東京マグニチュード8.0

登録日:2009/09/20(日) 22:46:03
更新日:2024/02/14 Wed 09:34:13
所要時間:約 7 分で読めます





東京マグニチュード8.0』とは、2009年7月~9月にフジテレビのノイタミナ枠で放送されたアニメ。


【概要】
現実世界の震災という、アニメでは異例のテーマを扱った作品。
東京消防庁や海上保安庁、陸上自衛隊、東京都立墨東病院など、実際の地震災害の救援関係各機関への取材協力でシミュレーションされ、可能な限りリアルな震災状況を描写している。
ただし、演出上の都合上実際と異なる場合があることをテロップで告知している。


【ストーリー】
2012年7月21日。
夏休み初日、中学1年生の小野沢未来は弟の悠貴のお守り役として、一緒にお台場へロボット展を見に来ていた。
はしゃぐ弟を横目に、反抗期真っ盛りで何かとイライラしていた未来は「こんな世界、こわれちゃえばいいのに」とインターネットに書き込む。

――その時、突然地面が激しく揺れた!マグニチュード8.0の海溝型大地震が東京都を襲ったのだ。
連絡橋は崩れ落ち、東京タワーも倒壊……。一瞬にしてすべてが変わってしまった。
未来と悠貴は、その時お台場にいたバイク便ライダー・日下部真理の力を借りて世田谷の自宅へ帰ろうとする。

果たして3人は、無事に家に帰ることができるのか……?


【主な登場人物】
◇小野沢未来
CV:花村怜美
主人公。私立女子校に通っている13歳の中学1年生。
人見知りが激しくすぐに愚痴をもらし、携帯電話を片時も放さない典型的な現代っ子。反抗期真っ盛りで、共働きの両親や二人代わって弟の面倒を見なくてはいけないことに不満を募らせている。


◇小野沢悠貴
CV:小林由美子
未来の弟。8歳の小学3年生。明るく思いやりがあり、未来を励まそうとお台場に連れて行く。


◇日下部真理
CV:甲斐田裕子
32歳のバイク便ライダー。困っている人を見ると放っておけない性格。5歳の子供を持つシングルマザーで、夫とは死別している。
未来達とは地震発生時が初対面だが、二人を放っておけず行動を共にすることに。


◇小野沢誠司
CV:中博史
◇小野沢雅美
CV:井上喜久子
未来と悠貴の両親。


◇マユ
CV:喜多村英梨
未来の友達で、悠貴とも幼馴染み。弟が2人いる。

◇ユカ
CV:豊崎愛生
未来の友達。ピアノが好きで、ピアニストになりたいとの夢を抱いている。

◇リサ
CV:遠藤綾
◇メグ
CV:高平成美
未来のクラスメート。

◇イツキ
CV:沢城みゆき
悠貴の友達。悠貴と2人で校庭に植えたマロニエの観察日記をつけていた。

◇川崎彩
CV:野中藍
真理の仕事の同僚。


◇滝川クリステル
CV:滝川クリステル
ニュースキャスター。本人役。
地震発生の模様を伝える本作のナビゲーター的な役割を担う。



【地震の詳細】
発生日時 - 2012年7月21日、15時46分頃
震源地 - 東京湾北部
地震の形態 - 海溝型(公式サイトなどの広報では海溝型、第3話では首都直下型、第7話では都市直下型とされている)。
震源の深さ - 約25km
地震の規模 - M8.0
死亡者数 - 推定18万人(2012年7月23日時点)
行方不明者 - 15万人(同上)
重軽傷者 - 20万人以上(同上)
帰宅困難者 - 推定約650万人

【震災1日目】
各地で液状化現象や、火災などの二次災害が発生。三軒茶屋駅周辺は地震後から大規模な火災。
高速道路や鉄道などの高架の倒壊が多数発生。すべての交通機関が運転を見合わせており、復旧のめどは立っていない。
第一次交通規制が実施され、国道16号の西側から都心方向へは車両進入禁止。
多摩川、国道246号および環状七号線を結ぶ内側の範囲は全面車両通行禁止となっている。
また国道16号以東の都県境では、車両の都内への出入りが禁止されている。
携帯電話も通信規制により電波状況は圏外であるが、災害用伝言板サービスが利用でき、ワンセグも視聴可能。
荒川は台風の影響もあって堤防が各所で決壊、浸水は地下鉄にも及んでいる。

