リリアナ・ヴェス/Liliana Vess(MtG)

登録日:2012/06/14(木) 16:46:17
更新日:2023/06/26 Mon 21:40:35
所要時間:約 15 分で読めます




「死んでるから従わなくていいってことはないね。」

リリアナ・ヴェスはマジック・ザ・ギャザリングに登場するプレインズウォーカー
人間、女性。外見年齢26歳、実年齢200歳以上。身長175cm、体重63kg。ドミナリアのベナリア出身。


概要

外見は20代で、ジェイス曰く次元の狭間に満ちる混沌よりも深く引き込まれるようなその瞳、艶のある長い黒髪、豊満で魅惑的な体を持つ絶世の美人。しかし実際は200歳を越えており、恐るべき四大悪魔との契約により力と美貌を維持している。
自分の魅力を心得ており、ミステリアスで知的な雰囲気を醸しつつも快活で積極的。その実は自己中心的で酷く利己的。プレインズウォーカーになる以前から性的に奔放だったという話もあり、実際イニストラードの背景ストーリーでは若いスカーブ師*1のゲラルフをたぶらかして手駒にしている。
その一方で策略の為に利用していたはずの青年、ジェイス・ベレレンを本気で愛してしまい葛藤に苦しんだり、命を賭して自分の身代わりになったギデオン・ジュラを蘇らせようと血眼になって資料を漁るといった、邪悪になりきれない面もある。

熟練の屍術士(ネクロマンサー)であり、死者を蘇らせて使役し、生者を堕落させて死に至らしめる。元々が強力な魔術師な上、四大悪魔との契約、更には伝説的な魔法異物「鎖のヴェール/The Chain Veil」を得たことにより、強大な力を持つ。

プレインズウォーカー化した年代は不明だが、少なくとも大修復以前と明言されている。
大修復によりプレインズウォーカーの力が弱体化し、不死性や若さを保つためにニコル・ボーラスの紹介で四大悪魔と契約したとされている(四大悪魔についてはグリセルブランド/Griselbrand(MtG)の項目をどうぞ。)。
リリアナが力と若さを保つために契約した四大悪魔との契約の証が、魔法を使う際に肌に浮き出る刺青のような模様である。
契約は当然無償では無いらしく、リリアナは契約したことを後悔している節があり、ヴェールの力を手に入れてからはこの悪魔達を殺害しようと試みている。

「マジック・オリジン」では彼女がプレインズウォーカーに覚醒する経緯が語られた。
慕っていた兄ジョスは、熱病に苦しみ死の淵に立たされてしまう。その薬を入手することに失敗した彼女は、謎の男(鴉の男)からもらった薬を代わりにジョスに与える。
しかしこれがアンデッド化をひきおこしてしまい、ジョスは家族を次々と襲う邪悪なリッチになってしまう。そのショックで彼女はプレインズウォーカーの灯がともったのだ。

「イニストラードを覆う影」ブロックでは、ラザケシュとベルゼンロックを倒す際に利用するべくゲートウォッチに加入。
「カラデシュ」のストーリーではチャンドラに悪い遊びを教えるお姉さんのようにふるまっていたが、テゼレットと再会したことでゲートウォッチに全面的に協力、テゼレットの野望を表向き砕くことに成功した。


「私の魔力と魂を保つために、あいつらが要求してくるものがどんなに恐ろしいか……わからないでしょうね」

その後ラザケシュをさっさと倒したい彼女はボーラスが支配している次元「アモンケット」に行くように強硬に提案。なんとかラザケシュを倒したもののボーラスには歯が立たず、返り討ちにされた挙句ジェイスとはぐれてしまう(「イクサラン」ブロックのストーリーへ続く)。
残る4人はドミナリアに避難したが、ニッサには「この女は私たちを利用した。正直知らない奴の都合よりゼンディカーの方が心配なのでゲートウォッチをやめる」と宣言して離脱、チャンドラも「自分の力が足りないせいだからちょっと修行してくる」と里帰りしてしまうと完全にサークルクラッシャーの振る舞いをしてしまった。
帰ってきたいとは思わなかった故郷ドミナリアで、一番相性の合わない汗臭い筋肉ダルマのギデオンと二人きり。しかも辿りついた場所はよりにもよってヴェス家の屋敷の近くであり、兄ジョスはリッチの将軍としてベルゼンロックの下で悪事を働いているという。
ベルゼンロックのことは抜きにしても兄を眠りにつかせてあげたい。しかしゲートウォッチはすでに3人も離脱してしまった。自分のせいで実兄が怪物になったことを話せば、ギデオンですらきっと立ち去るに違いない……そう覚悟しながらリリアナは若き日の過ちをギデオンに語るが、ギデオンは快く協力してくれる。
そしてギデオンの協力のもとにジョスを眠りにつかせることに成功するが、謝罪を口にしたリリアナにジョスは「お前のせいでリッチになった。ベルゼンロックのせいじゃない。お前が家族みんなを引き裂いた、お前こそヴェス家の呪いなんだ」とすさまじい恨み節を残して消滅した。ベルゼンロックの呪文が錯乱させていたわけではなく、兄は永い時間自分の意志をもってリリアナを心の底から憎んでいたのである。
すっかり憔悴したリリアナだが、そんな込み入った事情を聞いてもまったく協力する気をなくさないギデオンのおかげでなんとか気を持ち直す。この怒りはベルゼンロックにぶつけてやろうと前向きになるのだった。

