サンサ(装甲騎兵ボトムズ)

登録日:2011/09/17 Sat 19:00:18
更新日:2023/08/05 Sat 11:58:15
所要時間:約 7 分で読めます





※推奨BGM:炎のさだめ


予告


かつて流された夥(おびただ)しい血がこびりついた、不吉な星。


ここには、メルキア装甲騎兵団特殊任務班X-1、


『レッドショルダー』の鋭い爪痕が刻まれている。


次回、『惑星サンサ』。



かつてこの星には、赤い肩をした鉄の悪魔が蠢いていた。





























装甲騎兵ボトムズシリーズに登場する惑星。本編第3クール、通称サンサ編の舞台でもある。


◆概要
アストラギウス銀河には休戦条約や政治、経済、宗教的な理由等からギルガメス、バララント両陣営の立ち入りが制限される不可侵宙域が存在し、サンサもその一つである。
赤い砂と赤い空が広がり酸素マスク抜きでは生きられないほど環境が荒廃している。


◆百年戦争の激戦地〜赤い肩をした鉄の悪魔〜
元々サンサはバララント側の緑豊かなごく普通の惑星であったが、バララントの補給基地であった事からギルガメス、バララント両軍が三度に渡り激しい攻防戦を繰り広げた。
特に第三次サンサ攻略戦においては精鋭部隊と名高いレッドショルダーが投入された。
彼らは僅か150名程度という少数ながらバララントの大軍を次々と撃破し、この第三次サンサ攻略戦において目覚ましい働きを見せた。
その一方でその比類なき残虐性と苛烈さも存分に発揮し街を焼き払い民間人を多数虐殺し、最終的にサンサは人が生存不可能なまでに環境が破壊し尽くされた死の惑星と化した。
勿論原因は度重なる戦役や爆撃・ミサイルも大きいが、最終的にサンサにトドメを刺したのはレッドショルダーの蛮行である事は否定出来ない。
甚大な被害の末に百年戦争は終結、サンサは休戦条約で不可侵宙域に指定された。


◆再生武器商人〜鉄屑泥棒と呼ばれて〜
戦後サンサの住民はサンサを離れるか、或いは過酷な地で生きていくかの選択を迫られた。そして後者を選択したのが再生武器商人である。
彼らは放棄された基地や遺棄された兵器を漁り使える物を解体・改修して闇商人に転売して生計を立てていたが、故に軍上層部高官などから鉄屑泥棒などと呼ばれ蔑まれた。
だが彼らは元々はごく普通に暮らしてきた一般市民であり、何もかも滅茶苦茶にしたレッドショルダーへの憎悪は非常に深い物であった。


◆サンサとキリコ・キュービィー〜本当の故郷〜
キリコ・キュービィーはこの星の科学者夫婦に預けられ、幼少期をサンサで過ごしている。
夫婦はキリコの秘密を知りながらも一人の息子として愛情を注ぎ、キリコもまたささやかながら幸せな生活を送っていた。
だがある日赤い肩をしたATの集団が街を襲撃、夫婦を始め街の人間を皆殺しにされた上、キリコ自身も全身を炎に焼かれてしまう
辛うじて生き残ったキリコはやがてメルキアの難民センターに保護されるが、この事がトラウマとなりサンサ時代の記憶を殆ど失ってしまう
その後キリコはレッドショルダーの一員としてサンサを訪れた際に断片的にではあるがその事を思い出しているが、自分の人生を滅茶苦茶にしたのは他ならぬレッドショルダーである事を考えると皮肉なものである。


◆二度目の来訪〜過去の傷を抉られて〜
フィアナと共にクメンを脱出し戦艦Xに乗り込んだキリコだが宙域に侵入してきた戦艦Xを追うバララントや秘密結社の追撃に加え今まで思い出したくもなかったレッドショルダーの悪業の数々を記録した映像をレッドショルダーマーチ付きで四六時中垂れ流し続けるというワイズマンの悪質な嫌がらせを受け続けた結果、サンサに到着した頃にはすっかり心が荒んでしまった

一方旧知の再生武器商人ゾフィー・ファダスを訪れたブールーズ・ゴウト達三人は遂にキリコと再会するがキリコの様子が明らかにおかしい事に気付く。

そんな中パーフェクトソルジャー(PS)のイプシロン率いる秘密結社の部隊がキリコ達を襲撃、その際キリコが元レッドショルダーであると発覚してしまい、ゾフィー達から敵視されてしまう。
結局キリコはフィアナの生命維持に必要なヂヂリウムを求めて二人でゾフィーの元を去る。そしてレッドショルダーへの憎悪からキリコに逆恨みに近い復讐心を抱いたゾフィーもまたキリコ達を追うのであった。


