波紋

登録日:2012/10/23 Tue 20:48:59
更新日:2023/10/16 Mon 19:20:41
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1.水面に物を投げた時、輪のように広がる波の模様
2.関連して次々に及ぶ変化、反応、影響
3.波形の紋様
(岩波書店「広辞苑」より引用)
4.「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する用語、及び特殊能力。本項ではこれについて解説する。


震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!

おおおおおっ 刻むぞ血液のビート!


山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)』!!



【概要】

『ジョジョの奇妙な冒険』において、同作品の作者である荒木飛呂彦先生が、
エネルギーを絵にできないかという考えの下、生みだしたのがこの「波紋」である。

作中では波紋法、波紋呼吸法と呼ばれる。東洋では「仙道」とも。
波紋は肉体操作術・治療法などの様々な利用法があり、柱の男や石仮面で生まれた吸血鬼への対抗手段でもある。

波紋を習得した者を「波紋使」』、特に波紋戦闘術の心得があるものを「波紋戦士」と呼ぶ。

【使用法と効果】

「特別」な呼吸を繰り返す事で、血液(≒肉体)に「特別」な波紋を起こし、
それによって生み出された生命エネルギーによって様々な効果を発揮するという、肉体操作法。

効果例:
  • 重症のケガ人・身体異常を急激に治療する。壊死した細胞が広がった脚や、複雑骨折した腕がその場で治るレベル。
  • 岩に乗ったカエルを殴るも、カエルは無傷、岩だけが砕け散る
  • 肉体の老化を抑える。多分20才分くらいは誤魔化せている

通常、素質のある者が、息を10分間吸い続け10分間吐き続ける等の過酷な修行を経て使えるようになる。
また、波紋使いの子孫には修行をせずとも生まれつき波紋を使用できるという者もいるが、
そのうちの一人であり、第2部の主人公であるジョセフ・ジョースターは、名称を知らなかったために超能力と称したこともある。

なお、技術のある波紋使いが対象の横隔膜付近を突いて「呼吸」を操作するというやり方で、
稀に失敗することもあるが、修行していない者でも軽い波紋を短時間だけ使用可能にすることが出来る。

この「波紋法」が生み出す特別な生命エネルギーは、太陽光がもたらすエネルギーと同じ波長を持っているため、
太陽光を苦手とする存在への、非常に強力な対抗策となる。
これこそ、「波紋法」が石仮面や「柱の闇の一族」への対抗策として重要になった点である。

ちなみに、(素質も必要だが)「呼吸」を整えればそれで使用できるため、吸血鬼でも「波紋」を使うこと自体は可能。
しかし、吸血鬼の肉体は太陽光や生命エネルギーが身体にあたればその部分の細胞が壊死するという特性を持ち、
それが自ら生み出した「波紋」であろうとも関係なく、触れれば細胞が壊死するため、吸血鬼が「波紋」を使うのは自殺行為に過ぎない。
呼吸をしていない波紋使いの波紋法によって蓄積された生命エネルギーを奪う事であれば吸血鬼にも可能。

【性質】

波紋はある種のエネルギーである為に末端からしか本来は放出できず、その性質上、拳や蹴り技に纏わせて使用する。
要はホースからでる水のようなもの。逆に言えば出す場所を一点に集中すれば同じ量の波紋でも出力が上がる。
その性質は電気に似ている。

太陽の光と同質の生命エネルギー的なものなため、対屍生人・吸血鬼においても強力な作用を持つ。
吸血鬼は他人の血から得た波紋をエネルギーにしている為、その関係はコインの表と裏である。
一般の人間に使用すると、軽程度の波紋なら傷の治癒など有効な効果になるが、過剰に与えると失神・最悪死亡する事がある。

また、電気に似た性質故か、金属や特定の生物から作られた繊維などをよく伝わるという特徴もある。
東南アジアに生息する昆虫サティポロジア・ビートルのほんのちょっぴりの腸の筋を3万匹分乾かして編んだマフラーなどは波紋伝導率100%。
水や油などもよく波紋を通す。そのため、修行にも使われる。


【スタンドとの関係】

スタンドとの関係は、『生命エネルギーを武器にする』という点においては同じものである。
初期はスタンドに「幽波紋」という漢字が当てられていた。「幽波絞? 誰だい、そんな誤字をやらかしたのは」
アニメではジョセフの『隠者の紫(ハーミット・パープル)』の発動時に、波紋と同じエフェクトが鳴り、波紋のエネルギーが迸る演出が成されている。
2014年の『ジョジョニウム』9巻で荒木先生が語るところによれば、もしスタンド使いが若ジョセフを見れば、波紋の全身を伝わる生命エネルギーが『隠者の紫』同様の全身に巻き付くようなイバラの蔓に見えるという。
その関係性もあってスタンド使いは謂わば旧来の波紋とは桁外れの能力を持った次世代の波紋使いとも呼べ、劇中で繰り広げられるスタンドバトルも波紋使い同士の戦いとも云える。

