Dr.バイル

登録日:2011/05/19(木) 22:51:08
更新日:2023/09/13 Wed 18:30:19
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「終わらぬ悪夢だ!」


ロックマンゼロ』シリーズの登場人物。

バイル Vile
CV:大塚周夫




【概要】

ダークエルフオメガの製作者であり、100年前の惨劇《妖精戦争》を引き起こした科学者。
その刑罰としてオメガと共に地球外へ追放されていた。

ちなみにVileとは「下劣な、不道徳な、卑劣な」を意味する英語である。
海外ではXシリーズのVAVAの海外名として付けられていたため「Weil」に変更された。
それに合わせてライフゲージのマークもVからWに差し替えられている。


【本編中の活躍】

ゼロ2
エンディングに台詞のみの登場。
ダークエルフの封印が解かれたことを察知し、「クーックックック」という印象深い笑い声や新たな存在『オメガ』の名を出すなど黒幕臭さを醸し出していた。


ゼロ3
幽閉されていた宇宙船が地球に落下。
オープニングではゼロに意味深な言葉を吐き、その身体を親切にも気遣ってあげる。
修復したのか二号機なのかコピーエックスをMk-2として復活させており、その恩を買われてオメガ共々ネオ・アルカディア幹部の新たな一員となる。
四天王を差し置いて全軍の指揮まで任されるようになり、当の四天王は度重なる失敗から幹部の座を下ろされた。
ハルピュイアはともかく、ファーブニルとレヴィアタンはオリジナルエックスの守護をほっぽってゼロとの戦いを優先した前科があるので残当な気もしないではない。*1

しかしバイルはコピペのカラダにワナを!
バイルはコピーエックスの修復改造時に、変身しようとすると作動する爆弾を仕掛けていた。
こうしてコピーエックスが自爆して帰らぬレプリロイドとなったことを、コピーであることを知らないネオ・アルカディア市民達に「テロリストのゼロがエックスを殺したもの」と歪曲して吹き込むことで、ただでさえ疲弊していた市民からのレジスタンスの支持をさらに危うくする事に成功。
そして「エックスに代わってテロリストを撲滅する」というもっともらしい声明を以て、バイルはネオ・アルカディアの新たな統治者として君臨する。
戦ったのは事実だがな!

計  画  通  り  !


拠点として使い潜んでいた研究所でもゼロの相手をオメガに任せ、自分はやっぱり離れたところから観戦。
どうだゼロ…英雄ゴッコは楽しいか?ん?

自身の計画を「下らん遊び」と切り捨てるゼロに対して

クーックックックッ…下らんか…そうだろうとも
レプリロイドには理解できまい
総てのものを支配するこの喜びは、人間にしか分からぬよ

そうとも!ワシはれっきとした人間だ!
貴様らレプリロイドを生み出した創造主…人間様なのだよ!

支配欲とでも言おうか…
総てのものを意のままに動かす快感…
これだけは、人間様の頭脳がなければ味わえん
究極の快楽だよ…貴様らレプリロイドには分かるまい!

などと一席ぶつ(もっともその直後、ゼロに「まともな人間にも理解できるとは思えんな」とまたスッパリ切り捨てられている)。

オメガの正体を明かしても、己がそのコピーに過ぎない(実は中身は本物)と知っても一向に動揺しないゼロによって、ダークエルフの力を全て解放させたオメガすら倒されると、しつこく本物志向で揺さぶりをかけようとする。

やめろゼロ!!
お前のオリジナル・ボディだぞ…惜しくはないのか!!
一生、そんな安っぽい偽物の体で生きていくというのか!!!

