アンジェリカ(GUNSLINGER GIRL)

登録日:2012/07/06(金) 10:52:50
更新日:2024/04/09 Tue 08:10:52
所要時間:約 7 分で読めます





「楽しいことも哀しいことも…大切なことはかんたんに忘れちゃうのにね」



アンジェリカとは漫画「GUNSLINGER GIRL」の登場人物の1人。愛称はアンジェ。
CV:寺門仁美(アニメ1期)
花澤香菜(アニメ2期)


社会福祉公社作戦二課の主要戦力である義体(サイボーグ)1期生の1人。担当官はマルコー。黒髪ロングヘアーの物静かな少女。ヘンリエッタと同様に獲物を収めた楽器ケースを携帯することが多い。


義体の中では比較的大人しめの性格。最初期の義体でもあるため公社の職員たちとの面識が多く、特にプリシッラは彼女のことがいたくお気に入り。
しかし、最初期故に実験的な運用期間が長く続き条件付けも手探りの状態で行っていた為に作中時点では体調不良を繰り返すことが多く初登場時も医務室で療養中であった。
だからといって他の一期生と疎遠というわけでもなく、体調さえ良ければトリエラ達と一緒に流星群の観察に行く予定があった事を示唆する描写もある。
条件付けの副作用による記憶障害も顕著に表れており定期カウンセリングの際には担当医のビアンキのことを忘れていたり、手渡された写真の人物の何人かを思い出せなかった。
義体に投与された薬物の依存症などの症状も見せており、3巻ではその影響で無意識の内にプリシッラの手首の骨を折ったりしている。
その時は緊急用のキットで間に合わせたが、臨時にリコ・ジャン組が呼び寄せられた。


他の義体と同様に担当官のマルコ―に妄信的な情愛を見せており、自身が体調不良故に彼の役に立てないでいることを歯痒く思う場面もある。


が、マルコーの方は出会った当初こそアンジェリカのことを気に入り本当の兄の様に振る舞っていたが、条件付けの副作用で自身との思い出を段々と忘れていく彼女の姿に失望。
今ではすっかり冷めきった性格へと変わり、アンジェリカに対しても突き放した態度を取っている為フラテッロとしての仲は悪い。


そうした背景からか作中でも任務に参加する場面はそれほど多くなく、参加した際も担当官のマルコー以外にプリシッラやオリガといった他の職員たちと共同で事に当たることが多い。
トリエラがピノッキオと相対している最中、クリスティアーノを回収して逃走しようとしたフランカを銃撃してフランコ・フランカを結果的に死亡させたりと、活躍の場こそ少ないがそのほとんどが好アシストとなっている。


メインアームには突撃銃のシュタイアーAUGを使用。条件付けの影響で記憶障害があってもこれの組み立て方だけは常に覚えている。サイドアームには自動拳銃のシュタイアーM9等を使用している。
マルコー達が作ってくれた御伽話の絵本である「パスタの国の王子様」がお気に入り。記憶障害でそのことすら忘れてしまった後も再び読み始めているようである。


素体となった少女はアンジェリーナという名前の極一般的な家庭に暮らす一人娘であったが、彼女の両親が職場の町工場の経営難を解決する為の手段としてなんと娘に大量の保険金をかける。そして、アンジェリーナは事故に見せかけて轢殺されそうになった。
そして、死にかけていたところを公社によって回収され義体のアンジェリカとして生まれ変わることになる。
マルコーは「くそったれな両親だが彼女に"天使"と名付けたのは感謝する」とのことで、投薬のための注射の時に聞かせていたのが、彼女の好きな「パスタの国の王子様」だった。
最初こそ即興で作り上げた童話だったが、後に当時の作戦二課等を中心に話が整理されていき、マルコーの元恋人が絵本として出版するに至った。

当時の社会福祉公社作戦二課は10人前後の小所帯で課員は全員暇を持て余しており、初の義体であるアンジェと接する機会も多く彼女自身も優しくしてくれるマルコーや課員達のことを大好きになっていった。
しかしなかなか仕事が回ってこないことにイラつきを覚えた課員のジョルジョとアマデオがトラブルを起こし、その仲裁に入った際にアンジェリカが負傷。
皮肉にもこの一件によって義体の能力が評価され二課にも実戦の機会が多く回ってくるようになる。

後に事の発端であるジョルジョとアマデオの2人はアンジェに謝りに行ったが、項目内で述べたように最初期の義体であるアンジェは条件付けの副作用が現れるのも早く、2人が謝りに来た時には既にその一件のことを忘れてしまっていた。


後の詳しい事情は描かれていないが、それ以降からアンジェは段々と記憶障害と体調不良が悪化していき本編登場時に至ったと思われる。


アニメ1期では特に彼女の悲劇性について強調されており、11~12話は実質的に彼女が主役であるといっても過言ではない。
(しかしそれ以上にマルコーからの扱いの酷さや作戦ミスなどの描写も多く、活躍するアンジェを見たかった視聴者からは多少の不満の声も挙がっている)


