登録日:2010/02/14 Sun 03:32:00
更新日:2024/03/06 Wed 07:43:10
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返してもらいに来た……。
ハッピーエンドを! 返してもらいに来た!!
物語の終わり方の種類。
目的を達成したり、好きな人と結ばれたり、希望が見える終わり方の場合こう呼ばれる。
対義語に
バッドエンドがある。ハッピーともバッドとも判別しがたい場合は「開かれた終わり」(メリーバッドエンド)。
おそらく童話の英雄、大衆文化、サブカルチャーにおける殆どの物語はハッピーエンドである。
ハッピーエンドの定義としては諸説あるが、
メインとなる登場人物が幸せな状態になる。
絶望的と思われた状況から復帰して、最良(または最良とは言わなくとも二番目くらい)の結果を得る。
ずっと望んでいた事が、果たされたり、さらに昇華する。
予想外の「登場人物にとって嬉しい展開」が発生する。
努力が最後に実を結ぶ。(勝負物の場合勝ち負けが関係ない場合も多い)
上記項目のいずれかがが確実に満たされる条件が整う。(俺たちの戦いはこれからだエンドとは少し違う)
これらのいずれかを満たしていればハッピーエンドと断定してかまわないだろう。
要するに、「最初から最後までずっとハッピーな状態が持続する」というのではなく、
喜怒哀楽様々なドラマパターンが続き、最終的に良い結果を迎える事がハッピーエンドである。
逆に言えばそこまでの経緯に「ハッピーではない展開」が皆無だった場合、ハッピーエンドにはなりえない。(そもそもいつも通りのため)
最近、自分の思い通りにいかないとすぐにバッドエンドだとぬかす人もいるが、あまり表面的な部分だけでハッピーエンド、バッドエンドは語らない方が良い。
好きなキャラクターが頑張り、幸せになるのを見るのは誰だって嬉しくなるだろう。
また、一度バッドエンドを迎え、絶望した後に希望が射し込み、
そこから立ち直りハッピーエンドで終わる真のエンディングを迎える、という展開は非常に燃えるものがある。
「エンターテイメントの基本は笑顔とハッピーエンド」という作家がいるほどに非常に前向きで読んでいて気持ちが良く好む人も多い。
ただ、その話の展開が安直すぎたり無理矢理すぎると「ご都合主義」と揶揄されたりもする。
最近の作品ではハッピーエンドとは別にトゥルーエンドがあり、ハッピーエンドが一つの可能性に置かれるものもある。
氏曰く
「物事は何もしなければ総じて悪くなっていく。どう転んだところで宇宙が冷えて行くのは止められない、
"理に適った展開"だけで積み上げられた世界はどうあっても
エントロピーの支配から逃れられない」
「故に物語にハッピーエンドをもたらすには条理をねじ曲げ、黒を白と言い、宇宙の法則に逆境する途方もない力を要求する。
そこまでして人間讃歌を謌い上げる高貴な魂があってこそ
物語を救済出来るのだ」
とのこと。
(もっとも、この言葉は「そんな意識があるから自分がうまく書けない。ハッピーエンドに持っていける作家はすごい。」
というような意味の内容につながっているので別に氏はハッピーエンドを批判しているわけでは無いのだが)
文学や芸術の領域では、上記の虚淵氏よりも遥か昔からハッピー(喜劇性)批判・バッド(悲劇性)賛美がなされてきており、それに対する返答や反論も数多い。
例えば「飛ぶ」ことの理非善悪にこだわる態度に対して、次のような言葉がある。
鳥は、行くところへ行こうと思って飛んでいるだけなんで、何も空を飛ぶことが永遠につながると思って飛んでいるわけじゃない。
(D.H.ロレンス『息子と恋人』1913年)
あるいは、そもそも世界を二元論的に認識することに対して、次のような指摘がある。
喜劇的な見方では、植物の世界は庭園、木立や公園、生命の樹や薔薇である。
悲劇的な見方では、それは不吉な森、荒野や原生自然、クリフォトの樹である。
(ノースロップ・フライ『同一性の寓話』1963年)
これらは、ハッピーかバッドかの二分をする感情主義に対してリアリズム(写実主義)の視点から浴びせた言葉である。
物語にリアルな説得力や迫真性を持たせるリアリズムの立場に立てば、
物語がどんな結末を迎えようがリアルには結末も「
最後の審判」も起こらない、という論理的・数量的事実を認める必要がある。
現実とは
物理学の法則や数式通りに延々と運行している"理に適った展開"であって、そこには呪いも救いも無く、ハッピーもバッドも無い。
たとえ「宇宙の終焉」仮説(エントロピー増大による宇宙の熱力学的死など)が実現しても、科学的にごく自然な出来事が発生しただけである。
ハッピーやバッド等と分類した結末の描写を嘘臭いと批判するリアリズムの傾向は、19世紀から加速した自然科学の発達に伴っている。
これは「脱神話化」「脱宗教化」「合理化」とも呼ばれる。
第一に幸福か不幸かという判断は感情に大きく根差しており、ロマン主義的括りに捕らわれていることを自然科学が浮き彫りにし、批判した。
文芸もその影響下にあり、感情よりも理性を、印象よりも分析を用いることで説得力をもたせようとした。
このような実証主義や数量化に基づく傾向によって、宗教やロマン主義、ファンタジーは不条理な迷信、宇宙の自然法則をねじ曲げたかのように見せる「嘘」として、
大きく地位を引き下げられたのである。
確かに現実はそんなに甘くなく「こんな上手くいくわけねーよ!」と言ってしまえばその通りである。
だが、だからこそ人はハッピーエンドを望むのではないか。
あの「水戸黄門」だって、ご都合主義だの予定調和だの言われながら、未だに根強い支持を受けているじゃないか。
ほら、
某病弱娘さんは「物語の中でくらいハッピーエンドがみたいじゃないですか」って言ってたし。
アーカムシティの
とある貧乏探偵はバッドエンド丸分かりな脚本のリテイクをヘボ監督に要求し、力づくで押し通した。
なんか違うか? なんか悪いか? 問題があるか?
