大ダコ(怪獣)

登録日:2011/07/08(金) 00:55:28
更新日:2023/11/29 Wed 21:43:08
所要時間:約 5 分で読めます




大ダコは東宝の怪獣映画に登場する怪獣である。
東宝特撮では下手な怪獣より多い3回という登場回数であり、また対戦相手が全て人型の体型の怪獣である。

東アジア(並びに南欧)では「タコ=食材と触手」であるが、実は海外では蛸は「悪魔の魚」と呼ばれ、その醜悪な姿を嫌悪されている。
タコやイカを食のタブーとしている宗教も多い(イスラム教の豚、ヒンドゥー教の牛などと同じ)。
故に海外ではタコ怪獣は北欧のクラーケン伝説やクトゥルフ神話の旧支配者など、その不気味さから人気が高いらしい。

本項では、他作品に登場したタコ怪獣も紹介していく。

キングコング対ゴジラ

ファロ島に上陸し住民を襲うが、現れたキングコングと戦い撃退された。
日本の作品では初めてのタコの怪獣である。

本作ではラテックス製のミニチュア、人形アニメ、そして本物のタコを使用して撮影された。
基本的には本物を使用、コングと直接絡む際はラテックス製ミニチュア、人を捕らえる時は人形アニメが使われた。

本物のタコであるが、よりよい表現の案がなかなか出ず、本物を使う案が出て採用となった。

当時助監督だった中野昭慶氏によると、漁師からマダコを生け簀ごと購入し3日かけて撮影された。
撮影の際にはセットにタコを置いたが、タコが演技するわけない。そのため熱した棒でつついたりして無理やり動かしたらしい。今なら動物虐待だろう

撮影は港近くで行われ、撮影で弱ったタコは宿へ届けられ料理人の手によるタコのフルコースが作られた。
つまりリアルにスタッフがおいしくいただきました
しかし、三日三晩タコ尽くしだったため、当時のスタッフにはタコ嫌いになった人もいたらしい。

ラテックス製のタコも生きたタコから型どりしたリアルな物が作られたが、型どりの過程でタコが腐敗してしまい、造形スタッフ全員が腐ったタコの臭いがしてしまった。


フランケンシュタイン対地底怪獣

バラゴンを倒したフランケンシュタインの前に唐突に登場し、フランケンシュタインを湖に引きずり込んだ。

本作では登場予定が無かったが、「キングコング対ゴジラ」のタコが海外に受けたため、海外版用に撮影された。
しかし、実際には海外でも使用されなかった。それでも海外版に使われたという説が通説だったため、書籍やパロディでは海外版=タコという図式が成立していた。
実際に大ダコ版が公開されたのは国内テレビ版が初らしい。

前回の反省からか、今回は本物は一切使用せず大型のミニチュアが作成され繰演で演出された。

また、本作の大ダコは山中の湖から出現した淡水性のタコである。
裏設定では地下で湖と海が繋がってるらしいが無茶であろう。


フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ

物語冒頭で漁船を襲い、その後現れたガイラと戦ったが海に叩きつけられた。

ミニチュアは前作のものと同じ物を使用した。今回は船員との絡みもある。
初めて海で登場した大ダコである。


とまあこのように全体的に扱いは悪い。少なからず脅威ではあるのだが、他の怪獣に敗北する役回りである。

そんな大ダコだが、2022年7月にソーシャルゲーム「ゴジラ バトルライン(通称ゴジバト)」で開催された第2回バトルピース投票において第1位のデストロイア、第2位のシン・ゴジラに続く第3位にランクインする快挙を成し遂げた。
それによりゴジラシリーズおなじみのデザイナーである西川伸司氏にデストロイア&シンゴジともども大ダコが描き下ろされ、ゲームにも実装されることとなった。
西川氏曰く「大ダコを描いたのはこれが初めてですね(笑)」

性能面は全怪獣でも最低コスト。そのためすぐやられてしまうが、再出撃も簡単。足は遅いものの妨害が得意。
また色替え用スキンを2つ実装されており、上記の3作すべての色合いを再現できる。このゲームでスキンを2つ持っているのは大ダコが唯一という謎の優遇措置だったり。


