ゲームボーイアドバンス

登録日:2012/07/23 Mon 20:57:26
更新日:2024/02/20 Tue 15:45:41
所要時間:約 7 分で読めます



ファ~ン、キラーン☆


GAME BOY

Nintendo ®



ゲームボーイアドバンスとは、2001年3月任天堂が発売した携帯用ゲームハードシリーズである。

■概要

先代にあたるゲームボーイカラーからパフォーマンスが大幅に向上、32ビットCPUを搭載し、グラフィックとサウンドも進化し、LRボタンも新たに追加された。
それでいて単3電池二本で約10時間稼働とプレイ環境も損なわれていない。

肝心のソフトもスーパーファミコンにも劣らないレベルのものが続々とリリースされ、話題を呼んだ。
性能的にも、スーパーファミコン用ソフトの移植が行われている。さすがに操作性*1や音源などの完全再現は出来なかったが。

最初期に発売された『マリオカートアドバンス』は、微細なグラフィックとボイス収録によりハードの性能を充分に示し、本体の販売拡大に貢献。
その後もポケットモンスターシリーズの安定したヒット、リメイク新作を問わない多数のゲームソフトのリリース等、一時代を築いた。
前世代から引き続き携帯機市場を事実上の独占状態を維持した(一応、同世代のライバル機としてバンダイのワンダースワンが存在する。スワン撤退後、バンダイは任天堂携帯ハードに再参入した)。

ニンテンドーゲームキューブとの連携を前提に開発されており、
アドバンスを情報モニター兼コントローラとして使用する、アドバンスに体験版やミニゲームを送り込んだりと新しい遊びができた。
特徴的なのが、ゲームショップの店頭で備え付けのゲームキューブから体験版をダウンロードし、スリープ状態で家に持ち帰ってプレイするシステム。電源を切ればソフトは消えてしまう。

■仕様

CPUはARM7系列の32ビットのものを採用。
GBAとiPodのお陰でARMが英国面の変態CPUで終わらずメジャーなアーキテクチャの仲間入りをしたとすら言われている、ARMにとっての功労者の一つである。
クロック周波数は16.78MHzとGBの4倍、GBCの2倍。GB/GBCのZ80は最短で1命令4クロックであることを考慮すれば基本的に1命令1クロックのARMはGBの16倍、GBCの8倍の実行速度と言える。加えてビット幅4倍、乗算命令ありと、性能は大幅にアップしている。
メインのARMの他に、旧GBシリーズのCPUであるZ80も搭載している。GBとの互換及び通信制御に使用されている(このため、GB互換を切ったゲームボーイミクロにもZ80自体は搭載されている)。
メモリはCPU内蔵の32キロバイト+CPU外の作業用RAM(実質メインメモリ)256キロバイト+VRAM96キロバイトという割と複雑な構成。これは本機を開発している最中に当初はCPU内蔵のメモリのみで十分…だと思っていたら足りないことが判明し、急遽メモリの「追加」を行ったためと言われている。
但しそのお陰でメモリに余裕ができ、上記の「外部から体験版などをダウンロードする」という機能も実装できたのだが。

画面描画システムはスーファミのMode-7回転と同等のものを2面重ねられたり、タイル単位でないビットマップ描画もできるなど、2次元ゲーム機の最高峰と言える性能を誇る。(ただ地味にスーファミにもGBカラーにもある背景面のタイルごとの優先度が無くなっている不思議)
CPUパワーに物を言わせてちょっとした動画再生やプレステと見紛う3Dポリゴン描画までこなしてしまう。「Game Boy Advance Video」シリーズや、「Driv3r」、「Asterix & Obelix XXL」、技術デモだが「BlueRoses」エンジンあたりが有名どころか。日本ではあまり見かけないが「黒ひげのゴルフしようよ」の例がある。
ディスプレイは240×160と、正方形に近い(160×144)ゲームボーイから打って変わって当時の4:3のテレビより横長のワイドスクリーンになり新鮮な驚きを生んだ。しかし16:9に慣れた今見直すとさほど横に長くなく逆にびっくりする。
横はファミコンやスーファミと実質同等*2でこれらからの移植が比較的容易であり、「ファミコンミニ」シリーズや「マリオアドバンス」シリーズ、「ゼルダの伝説神々のトライフォース&4つの剣」などリリースされた。

