王さまシリーズ(童話)

登録日:2012/07/26(木) 21:13:11
更新日:2024/03/27 Wed 22:57:33
所要時間:約 7 分で読めます





「王さま」シリーズとは、寺村輝夫が書く長編童話シリーズのことである。児童文学ということもあり、正式名称は「王様」ではなく「王 さま 」なのが特徴。
何気に40年以上も続いた歴史の長い作品で、アニメ化や多数の再録も行われている。
今、この項目を見ている20代前後の人も学校の図書室等で目にしたことがあるのではなかろうか。



◆概要

とある国のお城に住む王さまと家来たちを中心に起こる事件や出来事が話の主体となっている。
城や衣装は中世ヨーロッパ風であるが、テレビや自動車などの現代的な要素も普通に登場している。
基本的に1話完結であるが、巻1本丸々使用した長編が書かれることもある。


児童向けの文学作品ということもあり意外と何でもアリな世界観が特徴的で、
やたらと異世界に迷い込んだり宇宙人のオーパーツ的品物が迷い込んで来たり、現代科学では到底作れない怪しい品を生み出したりと
客観的に見ればとにかくカオスな世界観である。
だけど、主要ターゲットが子供なんだからこまけえこたぁいいんだよ!!


◆主なシリーズ一覧


●第一シリーズ


1:ぼくは王さま
この当時は挿絵を和歌山静子ではなく和田誠が描いていた為、作風がかなり異なっている。

2:王さまばんざい

3:王さまロボット

4:王さまびっくり

5:王さま名たんてい

6:王さまたんけんたい

7:王さまレストラン

8:王さまパトロール

9:まほうつかいのチョモチョモ
長編。魔法使いであるチョモチョモを中心とし、幽体離脱した王さまと抜け殻から暴君と化した悪い王さまが繰り広げる、
他とは違うなかなかにシリアスな話が味となっている。ラストの演出はホラー。

10:王さまかいぞくせん
同じく長編。第一シリーズのラストであり前作同様それなりにシリアス。


●第二シリーズ


第一シリーズとは違い、全て4章構成の長編として書かれている。

1:王さまなぞのピストル
2:王さまきえたゆびわ
3:王さまゆめのひまわり
4:王さまスパイじけん
5:王さまうらない大あたり
6:王さまなくした時間
7:王さまなぜなぜ戦争
8:王さまダイマの手紙
9:王さま魔法ゲーム
10:王さま魔女のひみつ


●小さな王さまシリーズ


従来の王さまシリーズとは違い、「勉強嫌いで学校にも行かない王さまが、もし学校に行ったら?」という発想の下書かれたパラレルワールド的な作品。

1:はらぺこ王さまふとりすぎ
2:そっくり王さま大さわぎ
3:うそつき王さまいぬをかう
4:おりこう王さまおとしもの
5:さむがり王さまおばけの子
6:くやしい王さまがいこつじけん
7:わすれた王さまうみのなか
8:やくそく王さまたんじょうび
9:あわてた王さまきしゃにのる
10:まちがい王さま本になる



◆主要登場人物


第一シリーズでの出来事を中心に記載する。

王さま
CV:坂本千夏(OVA)、チョー(テレビ)
シリーズ名にもなっている、物語全体を通しての主人公。立派なを生やした正に王さまといった容姿だが、ぶっちゃけ中身は小学生並かそれ以下。
基本的に王さまが何か無茶振りを始めたり、謎の異世界に迷い込んだりするところから物語が始まることが多い。

一人称は初期は「わし」だったが、読者の苦情や出版社の要望で途中から「ぼく」になった。

が大好物で卵焼きや目玉焼きなら毎日のように食べれる。
『王さまばんざい』ではそのあまりの卵好きから国民から卵を取り上げて自分だけが卵を食べてよいというトンチキな法令を発令する。

反面、野菜が大嫌いで料理に入ってると皿ごとぶちまけたりする。
『王さまロボット』にてコックが王さまの健康を気遣ってこっそりスパゲティのソースの中に細かく刻んで入れた野菜の数々を見事に取り出し、
「わしの嫌いな野菜を657粒も入れた!」と、詰め寄るなどという行動に出たりもしている。


他にも小さな子供の如く様々なことに憧れ、事あるごとに探偵、レストラン、消防士、パトロール隊、タクシーの運転手などといった職を転々とし、
結局飽きて辞めるといったことを繰り返す。
ワガママでよく駄々をこね、自分の思い通りにならないとすぐに牢屋にいれると言い出すなど、とても王さまが務まる器の人物とは思えない。


が、極希にだが良いところも見せ、『王さまばんざい』で無限に出るチョコレートを手にした際はそれをこっそり街の子供に配ったり、
『王さまかいぞくせん』では大好きな隣の国のお姫様を助けるのに奮闘したりもしている。

