンクロモンスターの中でも最弱……」

ガンダーラ「魔轟神ごときに負けるとは氷結界の面汚しよ……」

レヴュアタン「くらええええ!」

3人「グアアアアアアア」

レヴュアタン「やった……ついに虎と名の付いた4体を倒したぞ……これでトリシューラのいる氷結界の扉が開かれる!!」

トリシューラ「よく来たな……魔轟神レヴュアタン待っていたぞ……」


ギイイイイイイ


レヴュアタン「こ……ここが氷結界だったのか……! 感じる……トリシューラの魔力を……」

トリシューラ「レヴュアタンよ……戦う前に一つ言っておくことがある。
       お前は私をシンクロ召喚するのに『氷結界の鏡』が必要だと思っているようだが……別になくてもシンクロできる」

レヴュアタン「な、何だって!?」

トリシューラ「そしてお前のグリムロはやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた。あとは私を倒すだけだなクックック……」

レヴュアタン「フ……上等だ……オレも一つ言っておくことがある。
       なんか企んでるミーズトージのジジイ、クルスやクシャノに伏線があるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」

トリシューラ「そうか」

レヴュアタン「ウオオオいくぞオオオ!」

トリシューラ「さあ来いレヴュアタン!」


レヴュアタンの勇気が世界を支配すると信じて……!

無理でした(てへっ

ご愛読ありがとうございました!



追記・修正は魔轟神の暗躍(ソリティア)を阻止してからお願いします。

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最終更新:2024年03月14日 15:38

*1 開発者がある程度特定のカード群でのみ機能するコンボやシナジー意図して作られたもの