鉄のラインバレル

登録日:2010/06/27 Sun 21:59:54
更新日:2019/07/15 Mon 20:04:57
所要時間:約 10 分で読めます




ナイスな展開じゃないか!


あなた、最低です!



『鉄(くろがね)のラインバレル』は、秋田書店の『チャンピオンRED』で連載されたロボット漫画作品。
作者:清水栄一、下口智裕


【概要】
2005年から連載が開始され、2015年遂に完結。
実はSFロボット漫画作品としては連載期間で日本一らしい。
単行本は全25巻が発売中。
また、本作の原型となった『鋼鉄の華』などの短編読切や本編の番外編などを収録した0巻も合わせて発売されている。

TVアニメ化もされたが、原作設定をベースにしつつキャラクターや展開にオリジナルが強いものになっているため原作を尊重するファンからは黒歴史扱いされがち。
しかしアニメ自体の出来は良好なので、イコール評価が悪いというわけではない。
ちなみにこちらのアニメ版と原作(アニメ公開前時点まで)の基本設定をまとめたアニメブックも原作単行本風の装丁で発売されている。


そして、2017年には原作陣の次回作『ULTRAMAN』とコラボする形で月刊ヒーローズに本作のセルフリメイク版第一話が掲載。一話のみだが原作を読破した人の想像を凌駕するナイスな展開となっている。
また、作品全体も小学館に版元を移し、完全版として再度の刊行が開始されることとなった。



【あらすじ】

西暦2016年。
小学生だった早瀬浩一は、
社会科見学で訪れた羽田の開発地区で人工衛星の落下事故に巻き込まれ半年間眠り続けた。

その事故から3年後。

いじめられっ子だった浩一は事故以来なぜか高い身体能力を手に入れ、中学では学校の不良を束ねるまでになっていた。
しかしその彼の前に数体の奇怪な人間大のロボットが現れ襲いかかってくる。

ロボットに追い詰められいよいよ危機に陥ったその時、
彼と友人を助けたのは突如現れた謎の巨大人型ロボット〈ラインバレル〉だった。



【主な登場人物】

早瀬浩一
CV:柿原徹也
主人公。中学3年生→高校1年生
ラインバレルのファクター。
小学生の頃はいじめられっ子だったが、事故に遭って以来高い身体能力を得て不良を束ねている。
いじめられていた頃に自分を助けていた幼なじみの矢島に憧れ、
ラインバレルを手に入れたことをきっかけに「正義の味方」を目指すが、ただ自分勝手に力を振り回してしまう。
なお、原作では小学生の時に一度死亡しているが、アニメでは最初に降ってきたラインバレルに踏み潰されている。
物語開始時から力に飲まれるというダメな方に珍しい主人公だが、物語が進むにつれて成長していく。
通常時のアレは小さい。


◆城崎絵美
CV:能登麻美子
ヒロイン。浩一と同い年。
浩一の学校に転校してきた少女。
〈JUDA〉の関係者で、ラインバレルに関わっている。浩一の粗暴ぶりに「最低」と評価を下した。
原作では言うほど「最低です」は使っていないのだが、
アニメの次回予告でほぼ毎回言っていたので絵美=「貴方、最低です」の台詞、というイメージの人も多いのでは。


森次玲二
CV:中村悠一
ヴァーダントのファクター。〈JUDA〉に所属している青年。
常に落ち着いて感情を表に出さない。
実力は〈JUDA〉の中でもトップで、よく浩一を叩きのめす(物理的にも精神的にも)。


◆山下サトル
CV:沢城みゆき
高校1年生。〈JUDA〉所属の少年でハインド・カインドのファクター。
よく頭の後ろで手を組んでいる。お気楽な性格で、森次に強い信頼を寄せている。
あと男の娘。


◆遠藤イズナ
CV:釘宮理恵
ディスィーブのファクターのおかっぱ少年。〈JUDA〉所属。
姉と違って大人しい。
こっちのがヒロインっぽいとかいったやつ、表でろ。わかってるじゃないか
原作最終章にて衝撃的な過去が判明。そして……。


◆遠藤シズナ
CV:植田佳奈
〈JUDA〉所属で、イズナの姉。
関西弁を使う。出会いがしらに相手の股間を蹴り上げるほどドギツい性格。ファクターではない。
ピンチの場面で勃起してはいけない。


