ダグラス・カイエン(FSS)

登録日: 2010/12/05(日) 21:43:25
更新日:2024/03/13 Wed 10:54:29
所要時間:約 8 分で読めます






「しかしカイエンという騎士、悪党という話だが、なかなかどうして立派な騎士振り……」
─ミューズ・バン・レイバック枢機卿


■ダグラス・カイエン

『ダグラス・カイエン』は永野護の漫画作品『ファイブスター物語』の登場人物の一人。
初登場は「トラフィックス1」
シルバーナイトの異名を持つ星団最強の騎士であり、連載開始時点から現在までの「剣聖(シバレース)」である。
星団最強の騎士であると共に史上最高額の賞金首でもあると云う、劇中でも特にアクの強い人物であり、同作を代表する狂言回しの一人でもある。
また、貴族としてA.K.D.子爵、アトール聖導王朝侯爵の地位を与えられているが、子爵号については基本的に悪いことにしか使っていなかった。

「魔導大戦」編にて戦死……するも、今後の物語で重要な働きをするであろうダイ・グ・フィルモア5を始めとした重要人物達を過去に導いており、今度はカイエンの教えを受けた彼らが主役となり歴史を作っていくだろう。
物語に於ける最強騎士の代表格の一人。

繰り返すが、既に故人なのだが、連載を間近にした最新版のデータベースにより、公式に“最強”の存在である事が明言された。
別名「白銀の剣聖」
神々を除いてはこの男に勝てる者は居ないが、自らは生涯でただ一度も本気を出す事は無かった。
それは、矢張り前述の様に彼の役目が次代への「継承」だからである。



【出自】

星団歴2600年代後半の生まれと思われるが、詳細は不明。2810年のハスハの動乱の際に姿を顕し、アトール(ハスハ)のボルサ女皇帝より「剣聖」号を授かる。

劇中最高の天才科学者(ファティママイト)にして、狂人であるDr.クローム・バランシェの養子であった。
長らく、その正体については秘密とされて来たが「放浪のアトロポス」編にてファティマ・クーンから生まれた事、「ザ・シバレース」編にて、遂に本当の両親である、超帝国剣聖アサラム・スキーンズとヤーン・バッシュ・カステポー王女の存在が明かされる事となった。

幼い頃より養父バランシェの友人である天照帝(アマテラス)の庇護を受け「ミラージュ騎士団」のリーダーとなるべく育てられる。
師は先代剣聖のデイモス・ハイアラキ
青年期までは純粋な性格をしていた様だが、思慕を寄せていたファティマ・クーンが実の母親(正しくは仮り腹)であった事に絶望し、バランシェを殺害しようとするも、それを天照(メル・リンス)により止められた事で出奔…以後はバランシェや天照(A.K.D)とは距離を置く様になった様である。

その後は各国の支配が及ばないボォス星のカステポーに本拠地を置きつつ、数々の犯罪行為に手を染める……。
それと共にヒューア・フォン・ヒッター子爵を名乗り「ナイトギルド(騎士組合)」の総代を務めており、これが初登場時の設定となっていた。
尚、カステポーにはイオタ宇宙騎士団団長のジョルジュ・スパンタウゼン等、気心の知れた友人も多く、「トラフィックス」編を通じて有力な騎士も集まっている様だ。

その後、恋人であり彼の血を受け継いだ双子を生んだ元AP(エープ)騎士のヤーボ・ビートのを契機にハスハに渡り、AP騎士団総騎士団団長・ネードルシバレース(ナインの騎士)の号を授かるもバッハトマ魔法帝国の進行に際し、皇帝ディス・ボスヤスフォートに敗れ戦死…その長い生涯を閉じる。
※……ただし、その死については“契約”により、最初からこの機会に死ぬ事が約束されていたと思われる。

尚、天照帝(メル・リンス)によりバランシェ殺害を止められて以後、物語が始まる2900年代末期までその姿が消えているが、これは出生の真実にショックを受けて酒と薬物におぼれて意識不明になっていたせい(のちにアトールのフンフト女皇帝に復活させられた)。



【人物】


超人類である「騎士」の中でも特に長身で、細身のガッチリした体格と黒い長髪がトレードマーク。
クーンから生まれて来た影響で老化が遅いらしく、地球人で云えば30代位の容姿に描かれる事が殆どだった(本来は老人の年齢)。
性格は一言で言えば食えない男であり、常に飄々とした態度を崩さない。
幼い頃の性格を考えると、上記の経緯を経て歪んだとも考えられるが、元々の地が出て来ただけかもしれない。
尚、犯罪者や女たらし、悪党等と呼ばれているが、劇中ではやる気こそ見せない物の、友人の為には常に尽力を惜しまない様子が描かれている。
実力的には初登場時にはパートナーのアウクソーを死なせてしまうといった描写があったのだが、前述の様に人知を超えた“最強”の存在であるカイエンは、星団では本気を出してはならない存在なのである。
それは、天照やラキシスの例を見れば明らかであろう。