音源はGBから引き続いたPSG音源(ピコピコ音源)に加え、2和音のPCM音源も追加されている。
電源は初代は単3×2本。SP以降は内蔵リチウムイオン電池。


■アドバンス一家

○ゲームボーイアドバンス

最初のモデル。2001年発売。
先代が縦長なのに対し、横長で攻めてきた。単3電池で稼働。
ゲームボーイ、ゲームボーイカラーのソフトも遊べる。この際にはLRボタンで横1.5倍表示も選べる。
初期のモデルなので、画面が暗く見づらいという欠点があった。特にGBCソフトが非常に暗くなる。

また、ゲームボーイカラーに搭載されていた赤外線ポートはオミットされた為、ポケモンのふしぎなおくりもの等の赤外線通信を使う要素は不可。
ぞくぞくヒーローズに至ってはまともなプレイは不可能となる。

電源は単3電池2本。アルカリ乾電池で連続15時間のプレイが可能。
この他オプション品として、電池ホルダーにはめ込むタイプのACアダプタと、専用充電池&充電器のセットも用意された。

非推奨だがエネループ筆頭の市販品ニッケル水素電池も使える。*3
ちなみにサンヨーからは任天堂のライセンスを受けた玩具向けニッケル水素電池が発売されていた。
電池ホルダーの金具は後のWiiリモコンにも流用されている。


○ゲームボーイアドバンスSP

2003年発売の改良型。フロントライト搭載で明るさの問題を解決した。
外見が大きく変わり、開閉式の正方形とコンパクトになり、持ち運び安くなった。ちなみに充電式。
この画面と操作部の開閉式、充電池の内蔵という構造はニンテンドーDSシリーズに継承されている。
こうした新機能により、携帯ゲーム機から夜の概念は消え電池のコストに頭を悩ますことは概ね消えた
やろうと思えば充電器とコンセントを直通にして何日でも途切れず携帯ゲーム遊び放題……なんて夢のようなことが可能になったのである。電気代を忘却してるとそれはそれで悲劇が起こるのは内緒
まさしく携帯ゲームの分岐点となる革命機だったと言えよう。

ただし、本体の形状とコンパクトさ重視のためにイヤホンの差込口が削除されているため、イヤホンを使うには別売りのイヤホン変換アダプタが必要。
差し込み口は充電機と共用のため、充電しながらイヤホンプレイは不可能。

デザインがシンプルなうえ衝撃に強い形状・重量なため、色んな意味で頑丈なことでも有名。
最後に充電したのが数年前だったのになぜかそのまま起動してしばらく遊べてしまった、なんて報告も。

アドバンスで遊べたゲームはひと通りプレイできるが、カートリッジを今までとは反対に差し込む関係上、
動きセンサーを使ったGBCのゲームはプレイできなくなった。
『コロコロパズル ハッピィパネッチュ!』等GBAのゲームはゲーム内のコマンド入力やオプション設定で対応できる。

海外では2006年ごろからバックライト液晶版が発売されており、明るさもパワーアップしている。
公式でゲームボーイシリーズすべてのソフトがバックライト液晶で遊べる機種は、このバックライト版SPだけだったりする。*4


○ゲームボーイミクロ

2005年発売の最終モデル。
機能をギリギリまで削り、限界まで小型化した。もちろん充電式電池内蔵。

具体的にはゲームボーイ、ゲームボーイカラーのゲームとの互換がなくなり、ゲームキューブとの連動もオミットされた。
電源端子と通信端子はひとまとめの独自端子にされたため、ACアダプタ、通信ケーブル、ワイヤレスアダプタはミクロ専用品しか使えず、カードeリーダーの接続も不可能。
初期型やSPとケーブル通信する場合、これらの本体に変換コネクタを差してミクロ専用ケーブルを使う回りくどい仕様になってしまった。なぜ逆にしなかった……。