以下はその他作品の大ダコ、タコガイラを取り上げる。


【他会社作品の大ダコ】

ウルトラQ

大ダコのスダールが登場した。
「キングコング対ゴジラ」の映像の流用とフランケンシュタインシリーズのミニチュアが中心になっている。
ウルトラQの怪獣では映像流用やタコである点からか、マイナーな部類である。

◆マイティジャック

大ダコか登場、マイティジャック号に絡みついたが、電撃により攻撃された。
フランケンシュタインシリーズのミニチュア最後の出番であり、かなり劣化していたらしい。
マイティジャック号が235mなので、単純に考えて200m以上の史上最大のタコである。

キングコング 髑髏島の巨神

キングコング対ゴジラの大ダコをリスペクトした怪獣リバー・デビルが登場。
タコとイカの特徴を併せ持つ、淡水に生息する怪獣。
……という設定なのだが、劇中の出番は巨大な脚のみ*1が登場してコングに無謀にも襲いかかるも返り討ちに遭い、昼食として美味しくいただかれてしまった。(公式パンフレットより)
ちなみにこのシーンは日本人には「タコ食ってるなぁ」という感じだが外国の人にはタコを食べる習慣があまりないので「めちゃくちゃ気持ち悪いものをムシャムシャ食ってる怪物」な感じに観えるらしい。

◆水爆と深海の怪物

初代大ダコといっても過言ではない。これには円谷監督も嬉しいことだろう。モチロンこの怪獣、水爆と深海の怪物のメイン怪獣的存在。アニメーション撮影で、1コマづつギニョールを動かして撮影する手間と時間が掛かる方法で撮影されているというんですよね。

【タコモチーフの怪獣】

◆吸盤怪獣ダコーダ

『マグマ大使』に登場した。マグマ大使は4話完結なので、4話に渡って登場した。

タコをモチーフとした初の怪獣である。

◆蛸怪獣ガイロス

ウルトラセブン』に登場したノンマルトの海の守護神。
ウルトラ警備隊の潜水艦ハイドランジャーとウルトラセブンと戦った。

元はコンテスト入選のガイロス星人である。


◆大海獣ダコラー

ジャイアントロボ』に登場した。
名前と吸盤以外にタコの名残が無いデザインとなっている。2回登場し、一回目は海に、二回目は陸上に現れた。
原作漫画版では脚しか登場しない。 

◆オイル怪獣タッコング

『帰ってきたウルトラマン』に登場した。第一話ではザザーンと戦い、ウルトラマンとは第二話で戦った。
後に『ウルトラマンタイガ』でも登場し、思わぬ正体を見せた。
デザインは茹でて丸まったタコがモチーフらしい。

◆大ダコ怪獣タガール

ウルトラマンタロウ』に登場し、カニの怪獣ガンザと戦った。ガンザに足を切られ退散した。
ウルトラマンタロウとは戦わず終いであった。

◆タコラ

『クレクレタコラ』に登場。
タコが公害で怪獣化した設定なので、立派なタコモチーフの怪獣である。

◆タコ怪獣ダロン

ウルトラマン80』に登場した。
ギマイラによってタコが怪獣化したもので、ウルトラマン80を襲おうとしたものの、
イトウチーフだったころの記憶が戻った人間怪獣ラブラスの裏切りを受けて頭を攻撃され、怯んだ所に80のウルトラレイランスで脳味噌を串刺しにされて絶命する。
80のウルトラレイランスで倒された唯一の怪獣である。


【アニメーション作品の大ダコ】

特撮作品で割と登場率が高いためか、アニメ作品でも怪物枠として登場することがある。
その中でも、怪獣サイズのものに限って紹介する。

◆オウム貝

生きた化石として知られる、殻持ち頭足類。

ふしぎの海のナディア』18話「ノーチラス対ノーチラス号」では巨大個体が登場し、南極海でノーチラス号を襲撃した。
そもそも「ノーチラス」とはオウム貝の英名・ラテン語名であるため、図らずも名前元との対決である。
元ネタの『海底二万里』のクラーケンオマージュの他、監督が特撮大好きのあの人なので完全に趣味全開である。

