星の白金(スタープラチナ)

登録日:2009/09/21 Mon 18:31:03
更新日:2023/10/23 Mon 11:31:36
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(スター)のカード!

名づけよう! 君のスタンドは

星の白金(スタープラチナ)』!

── モハメド・アヴドゥル



星の白金(スタープラチナ)とは、荒木飛呂彦作の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する能力。


破壊力 - A
スピード - A
持続力 - A
射程距離 - C
精密動作性 - A
成長性 - A→E(完成)
(『JOJO A-GO!GO!』による)



【概要】


スタンドヴィジョンは、本体である承太郎と同じくらいの体格をした、筋肉質の男性型。
頭髪や口があったり、感情が豊かに表現されたりと、最も「人間」に近い容姿をしているスタンド。
忘れられがちだが、自我を持つスタンドでもある。
その単純明快な特性もあり、ジョジョシリーズ全体を通して近距離パワー型スタンドの代表格を務めている。


名前はページ最上部のセリフにあるように、タロットの「星」のカードからアヴドゥルが名付けたもの。
タロット占いにおける「星の正位置」は「(未来への)希望」や「才能」「直感のひらめき」を暗示するカードであり、
荒木先生によって「神話の英雄」のイメージから創作された承太郎に相応しいモチーフと言える。
また、「星」の通し番号は3部時点での承太郎の年齢と同じ「17」であり、その辺りも運命的。
なお、偶然か意図的かは分からないが、このスタンド以降、6部までは「主人公のスタンドには鉱物に類する名前が入る」という法則になっている。


【能力】

ジョセフの「念視」等の特殊能力や、アブドゥルの「火炎」等の飛び道具の類を一切持たず、攻撃方法は単純に徒手空拳で殴るのみ
しかし、射程距離を除く全能力のランクがAと、ことステータスに関しては他の追随を許さない優秀さを誇り、
「ただ殴るだけだが、それがとんでもなく強い」という、シンプルな強さがこのスタンドの最大の特色。

そのパワーは圧倒的で、鉄格子を飴のように捻じ曲げ引き千切り、大型トラックの正面衝突を受け止め、
フルパワーで拳を振るえば地面が轟音とともに吹き飛び陥没する。
さらに秒間数十発の打撃を繰り出すスピードと、飛来する無数のガラス片すべてを指で挟み取る精密さも併せ持つ。
滅多にやらないが、物を掴んで全力でぶん投げれば「超剛速球並みのスピードではるか彼方まで」ブッ飛ばすことも可能。
ンドゥールに対してイギーを投げた時「お互いにスタンドで防御しないとぶつかって(ヤバい状況になる)」と思わせるほど。

それらをフル動員した超高速超威力の拳の連打(オラオララッシュ)は回避も防御も非常に困難で、
正面切っての直接戦闘に限って言えば、まさしくトップクラスといえるスタンド能力である。

またその破壊力に比例してかスタンド自体の耐久力も高い。
トラックを受け止めようと地面を吹き飛ばそうと傷一つ負うことは無く*1
巨大敵スタンドダイヤモンド並みの硬度の歯で噛み潰されそうになっても、歯ごと粉砕して脱出してしまう。


弱点としては短い射程距離(約2m)が挙げられ、文字通り手の届く範囲しか守れない。
そのため、敵スタンド使いは特殊能力や策略を駆使してその射程距離外から本体である承太郎を倒そうとする。
また、攻撃方法が(スタンドの)徒手格闘しかないので、触るだけで危険な相手だとダメージを免れないという点がある。
女教皇をつかみ潰そうとしたときにはカミソリの刃に化けられ手を切り裂かれてしまい、
虫食いの溶解弾を受け止めたときには手を溶かされてしまった。

ちなみに、ステータス評価「破壊力A」「精密動作性A」を併せ持つスタンドは、スタンドが初めて登場したPart3以降、長らく『星の白金』のみであった。
Part7『スティール・ボール・ラン』で、同部のラスボスであるファニー・ヴァレンタインのスタンド「D4C」が新たに名を連ねることになったが、
D4Cのスタンド自体の戦闘能力は(Part7以降に登場するスタンドは、それ以前のPartのスタンドと少し毛色が違うものになっているのもあるが)高くないため、
このステータス評価に違わぬ戦闘能力を(特殊能力を使わずとも)発揮しているスタンドは事実上この『星の白金』だけだと言っても過言ではないだろう。

なお、ラッシュのインパクトから高い破壊力とスピードに目が行きがちな『星の白金』だが、高い精密動作性を活かした活躍も度々あり、
  • 1.至近距離で発射された銃弾を抓む
  • 2.『隠者の紫』で念写した写真に写っていた、機械でも読み取れなかったハエの特徴を正確に読み取って図鑑で調べられるレベルでスケッチ
  • 3.花京院典明ジャン=ピエール・ポルナレフに埋め込まれた、正確に抜き取らなければ宿主の脳を傷つけてしまう『肉の芽』を引き抜く
等、スタンドが人間離れした能力であることを読者に知らしめた。
視力などの感覚も非常に優れており、顕微鏡でないと見えないような極小のスタンドの襲撃を察知し抓み取り、
双眼鏡を併用すれば地平線の彼方までも明瞭に把握することができる。 