前年末にニンテンドーDSが出たせいなのか展開も控えめで、本体前面のカスタムドレスアップ要素となるフェイスプレート交換は結局あまり活かされることはなかった。
日本ではフェイスプレートの市販はされず景品でのみ供給される始末。


…と、ここまでデメリットの塊みたいに書き、実際任天堂ファンには良い印象を持たない人も少なからずいるが、それを補ってあまりある利点があるのだ。
それは



小さい


もう一度いうが



小さいのである


その小ささは横10.1センチ 縦5センチ 厚さ1.72センチ。
歴代の携帯用ゲームハードの中でも断トツで小さい(はず)。
携帯用ゲームハードの本分、お外に持って出るのにこれほど適したハードがあるだろうか?

小さいのになにげに画面が綺麗で発色ももちろん良好。何この化け物。
小さすぎて目がショボショボするのが辛いと言えば辛い。
通信端子と充電端子がまとめられた代わりにイヤホン端子が復活。変換アダプタなしにステレオサウンドを堪能できる。

かつてはゲームボーイアドバイスからDSへの移行期出会ったことも重なり人気が出ず安値で投げ売りされていたが、
これらの利点に加え、販売台数が少なかった事が重なり、現在ではプレミアが付いている。
コレクション性はもとより、純粋に実用性においても発売からしばらく経った後求められるという、ちょっと変わった一品。
スマホより小さいゲーム機ってすごいよね。



ゲームボーイプレーヤー

ニンテンドーゲームキューブの周辺機器。
テレビでゲームボーイ(カラー)、ゲームボーイアドバンスのゲームが遊べる良ツール。



■周辺機器

○GBAケーブル

ゲームキューブとの連動に使うケーブル。これを持ちより『ゼルダの伝説 4つの剣+』等の連動ゲームを皆で遊んだときの楽しさはとても文では表せない。


○カードeリーダー

カードリーダー。初期型はポケモンカード等に対応。
後に通信ポート経由で他のGBAやGCと繋ぎ、ゲームに追加要素を入れられるカードeリーダー+が発売された。
なお、対応GBAソフトのデータ通信にはe+を起動するためのGBAがもう1台必要。あと通信ケーブルも。
対応ゲームは少ないが、ポケモンやロックマンエグゼではこれがあるとないとでは楽しさが段違い。
さすがに無印からプラスの発売が短すぎたと見たのか、プラス発売時には任天堂通販による無印下取り優待販売が行われた。
ファミコンエミュレータソフトを搭載しており、海外ではカード化されたNESソフトが発売された。残念ながら日本未発売。
ファミコンではない単体ソフトは日本でもポケモンカードeなどでそこそこ存在する。


○ワイヤレスアダプタ

通信ケーブルいらず。数十メートル離れていても通信可能と現在のローカル通信よりも明らかに優れている。
殆どポケモンFRLGエメラルド専用の機器で空気。それでも当時はその遠距離通信は画期的だった。
因みにロックマンエグゼ5と続・ボクらの太陽もしくはロックマンエグゼ6と新・ボクらの太陽の通信対戦(クロスオーバーバトル)にはこれが必須となっている。 
前述の通りミクロ本体専用バージョンも発売された。

○プレイやん / PLAY-YAN micro

GBA用のメディアプレーヤー。
GBAカートリッジに似た形状をしているがSDカードスロットを側面に、イヤホンジャックを正面に備える。
MP3音声ファイル、ASFまたはMP4動画ファイルを再生可能。
公式では「無印GBAでは利用不可」となっているものの、第一世代の「プレイやん」であれば実際は無印GBAでの起動も可能(microは無印GBAでは起動不可)。
現在では3DSのミュージックプレーヤーのエフェクトや、「リズム天国」などでキャラクターとしてのプレイやんが現役である。
難点と言えばSDカードを認識できる最大容量が1GBまでなことか。

■○その他アクセサリ

ゲームボーイアドバンスSP専用 ヘッドホン変換プラグ

本体からイヤホンの差込口が削除されて市販のイヤホンが使えなくなったために別売りで発売されたアクセサリ。
ごく短いケーブルの両端にイヤホンの差込口と本体側に接続するための端子がついている。差込口は充電器と併用のため、部屋の中で充電しながらイヤホンでプレイは不可能。

