ナショナリズム

登録日:2011/04/28(木) 13:14:04
更新日:2023/09/27 Wed 12:29:11
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ナショナリズムとは、恐らく最も説明し辛い言葉の一つ。

意味的には、民族やら国家に対する個人的忠誠心、愛国心、民族主義、国家主義、国民主義、国粋主義とかを纏めて……

大体ナショナリズムを漢字で表そうとするのが難しいので、まずは歴史の流れを見て欲しい。




○ナショナリズムの目覚め

ナショナリズムを掘り下げていくと、その始まりはアメリカ独立戦争・フランス革命まで遡る。


1775年アメリカ独立戦争は言わずもがなイギリスvsアメリカ(+フランス等)だが、勿論アメリカ本土で戦ったのはアメリカ人。
しかし、まだアメリカという国家は存在せず、当然軍隊もない。
従ってイギリス軍と戦ったのは民兵だった。

ここで特筆すべきなのは、民兵自体は古代ローマから存在していたが、『自発的に、国の為に』戦う民兵は初めて生まれた事。

自発的に戦っているので、いくら緒戦でボロ負けしようが高い士気を維持する事が可能。
サラトガの戦いに於いて勝利を収めると、イギリスの不幸が大好きなフランスがアメリカと同盟を結び、
続いてイギリスにボコボコにやられていたスペイン・オランダもアメリカを支持。
最終的にアメリカは独立した。



1793年フランス革命においてルイ16世をあの世に送ったフランス。
しかし、まだまだ国内には反革命思想の反動分子が存在しており、戦争によって駆逐しようと考えるようになる。
対して周辺国はフランスの領土拡張政策への恐れ、及び革命で自分もあの世行きになるのを嫌がり、新生フランスを叩こうとし、ここにフランス革命戦争が勃発。

さて、このフランス革命軍だが、王政からの職業軍人は勿論、一般国民も自発的に加わり、自分達の国を守ろうとした。
従って士気が高く、緒戦は苦戦するもののオーストリアを粉砕する事に成功。
その後、これに驚いた他の国は何回か対仏大同盟を結ぶ。フランスも必死に抵抗するが、流石にこの連戦はきつかった。
フランスはボロボロになり、1799年ナポレオンのブリュメール18日のクーデターが発生。
そして帝政へ。