が、悩まないゼロはお構いなしにオメガを叩き斬る

最大の強みであったオメガを失い、ダークエルフの呪いも解かれ、バイルの野望は潰えたかに思えたが…


ゼロ4
ネオ・アルカディア跡地の統治者、もとい支配者として猛威を振るっている。
その支配は曲がりなりにも人間を優遇していたコピーエックス統治時代とは打って変わったまさに地獄。
逆らった者は当然殺し、ネオ・アルカディア外へ逃げ出した者も人間、レプリロイド問わず処分という自由も何もない世界を築きつつあった。


アインヘルヤル八闘士を使って各地の同時攻撃をさせる『ラグナロク作戦』を敢行するも、ゼロの奮戦によって作戦は阻止されてしまう。
だが実はそれすらも陽動であり、真のラグナロク作戦は衛星砲台ラグナロクから主砲を放ちネオ・アルカディア以外の地上全域を無差別に攻撃するというものだった。
しかしその本命すらもクラフトによって妨害されてしまい、あろうことか自分のいるネオ・アルカディアに砲撃を受けてしまう。


だがそんな目に遭ってもバイルは生きていた!


生きていた…?違うな…
死ねなかったのだよ…!

中破したラグナロクに自ら乗り込んで直々にエリア・ゼロへの砲撃を目論み、ゼロを迎え撃つべくラグナロクのコアと一体化、立ち塞がる。



理想だと!?戯れ言だ!

ちなみに技の一部に「我がしもべ」としてゼロ3のバイル八審官たちを召喚するものがある。
どうやらバイルにとってアインヘルヤルの面々は捨て駒にすぎなかったようだ。

さすがだなぁ、英雄!


だがしかしやっぱり。
それでも英雄を止めることはできず、ついにはラグナロクそのものと融☆合!


死ねん!この程度では死ねんのだぁ!

この融合時、ケーブルが背中に刺さるたびに血が飛び散るような痛々しいエフェクトがある。

どうだ、この痛みは!貴様にわかるか!


ラグナロクそのものとなったバイルは、地球へ落下しつつある自分ごとエリア・ゼロに体当たりしようという凶行に及び、ゼロとの120秒間の死闘を繰り広げる。

この時、サイボーグでどう見ても害悪な存在でも一応人間を辞めてはおらず、本人も「地上の人間の為に人間のワシを斬れるか!」と挑発していた訳だが、ゼロはいつもの台詞と共に彼を容赦なくたたっ斬りに向かっていった。
レプリロイドの始祖的存在故に普通のロボットにできない柔軟な判断ができるのか、元々イレギュラーだった名残で「ロボット三原則なんか知らん」とばかりに躊躇なく人を斬れるのかは謎のままである…。

その後、最終的に敗れたバイル(ラグナロク)は大気圏突入時の摩擦でバラバラになり、エリア・ゼロに墜落することなく流星群のように世界中に降り注いだ。


この…ワシが…!人形如きに…!
滅べ!滅んでしまえぇぇぇ…!


CD『リマスタートラック ロックマンゼロ・ピュシス』収録のドラマパート『Ragnarok Record』では、4パート目にてバイルとの最終決戦がボイスドラマ化されている。


【ボスとして】

『3』では一切戦わない。
初めて直接対決できるようになるのは上述した通り、『4』のラストバトルのみ。

コアと合体した第1形態はワープを繰り返しながら、大量の酸弾や岩、短剣(デスピアス)を落としてくる。
岩は2セット目にホーミングする岩が混じるので注意。デスピアスは刺さったままにしておくとその後に降る雷球を左右に拡散させてしまい、回避が難しくなる。
このデスピアスはゼロナックルで引き抜けば1回限りの強力な近接武器として使うことも可能。各武器のチャージ段階が弱体化するハードモードでは地味にありがたい(大体は道中で拾えるメガアックスで済んでしまうが)。
八審官は呼び出されるとそれぞれ技を繰り出して消える。過去のホログラムみたいなものだからか倒せない。
呼び出す人数はこちらのランクが低いと(orハードモード以外)4人まで(エネミーインフェルノ)。呼び出す面子は2パターンで前半の4ボスか後半の4ボスを召喚する。
完全版では4人パターンが消えて常に8人フルで呼び出す長丁場となり(エネミーインフェルノネオ)、その最中バイル本人はいなくなるため、タイムアタックにおいても嫌らしい遅延行動と化す。

