月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)

登録日:2012/09/11(火) 19:31:12
更新日:2024/02/05 Mon 11:23:31
所要時間:約 9 分で読めます




ヴォールメン・ハイドラグラム

概要

ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが持つ魔術礼装の中でも最強の代物。ホテルの爆破解体により、殆どの魔術礼装を失ったがコレだけは健在だった。
風と水の魔術属性を持っている故か流体操作を一番の得手とするケイネスが編み出した戦闘魔術。
普段は壷(アニメ版では試験管)に入れて重量軽減の魔術をかけて持ち歩いているが、実際の重量は140kg近くある(ざっと10リットル)。

魔力を込めた水銀に様々な行動パターンを記憶させ、状況に応じた最善の反応を取るよう設定されており、ケイネスの命令に従い動き出す。
ケイネス自慢の逸品であり探索、攻撃、防御のそれぞれに優れた性能を誇る。
戦闘時は球体の形態でケイネスに付き従うかのように側にいる。一種のゴーレムとも言える。
元々は研究肌の魔術師で決闘の経験は多少あるものの戦闘は専門ではない彼が何故このような物を開発したかというと趣味の一環である。

強力な魔術礼装だが切嗣との闘いではそれぞれの能力の欠点を見破られ敗北した。

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』でも登場しており、命令により様々な機能を発動出来ること*1、他者に外部からの干渉で操作される危険性があることも判明した。
また、これ自体がエルメロイでも有数の演算機(つまり魔術版スパコン)ということも解っている。
これにより様々な情報を入力すれば、所有者の望む演算結果を算出できる。時計塔的には戦闘面よりもこの高性能な演算能力の方が評価が高い模様。

術式発動の詠唱は『Fervor,mei,sanguis(沸き立て、我が血潮)』


各種機能

  • 攻撃
ケイネスの『ScaIp(斬ッ!)』という詠唱で発動。、刃と自在に瞬転し、高速スピードで敵に襲い掛かり対象を引き裂く。
高速で動く水銀の切れ味は相当のモノで超高圧水流カッターと同等でありチタン鋼からダイヤモンドまで切り裂くという。作中ではアインツベルン城の分厚い扉や天井を容易く切り飛ばし、侵入した。
欠点は攻撃スピードはあるものの、根本内部の圧力調整で先端を振るう鞭のような操作しか出来ず、挙動自体は割と単調な為に体術に心得があれば軌道を読む事は十分に可能で回避し易いという事。

  • 自律防御
ケイネスを襲う攻撃に自動で発動する。球体状の防護膜を張り巡らせる事で術者を守る。無論、術者の意志で形状の変更も出来る。
鋼鉄同然の強度を誇り、クレイモア地雷から炸裂した2800発もの鉄球をことごとく弾き、マシンガンの銃弾すら容易く防ぐ。
脅威的なのはその展開速度であり、銃弾が撃たれた後にも関わらず、それに勝る速度で展開する。
その耐久力は凄まじく、冬木ハイアット・ホテルの最上階を魔術工房に仕立て上げた事で油断していたケイネスとソラウを襲ったホテル倒壊による落下の衝撃にも耐えた程。
作中では主に銃弾などの通常兵器を防いだが、当然ガンドや炎や氷、放電などの魔術攻撃も防げる。
寧ろ本来は魔術攻撃を防ぐ為に使用する物なので、軽蔑する近代兵器に使用する事はケイネス本人に取っては、相当不快な事だったようだ。

ただし、対戦車ライフル並の威力になると流石に問答無用で突破されてしまうため、
重機関銃等の重武装を備えた歩兵や炎魔術以外の瞬間契約(Aランク魔術)を容易く使える強敵が相手の場合、この礼装だけで対抗するのは厳しい。
たとえば遠坂凛ならば、宝石魔術の「Aランク相当の魔術攻撃を一瞬で発動できる」という利点を生かし、ガンド連射で防御膜モードにさせた上で水銀の防御膜に対して有効であろう尖った岩の槍なんかを射出する魔術を発動する、などで恐らく突破可能。(もっとも、SN本編や事件簿などの時点の凛では、いくら才能の塊とはいえ、同じく才能の塊である上により長く研鑽を積んできたケイネスを相手取るのは魔術戦ではかなり苦しいだろうが)

奈須きのこ曰わく、ケイネスに正面から太刀打ちできる四次マスターは切嗣を除くと時臣だけで、
他のマスターでは突破は無理(サーヴァントを使えば、百の貌のハサン以外のサーヴァントならなんとかなるとのこと)と語っている事からも、その防御力の高さがうかがえる。
百の貌のハサンが対ケイネスで不利なのは、基本的にこの礼装の自動防御のせいでアサシンの基本戦術であるマスター暗殺が非常に困難な上、妄想幻像で手数を用意できてもあくまで人間の域を逸脱できない百貌の能力の性質上、水銀の守りを突破するのが非常に困難なため、純粋に相性が悪いというのが大きい。
たとえば神代の英雄レベルの耐毒スキルがないと即死する程の猛毒を風に乗せてしまえる静謐のハサンの『妄想毒身』や、”世界”の認識を書き換えてしまえる煙酔のハサンの『異想追憶』、歌声で相手の魔術回路を暴走させて爆死させる使用者不明の『夢想髄液』、もはや感知そのものが不可能な幽弋のハサンの『瞑想神経』あたりならば水銀の守りを抜けるであろうはずなので、このあたりのハサンならばマスター暗殺でケイネスを落とすことも可能だろう。 直接触れなければいけない呪腕の『妄想心音』や、小柄ハサン(名称不明)の『空想電脳』あたりは流石にちょっとハードルが高い。
ただし、対霊体用等、月霊髄液以外の礼装の物も一通り揃った状態でないと、サーヴァントと正面から殴り合うのはやはり荷が重い。

