同人誌

登録日:2012/06/01 Fri 20:07:52
更新日:2023/10/09 Mon 19:39:21
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同人誌とは。「個人か同じ志を持った集団のみで独自に製作した本」のことである。
つまりは自費出版本。

通常の自費出版本と異なるのは、出版社を通さずに完全に独自に発刊する本である事。
その為ISBNもバーコードもなく、一般書店で置かれる事はまず無い。
まぁ酔狂な個人やサークルならば自分(サークル代表)名義でISBNの発行権を取って(数千円~数万円単位で金がかかる)たりするがかなりのレアケース。

とりあえず「同人誌=アニメとかのエロパロ本の通称」的な想像する人も多いだろうが、あくまでそれは同人誌の一ジャンルに過ぎない。
同人誌の定義は、冒頭でも記した方法で発刊された書物全般を指す。
たとえば俳句とか文学系の人に「同人誌」とだけ言うと全く違うものをイメージされて話が根本から食い違うので気をつけよう*1
(互いの活動分野を知らないままそんなシチュエーションになることもないだろうが)

それ故種類も多岐に渡り、一般的に知られている漫画以外だと小説・評論・エッセイ・写真集・旅行記・研究書等々もあるが、ここでは比較的ポピュラーな漫画の同人誌について説明させてもらう。

「薄い本」とよく言われるが、多くの同人誌は10P、20P程度のモノが多く確かに薄い。
何故薄くなるのかというと、商業ベースよりも印刷コストが非常に高くつき、商業用のコミックのように100P、200Pを作るとなるとバカにならない印刷代が掛かるからである。
また作家の大半が日中の仕事の合間を縫って執筆している形である為、イベント間のおよそ数カ月程度の期間ではそれ程多くは描けないのもある。
もちろん厚い本もあるが、その場合薄くない薄い本とか呼ばれる*2
中には764ページという辞書に匹敵するレベルの本もある。やはりというか大体は下手な辞書なんかより高価。

主な入手経路は作者が直接販売する同人誌即売会、委託販売の同人ショップの2つが入手ルートとなる。ただしこれは都会の話。
田舎住まいでは取り扱うショップが殆ど無い為、ネット通販や中古取扱店を利用するか、自分の足で即売会に向かうことになる(所謂『遠征』)。


◆二次創作と著作権

完全オリジナルの一次創作には関係ないことだが、他人の作品を基に創作されたいわゆる「二次創作」では逃れられぬ問題
本来、他社の著作物を個人利用の範疇を超えて利用する場合、一部例外を除き*3著作権を持つ人物・もしくは団体(出版社など)から許諾を取らなければならないのだが、一個人であるサークルが申請したところでほぼ門前払いな為*4
結果として、殆どは無許可で描いて世に広めている。

こうして作られた同人誌などは著作権法上では 「二次的著作物」 と呼ばれ、「(同人誌の)作者が独自に創作した箇所*5」に於いての著作権は認められているが、大元の著作者側の権利を無視して正当性を主張出来るものでは到底なく、著作者*6の裁定ひとつでいつ訴訟されても文句が言える立場ではない。
端的に言えば、(許可されている作品を除いて)二次創作作品の頒布は法律的には真っ黒な違法行為である
無論、起訴されればこちらに100%非がある以上、訴訟沙汰に発展してしまえば、ほぼ確実に敗訴し著作権違反*7で罰金または懲役刑を受けた上で前科一犯がつく}。
場合によっては示談成立による不起訴もあり得るが、それでも多額の示談金を払うことになるだろう。
実際、過去に同人・商業問わず企業から略式起訴や指し止め請求を食らった件などがあるが、詳しくは本家Wikipediaの親告罪や著作権、或いは封印作品の項目を参照。