その後新時代のウェザーライトクルーが登場、チャンドラも師匠ヤヤ・バラードと再会して再加入するなど和気藹々とした時間を過ごすリリアナ。
彼らの力を借りてベルゼンロックの殺害には成功したものの、契約書に小さく書かれていた「四人の悪魔が死んだらボーラスの配下になる」という部分を読み落としていた彼女はその後ボーラスの手駒となってしまい、侵略戦争に特化したゾンビ集団「戦慄衆」を指揮することとなる。
その後なんやかんやあってギデオンがリリアナの契約不履行の債務を肩代わりして死亡、リリアナの捨て身の裏切りによって不意を突かれたボーラスは封印され、リリアナはギデオンを蘇らせようと奔走するのであった。
ボーラスにとっては「リリアナは我が身が一番かわいい女だから裏切れるわけがない」という目算だったため、自己犠牲を覚悟で反旗を翻したリリアナの行動は完全に予想外だった。ギデオンの自己犠牲がリリアナに深い共鳴をもたらした、結果的にギデオンが灯争大戦を終わらせたのである。

高級レストランでジェイスと縒りを戻す話をしたり、カラデシュではノリノリだったり、アモンケットでは「客人用に部屋を2つあてがわれたがそのうちの片方を1人で占拠する」という振る舞いをしたりと、なんだかこう……「クラスに1人はいる気の合わない勝気な女」みたいな性格だと思っておけばいいだろう。
ただし黒っぽいかと言われると若干微妙なところであり、最初期の「身勝手な悪女」というキャラ付けに比べると現在のキャラはかなり人間味が強い女性になってしまっている。
身勝手にして力を信仰する悪役という役周りはオブ・ニクシリスあたりに交代し、彼女はひとりの黒の女性という位置づけになったのかもしれない。というか契約から解放されストリクスヘイヴンに身を落ち着けてからはすっかり善玉となってしまっている。


他者との関係

ジェイスは元カレ。下記の無限連合奪還作戦の際に駒として利用する為、女性慣れしていない(本人談)ジェイスを誘惑し虜にする。しかし彼に対し一世紀以上生きていて初めて抱く恋愛感情を持ってしまい、その彼を騙し続けているという葛藤の末、遂にはジェイスに自分の立場を告白。
…ジェイスはテゼレットとの死闘の後、彼女の元には戻らなかったが、彼女には複雑な感情を抱いている様子。彼女の居場所を探し回るガラクに嘘の場所を教えており、まだ想い続けているような描写もある。
なおジェイスの方はギデオンが諫めても「あいつは裏切る」ばかり繰り返しており、すっかり仲はこじれているようである。友好色ってなんだよ。

ギデオンとは当初はその優等生気質とはそりが合わずいがみ合っていたが、アモンケットでの敗北以降も自分を見捨てず支えてくれる彼に徐々に情が移り始める。そして灯争大戦のときに彼の魂がリリアナに加勢したことで契約の代償から逃れることができついにボーラスを打倒した。ようやく長年の呪縛の一つから解放された彼女にとってギデオンの生きざまは彼女の価値観を大いに変えることになる。

ガラクには彼の獣を殺したことから恨みを買い、それをヴェールの呪いで撃退する。その後は呪いを解かせるためにガラクから追われている。

ボーラスとは、四大悪魔の契約を解決することを交換条件に、テゼレットから無限連合を取り戻す作戦に協力。作戦後にボーラスの下僕となるよう勧告されたことに憤慨、離反した。
また、彼女が兄を殺し故郷を追われるきっかけを作った謎の人物「鴉の男」がたびたびストーリーに絡んでおり、長らく正体は不明だったが団結のドミナリアにて氷河期時代の屍術師リム=ドゥールが残した指輪の思念であったことが明らかになった。

他にもチャンドラ・ナラーとは一時期「悪い付き合いを好む姉と世間知らずの妹」のような間柄で良好だったが、ドミナリアのストーリーのラストで結果的にゲートウォッチを裏切ってしまって以降は敵視されるようになってしまったり、
ボーラスとの契約の見落としは、同じ黒単のプレインズウォーカーである悪魔学者ダブリエル*2からは契約文はよく読めと嘲笑された。最近多いアプリとかカーシェアとかFXの注意書きみたいな感じなんですかね?
他にもケイヤやテヨに追いかけられるも彼女たちには命は取られずに新しい人生を始める手助けをしてもらったり、ウィル・ケンリスとローアン・ケンリスが一応教師と教え子の関係になったりと、比較的良好な人間関係が増えたり減ったりしている。
初登場が設定がスパゲッティ状に絡みまくっていたローウィン期だったことに加えてWeb連載の外で話が進んでしまうため、設定を取りまとめるのが非常に難しいキャラクターの1人。しかもイニストラード時代はテーロス還魂記と同じくダイジェスト形式で話が進んでいたため、よく分からないことになっていた*3


性能

黒を代表する女性プレインズウォーカーであるためカード化の回数も多く、レアリティは、神話レアの存在しなかったローウィンにおけるリリアナ・ヴェス以外は全て神話レア。
そのリリアナ・ヴェスも基本セット2010・2011の再録時には神話レアであり、基本的には黒の顔役と見て間違いないだろう。赤のチャンドラ、青のジェイスともども単色一筋14年の大ベテランである。


