暗黒物質

登録日：2011/04/21(木) 02:02:55
更新日：2023/04/22 Sat 12:13:17
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中学二年生はおろか、高校、大学、はては大人までを魅了するワード。

「暗黒物質(ダークマター)」

さて、ではダークマターとはどんなものだろうか。

ある物体が別の物体の周りを公転するとき、中心に向かう力(向心力)と外に向かう力(遠心力)が釣り合う必要がある。
向心力が強すぎると最終的に公転する物体は中心に落ちるし、遠心力が強すぎると中心からの束縛を離れてどこかへ飛んで行ってしまう。

室伏兄貴のようにハンマーをぶん回すには、ハンマーが飛ばないように相応の腕力で引っ張る必要があるのは想像できるだろう。

そして、天体ではこの向心力を重力が担う。遠心力は速度に依存するため、速く公転するほど中心の星には強い重力が要求される。

しかし銀河や銀河団(銀河の集まり)の運動を観測した結果、運動の速さに対して質量が少な過ぎる、つまり重力が弱すぎるという結果が出たのだ。

これは上の説明と矛盾する。

そこで物理学者は「観測できないけど重力を生む謎物質の存在」を仮定し、それにより生まれる重力により釣り合っていると考えた。
これが暗黒物質、ダークマターである。
なので「ダーク」は「暗黒」というより「よくわからない、見えない」という意味合いが強い。

ダークマター自体は見えないが、ブラックホール等と同じく重力レンズ効果を利用して存在を推定でき、
銀河同士の衝突跡などから存在の証拠となりうる観測結果が得られている。

では、そんなよくわからないダークマターの正体は一体なんだろう。
ダークマターの候補には「MACHO」と「WIMP」がある。

MACHO(マッチョ)

Massive Astrophysical Compact Halo Matter(重くあまり光らない天体)の略。
ブラックホールや惑星、褐色矮星など、光を発しないか、発しても弱くて観測できない天体。重力レンズを使って観測を試みている。
しかし、宇宙マイクロ波背景放射によると観測できる物質は宇宙の4%程度であり、数が圧倒的に足りない。(ダークマターは22%)

WIMP(ウィンプ)

Weakly Interacting Massive Particles(弱く相互作用する重い粒子)の略。
他の物質とほとんど電磁気的な反応をしない素粒子。多くの場合、ダークマターというとこちらの事。
以前はニュートリノが有力な候補だったが、やはり数が少なすぎるため新たな素粒子の発見を目指している。
理論上は1立方メートルあたり数千個存在しているらしいが、他の物質とほとんど反応しないとされるため観測が難しい。
またビッグバン時に生み出されたと考えられているので、加速器でビッグバンを再現し、生み出す試みもされている。

ちなみに英語ではmacho(ガチムチ)、wimp(弱虫)という意味で、二つを対比させたジョークになっている。

さて、ビッグバンにより高温になった宇宙には、ほとんど一様に物質が存在していた。
物質は温度が上昇すると体積が膨張する性質があるため小さく集まる事ができなかったが、他とほとんど相互作用しないダークマターは集まる事ができた。
そして最初は小さなムラだったものが、密な所は重力が強くなるためより密になり、まばらな所はよりまばらになっていった。
それにより重力の分布に差が生まれ、宇宙の温度が下がると、ダークマターが濃い所に物質が集まりだし、そして銀河や恒星が生まれたと考えられている。

実際に、宇宙初期のダークマターの配置を再現したシミュレーションでは、銀河の出来方は現実の宇宙と一致する。
ダークマターがなければ我々は生まれなかったのだ。

因みに、ダークエネルギーなるある種の反物質が存在する。
ダークマターとダークエネルギーの均衡が保たれている事で安定した星や銀河が存在する。

■ダークマターを扱う作品、又は人物
◆志村妙(銀魂)
あらゆる料理をダークマターへ変貌させる。
◆垣根帝督(とある魔術の禁書目録)
能力名が未元物質(ダークマター)。
◆サバタ(ボクらの太陽シリーズ)
暗黒物質を操る少年。
◆左天(NEEDLESS)
第　五　波　動
◆ウルトラマンネオス
宇宙空間に起きる現象で、太陽系に発生したのが物語の始まりだった。
◆星のカービィシリーズ
目玉が特徴のボス。大抵は一つ目だがミラクルマターのような例外もいる。詳しくはダークマター族を参照。
◆To LOVEる -とらぶる-
登場回数は少ないものの主に調味料として使われ、用途も様々。
◆アストラナガンとその派生機(スーパーロボット大戦シリーズ)
暗黒物質の一種である「アクシオン」を利用した武装を使用。
命中するとワームホールを発生させて敵を呑み込む。

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