超帝國の作り上げた最強の「剣聖」であり、炎の女皇帝ナインの孫にして、次代の女皇帝であったボォス星の女王ヤーンの息子。
つまり、炎の女皇帝の直系の孫に当たり、母の影響か剣聖としての騎士能力に加えてダイバー・パワー(グリント・ツヴィンゲン)を持つバイア(ツバイ)=騎士と魔導師の力を併せ持つ者でもあり、通常の剣聖では習得出来ない技も使用することが出来る。

そして、真の炎の女皇帝の後継者であるマグダルと弟のデプレ、そして泰華十曜の守護者たるマキシの父親である。
尚、本気を出した場合には星団史上最強と設定されているマキシよりも強いそうで、ルーツである超帝國剣聖より更に強いらしい。
実力的には「天位」級の騎士を小指で“チョイ”出来るレベルであり、自身でも「本気を出す相手はいない」と発言している。

……しかし、最強である筈の剣聖の中で敗北の機会を描かれることが何故か多いのがカイエンという男で、初登場時には無名の騎手レスターに手傷を負わされた挙げ句にパートナーのアウクソーを失い、その後のA.T.との対峙では相手が自分の技を使うのに驚いている内に気絶させられており、普通にA.T.が斬っていた場合には死んでいた。
また、前述の様に天照の分身であるメル・リンスと互角の勝負を演じるも後一歩の詰めの甘さから敗北している。
同じく超帝國の血を継ぐマドラ・モイライとの対峙の際には生涯唯一の本気の攻撃(光速スカート捲り)を見せるが、見事に見切られ敗北……が、やっぱり本気では無かったらしい。
ただし、マドラもまた超帝國の「剣聖」であり、真の名はアルゴン・プロミネンスその人。
因みに、リンスとの対決も作者から戦闘中にパンツが見えるのが気になって負けたんだろう、と言われる等、本気の本気を出せるような相手でも全力は出さなかった模様。

何でそんな行動を取るのかは不思議だがそれがカイエンという男であり、敗北の機会を描いても尚、読者はカイエンこそが最強だと支持し、作者もそれを認めるという構図になっている。

その血は子供達の代では半分に力が落ちてしまっていると云うがマグダルとデプレが力を合わせた場合はカイエンと同等になるとのことで、後年に於いて剣聖号を預かるマキシですら「マグダル姉さんと一緒のデプレ兄さんに勝てる訳がないでしょう」と発言している。

※尚、当初は「天位」で剣聖レベルだったのだが、後に「小天位」や「強天位」の概念が出来た為に、更に上位の「剣聖(=太天位)」が化け物と化してしまった。



【関連人物】


  • ミース・シルバー・バランシェ
3000年代以降を代表するファティママイトで、少女時代にカイエンに救われる。
剣聖マキシの母親。

  • マグダル・アトール
  • デプレッツェン・アトール
ヤーボとカイエンの間に出来た双子。
ヤーボは気付いていなかったが、これは「有り得ない事態」だった。
「魔導大戦」の主役。

  • 剣聖マキシ(蒔子)
FSS連載開始当初より登場が予定されていた最強騎士。
「懐園剣」の真の所有者。
タイカ十曜に渡った後に神の世界に至る。


【得意技】


カイエンが使用した(使用するとされる)天位、剣聖剣技を紹介する。
尚、最上位クラス相手には見せ技と化すのが「FSS」

  • 飛燕剣
師ハイアラキから引き継いだ技…だが、実は劇中で使用した事が無い。
FSS版変移抜刀霞斬り(by『カムイ伝』)とのこと。
様は超高速で撹乱しながらのダッシュ斬り。

  • 分身
最初は4つ身位で驚かれていた。
最高は24分身(×2)で48分身!。

  • ソニック・ブレード
真空斬りとルビが振られる、剣聖剣技。
数十メートル先もの戦車を破壊出来る程に強力で、衝撃波を放つショックブレード(仁王剣)と、真空の刃を生み出すメイデンブレード(真空剣)を合成させた技であると説明される。
最近では一流騎士のデフォで、ここからの応用技も多い。

  • タイフォーン
スパイラル・ソニック・ブレード。
小型の竜巻の様な真空の刃を生み出して相手に飛ばす。
ソニック・ブレード系統では現時点で最高レベルのバリエーションと考えられる。

