ストレイツォ(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/15 Sat 15:19:01
更新日:2023/10/26 Thu 10:24:27
所要時間:約 12 分で読めます




このストレイツォ 容赦せん!



CV:三浦祥朗(PS2用ソフト『ファントムブラッド』) / 飛田展男(TVアニメ版)

名前の由来はイギリスのロックバンド『ダイアー・ストレイツ』から。ダイアーさんとは半分ずつ由来を分け合った形になる。


【人物】

チベット奥地の波紋法総本山で老師トンペティの下修行した高弟の一人。
名前から察するにツェペリさんやダイアーさん同様、現地の人間ではないものと思われる。

艶やかな長い黒髪に切れ長の目の美青年。
一見優男に見えるが、肉体の鍛錬のために波紋法の道に入ったという言葉の通り、脱ぐと凄い男である。

また、若年ながら、あのダイアーさんと肩を並べる戦力として老師に選ばれたことからもわかるように波紋戦士としては極めて優秀。
温厚で紳士的な人柄だが、邪悪な亡者に対しては冷徹で、決め台詞「(この)ストレイツォ 容赦せん!」


【1部】

25歳。
タルカスとの壮絶な戦いの果てに落命したツェペリの意志を継ぎ、宿敵:ディオ・ブランドーの居城に向かうジョナサン・ジョースター達の前に老師トンペティ・ダイアーさんと共に登場。
打倒石仮面の志の下、行動を共にする。

ジョジョではよくあることだが、初登場時の顔つきは別人で、額にサークレットのようなものを被り、髪質や表情も以降より柔らかい感じである。

ディオとジョナサンの対決中、足止めのゾンビ軍団を師と共に蹴散らした。
特に、『ペイジ』・『ジョーンズ』・『プラント』・『ボーンナム』の通称『血管針カルテット』との攻防では、
四方からの血管針攻撃を跳躍で回避すると同時に天井から下がった金属製シャンデリアの鎖を蹴り、一発で切断。
落下したシャンデリアで真下にいた4体をまとめて拘束し、着地と同時にシャンデリアに波紋を流して全滅させるという、
極めてスピーディかつスタイリッシュな戦法で読者を魅了している。

しかし、メタ的な観点から言うとこの時点でボス格の相手は粗方倒してしまっていて、後はディオを倒すだけという状況であり、
できることは解説雑魚掃除
いわば味方側に使うアテも無い戦力を過剰供給してしまったわけで、扱い自体は脇役であり、あまり上手い扱い方はされなかったと言える。

戦いが終わった後、チベットに帰ったのか、事後処理のために一定期間残ったのかは定かではないが、
ジョナサンとエリナ・ペンドルトンの新婚旅行出立の日には、他の仲間たちと共に見送りに参加。
第1部が完結するときの全員集合背景でも登場時期の遅さの割には一際大きく写っている。


【第2部】

75歳。ここでロバート・E・O・スピードワゴンと同い年という設定が浮上し、正確な年齢が判明した。
時代は変わり、トンペティの後継者としてチベット波紋法の総本山にて総帥として後進の育成に励んでいる。

波紋法の効果に加えて端正な顔立ちも手伝ってか、実年齢の割にはかなり若く見えるが、
本人は「自身の衰えがはっきりと実感できるようになった」と憂いに似た想いを抱いていた。

メキシコ奥地の石仮面の名残がある遺跡とそこに眠る柱の男を危険視したスピードワゴンに、
「柱の男が目覚める前に波紋法で完全に破壊して欲しい」*1と依頼を受け、弟子たちを引き連れて現地へ飛ぶ。

遺跡最奥の部屋で、弟子を含めた調査団を瞬く間に皆殺しにした。

そして驚愕するスピードワゴンにも致命の蹴りを入れ、語り始める。
老いを恐れ、若き日に戦った石仮面の齎す不死の力に魅入られてしまっていたということを。


わたしはどんどん老いる
「波紋法」でさえこの老いは止められん…………

わたしは50年前の戦いの時 ひそかにディオにあこがれた………
あの強さに 美しさに 不老不死に!
わたしもあの石仮面の力が欲しいと思う!

老いた今!なにものをも超えた生き物となりたいと願う!