Liliana Vess / リリアナ・ヴェス (3)(黒)(黒)
プレインズウォーカー ― リリアナ(Liliana)
[+1]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
[-2]:あなたのライブラリーからカードを1枚探し、その後あなたのライブラリーを切り直し、そのカードをその一番上に置く。
[-8]:すべての墓地にあるすべてのクリーチャー・カードを、あなたのコントロール下で戦場に出す。
初期忠誠度:5

ローウィンで登場した一枚目のリリアナ。コントロールデッキ用の対コントロール必殺兵器。
5マナと重いものの、当時の黒絡みのコントロールには1~3枚ほど入っている定番のカードだった。
しかし重いくせに直接自身を守る能力が無いのが玉に瑕で、ビートダウン相手には少々分が悪い。プレインズウォーカーが何百枚も出ている今見てみるとまったく強く見えないだろう。
特筆すべきは《ジェイス・ベレレン》とのシナジー。全ての能力がお互いにシナジーしており、明らかに狙って作られている。

■ヴェールのリリアナ (1)(黒)(黒)
イニストラードにて登場した2枚目のリリアナ。軽くて非常に強力で、イニストラードのトップレア。
一時期は神ジェイスを差し置いて「モダンで最強のプレインズウォーカー」と呼ばれ、さらに一時期はモダンという言葉すら抜けていたこともあったほど環境での存在感を放っていた。
詳細はヴェールのリリアナ参照。どこぞの誰かと違って専用項目が作られるのも納得の強さである。
特にモダン以下の環境において黒絡みのデッキに採用され、一時期は1万円を超えるほどの値段がつけられた押しも押されもせぬ名カードだが、スタンダード前半期は《情け知らずのガラク》よりも安かった。理由は「一人去るとき」……ではなく他にも色々理由がある。

「団結のドミナリア」でまさかの再録。当初は「こんなもの4枚必須になるに決まっている」「スタンダードのバランスがぶっ壊れる」と大騒ぎされたが、環境にそこまでハマっているわけではないため値段は相応に落ち着いた。
しかし神話レアの必須カードが非常に多いデッキだったことから、単色にもかかわらずスタンダードの黒単の値段が一時期、カウブレード時代を思い出すほどの高額デッキになってしまった。やっぱり壊れてるじゃないか*4
再録によってパイオニアでも《ヴェールのリリアナ》が使用できるようになったことも大きなニュース。また、ストーリーで10年以上にわたって非常に深いかかわりを持っていた《鴉の男》のカード化と、その正体も明かされるなど様々な部分で波紋を投げかけたカードである。

ちょっと面白い話だと、イニストラードの宣伝イラスト(《ヴェールのリリアナ》に使われたものとは異なるもの)は「妖艶な服のリリアナが足を組んで自信ありげに笑う」というものであり、当時はこのイラストが「風俗嬢」「キャバ嬢」と呼ばれていた。
しかし2022年の「ニューカペナの街角」で登場した《華やいだエルズペス》はストーリーで本当にキャバレーの接客係、つまりキャバ嬢を務める。……まぁこれも色の役割の変遷なんじゃない?
時代もうつろいましたね、ほんとに……。

Liliana of the Dark Realms / 闇の領域のリリアナ (2)(黒)(黒)
プレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:あなたのライブラリーから沼(Swamp)カードを1枚探し、それを公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
[-3]:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+X/+Xか-X/-Xの修整を受ける。Xは、あなたがコントロールする沼の総数である。
[-6]:あなたは「あなたがコントロールする沼は『(T):あなたのマナ・プールに(黒)(黒)(黒)(黒)を加える。』を持つ。」の紋章を得る。
初期忠誠度:3

基本セット2013、つまりイニストラード・ブロックの直後の基本セットで登場した、3枚目のリリアナ。能力は全て沼絡みで、通称「沼アナ」。
+能力は沼限定サーチ。手札に加えてるので一応アドバンテージを稼いではいるが、サーチ先が限定的過ぎる上にこれが出ている=4マナ出ている状態でよほど加速したい状況はガッチガチなコントロールじゃない限りないと断言していい。
一応直後に「ラヴニカへの回帰」でショックランドが登場したが、相手にクリーチャーが並んでいて返しのターンで即死してしまうようでは劣化《遥か見》でしかない。この時期は除去耐性の狂ったクリーチャーがやたら多かったのでなおのことその傾向が強い。
他にも様々な運用が考えられるが、基本的には忠誠度をあげるのが目的であると割りきって使うことになるだろう。

小マイナス能力だが、これが一番取り回しやすい能力であると言える。
沼の数が十分にあれば再生すら許さない確定除去。あるいは自分のクリーチャーをパンプして最後の一押しをできるエンドカードになる。
…が、最大の問題点は初期忠誠度との兼ね合い。
出て即使えるのは良いものの、それをすればリリアナ自体が死んでしまう。
これではただの4マナソーサリー除去と変わらず、
プレインズウォーカーの強み、「場に残りながらアドバンテージを稼ぎだす」用途に全く使えない。
ではと言って一旦忠誠度をあげてから翌ターンうまく生き残ってから除去を撃ったとしても、次にそれを使えるのは最短で3ターン後。
「繰り返し使えるものの、3~4ターンに一度しか使えないソーサリー速度の除去」
ではちょっとお呼びがかかりづらい。いくらなんでも「使えるデッキが限られている」カードなのにこれでは、忠誠度のマイナスが大きすぎて使いづらい。
ここは奥義たる大マイナスに期待したい所だが・・・

