宇宙戦艦ヤマト2199

登録日:2012/09/06 Thu 05:44:52
更新日:2023/10/16 Mon 00:25:57
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西暦2199年

人類は滅亡の危機に瀕していた






『宇宙戦艦ヤマト2199』は、2012年に制作され、翌年4月から土6・日5(TBS)枠でテレビ放映されたアニメーション作品。全26話。




概要


1974年の名作アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の40年ぶりのリメイク。
ラーゼフォンを手掛け、またアニメや特撮でのメカニック、キャラクターデザインでも著名な出渕裕が総監督を務め、キャラクターデザインは結城信輝が担当、声優陣も旧作から一新された。
アニメーション制作はXEBECが務める。


幾度もの頓挫を経て2007年に制作が開始され、2013年から順次イベント上映された。
ちなみに企画段階のタイトルは、『新・宇宙戦艦ヤマト COSMO LORD 2199』ダサいとか言うな
総監督は他のクリエイターから、「ヤマトとか火中の栗拾うようなもんだからやめとけ」と言われたらしい。


企画に数年を要しただけあって非常に力の入った作品であり、ある程度大筋は旧作を準拠しているが多くの変更点や追加点が存在する。
旧作では適当だった上にいつの間にか無かったことにされたガミラス語も、わざわざ言語学者に監修してもらって、ドイツ語をベースとしたちゃんとした言語として作成された。
終盤用にはフランス語をベースにしたイスカンダル語も用意された。

また、旧作で無視していた慣性制御等のSF考証がかなり掘り下げられており、良くも悪くもスペースオペラだった旧作に比べSF的側面が強い作品に仕上がった。
艦船は全てCGで描画されている。

OPは出渕監督の親友であり、監督に勝るとも劣らないヤマトファンである庵野秀明がコンテを担当。
旧作に準拠した映像に仕上げている。
小林誠等、かつてヤマトに携わったクリエイターも多数関わっており、ゲーム版を担当したスタッフも一部参加している。

2012年から順次劇場先行上映が行われた後、2013年4月から9月にかけて、TBS系列各局で毎週日曜夕方五時から放送された。
2014年には帰路を描いた新作ストーリー『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が公開。制作ペース早すぎませんかね…
また同年、総集編の『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』も制作されている。


ストーリー


西暦2199年。
地球は突如飛来した異星文明「ガミラス」によって絶滅の危機に瀕していた。
彼らの兵器「遊星爆弾」によって、海は乾上がり大地は汚染され、あまねく生命は死に至った。
人類は地下都市を築き、生きながらえていたが、汚染は地下にまでおよび、人類滅亡まであと一年と迫っていた。

国連宇宙軍は敵の冥王星前線基地強襲作戦「メ号作戦」を立案。
第二次内惑星戦争、第二次火星沖海戦の英雄である沖田十三を指揮官とした、最後の艦隊決戦に打って出る。
しかしその作戦には、参加者にさえ秘匿された本当の目的があった…


主な登場人物


■ヤマト乗組員

沖田十三(声‐菅生隆之)
ヤマト艦長。
第二次内惑星戦争で勇名を馳せ、火星沖海戦でもガミラスを一時撤退に追い込んだ歴戦の勇士。
旧作と比べてもキャラデザ、性格ともに殆ど変更が無い。
ただ戦闘は極力避けているところ、敵艦隊など大規模な戦力と戦うとなれば敵中枢を狙った中央突破が多いところ、
ガミラス本星戦までは病状は悪化しているものの艦長席で指揮を執るなどところどころ違いがみられる。
本編の一部、映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』においては旧作に負けず劣らずの穏やかな雰囲気漂う父親的な面も垣間見える。

古代進(声‐小野大輔)
戦術科戦術長。
命令違反はやらかすものの旧作と比べると比較的冷静で常識人。
高すぎる威力の波動砲の使用にもかなり慎重になっている。
減った血の気に比例して出番や目立つ場面も減ったが、その分は他のキャラに割り振られている。
詳細は項目参照。

島大介(声‐鈴村健一)
航海科航海長。
旧作と比べると童顔になり、性格もよりフランクになった。
沖縄出身であるため、肌も少し色黒に変更された。父親も同じ船乗りだった。
こちらも詳細は項目参照。
と~りか~じいっぱ~い!

