ジーコサッカー

登録日:2010/08/01 Sun 02:06:34
更新日:2024/01/19 Fri 21:03:00
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出典:『ジーコサッカー』、エレクトロニックアーツ開発、EAビクターより1994年3月4日発売

ジーコサッカーとは、現在『FIFAシリーズ』で知られるエレクトロニック・アーツの合弁会社であるエレクトロニックアーツ・ビクター(現在のJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が開発、当時鹿島アントラーズの現役選手だったジーコが監修したとされるサッカーゲーム。

発売日は1994年3月4日、定価は9800円(税抜)、機種はスーパーファミコン。

概要

当時日本中は前年のJリーグ開幕などもあってサッカーブームが到来しており、ゲーム業界でも当然のようにサッカーを題材にしたゲームが多く出されていた。
そんな中でこのゲームは他と差別化する意味合いか、サッカーゲームの常識を覆す斬新なシステムを導入した。
どんなものかというと、「2P対戦モードが存在しない」「選手にパスやドリブルなどの指示を出し、カーソルで選手を誘導するだけ」というもの。
例を上げると、基本スライディングなどの行動はAI任せだが、スライディングしたい選手にカーソルを合わせてYを押すとその選手に向かい攻撃という感じ。
サッカーゲームより、どちらかといえば戦略シミュレーションのようなシステムである。

ゲームモードは4つ。
  • EAカップ…一次リーグで他の4チームと試合をして得点差を競い、上位2チームは決勝トーナメントへ進出という、ワールドカップ仕様のモード。
  • ジーコカップ…他チームすべてに勝ち抜くことを目指すモード。ちなみにこのモードクリア後に表示されるパスワードで応募すると、抽選でジーコの直筆サイン入りグッズが貰えた。
  • エキシビジョン…CPUとの対戦モード。
  • トレーニング…相手チームと1人対1人で自由に操作出来るモード。

しかし上記のようなシステムのため、やることは全く一緒。

ちなみに使用できるチームは各国代表だが、その中に当時ジーコが所属していた鹿島アントラーズがしれっと紛れ込んでいる
しかも鹿島の選手だけ全て実名で、他のチームの選手は実在の選手のもじりですらない全くの偽名。
じゃあ極端な鹿島優遇なのかというと、鹿島の選手だけ能力が非公開だったり、EAカップでは何故か使えなかったりと、よくわからない扱いを受けている。
仮にもジーコが主役なのに……

スーパーファミコンマウス対応だが、マウスがないと非常に操作しづらく、実質的にマウスはほぼ必須なものとなっている。
それ以外にも、
  • 各モードを選ぶとキャンセルができない
  • もっさりしたスピード感
  • 頭の悪いNPC
  • 試合中選手の名前は表示されず、固有グラフィックもないため、下画面の背番号でしか判別できない
  • チーム1つにつき11人しかおらず、選手がどんなに疲労しようが「ベンチメンバーと交替する」という概念が存在しない
  • オフサイドはおろか、イエローカードやレッドカードの概念もなく、反則をしてもセットプレイになるだけ
という、特に下二つはサッカーゲームとしてちょっとそれどうなんだと言いたくなるような代物となっている。

奇しくも1993年にメガドライブで発売されて以降、2022年まで続いたFIFAシリーズ(2023年より「EA SPORTS FC」)がロングセラーヒット且つサッカーゲームの代表的存在となった事、元々提携していたビクターとの合弁で開発され日本限定での販売だったこともあり、本作はEAの黒歴史として葬られる事となった。


SM調教師瞳との関係

サッカーブームだから売れると思われたのか多数生産されたようだが、あまりにもチープだった為かそんなに甘くはなく結果は散々なものとなった。
結果、市場には大量のジーコサッカーが溢れることとなってしまった。
どこの店へ行ってもワゴンに大量に山積みされ、定価9800円が嘘のような捨て値で売られていた。
あるところでは10円で売られていたとの噂も。

そこに目をつけたのが任天堂非公認ソフトのメーカーである。
捨て値で売られていたこのソフトを大量に買い占め、中の基板を取り替えてエロゲとして再利用したという話は有名。
このエロゲのラベルを剥がすと下にジーコサッカーのラベルが出てきたとか。

この差し替えに使われていたROMは長い間ワゴンから手に入れた中古品だと思われていたが、2020年6月に発売された「ゲームラボ」に記載されたインタビューによると、なんと全て新品だったという。
どうやら、本作を大量に仕入れたはいいものの小売店が全く買ってくれず、在庫の山を持て余していた問屋が発売日前に1本300円で叩き売ったようだ。

近年は経年劣化で上に張られたSM調教師瞳のラベルがはがれてしまった結果、見た目は材料にされたゲームカセットで中身はSM調教師瞳シリーズというゲームが中古ショップに紛れていることもあるという。
これを探すことはジーコサッカーガチャと言われ、とある芸人がYouTubeで視聴者から送られてきたジーコサッカーから瞳を探すという企画まで存在した。

余談

雑誌「ゲームラボ」の投げ売り情報コーナーのタイトルに、このゲームの名を冠して「激安ZICO」とついていたこともあるそうな。

このソフトを収集し続け、某通販ショップのレートを80円から200円に高騰させた酔狂な猛者がいる。
もちろん瞳目的ではありません。

後にジーコはとあるスマホゲームの監修をした際、「 ゲームの監修をしたのは今回が初めて で、これ以前はプロモーション活動として協力しただけ」。要するに「 単に名前を貸しただけ (要約)」という趣旨の発言をしている。
つまり本作も名前だけであり、ジーコサッカーどころかただの「サッカー」だったと言うヲチである。もちろんお世辞にもサッカーと言えない内容だが。

この体たらくと、前述の通り同人ゲームのROMとして使われたという経緯から、一部コミュニティでは同人ゲーム――特にエロ同人ゲームがジーコと呼ばれている。とんだ風評被害もいいところである。

なお、発売から20年以上の時を経た2016年12月18日、鹿島はクラブワールドカップ決勝でレアル・マドリーと対戦し、戦前の予想を遥かに超える大健闘を見せた。
本作では各国代表にまぎれて鹿島が参加しているのだが、世界の大スターが集うマドリーと戦う姿はある意味、このゲームを超えた光景と言えるのかもしれない。
ツイッターでも「現実がジーコサッカーに追いつく時が来た」と、ちょっとした話題になっていた。






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最終更新:2024年01月19日 21:03
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