表紙を見ればわかると思うが原作9巻は正にアンジェの為のエピソードであり作中全体を通しても読者からの評価が高いものとなっている。


以下、9巻でのネタバレ含む。
























9巻時点でのアンジェリカは体調が比較的良くなり性格も明るくなっている。
しかし、カウンセリングの際に担当医のビアンキに対し半年前に聞いた旅行の話をつい最近のことのように話したり、
嘗てマルコーが話した自身の過去の職業のことを唐突に話題に出したりと、過去と現在の記憶の境界線が曖昧になっているかのような状態になる。
またそれ以外にも自分と同じような女の子が出てくる夢を度々見るようになったり同じく夢に出てくる白い大きな犬の幻影を見るようにもなる。
末期の義体の特徴に「封印した記憶のフラッシュバック」こそあれど、「記憶の時系列がおかしくなる」というのは前代未聞であり、ビアンキはそのことをベリサリオに対し「嫌な予感がする」と付け加えて通告していた。

カウンセリング後、アンジェはトリエラにブーツを貸して欲しいと頼み込んだ。理由は自分の身長故に、マルコーの盾になっても守り切れないかもしれないという不安からであった。

そんな中、警戒任務中に五共和国派による官庁を狙った自動車による爆破テロが発生。アンジェは側にいたマルコーを守るために自らを盾にして彼を守る。
その時履いていたブーツはトリエラから借りた上げ底のブーツであり、それによってマルコーを守ることが出来た。
結果、マルコーは額に傷跡が残る程度で済んだが、アンジェは自動車に積まれていた大量の金属片を全身に浴びて瀕死の重傷を負い昏睡状態に陥る。

公社の治療によって肉体は再生されたものの、その際に使用された大量の追加薬物の影響から「脳」の方が駄目だと診断される。
担当医から覚醒は絶望的とされていたがマルコーが面会に来た際に意識を取り戻しケガを負ったマルコーを見て起き上がろうとするも既に体がまともに動かせない程に弱りきっていた。
アンジェの終わりの時―…義体としての寿命が、もう目の前まで迫っていた。


以前から割り切っていたとはいえアンジェの最期が近いという現実を目の当たりにしマルコーの心が揺れ動く。
そしてプリシッラの説得やジョゼのアドバイスを受け、彼女に何かしてやれないかと考えるようになり
アンジェリカ自身が嘗て話していた会話内容や犬の幻影を見るようになったということから、素体のアンジェリーナがかつてぺロという名の大きな白い犬をペットとして可愛がっていたことを突き止め
せめてその飼っていたぺロにもう一度会わせてやりたいと思い、プリシッラや他の課員達と共に奔走する。


そして再び昏睡状態にあったアンジェリカはマルコーが見つけ出してきたぺロの姿を見ることによって目覚め、その際に一時的にではあるが義体化以前から現在までに遡る全ての記憶を思い出した。
両親に嫌われていたこと、ぺロがいたから平気であったこと、義体化後はマルコーやプリシッラが優しくしてくれたから寂しくなかったことなどを一通り語り、それら全ての大切な記憶を忘れていたことに涙する。


その後は三度意識を失い3日もの間眠り続け、目覚めた時には既にマルコーのことすら認識出来ない程に記憶が破壊され尽くされていた。
だが、落ち込むマルコーの姿を見て彼を元気づけるために忘れてしまっていたはずの2人の思い出の象徴でもある「パスタの国の王子様」の話を語り聞かせる。
その全てを語り終えた後、傍らに握っていたマルコーの手から力無く彼女の腕が垂れ下がりアンジェリカは静かに息を引き取った。


アニメ1期では、作戦中に独断専行したせいで腹部を負傷。最早長くは生きられない状態になってしまう。
ついさっきヘンリエッタが見舞いに来たことを忘れてしまったり、飼い犬のペロの名を思い出したりと、原作同様記憶の混乱が表れている。
マルコーはペロを探し回るも、見つけることはできなかった。
ヘンリエッタの嘆願を受けて見舞いに訪れたマルコーに、忘れていたはずの「パスタの国の王子様」を聞かせてほしいとせがむ。
そして、流星雨の降る夜に「パスタの国の王子様」を聞きながらゆっくりとアンジェリカが目を閉じる*1ところで物語は締めくくられる。
発表は原作に先駆ける形になったが、大まかな流れは同じであるため、アンジェリカの顛末についてはこの頃からすでに構想があったのだと思われる。


  • 作中での主なセリフ


「トリエラは昔から優しかったよね?」

「先生、どれだけ忘れてますか?大切な人…抜けてませんか?」

「ううんいいの、だってそのおかげでマルコーさんが優しくしてくれたし」

「ううんいいの、マルコーさんが良くやったって…」

「マルコーさんすごく背が高いでしょ?私だとあんまり盾にならないから」

「マルコーさん……その傷は!? いつの間に…! 相手は誰です!? 殺さないと…」

「マルコーさん…この子…………どうしよう…大切な…友達だったのに…忘れてたよ…ごめんね…」

「どうして…マルコーさんが謝るの…?」

「わたし…パパとママに嫌われてたみたいなの…」

「でもぺロがいたから平気だった。ぺロがいない間はマルコーさんやプリシッラちゃんがいたから…ずっと平気だったよ…」

「おじさん…どうしたの…? どこか痛い? 怪我してるの?」

「じゃあ…私が…お話を聞かせてあげるね。このお話は…悲しい時も元気が出るの」

「おじさんは…パスタ好き?」











ううんいいの、だってそのおかげでマルコーさんが追記・修正してくれたし。

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最終更新:2024年04月09日 08:10

*1 息を引き取ったのか、単に眠ってしまっただけかはぼかされている