○ナショナリズムの広がり

結局ナポレオンが戴冠したことによりフランスは帝政へと変化していくが、
既にフランス革命の影響により、ナショナリズムは流行病のように各地に飛散していた。

またその元凶フランスは自らが種をまいた各国のナショナリズムに負けることになる。

話を戻すと、時は1804年。ヨーロッパではナポレオンが戴冠式を行い帝国成立が宣言される。

以後フランスは自国のナショナリズムを信じ、革命防衛戦争に明け暮れることになる。

海では相変わらずイギリスのカモだったが、陸上では向かうところ敵無しの最強軍隊だった。

強さの秘訣は士気云々に加え、装備、軍政改革が有ったことも見逃せない。
が、ここでは割愛。

そうして、ナポレオン軍はオーストリアを平らげ、イタリア・スペイン・プロシアを撃破し、これを支配下に置く。

「あれ?もうこれ革命防衛戦争じゃなくね?」
というレベルで他国に侵攻しまくる。

最早ナポレオンがやったのは防衛戦争ではなく侵略戦争。

しかし、無双のフランス革命軍はロシア…もとい冬将軍に撃破されてしまう。

それに追い討ちをかけたのが、占領下にある地域のナショナリズムの高まり。

各地で暴動が頻発。
ナポレオンは歴史の舞台から消えることになる。

ナポレオン旋風が収まり平和が訪れると思いきや、フランス人が撒き散らしたナショナリズムは世界中に拡散。

ヨーロッパだけでなく南米・アフリカでも独立運動が見られる。

しかし、1814年~1815年のウィーン会議にてこれら運動を圧殺。

本格的な独立運動は後世の仕事となる。


○現代のナショナリズム

フランス人によって撒き散らされたナショナリズムの種は第二次世界大戦が終わる頃に花開く。

第二次世界大戦で世界にばらまかれた武器を手に現地人達が宗主国に対して独立戦争を仕掛けるようになり、紛争が頻発。

この時代になると、中世~近代では強国だったイギリス・フランスは凡国家(まぁ強い方だけど)に転落し、スペイン・ポルトガルなどは見る影もなくなっていた。

従って鎮圧する力も維持する力も無い旧宗主国は独立を認める事になる。

また、独立運動だけでなく、ご近所どうしの争いも頻発。

  • 今や世界一軍拡競争が激しい極東
日・中・韓・北、オマケで米・露

  • パイプラインの通る東欧
グルジア・露・ウクライナ

  • 史上最強の民族配置ユーゴ
…まぁ今はマシになってきた

  • ロシアの中
チェチェンとか…

  • 世界中の国境・領土紛争
こればかりは世界共通。
各国政府は自国のナショナリズムに常時ビビっているためどうしても強硬手段をとらざるを得ない。


○ナショナリズムの象徴

ナショナリズムには憲法や国旗・国歌などを除いて、自覚はしてないが象徴とも言えるものがある。
ここでは各国のナショナリズムの象徴を紹介したい。

  • アメリカ
ラシュモア山

  • 日本
天皇、靖国神社

  • 中国
天安門にいる毛沢東

  • ロシア
クレムリン宮殿

  • フランス
ナポレオン


○現代ナショナリズムの問題点

現代ナショナリズムは開放的なイデオロギーではあるのだが、ちょっとベクトルの向きを変えると紛争・戦争の拡大に繋がりかねないのがの最大の問題点。


フランスを例にしてみても、最初は確かに革命を防衛するための戦争だったが、
中盤からは明らかに侵略戦争へとその方向性が変わってしまっているのが解るだろう。

他にはイスラエル・アイルランド・朝鮮・クルド人等、長年弾圧(?)されて歴史の表舞台に立てなかった民族などは、
常時スイッチが入りっぱなしで周りの国とギスギスしたり、クルド人のように国自体がなかったり、
アイルランドのように他国に領土取られっぱな所はテロ行為に走りやすかったりする。

また国を持つと、過去のトラウマ?から国民が結束しやすい。


○補足

ナショナリズムはある程度コントロールする事が可能である。

それはズバリ

マスコミ及び教育

である。


  • マスコミ

実際近代から現代にかけてナショナリズムが高揚したのは、大衆に意見を伝えるツールである活版印刷が普及したからである。

現在ではインターネットの普及によりややコントロールが難しくなったが、
それでもテレビなどが一斉に右ならえな報道をすれば、ホイホイついていく人間は多いだろう。


  • 教育

教育とは則ち感受性豊かな若い世代に情報を刷り込めるという事でもある。

有名なのは戦前・戦中の日本であり、現在の北朝鮮・韓国・中国もなかなか過激な教育をしている。
とくに戦中の日本は、大戦後期のある時に起こったエピソードが知られる。
特高警察が住民の密告で逮捕した男が陸軍諜報部の将校であり、英語辞書を持っていたのは任務のためであると判明し、
内務省を顔面蒼白(当時は軍隊>警察の力関係だった)に陥れた。慌てた特高警察上層部の命でその将校はすぐに釈放されたが、
その後も事情を知らぬ彼の近所の住人が密告しまくり、あの泣く子も黙ると言わしめた特高警察が将校に「英語辞書を持ち歩かないで!(つд⊂)エーン」と泣きついたという戦争中にあるまじき出来事が伝えられている。
過激化したナショナリズムはついに『英語教育廃止!』と声高に叫ぶほどに誇大化するも、東條英機でさえもドン引きしきったために『自主規制』に留まったと伝えられる。
なお、戦中時の日本の狂気の象徴とされている敵性語運動は、民間が戦意高揚のために始めた自主規制運動に過ぎず、法的根拠は何ら存在しない。一応味方のはずのドイツ語との区別もついてないのはそのせいかもしれない。
この運動に乗り気であった帝国陸軍ではあるが、機甲部隊や航空部隊の専門用語は言い換えが効かないため、外来語がそのまま用いられ、ジュースや果物の名前なども普通に外来語をそのまま使っていた。
帝国海軍は英語教育が重要なために、元から運動に参加していないなど、主に民間の自主規制でしかなかった。このように、戦中日本はナショナリズムが悪い方に作用した例である。

第二次世界大戦の終戦後に組織された日教組は、戦後に保守思想だった教育関係の上層部が公職追放された結果、マルクス主義や自虐的教育をする中間層が伸長、
大戦以前とは真逆の自虐教育を行い始めた事で有名。
最近は戦後間もない時期に若手だった世代の教員が、その後の年月の内に起こった、ソ連の崩壊による共産主義の退潮、北朝鮮の拉致問題の発覚、教え子達の新左翼運動での投獄や各国の民主化運動での死を要因に、年老いた元教師が若かりし頃の行いを後悔し、
元生徒に『貴方達に偏った教育をしてしまった……」と同窓会で懺悔するケースが見られるようになった。元生徒側としては、自分が受けた教育の誤りを告白される立場となるので、どう受け止めるべきか困惑してしまうのだが……
最近は行き過ぎた自虐教育を諌めようとする国からの矯正やモンペアの繁栄によりなるべく真ん中より(悪く言えば必要最小限のことしか言わない)教育をしている。が、日教組の強い影響下の教育現場では依然として左翼的傾向が強いようだ。



☆ちなみに余りにも過激なこと刷り込むと反動思想を形成したり政治に興味を持ちすぎたりして、他の人にウザがられる政治厨になる。

今の時代となっては某イカが世界征服でゲソとかほざいても、ナショナリズムの高揚により独立運動が起きるだろうから不可能に近い。


世界平和の構築について様々な意見があるが、例えば地球人が地球にナショナリズムを抱き、地球人と自覚すれば自ずと平和になるだろう。

ただ、地球にナショナリズムを抱くようになるには、外部からの影響――つまり宇宙人とかからの侵略など――が必要かもしれない。



なんか地球人に目覚めた人は追記修正お願いします。

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