ラグナロクと融合した第2形態では、120秒の制限時間内にバイルを倒しきらねばならない。
バイルの巨体が画面右側を占有し、こちらの動ける範囲が限られる上に、唯一の弱点であるコアを平時は角でガードするためゴリ押しが効かない。
この角を攻撃時に下げたり、射出したりする時が反撃のチャンスだが、バイルもネット捕縛や上下を薙ぎ払う吸引ビーム等、こちらの動きを妨害するような技を仕掛ける。更に角を下げない酸弾、ザコ召喚で時間稼ぎを狙ってくることもある。
吸引ビームは上側にある巨大な角の先端にぶら下がれることを知らないと厳しいだろう。
ただ、ゼロを始末するのが主目的ではないからか、高ランクで使うSA技は4方向に刃を飛ばす円盤を出すのみ、と非常に地味かつ避けやすい部類であり、そこまで劇的に難しくはならない。むしろ制限時間と焦りが最大の敵。


【バイルの過去】

イレギュラー戦争末期、当時政府の研究者だったバイルは戦争終結のため、全てのレプリロイドを強制的にコントロール管理する計画「プロジェクト・エルピス」を提唱。
しかし、シエルの先祖にあたる科学者やエックスを始めとする反対派によって、計画の実現には至らなかった。
それでも、計画賛成派だったバイルは「戦争を終わらせるには一部の愚か者を排除してやり直すしかない」という考えから、マザーエルフをダークエルフに改造。更にオリジナルゼロを改造したオメガを起動させ妖精戦争を引き起こす。
当時のオメガもダークエルフも完璧とは言い難い完成度だったが、反対派の追求を受けて計画を阻止される前に見切り発車的に強行。
その結果オメガは暴走、全人類60%・レプリロイド90%の死滅という惨状を起こしてしまった。
バイルの計画はあくまで「レプリロイドの完全支配による戦争終結」であり、人間にまで甚大な被害が及んだのは完全に想定外だった。

戦争終息後、計画に協力していた賛成派(後のネオ・アルカディア政府)に全ての罪をなすりつけられ、その刑罰としてバイルは記憶をデータ化され、その肉体も自己修復機能付きのアーマーに納められて死ぬこともできない身体に改造される。
そしてオメガは宇宙船に封印され、戦争に関する全ての資料と一緒に宇宙へ放逐、バイル本人は戦争で荒廃し光も自然も何もないネオ・アルカディアの外界へと追放された。

その後100年もの間死んだように生き長らえながら世界をさまよう羽目になり、この事から人間とレプリロイドの双方を強く深く憎んでいる。
CD『リマスタートラック ロックマンゼロ・テロス』収録のドラマパートでは、バイルが表舞台に復帰した事を知ったネオ・アルカディアの職員の1人が「強制連行すればいい」と口にしていた事から、100年経った現在も追放の効力があったようであるが、同じく復帰したコピーエックスの権限を利用した自作自演によって合法的に追放処分が解除され、それどころか政府要人として迎えられた。

レプリロイドの思考回路を改ざんすることで容易く配下に置くことができ、本人も機械の身体に置き換えられたテセウスの船状態という、人間とレプリロイドの関係の矛盾を体現したような人物。
彼の凶行の源は果たして人間の負の感情なのか、それとも高度なプログラムが起こした『ツケ』に過ぎないのか…。

《マザーエルフ》を改造した事実からバイルは《ダークエルフ》の製作者と言え、彼自身はベビーエルフに対して「ダークエルフの生みの親であるワシはお前たちのおじいさん」と発言している。
が、これはデタラメも良い所であり、実際に素体のマザーエルフの製作を行ったのは、かつて自らの計画に反対したシエルの先祖である。