森雪(声‐桑島法子)
船務科船務長。
旧作では主計長(生活班長)と看護師を交代要員なしで兼任するというとんでもない激務をこなしていたが、
今作では索敵やレーダーのみを担当、交代要員もいるため負担がかなり減った。
ヤマトに乗り組む一年以上前の記憶が無い。
尻がエロい。

真田志郎(声‐大塚芳忠)
技術科技術長兼副長。階級は三佐。
ご存じ真田さんだが、スペックは旧作と比べると大分下方修正されている(というか旧作が化け物すぎた)。
根本的には旧作と変わらず冷静沈着だが、作中随一の小食という意外な特徴が追加されている。
冷静かつ熱い頼れる兄貴分であった旧作に対して今作では若干冷たい印象を受けるが意外なところで人間味にあふれる一面も。
艦長不在時は艦の副長としてヤマトの指揮を執る。合理性を重視するため戦闘指揮では沖田には遠く及ばず相手に上回られてしまった。

南部康雄(声‐赤羽根健治)
戦術科砲雷長。
古代の2Pみたいな外見の旧作とは異なり髪が短く、声も見た目もアイドルプロデューサーっぽくなった。
軍人としては模範的態度に終始しているが大艦巨砲主義的な考え方を持つ。
現実を見ない親に辟易しているが、当人の方も非常に短慮軽率であり、
5話では冥王星攻略の際は現実を見ずに波動砲使用を進言し、古代に冥王星そのものを破壊するリスクを指摘された際には
いいじゃないか!星の1つや2つ!
という迷言を放っている(これは中の人にもダメ出しされている)。*1
こんな彼ではあるが砲雷長に選出されるだけあって能力的にはかなり優秀で、ヤマトの砲撃はほぼ百発百中。
航海における影のMVPと言っても過言ではないだろう。
彼の言う通りに波動砲をガンガン撃っていたら最後にイスカンダルで詰んでいたのでプラマイゼロといったところだが…

加藤三郎(声‐細谷佳正)
航空隊長。
旧作と違って角刈りになっており、実家が寺という設定が追加され、度々独り言でお経を唱えている。
いつの間にか同僚を孕ませていたリア充。爆発しろ。

新見薫(声‐久川綾)
技術科情報長。
真田の後輩である理知的なお姉さん。ヤマトでも彼の右腕として働き乗組員のカウンセリングも行う。
艦内では年長者側なのもあってやや強気な場面が多いが、相手を認めて反省もする。回想シーンでは先輩を慕う可愛い女学生な過去も映った。
イズモ計画推進派らしく、何やら裏で怪しい行動をし保安部の伊東と共謀してとんでもない事を実行した。 
元々結城信輝が遊び半分でデザインしたものが正式採用されたという経緯を持つ。
初期案ではアルプスの少女ハイジのロッテンマイヤー風のおばさんだったが、出渕監督の意向で若くなったらしい。

山本玲(声‐田中理恵)
主計科士官→航空科士官。
旧作における山本明。まさかの女性化(厳密には妹である)。
褐色に赤目に白髪と、SFでオーソドックスな火星人のビジュアルをしている。
ちなみに兄の明生は既に戦死、親も遊星爆弾で命を落としており天涯孤独の身。
出番が多く、サブヒロインと言えるポジション。

伊東真也(声‐関俊彦)
保安部士官。
ヤマト艦内の警備を担当するなんか胡散臭い糸目野郎。
新見と共謀してとんでもない悪巧みを起こしやがった。
どっかの冥王でも無ければ白蛇野郎でもない。
漫画版では様々な掘り下げがされている。

佐渡酒造(声‐千葉繁)
衛生長兼艦医、少佐相当官。
今回は獣医ではなく、沖田艦長の主治医。ちゃんとした軍医である。
旧作と違って例の誤診はやらないはず。多分…

徳川彦左衛門(声‐麦人)
機関長。
元キリシマ機関長の大ベテラン。
旧作同様人格者で孫大好き。
実はワープと波動砲の原理をよくわかってない。それでいいのか大ベテラン。