◆恩讐〜復讐するは……〜
動けなくなったフィアナを担ぎつつヂヂリウムを探す『くそ真面目な男』キリコ。
そんなキリコを中々殺せずあまつさえ命すら助けられてしまうゾフィー。
そんな道中が暫く続くも途中でキリコ達はゴウト達と合流、更に追撃してきたバララントの襲撃を辛うじて躱し遂に基地廃墟からヂヂリウムを発見する。
だがゾフィーはゴウト達の説得にも耳を貸さずキリコを殺そうとするが遂にココナが怒りを爆発させゾフィーに飛び掛かる。
ゾフィーと揉み合いになりながらもココナはゾフィーを罵倒する

「なんだい!自分だけ偉そうに被害者面しちゃってさあ!」

「自分じゃ屑みたいな銃拾い集めて売ってるクセに!」

「その銃でだって人が死んでるんだよ!」

「家族を…家族を殺されたのは何もあんただけじゃないんだ!それをまるで自分だけやられたみたいに!」

「あたいだって……あたいだって……もう会えないんだよ……」

最後には泣き出す戦災孤児のココナを見たゾフィーはキリコを諦め姿を消す。決して許した訳ではない事、そして許すには髪が白くなるくらい長い時間が必要になる事を言い残して。
それをキリコはただ黙って聞く他になかった……例えその時キリコは小惑星リドにおりサンサにはいなかったとしても


◆イプシロンとの決着〜キリコの身体に潜む何か〜
再びバララントの攻撃を受けたキリコだがその指揮官はなんとギルガメス軍情報将校である筈のジャン・ポール・ロッチナであった。
秘密結社の襲撃もありロッチナと協力しイプシロンを迎え撃つキリコであったが、乱戦の最中キリコとイプシロンは深い奈落の底へと落下してしまう。
落下した二人は一時的に協力し、脱出に成功。脱出の途中で交わした会話からキリコはイプシロンに対してPSとしての誇りのみをアイデンティティーとする事を哀れむと同時に戦争の中でしか生きられなかったかつての自分と重ね合わせていたが、改めて「もう一人の自分」イプシロンと決着を付ける事を決意し、ロッチナにスコープドッグを用意させる。
二人の決戦はイプシロンの奇襲により幕を開けた。奇襲を躱したキリコは対PS用ミッションディスクの効果でイプシロンの動きが読めると確信、PS専用機を駆るイプシロン相手に互角以上の戦いを展開し遂にイプシロンを追い詰め、勝利する。
だがそこにフィアナが乱入し言い放つ。キリコはPSであると。
戦艦Xでキリコの異常な回復力を目にしていたフィアナはロッチナの言葉もあり遂にキリコがPSであると確信するがキリコは必死に否定する。だが瀕死のイプシロンもキリコがPSであると断言した上、自分が勝利したのはミッションディスクのお蔭であると証明しようとした所既に焼き切れていたミッションディスクを発見してしまった事から遂に認めざるを得なかった。
自分が只の人間ではなくPSに負けたと確信しPSとしての誇りを抱いたまま息を引き取ったイプシロンを看取ったキリコはロッチナの言葉を受けて独り旅立つ。


自分の過去とこの身体に潜むものが何かを知るために、砂の一粒一粒に無限の謎を秘めた星へ……


◆その後のサンサ
30年以上経過した『幻影篇』の時代には若干環境が回復し、酸素マスク無しでも外に出れる様になった。ただし植生までは回復しておらず大半は砂嵐が吹き荒れる砂漠のままである。
『孤影再び』で仲間達の前から姿を消したキリコはここでゾフィーの屑鉄屋に住み込んでいた(ゾフィーは30年という年月や視力の悪化もあり居候がキリコと気付いていなかった)


◆余談
  • サンサ編と呼ばれる第3クールだが、前半部分は戦艦Xが舞台となっている為ウドクメンに比べて本編での登場は少なめになっている。

  • 印象的なレッドショルダーマーチはイタリアのある戦争映画で使われた曲である。詳細はレッドショルダーの項にて。





※推奨BGM:炎のさだめ


予告


この果てしなく駄目な項目は秀逸な項目の為にあるとしたら、


今日という日が明日の為にあるとしたら、


天国はこの地獄の隣にある筈だ。


ここはもう充分に見た、充分に。


たとえそれが、禁断の項目であろうとも。


次回、『誤字修正』。



だが、今日という日が昨日の為にあるのなら。



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最終更新:2023年08月05日 11:58