牙-KIBA-

登録日:2011/01/12 Wed 06:27:21
更新日:2024/01/05 Fri 22:20:51
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『牙-KIBA-』はマッドハウス制作のテレビアニメ。
2006年4月から2007年4月までテレビ東京の朝8:30枠で放送された。


元々はカードゲームのタイアップ目的で制作されたのだが近年に有りがちな『カードゲームのカードとルールを用いて戦う』類の物ではない。
世界観はカードゲームのバックグラウンドに近く、登場人物達はゲーム内に出てくるモンスターやアイテムを使ってガチに殺し合う
いくらカードゲームによくあることでもここまでやらんぞ…
一応言っておくと、当時はまだ遊戯王とデュエマぐらいしかTCGアニメが無かった黎明期のような状況であり、後の「TCG原作だがTCGしないアニメ」とは状況が異なる部分があるのは考慮されたし。
一応、本放送時はカードゲームのCMも放送していたが、
SDのゼッドとロイアがギャグやっており、本編の空気が一気にぶち壊されている。
そのため、『CMが本編』という声もあったとか…。

シリーズ構成及びメインライターを井上敏樹が担当しており*1いがみ合い、裏切り、殺し合い、愛憎劇などが劇中に多発している。
異常な頻度で人が死に、中には一般市民が怪物に咀嚼される場面があり本当に日曜朝なのかと疑いたくなるような内容。この時間帯のテレ東アニメは前番組が「ゾイドジェネシス」、後番組が「天元突破グレンラガン」も人が死んだり展開もシリアスだったりと比較的ハードな流れだったが今作はその中でも一際群を抜いている。
神志那弘志監督自身も「子供向けの枠だからと子供に媚びる展開には絶対しない」とインタビューで発言するなど少しの自重もする気が無かった模様。後に神志那監督が手掛けるマッドハウス版「HUNTER×HUNTER」キメラアント編に通じるものがある。
とにもかくも両者の本気がぶつかり合った結果、戦乱と狂気が渦巻くダークファンタジーもここに極まれりといったところであろう。

次回予告もエスニック風味だが、かなりおどろおどろしい。
ナレーションこそなく、ただタイトルを告げるだけだが
次回もゼッドと地獄に付き合ってもらう
と無言の圧力すら感じさせる。

色々と本気だったため、全体のクオリティこそ高かったが、時にハードかつ陰鬱な展開が祟り、知名度は低い部類に入るのだが井上ファンに根強い人気を誇る。そのシリアスで鬱ストーリーであるイメージとTCGをしないTCGアニメという評判が先走っているが、視聴率もこの時間帯としては好調でカードの売り上げも悪くなく、シリーズ延長の打診も来るなど比較的成功した部類であるが、スタッフは「1年で全てやりきった」ことを理由に断ったという。

なお放送当時同じく井上氏が脚本を担当した「仮面ライダーカブト」の放送後の時間帯で「ふたりはプリキュア Splash☆Star」を見ない視聴者の選択肢としての事情もあった為、当時は特撮掲示板などでもよく話題に出る作品であり、アニメファンより特撮ファン(主に井上ファン)の方が知名度が高いという現象が発生している。
この事情で同じ脚本担当の「仮面ライダーキバ」との混合を防ぐ為か「アニメの方の牙」という分け方をされる。

<あらすじ>

無機質で閉鎖的な世界<カーム>に住む少年ゼッドはある日、豹変した教師に襲われてしまう。
その時。精神を病んでいたはずのゼッドの母サラが現れ謎の力で教師と戦いに。何が起きているのか分からず混乱するゼッドの前に突如、空間から光の渦が発生する。
無我夢中で光の渦に飛び込んだゼッドが辿り着いたのは<シャード>と呼ばれる力を使って戦う<シャードキャスター>達が戦う戦乱の世界であった。


<用語>

○シャード
魔力が結晶化した物体。ビー玉ぐらいの大きさで「スペル・シャード」と「スピリット・シャード」の2種類が存在する。

○シャードキャスター
シャードを用いて戦う戦士の総称。体の一部(基本的には手の甲)に球体状のアクセサリーが埋め込まれていおり、その中にシャードを収納している。

○スペル・シャード
基本的なシャード。通信や回復、武器や防具の強化など種類は様々。シャードキャスターでなくてもある程度は使える。

スピリット・シャード
精霊を宿したシャード。戦闘時に精霊を実体化させ、持ち主の戦いをサポートする。
シャードキャスターでなくては扱いきれず、キャスターであっても力量が足りなければ持ち主の精神に負担を掛け最終的には廃人になる者もいる。精霊には6つの属性があり、また姿や能力も個体毎に違う。

○シフティング・シャード
移動用のスペル・シャード。
国家間もしくは異世界への移動が可能。時には敵を任意の場所に移動させるために使う。

実は結構希少。

○ムーヴ・シャード
同じく移動用。こちらは国内での移動に使う。同じく希少。

○ヒーリング・シャード
回復用のスペル・シャード。シフティングほどではないがやはり希少。

キースピリット
スピリット・シャードの中でも特に強力な物を指す。
一つの属性に付き一体、計6体存在する。
所在は各地に散らばっており、各国家において「救世主」として祭り上げられたシャードキャスターに授けられている。