【震災2日目】
レインボーブリッジ・東京タワーが倒壊し、周辺で被害が拡大する。
テレビの視聴については、2012年時は地上デジタル放送に完全移行し、放送設備などは東京スカイツリーに移っているため問題はない。
ラジオに関しては、地上デジタル放送ではなく、従来のアナログ放送が継続されており、
デジタル放送は試験放送段階で、受信機の単純な構造が評価され、アナログ放送が停波することはないと、AM・FM・ラジオ日経で決められている。

【震災3日目】
米海軍第7艦隊のドック型揚陸艦による各地への被災者の護送が開始された。
12時5分頃には震度6弱以上の余震が発生している。

【震災4日目】
三軒茶屋駅周辺の大規模火災が鎮火する。40名以上の遺体が収容された。
この日までにクラッシュ症候群(長時間の四肢の圧迫により心停止や腎不全が起こる)の発症者が多発している。


【劇中に登場する実在建築物・場所】
◆連絡橋 - お台場側の主柱を含む半分が崩壊する。
◆東京タワー - 震災でダメージを受け、後の余震で根元から倒壊する。
◆台場駅
◆フジテレビ社屋 - 被害は軽微で、多くの人々の一時避難所ともなっている。
◆芝公園 - 避難所として登場する。
◆お台場
◆自由の女神像 - 目立った被害はないが手前の橋が陥没している。
◆日の出桟橋 - 未来たちの乗った水上バスが接岸した。実際にも震災時水上輸送基地に指定されている。
◆日本科学未来館 - 未来たちはここで開催されているロボット展を見に行った帰りに被災する。
◆東京スカイツリー - 墨田区の火災の模様を伝えるニュース映像や学習帳の表紙で登場。目立った被害はない。
◆フジテレビ横のアクアシティお台場らしき建物 - 劇中では「マリンプラザ」となっている。東側の倒壊が激しく火災が発生した。
◆有栖川宮記念公園 - 目立った被害は見られず、水辺で涼を求めるなど、帰宅困難者の休憩場所として利用されている。
◆国立成育医療センター成育庭園 - 未来が自衛隊の車両から降車後、学校までの行程で通過。



東京という身近な場所で大地震が起こる。現実に考えてみるととても恐ろしいことだが、決してないとは言えない。
東京は30年以内にマグニチュード7以上の大地震が70%以上の確率で起こると言われており、
世界主要都市の自然災害に関する危険度ランキングでも1位となっている。
阪神・淡路大震災では冬季の未明の発生であったために大地震での最低限といわれる六千人の犠牲者に抑えられたが、東京だとそうはいかないだろう……。

なお本作から2年近く経った後、2011年3月11日には東北地方太平洋沖地震、マグニチュード9.0の大地震が発生した。
宮城県では震度7、全国的にも大きな揺れが感じられ、津波等様々な二次・三次災害を巻き起こした。
さすがに作中の時間通りには発生しなかったものの、これらの出来事が絵空事ではなく、いつか身近でも起こりうる事態だということを思い知らされたことだろう。

平和に暮らしている我々に、もしもの事態を考えさせられるアニメであった。

本作のの地震発生時刻が15時46分、阪神・淡路大震災の地震発生時刻が5時46分、そして今回の東北地方太平洋沖地震の地震発生時刻が14時46分……この三つの地震なんと46分に発生している。さすがにアニメの方は、よりリアリティを持たせるため実際の時刻に合わせたのだろうが。

なお、劇中の地震が「海溝型(プレート境界型)地震」となっているが、
海溝型ならまず大津波も発生するだろというツッコミの他東京湾北部には荒川河口付近から千葉市にかけて断層があることはわかっているが、プレート境界ではない。
従って、劇中の震源で実際に地震が起きた場合は、「内陸地殻型地震」で、阪神・淡路大震災と同じメカニズムとなるはずである。


地震の危険性を警告する作品ではあるものの、一部の人には不快しか与えないため、現状では半封印作品という状態になっている。
余談だが本作の前にノイタミナ枠で放送されていた『東のエデン』は「2010年末にミサイルテロが発生したが、テロ被害に追い打ちをかけるような自然災害は起こらなかった2011年の日本」を舞台にしており、
偶然ではあるが色々と未来予測の難しさを感じさせるものとなっている。

ちなみに2009年には、内閣府発行の防災の日や自衛隊の災害派遣のポスターにも選ばれた。



追記・修正は、いつかはわからなくてもいつでも起こり得るその日に備えながらよろしくお願いします。

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最終更新:2024年02月14日 09:34