硬化テクタイトすら握りつぶすすさまじい力を誇り、電撃を浴びても氷山に激突してもノーチラス号を離さないしぶとさも見せる。
最終的にはノーチラス号が諸共に海底火山に突入。それでも1200度の熱水には耐えたものの、噴火ガスによって呼吸が続かなくなり、離れていった。

◆大ダコ

キテレツ大百科』に登場。
沈没船探検のキテレツたちに襲い掛かってくるが、水中呼吸薬を口に放り込まれて酸素過剰になって撃退された。

◆水の精霊の化身?(大ダコ)

ゼロの使い魔』の三期OVAに登場。
海水浴中のヒロインたちに襲い掛かって触手プレイをかます。エロアニメじゃないのできわどいとこまではいかずに追い払われる。

◆大ダコ怪獣

空飛ぶゆうれい船』に登場。
悪の化身ゴアによって作られた巨大なマシンダコであり、ゴアの本拠地を守る番人である。
突入してきたゆうれい船に襲い掛かり、触手で締め付けて苦しめる。
レーザー砲で一度は振り払われるものの、ゆうれい船がすでに損傷激しかったために出力不足で致命傷にならず、再度追撃をかけようとした。
だが、ゆうれい船の放った磁力砲でコンピューターを狂わされて気違いにされてしまい、暴れまわった末にぶつかって崩した岩山の下敷きになってしまった。

◆するめ

ONE PIECE』に登場。
深海5000m付近に陣を構え、魚人島に向かう船を襲う巨大な蛸(脚1本の太さが既に2~50mほどある)で、クラーケンと呼ばれている。
人間の言葉を解する、ボクサーのように触腕を振るい猛スピードで敵を殴る、船を抱えて海底を走るなど知能は高い。
カリブー海賊団の船を一瞬で握り潰し、麦わらの一味のサウザンドサニー号を襲おうとするも、サンジに足を焼かれゾロに斬り落とされ、
最後はルフィのギア3ゴムゴムの象銃で額をブッ叩かれてKO負け。
ルフィに従えられてイカみたいな名前を付けられ、深海8000mの海域でサウザンドサニー号を襲撃したフライング海賊団を返り討ちにした。
実は新魚人海賊団により兄弟を人質に取られて船を襲わされており、リュウグウ王国簒奪クーデターではしらほし姫を殺すよう、
新魚人海賊団船長のホーディ・ジョーンズに脅されていた。
ルフィから「ホーディは倒す」と言われた事により寝返るも、E・Sを食わされて暴走したフライング海賊団のワダツミにボコボコに打ち据えられてしまった。
ワダツミと新魚人海賊団が全滅した後は、魚人島永久追放刑に処されたワダツミを新世界に投げ捨てる任務を負った。
(その後ワダツミはジンベエに拾われ太陽の海賊団入りするのだが、それはまた別の話)


【その他】

ゲーム作品においても敵キャラとして大ダコはよく登場する。
エロゲーでは触手プレイで大活躍。エロゲーでないのに出てくるエロダコもいるが……カワイイオンナノコ ワイノコノミヤ ポッ

あと、クトゥルフの系譜は除外する。


【余談】

円谷英二監督が「ゴジラ」の前に考えていた企画に、南海で漁船が大ダコに襲われる*2というのがあり、『キングコング対ゴジラ』に大ダコを出すのも円谷監督の意向だった。

タコ怪獣は他の怪獣と比べてかませ、前座や、マイナーな怪獣が非常に多い。
東宝では全部メインの怪獣ではなく、ウルトラQ、マイティジャックの怪獣では(人にもよるだろうが)マイナーな部類で、タロウと80ではメイン怪獣の前座である。半数近くがメインじゃないのは不遇であろう。
また、平成作品ではほとんど登場しなくなってしまった。

現実に巨大イカはいるが、タコは3mが最大級であり、イカ並みに巨大なタコはいない。



大ダコからたこ焼きを作れる人は追記・修正をよろしくお願いします。

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最終更新:2023年11月29日 21:43

*1 コングにボコボコにされるシーンで顔も少し映っている

*2 友人の佃血秋氏から「実話」と称して聞かされた話が元だそうである