クロックタワー3

登録日:2010/11/07 (日) 17:43:32
更新日:2024/03/03 Sun 09:16:56
所要時間:約 6 分で読めます




「子供がやってはいけない鬼ごっこ…知っていますか?」



■クロックタワー3


『CLOCK TOWER3』は2002年にカプコンから発売されたPS2用ソフト。
ジャンルは魔法少女系ファンタジーパニックアクションゲーム。
製作は技能集団「フラグシップ」
他、クリーチャーデザインに雨宮慶太、モーションキャプチャーに日本映画界の名匠・深作欣二を迎えて製作。
豪華過ぎる顔触れが逆に不安を誘い、事実、その恐れが現実の物となった迷作である。


【物語】

「15歳になるまで姿を隠しなさい…」……。

不可解な母の手紙に不安を感じ、生家に戻ったアリッサだったが、そこに母の姿は無く、替わりに闇を纏った男が待ち構えていた……。

「可愛いアリッサ…」

闇の紳士の手により、夢とも現実とも付かぬ世界に落とされたアリッサはやがて、自分でも知り得なかった、数奇な運命に巻き込まれて行くのだった…。

そして、彼女自身に秘められていた秘密とは…?

※以下、ネタバレ注意。




【登場人物】

(声:藤村ちか)
本作の主人公。
ルーダーの血を継ぐ魔法少女(としか言いようがない)。
強く優しく麗しく(笑)を絵に描いた様な美少女。
犠牲者の無念を受けて力を得て魔のモノを倒す。
ミュージカルな動きに定評がある。
バスタブで腐乱死体を発見しても冷静な鋼のハートを持つ。

  • デニス・オーウェン
(声:程嶋しづマ)
ヒーロー的ヒロイン物での幼馴染みキャラを思い浮かべれば、ほぼ正解。
舞台劇な動きに定評がある。姉は看護師でアフリカ出張中。
姉を餌にシザー兄妹に拐われる…。
通称ネギス。
アリッサ「ネギス!」

  • ナンシー
(声:田野聖子)
アリッサママ。
娘を想って出した手紙が裏目に出る事に…。

  • フィリップ
(声:河内浩)
アリッサパパ。故人。
娘に平穏な暮らしをさせたいと願っていた。
その死には魔のモノが関与している…?

  • ディック
(声:谷口高史)
アリッサグランパ。全ての元凶。
妻と娘がルーダーである事を誇りにしていたが、その執着が歪んだ方向へ行ってしまった。
アリッサへの愛情からフィリップと口論になり、事故だったが彼を殺害する事となってしまう。
その後の失踪、放浪の中で自分が「残虐候・バロウズ」の血に連なる事を知るが……。



【犠牲者】

  • メイ・ノートン
(声:中原郁)
大好きなピアノの練習をしながら、父親の帰りを健気に待ち続けていた少女。
クリスマスイブに乱入して来たハンマー男に撲殺される。

  • ウィリアム
(声:中井出健)
メイパパ。
母親を失ったメイにとっては唯一の心の支えだったが、大戦にて死亡…。
しかしその魂はアリッサに救われ、メイと共に天国への階段を登って行った。

  • アルバート・ランド
(声:佐瀬弘幸)
母親想いの若い玩具職人。お金を貯めて母親の目を治そうと働いていた。
その情の深さ故に硫酸男の手により母と同じ様に目を潰され、母と共に硫酸風呂で殺害される。

  • ドロシー・ランド
(声:森みつえ)
アルバートママ。
目が不自由ながら、孝行息子を持った幸せなお母さん。
…しかし、その幸せ故に硫酸男による残酷な仕打ちを受ける事に…。
息子から貰ったショールが宝物。

※ランド親子の惨殺シーンは本作屈指のトラウマ発生場面である。




【魔のモノの配下】

本作での追跡者の呼称。
闇に魅入られ、犯罪を犯した者が死後、その邪悪な魂を救われ、下僕となった不死の存在である。

※犠牲となった人数=懲役年数=体力ポイントに換算される。

  • リチャード・モーリス
(声:横山一敏)
通称:ハンマー男
最初に遭遇する追跡者。生前は石切り工だった。
勤務中に同僚達をいきなりハンマーで殺害、逃走後も十数人の犠牲者を出す。
殺人動機が不明な点が多く「精神分析しにくい」と言われている。

  • ジョン・ヘイグ
(声:清家利一)
通称:硫酸男
実在の殺人鬼をモチーフにした鬼畜にして随一のネタキャラ。
生前は詐欺の常習犯で、証拠隠滅の為に被害者を硫酸風呂で溶かす。
ガスマスクと防護服に身を包み、背中に硫酸タンクを背負って噴霧器でまき散らす。
ンガッ!? デネェッ!?(シャカシャカシャカ)