かくして永遠の生命を求めるあまり乱心したストレイツォは、スピードワゴンの血を使い遺跡にあった石仮面を発現。
波紋戦士の長から吸血鬼へと新生した。

50年前の石仮面(ディオ)との因縁を知るエリナとその孫のジョセフ・ジョースターが自身の敵となることを懸念したストレイツォは、
N.Y.に向かい、まずジョセフを始末しようと接近。

しかし既にジョセフはスピードワゴンの死をマフィアからのタレコミで認知しており、
復讐の怒りとエリナおばあちゃんを守るという決意を漲らせて万全の迎撃態勢を整えていた。

『寒い日に白い息がでない』ことから吸血鬼であることを見抜かれ、挨拶代わりにトンプソン機関銃で蜂の巣にされるが
ストレイツォの頭部を破壊するには至らない。彼はディオがジョナサンに致命傷を与えたあの攻撃をすでに習得していたのだ。


空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)


()()ぎれか……

高圧で体液を目から発射する 名づけて空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)

くらえ!ジョセフッ

吸血鬼化したストレイツォの代名詞ともいえる必殺の能力。
目から体液を高圧で噴射することで軌道上の全てを貫く恐るべき技(目の損傷は瞬く間に治る)。
威力・命中精度・隙のなさに加え波紋が届かない間合いから一方的に攻撃できるという吸血鬼には最適のアドバンテージがあり、
波紋法を修行していたからこそ警戒するストレイツォは常にこの技でトドメを刺す安全策をとっていた。

ちなみに第3部『スターダストクルセイダース』のDIOがこの技を使用する一種のファンサービスが他メディアでは存在するが、
「命名はストレイツォなのに何故DIO様が知ってるんだ?」とよくつっこまれる。

更に人体より波紋伝導率の高いサティポロジァビートルの腸の筋で編まれたマフラーでジョセフのぶっ壊すほどシュート!の威力を拡散・無効化するなど、
吸血鬼の能力+波紋法の知識を武器にジョセフを圧倒する(ディオとは違う)。しかし…


【新世代のJOJO】

ジョセフは波紋戦士としては未熟だったが、ジョナサンとはまるでタイプの違うトリッキーな策士だった。

攻撃にまぎれてマフラーにつけられた無数の手榴弾で肉片レベルまで爆破されるストレイツォ。
驚異的な生命力で再生には成功するも大きく体力を消耗してしまう。しかも全裸
当然だが折角のマフラーもここで消滅。波紋を防ぐ手立てを失くした。

周囲の被害を減らすために現場を逃げて離れたジョセフを追い、誘導先の橋で駆け引きに出る。
無関係の女性をさらい、人質に取ったのだ。
これはジョセフがジョナサンと同じように他者のために命懸けで戦える『ジョースターの精神(=後の『黄金の精神』)』を持っているかの試しであった。

最初はのらりくらりとかわしていたジョセフ。それに業を煮やしたストレイツォは容赦せず女性の奥歯を引き抜く!
ここで正義の激情に駆られたジョセフをやはり危険材料と判断し、必殺の『空裂眼刺驚』を放つストレイツォ。

だが、策士ジョセフ相手に同じ手を続けて二度使うのは既に凡策だった。
技の特性を把握したジョセフは先ほどの戦いで持ち出していたグラスに波紋を流して『空裂眼刺驚』の軌道をUターンさせ、逆にストレイツォに命中させる。
取り乱したストレイツォは勝負を焦り、ジョセフの波紋疾走が届く位置へと自分から近づいてしまった。
波紋から身を守るマフラーと服は、もう無い。

ジョセフ渾身の波紋パンチが炸裂。勝負は決した。


ジョナサンとディオの戦いから50年、
『波紋と吸血鬼のことさえ知っていればそれで最強』というセオリーはもう過去のものとなっていたのだ。

『能力を楽しみ、限界を知りたがったこと』がディオの敗因とストレイツォは分析した。
しかし、不死の肉体をあくまで『新たな野望を追い求める土台』としか見ていなかったディオに対し、
若返った時点で目的を達成したストレイツォは『能力に満足し、そこで停滞してしまった』ことが敗因となったのである。

ジョセフに何故スピードワゴンの死体を遺棄したかを問われ、
ストレイツォは調査隊の血を吸って柱の男が蘇ろうとしたことに恐怖を感じたからだと答える。
そして、いずれ目覚めた柱の男とジョセフが戦う運命にあるということも。

そこまで話したとき、ジョセフはストレイツォが波紋の呼吸をしていることに気づく。
吸血鬼が波紋の呼吸をすれば、肉体は内側から崩壊してしまうことを理解していながらストレイツォは…


わたしは後悔していない…

醜く老いさらばえるよりも 一時でも若返ったこの充実感を持って 地獄へ行きたい……

若返ったことは我にとって至上の幸福だったぞ JOJO!

