FINAL FANTASY ⅩⅡ

登録日:2010/11/14 Sun 05:24:50
更新日:2024/03/01 Fri 20:12:42
所要時間:約 6 分で読めます





自由への冒険が今、はじまる。


オイオイヨ!


概要

FINAL FANTASY ⅩⅡはスクウェア・エニックス発売のPlay Station2用RPG
FINAL FANTASYシリーズナンバリング第十二作目。

FFT、FFTA、FFTA2、ベイグラントストーリーと同一のイヴァリースという世界が舞台。*1
続編に『FINAL FANTASYⅩⅡ レヴァナント・ウイング』がある。

プロデューサーは松野泰己氏だったが、途中で降板してしまった。
松野泰己・吉田明彦・皆葉英夫らタクティクスオウガ・FFTのスタッフが中心となって制作した異色のFFであり、オンゲー・洋ゲーライクなゲームシステムや勧善懲悪ではない歴史ドラマを垣間見るようなシナリオは従来のFFファンから批判されたが、ゼノブレイドシリーズ・FF15などFF12と似たタイプのゲームシステムを採用するゲームが増えてきた現在では再評価する向きもある。
FF8同様「大人になってから再プレイしたら面白かった」と言われることも多い。
PS4でインターナショナル版を元にしたHDリマスター『FINALFANTASY XII THE ZODIAC AGE』が発売。
ちなみにシリーズの生みの親の坂口博信氏は、本作のスタッフロールでスペシャルサンクスとしてクレジットされたのを最後にシリーズには一切関わっていない。

シナリオのテーマは『「自由」と「義務」』。『過去とどう折り合いをつけるか』もテーマか。
だが、今作は基本的に群像劇として書かれ、さりげない伏線や心情描写なども多い渋い作風であり、好きな人は好きだがちょっとわかりにくかったのは否めない。
また、登場人物一人一人に主義主張があり、どれもそれなりに筋が通っているため、プレイヤーによって共感できるキャラが異なったのも賛否が分かれた。
ただし、プレイヤーによってシナリオやキャラクターへの感じ方が異なるようにしたのは、制作陣の狙ったものである。

ゲームシステム

グラフィックを犠牲にしてでもゲームとしての面白さを追求するという松野氏の考えをコンセプトの元制作された。

システムがFF11に類似している為、「FF11オフライン」と呼ばれる事も。

また、ゲーム初期から行動範囲が広く、明らかに場違いな強さの敵がいるエリアにも足を運ぶことができる。
「王宮前プレイ」「ガリフ前プレイ」といった、あえてストーリーを進めずに可能な限り"寄り道"を楽しむ遊び方もある。

やりこみ要素は非常に豊富でヤズマットの強さ、硬さはいまだに語り草。

【アクティブディメンションバトル】

従来のFFと異なり、戦闘はあらかじめフィールド上に現れているモンスターとシームレスに行われ、一度に最大3人のキャラクターを戦わせることができる。
プレイヤーはそのうちの1人を操作する。操作キャラの変更や、戦闘メンバーと控えの変更は自由。
さらに今回は従来のATB(アクティブタイムバトル)に空間の概念が加えられたADB(アクティブディメンションバトル)というシステムが加えられており、攻撃範囲、感知能力、行動の準備時間などの様々な要素が入り混じり、敵味方の攻撃の応酬がリアルタイムで入り乱れる奥深い戦闘システムとなっている。

しかし、シームレスバトルを優先した結果、当時のFFにあった敵も味方も派手に攻撃するような要素が減っており、この辺は当初落胆されていた。


【ライセンスボード】

本作にはキャラの強化には、経験値によるレベルとLPを消費するライセンスボードがある。
これはFF10のスフィア盤をアビリティ関連に絞り進歩させたようなシステム。
敵を倒す事で入手できるLPを消費する事で様々なアビリティなどを覚えることができる。
ライセンスは大きく分けて
  • 技、魔法の使用権
  • 武器、防具、アクセサリの装備権
  • オプション*2を覚える
  • ガンビットスロットの増加
  • 召喚やミストナックの習得

これにより育てれば全てのキャラがどんな装備や魔法でも使用する事が出来るようになった。
また、自分度が極めて高く、すべてのキャラに対してどのような育て方をするかをプレイヤーの裁量にゆだねられる。
ただし、これに関しては最終的に育てていくと、どのキャラも似たような感じになってしまう問題点がある*3