奥義は沼から黒マナ4つが出るようになるというもの。
そもそも「一人去るとき」なんて言われていたような時代で黒単を組むのなんて、それこそ寝ても覚めても黒が好きなんていう気持ち悪い酔狂な黒使いしかいないわけで*5
このカードが生かせるレベルで《沼》をやたらめったらに入れるようなデッキ自体が成り立たない。強力なXドレイン呪文である魂の消耗/Consume Spiritも丁度スタンダードから落ちたところ。
それではXでゲームを決めるといえば火力ということで赤と組みたいところだが、
その能力の性質上、黒単かそれに近い構成を強いられるこのカードと他の色の呪文の相性はハッキリ言って悪い。
1、2番目の能力を存分に活かすために沼の基本土地タイプを持ったショックランドを積んでそこから他の色のマナを出そうと思っても、それはつまりBBBBを出すのを放棄するわけでX火力を全力で撃つことはできない。
プレインズウォーカーの奥義は毎回撃てるわけではないものの、苦労して忠誠度6まで到達してそれかよ感が否めないのは確か。
ほとんど黒単専用機にもかかわらず、当時の「プレインズウォーカーの唯一性ルール」では《ヴェールのリリアナ》との相性が恐ろしいほど悪いことも評価の低下につながった。
当時は「同じプレインズウォーカー・タイプを持つカードは戦場に1枚しか存在できない」というルールだったため、対戦相手に《ヴェールのリリアナ》を出されていると「4マナ使ってヴェリアナを除去」というクソみたいなカードになるし、
そもそも自分のデッキにしたって軽いヴェリアナの方が強いのだから本当に使う理由がどこにもないのである。

ラヴニカへの回帰・ブロックにおける第二エキスパンション・ギルド門侵犯において彼女の奥義によりサポート可能なキーワード能力「強請」が登場。
マナ食い虫になりがちな「強請」とは大変相性がいいのだが、同エキスパンションに収録された墓所の怪異/Crypt Ghast*6の方が極めて取り回しがよく、この時期にはもう「沼アナなんてだっせーよなー!」「墓所の怪異の方が面白いよな!」とほぼ存在を忘れられていた。

そしてこのカードの最大の問題点は、これまで散々死霊やゾンビといったキャラで通してきた彼女がなぜか沼の専門家になってしまったということ。
これまで沼に関係したことのない彼女が突然沼の専門家になってしまった違和感はひどく*7、これは公式の記事でも反省点として挙げられている。イニストラードの背景小説がなかったことともども、この時期のヴォーソスが本当にまったく重要視されていなかったことを示すひとつの例といえる。
しかもそれでいて強いわけではない。《ヴェールのリリアナ》が強すぎただけではあるが、こいつは《リリアナ・ヴェス》よりも弱いかもしれない。イケメンだから選ばれたソリンとともに「一人去るとき」ネタがますます加速してしまうこととなったのである。

とは言え維持さえできれば相手のクリーチャーを睨みつつ、毎ターン確実にマナを伸ばせるというのは悪くない。
基本的には中〜重速の黒単コントロールデッキ向けの性能であり、デッキの方向性によっては他のリリアナよりも使い勝手がいい。
また黒にはもぎとりや堕落など沼の数を参照にする呪文も多いため、それらとの相性もいい。
後世の《レンと六番》みたく手札を補充する呪文として使うのもいい。当時の黒のカードには《群れネズミ》もあったことだし、決して悪いカードではない。
ただし「悪いカードではない」というのは「ベストの選択肢ではない」ということでもある。1つのパックで100枚も200枚もライバルが出てくるようなゲームにおいてベストじゃないというのは、つまりそういうことである。
一番いいのは無理に使わないことだろう。様々な教訓を開発部に残したカードという意味では大きなマイルストーンとなったカードだが、無理に褒めるようなものではない。


Liliana, Heretical Healer / 異端の癒し手、リリアナ (1)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
絆魂
あなたがコントロールする他のトークンでないクリーチャーが1体死亡するたび、異端の癒し手、リリアナを追放し、その後これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。そうしたなら、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
2/3

Liliana, Defiant Necromancer / 反抗する屍術師、リリアナ
[+2]:各プレイヤーはそれぞれカードを1枚捨てる。
[-X]:あなたの墓地にある点数で見たマナコストがXの伝説でないクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。
[-8]:あなたは「クリーチャー1体が死亡するたび、次の終了ステップ開始時に、それをあなたのコントロール下で戦場に戻す。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:3