ストレイツォ!待て!話はまだ半分………

さらばだ ジョジョ!


満足げな笑みを浮かべ、ストレイツォは生命エネルギーの光に溶けていった…


【人間・ストレイツォ】

上記のあらすじを読めばわかるが、ストレイツォがスピードワゴンの依頼を受け入れたのは完全に『善意』。
最初から石仮面を使用するために来たわけではない。というか石仮面がまだ存在していたことすら知らなかった。
石仮面を使用したこと自体は老いによって吸血鬼の力に憧れていた所に、もう存在しないと思っていた石仮面を見せられて魔が差してしまった程度の事。

それでも波紋使いとしての最低限の誇りだけは失わなかったのか、吸血鬼となって以降は血を一滴も吸わず、人質にした女性も奥歯を一本抜いた(ジョセフの見立てでは「虫歯かもしれない」との事)だけで、無関係な人間を誰一人として殺す事はなかった。
その前に調査団と弟子を数人皆殺しにしているが、それはあくまで「人間としての」罪であり、「吸血鬼としては」殺していない。
スピードワゴンが死ななかったのも、ひょっとしたらワザと殺さなかった可能性もあるが、真意は闇の中である。
吸血鬼に殺された人間は高確率で屍生人(ゾンビ)化する為、あんな醜い化け物にはしたくなかったのだろう。

そもそも、スピードワゴンはストレイツォを信頼しているので、任務中に彼が凶行に及ぶことは予期していなかっただろう。老いを感じていたことに気付けていたのであれば別だが…。(ジョセフも老年期にはキレが落ちたし……)

ジョセフにとってもこのストレイツォとの戦いから多くのものを学び、反面教師的な役目を担う事にもなっている。
石仮面の誘惑には負けてしまったが、人類の敵である吸血鬼としての宿命にはある意味では勝ったと言えるのかもしれない…。

なお、後に判明するが、ジョセフの師匠そして母親となるリサリサ=エリザベス・ジョースターは、彼の義理の娘。
エリナが妊娠していた事が発覚した為、ストレイツォが引き取って養子にしていた。
つまるところ、ストレイツォはジョセフにとって義理の祖父だったのである。
後付けだったかもしれないが、それも含めて運命の皮肉を感じずにはいられない。


【余談】


☆ストレイツォのネタといえば『あーん!スト様が死んだ!』だろう。
 コミックスの巻末に掲載されたファンレターのひとつにあった、さる熱烈なスト様萌えの女性ファンが送ったもので、
 文面のインパクトの強さから、ガイドライン化されてネタにされたり、 ストレイツォのことを『スト様』と呼ぶのがファンの間で流行ったのだった。
 公式側から出したネタというわけでないのにこれほど盛り上がったのはやはりその文章と周りと明らかに違う絵柄のせいだろう。
あとよいしょ本


なお、ニコニコ動画では果敢にもこの文章の朗読に挑んだ女子がおり、そのキモさをなかなか忠実に再現している。


ちなみに、このファンレターが載った5巻の時点では ストレイツォが死ぬ話はまだ載っていない。
なんという公式ネタバレ…




文字数の限界なんぞはどうでもいい!

項目荒らしを始末したあと ゆっくりと追記・修正していけばいい!

ストレイツォ 容赦せん!

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最終更新:2023年10月26日 10:24

*1 ちなみに、スピードワゴンは後にローマの地下遺跡で発見された柱の男に対処するため同様の問いを波紋戦士であるシーザーに投げかけているが、シーザーは「波紋はあくまで対生物の効果で、無機物となった休眠期の柱の男には通じない」と返しており、完全に彼らを滅ぼすにはまず覚醒させないといけないという結論が出ている。