欠点はその攻撃に対応した防御を自動に行う為に、水銀の形状上広い面への攻撃には薄くなってしまい防御力が落ちてしまう。
薄くなった所に強力な攻撃を打ち込むと容易く突破出来る所。

作中ではマシンガンによる多面的な攻撃によって、薄く広がって防御力が落ちた所をコンテンダーの強力な弾丸による点の一撃で突破され、負傷した。
ケイネスはこの戦法に対応する為により複雑な操作を行い、水銀の形状を剣山のような形にする事でコンテンダーの一撃を防ごうとした。
しかし、複雑な操作を行うという事はより激しく魔力を使用するという事でもある為に、結果的に〝対象が魔力をより使う程に殺傷力が増加する〟効果を持つ『起源弾』の餌食になってしまった。

  • 自律索敵
『Ire:sanctio(追跡 抹殺)』の詠唱で発動。無数の水銀を触角として撒き散らし、広範囲を走査する。
それぞれが液状で体積が小さいが故に、扉の鍵穴など人の手が届かない細かい所から内部に侵入する事も可能。

高度な「触覚」を有し、音や温度の変化さえ認識できる。
索敵可能な最大範囲は不明だが、少なくともアインツベルン城の一階層分を丸々走査するくらいの事は可能。*2
こちらの欠点は索敵においては視覚、嗅覚、味覚があるわけではないので、心拍音と呼吸音、体温を人間のそれとわからないくらいにごまかすことで知覚されなくなる。
切嗣は固有時制御を使う事で心拍音を停滞させ、索敵を逃れた。

また、水銀の上に乗って上の階に行くなど、移動にも使えるようでとても便利な魔術礼装である。

  • 水銀メイド
後にその多様性、有益な能力からかロード・エルメロイⅡ世ことウェイバーの助言によってメイド機能を持つように改良された。実際に誰が改良したのかは不明。
簡単な家事をこなせる程度の思考力を持つようになる。しかし、何をやったのか未来から来た殺人ロボットを名乗って暴走するバグが発生したとか何とか……

Apocrypha』や『strange Fake』で語られたところによると「トリムマウ」という名前を与えられ、エルメロイの姫君ことライネス・エルメロイ・アーチゾルテの従者になっている。
ライネスにとっては数少ない信頼できる相手である。
後、暴走する原因がフラット・エスカルドス映画を見せたせいということも判明した(映画を観ていることから察するに、視覚機能も追加されている様子)。

  • 月霊髄液クロス・フォーム
漫画版Fate/Zeroの5巻巻末に収録されている番外短編のネタの一つ。
天才だけが纏うことを許される驚愕の水銀聖衣


Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ

「ランサーカードの使用者」が使用。*3
劇場版アニメで戦闘シーンが増えた事でこの礼装の出番も増えた。

左半身を水銀で覆い、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)での攻撃の隙をカバーするように刺突による攻撃を繰り出す。防御面でも士郎の剣戟を防御し高性能。
しかし、士郎の干将莫耶による刺突を防御したものの、その剣の柄頭を新しい干将莫耶のオーバーエッジで押し出す攻撃により防御を突破され敗北した。

作中ではZero本編に劣らぬ高性能を見せつけたが、実際のところは作者曰く「己が魔術に頼らず槍を使いこなしていれば勝てた(要約)」との事。
要はなまじ元から戦える魔術師であったが故に、水銀に拘って必殺の槍を軽視した結果負けてしまったのである。
なんだか凄く覚えのある敗因だが、ランサーカードの使用者…いったい何メロイなんだ……。

Fate/Grand Order

なんとサーヴァントに装備できる概念礼装として登場。レアリティは堂々の星5。
効果は無敵状態を3回付与し、攻撃時のダメージに200をプラスするもの。
無敵状態とは相手の攻撃のダメージを0にする状態であり、例え宝具でも効果が残っているなら0にできてしまう。
元と比較して恐ろしく強化されている。生存力を大きく高める他、元々継戦能力が高めな回数回避付与持ちサーヴァントを更に長生きさせる(回避と無敵は両立できる)。
礼装の効果はかのギフトと扱いが同じ強化解除不可能なため、理論上3回までなら攻撃前強化解除宝具すら防げる超性能
しかしながら無敵貫通能力を持っていると突破される。マシンガンなどなら防げるが、起源弾は防げない。ときっちり原作再現されている。

後にサーヴァントになったライネスの保持スキルにもなった。効果は味方一人に無敵2回(3T)と弱体耐性アップ。繰り返し使える代わりに回数は減っているが、有用なことに変わりはない。突然の強化によりスキルマでNP20%付与効果が追加された。
ちなみにトリムマウも担当声優は水瀬いのり。


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最終更新:2024年02月05日 11:23

*1 霧のように霧散して魔力を散らす、指定された痕跡を追跡する等。

*2 要するに触手の長さまで。10リットルの水銀を仮に直径2mmの棒状に伸ばすと300メートル以上になる。

*3 作中では明言されなかったが、映画『雪下の誓い』の劇場特典で正式に「月霊髄液という礼装」と解説された。