平成狸合戦ぽんぽこ

登録日:2012/11/10(土) 02:44:30
更新日:2024/01/16 Tue 01:07:22
所要時間:約 8 分で読めます





タヌキだってがんばってるんだよォ。



平成狸合戦ぽんぽこはスタジオジブリ制作の劇場アニメ作品。
正式なタイトルは『総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ』。
原作・監督・脚本は高畑勲。
1994年7月16日公開。

スタジオジブリ作品と言うこともあって、そこそこの頻度で日本テレビの「金曜ロードショー」で放送されている。

テーマ曲は「上々颱風」の『アジアのこの街で』と『いつでも誰かが』。


【あらすじ】

緑豊かな里山の多摩丘陵では、タヌキ達が平和に暮らしていた。

しかし、高度経済成長の波に乗った人間達は多摩丘陵を切り開き、「多摩ニュータウン」の開発を始めてしまう。
徐々に生活の場が奪われていくことに危機を覚えたタヌキ達は、長らく廃れていた「化学(ばけがく)」を駆使して、人間達に戦いを挑む事を決意する。

不可思議な現象を引き起こして人間達を畏れさせようとするタヌキ達は、生きる場を取り戻すことが出来るのか?


【登場キャラクター】

◆正吉(影森の正吉)
真面目で冷静な性格の若い狸。
幼少期は父に人間へ近づくのを注意される傍ら、人間と接触することを咎められずにいたので人間に対して興味を持っており、あまりに考えも人間に近いためか「まるで人間のようなやつ」とか評価されている。
変化の腕はかなり優秀。
最終的に様々な経験を経て共存すべきと訴える穏健派のリーダー的存在となった。

落語家、実力派の声優が集った今作では演技力にちょっと難がある。
CV:野々村真

◆鶴亀和尚
ぼたもち山万福寺に住み着いている105歳の老狸。
中心人物として人間に対する作戦を立案したりもしているが、命を奪った形となった際は手厚く供養したりなど僧のような一面を見せている。
CV:5代目柳家小さん

◆おろく婆(火の玉のおろく)
赤い着物を着た狸のおばあさん。若手狸の変化の講師を担当する。掟に対して人一倍厳しい人物であったが、考えも変わりに自分から掟を破る覚悟を決めていた。
CV:清川虹子

◆権太(鷹ヶ森の猛者 権太)
血の気が多い狸で、狸達の中でも一番の過激派。
故郷の森を奪われたことをきっかけに人間を激しく憎むようになる。
妖怪大作戦の失敗を受けて人間への抵抗が落ち着いてしまったことから有志を募って実力行使に出るも、機動隊との闘いの最中で壮絶な戦死を遂げた。
彼の墓石には、彼がいつも着ていた赤い服が掛けられている。
CV:泉谷しげる

◆青左衛門
鈴ヶ森の長老。権太とは元々縄張り争いをするライバル関係にあった。
権太とは逆に穏健派となり、人間として生活する内に狸としての心意気を忘れてしまっただけでなく不動産業(しかも森林開発)にて大成していたり、作中でもちょっといただけない行動・言動が多いまさしく狸オヤジ。
CV:三木のり平

◆ぽん吉
正吉の幼馴染で、変化できない普通の狸。
怠け者だが、温厚で狸らしい性格をしている。友情にも厚く、最後まで正吉を信じて共に行動していた。
変化はできないものの、太三朗による死出の旅には同行せずに生き延びている。
CV:林家こぶ平(現・9代目林家正蔵)

◆文太(水呑み沢の文太)
佐渡の長老狸「二つ岩団三郎狸」を訪ねて旅立つ。いかにも男らしいガタイのいい狸。
CV:村田雄浩

◆玉三郎(鬼ヶ森の玉三郎)
四国の長老狸達を訪ねて旅立つ。今作きってのハンサムな狸。
旅の中で六代目金長に師事し、大作戦後に徳島に戻る師匠についていくことを選んだ。
おそらく七代目として神社を継ぐものと思われる。
CV:神谷明

◆佐助
眼鏡をかけたインテリ風の変化狸。
都会の横断歩道でパニックになったあたり少し気弱。
CV:林原めぐみ

◆おキヨ(縁切り寺のキヨ)
正吉の妻となる狸。
正吉と同じく人間に対しては友好的で、亡くなった祖父の毛皮が立派な物として高値で売られたことを誇りに思っている。
正吉と同じく、変化の腕前はかなりのもの。
CV:石田ゆり子

◆花子
ポン吉のガールフレンド。
CV:永衣志帆

◆お玉
権太の妻。不慮の事故で重症を負った権太を献身的に看病していた。
人間の姿で権太の墓参りに行っている場面が描かれている。
CV:山下容莉枝

六代目金長
四国の長老狸の一匹。
徳島県小松島市にある金長大明神(金長神社)の主。
長老たちに列されているが、「あくまで六代目であり本狸ではない」と漏らす場面も。
CV:3代目桂米朝

屋島太三郎
香川県高松市の屋島に住む四国の長老狸の一匹。
「屋島の禿狸」とも呼ばれる最長老で、御年999歳。
妖怪大作戦の予想外の顛末に耄碌し、遂には変化できない狸たちを大勢連れて豪華な宝船で死出の旅に出た。
CV:5代目桂文枝

隠神刑部
四国の長老狸の一匹。
愛媛県松山市の狸で、八百八狸を統率している。
妖怪大作戦にて無理が祟り、作戦の最中に命を落とした。
狸というよりも狼のような迫力のある顔つきが特徴。
CV:芦屋雁之助

◆小春
六代目金長の一人娘。
CV:黒田由美

◆竜太郎
多摩堀之内の変化狐。
狸同様土地開発で住処を失い、人間として生活している。
変化できない狐を切り捨てて生き延びた立場であるため、狸に対しても「優秀な者が人間に変化して生き延びればいい」というスタンス。
CV:福澤朗(当時日本テレビアナウンサー)

◆語り
物語の語り部。実は劇中に登場する狸の一匹。
CV:3代目古今亭志ん朝


【設定】

本作において、狸達は人間の見ていないところでは所謂デフォルメされた二足歩行の姿を取るということになっている。
狸や狐の使う化学(ばけがく)とは、変身術を中心とした人を化かす術のことであり、ただ姿を変えるだけでなく、人の感覚を惑わせるようなものも多い。


【その他】

本来は企画担当の宮崎駿や鈴木敏夫プロデューサーがファンであった、杉浦茂の漫画作品『八百八だぬき』を原案に据えて制作された作品である。
しかし実制作が進むにつれてキャラデザが現在のものに近づき原案とは似ても似つかぬものへと変化したために原案クレジットが外れてしまった。
ダメージを受けたり浮かれたりした狸たちのデフォルメが一瞬だけ崩れるのは、この名残で、崩れた瞬間のデフォルメデザインは杉浦デザインのものになっている。

本作で狸達が化ける妖怪の姿は、水木しげるの描くものがベースとなっている。
劇中の山場である「妖怪大作戦」で狸の化けた妖怪たちが一斉に空に飛び立つシーンでは、
トトロやキキといったジブリキャラたちが紛れ込んでいるというお遊び要素がある。

ジブリ作品では良くあるように、キャストには本業が声優でない俳優等が数多く出演しているが、その中でも落語家が複数起用されているのも特徴。




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最終更新:2024年01月16日 01:07