原田真琴(声‐佐藤利奈)
衛生科衛生士。階級は宙曹相当士。
佐渡の助手を務めるおっぱい。
旧作における豚(?)
旧作においてなぜか雪が担当していた看護師の部分を引き受けた形になる。
本作の薄い本のエースの1人。

薮助治(声‐チョー)
機関科機関士。
機関長の愛弟子で、腕は確かだが基本的にネガティブで愚痴が多い。
ヤマト計画に対してもかなり懐疑的に見ている。
が、おそらく最も我々視聴者に近いであろうキャラクター。
南部と並んでネタキャラ街道まっしぐら。
ちなみにやるときはやるが、やっぱりヘタレ。
何気に地球人類史上初のとんでもない転職に成功する勝ち組だったり…

星名透(声‐高城元気)
保安部員。
伊東の腰巾着とも呼ばれるがその真意は…
いつの間にか岬ちゃんといい関係になっている。羨ましい。

岬百合亜(声‐内田彩)
船務科で森雪の交代要員。艦内ラジオのパーソナリティも勤める。
名のあるヤマトクルーとしては最年少(17)のツインテ娘。
霊感体質で「視える」が故に、何かに憑依されてるとしか思えない奇行に走ることも。
(というか実際憑依されているのだが)

AU09(声‐チョー)
ヤマトの自律型サブコンピュータ。
番号で呼ばれるのを嫌い、アナライザーを自称する。
旧作と違って最初からヤマトに乗っており、セクハラもしないし、酒も飲まないと真面目。
ガミロイドのオルタとの哀しくも心温まるエピソードは必見。


■イスカンダル星

スターシャ・イスカンダル(声‐井上喜久子)
地球に救いを差し伸べるイスカンダルの女性。
イスカンダル三姉妹の長女。
旧作から衣装が変更されており、ドリームクラブみたいなゴージャスな部屋でヤマトの到着を待っている。
2199の物語は、あらゆる意味で彼女が元凶と言えなくもない。
また古代以上に理想主義者な面があり、それが間接的に色々二次被害を生んでいる感がある。
ヤマトが飛び立つ際の例のシーン等など、色々と視聴者から疑問や邪推、ヘイトを受けやすい人。

サーシャ・イスカンダル(声‐なし)
地球に波動コアを届けた際に死亡した三姉妹の二女。
地球の恩人の1人である。
遺体は古代と島の手により勝手に火星に埋葬された。

ユリーシャ・イスカンダル(声‐桑島法子)
一年前、波動エンジンの設計図を持ってきた三姉妹の三女。
ヤマト艦内にいるようだが…?
漫画版だとのじゃ口調で喋る。



アベルト・デスラー(声‐山寺宏一)
大ガミラス帝星総統。
地球侵略を決めた張本人にして今作のラスボス。
旧作以上にエレガントで、もちろん下品な人は大嫌い
前作にもましてスターシャが好き過ぎる一方、ガミラス星に対してはあまり愛着がなく*2
遷都による大統合を考えているらしい。
ファンならご存知の通り、中の人は復活編やゲーム版で古代を演じていた。

レドフ・ヒス(声‐秋元洋介)
大ガミラス帝星の副総統。
リメイクに伴って内務省出身の官僚に変更されている。
旧作同様デスラーの腰巾着的な扱いではあるが、
終盤でのデスラーのとある行為にはデスラーを呼び捨てにする等、完全にブチギレていた。

エルク・ドメル(声‐大塚明夫)
大ガミラス帝星銀河方面作戦司令長官。階級は中将→上級大将。
宇宙の狼と恐れられるガミラス最強の名将。
純血、非純血に関わらず、ガミラス中の民間人から国民的人気を得ているが、デスラーの側近たちにはそれを快く思わない者もいる。
今作の彼は旧作の様な雑さや詰めの甘さは無いものの、相変わらず運は悪い。
またメーテルみたいな服を着てる美人の嫁さんと幼いうちに早世してしまった息子がいる。
「引くな!ドメラーズは一歩も引かん!!」