なお、ある作家曰く、
「一流のハッピーエンドを描くのは一流のバッドエンドを描くことの数倍難しい」とのこと。
あるアニメ作品のノベライズでアニメの悲劇を覆した事を作者は後書きで、
「一流の悲劇を三流の喜劇に改悪した行為だが、これで一流の悲劇を見た後のやるせなさを少しでも癒して欲しい」というような事を語った。
かなりの余談だが、「ハッピーエンド」の上をいく「ベストエンド」というものがある。
さらなる余談だが、その年の関東地方中央競馬最終競走となる、
中山競馬場第12レースは「ハッピーエンドカップ」(プレミアム制時代はハッピーエンドプレミアム)という、
サラブレッド系三歳上2勝クラスのハンディキャップ競走があるが、例年堅い決着が少ないため、
ハッピーエンドで終わる人と終わらない人の差が激しい特徴がある。
2017年以降は開催日程が変更されたことから、ハッピーエンドカップは行われていなかったが、
2020年久々に行われることになっている。
「
うしおととら」「
からくりサーカス」の作者である
藤田和日郎氏はうしおととらを構想した理由についてコミックス1巻で、
「小さいころに読んでもらったマッチ売りの少女のお話が大嫌いだった、女の子があまりにも救いようのない最期を遂げてしまうからだ。
それを救うようなキャラを描きたかった」
ということを語っていた。
しかし連載後期においては、
「漫画を描いているうちにマッチ売りの少女の物語が大嫌いだった本当の理由が分かった。
それは少女自身が自分の悲惨な境遇と向き合って戦おうとしていなかったからだ」と語った(どちらも意訳)。
ハッピーエンドとはどんな絶望的状況でも必死で立ち向かって得てこそ価値がある、というものである。
実際藤田先生(と、富士鷹ジュビロ先生)の作品はそういう過程を置いてからのハッピーエンドとなる事も多い。
ガチャピンなる恐竜のモデルとなったとあるSF作家は自著の後書きで、マッチ売りの少女と人魚姫の結末を熱く激しく否定した。
無理やりだと、滅茶苦茶だと、話が破綻すると分かっていてもハッピーエンドに変えるための手段の一例を自著の「著者の御挨拶」で披露してくれた。
ハッピーエンドをその手で掴もうとする人たちを救う人たちが、ヒーローたちがいてもいいじゃないかと言わんばかりに。
だからこそ人はハッピーエンドを望み、それを実現してくれるヒーローの存在も望むのかもしれない。
「追記、修正が行われる?
ふっ…、子供じみたおとぎ話だ」
「だが、こんな世の中、おとぎ話が現実になってもいいとは…思わないかね?」
中山競馬場「どこがハッピーエンドだー!」
こうしてwiki篭りたちはいつまでも幸せに追記・修正しましたとさ。
おしまい。
- 個人的には多少強引でもハッピーで終わる作品が好きだな。鬱やバッドも嫌いじゃないけど、『IF扱い』でとことん救いが無い結末を見るのは大好き -- 名無しさん (2017-02-10 23:35:10)
- 昔は救いのないENDも好きだったけど、今はそういうのがあふれかえりすぎてて逆に食傷気味になってる。ご都合主義でも何でもいいから健全懲悪ハッピーエンドで終わる作品はないのか……かんぜんちょう -- 名無しさん (2017-02-14 02:33:58)
- ↑「三流の喜劇よりは一流の悲劇」という作品もありますね。そういった作品は三流の悲劇で終わってしまう場合が多いように思います。 -- 名無しさん (2017-04-02 13:24:16)
- バッドエンドは高尚!ハッピーエンドは陳腐!と信じてやまない自称通な人達の声が大きいから… -- 名無しさん (2017-04-02 16:59:28)
- 打ち切り作品「ハッピーでもバッドでも…エンディングがあるだけ幸せだと何故気付かないのか…」 -- 名無しさん (2017-04-02 17:06:23)
- ↑バルディオス「前編だっつってんのに『完』って入れられた作品の気持ちを考えたことがあるのか、と」 -- 名無しさん (2017-04-02 21:43:48)
- ↑真仮面ライダー「序章で終わった俺もいるが……ついでに見た目もアレなせいか仮面ライダー特集でちょくちょく無かった物にされるが?」 -- 名無しさん (2017-04-02 21:55:41)
- ↑トーキング・ヘッド「終わることができれば、なんでもハッピーエンドだと思いますが?それにいずれフィルムは変色し摩滅し燃えてとけてなくなる」 -- 名無しさん (2017-04-25 12:26:12)
- 基本的に誰かが幸せになった分だけ他の誰かは不幸になるもんだからねえ。その不幸を被る役を悪役なり過去の人物なり劇中に出ない人物なりにうまく押し付けるのが違和感の無いハッピーエンドを迎える条件だと思っている。 -- (2018-05-31 10:36:15)
