ガミラス帝国

登録日:2009/10/21 Wed 02:07:56
更新日:2023/10/03 Tue 17:29:35
所要時間:約 25 分で読めます




デスラー総統バンザーイ!

ガーレデスラー!総統バンザーイ!


ガミラス帝国とは、宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する星間国家である。



【概要】


大マゼラン星雲を支配する強大な軍事国家で、「ガミラス」は国号・惑星名・勢力名を兼ねる。

国家元首はデスラー総統
帝国らしく主権を総統に集権されており、軍事面での存在感は圧倒的。このため作中ではデスラーの活動とガミラスの活動はほぼ同義である事が多い。

ガミラス本星が惑星の寿命を終えようとしていたため、移住先として地球を対象に選び、冥王星からの遊星爆弾による攻撃で地球を放射性物質で汚染し、人類を滅亡させて移住する侵略戦争を仕掛けてくる。

地球征服を目前としていたが、イスカンダルのスターシャの協力を得た地球人が建造した宇宙戦艦ヤマトの反撃を受けて滅亡する。

続編では残存勢力を集め、滅亡から再興までわずか6年足らずでガルマン・ガミラス帝国として再興する。
2年で死の惑星が完全復興する世界観なので問題は無い。

ヤマトの最初の敵にして、完結編までシリーズ通して活躍するしぶとい勢力である。



【ガミラス星】


大マゼラン星雲、サンザー太陽系の第8番惑星。
イスカンダル星とは双子星であり、直径1万6,000km。
ガミラス帝国の主星であり、『ガミラス大帝星』とも称される。
長年の環境汚染による侵食作用によって惑星内部は空洞が広がり、地下大陸には山脈がそびえ、それを柱とする厚さ約10kmの岩盤の外皮が内殻を覆う。
西暦2199年時点では惑星としての寿命を終えつつあり、地底物質は急速に硫化現象が進み、火山活動の影響で海は濃硫酸大気は亜硫酸ガス、雨は希硫酸と、何でそんな危ない所に住んでるんだ総統。

要は割れた卵の殻で包まれたような星。
この辺の設定は第一作の23話で総統が語ってくれるが、その際の70年代当時のアニメとしては妙に詳細で説得力のある説明は必見。

首都は内殻星地上にキノコみたいなビルが聳え立ち、各ビルをチューブトンネルが繋いでいる帝都バレラス。

外殻星の地上側には天井都市がぶら下がる形で連なり、本土決戦では天井ビルはヤマトの頭上からミサイルとなって降り注いだ。
総統府はガミラス星全滅の折には脱出艦となり、デスラー艦としてイスカンダルからの帰還途上にあったヤマトを攻撃した。

本土決戦後は無人惑星と化していたが、2201年『新たなる旅立ち』において暗黒星団帝国によってガミラス星に埋蔵されている放射性物質「ガミラシウム」の採掘が行われていた。
故郷に別れを告げるため帰還したデスラーは、この光景を見て激怒し暗黒星団帝国を攻撃。この戦闘の余波でガミラシウムが誘爆し、ガミラス星は爆発、消滅してしまった。

なおこの件を総統のせいと勘違いする人もいるが、誘爆は暗黒星団帝国の護衛艦が自軍の採掘装置に誤射して起きた事である。
おまけに我が物顔で領土侵犯どころか死にかけのガミラス星を削る採掘を行っていたのは暗黒星団帝国であり、普通に開戦待ったなしの侵略行為。
「総統が開始した戦闘によって崩壊」といった見出しのような部分だけを見て勘違いした人が増えたものと考えられる。*1


ちなみにガミラス星が画面に登場すると、腹を下したような効果音が入る。



【戦力】


主に高機動戦法を旨とし、艦載機と見紛うような機動性で敵を翻弄する。
そのかわり防御は紙で、艦載機の機銃でもあっさり落ちる。
大マゼランを統一するほどの圧倒的な軍事力を持ち、3000隻の大艦隊で演習することも日常茶飯事。


艦隊以外にも、

  • 全長1kmを誇る、光速の7%で目標に向かっていく恐怖の超巨大ミサイル
  • ロングレンジで全方位攻撃可能な反射衛生砲
  • あらゆる物質を吸収、増殖するガス生命体
  • ガミラス版波動砲であるデスラー砲
  • 恒星クラスも崩壊に導く惑星破壊プロトンミサイル
  • ガミラスフォーミング用の遊星爆弾

