風見一姫

登録日:2012/01/31 (火) 22:52:22
更新日:2024/02/20 Tue 02:28:15
所要時間:約 12 分で読めます




さてさて、周囲は草も生えない岩場、周りを囲む壁は構造的に這い上がるのは不可能、進める先は人を拒絶するような密林――

携帯も通じないし、方位磁石すら機能しない。申し分ない“遭難”ね。

面白くなってきたわ



フロントウイングより発売された18禁アダルトゲームグリザイアの果実』及びその続編『グリザイアの迷宮』の登場人物。

原画担当:フミオ
CV:青山ゆかり/友永朱音

グリザイアの果実の主人公・風見雄二の実姉にあたる人物ではあるが、本編開始時には既に故人となっているため本編に登場する事はない。
しかし、現在の風見雄二という人物の人格、立場等の形成に深く関わった存在の一人であるため、作中でたびたびその人柄について言及されている。
また、とあるヒロインの過去にも関わっており、またそのヒロインのルートの過去編に於いて登場するため、立ち絵も一通り存在している。
当時の所属は私立滝園学園1年A組でバスケ部。

尚、名前の読みは「いちひめ」や「いちき」ではなく「かずき」。念のため。



□外見

身長:150cm
スリーサイズ:B76/W57/H78

長い銀髪に赤い目の女性。
上記のスペックデータから非常に華奢で小柄な体躯であることが解るが、
超然とした物腰で、時には冷徹とも言える様な判断を何の躊躇いも無く下すため、見るものにその外見とは違う意味での安心や恐怖を与える。
良くも悪くも存在感のある人物。
常に不機嫌でアンニュイな表情や、上記の様な存在感と性格も相まって友人は殆どいない。
が、表情については自覚があるのか、指摘された時は鏡の前で「笑顔の練習」をしていたらしい。
小柄な見た目を裏切らず、身体能力に関してはそう高くない他、食事も少食。



□特徴、人物

冷静であまり物事に動じない。
物や人に対して執着せず、自分にとって不要なもの、不利益になるものは躊躇無く切り捨てられる。
時に一般人が道徳的な側面から忌避するような言葉、行動もためらわず言い、行う。
利己的で余り他人に対して感情を抱かないが、弟である雄二のみ例外。雄二の事を溺愛と呼べる程に愛しており、その溺愛っぷりは正に「目に入れても痛くない」。
具体的にどの程度溺愛しているかと言えば、
まだ幼い弟に対してディープキスしたり、一緒に寝てチンコの皮剥いて遊んだり、あまつさえ一緒に風呂に入り、自分の性器で性教育を行う程度。
ちなみにこれらの行動に対して風見姉弟の母親は、

「外ではやらないように」

の一言で済ましたらしい。


俗に「天才」と呼ばれる部類の人間。それは本人も自覚しており、作中では何度か自分を天才だと言っている。
ただし、他人に自身の事を天才と呼ばれる事を嫌う。曰く「馬鹿が自分の事を馬鹿と呼ばれるのを嫌う」のと同じ理由だとか。
そして意識的か無意識的か、他人を見下す傾向にある。前述の通り、あくまで(弟の事を除けば)利己的な人種。

また、外見について常に不機嫌でアンニュイな表情と記述したが、これも彼女の天才性に因る。
彼女の脳内には絶えず思考する複数の仮想人格が存在しており、
臆病な一姫、攻撃的な一姫、冷静な一姫、子供のような一姫、貪欲な一姫、男のような一姫、好色な一姫、陰湿な一姫、嫉妬深い一姫等、
多くの「一姫」が脳内で相談しあって、そのトータルな結果として「気怠げな一姫」が表に出ているのである。

見ているものを写真の様に絵として記憶できる特殊な脳の持ち主。
ただし絵としては記憶していても意味としては理解していないため、脳内に未読の本が多く存在する。作品登場時には144冊の本を未読状態で記憶していた。
また、特殊な記憶の弊害で、記憶の整理のために睡眠時間が他人に比べ多く、
通常の睡眠に加え午後2~3時には15分程度の午睡や、更に不規則な1~2分の睡眠時間を持つ。時には立ったまま寝る。


得意技はつまらない冗談。


以下、ネタバレ注意



















□作中の活躍

周防天音ルート過去編「エンジェリック・ハゥル」にて登場。

○エンジェリック・ハゥル時

本編開始より6年前の8月14日に起こった遭難事故「滝園学園マイクロバス転落事故」の犠牲者の一人で周防天音の親友。

滝園学園マイクロバス転落事故についてざっくり説明すると、
合宿帰りの滝園学園バスケ部のマイクロバスが旧道を走っていた時にタイヤがパンクし崖から落下、そのままの森へ転落、生徒13名と男性教諭1名が行方不明となり、
16日後、単独で森を脱出した周防天音を除く13名が死亡した、というのが世間的に知られている部分。以下空白の16日間について流れのみ説明。