ミーゼラ・セレステラ(声‐茅原実里)
大ガミラス帝星宣伝情報相。デスラー総統側近の中では唯一の女性。
肌の色を観ればわかると思うが非ガミラス系でジレル人というアケーリアス系列の種族である。
強烈な人種差別から自分を救い出してくれたデスラーを慕っているようだったが…

メルダ・ディッツ(声‐伊藤静)
艦隊総司令ディッツ提督の一人娘。階級は少尉。
異次元空間にて脱出のためヤマトに協力を申し出る。
青を高貴な色と言っているがその割に機体のパーソナルカラーは赤(自身が赤毛であることにちなんでいるのかも)。
玲とは様々な経緯を経て良いライバル関係になった。
秘密警察によるいい加減な反体制派狩りを目の当たりにし、反体制派の言葉に呼応して彼らに同調。
反体制派側の連絡将校としてヤマトに単身赴任したこともある。
当然薄い本の餌食に(ry

ミレーネル・リンケ(声‐岡村明美)
大ガミラス帝星中央情報部特務官。
古代アケーリアスの末裔であり、精神感応能力者(より正確に言うと、ミーゼラと同じ人種)。
14話にてヤマト乗組員に精神攻撃を仕掛ける。
その際の演出は、ヤマトの縦回転に始まり、突如現れる公衆電話やら唐突な場面転換、挙句メタフィクション、パロディ等々、奇怪なものとなっている。
劇場版にも彼女らと同じ種族が登場する。

ヘルム・ゼーリック(声‐若本規夫)
大ガミラス帝星中央軍総監兼ガミラス帝国国家元帥。強力若本。
事実上ガミラス帝国の№2。
新キャラの中でも際立った存在感を放つ(主に声が)。
しかし、中身はガミラス側でもかなりの下種野郎。
「成☆敗!」
若本なので漫画版でも一人だけ台詞を溜めて喋っている。

グレムト・ゲール(声‐広瀬正志)
大ガミラス帝星銀河方面作戦司令長官(後に副司令官に降格)で階級は少将。
広瀬氏がCVを担当しているだけあって、無能な上司の典型みたいな人。アンタは人間の屑だな!
でもどこか憎めないし、真面目にやろうと思えば意外とちゃんとできたりする。
デスラーへの忠誠心と敬愛は本物なのだが、いっつも媚びへつらっているのでデスラーからの心証はあまり良くない。
政権が崩壊した後もデスラーに付いていく当たり本当によく懐いている。

ヴォルフ・フラーケン(声‐中田譲治)
次元潜航艦 UX-01艦長。階級は中佐。
ガル子飼いの「猟犬」とあだ名されるガミラス軍人。ネモ船長でもシューマッハ大佐でもユーハバッハでもない。
旧作で唯一ヤマトを正面から撃破しただけあり、今作でもかなりの強敵。譲治なのでとてもかっこいい。

ヴァルケ・シュルツ(声‐島香裕)
冥王星前線基地司令官にして空間機甲旅団の旅団長。階級は大佐。
ガミラスに併合された惑星ザルツ出身で、身分上は二等ガミラス人。
ちなみに空間機甲旅団は彼を筆頭に全員が二等ガミラス人で構成されている。
ザルツ人は肌色が地球人と全く同じであり、これが後の伏線となる(わざわざこんな設定を追加したのは、監督が旧作の肌色を再現したかったから)。
また、ドメルの元部下という設定も追加され、それもあってか旧作時とは比べ物にならないほど優秀。
本作では器量よしの妻ライザさんと父を慕う可愛い一人娘ヒルデちゃんもいるなど、何気にリア充。
かなりの年の差婚と思われる夫婦の容貌の差、娘からのメッセージ、そして司令官のために多くの部下が身を投げ出したことからもヴァルケの人望がうかがえる。
特にヒルデちゃんは圧倒的萌えビジュアル(この子だけ監督がデザインしたとか…)から登場シーンが少ないながらも人気が高く、
その影響でファンの中にはヴァルケさんのことを「お義父さん」と呼ぶ不届き者もいる。