矢島英明
CV:四宮豪
浩一の幼なじみ。
昔はいじめられている浩一を助ける役だった。
序盤で浩一を庇って死んだと思われたが…。
妹がいる。


◆新山理沙子
CV:下屋則子
浩一と矢島の幼なじみで、よく三人で行動していた少女。
浩一の事が好きだが告白できないでいる。
ちなみに浩一も理沙子が昔は好きだったらしく、
彼女を自分の力で守れなかったことに対する悔しさが、彼の『正義の味方』への執着に繋がった。


中島宗美
CV:野島裕史
〈JUDA〉所属の、タリスマンのファクター。
原作とアニメでキャラが全く違い、前者は穏やかな性格だが、後者は加藤機関所属の鬼畜でドS紳士。
見た目は17歳だが、実は高齢のおじいちゃん。


九条美海
CV:平野綾
〈JUDA〉所属の、ペインキラーのファクター。
彼女も原作とアニメでキャラが違い、
前者では浩一に強い執着心を抱くヤンデレだが、後者では天然系のお姉さん。
浩一に好意を抱く点は共通している。


道明寺誠
CV:金野潤
面白全部から「早瀬軍団」を結成した作中最強の一般人。
寺生まれのDさん。


◆石神邦生
CV:中田譲治
JUDAコーポレーションの社長にして森次たちの上司。
普段は悪戯を繰り返す困ったおっさんだが、独自に何らかの計画を遂行している。



加藤久嵩
CV:福山潤
JUDAと敵対する加藤機関の総司令。
人類に想像を強いるため世界征服に乗り出す。
アニメではカレー味のカステラを持って現れたりする。
久嵩お兄ちゃん。



マキナ

作中に登場する巨大ロボットの総称。
どこかから送られてきた謎の多い代物で、現在は全部で11機しかないとされている。

自己修復ができ、パイロットである〈ファクター〉が呼ぶと異空間を通じてファクターのいる場所に現れる。
ファクターが乗っていなければ人に危害を加えられない等、幾つかシステム的制約がある。


ラインバレル
主役機。
浩一が操る白いマキナ。
頭部に二本の角が生えている事からよく“鬼”と例えられる。
武器は下腕部に備えた二本の刀と、テールユニットに内蔵されたビーム兵器〈エグゼキューター〉。
マキナの原則に縛られない、非常に異質な機体。


◆ヴァーダント
森次が駆る青いマキナ。形状がラインバレルに似ており、ラインバレルの量産型と考えられている。
背中に取り付けられた翼のようなウエポンラックに武装を搭載することで幅広い運用が可能だが、
遠距離はハインド・カインドがカバーしているため、近接戦を主にしている。
主武装は刀。


◆ハインド・カインド
山下が操る黄色いマキナ。
両腕に射出型レーダー兼スキャナーを持つなど、センサー系が強い。
両腕〈バレットアーム〉は伸縮機能とブースターを持ち、長距離の抜き手を行う。
長距離戦用の機体だが、普段は長距離砲を装備していない。
浩一「あはははは!ハインドタンク!」


◆ディスィーブ
珍しい非人型のマキナ。腕も足もない浮遊タイプ。二人乗りに改造されている。
戦闘力は非常に低いが、〈ナーブクラック〉というケーブルを幾本も持つ。
それを他の機体に突き刺す事で伝達神経に介入し、幻覚を見せることができる。
また、ケーブルを束ねて腕のようにする事もできる。
原作最新話でイズナきゅんと共にとんでもないコトに……


◆アパレシオン
ラインバレルに次いで登場したマキナで、「亡霊」の名前を持つ。
バグを起こしており、ラインバレルのファクターを排除しようとするが……。
スパロボでは動かし忘れに定評がある機体。



【ファクター】

マキナのパイロット。
マキナはファクター無しでは人間に危害を加えられないため、『人殺しの因子(ファクター)』と呼ばれる。
マキナのナノマシンを移植するか、マキナに殺される(人を殺してはならないマキナが誤って人を殺した時、
自分のナノマシンを注入して蘇生させる)ことでファクターになれる。

ファクターになると身体能力が大幅に向上し、性格が好戦的になる(人によるが)。
早瀬が好戦的なのはこれが原因。

基本的にマキナ一体につきファクターは一人に限られる。



アルマ

マキナを元にした量産型ロボット。
マキナに比べると小さく、あまり強くない(あくまでマキナと比較した場合であり、戦車などでは歯が立たない)
モチーフは戦国時代の足軽で、たいてい槍を装備している。
高機動型や砲戦型など様々なバリエーションが存在する。
モノアイなのはザ○の影響らしい。



【JUDA(ジュダ)】

表向きは薬品・医療器具開発を行っている世界的な大企業。
その実態は政府と協力してマキナを回収している組織。



【加藤機関】

アルマを使って世界に宣戦布告したテロ組織。
〈JUDA〉より先に未発見のマキナを集めようとしている。
トップは加藤久嵩。「世界征服」を目的とすると公表したが……。