【ガンビット】

ざっくり言えば、ドラクエの作戦コマンドを進化させたもの。
キャラクターごとに「HP<100%の味方」「最もHPが低い敵」「『おとり』状態の自分」といった条件を設定して、その条件を満たした時に何のアクションを取るか(たたかう、魔法、アイテムの使用など)を設定しておくというもの。

例えば、
「味方1人」→フェニックスの尾・レイズ (仲間が死ぬと勝手に蘇生)
「味方1人」→ステータス異常 (必要時に勝手に発動)
「瀕死の敵」→たたかう  (敵の頭数を減らしてくれる)

これをセットしておけば、条件が満たされた時に自動的にそのアクションをしてくれる。
さらにガンビットにはセットされた順番に優先順位があり、最大12個までセットできる。
例えば
①「HP100%の敵」→盗む
②「目の前の敵」→たたかう
③「味方一人」→ケアル
なんてしておけば、出合い頭の敵からは盗んで、戦闘中はたたかうを連打。戦闘後にHPを満タンまで回復なんて芸当がオートでできるようになる。
もちろんこのガンビットを装備したキャラ一人しかいない場合、延々と盗み続けることになるので、仲間や他のガンビットでフォローしてやる必要がある。

なお、プレイヤーがコマンド入力すればそちらを優先する。


多岐にわたるガンビットを組み合わせることで高い戦略性を発揮できるため、どのように組むかはプレイヤーの腕の見せ所である。このシステムについて熟知していなくても十分クリア可能なバランスに収まっているが、その場合戦闘が単調になってしまうのは否めないだろう。
これを利用すれば自分は何も操作せずに勝つということも出来、やろうと思えばボスですら寝ている間に倒す事が出来る。
もっともあくまで「やろうと思えば」であり、実際にやるためには戦略眼が必要。
奥深いシステムでありながら本編で説明が十分にフォローされてるとは言い難く、本作の戦闘はガンビットを使いこなせるかどうかで評価が一変するため、そこは惜しい点と言わざるをえない。

なおセットできる条件はシナリオを進めれば手に入る他、町のガンビット屋で買うことが出来る。
なんでもイヴァリースでは「判断力を高めてくれるアクセサリ」として親しまれているそうな。

インター版では序盤からほとんどのガンビットが買えるようになっており、戦術が立てやすくなっている。
もっとも、全部買うのは序盤では痛い出費なので、買う対象をある程度絞りたい。

なお、プログラムに詳しい人が見ればわかるかもしれないが、ガンビットはプログラムの制御構文そのまんまだったりする。

【敵対心】

所謂ヘイト。
敵は回復魔法や大技など厄介な行動をとったキャラを優先して狙う。*4
また、最初に行動したり察知した相手も優先的に狙われる。
そのため、回避率や防御力の高い装備をして、敵対心が高い行動を行ったり敵の攻撃を引き受ける魔法「デコイ」を使い、攻撃を引き受ける盾役…タンクがいれば戦線維持がかなり楽になる。

今となってはMMOなどで当たり前のシステムなのだが、当時のオフラインゲームとしてはかなり斬新だった。


上記のようにかなり奥深いシステムで構成された作品なのだが、発売当時はあまり理解がなく批判的な意見が多かった。
そして攻略本にも載っていなかった隠し仕様…順番待ちがこのゲームをさらに難しいものにしていたのである。

【順番待ち】

上記のように今作では攻撃のエフェクトが控えめになっているのだが、それでもマシンの制限に引っかかてしまわないように用意された隠し要素。
要は処理落ちを起こさないように、エフェクトの派手な行動が発生する場合、その前の行動が終わるまでそれは発動しないようになっているのである。
さらにはその行動以降の行動も順番が来るまで発生しなくなってしまう。
しかし、例外的にたたかうは順番待ちがおこっても発動できる。本作のたたかうが強い要因の一つ。

回復魔法、アイテムの類が使えなくなるが、敵は容赦なく殴ってくるためシャレにならない仕様。
このため上級魔法は発動しようとすると、逆にピンチに陥ることがある。
そもそもそこまでやって発動してもダメージ上限の9999に引っかかるため、基本的に使わない方がいい。
順番待ちを防ぐために、属性を強化する装備でエフェクトの地味なラ系魔法を強化するという戦術が流行った。