フォムト・バーガー(声‐諏訪部順一)
ドメル幕僚団の一人。旧作と違いフルネームが付いた。階級は少佐だが駆逐艦の一部隊を任されている。*3
七色星団戦で死にぞこない、劇場版『星巡る方舟』ではガミラス側の主人公に抜擢される。

ドーテム・ゲルヒン(声‐中村浩太郎)
名前がついたガミラスの下品な男。
乾杯前に酔っぱらっているという旧作以上の下品さを見せてデスラーに穴に落とされた。ガミラスに下品な男は不要だ
慣れない場で緊張して呑んじゃったらしい。可哀想に…



まさかの出演。
小マゼラン外縁部に先遣隊を送り込んできているファンにはお馴染み最強最悪の星間国家。
収容所惑星には捕獲したガトランティス人も収容されており、彼らの口から大帝の存在も匂わせている。
ただしガミラスからは「外宇宙の蛮族」呼ばわりされるわ、ドメルにはボコられるわで基本かませ。
続編でたら本気出す。
『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』において帰路のヤマトとグタバ(小マゼラン)遠征軍が遭遇。
なんと火焔直撃砲まで持ってきやがった。
旧作から一変した蛮族ぶりを発揮してくれる。
続編ではメイン敵勢力として登場。しかし蛮族設定は無かったことにされてしまった。


登場メカ

+ ...
宇宙戦艦ヤマト
※詳細は別項目参照。
ご存じ我らが宇宙戦艦。
今回は戦艦大和からの改造ではなく新造艦。
旧作の全長265mから巨大化され、333mに再設定された。それでも旧作よりは狭い。
乗組員も114名から999名まで大増員。男女比も113:1から7:3となり、男女のバランスがとられている。
また、波動エンジンには「ロ号艦本イ400式次元波動缶」、波動砲には「次元波動爆縮放射器」という正式名称が与えられた。
イヅブチ穴は目立つ所には無いが機関室天井付近などにちょっぴり存在する、自重したのだろう。
防御力こそ旧作と比べると紙だが、それ以外は旧作より更に強くなっている。

金剛型宇宙戦艦キリシマ
旧作における沖田艦。
旧作同様武装はガミラスには通じないが、耐久性は高い。主砲を敵艦に弾かれる際の音は必聴。
同型艦が複数建造されていたがガミラス戦争によって損耗し、アニメ1話の冥王星会戦(メ号作戦)時点ではキリシマのみが残っていた模様。
アニメ本編では使用されていないが艦首に陽電子衝撃砲(ヤマトのショックカノンと同種のもの)が、
備えられている。のちに制作された「ヤマトという時代」では、ガミラス戦争を描いた新作パートで波峰シーンが描かれたので見てみよう!
「キリシマ」は「2199」「2202」「ヤマトという時代」まで皆勤賞が続いたが、「2205」で途切れてしまった。

村雨型宇宙巡洋艦
旧作には存在しなかったオリジナル艦。
金剛型に通じる意趣を持ちながら一回り小さくしたといった印象で、旧作に登場したメカのリデザインである金剛型や磯風型に挟まれても違和感なく収まっている。
アニメ1話の冥王星会戦では複数の艦が参戦しており、3パターンの塗装が確認できる。
こちらも艦首に陽電子衝撃砲を備えているという設定で、「ヤマトという時代」で発砲シーンが描かれた。

磯風型突撃宇宙駆逐艦ユキカゼ
旧作におけるゆきかぜ。
冒頭のメ号作戦にて、敵艦を多数沈めていたのは新開発の試製空間魚雷(艦首・艦尾魚雷や煙突ミサイルにも採用されてるアレの試作品)を使っていた為。
冥王星会戦には同型艦が多数参加しており、複数のカラーリングが確認できる。
これに関しては説明が作中にないので旧作再現とはいえやや説明不足。

ゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズⅢ世
宿敵、ドメル将軍が駆る全長730mの超弩級戦艦。でかスギィッ!
その主砲はヤマトの砲塔及びレーダーを抉りとり、正面装甲はショックカノンすら弾き飛ばすが、反面速力が犠牲になっている。
その戦力はガミラス艦艇屈指で、同航戦でヤマトと殴り合うことすら可能。