流石に大気圏突入による摩擦熱とバラバラになっちゃった事には再生する身体も耐えられなかったようだが、その怨念は相当なものであり続編のロックマンゼクスシリーズにはラグナロク(=バイル)の破片から生まれた狂気の変身アイテム、ライブメタル・モデルVが登場する。
世界の王になる力を秘めているとも言われ、シリーズの根幹に関わる重要な存在だがプレイヤーは使用できない。
というかそのライブメタルが世界中に何個もあって、ガーディアン達はさらに続編の『アドベント』にて全部破壊する事となっていた。

が、怒りや憎しみを吸収したモデルVが一斉に合体、ウロボロスになる。
ラグナロクが元になっているだけあって見た目がラグナロクによく似ている。ただ、ヴァンやエール、グレイとアッシュが焼け石に水とはいえ幾つか破壊して回っているお陰でウロボロス内部まではラグナロクを催しておらず、道中は全体的に赤黒くまるで内臓建築途中であるかのようになっている。


【バイル事変】

CD『リマスタートラック ロックマンゼロ・ピュシス』には、ブックレット『Vile's Incident(バイル事変―遥かなる理想郷、その罪と新生)』が付属する(初回版は別冊、通常版はCDのブックレット内に収録)。

「モンターニュ」というルポライターが執筆した記録という設定で、ネオ・アルカディア崩壊から2年後、「バイル事変」と呼ばれる一連の事件の真実を追う。
序文から奥付まで実際に『ロックマンゼロ』の世界で出版された本のような体裁で、文中に掲載された資料(写真や映像という設定のイラスト等)はネージュら出版に協力した人々が提供したもの。
奥付によるとモンターニュ自身もバイル事変に翻弄された一人であり、レジスタンスに救出されたことを機にキャラバンに参加し、その後ノンフィクション作家としてネオ・アルカディア評議会の暗部に迫った代表作「偽りの英雄」を執筆した。

本文は主に『ゼロ3』『ゼロ4』のバイルの行動のほか、ネージュとのやりとり、クラフトとラグナロクの情報などを記している。
すべての始まりである妖精戦争に関しては、執筆時点でも大部分が秘匿されているため、イレギュラー戦争末期に投入された大型レプリロイド(オメガ)の記録画像と他よりも短い文章に留まっている。
しかし、少なくともネオ・アルカディアが戦争の中心人物であるバイルを罪人として追放したことは発表されており、「人間のための理想郷は"人間であるバイル"の罪を公表せず歴史の闇に葬り、100年という時間はその理想郷にすらバイルの危険性を忘れさせた」とし、そのような体制がバイル事変の原因となったと評している。
モンターニュは最終的に、バイル事変という戦争が自分たち人間の過ちからはじまったことを忘れてはならないとし、ラグナロクを止めるために戦った伝説の英雄・ゼロの姿を見て、自分たちはレプリロイド達にどう報いてやれるのか問いかけている。

エピローグでは2年後である現在の状況が語られ、パンテオンは生活の再建やベビーブームによる子どもの世話など忙しく活動しているという。
バイル事変によって理想郷の安楽な暮らしが失われてしまったが、勇敢に戦った者がいたことで最も大事なものを奪われることはなかった。
そして、今度こそ人間とレプリロイドが共存するよき時代が来ることを信じずにいられないと話す。
シエルは取材の中行われたインタビューにて、自分たちのために戦い続けたゼロへの想いを述べている。
最後に掲載されたエリア・ゼロの写真には、豊かな自然を取り戻しつつある地で明るく過ごすシエルたちレジスタンスやネージュ、現地の子どもたちの姿が写されていた。


そこに命がある限り、すべては再び。
ゼロから、はじまる。





さあ、そこのアニヲタ…お前はどうする?
お前の言う自由とやらと共に、アニヲタwikiで全消しを待つか!?
それともクラフトのように、ワシのような項目の下で追記修正するか!?
ワシはどっちでも構わんのだがねぇ!?


画像出典:ロックマンゼロ3、ロックマンゼロ4
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最終更新:2023年09月13日 18:30

*1 『2』終盤の展開を改めて見返していただければ分かるだろうが、「エックスをエルピスから守る」という目的が一致している以上、ユグドラシルでゼロと戦う必要は全くない