高松琴平電気鉄道

登録日:2012/02/06(月) 15:29:00
更新日:2023/11/12 Sun 11:33:09
所要時間:約 4 分で読めます




高松琴平電気鉄道(たかまつことひらでんきてつどう)とは、香川県高松市にある地方鉄道である。
愛称及び略称は「ことでん」。

◆概要

線路軌間は国際標準の1435ミリ。地方鉄道では最大の車両保有数であるが、現在は全て他社から格安で払い下げられた中古車である。

バブル崩壊後の経営不振に加え、2001年1月に瓦町駅に建てた駅ビル・コトデンそごうが親会社のそごう破綻の煽りを受けて閉店*1。同年12月に民事再生法を申請して事実上の倒産に陥ってしまった。再建策として経営陣の刷新や四国の鉄道では初となるICカード乗車券の導入、マスコットのことちゃん誕生、駅の改良や車両の大規模な更新が行われた。

現在の鉄道網になってから一部を除いて一貫して京浜急行電鉄や名古屋市営地下鉄など、私鉄より余剰や廃車となった車両を購入している。
また、軌間は異なるが車幅と一両あたりの長さが同じである京王からも、京急から購入した台車を履かせた上で運用に就かせている。


◆路線

  • 琴平線(K)(高松築港~琴電琴平) 32.9キロ。21駅。
  • 長尾線(N)(瓦町~長尾) 14.6キロ。16駅。
  • 志度線(S)(瓦町~琴電志度)12.5キロ。16駅。
路線名のアルファベットは路線記号。
琴平線と長尾線は18メートル車・四両編成の車両が入線可能。
志度線のみ16メートル車・三両まで。
また、長尾線と志度線ではワンマン運転を行っている。

◆車両

前述の通り、各地の標準軌を採用している私鉄から中古車両を導入しているため、「動く電車の博物館」と鉄道ファンから呼ばれている。

中古車は全て抵抗制御式カルダン駆動車で、チョッパ制御とVVVF制御の車両は全くない。
まあ、國鐵廣島よりははるかにマシという意見が多数であるが。

20世紀末までは全国の廃線となった私鉄や一部大手私鉄からかき集めた大量の旧型電車が残っていた。前述の経営破綻の理由として、これら旧形電車の保守や点検に莫大な費用が掛かったことも一因とされている。

ドア開閉装置は普通は下から上にスイッチを上げるとドアが開き、上から下にスイッチを下げるとドアが閉まるという仕組みが他社では当たり前だが、
ことでんは逆であるため譲渡する際は全てスイッチが改造されている。

車両の塗装は長年クリームにファンタンゴレッドのツートンカラー、1999年以降は一部新車で白地に黒とエメラルドグリーンを纏った「そごう色」が使用されていた。
経営破綻後はラインカラー制度が導入され、

琴平線…車体上部がホワイトクリーム、下部が金毘羅宮のイメージカラーであるイエロー
長尾線…車体上部がホワイトクリーム、下部がグリーン
志度線…車体上部がホワイトクリーム、下部がレッド

となった。
なお動態保存車は戦前の琴電カラーであったブラウンが使われている。
なお、京急車についてはクラウドファンディングで旧塗装への復刻が度々行われている。

主な形式

  • 1070形
元京急の快特用クロスシート車600形。京急時代は貫通扉がなかったが、ことでん入線の際に貫通扉の取り付け工事を実施している。
  • 1080形
元京急の初代1000形。製造初期のグループで、前面は元々湘南型だった。分散クーラー搭載。
  • 1100形
元京王の初代5000系。台車は京急1000形のものに履き替えている。
  • 1200形
元京急700形で、ことでん唯一の四ドア車。
  • 1300形
元京急の初代1000形。製造後期のグループで、クーラーが集中式。
  • 600形・700形・800形
元名古屋市営地下鉄250形・300形・1000形。
名古屋市営地下鉄の車両は第三軌条方式であったため、京王電鉄の整備部門がパンタグラフ式に改造した上で、ことでんに引き渡された。
車両冷房も搭載され、京王と小田急ロマンスカー3100形から取り外した冷房装置が搭載されている。
基本は2両編成だが、長尾線には増結用に改造した1両単位の先頭車も存在し、こちらは800形と呼ばれる。

レトロ電車

  • 1000形120号車(1926年製)
  • 3000形300号車(1926年製)
  • 5000形500号車(1928年製)
以上の三両は琴平電鉄開業時からの車両である。
  • 20形23号車(元近鉄車両で1925年製)
主にイベント等で使われていたが、2021年11月を最後に全車引退した。


◆余談

戦後の混乱期のこと、膨大な乗客数と車両不足に悩まされた結果、国鉄から払い下げられた貨車を電車代わりに改造というとんでもないことをやっている。

貨車を客車代わりに使うことは国鉄でもあったとはいえ、わざわざ電車として運転できるように改造までしたのはここだけと思われる。
流石に安全面や乗り心地で問題があったのでに3年程で廃車になった。


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最終更新:2023年11月12日 11:33

*1 その後駅ビルには天満屋が入居、2014年に閉店後は複合施設の「瓦町FLAG」となっている。