オリジンにて登場下した若き日のリリアナ。3マナ2/3絆魂とクリーチャーとしての性能は悪くない。
変身には他のクリーチャーが必要だが他のクリーチャーを生贄に捧げる手段があれば簡単に変身可能。死亡したクリーチャーの分のディスアドは引き連れてくるトークンがカバーしてくれる。
最悪2枚目のこのカードを並べてレジェンド・ルールを利用して変身することも可能。ただし対戦相手の手で変身させられてしまう可能性があるのが難点。
PWになった後の能力は黒らしいハンデスとリアニメイト。
    1. 2能力はヴェールのリリアナと同じお互いのハンデス。アドバンテージこそ取れないが忠誠度の上がり幅が高く、能動的に墓地を肥やせるため-X能力の効果とも相性がいい。
    • X能力はX点の伝説でないクリーチャーのリアニメイト。ボード・アドバンテージが取れ、リリアナの守りにも繋がるが重いクリーチャーのリアニメイトを狙うと忠誠度がごっそり減るのが難点。連打し難いため、リアニメイトするクリーチャーは慎重に選びたい。
    • 8能力は敵味方問わず死亡したクリーチャーが自身の場に戻ってくるため紋章の付与さえできれば圧倒的な制圧力を見せてくれる。ただしリアニメイト効果は強制なのでデメリットクリーチャー、特に触れられざるものフェイジには注意したい。
    • X能力では伝説クリーチャーのリアニメイトができず、-8能力ではすでに死亡したクリーチャーに効果を及ぼさないのはついに兄を蘇らせることができなかったというストーリーの反映だと思われる。


Liliana, the Last Hope / 最後の望み、リリアナ (1)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:クリーチャー最大1体を対象とする。あなたの次のターンまで、それは-2/-1の修整を受ける。
[-2]:あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚あなたの墓地に置く。その後、あなたはあなたの墓地からクリーチャー・カード1枚をあなたの手札に戻してもよい。
[-7]:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンをX体生成する。Xはあなたがコントロールするゾンビの総数に2を足した数に等しい。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:3

イニストラードを覆う影ブロックの第2セット「異界月」で登場したリリアナで、通称「ラスアナ」。

プラス能力はマイナス修整だが、青のカードと違いタフネスにもマイナス修整がかかるため除去として使えるのが特徴。自身の延命だけでなく、戦闘時の牽制としても有効。
さらに「あなたの次のターンまで」という長さも魅力的であり、うまく使えば相当な延命が可能。
小マイナス能力は墓地回収。自身の能力で墓地肥やしが可能なため多少墓地対策への耐性はあるが、消費忠誠度の都合上連発は不可能。
奥義は起動してしまえば加速度的にゾンビが増殖していく。ただし少々起動までが遅め、かつ撃って即座に攻勢に出られるわけではないので使いどころを選ぶ。極端な話ゾンビが増える前に遣り込められる可能性もあるので、そうならない状況を見極めてやる必要がある。

3マナと軽いため扱いやすく、墓地肥やしも可能なため昂揚*8を用いるデッキで結果を残した。
モダン以下では《ヴェールのリリアナ》と競合するが、能力の方向性が異なることから同時採用も視野に入る。当時は様々なデッキで採用されていたが、「最大の敵は自分のデッキのヴェリアナ」という評価だった。
イクサランでのルール変更によってリリアナコンビ体制が可能になって猛威を振るうようになる。この時期はまだカジュアルモダンが元気だったころで、JFFやトナプラではギデオン三兄弟やらいいリリアナシスターズやらという当時としては地獄のような有様を見せつけられた者たちが「ベレレンと対消滅した神を見習え」と嘆く姿も見受けられた。


Liliana, Death's Majesty / 死の権威、リリアナ (3)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体生成する。あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚あなたの墓地に置く。
[-3]:あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。そのクリーチャーは、それの他のタイプや色に加えて黒のゾンビでもある。
[-7]:ゾンビでないクリーチャーをすべて破壊する。
初期忠誠度:5

アモンケットで登場したリリアナ。文字通りミイラを侍らせて左うちわ。このうちわを仰ぐミイラもカード化されている。
プラス、小マイナス共にゾンビクリーチャーを戦場に出す能力で、堅実に盤面を固めやすい。その分除去は不可能なため他のカードでカバーするといいだろう。
奥義はゾンビ以外の全体除去で、基本的には相手のクリーチャーだけを全滅させることが可能。ただし、不朽や永遠*9など専用デッキ以外でもゾンビを生成する機会はあるため注意は必要。

奥義はぶっちゃけ「ないよりはあった方がいい」程度であり、上述の通り不朽や永遠との相性は善し悪し。自分が使う分には相性がいいが、相手が使ってくるとうまく除去できない。
そのため真価はプラスと小マイナス。スタンダードでは黒の絡む中~低速デッキでしばしば採用された。墓地から使える不朽、永遠、余波などとの相性は抜群によい。
さらに当時優秀な釣り竿が数種類、さらに釣り先として優秀な機械巨人シリーズがあったことからリアニメイトデッキなどを成立させる原動力となった。「5マナの釣り竿、再利用もできるかもしれない上に墓地まで肥やしてくれる」とかなり相性が良く、ストーリーでは敵対していたラザケシュを釣り上げたりもしていた。
ただやはり、5マナという重さはバカにはできない。この時代は6連ガチャこと《霊気池の驚異》だとかすごい機体《キランの真意号》をはじめ、強力なカードが目白押しだったんで……。


Liliana, Untouched by Death / 死が触れぬ者、リリアナ (2)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:あなたのライブラリーの一番上からカードを3枚あなたの墓地に置く。そのうち少なくとも1枚がゾンビ(Zombie)・カードであるなら、各対戦相手はそれぞれ2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
[-2]:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-X/-Xの修整を受ける。Xはあなたがコントロールしているゾンビの総数に等しい。
[-3]:このターン、あなたはあなたの墓地からゾンビ呪文を唱えてもよい。
初期忠誠度:4