- バッドかハッピーかどっちか選べならハッピーが好きだけど、個人的にはどっちでもない「さあゆくぞ!」系が一番好きかも。生きてるんだったらまだまだ結末なんて要らんでしょ -- 名無しさん (2018-06-29 17:01:16)
- リアリティとやらは良いけど、それをエンディングまで引っ張るのはやめてくれ、バッドエンドは辛いんじゃよ -- 名無しさん (2018-07-27 21:40:07)
- リアリティ考えるならビターエンドくらいが好みかな…物語の世界でくらい救いや消えない希望があってもいいじゃないか -- 名無しさん (2018-08-21 19:31:04)
- 主人公が巨悪を倒してハッピーエンドを迎える裏で、「正義の味方」に我が物顔で踏み躙られた哀しき悪役たちのバッドエンドが有ることを忘れてはならない… -- 名無しさん (2018-09-24 14:55:57)
- ↑悪役にもハッピーエンドを。良い題材だな。 -- 名無しさん (2018-09-24 18:34:00)
- 敵も味方も全員救う作品だって無くは無いはず -- 名無しさん (2018-09-27 23:36:17)
- 「悟空道」では天竺のお釈迦様から得た有難いお経を使って小悪党かつ外道キャラの率いる妖魔軍団を救ってたな。まあ道中で敵や味方やモブに散々死人が出てるけど -- 名無しさん (2018-09-28 08:38:55)
- 名有りのキャラは敵も味方も誰も死なないヒロイック・エイジ。見えない所でモブが沢山死んでそうだけど -- 名無しさん (2018-11-20 08:15:06)
- 中山競馬のところ変えたほうがいいんだろうけど、消しちゃうのももったいないなあ… -- 名無しさん (2020-04-03 00:15:09)
- ドラえもんで人魚姫の話を悲しいとベソ子が泣いたのでハッピーエンドに変えたら今度は話が全然違うと泣き出したという・・・ -- 名無しさん (2020-05-16 13:38:55)
- みんなハッピーエンドが好きだ。でもいつもそう上手くはいかない。多分今回も…。君がこのメッセージを流すのはお祝いの時がいいな。皆の家族が元に戻って、地球が平和になった時…。もっともこの星にそんな時があったかは甚だ疑問だが。まったくこの星は…。 -- 名無しさん (2020-06-21 13:21:22)
- 宇宙大元帥の「著者の御挨拶」って、何に載ってた内容なんだ? -- 名無しさん (2021-08-10 17:09:52)
- ガンパレードマーチのSエンドだったと思うけど、「多くの物語がそうであるように、この物語もこの言葉で終わるのだ。すなわち、めでたしめでたし、と」は名言。 -- 名無しさん (2021-08-26 20:48:20)
- 誰も死なず胸糞悪くもなくだけどバッドエンドであるという悲劇が一流のバッドエンドって気がするけどなあ…バッドエンド書くのは簡単だからこそ簡単だじゃないハッピーエンドに惹かれてしまう -- 名無しさん (2022-01-20 10:00:00)
- みんなハッピーエンドを望むけれど、世の中そんなに甘くない。どんなに頑張ったって結局はほんの少しのミスで全てバッドエンドに到達するからだ。だからと行って「諦めよう」と思っては行けない。バッドエンドに立ち向かう「真実へと向かう意志」こそがハッピーエンドを切り開くのだから。 -- 名無しさん (2022-03-14 14:55:27)
- ログ化を提案します。 -- 名無しさん (2022-08-07 21:32:29)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2023-04-11 10:34:05
- よし!ハッピーエンドだな! -- (名無しさん) 2023-04-12 12:10:45
- ご都合主義や綺麗事と言われても、登場人物まるっと含めてのハッピーエンドも好き。敵すら救って自分達の問題も解決、敵とも共に歩んでいくって素敵よ。リアリティ? 現実こそこれを目指さなくてどうする!! -- (名無しさん) 2023-06-12 11:55:11
- 海外の人にハッピーエンドは文法上おかしくて、ハッピーエンディングが正しいと善意からネチネチと絡まれたので、不本意ながらハッピーエンディングと呼びましょう。 -- (名無しさん) 2023-06-13 13:00:32
- ハッピーエンドで終わったのに続編作っちゃうと大抵が色んな意味でバッドエンドに -- (名無しさん) 2024-03-06 11:00:51
最終更新:2024年03月06日 07:43