基本的に同一の存在である故か、スタンドそのものには波紋は素通りして効かないが、逆に言うとスタンドは波紋を100%伝達する
そのため、ジョセフはDIOとの対決にて「自身のスタンド『隠者の紫』を身体に巻き付け、そこに常時波紋を流す」という防御法で一度DIOのスタンドによる襲撃を凌いでいる。
劇中で波紋とスタンドの両方を使えたのはジョセフだけだったが、
もしも承太郎が波紋の修行を受けられていたならば、DIOとの戦いはもっと早く決着が着いていた筈であった*1
また、柱の男の取り込みと違って、スタンドによる肉体へのとりつきの場合、多くの場合自分の肉体扱いとなり波紋が素通りして効果がない様子。

第5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナは波紋の修行こそないが、彼のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」の能力は波紋と非常によく似ている。*2
その為、実質的に『スタンド能力として昇華された波紋』とも言えるのかもしれない。

そして偶然か必然か、第4部の主人公東方仗助や、承太郎の母であり仗助の異腹姉ホリィのスタンド能力も「治癒の能力」であり、波紋使いの子供のスタンド能力は、波紋に近い性質になる確率が高い模様。

スティール・ボール・ラン第10巻の解説では、スタンドのような『才能』に近づこうとする『技術』と説明している。


【修行法】

当然の如く波紋法は一朝一夕で習得できるものじゃあない。
また、仮に波紋使いとしての才能は有っても修業を積まなければ波紋の呼吸も乱れ、力も弱い。

ツェペリさんやダイアーさんなどの波紋戦士はチベットのヌー川をさかのぼった奥地で、
マリオやシーザーはヴェネチアから船で北東へ30分の位置にあるエア・サプレーナ島で修業した。


修行内容としては
  • 『呼吸法矯正マスク*3』をつけて生活する』
  • 『1秒間に10回の呼吸ができるようにする』
  • 『10分間息をすいつづけて10分間はきつづけるようにする』
  • 地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)*4』を昇り切る
  • 『周天の法門』に挑む

などが確認されている。
また、体幹や精神を鍛えるためか、はたまた高地トレーニングのような効果を期待してか、作中では高所に張られたロープの上で綱渡りのように修行を行うシーンもある。


【技】

◆波紋疾走

波紋が物体に流れることを『疾走』と呼び、波紋を伝達する術を『波紋疾走(オーバードライブ)』と呼称する。
しかしカーズ様は「オーバードライブ!」と聞いて「はもんしっそう」と言うお茶目な場面を見せた。

山吹き色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ) 拳から直接流す波紋疾走。もっとも強い波紋力を持つとされる。
緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ) 波紋をためて物体に熱を流す。黒騎士ブラフォードの髪の毛を焼き払った。
青緑波紋疾走(ターコイズブルーオーバードライブ) 波紋が通りやすい水を通して波紋を流す。水中ではより遠くまで波紋が流れる。
銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ) 金属へ伝える波紋疾走。剣などの防御と同時に流せばその防御自体が同時に波紋攻撃になる。
生命磁気への波紋疾走 波紋疾走によって生命磁気を増幅し、生命磁石として木の葉などを集め、くっつける。
劇中では即製のハンググライダーを作った。
深仙脈疾走(デイーパスオーバードライブ) 仲間に全生命力を与えて波紋力を増大させる究極の奥義。


◆波紋技

波紋はうまく流せれば吸血鬼らを一発で倒す決め手となる。如何にして相手の攻撃をよけ、懐に潜り込み波紋を流すかにかかっている。
その為には格闘術や道具を用いるのが有効である。

ズームパンチ 腕の関節を外しパンチの射程を延ばす基本技。関節を外した激痛を波紋でやわらげているため波紋力は実は低い。
仙道波蹴(せんどうウェーブキック) 相手の懐に潜り込んで当てる波紋を込めたひざ蹴り。
波紋乱渦疾走(トルネーディオーバードライブ) 飛び上がった後、きりもみ回転で攻撃する波紋蹴り。
稲妻空烈刃(サンダースプリットアタック) スローな蹴りから相手の防御を開脚で遮り、隙だらけの頭部に波紋の手刀を喰らわせる。
稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック) 稲妻空烈刃の上位技。手刀を十字に組んでいるため欠点を補って攻守において完璧なダイアーさんの必殺技。
波紋肘支疾走(リーバッフオーバードライブ) 両肘を前に突き出した波紋攻撃。防御にも使える。
波紋カッター 口に含んだワインに波紋を流し、ものすごい圧力をかけて歯の間から押し出すことで放つ水圧カッター。パパウパウパウ。
シャボンランチャー 服に仕込んだ特殊石けん水で作り出したシャボン玉に波紋を流して飛ばす技。
シャボン・カッター 高速回転による遠心力で円盤状になったシャボン玉。シャボンランチャーと波紋カッターの応用編。
シャボンカッター・グライディン 低空飛行のシャボン・カッターで足元を狙う技。
シャボン・レンズ 滞空したシャボン・カッターが日光を反射し相手を狙う。レーザー光線のような威力がある訳では無いので、柱の男や吸血鬼以外の相手には肌を焦がす程度で多分あまり効かない。