悪いことばかりではなく、これを利用して大ボス級の攻撃を停滞させつつ、こちらがタコ殴りにするという戦術も可能。

インター版でも変わらず…だが、ダメージの限界突破がデフォルトになったため、出合い頭に強化上級魔法をブッパして敵が行動する前にせん滅する方が効率が良くなっている。
ゾディアックエイジではマシンスペックの制限がなくなったことでほとんど発生しなくなり、これまたゲームバランスが変化している。




登場人物

操作キャラ

ヴァン
CV:武田航平
主人公。アルケイディア帝国領ダルマスカ出身(旧ダルマスカ王国)の出身。
幼い頃に両親を流行り病で亡くし、兄も戦争で亡くす。ダウンタウンの少年達のリーダー的存在で、夢は空賊になる事。
彼がダルマスカ王宮に忍び込む事でプレイヤーは本格的に物語に踏み込む事になる。

アーシェ・バナルガン・ダルマスカ
CV:園崎未恵
ヒロイン。ダルマスカ王国の王女。
本編開始の二年前に死亡したかと思われたが、反乱軍…「解放軍です!」…解放軍の一員として水面下で活動していた。
最初はヴァンをあまり快く思っていなかったり、帝国への復讐に燃えまくっているが、ヴァンと供に旅をしていくうちに彼女の心に変化が……。

バッシュ・フォン・ローゼンバーグ
CV:小山力也
ダルマスカ王国将軍。イェア!
本編二年前に停戦協定に同意しようとしたダルマスカ国王を反逆者として殺害した罪で処刑された筈だったが、実際はアルケイディア帝国によってナルビナ牢獄にとじこめられていた。
アルケイディア帝国のジャッジガブラスとは何かあるようだが…?

パンネロ
CV:三国由奈(現:小澤真利奈)
ヴァンの幼なじみ。
ある程度裕福な家庭で育ったが、戦争で自分以外の家族全てを亡くしている。

バルフレア
CV:平田広明
「この物語の主人公さ。」
ダルマスカ王宮に忍び込んだ時に、同じく忍び込んでいたヴァンと出会う。
愛機シュトラールを駆り、相棒のフランと供に大空を駆け巡る空賊。

フラン
CV:深見梨加
ヴィエラ族の女空賊、バルフレア一番の相棒。
種族上、ミストの流れに敏感で、長命のため知識の量も多い。
また、パーティメンバーで唯一年齢不詳になっている。
フランって何歳?

●レックス
CV:田坂秀樹
ヴァンの兄。
オープニング(兼チュートリアル)では彼を操作することになる。
IZJS(後述)では彼を使ってトライアルモードに挑むことも可能。(ただしクリアは困難。)

ゲストメンバー

●ラーサー・ファルナス・ソリドール
CV:今井由香
常に笑顔を浮かべた人の好さそうな少年。
その正体はアルケイディア帝国皇帝の四男坊。
若いが考え自体もしっかりしており、世界の人とも仲良くできればと考えている。
序盤、中盤、最終盤と3回に分けてゲスト参加する。
無印では無限にアイテムをタダで使ってくれるため「ハイポ王子」の異名を持つ。
インター版では無限アイテムは無くなったが、ガンビットが設定できるようになり、ケアルラやHPを2倍にする「バブル」が使えるためやはり優秀。泡王子

●ウォースラ・ヨーク・アズラス
CV:てらそままさき
ダルマスカ王国将軍。
ダルマスカ崩壊後は、反乱軍の一員としてアーシェと行動を共にしていた。
序盤の終わり〜中盤の始まりにかけて一時的にパーティに参加する。
インター版では、優秀な攻撃破壊を習得済みなことから、モブ討伐やトライアルモードの攻略に連れて行くプレイヤーもいる。

●レダス
CV:菅生隆之
港町バーフォンハイムを取り仕切る空賊。
勝手に敵に特攻したりトラップに引っかかったりするハゲ。
インター版はアレイズや貴重な聖属性攻撃のホーリーの習得で強化されている。

アルケイディア帝国

●ヴェイン・カルダス・ソリドール
CV:飛田展男
アルケイディア帝国皇帝の三男坊。
ゲーム開始時に執政官としてダルマスカに赴任しており、ダルマスカ市民への真心のこもった演説により多くの市民の支持を得る。

●シドルファス・デム・ブナンザ
CV:大塚周夫
アルケイディア帝国の科学者。通称「ドクターシド」。
独り言を常に独り言を言っており、変人の類。
破魔石というものを研究しているらしい。
最後まで悪役のシドというFFでも珍しい扱い。