では何故版元から訴訟の絨毯爆撃が行われ新聞やニュースを賑わわせていないのかというと、''著作権は基本的に「親告罪」*8であり、版元が訴えなければ成立しないからだ。
また、著作者側としたら
  • 個人ファンの活動をいたずらに締め付けたくない
  • 個人相手にいちいち働きかける人的・経済的リソースが無い(一度通報・摘発すれば全て当局にお任せ~という訳にはいかず、緻密な対応や裁判費用を求められる)
  • 二次創作が広まることで、多少の広告効果が見込める( ただし、メーカー側は基本的に頼んでないが )
  • 二次創作を許容することで、ユーザーフレンドリーかつ寛容な著作者を演出できる
  • 二次創作を通じて有望なクリエイター育成・発掘したい、またその機会が減る事への懸念
…など、様々な理由で実質「黙認」しているのが現状。
黙認する側の立場を平たく言えば、
「お前ら有象無象の連中の為にいちいち面倒な責任とりたくないから公認はしないけど、俺らの商売に迷惑かからない範囲でなら好きにやっててよ」
といった所である(全権利者の共通認識ではない点は注意)。

中には二次創作における独自のガイドラインなどを設けて、ファンとの一定の秩序と距離を保とうとする著作者(人物・企業)も増えてきており、
特にみんな大好きVOCALOIDを手がけるクリプトン・フューチャー・メディア社、二次創作の大宝庫たる東方Projectを制作している上海アリス幻樂団や艦これを運営する角川アーキテクチャ、ニトロプラスなどは非常に明確な二次創作ルールを掲げており、『魔法先生ネギま!』などでお馴染みの赤松健氏が同人イベントなどでの二次創作の使用を一部認める旨の「同人マーク」を考案し自著の作品で採用し、近年色々な作品に広まりつつある。
コブラを始めとした寺沢作品の著作権管理会社ではとあるMADムービー*9に「あ、これは好意的に使われていて、より多くの人が我々の作品に触れる機会になってるな」ということで 積極的黙認 という実質認定を行っていたりする。
二次創作という文化自体はかの業界大手の小学館や集英社、果ては文化庁も一定の理解を示している。
ただ同人業界は年々拡大の一途を辿っており、何より2018年にTPP関連法案国会審議に基づく著作権の非親告罪化規定が施行される事が決定された事なんかもあるので、いつか二次創作を行う作家の一斉逮捕みたいなのが無いとは言い切れない。
これに関しては同人誌の作者のみならず版元側からも「黙認する自由が奪われる」という懸念の声があり、上記の同人マークはそんな事態への対策で生まれたものである。

近年は、二次創作において同人活動の域を超えた営利活動を疑われるほどの、大規模な生産・頒布を行うサークルもしばしば現れるのが問題視されることもある。
また、entyやFANBOXのような作者への資金援助を募るサイトなどで、二次創作のイラストなどを提供するなどのケースが増えており、二次創作で明確な利益を得ているのでは?という声も出ており、新たな懸念材料になっている。
こちらは「二次創作のコンテンツそのものの売買ではなく、それを提供する作者の技術や作者本人への投資という形なので(商品の売買とは異なり継続的な契約となる月額制である事もあって)、二次創作への支払いではない」という解釈がある。
しかし、一部作品は過去に有料記事として掲載した作者に掲載を中止するよう勧告する…などの事件もあり、
{最終的な判断は著作者側に一任されている状態}である事は念頭に置こう。

逆にディズニーサンリオ・コナミ・任天堂知的財産部(元法務部)・サザエさんの作者…など、{二次創作に否定的な姿勢をとるメーカーや作者も少なくない。
ネット上では批判されがちだが、本来著作権に対する意識が高いことは悪いことではなく、むしろ正しい姿勢といえる。
例を挙げるとウマ娘は、諸事情*10から公式側が二次創作に対し強い警告を発していたりもする。
ただし、任天堂の岩田聡元社長は 「社会的に見て当社の知的財産の品格・価値を貶(おとし)めるものはダメだが、かといって好意で作られたものですら取り締まるのも不適切。どう判断するかは第三者の通報を見てから考える(意訳)」 という応答を2010年6月29日(火) 第70期 定時株主総会にて出しており、これらのメーカーが二次創作を何でもかんでも否定的に捉えている訳でもない