バス転落により3名が死亡するが、その後は閉鎖状態故の小さな確執はあれど比較的小康状態を保つ。
事態が決定的に動き出したのは転落12日目。学生の一人が飼っていた犬が死亡し、多くの生徒が口をつむぐ中、一姫が死亡した犬を食べる事を提案、受け入れられる。
13日目には犬の飼い主で生徒の一人「小森めぐみ」が不用意に花の芽を食し倒れる。
14日目、転落時の骨折が元で「広岡たまき」が死亡。
15日目、広岡同様転落時に腹部に傷を負った「桜井美冬」が敗血症により死亡、寝込んでいた小森が精神の摩耗から首吊り自殺。
同日、部長の「坂下千秋」と教諭の「越智義彦」が野うさぎや鹿を捕まえ、その肉を生存者にふるまう。
ただし、一姫はある理由から、天音は「一姫が食べないのに自分だけ……」との罪悪感からこれらの肉には手を出していない。

そしてこの夜、一姫は天音と共に森からの脱出を決行。その途中、天音に「坂下と越智の真実を見せる」と語る。
そうして一姫に連れられて森に踏み入った天音は、遠くで情事に耽っていた坂下と越智――そして彼らの足下に散らばる、バラバラにされた人間の手足を発見する。
ここにきて初めて、2人が取ってきた「野うさぎや鹿の肉」=死んだクラスメイトの人肉であると知ってしまった天音は、思わず悲鳴を上げてしまう。
その悲鳴を聞きつけられ、天音・一姫以外の生存者――「食人の禁忌を犯した者」=狂気に奔った「鬼」たちに追い掛けられるなか、
一姫は自らが囮になることで天音を逃がした。
泣きながら逃げる天音が振り返ったときに最後に見えたのは、一人、「鬼」たちに取り押さえられている一姫の姿だった。



○エンジェリック・ハゥル以降

本人は既に死亡しているため登場しないが、天音への一姫からのメッセージが事故現場に残されていることが判明し、
天音ルート終盤では雄二と天音は一姫のメッセージを探すために再び事故現場へと向かうことになる。
そうして天音が発見したメッセージの内容は以下の通り*1


  • 天音が逃げて以降の「鬼」たちの死因は病死。骨折からくる病気により体内に毒素を精製した広岡、その肉を食したのが発症原因。*2
  • 弟を支えてくれるようにとのお願い。
  • 生きていたら、またいつかどこかでお会いしましょう。
  • メッセージが入っていたクーラーボックスには、囮になった一姫が所持していたはずの包丁も何故か入れられていた。



□その他

ここまで読んだ人は解るだろうがこの風見一姫、ぶっちゃけ生死不明
  • 後の現場検証にて13人分の遺体が発見されるが、余りに猟奇的な惨状に目を取られ、遺体それぞれのDNA照合は行われないままだった
  • 遺体の中から一姫の頭部が見つかっていない
  • そもそも天音は一姫が明確に死亡したシーンを見ていない
……などが、そうした曖昧な状況を物語っている。
ファンの間では、作中でたびたび話題に上がる謎の人物「地下室の犯罪者」が一姫ではないか?という考えが一般的。


そして続編の『グリザイアの迷宮』では雄二と一緒にいるCGがあったり、OPアニメにてバスの上で黒幕座りをする一姫が映ったり、
天音が死んでいるはずの一姫宛てに出した「一姫の宛名だけを書いた、宛先が未記入なために送り返されるはずの手紙」が返ってこないことなどから察するに、
生存を匂わせる描写がちらほらと見られる。

また、同作内のコンテンツの一つ、雄二過去編「カプリスの繭」にて(雄二の回想という形でだが)その天才性と溺愛っぷりを遺憾無く発揮した他、
同じくコンテンツの一つ「ショートショートストーリー」にて

コントやね

という迷言を生み出した。

そして完結編『グリザイアの楽園』にて…

以下、更なるネタバレ注意



















こんにちは、タナトスです


とまあ2度もネタバレを挟む時点でそう言っているようなものだが、形はどうあれ生存確定。
グランドルート「ブランエールの種」にて登場。
結論から言えばあの事故からは紆余曲折あり五体満足で生還したのだが、
彼女に目を付けた『市ヶ谷』の研究者が情報管理型次世代国家防衛装置「タナトス・システム」*3の根幹の1つである半生体コンピュータとして彼女の脳を利用した。
彼女の脳、そしてその複製体10基によってタナトスは稼働開始することとなる。