このように非常に高いスペックを誇る『星の白金』だが、それを操る本体である空条承太郎の精神力の強さ、判断力の高さも図抜けており、
スタンド自体の能力がどれほど高くとも、それを操る本体が恐怖に竦んだり冷静さを失ったりしてしまっては、
どんな化け物級のスペックを誇る乗り物でも運転手がビビッてしまえばみみっちい運転しか出来ないように、十分に活かせないが、
承太郎は身体を融解されかけようと、異物が体内に侵入してこようと平静さを失わない精神力と、危機的状況でも敵の能力や策略を正確に見抜く洞察力を兼ね備えており、
敵の攻撃を見切り、仕掛けた陥穽や罠を突破して『星の白金』での直接戦闘に持ち込むのが承太郎の基本戦術である。
策やスタンド能力を見切られた上で『星の白金』との直接戦闘に持ち込まれると挽回は非常に厳しく、数々のスタンド使いが拳の連打(オラオララッシュ)の前に敗北を喫してきた。


ちなみに、Part3終盤まで、ポルナレフやジョセフ・ジョースターの能力が強化される中、『星の白金』は一切の特殊能力を持たず、
終盤までその戦法は射程距離まで近付き、拳で殴るのみ*2という、非常に珍しいスタンドであった。
しかし、「ただ殴るだけ」で相手を圧倒できるスタンドは非常に頼もしく、そのスタンドを十二分に活かせる承太郎の精神力も相まって、
仲間たちからは承太郎共々、そのシンプルな強さを頼りにされていた。


そして、ついに対決することになった宿敵・DIOとそのスタンド『世界(ザ・ワールド)』との死闘の中で、
DIOの行為に凄まじい怒りを抱いた承太郎に呼応するかのように、『星の白金』もついに覚醒。
DIOを打ち破れる最強の力(後述)を手に入れ、見事撃破した。


空条承太郎が主人公ではなくなった第4部「ダイヤモンドは砕けない」以降でも承太郎が登場する度に、『最強のスタンド』『完成されたスタンド』などと称されている。

そのため、Part3以降でも登場すれば承太郎共々頭脳戦・直接戦闘の両面で性能を発揮し、時にはその部の主人公達を喰う活躍をする……なんて事は無く、
むしろ、Part3よりも特殊性の強いスタンドと戦う事が多い為、実はPart4以降で承太郎単体の白星と言うのは無い。
承太郎が戦闘から離れていたからか、東方仗助のプッツンパワーが予想以上だったのか、キレた彼の『クレイジー・ダイヤモンド』と直接戦闘を行った際には、
『星の白金』の両腕のガードを強烈なアッパーカットで弾かれ、承太郎が冷や汗を掻いたことも。
また、あまりにも強力で有名すぎるため、一度戦ったり、ある程度情報網を持った相手には警戒され、対策を取られることもある。
特に持ち前のラッシュがほとんど功を成さない『シアーハートアタック』相手には、
単なる打撃ではない"重み"を与える」「直して本体の所まで戻す」能力と違って有効打がなく、苦戦を強いられてしまった。

ちなみに『星の白金』の性能に関して作者の荒木飛呂彦は、
「スタープラチナより強いスタンドは存在しない。もしあるとするとそれは承太郎の家系だろうね」
「全盛期承太郎のスタープラチナは無敵」
と述べている。


  • ラッシュ
「オラオラオラオラ!」の掛け声とともに機関銃の如き超高速の拳の連打を相手に叩き込むだけのシンプルな技。
しかし破壊力、スピード、精密動作性の全てが最高値を誇るスタープラチナが放つため正攻法での回避も防御も困難を極め、炸裂すれば文字通りの必殺技となる。
なお正式名称ではなくあくまでファンの通称。CAPCOM格ゲーではオラオラ、ASBではオラオラッ!と掛け声がそのまま技名になっている。
凄まじい速度で拳を叩き込むという攻撃は、承太郎以降の主人公達も掛け声やスタンドこそ違えど、決め技として使っている。

  • 流星指刺(スターフィンガー)
人差し指と中指にスタンドパワーを集中させ、指を一気に伸ばして敵を切り裂く技。
シンプルながらスタープラチナのパワーと精密性を同時に発揮できる強力な技。
使われたのは暗青の月(ダークブルームーン)戦及び(ストレングス)戦のみだが(TVアニメ版ではオリジナルで対アヌビス神戦でも使用されている)。