更に『王さまびっくり』のエピソードではワザと良い子になって大臣を困らせようなどと画策して本当に良い子になってたりする辺り、
元のスペックはそれほど悪くはないのかもしれない。

文章能力は低く、ひらがなですら文章を間違えたりする(「お城」を「お白」、「にんぎょう」を「にんぎう」、「ぬすんだ」を「ねすんだ」と書いたりする)。


大臣
CV:田の中勇(OVA)、松山鷹志(テレビ)
白髪のおかっぱ頭な王さまの側近。立場上王さまに次いで最も出番が多く、ワガママな王さまに振り回される常識人で苦労人。実は既婚者で子供もいる。
城に小象が大量発生した時に象を収容するために部屋を明け渡したうえ倉庫に押し込められた挙句、地の文で「(他の象による被害に比べたら)これは、まだいい」などと言われた。不憫。
とはいえいつもやられっぱなしというわけでもなく『王さまパトロール』のエピソードでタクシー運転手になり、
そのまま成り行きでテレビ出演し王さまのそっくりさんを演じた王さまが戻ってきた際にお仕置きの意味も込めて、
「王さまによく似ているがそっくりさんなだけだから」と言い張って城への帰還を拒否するといった行動に出たりもした。


コック
CV:塚田正昭(OVA)、佐々健太(テレビ)
王さまお抱えの料理人。卵大好きな王さまに料理を振る舞う関係から大臣に次ぐレギュラーキャラと言える。
王さまお抱えの料理人という立場なのに喫煙者。どこぞの至高のツンデレ親父が聞いたら怒るぞ。

真面目な人物で王さまの健康を気遣って前述のように王さまの食べる料理にコッソリ野菜を入れたり、
ニワトリ小屋のニワトリが一斉に逃げ出した際には(犯人は王さま)、
それが原因で卵が取れずに王さまに料理を作れず、自分から牢屋に入ってしまう程である。


…が、『王さまばんざい』のエピソードで、ある事情で王さまの影武者を務めた際に調子に乗って、
本物の王さまを追放して自分が王さまになり替わるという暴挙に出たこともある。


博士
CV:茶風林(OVA)、長克巳(テレビ)
城にある研究室で日夜怪しげな研究に勤しんでいる。王さまから無茶振りをされることが多く、なんやかんやで出番が多い。
王さまと自身が認める「国一番の天才」であり、王さまの要求に対しても自身の好奇心も合わせて結構すんなり引き受けることが多い。

国一番の天才だけあってその研究品は現代科学は勿論、某青狸が所有する道具にすら匹敵する代物である。一例をざっと取り上げると

  • 本物の王さまそっくりの容姿で、本物より遥かに優秀な能力を発揮するロボット
  • 写した対象の本音を写真にする魔法のレンズ
  • 透明人間になれる薬

といった品々を作り出している。

王様の無茶な要求になんだかんだ言いながら付き合ってあげる忠臣だが、王さまが暴君化したと思い込んだ時には、まっさきに王様の粛清を決断するなど結構シビア。
当然王さまからは恨まれたが、他の家臣や国民への被害を抑えるためのやむを得ない判断だったと思いたい。

……「殺害ではなく捕獲すべき」という穏健派の主張を一蹴したり、「王さまが煮えてしまうぞ」と言われながらもさらに温度を上げようとしたりしてたことは内緒。

兵隊の隊長と兵士たち
城に全員常駐しているようである。
テレビや自動車のある世界観であるが、城の外見に合わせて中世ヨーロッパ風の装備をしている。
一度も戦争を経験したことはないらしく、また外敵の襲来も滅多にないため概ね国内で起きる騒動に対処しているが、ロクに役に立ったためしがない。
それどころか、夜は王さまが早く寝てしまうのをいいことに全員で飲み会をやっている。……全員はマズイだろ。

そうじのおばさん
名前の通りの外見と役職のキャラ。王さまの無茶な要求に巻き込まれる形での登場が多い。
『王さまレストラン』のエピソードではレストランを始めた王さまに、生煮えのポキポキスパゲッティを出され、
これは食べられないと王さまに言ったら「生煮えでも食べろ、文句を言うな!!」と逆ギレされた。


となりの国のお姫さま
王さまが思いを寄せているお姫さま。王さまと違ってまだ若い。『王さまびっくり』のエピソードで初登場して以来ちょくちょく登場する準レギュラーである。
因みに同巻のあるエピソードで、王さまに味の変わる不思議なオムレツをご馳走していたが、
その正体はネズミの集団がシッポでかき混ぜたり尿を混ぜたりして作ったトンデモなオムレツだった。

ワガママな王さまとの付き合いも良く『王さま名たんてい』のエピソードでもそのことがうかがえる。
『王さまかいぞくせん』では海賊ドクロクドによって誘拐されてしまうも王さまによって助け出され、最終的に王さまと結婚した。



ついき・しゅうせいしないとろうやにいれるぞ!!

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最終更新:2024年03月27日 22:57