なお、このドメラーズⅢ世はゼルクード級の3番艦であり
1番艦にはゼルグードⅡ世(艦の色は赤)、2番艦にはデウスーラⅠ世(艦の色は青)が存在する。
ちなみにデウスーラⅠ世はデスラー暗殺騒動の折に爆沈、ネームシップであるゼルグードⅡ世も劇場版「星巡る方舟」の冒頭において火焔直撃砲を前に手も足も出せず轟沈してしまった。
続編では副監督の暴走もあって同型艦が多数建造されている。

特一等航宙戦闘艦デウスーラII世
旧作のデスラー艦。
デウスーラⅠ世が轟沈した後の総統座乗艦。
艦種に波動砲(デスラー砲)を装備したガミラス最強の大戦艦。
実はドメラーズよりも小さい。
ちなみにデスラー砲の命中率の低さは相変わらずで、遂に設定にまで明記された。
ハリネズミのような大量の艦上武装を装備しており、まともに打ち合えばおそらくはヤマト以上の超性能。
しかし野蛮人の素朴な発想には勝てなかったよ・・・
(ただし、この艦自体はかなり丈夫なようでヤマトの砲撃に対しても20~30発耐えていた)

次元潜航艦UX-01
元ネタは宇宙戦艦ヤマトⅢに登場する次元潜航艇。
2199ではフラーケンが駆るガミラスの特務艦。
次元潜航能力を有しており、たった一隻でヤマトと互角の戦いを繰り広げた。
「2202」では同型艦3隻とともに登場。そのまま「ヤマトという時代」「2205」と登場しており、
リメイクシリーズにおいて、主役であるヤマトを除けば名アリ艦としては唯一の皆勤賞持ちとなっている。*4

ガイペロン級多層式航宙母艦
旧作で言うところの三段空母。本作では旧式で、空母の主流を十字空母(ポルメリア級)に譲っているようだ。
七色星団海戦においてはバルグレイ、ランベア、シュデルグの三隻が登場する。
この三隻、建造時期がそれぞれ異なり
シュデルグ(青)→アングルド・デッキなし
ランベア (紫)→アングルド・デッキあり
バルグレイ(緑)→アングルド・デッキあり 各飛行甲板の先端が山形(索敵装置設置のため)
となっている。
申し訳程度に装備されたそこそこの主砲と側面に対空装備があり一応全方面を視界に納めてはいるものの
防御性能に関しては吹き抜け式の構造をしているためか格納庫なし、駐機艦載機は正面から丸見え、さらには機関部まで見えておりダメコンは致命的。
脆いどころか直上から撃たれでもしない限りほぼクリティカルヒットで一撃死である。
実際正面から食らったミサイルは艦内通ってそのまま機関部直撃という最悪の事態になった。
ただし甲板部の板はかなり頑丈で、ヤマトのショックカノン数発の直撃をくらっても運よく生き延びている。
バラン星の観艦式においてもランベアと同型の艦が多数登場した。


先行上映情報

全26話のテレビシリーズを、七章に分けて劇場公開するという独特な展開を行った。

各章ごとに異なる歌手がEDを歌っており、全てヤマトの世界観をイメージして作詞作曲されている。
真っ赤なスカーフのアンサーソングでもある「星が永遠を照らしてる」を初め、どれも良曲揃い。

なお、後述の過密スケジュールの影響で、先行上映版の最終章25話は本編を一部カットして上映された。



TV放送情報

毎週日曜5時、所謂一つの日5枠で放送された。
主題歌はアレンジされ、歌手の皆さんで大合唱している。
また、EDはオリジナルイラストが挿入されている(歌はタイアップ曲)。

16話より新OPとなったが、ギリギリのスケジュールでOP映像など作れるはずもなく、ニコニコ動画のMADのようなものに仕上がってしまった。
曲自体も単体では格好いいが、ヤマトというよりガンダム00に合いそうなスピード感のある曲であり、ファンはかなり困惑した。