●ジャッジ・ガブラス
CV:大塚明夫
アルケイディア帝国のジャッジマスター。
パッケージの人物はこの人。そんなに重要な人物じゃないけどね



インターナショナル ゾディアックジョブシステム

FF12のインター版ではゲームバランスに大規模な修正が加えられ、無印とは別ゲーとなっている。基本的に難易度は下がっているので白騎士物語やゼノブレイドなどでMMORPG風ゲームに興味を持った初心者におすすめ。

変更点の一例
  • ゲストのガンビットをいじくれる。これでハゲレダスが自爆することが少なくなった。
  • ラーサーのポーションは自己負担。その代わりバブルやケアルラを覚えて帰ってきた。
  • 超高性能だが入手確率が非常に低い廃人武器追加。(見た目が透明だから透明武器とも。)
  • ひたすらボス戦をやるトライアルモード追加。全100ステージ。
  • ライセンスボードを12種類から選べる。ただし選びなおせないためよく考える必要がある。
  • ダメージ限界突破がデフォルトに。
  • 攻撃破壊がボスにも効くようになった
  • リバースがステータス異常ではなく、有利変化扱いになった。
  • 全員の初期レベルが90になる「強くてニューゲーム」と、全員のレベルが初期レベルから上がらなくなる「弱くてニューゲーム」の追加。
  • 金策しやすくなった。
  • 4倍速になる高速モードの追加。

一言でいうと、敵の強化以上に全体的に味方が強くなり、仕様もプレイヤー側に有利になっている。
ジョブの追加でどう育てたらいいか、どう戦ったらいいかわからないという事態が発生しにくく、非常に遊びやすい。

もっとも、ゲームバランスとしてはかなり大味になってしまっており、インターナショナル版よりもオリジナル版を好むプレイヤーも結構多い。
この辺りの面白い現象もFF12ならではか。

歯応えを求める人なら弱くてニューゲームに挑戦してみよう。
低レベルクリアを想定したバランス調整だけあり、頑張れば初期レベルでも最強隠しボスのヤズマットや、トライアルモード最終戦のジャッジマスターズをガンビットの自動操作だけで倒せる。

ザ・ゾディアックエイジ

PS4、steam、switch、XboxOneで発売されている、インターナショナル版をベースとしてグラフィックの向上や音源の差し替えを行ったHDリマスター版。音声は日本語と英語から選択できる。
システム面では、ハード性能の向上によって順番待ちがなくなったのが大きな特徴である。
新たに2倍速モードが登場した。
ジョブが選びなおせるようになり手軽にプレイできるのもポイント。
さらに、switch・XboxOne版ではライセンスボードを2つまで選択できる仕様が追加されている(他機種も後にアップデートで実装された)。
アプデで各キャラにガンビットを3つまで設定できるようになった。

派生作品

ナンバリングFFとしては久しぶりに本編コミカライズが行われ、ガンガンパワード(途中からガンガンONLINE)にて連載された。作画は後に『黒の召喚士』の作画を担当する天羽銀氏。

FortressというFF12の続編が構想されていた。内容はFF12の約十年後のイヴァリースを舞台に、FF12とFFT・ベイグラントストーリーを結ぶ話とのこと。
開発中止されてしまったが、今も製作されているという噂が存在する。

2007年にニンテンドーDSで『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』が発売された。
公式からはFF12との設定に矛盾があるので続編という位置付けではないとのことだが、物語自体はFF12の一年後を描いている。
賛否両論だったFF12のストーリーと比べると、ヴァンがきちんと主人公として活躍する、王道の冒険活劇となっている。

2008年に発売された『ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア』にはヴァンとパンネロ、アルシドが出演。
時系列としては上記レヴァナント・ウイング以降であり空賊として立派に成長したヴァンたちの姿が見られる。要はバルフレアのポジになったもの


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最終更新:2024年03月01日 20:12

*1 VSは松野氏によるとイヴァリース関連作品ではないとのこと。

*2 所謂アビリティでありHP+100などの単純なものから、HP満タン魔力UPや盾回避率UPなどの重要なものもある。

*3 ただし莫大な稼ぎが必要となる上に、このような評価は他のFFでもあったことは明記しておく

*4 正確には大多数がそのように行動するだけで、それ以外の要因で攻撃対象を選ぶモンスターもいる

*5 全くの唐突というわけではない。わかりにくいが。

*6 要は今作のクリスタルポジションである