なお、著作権法違反は基本的には親告罪ではあるが、「著作者名詐称(自作発言など)」「海賊版(録画したアニメやコピーしたCDを配布する、漫画を丸々アップロードする、TCGやフィギュアの不正コピー、偽造品なども含む)」などは例外になっており、当局の一存で手錠をかける事が出来る(実際に逮捕者も出ている)。特に後者はより重い不正競争防止法が適用されより厳しい刑罰を受ける。

また、ガイドライン上で二次創作を許可している作品であっても、公式のコンテンツをそのまま使用・加工することは禁止していることがほとんど。
例を挙げると「公式の3Dモデルやプログラムを流用したゲーム(MODなども含む)」「アニメの映像を使ったMAD」「原作漫画のセリフや画像を変えただけの作品(コラージュ)」「原作の主題歌やBGMをサンプリングした音声作品」などが挙げられる。

これに関連して、よく同人誌のあとがきなどには「版元とは無関係」「オークション出品・無断転載(アップロード)の禁止」を掲げている。
後者に対しては「他人の作品を勝手に使っておいて、自分の同人誌は勝手に使うなってそんな屁理屈まかり通ると思ってんのか?」などと非難を浴びがちだが、 断じて自分の作品可愛さ・儲けが減る事への自己保身の目的によるものではなく、むしろ頑なに通さなきゃそれこそ版元に更なる迷惑をかける。
繰り返すが、二次創作というのはメーカー側が公式に認知していない作品であり、「限られた人の閉塞的なコミュニティの間だけで楽しむ代物」だからこそ黙認という形をとっていると言っても過言ではない。
しかし、無差別にアップロードされたりオークションなどに出品され、同人を知らない人達が見て原作関連の商品と誤解されようものなら、原作のイメージや企業活動にも関わる事態になりかねない(特に同性愛や18禁要素を持つ二次創作作品)。
そうなるとメーカー側も本来やる必要のない規制や活動などで余計な労力を強いられ、ファン活動の自由度も狭まってしまい、双方共にいい事が全くない。
なので、「原作とは無関係な代物である」事の主張は必要であり、いたずらに存在を広められないように警告するというのは、今現在まで続く同人と企業の距離感を保つ為に当たり前な「義務」なのだ。
また、批判の中には「俺らに好き勝手に転載とかされても文句は言えない立場だ!だから遠慮なくアップロードするぞ!」などというものがあるが、上記の通り、海賊版のような不正コピー商品でない限り二次創作には同人誌の作者にも一部とはいえ著作権が認められており、少なくとも完全な部外者である第三者が好き勝手に扱える代物でない事には変わりない。
これをご覧になっている諸君が同人好きと自称するならば、断じて無断アップロード・オークションへの出品・同人を知らない者にみだりに見せたりしないようにしよう。
まして、学校やら電車バスに持ち込み堂々とドヤ顔で開く、誰彼構わず読ませようとするなど言語道断である。本人と同類以外の人間にとっては凄まじく痛々しいだけだし、刺激的な表紙だったりしたら余計な誤解や顰蹙を生むわ、いいことが全くない。

また、中には真鍋譲治氏みたいに自身が過去に出した商業作品のエロパロを描く猛者も存在している。
もちろんこの場合は作者の一時創作の延長に当たるので、その作品を出した出版社以外に止める事は不可能。
2021年には二次創作禁止の同人イベント「コミティア」に「ネギまと宇崎ちゃんと妖精騎士ランスロットの同人誌が出た」と話題になった。
ルール違反だろ!運営何やってんだよ!?という声もあったがそれぞれ作者が赤松氏、丈氏、CHOCO氏…要するに原作者ご本人なので一次創作扱いである。
いいぞもっとやれ。
二次創作の同人誌全てが儲け主義でないことは留意して欲しい。もっとも、許諾をとってない以上儲け主義でなければやっていいという訳ではないが……