  • ハーベイ・パウエル
(声:岡本美登)
通称:斧男
幾人ものルーダーを殺害して来た最強の魔のモノの配下。生前は17世紀に生きていた木こり。
クールでキザなのだが、声が甲高いのが仇になったのかプレイヤーからはあまり支持を受けられなかった。
「宮城県!」「ペヤング!」

  • ルディ&ジャニス
(声:竜川剛&東幸枝)
通称・シザーマン&シザーウーマン
二人合わせてシザー兄妹。バロウズ公の下僕で、東洋系のマジ○チ…。
シリーズの象徴的存在だったシザーマンをモチーフとしたキャラクター。
だが、余りにも前作とはかけ離れたデザインになってしまった事で失望の声が上がった。
本作の評価を下げてしまっている要因の一つ。
兄妹揃って孤児だったところをバロウズ公爵に拾われ、その後はバロウズ家に仕えていた。

  • ダン・D・バロウズ
(声:谷口高史)
通称・残虐公こと本作のラスボス。かつての英雄にして暴君。
恐らくモデルは現実のドラキュラ公ことヴラド・ツェペシュ。
桁外れの懲役年数を誇り、配下を従えたその姿は「魔のモノ」その物と言っても過言では無い程(実はこの辺も曖昧である)。

尚、彼が英雄転じて暴君となったのは己の体の衰えを感じ、永遠の命を得ようとしたため。
最愛の娘を「魔のモノ」の生け贄に捧げて永遠の命を得るつもりでいたのが、馬車の事故で娘が死亡。
儀式が出来なくなってしまい、その腹いせに馬車を操っていた御者の首を刎ねたのが始まりである。

……勝手だなあ、オイ。挙句の果てに領民にまでその牙を向け大虐殺を引き起こした。

その後、下僕にしてマジ○チ仲間のシザー兄妹共々、反乱を起こした領民によって裁きに掛けられて処刑されたと云うが……。
ちなみに従来のシリーズにおけるバロウズ家とは物語的に直接の関連性はない。

  • 闇の紳士
(声:谷口高史)
今作の狂言回し。黒いトレンチコートに山高帽をかぶった謎の老人。
正体はアリッサと一体化したいと云うディックの歪んだ欲望と、バロウズ候の魂が同化した物。
だが、非常に迂遠で独り善がりな目的を掲げている為かプレイヤーには解り難い。
アリッサの命を儀式に捧げ、今度こそ永遠の命を得るべく魔のモノの配下を送り込む。


【用語解説】

  • ルーダー
犠牲者の無念を力に魔のモノの配下と戦う使命を持った少女達の事(ツッコんだら負けだ!)。
代々、血によって引き継がれるらしい…。ハミルトン家は古くからのルーダーの家系である。
過去のルーダーとの出会いのシーンは屈指の名(迷)シーン。
15歳で資格を得、20歳頃に力を失うらしい(何処の魔法少女物だ)
犠牲者の力を得ずにアリッサが力を得ている場面もあるが、展開上のノリなので気にしないように。

  • 精霊の弓矢
変身したルーダーが召喚する奇跡の武器。犠牲者の無念の心を受け止める事で力を得る。
光の鎖を発生させ、魔のモノの配下を縛り射抜く力を持つ。
敵に弓矢を構えると視点が一人称に切り替わり、自動的に矢のパワーが溜まっていく。

  • ゴースト
主に犠牲者が化ける、所謂怨霊。
死体の近くに浮遊していて、近づくと襲ってくる。
浄化する事によりアイテムをくれる。
方法は思い出の品。

  • 使い魔
紫の蛾みたいな小っこいの。
アリッサを見つけると追跡者を呼ぶ。聖水で祓える。
役割は空き缶レベルだが、足止めをしてくるので注意。

  • 聖水
ビンに入れて振りまいて使う。魔を祓う他、封印の解除が可能。
使用回数は3回、最大で5回まで。ライオンの水汲み場で補充できる。
ボス戦を経る毎にクローバーのペンダントで強化され、追跡者や幽霊をひるませる効果が長くなる。
レベルは「聖なる水」「裁きの炎」「清き風」「奇跡の光」の4段階がある。

