PlayStation2

登録日:2012/01/03(火) 21:37:28
更新日:2024/04/06 Sat 16:21:03
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ジョン♪


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PlayStation.2



PlayStation2(プレイステーション・ツー)とはソニー・コンピュータ・エンタテイメント(SCE)が開発したコンシューマ向けゲーム機。

PlayStationの後継機に当たる。
最高売上ソフトはドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君

略称は「プレ2」、「プレステ2」、「PS2」等。




【概要】

2000年3月4日に発売。
当時はビデオカセットからDVDへ映像媒体メディアの移行が進みだした時勢で、市販のDVDプレイヤーは単機能で大体4~5万円の相場だった。
にもかかわらず、PS2はDVDプレイヤーを搭載しておきながら4万円の超低価格で発売。『DVDプレイヤー兼ゲーム機』という廉価ながら豪勢な機能を持った機器となった。
マトリックス』や『ハリー・ポッターと賢者の石』などのヒット作がDVD化されたことも功を奏し、ローンチタイトルにあまりヒットする物がなかったにもかかわらず、発売から僅か3日で98万台を販売する伝説を作る。2005年11月には世界で1億台の生産出荷台数を記録。
余談になるがこの事によってTVに繋ぐ家電としての単機能DVDプレイヤーはほぼ絶滅、録画機能を有する『DVDレコーダー』がデフォ商品となり、単機能プレイヤーは小型で可搬機能の有るポータブル機のみとなっていく。


直線的なその形状は、本体、ロゴデザインを担当した後藤禎祐氏によれば「地球から宇宙へのメッセージを発信する黒い箱」をイメージしたとのこと。
従来の家庭用ゲーム機に多い「横置き」以外にも、当時は珍しい「縦置き」が可能。
その際転倒防止に専用のスタンドの使用が推奨されている。

因みに、起動すると柱が表示されるがその数はメモリーカードに保存された起動回数に応じて、柱の数が少しずつ増えていく仕掛けになっている。

2004年11月3日には軽量化された薄型が発売された。

後継機となるPlayStation3(PS3)が2006年11月に発売された後もしばらくは市場の一角を占めていた。
この頃からゲームソフトのクロスプラットフォーム化が進んでおり、PS2を含めた多機種でソフトが発売されていた。

初期のPS3には、PS2との互換性があったが、コストダウンと省電力・発熱性を優先し2007年秋に発売された新型PS3では互換性が撤廃されている。
(初期のPS3はPS2の主要チップを搭載した、PS3とPS2を一つに合体させたようなものだった。なおPS2ソフトを動かす時はPS2のチップはもちろんPS3のチップも動くため本体がかなり熱くなる。)
その為多くのメーカーがPS2とPS3両方でソフトを発売していた。
ソフトによってはWiiやXbox 360等でも発売される為、1本のソフトが4つのハードで発売されたりした。

2008年になるとPS3、Wii等の据え置き機、ニンテンドーDSPSP等の携帯機が普及しシェアは減少。
新作ソフト数も減少した。
俗に言うギャルゲーや乙女ゲーはPS2単独で展開していたが、2010年後半には殆どが上記のハードに移行した。

日本を初めとした先進国では次世代機が主流だが、DVDプレーヤーとしても使えることや、DVD自体がまだ主流であることから東南アジアや中東ではいまだに需要が高く、2011年2月には全世界で1億5000万台を売り上げた。
また前述の通り新型PS3ではPS2ソフトが使えないことから、主流が移った現在でも愛用しているゲーマーは多い。

余談ではあるが、それまでの家庭用据置ハードのジンクスであった『本体が黒色のハードは売れない』というジンクスを見事に打ち払った。
まぁ後継機の黒ハードはそのジンクスに呑まれ(ry
…と思ったが後半持ち直した。



