エパンテリアス

登録日:2012/09/30 (日) 00:09:52
更新日:2024/02/04 Sun 21:21:27
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エパンテリアス(Epanterias)とは、現在の北アメリカに生息していた古代生物である「恐竜」の一種である。
分類は「竜盤目獣脚亜目テタヌラ下目アロサウルス科」。要するに三本の指を持つ大型肉食恐竜のグループである。

特筆すべきはその大きさで、全体の化石はまだ無いものの推定でも最大13m。
あのティラノサウルスギガノトサウルスに匹敵、もしくはそれを超える全長である。
だが、彼ら白亜紀の恐竜たちとは違い、エパンテリアスが生息していたのはジュラ紀。
仲間である「ジュラ紀の王者」アロサウルスはせいぜい8m程度、同時代を生きた「大いなるトカゲ」メガロサウルスも10mしかなかった。
その時代の肉食恐竜の中では文字通り最大級の脅威として、他の生物には恐れられていたのだろう。



…ただ、この恐竜に関してはそれ以上に重要な要素がある。




地  味



1878年の時点で既にその学名が記載されているはずなのに、100年以上経つ今も圧倒的に知名度が低いのである。
多くの恐竜がモチーフにされている事で有名なゾイドでも勿論取り上げられていない。
さらに、マイナーな恐竜も多く登場しているカードゲーム「古代王者 恐竜キング」ですら、エパンテリアス*1という名前は登場していない。
試しに町で「巨大な肉食恐竜と言えば?」と言って聞いてみるとよい。
多くの人はティラノサウルスと応えるだろうし、仮にちょっと恐竜を知ってそうな人子供たちに「もっと他にあるだろ」と聞いていけば
前掲のアロサウルスの他にギガノトサウルス、カルノタウルス、スピノサウルス、お年を召された方ならメガロサウルスやゴルゴサウルス辺りが上がり、
そのまましつこく聞いていてもカルカロドントサウルスやクリオロフォサウルス、ヤンチュアノサウルスやトルヴォサウルスなどが出るころには頭を抱えはじめ、
エオカルカリア*2やデルタドロメウス辺りで打ち止めになるのが関の山ではなかろうか。


というかそれ以前に、図鑑でこの名を見ること自体非常に少ないだろう。
当然ながら、ぬいぐるみなんて夢のまた夢である。






しかも追い打ちをかけるのは、「サウロファガナクス」という名の恐竜である。

こちらも同様のアロサウルス科であり、エパンテリアスには及ばないものの非常に大きな体を持つ事が知られている。
そして双方とも、一時期はアロサウルスそのものではないかという説が有力だった時期があった。
特にエパンテリアスの場合、ジュラ紀最大の肉食恐竜の座がアロサウルスに奪われるという事態になったのである。


…それなのに、サウロファナガクスの知名度は比較的高い。
「古代王者恐竜キング」ではDSソフトの付属カードとして強さが最高で登場。これで知名度が大きく上がり、それ以降の古代生物の図鑑でしばしば掲載されるようになった。。
また、前述のアロサウルスとの同種疑惑に関しては、骨の内部の構造から最近では別種であるという考えが主流となっているようだ。

それに比べ、エパンテリアスはもはや科学者以外には知る人ぞ知る状態となっている。
そして、未だに「アロサウルスの亜種」と考えている人も多い。
そう、かつて史上最大と言われていたサイズモサウルス(現在はディプロドクスの超大型種扱い)のように。
「ジュラ紀最大級」という称号をもってしても乗り越えられないこの格差は、一体何なのだろうか…。



…とは言え、それでもこの恐竜が完全に無視された訳では無い。
遊戯王カードの中の、炎属性・恐竜族のモンスターの一つである「エヴォルダー・テリアス」の名前の由来は、このエパンテリアスと言われている。


本当に少しづつであるが、ジュラ紀最大の肉食恐竜の名前は浸透し始めている…のかもしれない。

先述した通り、エパンテリアスは創作でも出番が少ない。
そこでこの恐竜でワクワクしたいのなら、漫画『Be boy blues(月刊ジャンプ) /卦石柾』の3巻(最終巻)に収録されてる
漫画『化石 REMENBER OF 100,000,000 YEARS AGO』がオススメだが、
まず「誰?」「何その漫画?」「月刊ジャンプって?*3」とマイナー路線なだけでなく、
本編はバスケ漫画でまた「劇画調の濃い(古くさい)漫画」「当然、読み切り漫画の恐竜学者の濃い漫画」なので非常に人を選ぶ。
エパンテリアス推しのアナーキー学者がエパンテリアスの完全化石を探し、南極大陸の地下を掘る…と聞くとロマンのある大作に聞こえるが、
「読み切り漫画で完結してる作品」なので化石を掘るよりスポンサーとのやりとりがページのメインになってる(むしろそこが面白味)。
1990年代前半の漫画なので探すのは大変。マイナーでも「コアマニア人気がある作品」でもない。
そして編集が90年代ジャンプだな…と(悪い意味で)思わされる作品のノリがあるので、わざわざ入手するほどでもないという問題も…

というか、エパンテリアスが謎多すぎて完全のサイズや全体像は創作の域を出ないのに地味過ぎて創作されない(フィクションで出番が少ない)という悲しい現実と
この漫画の「存在」が凄くシンクロしてる(悪い意味で。マイナーでオタ人気もない)。

現実ではイマイチな扱いだったのに対し、そのピーキーな性能からフィクション人気やオタ人気が凄い
「アルファ級原子力潜水艦(ソ連軍)」「ロッキード・マーティンF22ラプター」「500系新幹線電車(JR西日本)」などとは対照的であるので
フィクションその他で楽しもうとしても難しい*4


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最終更新:2024年02月04日 21:21

*1 他にもかなり知名度の低い「アベリサウルス」「ゴンドワナティタン」「ズニケラトプス」「ピナコサウルス」「カロノサウルス」「エウストレプトスポンディルス」は登場している。もっとも「へレラサウルス」「ブラキオサウス」なども登場しなかったが。

*2 古代王者恐竜キングで敵限定で登場するのが過度に強かったため、大きく知名度が上がったと思われる。「甲虫王者ムシキング」のヘルクレスエクアトリアヌスブルー同様、最終ボスではあったが。

*3 廃刊になったジャンプの月刊誌。今でいう所のジャンプSQである。

*4 アルファ級原子力潜水艦やF22は軍事物の漫画やゲームでバンバン出てくるし、500系新幹線はイケメンすぎる外見からJR西がその人気を広報活動に利用してるし乗りにも見にもいける