さらに、尺の都合で次回予告も削られており、七色星団決戦回においてはついに本編が一部カットされてしまうなど、残念ながら地上波の呪いからは逃れられなかった。
その辺りは同じ春アニメの某作品と共通している。
最終回のラストシーンをタイアップ曲で〆てしまったことは賛否両論。

また、早すぎたTV放送は上記と後述の通り上映版にも少なからず影響を及ぼしてしまった。
このことからBD/DVDが完全版と考えるファンも多いが、TV版EDのイラストはDVD版には収録されていない。

18、19話は「拡大1時間SP」として放送され、17話では久々に予告が流れた。
最初のナレーションは山ちゃんが担当。
オープニングテーマは新OPと合唱OPが2つとも使用された。
最後の視聴者プレゼント沖田艦長自らが案内。
「全艦、第一種応募受け付け態勢発令。受け~付けぇ、始め!」

TVCMはバンダイチャンネル、BD、プラモデル、関連書籍、スマホゲーム等のものが制作された。
中には笑いを誘うナレーションも。
「なに?プラモデルは子供のおもちゃと言っている奴がいるだと?そういう奴には馬鹿めと言ってやれ、馬鹿めだ!」



評価


名作として名を馳せながら、シリーズを経るごとに脚本がご都合主義化していき、久々の新作『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』で更に評価を落とし、
実写版でこれまた微妙な(CGやベテラン勢の熱演とか第三艦橋とか好評な部分はあるが)評価を受けたシリーズの新作故か、発表当初は否定的な意見が大半を占めていた。
実際最初の特報PV自体も、変更されたキャラデザインやCGによる艦隊戦などが不評で、期待する声は殆どないという有様だった。

しかしいざ蓋を開けてみると、旧作を可能な限り踏襲しつつ丁寧にアレンジが加えられた良作に仕上がっており(9話とか14話みたいなやりたい放題の回もあるが)、
各章様々な意見はあれど、終わってみれば旧作ファンからもそれなりに好評であり、少数とは言え新規ファンの獲得にも繋がったことから充分成功と言える
具体的な数字を上げると模型込みで100億円規模の成果を上げたらしい。すごい(小並感)
作画レベルも総じて高く、特に画面の密度やディティールの細かさがポイント。
更に、当初軽いと批判されたCGも回を追うごとに改善され、三段空母などは重厚感漂うものになった。


批判点としては「心情描写が淡白」「古代のキャラクター性が弱い」「終盤の展開が粗い」「デスラーが何がしたかったのかわからない」「スターシャの思想が身勝手」「蓋がダサい」といったものがある。
これ以外はほぼ言いがかりレベルのものなので割愛。
見た目の問題である蓋の話は置いとくとしても物語の問題である5点はファンからも指摘されがちで賛否両論。
実際終盤のガバガバさはファンから今でも惜しい惜しいと言われ続けている。

総評としては、問題点はあれど映像や演出を始め優れた点が多い力作で、ヤマトシリーズ上位の完成度を誇る。



漫画版


むらかわみちお氏によるコミカライズが連載されている。
アニメでは尺の都合で描かれなかったシーンなどを追加、逆にアニメで演出済みの戦闘シーンは極力ページを割いていない。
ヤマトクルーやガミラス人達の掘り下げや内面描写をこれでもかというくらい盛り込み、異なる文化を持った人間達の物語が情緒とケレン味たっぷりに描かれる。
それだけではなく、アニメ版では採用されなかった旧作ネタをちょくちょく組み込んだり、アニメのエピソードの話の順序を前後、統合、再構成してドラマ性を向上させるなど、地味にクオリティの高いコミカライズである。
大マゼラン到着までを描いた2016年頃から長期休載状態に陥ってしまったが(2202のスタッフからストップがかけられてしまったとのこと)、2022年に実に6年ぶりの単行本続刊が刊行。
漫画版独自の完結に期待がかかっている。

また、山本玲を主人公にした外伝『宇宙戦艦ヤマト2199 緋眼のエース』も連載された(単行本全1巻)。
放送中に流れた月刊コミックブレイドのTVCMでは玲自身が作品を紹介している。