基本セット2019のリリアナで、いずれの能力もゾンビが密接に関わっている。

ドレイン、除去、墓地からの召喚(=手札アドバンテージの補填)と強力な能力が揃っているものの、活躍できるかはゾンビの充実具合に大きく左右される。

幸い基本セット2019の登場直後はゾンビ推しのアモンケット・ブロックが存在したためゾンビデッキが成立していたが、ローテーションで落ちた後は強力なゾンビに恵まれなかった。
基本セット2020のソリンと概ね同じ流れである*10


Liliana, Dreadhorde General / 戦慄衆の将軍、リリアナ (4)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
あなたがコントロールしているクリーチャーが1体死亡するたび、カードを1枚引く。
[+1]:黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
[-4]:各プレイヤーはそれぞれクリーチャー2体を生け贄に捧げる。
[-9]:各対戦相手はそれぞれ、パーマネント・タイプ1つにつき、そのタイプであり自分がコントロールしているパーマネント1つを選び、残りを生け贄に捧げる。
初期忠誠度:6

灯争大戦で登場したリリアナ。
プラス能力はゾンビ生成、小マイナスは各プレイヤーのクリーチャー除去、奥義はパーマネント・タイプ各1枚を除き他を全て除去という派手なもの。
とはいっても最短4ターンかかる上完全にまっさらにするわけではないのでプラス能力と小マイナスを中心に使っていく方が安全だろう。
特に小マイナスは破壊不能を無視できる上、こちらにクリーチャーがいなければ相手だけ損させることができる。
黒にはゾンビシナジーや墓地に置かれたときを活かすカードは多いので、それらと併用すれば効果的。
プラス能力で出るゾンビトークンが軍団(永遠衆)ではないのは、ボーラスに叛旗を翻したストーリーの再現だろうか。
割と派手なカードではあり当時はちょくちょく使われていたのだが、《時を解す者、テフェリー》をはじめとした他のプレインズウォーカーの陰に隠れてしまい、さらに「エルドレインの王権」以降の大インフレによって次第に影が薄くなっていった。
そもそもかつての《炎呼び、チャンドラ》や《太陽の勇者、エルズペス》*11のように目を見張るほど強いというレベルのカードではなく、非常によく剥かれたパックだったこともあって通常版の値段はそこまで高くならなかった。

日本限定のイラストではあの天野喜孝がイラストを描いており、天野バージョンのカードは通常版の数倍で取引されている。
特に海外勢からの需要が非常に高く、foil版の美品という条件こそあるが、ここ最近出たカードなのに80万円で取引されるということもあったという。ここまで来ると完全に骨董品の域だ。
実は2019年のエイプリルフールで「トップページに天野版リリアナの画像が表示される」という予告がなされており、「天野風のイラストとは凝ってるけど今年のエイプリルフールは地味だな」と思われていた。
しかし灯争大戦のプレビューが散々盛り上がっていたところに追い打ちをかけるように「日本語限定イラスト」としてまさかの天野喜孝を起用した特別版カードが紹介され、英語版とは趣を異にしたりしなかったり*12する他のプレインズウォーカーのイラストとともに日本人を驚愕させ、海外のコレクターに血の涙を流させたのであった。
これが日本はおろか世界中で大人気になったことから、ローテーションの3番目のエキスパンションでは「日本語限定版イラスト」が付随するようになる、イラスト違い商法が儲けにつながることがカードショップどころか他のTCGにすら認識されていくなど、商売的にも非常に大きな一石を投じた一枚となった。
これでレガシーやヴィンテージで4枚必須なんて強さだったら「遊べる1万円札」神ジェイスの話が完全に過去になっていただろう。スタンの選択肢程度の強さでよかったね、ほんと……。


Liliana, Waker of the Dead / 死者を目覚めさせる者、リリアナ (2)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:各プレイヤーはそれぞれカード1枚を捨てる。そうできなかった各対戦相手はそれぞれ3点のライフを失う。
[-3]:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-X/-Xの修整を受ける。Xは、あなたの墓地にあるカードの枚数に等しい。
[-7]:あなたは「あなたのターンの戦闘の開始時に、墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に出す。それは速攻を得る。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:4

基本セット2021で登場したリリアナ。
プラス能力は自分含む全員へのハンデス、小マイナスはクリーチャー1体にマイナス修整。どちらもロック性能が高い。
そして奥義は毎ターンのリアニメイト。即座に勝ちが決まるわけではないが、テーロス還魂記で登場した伝説のタイタンのETB能力を毎ターンおかわりしていれば自然と勝ちが見えてくるだろう。
スタンダードでは黒を含むコントロールデッキで採用される。

カードのデザインは通常のものに加え、外枠のデザインが特別な「ショーケース・フレーム」、外枠がなく通常版と異なるイラストの「拡張アート」の3種類が存在する。


Professor Onyx / オニキス教授 (4)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
魔技-あなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えるかコピーするたび、各対戦相手はそれぞれ2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
[+1]:あなたは1点のライフを失う。あなたのライブラリーの一番上からカード3枚を見る。そのうち1枚をあなたの手札に、残りをあなたの墓地に置く。
[-3]:各対戦相手はそれぞれ、自分がコントロールしているクリーチャーの中で最大のパワーを持つクリーチャー1体を生け贄に捧げる。
[-8]:各対戦相手はそれぞれカード1枚を捨ててもよい。そうしなかったなら、そのプレイヤーは3点のライフを失う。この手順をもう6回繰り返す。
初期忠誠度:5