ゲームボーイミクロ専用 変換コネクタ

ゲームボーイミクロ専用通信ケーブルに初期型またはSP本体を繋ぐための端子変換コード。短いケーブルの両端にミクロ用通信端子の差込口と従来規格の通信プラグが付いている。
商品名はゲームボーイミクロ専用となっているものの、上記のとおりミクロ本体に接続する機器ではない。実に紛らわしい。

■終焉

2004年暮れ、二画面式携帯ハード、ニンテンドーDSが任天堂から発売された。
当初は据置ハード、GBA、DSによる三本柱体制を掲げていたが、DSが社会現象を引き起こすほどの大ヒットを博す。

翌年GBA側も負けじとミクロをリリースするがDSの勢いに飲まれてしまい、結局二本柱体制になってしまった。
任天堂の公式見解では、あくまでDSはGBAの後継機では無いと言う立場であったが、事実上の後継機となったのは周知の通りである。

一時代を築いたアドバンス時代の終焉である。
最後に発売されたのは2006年発売の『ファイナルファンタジー6アドバンス』であった。*5

商品としては寿命を終えたゲームボーイアドバンスだが、テレビでもプレイできる・携帯性がかなり高いなどDSシリーズにはない利点がある。
ソフト資産もなかなかなので、気になるなら中古屋を漁ってみよう。
ただし、ソフトパッケージが紙パッケージで傷つきやすいため、一見見た目がよろしくないものが多いという点には注意すべし。

また、値下げ前にニンテンドー3DSを購入していた方限定のアンバサダープログラムというキャンペーンでGBAのソフトが配信された。
そして、2014年4月3日にGBAのバーチャルコンソールの配信を開始・・・なのだがWii Uで配信された。(3DSではないのか?)

ちなみに初代DSとDSLiteならGBAソフトが遊べる。GBAもまだまだ楽しめるソフトは多いので是非プレイしてみてほしい。

余談中の余談だが、2010年台後半以降、中古でこれを探すと機種問わずとんでもない高値になっていることが多い。
ファミリーコンピュータも真っ青な、数万以上となっていることがザラである。
高スペックなゲームが多い上に現行ハードでの配信も絶望的ということで、供給に対して需要が膨れ上がったためだろう。

ソフトに関してはファーストである任天堂からは2012年からWiiUのバーチャルコンソールで販売が開始。
Nintendo Switchでは「Nintendo Switch Online + 追加パック」において2023年から配信が行われている。
サードの方は後継の任天堂ハードは勿論、PSやXBOX、Steam等でも移植が進んでいる。



追記・修正は横画面にしてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 任天堂
  • ゲームボーイ
  • ゲーム機
  • 携帯機
  • GBA
  • ゲーム
  • ハード
  • ゲームボーイシリーズの集大成→時代はDSへ
  • 思い出がいっぱい
  • ゲームボーイアドバンス
  • ゲームボーイアドバンスSP
  • ゲームボーイミクロ
  • ゲームボーイプレイヤー
  • ゲームポーイ!遊ばんっす
  • 1990年代生まれホイホイ
  • 任天堂ゲーム機項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月20日 15:45

*1 スーパーファミコンのコントローラーのボタンはABXYと4つあるが、ゲームボーイアドバンスはABの2つしかなく、その他は共通

*2 FC/SFCの256pxに対し240pxだが、アナログTVに接続するゲーム機では映像信号が全て画面内に表示されるとは限らずマージンが必要

*3 ニッケル水素電池はその特性上、徐々に電圧が低下していくのではなく電池切れまで公称電圧が持続するが、逆に言うとこの特性から電池切れ寸前で電源ランプが赤くなる前に止まる、或いは赤ランプになってから電源が切れるまでの時間が非常に短いので、セーブする前に止まる可能性があるため非推奨とされている。稼働させることそのものは問題なく行える

*4 バックライト搭載のゲームボーイライトでは、ゲームボーイカラー専用ソフトとアドバンス専用ソフトが使えない。

*5 任天堂発売の物に限れば『リズム天国』が最後。