【弱点】

先述の通り、波紋とは「呼吸」を起点に「血液」を波立たせる技術である。
このため、首を絞められる・肺や喉を潰される・水中に引きずり込まれる…等で呼吸が封じられると途端に無力化されてしまう。
もちろん首・肺(胸部)・喉は人間の急所であってそこを強打されればその時点でアウトなのだが、
強い衝撃を受けるなどの出来事で呼吸のリズムを維持出来なくなるだけでも波紋出力が低下するのが問題点。
ジョナサンやジョセフ、修行前のシーザーなどはこの弱点を突かれ、窮地に追い込まれている(ジョナサンは逆に考えたことによる機転で切り抜けたが)。
本編では登場しなかったが、例えば毒ガスや煙、高温すぎる空気が満ちて呼吸困難な空間でも波紋法の本領は発揮できないと考えられる。

また何らかの方法で血流そのものを阻害されると、たとえ呼吸が可能でも強い波紋を流す事はできなくなってしまう
劇中ではその事に気付いたディオが気化冷凍法によって自分や触れた相手の血を凍らせることで波紋の流れをシャットアウトして波紋戦士達を苦戦させた他、
ジョナサンがブラフォードの髪の毛を波紋で迎撃しようとした際、現在進行形で血を吸われている腕からは弱い波紋しか流せないという描写もあった。

また、スタンド使いとの戦いでは、敵が本体が近くにいる近距離パワー型のスタンドなら有効だが、
遠隔操作型のスタンドでは基本的に無力である。


【主な波紋使い】

初代ジョジョ。その潜在能力は高く、ジョジョが触れた部分だけ、枯木に花が咲くほど。

ジョナサンの師。石仮面を追っているうちに波紋について知る。

波紋入りのバラは痛かろう……

ストレイツォ容赦せん!→あーん!スト様が○○だ!

チベットの波紋使い達の長。ツェペリ、ダイアー、ストレイツォの師匠。よろしーく

  • 医者の青年
トンペティの弟子の一人。波紋の力を医療に使っており、その力を見たツェペリは波紋の事を知り、修行を決意する。

ジョセフ・ジョースター
二代目ジョジョ。生まれつき波紋を使用する事が出来、後にリサリサの元で修行し、その能力に磨きをかける。
第3部でスタンド能力に目覚め、波紋も(全盛期の威力こそないものの)問題なく使える為、「ジョジョ」の長い歴史の中、波紋とスタンド両方を使える唯一の存在となる。
他の部には一応存在する中、第3部での数少ない回復手段でもある。

ストレイツォの元で修行することで波紋を習得。直接打撃よりスカーフなどを使った攻撃を得意とする。

ツェペリの孫。波紋で作り出したシャボン玉で攻撃する。

  • マリオ・ツェペリ
シーザーの父親、波紋の修行に生涯をかけた。実力は不明。

  • メッシーナ
  • ロギンズ
ジョセフやシーザーの波紋修行の面倒を見たおっさん。

第2部ラスボス
究極生命体となったことで、本来は習得出来ないはずの波紋を身に付けた。
しかしそれが仇となり……

作者。しかし老化しないどころか、若返っているため実は石仮面を使った吸血鬼説が……。



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最終更新:2023年10月16日 19:20

*1 元々ジョセフの来日目的は、DIOとの決戦に備えて承太郎に波紋の修行を受けさせる為でもあったが、DIOが予想外に早く刺客を送ってきた事や、ホリィがDIOの呪縛によって倒れたなどの悪条件が重なった為、そのヒマがなくなってしまった。

*2 ジョルノはDIOの息子であると同時にジョナサンの息子でもある為、ジョナサンの遺伝子が波紋に似た能力にさせたのかもしれない。

*3 鼻と口を覆うガスマスクのような道具。正しい呼吸のリズムを保っていれば何の支障もなく呼吸できるが、一度リズムが乱れると呼吸を妨げ酸欠を引き起こす効果を持つ。

*4 大量の油で覆われた巨大な柱。「油に波紋を流し吸着して登る」以外の方法で登ろうとすると、師による妨害や柱に仕掛けられたトラップによる制裁を受ける。