発現直後

承太郎は、祖父のジョセフからスタンドの詳細を聞くまでは、
『おれの後ろに誰かがいる!』
と語り、それ(後の『星の白金』)の事を『悪霊』と考えていた。

この頃の『星の白金』は暴走状態にあり、少年ジャンプやラジカセなどの「承太郎が希望する物品」を射程距離外から持ってきたりと、
承太郎の意志には従わないものの、一方で承太郎の利益になるように動いていた。なかなか気の利くヤツである。
この時は未熟ながら感情もあり、少しだけ喋っていた。また、敵を攻撃する際に楽しげな笑い顔を見せたりもしている。
後の分類であるひとり歩き遠隔自動操縦型とも曖昧な状態で、
承太郎が「スタンド」を『認識』するまでの曖昧な過程の表現と解釈する事もできよう。
もしかしたら、彼の望む物を運ぶことで「自分は悪霊ではない」「恐ろしい存在ではなく役に立つ存在だ」と思われたかったのかもしれない。

「重要なのは『認識』する事ですじゃッ!」


承太郎が制御してからは自我もある程度抑えられたのか、「オラァ!」しか発しなくなった。



だがこのスタンドの一番恐ろしいところは、このスタンドもまた「ジョースターの爆発力」を受け継いでいるということ。
というのも、元々真正面からの殴り合いならばほぼ負けなしのスペックを誇りながら、成長性が「A」をマークしている
つまり、まだ大きな伸びしろが残っているということである。そして…














てめーの敗因は…たったひとつ(●●●●●●)だぜ……DIO…

たったひとつの単純(シンプル)な答えだ……


『てめーはおれを怒らせた』



【スタープラチナ・ザ・ワールド】

DIOとの戦闘中、彼のスタンド『世界(ザ・ワールド)』によって止められた時間、つまり「DIOの世界」を「認識」し、
それに「入門」した承太郎の『星の白金』がその戦闘の終盤に身に付けた、DIOの『世界』のように「時を止める」能力。

第3部では特に何も言わずにこの能力を使っていたが、第4部以降は使う際に「スタープラチナ・ザ・ワールド!」と言うことがあり、
そこから『星の白金』の「時を止める能力」を指して『スタープラチナ・ザ・ワールド』の名称が用いられるようになった。
第3部終盤で「時を止める能力」を得た『星の白金』に付けられた、第4部以降の新たなスタンド名と解釈されることもある。

DIOとの戦闘では5秒程度時を止めており、この時が最長。第4、6部時点では2秒程度となっており、18歳の時が全盛期であった。
しかし第6部終盤、娘の危機に駆けつけた際は精神が影響したのか鍛え上げたのかは不明だが、全盛期と同じく5秒止めることを可能にしていた。

第4部開始までの10年間は使用していなかったとのことだが、その理由は不明。
使う程の相手がいなかった、もしくはそもそも戦う回数自体がなかったか、
不老不死のDIOとは違い定命の承太郎は使う度に数秒とはいえ寿命が減ってしまうからというのが推測されている。

第6部の解説では、
「スタープラチナの卓越したスピードが『光を越える』または『時を越える』と世界はその動きを止め、時間が止まる」
とのこと。『星の白金』より速かった『銀の戦車』涙目。

DIOの『世界』も『星の白金』も共に「時を止める」という能力を持つのだが、どうやら方法が若干違うらしく議論の的になっている。
有力な説としては、
  • 世界(ザ・ワールド)』:「この世界のルール自体を捻じ曲げて時間を止めている(元々持っていた特殊能力)」
  • 『星の白金』:「自身がメチャメチャ早く動いた結果光速に到達し、擬似的な時間停止を引き起こした(特殊相対性理論)」
という解釈が一般的。誰だクロックアップっつったの*3
この違いは承太郎がDIOに指摘されたように時の流れの中で生きる人間としての考え方をしていて、それによって時を止めるという能力を発現したためだろう。

なお、第6部時点では、『星の白金』の成長性が以前の「A」から「E」に変化しているが、
これは、この時間停止能力が完成したためだと推測される。これ以上成長されたらえらいことになりそうだったので良かった
実際、「E」の横に「完成」と補記されることもある他、アニメ版第6部におけるスタンドのステータス面では「完成」とだけ表記されている。
スタープラチナ・ザ・ワールド・レクイエムとかなったらもう悪夢である。
原作者監修のアイズオブヘブンではレクイエムをも上回るチート能力に目覚めてしまったが。




オララララオラ
追記・修正するのは


俺の『スタンド』だッー!!

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最終更新:2023年10月23日 11:31

*1 スタンドは物理的影響は受けないが、自らの力の反作用は喰らう。走行中のトラックを受け止めることは出来てもその反動は消せないし、例えばパワーが低い花京院の『法皇の緑』が車をつり下げようとすれば弾け飛んでしまう。

*2 描写が非常に少ないが『世界』戦で連続蹴りと水面蹴りの二種の「蹴り」攻撃を出しており蹴り攻撃は一応可能

*3世界(ザ・ワールド)』の項目も参照されたし