ストリクスヘイヴン:魔法学院で登場したプレインズウォーカー。
プラスでドロー、マイナスで除去、奥義といったスタンダードな構成だが、維持さえできればコントロールしつつ魔技によって勝利を早めることができる点が強力。だが6マナと重いので出した直後の隙には注意が必要。PWをリアニメイトできるカードは《雪上の血痕》などそこそこあるので併用するのも手。
変わった使い方では《出現の根本原理》で選ぶというのも強力。《アールンドの天啓》《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》から選ばせれば高打点+追加ターン、即奥義、カードを探されながら追加ターンの非常に厄介な3択となる。
しかしここはリリアナ・ヴェスの項目なのに、なんでオニキス教授なんて名前のカードが説明されているんでしょうね?(すっとぼけ)

言うまでもないがリリアナ本人。よく「一体誰アナなんだ……」と言われ、なんと日本語公式4コマですらネタにされた。
かつては「プレインズウォーカーの唯一性ルール」に密接に関係してカードの評価に非常に大きな影響を与えていた「プレインズウォーカー・タイプ」だが、イクサランでのルール変更によってすっかり空気になってしまった。
これをうまく活用するべく、そして「灯争大戦」のアフターストーリーで偽名を得て第二の人生を始めたという設定を回収するべく、「リリアナという名前を捨てて新しい人生を始めた」彼女をカード化したというもの。
外見があまり変わっていないのであんまり新鮮味はないが、一応理論上はできたことがついに実現したとしてルール・グルやヴォーソスの間で人気になった。
ちなみにオニキスは縞瑪瑙の一種。「オニキスブラック」という言葉があるように黒を強く印象付ける宝石のひとつ。

ストーリー的には「ギデオンの身代わりがよほどショックだったようであり、彼を生き返らせる方法を探しつつストリクスヘイヴンで教鞭を取っている」というもの。
死は死であると受け入れたジェイスやニッサに比べると、色の哲学の違いがよく分かるだろう。
悪魔やボーラスとの契約もなくなり、《鎖のヴェール》の件も片付き、教職についたこともあり、以前のようなノリのよさは影を潜め、《ヴェールのリリアナ》《死の権威、リリアナ》やカラデシュの背景ストーリーでのノリノリな姿などに比べると非常に落ち着いた中年の女性教師として第二の人生を始めている。さながら若いマクゴナガル先生の趣。
ギデオンのことがある種のトラウマになっているようであり、彼女が命を助けられたシーンは《過去対面法》というカードでも描かれている。

そうして自分を見つめなおしながら教鞭をとる日々を送っていた彼女だが、ある日謎の魔術師の襲撃を受けそれを撃退する。そこから彼女はオーリクというこの次元の魔法テロリストの暗躍を感じ取る。だが彼らは世間的には落ちこぼれ扱いされているため学部長も教授も誰一人として真面目に取り合わない。

そこで彼女は”見どころがありそうな学生の助力を得る”という方向で事態の打開に動く。そしてたまたま姉弟喧嘩をしている場面を抑えたローアンとウィルを自室に呼び出し、かつての自分の苦い経験をかみしめながら説教ついでにオーリクに対して備えるように警告。この場面は《教授の警告》というカードで重要シーンとして取り上げられている。ちなみにその効果はというと”+1/+1カウンターの付与””ターン終了時までクリーチャー一体を破壊不能”と黒単色なのに白の呪文のようである。

そしてオーリクが学園を襲撃してきた時は学園の者たちが防衛している間に手薄になっているであろう秘密の場所に修行して備えていた姉弟とともに急行。彼女はその過程で首領のエクスタスの魔法を浴びて強制的に遠くに転移させられてしまうが、残された姉弟が力を合わせてエクスタスが召喚した血の化身のコントロールを奪うという奇策に出てで戦況は逆転。エクスタスの討伐と血の化身の退散に成功し、学園を襲撃していた手下も学部長や学園の重鎮の5体の龍の迎撃で撃退され次元の平和は守られた。
その後、学園側は自分たちの不手際を詫び、未曽有の災厄を防ぐのに大いに貢献した教授が”リリアナ・ヴェス”と名乗り無期限で教鞭をとることを認めさせた。

結局ギデオンをよみがえらせる方法は見つからなかった。だが、彼が助けた自分ができることをやったおかげで別の次元の危機を救うことができた。そのことに安堵を感じながらリリアナは再び教授としての日常を送るのであった。

この「一体何者なんだ」ネタは他にも、ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズとのコラボエキスパンションで登場した《花の大導師》にも引き継がれている。
ただしこちらはそもそもD&Dに縁の深いプレイヤーが少ない日本では、あまりピンと来た人がいなかったようである。プレイしているとものすごくうまいキャラ付けで大興奮するらしいんだけど……。

