ルチアーノ・モッジ

登録日:2011/03/21(月) 02:38:39
更新日:2021/01/23 Sat 16:04:15
所要時間:約 5 分で読めます





サッカー界に戻るつもりはあるかいって?馬鹿を言っちゃいけない。

俺は一度たりともこの世界から離れちゃいないよ。サッカー界の人間なら、誰だってそう思ってるさ……フフフ




ルチアーノ・モッジはユベントスFCの元GM(ゼネラルマネージャー)。
ユベントスの黄金期を造り上げ、同時にイタリアサッカー界を歪ませた主犯格。
90年代から00年代の前半のイタリアサッカー界の繁栄、そして00年代後半からのイタリアサッカー界の衰退に大きく関わった人物と言えるだろう。


現在のイタリアサッカー界の暗部、その象徴として認知されている。

1960年、かつてチヴィタヴェッキアという田舎町で駅長として働いていたモッジは、
モンティチャーノという自身の出身地のクラブと関わりを持ち、サッカー界に足を踏み入れた。
そこから直ぐにスカウトとして頭角を現し、70年代になると当時のユベントスのSD(スポーツディレクター)だったイタロ・アッローディの元で働くようになり、
ユベントスと関わりを持つようになる。
その後、アッローディの元でSD、そしてGMのノウハウを学び、ローマやトリノでGMのキャリアを積んだ後、94年にユベントスのGMに就任する。



GMとしてのモッジは非常に優秀だった。彼は自身の哲学である
「GMとは、まず第一にクラブに利益をもたらす存在でなくてならない」
という考えの元に行動し、ユベントスに多くの利益をもたらした。具体的には
「良い選手を安く買い、高く売る」
という事だ。

ジダン、イブラヒモビッチ、カンナバーロ、ビエリ、カモラネージ、ネドベド……

挙げればキリがないため、有名所のみを挙げたが、彼はこれらの選手をいずれも適正価格以下で移籍させ、また高額で売却している。

そんなモッジの補強最大の失敗と言われるアンリでさえも320億リラで売却している。
額面だけを見るなら充分な収益であろう。
モッジ本人に言わせると「失敗どころか大きな成功」らしい。

ちなみにこれまで獲得した選手の中で、モッジ自身が最も愛着を感じているのは彼がナポリ時代に獲得したジャンフランコ・ゾラである。
この選手も3億リラで獲得し、最終的には140億リラで売却している。

「俺の哲学、『優れた選手が悪いプレーをすることもある。だが、その逆はない。』これが正しいことをゾラは証明してくれた。」とニンマリしながら語っている。



しかし、問題とされるのはこれらの移籍の多く(特にユーベ絡み)が他クラブや選手から非難されるようなやり方であったこと。
例えばイブラヒモビッチのケースでは、2004年当時、移籍市場の人気銘柄イブラの移籍金の高騰を抑えるため、チームメイトとの対立を煽り、
所属していたアヤックスのフロントに放出させようという気を起こさせ、代理人を通じてイブラ本人に練習や試合で手を抜くように指示。
本来の能力を発揮しないようにしむけ、他のクラブがイブラに興味を示さぬように仕向けた。

またカンナバーロの場合も、「サマーキャンプで不調を装え」、「怪我でプレー出来ないとフロントにアピールしろ」という指示を、
モッジ本人が直々にカンナバーロに出している。
(これらのやり方が非難されるのは当然だが、これを受け入れた選手にも問題がある)

そして彼が働いていた最大の悪事が



審判操作


である。
通称カルチョポリ、またはカルチョスキャンダルと言われるこの事件は、
イタリアの強豪クラブのフロント何名かが審判と親密な関係を持ち、ジャッジに影響を与えたというモノ。
審判団の一部に賄賂を渡し取り込む。
その後、デジニャトーレ(どの試合にどの審判を振り分けるかを決める仕事をする人)も手なずけ、優位なジャッジを引き出せるという仕組みだ。



きたないなさすがモッジきたない


盗聴記録の見つかったモッジはこの事件の主犯格の一人として、現在も裁判を行なっている。
5年に渡る長期の裁判となったのは、彼がユーベ以外の試合をも操作し、調査が長期化したこと、
脱税疑惑やインテルから名誉毀損で訴えられた裁判も行った事が原因である。
そしてこのカルチョポリが原因で、イタリアサッカー界は「正常化」するものの、急速に衰退していく。

制裁によりセリエBに降格したユベントスから、多くのビッグネームが国外に流失。
当時最強だったユベントスが大きく弱体化したため、リーグタイトルは五年に渡りインテルが独占。
また求心力とブランドが地に堕ちたセリエAは、海外からビッグネームが来ることが少なくなり、国外リーグ戦、そしてCLでの競争力を大きく落とした。


裁決を待っている現在はTVに出演したり、非公式だが他のクラブのフロントにアドバイスを送っている。


……いやさっさと追放しろよこんなヤツ。



(ι´_ゝ`)<まぁ要するに、悪党はいつか裁きを受け、最後に正義は勝つって事だよ







(ι´_ゝ`)<あ、追記、修正もよろしくな







(ι´_ゝ`)<何、俺?俺は通りすがりのマテラッツィだよ






















そして時は流れて2015年3月23日、イタリア最高裁の判決がついに下された。
その結果は……

























証拠不十分のまま時効を迎え免訴された。



………………




(゜Д゜)ハァ?





なぜこんなことになったのかと言うと、日本の司法だと裁判中の時効はカウントされないのに対し、イタリアは止まらない。
今回の場合、要するに時間切れエンドということである。

これを見ると「サッカー界最大のスキャンダルとは一体何だったのか……」と言いたくなるが、あくまで「時効で刑事的な処分が下されなかっただけ」である。
2012年彼はイタリアサッカー連盟から下された永久追放処分に異議申し立てをしていたが、2017年国務院から却下されたことにより、永久追放が確定。*1
カルチョポリの首謀者の一人だったというお墨付きが完全についたのだった。


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最終更新:2021年01月23日 16:04