  • ミラー
次元反転分離攻撃。
完全な分離攻撃。
ダイバーパワー(魔法超能力)を利用した神技で、カイエンの得意技として紹介されていたが初公開はラキシス。

  • ダムド・ストローク
連弾衝撃波。
師デイモス・ハイアラキの必殺技

  • トリプルヘクサグラム
真空三十六光輪(十八分身攻撃)。
剣聖慧那(エナ)・ダイ・グ・フィルモアのダブルヘクサグラムの上位技と思われる。

  • 十字架手刀(カルバリィ・ブレード)
十字に交差するソニック・ブレードとダイバーパワーによる光弾を組み合わせた技で、バイアか神しか会得不能。
カイエン自身がメル・リンスに両腕を落とされた技でもある。

  • マキシマム・バスター・タイフォーン(MBT)
MH(GTM)すら破壊出来る剣聖マキシの最強の剣聖剣技……と言われていた。
ログナーが初公開。

※ミラーから下は最速攻撃(光速スカート捲り)の際にフェイントとは云え、同時に放った。



【パートナー】





【乗機(MH,GTM)】


  • MHシュペルター
白銀の騎士(ナイト・オブ・クローム)とも呼ばれる師ハイアラキより引き継いだ剣聖騎。
正式名称はミラージュX「ナイト・オブ・ゴールド」で、天照帝が作る「永遠の騎士(K.O.G)」シリーズの最初の一機。
カイエンが譲り受ける以前には「ウォータードラゴン」と云う名称だった。
最強のMHの一つとも言われるが、主カイエンを失った後にバッハトマの若き騎士、反逆者ジィッドの手に渡り、かつては仲間だった人間に牙を剥く事になる……筈……(設定改編によりシュペルターは救われました。ありがとう永野(!?))
主役騎としてのナイト・オブ・ゴールドと同じく盾を持たないデザインで、意匠は永野の前作「フール・フォー・ザ・シティ」のカバーに使われている「ゲートキーパー」のイラストから。
オージェ・アルスキュルとは兄弟騎で、その後の全てのミラージュマシンの原型となった。

  • GTMデムザンバラ
設定改編後はシュペルターから此方に差し替え。
天照帝が作り上げたスーパーGTMで、正式名称はイーエス・モルフォ1.
ブリンガーシリーズ(ミラージュマシン)の原型となった機体である。
名称と姿が変更されただけで物語での推移は一緒だが、バッハトマに渡ったその先が描かれたことで最強剣聖のカイエン用なので、なんとデコースすら扱えない程の調整を施された機体であることが判明。
本来はジイッド程度では到底乗りこなせる代物ではない筈なのだが……。
実は、有能だが不幸属性のジイッドのファティマのニナリスちゃんがマスターの為に思いっきり性能を落としていたことが判明。(ニナリスはファティマの中でも稀なGTM調整能力を持つデキる子)
それを看破した凸助は何も言わずにニナリスの越権行為を黙認するのであった。
……尚、デチューンしてもそこらのGTMとは比べ物にならない位に強いのは変わらないので敵国からは脅威のままである。



【余談】


  • カイエンの名は劇中で重要な役目を持つ超帝国(AD世紀)から引き継がれた剣「懐園剣」より炎の女皇帝が名付けたと思われる(※「雄剣(大太刀)」と「雌剣(光剣)」が存在)。
    超帝国ではカイエン・バッシュ・カステポーが、星団ではヒッター・カイエンが本名…らしい。

  • 自らの出自について、以前は知らないとする描写があったのだが、後に自らが「純血の騎士」である事を始め、ある程度の事実は知っていたような描写がされている。

  • カイエンのミラージュNoは1(A)で、師ハイアラキより引き継いだ物。
    カイエンの場合は永世的なリーダーと云う意味があった様だが、前述の様に天照とバランシェとの不仲から出奔しており、以後No.1に就く騎士は正規メンバーでは無くなっている。
尚、最初期にはNo.1(A)は天照のミラージュNoだった。

  • 元々の顔のモデルはF1ドライバーのアラン・プロスト

  • 作者自身は女たらしで小悪党的なカイエンが女性人気をが出るわけが無いと思い込んでいたのか作中でも女性ファンに嫌われているとメタ的な発言が飛び出しているのだが、現在では『FSS』の男性キャラクターの中でも、男女共にぶっちぎりの人気を誇っている。




追記、修正は光速スカート捲り(剣聖剣技の同時使用)と光速乳揉み(ブレスト・ノックダウン)を覚えてからお願いします。

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最終更新:2024年03月13日 10:54