タスクでは全て揃える事で世界を作った創造主タスカーが蘇るとされている。

○ジャウスト
各国家で定期的に行われる大会。シャードキャスター達による腕試しのための戦いを開催し、国一番のシャードキャスターを決める。


<主なスピリット>

○アミル・ガウル
黄緑色の男性のような形をした風のキー・スピリット。ほぼ全裸。エロい。
ゼッドが初期から所有しており頻繁に敵に奪われる。どこのファイズギアだ……。
戦闘能力が非常に高いため、序盤のゼッドは全く使いこなす事が出来なかった。
反面、拒絶反応も強く自分が選んだ持ち主であるゼッド以外は使用する事が出来ない。
中盤、パワーアップし全身が赤色に。
その次は鳥の様な姿になり、最終的に、羽の意匠を持つ鎧が全身に付き全裸ではなくなった。
ついでに開眼。

○ランボス
鳥の頭をした赤い巨人型のスピリット。属性は火。

序盤、アミル・ガウルを扱い切れないゼッドが自分の身の丈に合った力を求め入手。
アミル・ガウルが良く敵に奪われるので殆ど主力扱い。


○プロニモ
ジーモット国王ヒューが使う赤い女性型のキー・スピリット。爆乳。
属性は毒。ゼッドと何度も戦うがキー・スピリットの割に強そうな場面が少ない。

○サチュラ
禍々しい姿をした闇のキー・スピリット。ヤツザキ光輪の使い手。
持ち主はゼッドの親友ノア。

○モナディ
終盤、シーカーズの使者として再登場したサラがネオトピアから強奪した水のキー・スピリット。
弓矢を使う。

○シャディン
シーカーズが保管していた地のキー・スピリット。
首から上は金鎚で、左胸に顔がある男性型。シーカーズの救世主であるサギリからゼッドに託された。

……が、すぐ後にタスク側に奪われてしまう。ゼッドェ……。

○デュナミス
タスクの救世主であるミレッドが持つ火のキー・スピリット。
腕が6つある阿修羅のような姿。


<登場人物>

○ゼッド
CV:吉野裕行(幼少時代:平田宏美)
本作の主人公。15才。
目の回りが隈で覆われたびっくりするデザイン。厨二病。
態度は悪いが正義感が強く、色々と容赦ない性格。
所属国家はテンプラー。

○ノア
CV:堀江一眞(幼少時代:矢口アサミ)
ゼッドの親友。15才。
ゼッドの後を追うように異世界に飛ばされた。女たらし。
自分が関わった集団が何かと全滅に追い込まれる不幸少年。
所属国家はネオトピアだが、壊滅後はドルガー卿と名乗りタスクに所属する。

○ロイア
CV:水樹奈々
16才。腹部回りの露出が激しい本作のヒロイン。
所属はテンプラーだが実はタスクの生まれで実父に殺されかけ、母と死に別れるなど素性がかなりハード。

○ジーコ
CV:大木民夫
テンプラーのトップである七賢人の一人でロイアの師。79才。
恐らく本作の出来事の大半の元凶。
ネオトピアのトップであるハイラムと旧知の仲だったり過去にサラを拉致したりなど、こいつさえしっかりしておけば避けられたであろう事象が多い。

サラ
CV:井上喜久子
ゼッドの母親。42才。
ストーリー開始時まで精神を患っていた。
終盤、シーカーズの使者として再登場。
力に固執しており各地のキー・スピリットを強奪していった。特にアミル・ガウルを狙い何度もゼッドを狙った。
ラスト間近に御飯と称して明らかに毒入りのスープをゼッドに飲ませようとする様は正に狂人。


間違いなく本作屈指の被害者。かつて恋人を亡くした際、ジーコにアミル・ガウルに選ばれた人間である事を理由に拉致。
その後、妊婦であるにも関わらず救世主となるべく無理矢理に訓練を課せられた。

その挙げ句、アミル・ガウルに選ばれたのはサラではなく彼女が身ごもったゼッドである事が判明したためポイ捨てされたという過去を持つ。

ジーコさんマジ外道……。

彼女自身は訓練の際に見たアミル・ガウルの能力に魅力されており、精神を病んだのもそれが原因。
最後には力を求めたのは愛するゼッドのためである事を思い出し、永眠。


その他の登場人物は牙-KIBA-の登場人物を参照。



追記・修正はこの世界を救う救世主の方にお願いします。

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最終更新:2024年01月05日 22:20

*1 なお(井上氏の娘である、井上亜樹子氏が本作品から12年後の同局同放送時間曜日のTCGアニメの「デュエル・マスターズ!」の脚本を担当した為、親子揃ってTCG原作アニメの脚本を担当する偉業を達成した