【歴史】

  • 1999年3月
基本仕様が発表されデモが公開される。当時の技術からは考えられないほどの高度な3DCGにより、多大な衝撃と期待を集めた。

  • 1999年9月
正式名称を「PlayStation2」と発表。同時に価格も発表し、多くの大手ソフトメーカーが参入を決め、発売前から市場制覇は確実とされた。

  • 2000年2月
SCEが自社のショッピングサイトにて先行予約を受け付けた。
ゲーム業界でネット販売は当時は画期的だったがアクセス殺到で鯖落ち、個人情報漏洩等の問題が起きた。

  • 2000年3月4日
ついに発売。
普段ゲームを取り上げない一般マスメディアも大々的に報道し、社会現象となった。

  • 2001年
本格的にソフトが出揃いはじめ、カプコンが発売した「鬼武者」が初のミリオンセラー、
7月にはスクウェアの「ファイナルファンタジーX」が200万枚以上を売り上げ、本格的な世代交代となった。
9月にニンテンドーゲームキューブ、2002年2月にXboxとライバルが出現。
PS2を上回る性能とソフト開発の容易さをアピールしたが、PS2の牙城を崩すには至らず、2004年時点で日本の据え置きゲームシェアの8割を独占したとも言われる。

  • 2005年5月
後継機PS3の概要を発表。
11月にはXbox 360が発売される等次世代機への関心が高まり、PS2の販売台数は減少していった。

  • 2012年12月
SCEが日本国内における生産・出荷を終了。店舗在庫や中古品の相場が高騰した。

  • 2019年8月
部品の確保や維持管理が困難になった事を理由に、SCEはPS2の修理サポートを打ち切る事を発表。
これにより本体が壊れてしまった場合は修理が出来なくなってしまった。


【性能】

CPU EmotionEngine
294.912MHz 128bit
RAM 32MB DirectRDRAM
GPU GraphicSynthesizer
147.456MHz
VRAM 4MB(GPUに内蔵)
DVD-ROMドライブを搭載し、USB端子等パソコンと同じインターフェイスを備える。
ネットワーク接続や光デジタル出力。
中期の大型「30000/50000」系列モデルではIDEHDDを増設できるベイも設けられた。
が、設置できるのはXbox同様専用HDDのみで自作PC用の同規格パーツなどは取り付ける事は出来ない仕様である。
初期型にはPCカードスロットも付いていたが、対応する周辺機器はエクスパンションベイ非対応モデル(10000系列)用HDDインターフェースカード(Playstation BB Unit)以外は登場していない。

その性能はミサイル誘導など兵器転用も可能とされ、ゲーム機としては初めて輸出規制がされた。
ビン・ラディンが買い占めて悪用しようとしたという噂も。

ハードウェア構成でよく挙げられる特徴がGPUの「GraphicSynthesizer」で、
これは当時としてはとても珍しい*1VRAMを内蔵したGPUで、VRAMのデータ転送速度が異常に速かったことで知られている。
高速なVRAMは特に半透明のオブジェクトを描画する時に真価を発揮し、現在はプログラマブルシェーダーで処理する光源処理やエフェクトの描画をこの高速なVRAMを駆使する力業で実現したソフトが多い。
SONY関連タイトルであれば『グランツーリスモ4』*2サードパーティーなら『メタルギアソリッド3』*3等がその極致と思われる。

サブCPUとしてPSのCPUを使用している事から、PSのソフトを起動することが可能になっている。
この時はサブCPUがメインCPUに昇格している。
接続端子もPSの物をそのまま用いているため、基本的にはすべての周辺機器やソフトが利用可能。
しかもPS2でPSソフトを起動する事によって、ロード時間の短縮や処理速度の改善などといった恩恵を受けられる。
ただし一部のPSソフトではPS特有の仕様を使っている物があり、PS2で起動する事によって、不具合が発生する。
特に薄型になった70000番台以降は動かないソフトが増えている。
中にはゲームの進行が不可能になるなどといった洒落にならないケースも。
ソニーのサイト内には不具合一覧表もあるが、ここに載っていないソフトにも軽度の不具合があったりする。
例えばファイナルファンタジータクティクスは「SEのアサインがズレて、ジャンプした時に変な音が鳴る」というゲームプレイ的には問題ないけど、PSで起動させたことがある人には吹き出しそうになる不具合がある。