◆同人誌の作者

同人誌の作者はアマチュアだけではなく商業デビューしているプロの作家もいる。もしかしたら君の好きな漫画家やエロゲの原画師も描いてるかもしれないぞ!萩原、仕事しろ!
この場合「商業用作品の外伝」(『Historica Double Divine Dominion』等)や「未完になった商業作品の続編」(山田ミネコが『最終戦争伝説』シリーズの続編として執筆中の「パトロール伝説」等)もある。

何千部も同人誌が売れているサークルは「大手サークル」と呼ばれる。

流行りのジャンルなら儲かるんだろ?といった声はあるが、 利益の出るサークルなど極わずか…の中の更に一握り
決して安くない出版代、同人誌即売会の参加費、交通費、更には画材やイラスト(漫画)制作ソフトの購入費など諸々は全部自分持ち
その元を取り戻す為には何百、何千部も売りさばかなければならない。
そして考えることはみな同じという事で、数多のサークルが旬の作品が出てくるたびにそれに飛び込む為、 結局はサークルの実力のみならず知名度・営業力などがモノを言う事には変わらない
見る側も決して馬鹿ではなく、実績あるサークルや余程諸君のドツボにハマるジャンルで描きでもしない限りは、ただイラストや漫画が上手い…だけでは幾千とあるサークルに埋もれてゆくだけである。
これだけアニメが量産されれば廃りも早く、流行が終われば紙媒体と言えど売れ残れば生物同然となり、腐って売れなくなってしまう危険性もある。
まして 二次創作では上述のとおり、下手に多くの部数を捌いてしまうと版元にマークされるリスクがある
単に金儲けがしたいなら素直に働くなり専用サイトなどで有償依頼を募集した方が確実。

一次創作の場合は、商業作品というのネームバリューが無い分更に苦しい。
殆どのサークルが趣味程度の活動というのが実際の所だが、所得を隠す程に儲かっているサークルがいるのも事実である。
ただし、所得隠しは脱税行為という立派な犯罪なので、同人云々抜きにして日本に住む者として儲けたらその分ちゃんと申請して納税し、納税の義務をしっかり果たそう。

サークルの中には趣味やマナー関係無く、ただ儲ける為に参加する所謂『同人ゴロ』が存在する。
とりあえず流行の作品のエロを描いておけばいい的なノリで、Wikipediaなどの解説や1話を見ただけ……ならまだしも、その作品の事を禄に知らない調べない、MAD動画やネット上のネタ漫画などを軽く流し見した程度の知識でエロパロを執筆していたりする。
大抵作品の設定やキャラの一人称、表面上の性格といった基本知識すらすっぽ抜けているので、最早そのキャラのコスプレをした女がキャラに半端になりきってるエロ漫画レベルな代物も多い。
(過去には発売前のゲームキャラの二次創作同人を出そうとした恥知らずなのか剛の者なのか解らない者も居たが、流石に抗議の声が相次いで撤回された)
ろくに会話もなく即落ち2コマの如くヤってるのだけならまだしも、中途半端に原作を意識した前後のやりとりがあるものでこれだと萎えるだろう。相手がモブでなく原作キャラ同士のカップリングの場合には呼びかけが違う*11、原作では仮に銃口を突きつけて脅されてもしないだろう馴れ合いに興じて終始イチャイチャしていたり……なんてこともザラ。
原作のシーンから派生したシチュエーションにした作品でこれをやられるとコスプレですらない誰おま状態である。


◆価格

こればかりは相場というものが無いに等しく、無料配布からウン千円するものまで様々。
500~1000円ほどの物が多いが、あくまで目安。強いて言えばイベント会場で20ページ前後で500円、というケースが比較的多め。
販売するときの目安としては、印刷代÷部数+画材や原稿代etc……で考えると良い。