余談


■今は亡きヤマトの生みの親、西崎Pは今作の企画書を見て3ヶ所だけダメ出しを行ったという。


■旧作ではバンバン人(というか敵艦隊)に向けて撃っていたイメージのある波動砲だが、実は第一作では自然物や謎の生物、敵の無人兵器などに数発撃っているのみである。
これは、波動砲による不必要な破壊を防ぐためと、ヤマトは本来敵を殲滅するための艦では無いという理由からである。
「とりあえずビール」のノリでとりあえず波動砲を撃ちまくっているイメージは、さらば以降のシリーズやゲーム版、パチスロ等による影響だろう。

2199スタッフは二作目以降の波動砲の乱用を快く思っておらず、今作でも使用頻度はかなり控えめになっている。
はかいこうせんや波動砲は元々無闇矢鱈に乱用するものではないのだ。

はかいこうせんリメイクでも派手にぶっ放してたけどな!


■特撮や名作映画のパロディがさりげなく多い。
2001年宇宙の旅に始まり、ウルトラマン、果ては暴れん坊将軍などなど幅広くパロっている。
やりすぎて「あんま趣味に走るな!」と怒られることも…


■本作の続編として『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』が制作された。
出渕監督が続編を固辞していたためか主要スタッフは復活篇の制作陣に交代しており、作風は全体的にそちら寄り。
2199と比べると説明不足で癖の強いシナリオや大味な戦闘演出、奇天烈なメカデザインの増加に加えてキャラクターの性格や描写などの激変、2199キャラの活躍の大幅減、副監督を務めた小林誠氏の非常識な言動の数々など、諸々あって本作と比べると評判はやや芳しくない。
ぶっちゃけ「2202」本編を単独で見るより2199と合わせた総集編の「ヤマトという時代」を観た方がいいかもしれない。こっちの方が一続きの物語としてうまくまとめられている(特に古代の心情面やデスラー総統周り)。

2021年10月には更なる続編として「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」が公開された。*5
こちらはある程度本作路線に回帰しつつ2199や2202で残された謎や未回収の要素にきっちりと決着をつけており、全体的に上々の評判を得ている。


■2017年にゲーム作品『スーパーロボット大戦V』への参戦を果たした。
寺田貴信Pは以前からヤマトを参戦させたいと考えていた他、島役の鈴村健一氏が(冗談込みで)スパロボ参戦への希望を自分に話していたことを覚えており、
その後バンダイナムコから新しい要素として本作を提案されたことからそれに乗る形となったらしい。
ネームバリューもあるため本作の目玉的存在として大きくクローズアップされている。これまで、
MSやスーパーロボットといった系統のメカがヤマトに登場することはまず無かったため、沖田艦長を始めとした
ヤマトの面々からMSやスーパーロボットといった単語が飛び出す、ヤマトと共に戦うガンダムやマジンガーZといった光景は中々新鮮。
クローズアップもされているだけあって、本編での扱い(ストーリー的にも能力的にも)も決して小さいものではないので
興味のある方はぜひ遊んでいただきたい。
特に同じく参戦したマイトガインがガミラスの戦艦を動輪剣でぶった斬ったり、「終焉の魔神」真ドラゴンでガミラス艦隊を燃やし尽くすといった光景も見られる。これらに挑んだガミラス艦隊が逆に可哀想に思うくらいである……。

また、以後に発売された『X』や『T』においても、ヤマトに次ぐ戦艦枠として
ふしぎの海のナディア』や『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』が参戦しており、ヤマト参戦に手ごたえがあったことを感じさせる。


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最終更新:2023年10月16日 00:25

*1 ただし戦時下で滅亡寸前に追い込まれてる状況なので、これくらい考えるのは自然とも言える。というか旧作の南部は、今作が霞むほどに過激で正気じゃない言動があったりするので、実はコレでも相当マイルドになっている。

*2 宇宙服着用で艦外に出て、わざわざ直接ガミラス星を見た上で「この星にしがみついて何になる」と愚痴っている

*3 一般的には少佐でやっと駆逐艦の艦長クラス。

*4 2199の劇場版「星巡る方舟」にのみ未登場

*5 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!が同日に公開されており、日本SFアニメの歴史を作ってきたシリーズが火花を散らしてぶつかる事になった。