セーブデータの保存にはPSと同じく、フラッシュメモリ媒体の専用メモリーカードを使用。
容量は8MBでPSのメモリーカードの約6倍の容量であり、データの書き換え速度も向上している。
それに加えて規格がPSのメモリーカードと同一であり、PSのメモリーカードをPS2で使用する事も可能だが、PS2のデータをPSのメモリーカードに保存する事は出来ない。
PSのメモリーカードのデータをPS2のメモリーカードにバックアップを取っておく事は可能。
やたらと屈強な構造になっているのもPSのメモリーカードと同じであり、滅多な事ではセーブデータが消える事は無いが、だからと言って雑に扱ったりしないように。



【HDリマスターやPS2アーカイブス、そして現在のPS2を取り巻く環境】

PS2の生産終了とそれに伴う中古流通の縮小により、PS2タイトルをプレイできる機会は減ってきている。
近年は人気タイトルを中心に「HDリマスター」と称してPS3など後継ハードへ移植される場合もあるが、ごく少数にとどまっている。
移植されたとしてもその評価はまちまちであり、「ZONE OF THE ENDERS HD EDITION」では移植の精度の低さが問題となり、発売後に描画エンジン総入換の大規模な修正パッチを当てるという事態も発生した。
また現在はオンライン配信による「PS2アーカイブス」というサービスが開始されているのだが、その数は少なく2022年1月現在での公開タイトル数は僅か112本に留まる。

原因として、先述の通りPS2のハードウェア構成が非常に特殊であり、特にPS2全盛期〜末期のソフトはその仕様に極限まで最適化されたものも多く、他ハードへの移植・エミュレータ等での再現ともに難しい事が挙げられる。

このためメーカーとしては移植に手間がかかる割に過去の作品への需要が未知数であり、手を出しづらい状況を作ってしまっている。
故に未だ多くのPS2タイトルは、既に生産が終了した本体・周辺機器を確保しなければプレイできないのが現状である。
非公式の方法ではあるが、PCでエミュレーターを使って遊ぶという手もある。
だが2020年1月時点で、PS2のメモリーカードをPCで使う為の周辺機器が発売されていないので、セーブデータの流用が出来ないので注意。

因みにPS2の光学ディスク読み取りレンズは消耗品。
個体差はあるがいずれディスクを読み取りにくくなり、ディスクを読み取らなくなった時はレンズごと換える必要がある。
一応クリーニングを行えば寿命を延ばすことはできるが最終的にはレンズ部分は交換しなければならない。
また薄型(SCPH-70000番以降の型番)は構造の都合上、レンズ部分のフレキケーブル(オレンジのリボンみたいな部品)が何らかの不具合で位置がズレると回転中のディスクに触れて円周状の傷が付いてしまうという致命的な欠陥があった。欠陥っていうレベルじゃねぇぞ!
ただしSCPH-79000に限り対策*4がされておりフレキが浮き上がりにくくなっている。

だが前述のように現在は修理サポートを打ち切られてしまったので、これらの不具合が発生しても修理不可能。
もしかしたらファミコンやスーパーファミコンのように、他社から互換機が発売される事があるかもしれないが。



【余談】

PSシリーズ関連のCMでは始めに「ジョン」みたいな独特な音声が流れる。
正確には「ヅ」と「ジョ」の中間の音らしい。
その独特な音で、今からPS2のCMを流しますよと視聴者に印象付けるのが目的だったようだ。
その音を聞けばプレステのCMだと思う人も多いのではないだろうか。



追記・修正はPS2をお持ちの方にお願いします。

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最終更新:2024年04月06日 16:21

*1 ゲーム機としては後のゲームキューブやXBOX360でも使われているが

*2 VRAMはもちろんCPU・GPU等も限界まで使っている。

*3 光源処理もさることながらPS2での実現は不可能と言われていた草木の生い茂るジャングルを見事描き切っている。

*4 フレキを押さえるツメが追加されている。