等々、非常に強力な兵器を多数保有している。


【ガミラス人】


青色の肌を持ち、それ以外の外見は地球人とさほど変わりはないが*2、放射能汚染された大気に適応している。いつの間にかその設定は忘れ去られ、普通に地球人と同じ大気で生活するようになった。
かなり機械文明に依存しており、自分の身体を使った労働という観念が存在しないようで、デスラー機雷を手で除去したヤマトには「野蛮人の素朴な発想」と評して祝電を送った。
とはいえ、体自体を機械化してしまっている暗黒星団帝国よりはマシだが…
ボラー連邦が祖先を同じくするガルマン人に奴隷労働を強いていた場面を見た際には、総統から下級兵士まで大激怒して近隣のボラー連邦の勢力を壊滅させている事から、「肉体労働の強制」と言う仕打ちが「自分達の常識では想像もつかない虐待」に見えるようである。


『宇宙戦艦ヤマト』第2話から第10話までガミラス人の体色は地球人と同じに描かれていたが、第11話の総統デスラーが司令部への通路を歩くシーンで肌色だった皮膚の色が照明によって徐々に変化して最終的に青色になる。

「それまで肌色に見えていたのは室内照明のためですよ♡」と理由付けするシーンであったが、これは「肌色じゃイマイチ敵っぽくない」から。
タイタンで遭遇したガミラス人(ヤレタラさん)は何だったんだだろう・・・



【主なガミラス人】

ガミラス帝国総統。
詳細は項目参照。

  • ヒス
ガミラス帝国副総統。
デスラーにゴマを擦るお飾りだが、敗色濃厚になった際に総統に和平を進言するなど割と現実的な思考の持ち主。
2199ではお飾り副総統の面は変わらないものの最終的にはおいしい役どころとなった。

  • タラン
ガミラス軍将軍。
2作目以降はデスラーの側近を務め、最後までデスラーに振り回される苦労人。キャラデザが突然変更になったため双子説がある。
2199では本当に双子になった。

顎が割れた濃いデザインのガミラス軍将軍
ガミラス一の名将だが詰めが甘く運も悪い。
2199ではより高潔な人物として描かれ、詰めの甘さも無い。
が、相変わらず運が悪い上に最後の最後で詰めを誤った。

  • バーガー
ドメルの部下の一人。
『2199』ではドメル幕僚団の中で唯一、七色星団会戦を生き残り、劇場版『星巡る方舟』ではガミラス側の主役に抜擢。
尊敬していた上司や仲の良かった同僚を奪ったヤマトに対する憎しみから、召還命令を無視してボロボロの艦隊を率いてさまよっていた。
元カノの姉とかヤマト世界ではよくある元カノのそっくりさんとの邂逅を経て、ヤマトと共闘。
2202や2205にも参戦。

中間管理職の悲哀を感じる冥王星基地司令。
肌が青くないヤマト最初の中ボスだが、やはり詰めが甘い。
2199では肌は青くなく、かわいい娘がいる。

  • フラーケン
外見は古代の2P。ヤマトIIIに登場したガミラス軍人で、ヤマトに勝利した数少ない人物。
厳密にはガルマン民族。
2199ではガミラス人に変更。その実力でヤマトを追い詰める。

  • ゲール
バラン星基地の無能で悪趣味な司令。
2199では愛されキャラとして地位を手に入れた。

  • 下品な将軍
下品なジョーク(「……総統相当、冗談がお好きで」)でボッシュートされたおっさん。
ガミラスに下品な男は不要だ
ちなみに2199でも登場し、「ドーテム・ゲルヒン(とても下品、か??」という名前になった。

  • 美男司令
木星浮遊大陸基地の司令官。
公園のベンチで青いつなぎを着てそうないい男。ウホッ
ちなみに声優はデスラー総統。
2199にも登場、「サレルヤ・ラーレタ(される、やられた?)」という名前になった。