上記にもあるように、同人誌はナマモノなので、ブームが過ぎると売れなくなる為、値下げをするケースもある。

どちらにしても、商業誌と比べて高額だが、慣れてくると金銭感覚が麻痺してくる。
24ページで500円が安いか高いか、それは貴方次第。

同人ショップに委託販売されると店舗への手数料が上乗せされ若干高くなることが殆ど。


◆内容

ここでは主に漫画や小説といった読み物系について扱う。

商業作品との大きな違いは、「売上や一般ウケを意識する必要が無い事」であろう。
商業誌は消費者に買ってもらう(=利益を上げる)事が目的である為、作者には必ずそれを軌道修正する編集担当などが付き、作者がどう足掻いても一般ウケしないあまりにアレな展開や設定を繰り広げようとした際はそれに待ったをかけて軌道修正をかけられるため、作者が思ったようには描けるとは限らない。それで編集者と喧嘩別れ・或いは打ち切りの憂き目にあった作者も数知れず。
しかし完全に個人の範疇で終始する同人誌にそういった制約が無く、基本的に作者が好き勝手に描ける。そのため同じジャンルであっても商業誌のそれとはだいぶ中身や作風が変わってくる。
商業エロ作品では一般ウケを意識して余計なプレイややりとりが挟まれ萎えるが、同人作品では特定のプレイに完全に徹底していて性癖ドンピシャ…というハッピーエンドも数多い。

ただし、この辺は一長一短であり、一概に自由に描ける同人の方が優れているとも限らない
商業作品は編集者などの第三者が携わることで、作品を客観的に評価してもらえるため、作者本人が気付かなかった悪い部分を指摘してもらうことができる。
それがない同人では、作者のノリなどが理解できる人でなければ怪文章や電波にしか見えない展開やキャラ、主にエロ系で 表紙と中身でやってる事が全く違い、表紙に釣られて買ったのは良いが中身で絶望した なんてケースも多々。
「フリーダムに描ける」が吉と出るか凶と出るかは作者のモチベーションやノリ、そして読者の感性、それらとの噛み合わせ次第なのである。


◆種類

大きく分けて、オフセット本とコピー本の2種類。

・オフセット本

通称「オフセ」。
印刷所に依頼して作成される本。同人ショップで売られている、大半の本はこれ。
料金はかかるが、綺麗な仕上がりで、表紙の一部を中抜きしたり、箔押ししたり、袋とじができたりと、凝った本を大量に刷れる。

・コピー本

名前の通り、自宅やコンビニのコピー機で刷る本。
小数部しか作らない時や、印刷所の締切や新刊そのものがどうしても間に合わないときの緊急用等に重宝される。
コミケ等の巨大イベントではかなり困難が伴うが、小さな即売会などなら部数を読み違えて足りなくなったので近所のコンビニに走って原本をコピーしてくる、ということもままある。

質は…まあコピー機クオリティだが、すぐに作れる手軽さもあり、頑張れば凝った本もできる為、初心者に人気がある。

コンビニでコピーした後、コピー機にエロ同人の原稿を忘れると目も当てられないことになる(世間体的な意味で)。

また、大手サークルも、次の新刊の予告やつなぎ、その他突発的に出すときもある。
同人ショップにはまず並ばない為、ファンの間ではレア本としてプレミアが付くケースも稀にある。

いずれにしても、手に入れたいなら即売会に通いつめることが大切。予告なく急に出す時もあるし。


◆同人誌を売る

さて、主に買い手側目線を中心に解説してみたが、売り手(作り手)側についても解説してみよう。

まず、原稿の執筆。
アナログであれデジタルであれ、ある程度のクオリティを望むなら、それなりの出費は必要である。
中には鉛筆だけですごい作品を作り上げる者もいるが、ごく僅か。
あなたがどんなに鉛筆画が上手で社会的な実績をお持ちであろうとそのうちの1人になれる保証なんて全く無いので、誰に見られず完全赤字でも鉛筆スタンスを貫くぜ!な絶対的な覚悟が無い限り素直にちゃんと機材をそろえるべし。

続いて、上記の印刷の種類を選ぶ。
オフセなら、印刷の種類とページ数、オプションはどうしようか。
表紙はやはりカラーが見栄えがいいが、値段はかかる。当たり前だが箔押しや変型は更にかかる。
部数は多すぎないかも重要。いきなり300部なんか刷ったら、しかもそれが売れ残ったら……ガクブル。