【ゲーム作品】

PSPにて発売。アニメ版をベースにしつつ原作の要素も取り入れている。
ジャンルはSRPGだが…完全にスパロボである。


マクロスF種運命と共にストーリーの中核。
設定は基本的にアニメ準拠のため、美海はお姉さんキャラ。

初参戦なこともあってかストーリーにはやたら絡んでくる(いい意味で)。
特に浩一は一鷹の親友ポジションかつシンジの兄貴分ポジションにいることもあり、熱いシーンではたいてい出てくる。

また宗美さんを条件を満たして仲間にすると、原作基準の綺麗なおじいちゃんになる。
やったね!というわけで是非ナタクのファクターさんに説得を(ry
ナイスな展開じゃないか!

演出面でも優遇されており、シズナの顔グラがヘアピン有り/無しで変わったり、
1話だけしかファクターとして戦わない絵美にカットインが用意されていたりする。


Lに続いて参戦…なのだが、なんと原作漫画版名義である。
キャスト等は(佐藤美一→乃村健次のジャック以外は)TV版と同じなので、平野綾演じるヤンデレ美海が爆誕してしまった。

カットインは原作者により描き下ろされた。
あと、誠に残念ながらナタクのファクターと一鷹君はいない。代わりに呂布のファクターがいるケド

参戦当時は原作が未完だったのでどうなるのか心配されていたが、既刊ギリギリまで再現。
原作者監修の元で独自の結末を迎えることになる。いわゆるスパロボ補正
さらに「デウスエクスマキナ」(CV:玄田哲章)も自軍に立ち塞がる。

ついでにエピローグでは原作最終章に登場するハインドタンクの存在も示唆されている。


  • スーパーロボット大戦Card Chronicle
こちらも原作版で登場。
人物カットインもこれまた描き下ろしがある。

『UX』未登場の要素も多く、ペインキラーは有機統一体も使用でき、更に大場真来梓がラヴバレルと共に登場する(カットインあり)。
そしてファンを最も驚かせたのは終焉が異例の早さで参戦したことだろう。


  • スーパーロボット大戦X-Ω
原作版で登場。2018年12月と2019年7月の期間限定参戦。
特に2019年7月の参戦時にはアニメ未登場の大場真来梓‎にボイスが実装されるというサプライズが用意された。


【考察】
+...
作中で言及された「神の自殺スイッチ」であるが、その実在性については曖昧な状態で終わってしまった。というのも、その存在を語ったのは天児くらいしかいない。
確かに世界中でおそらくは年齢・性別・国籍・人種・家族構成など一切共通要素の見えない人々が次々と自殺したというのであれば、そう考えても仕方はない。
しかし、同じように不死になってしまった存在が登場するいくつかの作品では、以下のような描写が見られる。
  • やがて精神が退行化してしまう
  • 都合のいい夢に耽溺し、意識が希薄になる
  • 考えられる全ての時間つぶしをやりつくしてしまう
これらに共通するのは「退屈」である。
日々の変化も幾多の趣味も、無限に時間をかければ誤差程度にしか感じられなくなる。
想像してみてほしい。明日も来週も来月も来年も、1世紀経っても1000年経っても昨日と同じ日しか来ないとしたら、人は間違いなく正気を保てなくなる。
ゲームでいうと、どれだけレベルを上げてもフラグを建てても好感度を上げても強敵を倒しても、何のイベントが起こらないのである。そんな人生は、まごうことなきクソゲーだろう。
そんなゲー無にできることがあるとすれば「止める」、つまり自殺である。
加藤や天児が自殺しないで済んだのも、やることがまだあったからだろう。逆に言うと、城崎絵美の母親は娘の成長さえも退屈と思えるようになったということだが。
更に言いかえれば、絶望の未来を想像しすぎたが故の破滅したということであり、想像力の過多こそが原因といえる。
結果、加藤機関はその存在が丸ごと「自身が謳うようにしっかりと不死になった果てを想像していれば、想像しないことこそが救いであることが想像できたはず」というとてつもない皮肉と化すのである。
ついでに、マキナにしてもナノマシンを齎したせいで不死化への道が加速し、脅威を与えたせいで不死化への望みが増大してしまう、とこれまたむしろ人類を破滅に傾ける結果になる
この想定の通りであれば、作中で行われた人類を救う行い全てが人類を滅ぼす最短ルートを選択している状態だったのである。


追記・修正をしない貴方……最低です。

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