※TVシリーズ外のガミラス人

  • メラ
松本版コミック「永遠のジュラ」に登場。
デスラーの妻、正確にはガミラス人ではなくサイレン人という別種族。少々威圧的な美女だが、デスラーが「優しくていい女」とのろけるところから夫婦仲は良好だったもよう。
しかしサイレン人の能力として、周辺の人間の思考を読み取るばかりか相手の記憶に合わせて幻影を送ることまで可能だったため、困り果てたデスラーによって辺境の星に幽閉されていた。
まあ、母星が崩壊寸前で移住計画が進行中、と言う状況下では「勢力下の他の星に避難している」「避難民を護衛している」ガミラス人は多く、後に多数がデスラーやガルマン・ガミラスに合流しているので、境遇としては珍しくないのだが・・・。
いったいどうやって結婚にまでこぎ着けたのか非常に気になるところ。

  • ジュラ
同じく「永遠のジュラ」に登場。デスラーとメラの娘。
勝ち気なメラと違って穏和でおとなしい性格。両親の血を受け継いでかなりの美少女。
メラとともに辺境の惑星に幽閉されているが、自分の境遇を理解した上で、デスラーを尊敬しているとてもいい子。
デスラーもかなり気に病んでいるようで、通信では父親らしく心配した様子を見せていた。


  • ドル
小説版『新たなる』に登場する艦隊司令。
タランの相方。

  • コルサック
PS版に登場。シュルツの兄。
弟とはそっくりだが、顔の半分を機械化している。
戦場以外では生きられない根っからの武人で、老兵ばかりの艦隊を率いてヤマトに「死ぬための戦い」を挑んで来る。

  • シャベラスタ
コミック版に登場。
デスラー暗殺事件の際、唯一デスラーへの忠誠をあらわにしていた。要するにタランのポジション。

  • イローゼ
同じくコミック版に登場。冷酷な女性エージェント。
ドリルミサイルに乗ってヤマトに侵入し、光学迷彩スーツで身を隠しながら次々にクルーを殺害していった。
実はアニメにも登場予定であったが没になったキャラである。


【宇宙戦艦ヤマト2199シリーズにおいて】


リメイクである宇宙戦艦ヤマト2199では旧作で錯綜した設定を再構築。腹を下したような効果音も健在

1000年前、多数の王族により統治されるガミラス大公国として建国され、103年前、エーリク・ヴァム・デスラー大公により統一。
エーリクの死後に内乱状態となった国家を再統一したのが甥である現総統アベルト・デスラーである。

ガミラス大公国は解体され、国号を大ガミラス帝星と改称、デスラーは永世総統の地位に就く。

ガミラス星は特に滅亡寸前というわけでもなく、惑星内部は自然あふれる霊園があったりと環境は地球に近い。
旧作同様、地殻内部には大都市があるが、普通に地表に建ち、首都の名は「帝都バレラス」。
バレラス中心にはひときわ巨大な高層ビル、デスラー総統府が存在する。

また、旧作で肌が青くなかった人間は、被征服地から徴兵された「二等ガミラス人」と設定された。
白色彗星帝国やボラー連邦と違い、植民地出身者にも実績次第で二等臣民から一等ガミラスに昇格出来る等、意外に門戸は広い。
この制度を推し進めたのは総統であるデスラー本人。


圧倒的な戦力で大小マゼラン統一という偉業を成し遂げ、銀河という規模を考えると、少々少なくも感じるが保有戦力は少なくとも戦艦数万隻を超える。
各地で星間戦争を繰り返しているらしく、小マゼラン辺境では侵攻してきた白色彗星帝国先遣隊を返り討ちにした。
ヤマト出現以降、各惑星管区で武装蜂起が続いているが、その全てを惑星ごと殲滅している。

十年前後で銀河二つ制圧して天の川銀河まで進出したはいいが、版図を広げ過ぎたために本星や被征服惑星が少々手薄になっていたり、(全員が全員というわけでもないのだろうが)純ガミラス人による二等ガミラス人に対しての差別意識がある等の問題も存在している。
またナチスドイツと同様、デスラー少年隊やらガミラス少女同盟なる組織もあるとか。



《主な新キャラクター》

  • ヘルム・ゼーリック
国家元帥。
強力若本なガミラス帝国の№2。
大艦巨砲主義を推し進め、700mクラスのゼルグート級戦艦なんか作っちゃう浪漫溢れる暴れん坊元帥。

  • ミーゼラ・セレステラ
宣伝情報相。
ガミラス幹部の中でも唯一の女性だが、どっかのサーベラーとは違って仕事は真面目にしっかりこなす。
実は完結編のアクエリアス(アケーリアス)の末裔(ジレル人)。