そして締切は絶対厳守。
大抵印刷所の方で「このイベントに間に合わせるならこの日までに入稿してね」と設定されているので、それが締切となる。
ただし、あくまで 原稿が印刷所に届いた日 になるので、郵送する場合はそれにかかる日数も考慮しなければならない。
オンライン入稿の場合でも「締切当日の○時まで」と設定されていることが多い。
1日2日なら割増で対応してくれる場合もある(いわゆる「特急料金」)が、ただでさえ安くない料金にさらに上乗せされることになるし、印刷所にとってもスケジュールが狂ってしまうことになるため、最後の手段と考えよう。
逆に早期入稿すれば割引してくれたりもするので、余裕を持ったスケジュールを立てるべし。

常に自分の身の丈を意識しなければならないのだ。


コピーはイベント当日ギリギリまでなら大丈夫だが、製本という、只管紙を折ってホッチキスで止める作業が待っている。
表紙含めて20Pを50部なら、1000Pを折って、止めて、折って、止めて……。
夜中になると脳内に変な汁が出るぞ。


本ができたらいよいよイベント。
サークル参加費は地域やイベントによって様々。中には1万越えることも。

晴れてイベントで完売……ならいいが、現実は甘くない。
うっかり隣が大手サークルなら、買い手が自分のスペースの前まで溢れて、存在が埋もれてしまう可能性もあるし、来場者の傾向によっては見向きもされない。
東方の男性向け作品で参加したら、来場者の大半がまさかの女性だったりね。

よほどの大手でもない限り、何回も会場で本を頒布し、在庫を消化しないといけないのだ。


という訳で、基本ほぼ赤字である。でもその程度ではへこたれない。

そこにキャラがいるから
ネタを思いついてしまったから
描くのが楽しいから
自分の漫画で笑ってくれた人がいるから

そして何より

その作品が大好きだから……


俺が描かなきゃ
誰 が 描 く ! !




追記・修正は好きなキャラの同人誌で抜いてからお願いします。

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最終更新:2023年10月09日 19:39

*1 項目冒頭のやり取りも、「短歌(リアリズム)か文芸(ヒューマニズム)か」という質問とカップリングの話が食い違うギャグ

*2 厚い本の場合、相応の執筆期間が掛かっていることも多い。

*3 色々とあるが、『個人利用の範疇』『国立国会図書館など一部認められた図書館での保存・利用者の為の複製』『教育・試験目的の為の使用(ただしこちらは著作者への通知と補償金の支払いが条件)』『引用目的(転載禁止のコンテンツは除く)』…など。詳しくは文化庁のHPにて。

*4 許諾するという事はそのメーカーの管理下に入るという事を意味し、万一その作品による苦情が来た場合は出版社側も対応しなければならなくなるなど重いリスクを伴う事になる。信頼と実績ある団体相手なら兎も角、どこぞの馬の骨とも分からない個人相手にそのようなリスクを負う必要性は問うまでもないだろう。またイベント直前などになると数百規模のサークルに許諾をする必要も生じる事になり、作品によってはそれらの保守管理だけで一大部署や子会社が作れてもおかしくない。

*5 同人誌の作者が描いたイラスト、オリジナルキャラクターや設定の権利そのもの、独自のストーリーなど。

*6 著作者が指定する代理人・著作権管理団体なども含む。

*7 より正確には翻案権&同一性保持権の侵害。

*8 法改正より、一部が非親告罪化されたが、これは悪質な海賊版(原作の複製や違法アップロード、公式の画像を用いたグッズなど)を対象にした改正であり、二次創作を立件できるかは疑問視されている。

*9 インタビューでアイマス×コブラと具体的に名前を出している。これに引っ掛けたのか以前ニコ動で行ったコブラ一斉放送の宣伝文句で「アイマスじゃねえぜ!」と返したのは一部で話題となった。

*10 元ネタとなえる競走馬に様々な利権が絡んでいるため。

*11 君付けで呼んでる相手を呼び捨て、あんた呼びをしている筈なのに君付けだったりetc……