その際に記憶はシステムに悪影響を及ぼすとして封印されたのだが、
後にある研究者…というか雄二の元同僚であるロビーの手により意図的に開けられたセキュリティホールから記憶を回収。
タナトスのシステムとしてながら風見一姫は復活を遂げることとなる。
本編中でしきりに「記憶を持っているだけの別人」ということを強調したがる(そのためゲームではほんの少しだけ一姫と演技が違う)が、
その実性格やら会話の調子はほぼ本人であり天音にもその点を突っ込まれている。
まあその天音もタナトスが他人を装っていたせいもあってか実際に面会するまで「どっかで聞いたことある」程度の認識だったが。

このタナトスこそが市ヶ谷の『地下の天才犯罪者』『教授』である。まあつまり大方の予想通り。

雄二が市ヶ谷に幽閉された後は立体映像ではあるが雄二と再会し昔話に花を咲かせたり、
ヒロイン軍団に雄二奪還作戦の手ほどきをしたり保険のために様々な人物に連絡を取ったりと暗躍。
ただしその暗躍がメインシステムに発覚し、複製体によって彼女そのものが消去されそうになる。
そこでジミー………と名前を変えていたロビーに依頼し、本体である脳をシステムから切り離し回収するという作戦に出る。
回収役であるJBが到着した時そこにあったものは…



カプセルに入った風見一姫本人であった。

身体全体を保存したほうが脳だけの状態より扱いやすいとの理由でこうなっていたのだが、
脳だけの存在だと思っていたであろうJBとプレイヤーの度肝を抜くこととなった。長いことカプセルに入っていたため容姿は当時とまったく変わっていないが、骨折していた左手は義手となっている。
その後はJBによって回収され、最終合流地点である潜水艦伊号にて雄二を奪還したヒロインズとも合流。
当然天音は号泣ししばらく彼女から離れようとしなかったが、「弟の嫁は働き者がいい」という言葉で追い払う。

その後船上で雄二と本当の意味で再会し、麻子が残した島に逃げ込むかオスロと決着をつけるかの選択を迫る。
彼女の予想通り雄二はオスロと決着を付けることを選ぶのだが、その際オスロの場所を調べるお願いのし方をゴネた結果…

ブチッ
雄二「段々イラついてきた…」

色々経験してきた雄二により「めんどくせえ女を黙らせる方法」を実践されることになる。

雄二を見送った後は自分もオスロが仕掛けた爆薬を解除したり、タナトスシステムを停止させるためにまた暗躍する。
そうして事を済ませたのちに、天音に対してだけに、衝撃の告白をする。

以下、グリザイアシリーズ最大のネタバレ注意































あの子が、師匠である日下部麻子に貰った恩を他人である貴女たちに返していったように


あの子が生きて、蒔き続けた種は、いつか花が開き、果実を成す


そうして実った果実は、自分がしてもらったことを今度は他人に返していこうと立ち上がり、再び種を蒔く


それこそが今回の”ブランエール計画”の核心である”楽園”で、あの子が渇望しながらも諦めていた物の正体



所詮この世には楽園なんてない


なければ作ってしまえばいいのよ、簡単なことだわ


これは、たった一人の弟の為に、世界を作り変えようとした馬鹿な姉の壮大な野望なのよ







雄二が美浜学園に編入し、学園生達を救い、彼女たちに救われ、そして今まで雄二に助けられた者達全ての想いと共に過去との決着を付ける…
その全て、つまりグリザイアシリーズの全てが、雄二に”楽園”を知ってもらうために彼女が仕組んだ計画なのである。
ブラコンここに極まれりである。

以下、割とどうでもいいネタバレ












義手はただのオモチャで五体満足でした。
アフターにも登場。隙あらば雄二を(色々な意味で)頂こうとする姿勢は変わらない模様。
失踪前の一姫と交流のあった天音と雄二を除いては未だに「タナトス」として認識されている様子。本人もそれを否定する気は全くない。

新シリーズのファントムトリガーにも「タナトス」として登場する。


「この項目が建てられる事も、こうして貴方が項目を見ることも、そして貴方がこの時間に追記、修正することも、私の中では全て想定内よ」

「どう? 一応、天才風に格好良く決めたつもりだったのだけれど……」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • グリザイアの果実
  • サブヒロイン
  • 天才
  • ブラコン
  • お姉ちゃんの性教育
  • アンニュイ
  • 故人
  • 青山ゆかり
  • 友永朱音
  • 風見家の唯一神
  • 70点
  • IQ180
  • 銀髪
  • 風見一姫

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月20日 02:28

*1 ただし、分岐の都合ゲームでは天音BADでしか明かされない。メディアミックスでは多少アレンジされてBADルートに行かずとも分かるようになっている。

*2 実はこれは一部嘘。本当の真実は楽園で分かる。本当の真実を書かなかったのは天音を気遣ってのことらしい。

*3 簡単に言うと世界中の情報覗き見し放題システム。「タナトスさんは何でも知っている」との弁だが実際間違っていない。