  • ガル・ディッツ
航宙艦隊総司令官。
数少ない穏健派で、艦隊運用を一手に引き受けるガミラス軍人のおやっさん。
2199で投獄されてしまうがデスラー政権崩壊後に復帰できたらしく、2205にも登場。


  • メルダ・ディッツ
ガルの娘。階級は少尉。
連絡要員としてヤマトに度々乗艦することになる。
薄い本のエースの一人。
2202に登場しないことを嘆くファンもいたが、2205で無事復帰した。

  • ハイドム・ギムレー
親衛隊長官。
本国の治安維持を引き受ける親衛隊の隊長。
蜂起をおこした惑星を移民ごと殲滅、破壊する畜生。
そのため、タランやディッツといった穏健派からは蛇蝎のごとく嫌われている。
メルダやヒルデを差し置いて2202に再登場した。

  • ヒルデ・シュルツ
惑星ザルツ出身の二等ガミラス民。
みんな大好きヒルデちゃん。
なんとあのシュルツの娘で、超時空シンデレラとそっくりな美少女。
元々はシュルツのキャラクターに深みを与えるために登場した、モブに毛が生えた程度のキャラ。
…なのだが、新旧問わずヤマトファンから妙な人気を得たため、中盤以降ほんの少し出番をもらえた。
更にフィギュア化など、グッズ展開もやたら豊富。
ちなみに声優は中島愛ではない。
2205でも続投。『2199』における帝都攻防戦がきっかけとなり、ヒス副総統とは親子のような関係になっている。
ところで、母親は何処…


《旧作キャラ対照表》

  • デスラー総統→アベルト・デスラー永世大総統
  • ヒス副総統→レドフ・ヒス副総統
  • ドメル将軍→エルク・ドメル中将→上級大将
  • ゲール副司令→グレムト・ゲール少将
  • シュルツ司令→ヴァルケ・シュルツ大佐
  • ガンツ→ゲルフ・ガンツ少佐
  • タラン大マゼラン防衛総司令官(デザイン変更前)→ヴェルテ・タラン軍需国防相(兄)
    (デザイン変更後)→ガデル・タラン大本営参謀次長・中将(弟)
  • フラーケン大佐→ヴォルフ・フラーケン中佐
  • ゲットー→ライル・ゲットー少佐
  • バーガー→フォムト・バーガー少佐
  • クロイツ→カリス・クライツェ少佐
  • ハイデルン→ヴェム・ハイデルン大佐


《ガミラス国歌》

本作から国歌が設定されており、曲名は「永遠に讃えよ我が光」。
ドイツ風の力強い仕上がりとなっている。





永遠に讃えよ我が光


青き花咲く大地

気高き我が故郷よ

響け歓喜の歌

神の加護は我らとともにあり続けん

ガーレ・ガミロン

讃えよ祖国の勝利を



気高きは勝利の意思

示せあまねく宇宙に

理想貫く愛

神の加護は我らと共にあり続けん

ガーレ・フェゼロン

誇りある鋼の国家

【作中での活躍】

2199では旧作と違い滅亡せず、デスラー政権の崩壊という形で終戦を迎えている。
この時点でイスカンダルが仲介に入りヤマト及び地球との戦争は完全に終結、各惑星管区にヤマトに対する攻撃禁止命令が下された。
また暫定で帝国責任者を務めているであろうヒス副総統が、コスモリバースの受け渡しを渋るスターシャに対して地球側をフォローする進言をしている。

続編である2202においてはなんと地球と軍事同盟を締結。
地球ガミラス安保条約に基いて地球復興の援助と、有事の際の相互扶助が義務付けられた。
その上、(やや唐突に)旧シリーズ同様に「母星の寿命が短い事」「他の星ではガミラス民族は長生きできない事」が明言される。

そして2205ではヒス率いる新政府と放浪中のデスラー派が共同し、ガルマン星への移住計画を始めるのだが…




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追記、修正は相当上品にお願いします

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最終更新:2023年10月03日 17:29

*1 ファーストで本星に打撃を厭わないような滅茶苦茶やりすぎた反動か、総統の視聴者からのイメージがそちらに固まっていたのかもしれない。

*2 地球人を知らないビーメラ星人がガミラス人と揃って誤認するぐらいには似ている