  • 魔のモノの配下
魔のモノの王たる存在によって、その身に宿した残虐性を見込まれ殺人鬼に変貌した元人間たち。
劇中で登場する殺人鬼たちの正体で、彼らは全て人間だった頃に殺人を犯して処刑等で死亡した後、不死の殺人鬼として蘇っている。
ただし、魔のモノの干渉を受けたことが最初の殺人のきっかけだったのか、殺人を犯したことで魔のモノの干渉を受けたのかは不明。

  • 魔のモノ
はるか古代ローマの時代より、人の世に介在し宿敵たるルーダーと長きにわたり闘争を続けてきたという人知を超えた超常的存在。
これと見込んだ人間に目を付けて残虐性を吹き込むことで殺人に走らせ、更にその者が死んだ後も永遠の命を与えて自らの配下とし、永久に殺人を犯させる。





また、「契約の儀式」を行う事で人間がエンティティになる事もできる。
その条件は「血縁関係にあるルーダーの15歳の誕生日にその少女の心臓を抉り、生き血が乾かないうちに啜り取る」こと。


【アイテム】

  • インビジブル
その名の通り姿を消す。

  • 結界石
即死攻撃、トラップを防ぐ。

  • ラベンダー
パニック状態を脱する。ただし即効性ではない。

  • 霊木の矢
戦闘中のみ、中威力の矢。

  • 神木の矢
戦闘中のみ、高威力の矢。


【批判的な意見について】

ヒューマン時代からのファンをガッカリさせたのが、間接的な操作システムを排したこと、
加えて主人公が追跡者と直接的に戦えるようになってしまった事だろう。
戦闘自体はヒューマン時代の最終作である『クロックタワーゴーストヘッド』から存在してはいたが、
こちらはシステム面では旧作通りのポイントクリックシステムを継承しており、
世界観においても現代を舞台にしたか弱い少女の逃走劇と言う要素の根本はしっかりと継承していた。
シナリオ周りのツッコミどころは多かれドそれも含めて好意的に受け取るファンも多く存在した作品であった。
これに対して、本作では無力な少女が魔法のような力を得て悪しき存在を懲罰する等、余りにもファンタジー要素が強すぎたのである。

敵との鬼ごっこの要素が強くなりすぎて、クロックタワーの醍醐味である隠れんぼの要素が殆どなくなってしまった。
敵を倒す事が目的と化したことで、とにかく忙しいゲームになってしまった事などが改悪点として挙げられる。
この他の批判については、個々人の価値観による要素が多いので割愛する。
だが、何れにせよ本作の世界観が旧作から一新されてしまった事が批判の原因であったようだ。

また、シリーズの産みの親である河野一二三自身も海外フォーラムにおける講演において、
名指しを避けつつ本作に対する否定的な見解を暗に示している。

【余談】

  • アリッサのキャプチャーモデルを務めたのはモデルの美波。
  • クロックタワーシリーズの復活と終焉を呼び込んだ本作だが、本作の精神は「DEMENTO」に引き継がれた……って、クロックタワーは……?
  • 尚、本作での演出指導が名匠・深作欣二の最後の仕事である…。何て事してくれた…脚本。
  • このムービーのキャプチャ撮影は苛烈を極め、OPでアリッサが手紙を読んで立ち上がるシーンだけでも撮影開始から丸一日以上時間を費やしている。
    撮影風景は初回限定のDVDに収録されているので一見の価値あり。つかゲームじゃなくて映画にした方が早かったんじゃね?とか言わない。
  • ムービー助監督として、後に『ダンガンロンパ』シリーズのライターとなる小高和剛が参加している(深作監督と同じ日本大の映画学科を出ている縁)
    こちらも、後のインタビューで「地獄のようにきつい現場だった」「この頃のことがあるから少々のことはつらいとは思わなくなった」と語っている。


2016年2月よりPLAYSMとSteamにて、クロックタワーの精神的続編と銘打ったホラーアドベンチャー『NightCry』のリリース配信が開始された。
ゲーム製作をヒューマン時代の『クロックタワー』『クロックタワー2』を手掛けた河野一二三が手掛けていると云う、精神的どころかファンにとっては待ち望んでいた続編である。
『クロックタワー3』同様、リアルなグラフィックでの怪物との追いかけっこはプレイヤー以外からは失笑も起きてしまう事は必至(プレイしてる身としては本当に怖いのだが)
だが『クロックタワー3』を含めた過去作のファンにも是非ともプレイして貰いたい所。
追跡者となるクリーチャー“シザーウォーカー”のデザインは、かの三角頭で知られる『サイレントヒル』の伊藤暢達で、此方にも注目。

興味が出たら『呪怨』の清水崇によるPVからでも見てみよう。




かわいいアリッサ…追記・修正をしに来たのかい?


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最終更新:2024年03月03日 09:16