ストーリーではその後、「機械兵団の進軍」においてファイレクシアンからのアルケヴィオス次元の防衛を行う。
ストリクスヘイヴンの教授たちが次々と完成化していく中、死者の軍団を操って防衛陣を敷きつつ「完成化していないことで生徒たちに希望を示す」という、まさに最後の希望を地で行く。
そしてストリクスヘイヴンのアンコモンの伝説のクリーチャー・サイクルの5人に「ストリクスヘイヴンの招致呪文」を探して唱えるように命じて《大図書棟》へ派遣する。かくして招致呪文を完成させた5人の手により、ストリクスヘイヴンの中のファイレクシアンは駆逐された。
大怪我をしつつ生き残った生徒たちの応急処置のためにウィザーブルームの生徒たちを厳しく指導する様はもはや「口うるさく厳しい婦長」。
自分たちが派遣した5人のうち4人の生還を喜び*13、しかし彼らの痛ましい大怪我に心を痛めるさまはもはやイニストラード(アヴァシンの帰還)の頃とは別キャラ。ゲラルフを誘惑してガラクやサリアを意気揚々と虐めていたお前はどこへ行った*14
だがストリクスヘイヴンの外にいるファイレクシアンから防衛網を敷くために、自分の生徒であるダイナの進言を聞き入れて沼地を広げてアンデッドの軍団を組織。
突然現れたアンデッドの軍団に周囲がドン引きする中、「改装はしばらく待ちなさい」}と告げるのであった。すっかり第二の人生を謳歌している彼女も、派手好きな性格はまだまだ変わらないようだ。


「お前が追記修正したいという欲求の瀬戸際にいるなら、喜んで私の手で最後の一押しをしてあげよう。」


「そうかもしれません。そして、そうではないかもしれません。それでは問題です……あなたがたは、この件に対して何を追記修正しますか?」




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最終更新:2023年06月26日 21:40

*1 フランケンシュタインの怪物のように死体をつぎはぎした改造ゾンビを作る人のこと。主に青のフレーバーであり、リリアナの黒とは友好色の関係。

*2 灯争大戦で登場する前から短編で登場していた黒の50代男性。悪魔の契約を完全に逆手に取って使役するという、リリアナとは違った形で利己的な黒を表現したナイスミドルのおじさま。カードの方だと黒単ハンデスの印象が強いが、MTGAで使える専用カードでは「提案」といういかにも悪魔の契約専門家らしいメカニズムを携えている。

*3 この時期の「カードでストーリーを示すのが難しい」理由のひとつが、アヴァシンの帰還の《獰猛さの勝利》と《残虐の勝利》。ガラクとリリアナが殺し合うイラストであり、片方はガラクが勝利した、もう片方はリリアナが勝利したイラストなのだが、これだけ見せられてどちらが先かなんてわかるわけがないのである。この問題点から「注目のストーリー・カード」という表記がカードになされるようになったが、これもこれで問題があったということで2022年現在も試行錯誤が続いている。

*4 多色デッキはその動きを支えるマナ基盤、特に土地に高い値段がつけられやすく、ここでデッキの半分以上の値段を持っていかれることが多い。モダンやレガシーの「フェッチランド」とそれで持ってこれる土地などは分かりやすい例。つまり単色でカウブレードに肉薄する値段というのは、神話レアが満載というよりも「カウブレードの頃からさらにカードの値段が上がっていった」という世相の変化を示していると考えた方が自然かもしれない。

*5 そもそもスタンダードが「青が強すぎる」「プロテク剣ゲーすぎてつまらない」「ファイレクシア・マナのせいで色の役割があったもんじゃない」と非常に不人気な環境であり、ライト層や単色愛好家が非常に不貞腐れていた時期でもあった。

*6 面倒な条件を経なくても出すだけで沼から出る黒マナの量が2倍になり、さらに自前で強請を持つカード。頑張って奥義までつなぐ必要のある沼アナと違って即座に黒マナの量が2倍になる上に、相性のいい能力まで引っ提げていると完全に自己完結する。さらに2枚以上並べることも可能。

*7 《リリアナ・ヴェス》《ヴェールのリリアナ》はどちらも多色デッキでも真価を発揮するデザインであり、黒単PWというには違和感があった。もちろん黒単で使っても十分強いカードだが、別に黒単専用機というわけではなかったのだ。

*8 墓地にあるカードの種類を参照し、4種以上あると強力な効果が使える

*9 アモンケットのミイラを表すギミックで、墓地からコストを支払って追放すると1度だけゾンビ・トークンとなってよみがえる。当時のスタンダードでは頻繁に見かけた。

*10 サポートする部族推しのセットが落ちる直前に登場して活躍し、ローテーション後は活躍の機会がほとんどなかった

*11 どちらも当時スタンダードをプレイしていれば非常に強い印象を残すカードだが、wikiなどで伝聞的に聞く層には若干影が薄いと思われるもの。

*12 雰囲気を異にするものというとジアン・ヤングー、ナーセット、ニッサなどでもちろんリリアナもこちらに入る。一方であまり雰囲気が変わらないものにはカーン、テフェリー、アショク、ヤヤ・バラードなど。萌えの国だというのにむしろ兄貴っぽさが増したサムト(14歳の女の子)なんてのもいる。

*13 唯一姿を見せなかったロクソドンのクイントリウスはストーリーでは覚醒して難を逃れたかもとぼやかされていたが、のちにマローから覚醒しましたとネタバレされ生存が確認された。ひょっとするとどこかの次元で出番が回ってくるかもしれない

*14 ただ実時間においてそれ以前に書かれた作品では「利用しようとしていたジェイスに情が移る」など、人間味のある部分がないわけではなかった。あのイニストラードの時が特例だったのかもしれない。或いはギデオンの生き様に感化されたのか